琵琶湖疏水

疎水を歩く

− 鴨川運河  深草 −

鳥羽街道駅の南 流路はまっすぐに南下

 十条通の南で京阪が疎水を渡る。両者互いにここで左右に曲がるので、交差は斜め。淀屋橋行きのツートンカラーの車両が渡ってゆく。
ここからは墨染までまっすぐの流路となる。道はしばらくは右岸側のみ、山側には桜並木が続く。桜は水を恋うて枝を水面に伸ばす。

伏見稲荷参道の橋 門前町への道
 前方の橋に朱の欄干が見える。これは伏見稲荷への参道となる橋、お稲荷さんの赤。
伏見稲荷は全国に四万とも言われるお稲荷さんの総本社。橋を渡って向こうにはもう土産物屋がひしめいている。
早々と参拝を済ませたくさんお土産を持ったおばちゃんと托鉢中の雲水が橋上で行き会う。
JR奈良線稲荷駅 京阪深草駅への橋
 この付近は疎水を挟んで山手にJR、西には京阪が通じるふるい街道筋。歩いていると両側からかたんごとんと電車の音が響く。
深草の駅へ行く橋は高く作られているので、疎水の歩道にも段が付く。舟運の名残でもあろうか、山科でも同様のものを見た。
この橋を東へ行くと五百羅漢で知られる石峰寺、西へ行き京阪をくぐると龍谷大学へ出る。
散歩道 野田橋
 ゆったりと南下を続ける疎水まわりは住民の生活道路。散歩中の犬が疎水を隔てて吠えあったりしている。
橋も、車の通れない小体なものが多い。東西のフローが悪いなどと言い出して妙な開発がなされないところが京都らしい。
名神高速の高架 御陵の道標
 前方には名神高速の高架が見える。京都南IC付近の混雑をやり過ごしようやく車の流れ出すあたりである。
足元には御陵への道標が見える。仁明帝がこの地に葬られたことをきっかけに深草は皇室とゆかり深い地となり、後深草帝はじめ十二柱の御霊が鎮まることとなった。御陵の近くにある嘉祥寺は俗に深草の聖天さんといい、毎6月秘仏の聖天さんに唐菓子をお供えする風習がある。袋状の揚げ菓子でエキゾチックな「歓喜団」と呼ばれるそれは、祇園さん門前の菓子屋でも売っている。
堤から京阪を見下ろす 再び京阪が渡る
京阪の鉄橋 鉄橋下
 京阪藤森駅の南では七瀬川との交差がある。このあたりの疎水堤は高く、一帯が低平な水害常襲地であったことを思い出す。
墨染の手前では再び京阪が渡ってゆく。鉄橋をくぐる道は低くなっていて、目線が水面と近くなる。たぷんたぷんの緑の水がたゆたっているのを見下ろすのはいいが、こうも近いと少し怖い。
墨染発電所溜 発電所へのゲート

 京阪と交差するあたりから疎水は向きをやや南西に振る。その後墨染町に至り発電所の溜まりへ行き着く。
広い水面はかつて船溜まりとして使われた名残り。水は二方に分けられ、ひとつは発電所へ、片方はダム様の溜まりへ行く。
ここと伏見城外堀の濠川とをつないだのがインクラインである。一時は盛んに使われたが、現在は跡形も無い。インクラインに電力を供給した発電所は今も現役で、出力は小さいながら稼動中である。
この先はしばらく暗渠となり、次に顔を出すときは濠川と名を変えることとなる。

撮影日 2003/3/9


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