琵琶湖疏水

疏水を歩く

− 伏見  濠川 −

墨染溜まり 近鉄鉄橋下
 疏水は墨染の溜まりからしばらくは暗渠となり国道24号の下を西に向き、近鉄伏見駅の東方で濠川となって現れる。この間には撞木町という町名も見える。「浮さま」の遊んだ廓のあったところである。近鉄鉄橋下にはなにかの遺構と思われる煉瓦造りの構造物が残っている。
伏見にはそこここに歴史の跡が刻まれている。
津知橋から伏見制水門 疏水放水路
 久我へ抜ける道の津知橋から南を見ると、水制門が遠望できる。その手前では放水路が西へ向いて轟々と流れてゆく。こちらは東高瀬川へ落とされる。
制水門下 上板橋から
上板橋橋標 水制門近くに来ると、高い水音が聞こえる。この流量を堰くのだから、ちょっとした迫力。
危険なので高い柵が付いているが、子供の自転車が多数停まっていた。
上板橋下では初めのクランクが望まれる。この先、濠川は数回曲折して南下する。
川沿いの道はあまり無く、町なかを川と付かず離れず歩いてゆく。
常盤橋 常盤橋から
いものや橋上手 いものや橋から
 濠川は市街地へ入ってゆく。たまに水辺を歩けるところもあるが、行く先不安な細いものだったりする。大体において家々の背割となっていて、水面を望めるのは橋が架かる部分となる。
川を離れて町なかを歩くのも楽しいのは伏見ならではで、城下町のゆかりを今に伝える町名を拾いながら進む。
よその城下町にも両替町や帯屋町などの職業名を頂くものはあるが、毛利長門、水野左近、井伊掃門、福島太夫などという名が残るのは日本でもここしかあるまいと思われる。
紙子屋町クランク 丹波橋から
 南下するうち、伏見のもうひとつの顔「酒蔵」がそこここに散見されるようになる。丹波橋からは月桂冠の蔵がまことに絵になる風景を眺められる。
川は細かく曲折している。橋標には「疏水」と書いたものと「ほりかわ」と書いたものが混在する。
御駕籠町クランク 土橋
 御駕籠町のクランクに面して建つ古い建物、その隣には最近建ったと思われる関西特有の三階建て住宅。新旧が隣り合わせるのもこの町の面白さ。
土橋下では高低差があるのか、激しく瀬を噛むさまが見られる。橋は風情のある古いもの。
毛利橋から 大手橋

 毛利橋からは月桂冠の昭和蔵が見える。堀端には通路ともつかぬ植栽されたグリーンベルトが沿う。この部分は水の多いときには水没してしまっていることもある。大手筋まで来て撤収。橋標は川港を意識した灯台ふうのデザインとなっている。
 この日は初手から雪に降られ、冷え切ったので大手橋近くのラーメン屋に飛び込み暖をとる。寺田屋周辺を見て宇治川派流を渡り帰途につくと、川端の柳が柔らかく芽吹いていた。

藤のラーメン 寺田屋 寺田屋浜跡
宇治川派流

撮影日 2003/3/9


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