遠山の金さん
  41〜53話

キャスト
金さん(北町奉行遠山左衛門尉景元)/杉良太郎
おすみ(女目明し)/岡崎友紀
秀駒(芸者)/二宮さよ子
一葉斎(手品易者)/伊藤一葉
甚兵衛(蕎麦屋・長命庵主人)/村田正雄
お初(長命庵看板娘)/三浦リカ
赤目玄蕃(南町同心)/岸辺シロー
花川戸の新八(赤目付岡っ引)/植田峻
青木紋十郎(北町筆頭与力)/伊東四朗


第41話「今ひとたびの青春に哭け!!」1976.7.15 5

 金四郎の剣友の元道場主は、道場破りに負けて以来尾羽打ち枯らし、女房の稼いだ金で酒浸り。或る日喀血しもう長くないと思い込んだ彼は、人殺しを引き受け女房に金を残して姿を消す。的と斬りあい危ないところに金さん、依頼者と的はともにかつての大泥棒なのだった。

ロケ地
・夜道をゆく根来浪人、赤山禅院参道。彼に襲いかかる刺客二人、本堂脇木戸付近(検分の際には蝶番がはずれ扉がぶらーん、刺客が破壊)
・津国屋寮、不明。
・酔っ払って寝ている名取新吾に説教を呉れる青木さま、大覚寺大沢池畔林間
・新吾の妻・香奈江を励ます金さん、大覚寺大沢池畔。
・新吾に斬りかかる腕試し用の浪人、上賀茂神社ならの小川脇林間(右岸側)
・喀血する新吾、ならの小川
*新吾に早川保、妻女に弓恵子、根来浪人に天津敏。*津国屋は手下を盗っ人宿に籠め焼き殺すという非道を仕出かしており、根来はそこから辛くも脱出した生き残りでねちねちと津国屋を強請り←刺客が何度も放たれる。*新吾の喀血は不摂生が祟っての胃病で、ちょっとおまぬけ。*冒頭根来を襲う刺客の一人に福ちゃん、塀の隙間からのどアップあり、直後扉を破壊してかかってゆく。


第42話「花火に賭けた心意気」1976.7.22

 北町奉行を狙う大悪党・闇将軍、身に迫る探索の手を逃れようと爆殺を企て、島帰りの花火師に製造を強要。お奉行は、爆薬を作ってしまったとっつぁんに「爆薬に似せた花火であろう」と温情判決を出す。

ロケ地
・賭場で会った花火師・佐平次を蕎麦屋に誘う金さん、途中チンピラが襲うのは広沢池東岸
・佐平次の娘・お京がさらわれる墓地、不明(石垣際に墓石がごちゃごちゃ)
・佐平次らが監禁される巴屋の寮、中山邸(通用門、門、参道)
・爆薬を試す林、不明(ラス立ちも同所)
*お白州、罪状言い渡しは即桜出しであっさり、植木等のとっつぁんと娘のお涙に尺を割く。


第43話「江戸と浪花の風来坊」1976.7.29

 次々盗まれる名宝、手引きのかどで赤目が誤認逮捕した女中、彼女に恩を受けたと動く上方商人。事件は金さんの聞き込みにより解決するが、「巻き込まれた」女中と贅六の正体がさらにオチ。

ロケ地
・盗賊とバレるも江戸払いで済まされた「贅六」清十郎が「女房」と待ち合わせ、まんまと盗ってきた香炉を開ける神社、上賀茂神社奈良社
*清十郎に長門勇、被害者を装い名宝を盗ませていた強欲な商人に永田光男。*千鳥の香炉を説明する赤目の馬鹿話の映像化、五右衛門が赤目で太閤が新八、取り押さえる侍二人は駕籠舁きで芝居仕立て。


第44話「心の旅路をたどれ」1976.8.5

 マービン・ルロイの「Random Harvest」よろしく、男が愛の記憶を取り戻すのを待つ女のお話。レイナーとポーラほど波乱万丈ではないが、頼った相手が相当のワルで、男は三人ばかり殺したことにされかける。逃避行のなか、どうしても匿ってくれた女に会いたくて金さんが用意した小屋に戻って来た男は、三年前船宿で結ばれた晩に女が歌っていた新内を聞き記憶を取り戻す。

ロケ地
・逃げる伊之吉を追う赤目、大覚寺放生池堤五社明神(伊之吉は木に登ってやり過ごす)。お参りをしていたお峯に刃(に見せかけた木ぎれ)を突きつけ逃走をはかるのは本殿(願掛けの明神様)
・三年前の殺しの疑いを晴らすため、匿ってくれた女中がいる船宿を探すくだり、大沢池堤周辺と池畔。
・古着屋の番頭の手配で匿われる谷中の花屋の脇にある墓地、不明(山際のような地形)
・金さんが二人を隠す小屋、不明(起伏のある林)
*伊之吉に下条アトム、お峯に三浦真弓。同じ長屋で育った幼馴染でもある。伊之吉は記憶喪失ではなくただのうっかりさんで、忘れすぎはお奉行にもからかわれている。*古着屋は裏で盗品を捌いていて、伊之吉に宛がう匿い先はみんな盗っ人、殺しは邪魔者始末。


第45話「雨ふり花」1976.8.12 5

 美人局を生業とする亭主に更生を約させ、罪を一身に着て遠島となった女の哀話。御赦免となるも出迎える者なく、亭主は悪さをやめていないばかりか娘を使って荒稼ぎをしていた。

ロケ地
・お参りして出てきたおりきを囲む美人局一味、大覚寺五社明神
・死んだと聞かされた娘の墓へ行くおりき、ロケかセットか不明。
・おりきが一味の娘・おさちに若旦那との祝言をやめろと迫る祠、大覚寺天神島
・雨降り花を摘み母が帰ると喜ぶ幼い「おさち」、大沢池畔か。
・白州へ向かうお奉行、大覚寺回廊。白州を下がってくるお奉行、大覚寺宸殿裏廊下
*実の娘を手にかけたおりきに情けをかけ罪一等を減じてやるも、感謝しつつその場で果てる悲劇に、お奉行のシメの文句も「これに…これにて一件落着」と湿る。おりきは高田敏江、亭主の美人局親方に中山昭二。*雨降り花はコヒルガオ、摘むと雨が降ると言い伝え。雨降りの時しか傍にいてくれない母を引き止めるため、おりきの娘が手いっぱいに折り取る。


第46話「恐怖の真昼に舞う風車」1976.8.19

 遠山奉行を深く恨む盗賊は、失脚を狙い放火殺人等凶悪な所行を重ねた挙句、目安箱に遠山を罷免すれば犯行をやめると投書。窮地に立つお奉行だが、探りあいに競り勝つ。

ロケ地
・おすみが金さんに南町奉行がお城に呼ばれたと寄ってくる市中、仁和寺境内。
・大がかりな放火でお奉行への怨嗟が満ちるなか、身を捨ててもとお不動様に祈るおすみ、仁和寺水掛不動尊
・手当たり次第の殺しが連続するくだり、死体発見の場面二つは大覚寺五社明神祠裏と御殿川河床。
・水野老中の指示で一時役宅から私邸に移るお奉行の駕籠を襲う刺客、大覚寺参道参道石橋
・おすみが情報漏れは茶飯屋と気付くシーン、不明(手すり越し)
*お奉行に協力した密告者の女房に岡田可愛、奉行焼死と聞き花を供えに行って一味に見つかってしまう。賊の首領は南道郎、奉行は死亡と思い込み望むお白州での表情が傑作。


第47話「奉納絵馬 呪いの祝い唄」1976.8.26

 絵馬師がはめられた札差殺し、お奉行は無実を訴える彼を破牢させ悪党を燻し出す。

ロケ地
・弥助が隠れているお堂、大覚寺護摩堂。金さんがここへ至る道に観月台から手すり越しに見下ろした大沢池畔。
・弥助を匿う船小屋、広沢池東岸に小屋セット。
・お白州、「御出座」の声に被る甍は大覚寺五大堂はじめ諸堂の屋根や松籟。
*弥助に島田順司、判決後牢破りの手引きはと聞くおとぼけが「嫌だなぁ土方さん」の口調に似て妙味。女房は赤座美代子。ワルの番頭に睦五郎、ヤクザの中に志賀勝の姿も。


第48話「長命庵に散った夢」1976.9.2

 蕎麦屋の親父の昔の女が現れるが、お奉行が都合よいお膳立てを疑ったとおり、正体は女賊、苦労してきたという女を労わった甚兵衛とお初の思いは空回り。

ロケ地
・金さんが甚兵衛の話を聞いたりお初を説得したり沈むお紋に声をかける池端、不明(小祠と鳥居、灯籠映り込み)
・江ノ島へ出かける甚兵衛たちがゆく街道、不明(杉並木)
・江ノ島、琵琶湖畔か。
・赤目から情報を取る金さん、仁和寺観音堂脇に茶店あしらい。
*お紋の役目は長命庵を留守にすること、賊は裏の両替商の蔵へ向け穴掘り。


第49話「独楽が廻れば鬼が鳴く」1976.9.9

 乱暴な辻番が民を泣かすが、裏には元締やら徒士目付がいてさらった娘を売り飛ばす始末。もちろん捨てておくはずもない金さんだが、今回早い段階で身分がバレるハプニング。観念した侍たちは自裁し、白州に座らされた悪党は罪をなすりあってやったこと全部言っちゃったり。一応桜も見せて一件落着、被害者の相棒と妹をくっつけてメデタシ。
*ロケなしセット撮り。独楽芸人はフランキー堺、彼だけ金さんでなく「金ちゃん」と呼びかけ。


第50話「血染めの姉妹簪」1976.9.16

 男に金を毟られたうえ殺された妹の仇を姉が討つ話、その姉はかつて男と駆け落ちし捨てられ、酌婦に身を落としていた。
悪党は、色悪のうしろにもう一枚上手が隠れている趣向。

ロケ地
・駆け落ち前のお雪が妹に簪(これが殺しの証拠品に)を渡す植え込み際、大覚寺か。
・御典医推挙のため「土産」を用意と蘭方医・玄州に告げる越後屋(政商)大覚寺大沢池畔に茶店あしらい。
・玄州を尾行する虚無僧の青木さま、大覚寺放生池堤(撒かれる)
・玄州がお菊殺しを目撃したならず者に脅迫されるのは大覚寺天神島。そのならず者を手下に殺させた玄州が取り返した簪を投げ捨てる小川、上賀茂神社ならの小川(境外へ出る個所の柵越し/玄州が去ったあとお雪が出て川中に入り拾う)
*玄州に倉岡伸太朗、お雪に北川めぐみ。*医師を殺そうとする親父を止めて牢に放り込むのは南の月番中だから匿いに当るんだけど、荒っぽくて笑える。


第51話「夕陽に燃えた必殺剣」1976.9.23

 役人とヤクザがつるんでの悪事を見てしまった男は追われて江戸へ、隠れ住む兄妹を掬いあげてやるお奉行、居合の達人の八州出役と大立ち回り。

ロケ地
・八州とヤクザから逃れた兄貴分に金を届けに行く途中の青年が殺される大川端、広沢池東岸(夜)。危機を感じた青年が隠した財布を釣り上げる一葉斎も同所で昼間、増水して埋めた所が水没という設定。
・その青年と約束した深川・竹中稲荷で待つ時造、今宮神社高倉脇坂、境内。
・悪事を見てしまった時造がヤクザに迫られ「刃傷沙汰」の深谷の在所、大覚寺護摩堂裏手(回想シーン)
・悪党どもが妹をさらい時造を呼び出す地蔵河原、酵素河川敷(堰き止めてあるのか、川は一部広い。「木」の根方に「地蔵」あしらい)
*瓦職人の時造は有川博、八州出役は青木義朗でヤクザは汐路章。*時造の見た悪事は、粘土山をヤクザに払い下げ民の血を吸う利権の構図。


第52話「明日を知らない女」1976.9.30

 どうみても救いようのないチンピラ亭主を庇い、殺人犯として処刑を望む女。どんなに邪慳に扱われても、傍にいてくれた男が愛しいという薄幸の女の悲哀を描くが、度合いが行き過ぎてて心胆寒からしめるきらいもあるお話。

ロケ地
・おせきを足抜けさせて故郷へ向かう板前が殺される、中山道・志村へ一里の道、大覚寺大沢池堤(おせきを伴い実地検分の段で回想のかたちをとって描かれる)。江戸へ流れてくるおせきがゆく街道も同所。
*おせきは珠めぐみ、ちんぴら亭主は工藤堅太郎。女の気持ちなどお構いなしの亭主、判決の際お奉行もこの場で叩っ斬ってやりたいと吐露するほどの悪党だが、おせきの庇いようが過剰ゆえ段々かわいそうに見えてくるから不思議。


第53話「一両だけの青春」1976.10.7 5

 仲間を江戸一番の医者に診せようと、佐倉から出てきた若者たちに世間は冷たい。また、彼らが従事させられていた仕事はヤバい代物で、藩の役人が始末にかかる。余命幾許もない若者を手にかけた者どもには、金さんの鉄槌。タイトルは、ゲンが永年の働きで貰った虎の子の小判一枚。

ロケ地
・佐倉から出てきたゲンたちが夜営する川端、罧原堤下河原
・佐倉藩邸(堀田邸)大覚寺大門
・お奉行と青木さまが語らう屋形船、桂川。上方へ発つおすみが乗る船も同所で、お奉行は擦れ違う船に。
*ゲン(元三)は火野正平、永年の火薬調合で塵肺を患う。彼を気遣う仲間は鶴間エリを筆頭に娘三人、正ちゃんを中心に青春ドラマを繰り広げる。佐倉の留守居役は高城淳一、ゲンを斬る手下に宮口二郎。*今回でおすみ退場、名目は大坂町奉行所からのオファー、向こうで婿をとり亡父の名跡を継ぐ話。ゲンたちに関わるかたちで次の密偵・お京(水沢アキ)が登場。*ED「すきま風」に、立ち回りのBGMにも。


→ 遠山の金さん表紙

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ