暴れん坊将軍 II 40〜59話

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第40話「泣くな隠密落第生!」 1983

 いい年をしてお庭番昇格が適わないダメ忍者の舅は、凄腕の風魔衆だった。
お話は、失脚した間部詮房の遺恨を晴らすという名目で、かつて使われていた風魔衆の一派・飛猿党をけしかける留守居役の陰謀。殿の檄文を偽造して忍びたちを動かし、これを藩主の謀反として幕府に売り自身は公儀に役を得ようとする企みだが、飛猿党の頭目であるダメ忍者の義父は企図を看破し消されてしまう。ラス立ちは、ダメ忍者が舅の仇をとることに併せ飛猿党が頭目の仇を討つ、二重の意味を持つこととなる。

ロケ地
・庭番見習いのトレーニング、ランニングは清滝川・クライミングは落下岩
・庭番の登用試験が行われる目黒の御狩場、鳥居本八幡宮広場。
・勘兵衛が孫の下駄を川から釣り上げる橋、中ノ島橋
・勘兵衛が留守居役からのツナギを受ける天神境内、大覚寺護摩堂裏手(孫が遊ぶシーンに心経宝塔)
・勘兵衛が呼び出されてゆく佃島、広沢池東岸(尾行した弥市が飛猿党に当て落とされる)
・勘兵衛が撃たれる野原、北嵯峨農地(棚田の田畔、背景に孤立木)
・留守居役が飛猿党集合場所に指定の護持院ヶ原、酵素河川敷
*ダメ忍者に岸辺シロー、舅に藤岡重慶。留守居役は山本昌平で腹心は黒部進。


第41話「嵐を呼んだ身代わり観音」 1983

 事件は阿片密輸、長崎奉行と結託した薬種問屋が小石川養生所宛の荷に潜り込ませ江戸へ持ち込んでいるもの。お話は、江戸への船が難破したことからはじまる。
嵐のなか、沈む間近の船内で薬種問屋・但馬屋の若夫婦から託されたお守りを持っていた娘は漂着して助かり、所持品から但馬屋の嫁と解され遇される。誤認と言い出さない娘は但馬屋の番頭を尾行するなど怪しい動き、彼女の正体はもう一人の長崎奉行の密偵だった。

ロケ地
・難破船の土左ヱ門上がる浜、広沢池北西岸(め組が駆けつける場面は田畔見上げ)
・阿片の件で薬種問屋を探ったさぎりが報告する祠、大覚寺五社明神本殿内陣。
・但馬屋の次男に「嫁」の素性を聞く新さん、嵐山公園下桂川右岸河川敷(橋下手・栗石敷き)
・堺屋の阿片窟、中山邸通用門。
・但馬屋番頭の示唆で「嫁」を襲う刺客、大覚寺大沢池畔。
・定次郎とおはつが目安箱へ行く途中拉致される道、大覚寺有栖川畔
・弓のお稽古上様、姫路城三国濠端
*おはつは根本律子、但馬屋の兄弟は坂口徹の二役。悪い番頭は曽根晴美、阿片窟を開く薬屋は早川研吉で用心棒は川浪公次郎、長崎奉行は伊達三郎。難破船の船頭は峰蘭太郎。*兄嫁を怪しみ確かめるのに凶悪なデカい犬連れてくる次男、てっきり一味かと思いきや善人、どころか「姉さんでなくて良かった実は私はあなたの事を」。*上様を御座所で待ってて一服つけてる加納じい、これを見て大慌ての忠相、置いてあったのを失敬して吸ってたじいに「それは押収品の阿片」。このあと、名喜劇俳優・有島一郎のトリップ芸が披露される。


第42話「初春はめでたや大江戸囃子」 1984

 新さんと意気投合の磊落な商人、彼には島帰りという過去があるが前長崎奉行が仕組んだ冤罪だった。ケーシー高峰が太っ腹な商人を演じ、菅貫が低劣極まる前長崎奉行にして現勘定奉行をつとめる一作、吉原の美妓も絡み賑やかな作り。

ロケ地
・弓のお稽古の勘定奉行・土居相楽、相国寺大光明寺石庭。
・万屋の過去を上様に報告する庭番、仁和寺茶店
・伊豆代官所へ馬を飛ばす才蔵、嵐山自転車道
・土居たちが断罪されたあと、お参りの万屋を襲う一味、仁和寺五重塔〜参道。新さん登場は中門、以後参道塀際で立ち回り、刀を収める新さんのバックに勅使門。
*菅貫にくっついている吟味役は高杉充、太夫は島村佳江。福ちゃん二態、菅貫一派の下っ端のほか、万屋の前で威勢良く大八を引く。


第43話「鉄火意気地のおんな河岸」 1984

 他の魚河岸を潰し魚商いを一手に掴みぼろ儲けを企む日本橋の元締、やくざを使い金杉河岸の娘行商人をハメて罪に落し、追い落としを謀る。もちろん新さんが悪企みを阻止に入るが、姉貴分の悲恋は救い得ず、ワル方の用心棒となっていた浪人は非業の死を遂げる結果となる。

ロケ地
・金杉河岸と日本橋の争いの経緯を新さんに語るおけい、大覚寺天神島
・献上鯛の一件でハメられたおたまが隠れている将監橋近くのボロ船のある浜、広沢池東岸
・北町奉行と密会の日本橋の元締がゆく道、大覚寺大沢池木戸〜船着(小)、才蔵は潜水して船を探る。
・おけいに用心棒の浪人・源之進のことを聞く新さん、仁和寺御室桜林(塔入り)観音堂前。
・源之進に声を掛ける新さん、相国寺大光明寺南路地仏殿跡疎林(地蔵あしらい)
*金杉河岸の姐御肌のおけいに水前寺清子、恋人だった浪人は星正人。日本橋の元締は須藤健、北町奉行は船戸順。*おたまがハメられる一件、献上鯛の桶に尻餅ついて魚がパァ、その日の上様の膳に鯛無し。次第を聞いた上様、鯛は葵紋つけて泳いでないと親父ギャグ。


第44話「必殺!顔のない男」 1984

 上様が熱に浮かされ見た悪夢が正夢に。不行跡で降格された旗本は深く恨みを抱き、闇の仕事師を雇い入れ将軍暗殺を企てる。古怪な武器を用いる一団は、回りくどい芝居をしてのけ城の奥深くへと潜入を果たし、上様の喉元に迫るがあと一歩で及ばず終わる。

ロケ地
・お城の縁先で庭番を打ち据える平河大炊頭、仁和寺宸殿縁先。
・平河邸、相国寺大光明寺
・夜陰さぎりが襲われる平河邸近く、大覚寺五社明神(舞殿の屋根にジャンプして逃れる)
・庭番が仕事師たちと死闘の寺、坂本の慈眼堂
・忠相の駕籠が入るお城の玄関、仁和寺宸殿大玄関。このあと駕籠に付き従って潜入した仕事師の一人・与平次が上様目指して駆け回るお城内部に仁和寺宸殿周辺各所(平唐門、書院前白州、宸殿北庭と南庭の仕切、北庭池汀)
・下城する平河の駕籠、下鴨神社河合社塀際。騎馬で駆けつける上様、馬場
*上様に迫る刺客に伊吹剛、暗い情念持った男がよく似合う。仲間に田中弘や中井啓輔。上様を逆恨みする旗本は深江章喜。*冒頭の悪夢に出てくる鎌持った男に福本先生、ほぼシルエットで顔ははっきりと映らないが「お命頂戴」の声は紛れもなくセンセイのもの。役名クレジットあり「影の男」。このくだりでは上様が蜘蛛の巣みたいなロープに絡め取られ、斬られて血がどぱーでうわーという、不死身のヒーローのありえない画が拝める。


第45話「いかさま奉行の鴨ネギ音頭!」 1984

 口先八丁で世を渡る遊び人の半助、するめ皮の財布をサクラ仕立てて売ったりする。金を溜め込む彼の願いは故郷の恋人と所帯を持つこと、御狩場買い上げにからむ土地転がしで娘の父の庄屋が殺されるのを見た男は、一世一代の大騙りでワルから金をひっ攫う。

ロケ地
・上様の鷹狩り、西の湖か(広い葦原、大きなヤナギ多数)
・御狩場として買い上げ予定の葛西村、民家南塀民家西塀民家長屋門前。庄屋屋敷は民家長屋門
・庄屋が刺殺される林、広沢池北西岸か。
・弓のお稽古上様、姫路城三国濠(映画村と組み合わせ)
*イカサマ稼業の半助に桜木健一、最後の大騙りでは大岡忠相に扮して地回りから五千両を掠めとる。彼をサポートの上様、ホントに大岡様?と半助が疑われるのを、「将軍に扮して」ごまかす役回りを演じる。騙されるヤクザに汐路章、黒幕の若年寄は内田勝正。


第46話「金襴緞子の罠を撃て!」 1984

 地位を利用し、課役から逃れようとする藩から賄賂をとる奥祐筆頭。この下で働くサラリーマンの悲哀を描く。
フライングして取引相手から頭越しに賄賂を受け消される奥祐筆方の役人、後任にと目をつけられた中年男は地位保全のため悪事と知りつつ加担しようとするが、新さんの忠言により翻心し目付に訴えるべく動く。娘婿もこれに賛同、途中でワルの手が回り「父」は凶刃に斃れるが、上様の計らいで家名は存続の運びに。

ロケ地
・「大男が怪力で奥祐筆衆を絞殺」の濡れ衣を着せられ犯人(常時鶏モモをむしゃむしゃ)を探し鶏を売り歩く龍虎、相国寺大光明寺南路地。奥祐筆組頭・塚本邸、大光明寺門
・中尾に組頭の悪行を告げ翻心を促す新さん、日吉大社六角堂(一部紅葉)
・白河藩から賄賂の砂金が着く向島三番河岸、広沢池東岸。そこから逃れた中尾らが刺客に追い詰められる、仁和寺九所明神。「上様」が現れ殺陣は前石畳へ移動。
・中尾の墓、慈眼堂阿弥陀仏脇。
*リーマンの悲哀を切々と新さんに語る中尾に大山勝巳、娘婿は下塚誠。不正上司は睦五郎、怪力の中間は大下哲夫で雇われ浪人に小峰隆司と木下通博。


第47話「天下御免のじゃじゃ馬馴らし」 1984

 高慢ちきなお嬢様を改心させるよくあるお話、「母の死後女を囲う父が許せない」パターン。普通は意地悪な振る舞いをしたり遊興に耽ったりだが、今回のお嬢様は蕎麦屋で桝酒を呷るは賭場に出入りするはの荒くれ娘。新さんは誘拐事件をでっち上げて彼女を懲らしめようと図るが、動きを見ていたならず者がホントに誘拐してタイヘン。このワルが素行の悪さゆえ御役につけぬ大身旗本だからたちが悪いのなんの、城中では加納の爺様を苛めたりする。最後には上様の苛烈な断罪が下るが、誘拐が本物になっちゃった新さんの不手際についてはなんか誤魔化されてるような気がするが、暴将ならではの大らかさか。

ロケ地
・新さんが誘拐のお芝居を打ちお染を運び込むお寺、西明寺山門
・本物のほうの誘拐の身代金受け渡し場の浅草、仁和寺塔前。受け取りに来たワルをぶっ叩く大立ち回りは金堂前〜参道石畳。
*お染は北原佐和子、備前屋は穂高稔、「義母」は桜町弘子。誘拐に便乗のチンピラは伊庭剛でゴロツキ旗本の首魁は浜田晃。


第48話「初午に燃えた江戸っ子神輿」 1984

 お祭りにたかるハイエナ、タカマチの権利を詐取し既存の店を追い出しにかかる。これを巡る大騒動に、妹を愛してしまった兄の哀話が挿まれる。

ロケ地
・芝口の烏森稲荷、今宮神社境内各所(ヤクザが柵を立てて妨害は参道)
・元のタカマチ・大島屋に事情を聞く新さん、大覚寺大沢池北西畔。佐吉を囲み連れ去る佐賀屋の手下は五社明神。兄がグレた訳が判らないと新さんに話すおきよ、護摩堂。目安箱へ非道を訴えようとした大島屋が消されドボンは大沢池。その死体を見に来る新さん、放生池堤。佐吉をシメて家出の理由を聞く新さん、天神島。上様にツナギをとる才蔵、護摩堂裏手(藤棚あり)
*実は血が繋がっていなかった兄妹は美木良介と西崎みどり、父親は河合絃司。佐賀屋は江幡高志でつるむ寺社奉行は北町嘉朗。*成敗には稲荷の使いと称しお面をつけて登場の上様「天下の将軍吉宗と名乗っても追い返すつもりか」でお面とって「カーン」、このあとさぎりが出て丁寧にお面を受け取る。ポイって捨てたりしないとこが細かい。お祭りでは腿も露わなカッコで登場、竜虎にひけをとらぬ恰幅。


第49話「血涙!享保の巌窟王」 1984

 今回は旅もの、福井へやった才蔵からのSOSを受け出向く新さん。そこには、前家老を闇討ちし、藩主を監禁して藩政を壟断する悪家老がいた。
負傷した才蔵を保護していた前家老の姉弟を助けて動く新さん、海辺で派手な大立ち回りを演じワルを成敗、姉弟に仇を討たせ祝言まで世話してやるのだった。

ロケ地
・抜け荷船が着く三国港、間人海岸。藩主監禁の岩牢は立岩の洞窟という設定。
・才蔵が保護されていた入江の船小屋は広沢池畔にセット。
*姉弟は松あきらと中島俊一、姉の恋人は小野進也。監禁されてた殿様は唐沢民賢、前家老に恩を感じる網元は中村錦司。悪家老は田口計、抜け荷商人は福山象三。


第50話「女だてらの荒療治!」 1984

 暴れ馬から幼女を救い重傷を負う新さん、これが女医と知り合う導入。お話は、小石川養生所の筆頭医師が行う高貴薬の横流しの摘発。正義感のつよい女医とともに療養所へ潜入の新さん、疫病と称し蔵に押し込められていた重症患者を救い、ワルをまとめて成敗。

ロケ地
・養生所へ潜入している忠相の密偵と女医の娘が将来のことを話す水辺、大覚寺大沢池堤
・ワルのもとに騎馬で駆けつける上様、神護寺山門をくぐり駒をとめるのは石段。ラス立ちは石段和気公廟所前。
*女医は中村玉緒、悪徳医師は牧冬吉でつるむ北町与力は宮口二郎。*療養所から持ち出す薬の荷を阻むめ組、警護の役人と争う。役人の一人に福本先生、樽に入った久ちゃんにかかってゆき手鉤でぐっさりヤラれて「うわぁ」。


第51話「走れ!盗っ人父子の千両旅」 1984

 賊の上前をハネる北町奉行、これに引っ掛かって息子をタテに脅される盗っ人を遠藤太津朗が演じる人情劇。父を庇うはねっかえりガキも泣かせる一話、盗っ人には寛大すぎる処置がなされて幕。

ロケ地
・夜嵐の政五郎がおつとめに失敗し息子と逃げて潜む橋、下鴨神社瀬見の小川・紅葉橋(撮影当時は涸れ川)。金を埋める林、河合社裏。
・政五郎の捕縛後、子供をめ組に預けようとして逃げられた新さんが探しに出る道、大覚寺大沢池堤。子が佇んでいるのは水門脇。
・急のお召しに参上の北町奉行、仁和寺宸殿
・奉行にアガリを強要されていた盗っ人をシメて連れてくる庭番、大沢池北辺並木
*夜嵐の政五郎は遠藤太津朗。北町奉行は小林勝彦、上様を害すことに脅え奉行に斬られる腹心は上野山功一。奉行の手先女は三島ゆり子、ガキつねったり性悪。悪党どもに消される人のよい目明しは岡部正純。脚本・和久田正明、監督・荒井岱志。


第52話「母よ喜べ親父が立った!」 1984

 普請方下役の山川六兵衛は昼行灯と侮られる気弱な男、しかし妄想パワーは物凄く、あらゆる場面でかっこいい自分を夢想する。そんな彼が巻き込まれる普請奉行の汚職事件、上様は勇気を奮って告発せよとけしかけ、ラス立ちでは彼を庇っての大立ち回り。

*昼行灯は鶴田忍、頬っぺたつねるとネジ巻く音がして妄想の世界に。彼を侮る嫁は今出川西紀。普請奉行は小沢象、つるむ口入屋は森章二で手下に福ちゃんと丘路千。奉行を強請って殺された改役は石倉英彦。おまっちゃんに絡む人足に小船秋夫、これもいい味。*ロケなしセット撮り。*六兵衛の妄想癖を上様が知っているのは謎。倅に藤吉郎なんて名をつけるのはチャレンジャーかも。


第53話「春に切ない夢芝居」 1984

 闕所物奉行が両替商と組んで働く悪事、濡れ衣着せて商家を滅ぼし財を横取り・加えて跡地も不正手段でゲットの悪謀。この手立てに使う幽霊芝居、雇った役者が下町の人気女形で、彼の故郷の農民事情のエピソードも挿まれる。

ロケ地
・女形玉五郎こと仙吉と話す新さん、上御霊神社(舞殿でお神楽、脇に茶店をセット、仙吉を見張るならず者は本殿でお参り、逃げ去るのは本殿裏手)
*女形はせんだみつお、ちょっと乱暴なるも妹思いのイイ奴・しかし博労町の花魁道中での胸毛毟りはいったいナニ。闕所物奉行は原口剛、悪徳商人は高野真二、手下のならず者は片桐竜次、仙吉の妹に手を出す経師屋は頭師佳孝。ラス立ち福ちゃん入り、奉行の家来。


第54話「恐れ多くも婿殿は上様!」 1984

 抜け荷と切支丹疑惑で磔になった長崎の商家、当時の担当与力は幼女まで殺すに忍びず匿い、のちに養女とし育ててきた。これが元長崎奉行・現大目付に知れ、娘をタテにとられ将軍暗殺への加担を強いられることになる。

ロケ地
・遠乗りの上様を襲う刺客(失敗)下鴨神社馬場
・匿われた娘とともに長崎から来たじいや(葛飾在住)が襲われ逃げる夜道、中ノ島橋〜橋たもと中州護岸(自らドボン)
・翌日、江戸に辿り着いたじいやが新さんに看取られ息絶える市中、仁和寺観音堂脇。
・お波を呼び出し事情を聞く新さん、仁和寺九所明神
・上様の遠乗りを鉄砲方が待ち構える野、下鴨神社馬場。刺客との立ち回りは池跡
*新さんと平戸屋の遺児との関わりは、養父である鉄砲方の矢沢がたまたま出会った「冷や飯食いの徳田新之助」を婿にと願い出ることから。矢沢は長門勇、娘のお波は三浦リカ。大目付は江見俊太郎で尾張の家老は国一太郎。


第55話「お駒かなしや島帰り」 1984

 数奇な運命の果て、岡場所で人を刺し遠島となった女は大赦で帰還。新さんやめ組の厚意で職を得るが、奉公先には生き別れの娘が養われていた。名乗り出られず身を引く女、しかし娘に降りかかる危難に身を捨てて立ちはだかり死んでゆく。

ロケ地
・患者の御用材木商・木曽屋に声をかける龍虎、今宮神社稲荷社(木曽屋らは高倉脇坂をおりてくる)。郡司(勘定組頭)の刀に触れたと佃屋に打擲される島帰りのお駒、東門内石橋たもと(東門続き塀際)。新さんが出て郡司をシメる。
・木曽屋で同僚に陰口を叩かれ落ち込むお駒が佇む河岸、大沢池堤(材木や祠あしらい)
・木曽屋の娘はお駒の子であると報告する木曽谷から戻った才蔵、大覚寺五社明神内陣。
・め組からの帰りに拉致される木曽屋の娘、大沢池堤登り口、土手上。
*お駒は江波杏子、悪党に鉈を振るうなど立ち回りも。木曽屋は内田稔で娘は桂川京子。勘定吟味役は近藤宏で組頭は中田博久、元目明しの口入屋は長谷川弘、内通者の木曽屋従業員は大竹修造、いじわる女中は湖条千秋。


第56話「たらちねの恋の歌留多の乱れ舞い!」 1984

 ちょっと「おじゃる」入りのお姫様は十津川郷士の娘、彼女を押し付けられた芝の宮大工とのラブストーリーが主軸で、ワルは増上寺普請を一手に握ろうと大工を消しにかかる。首魁は寺社奉行大検使の「母君」の御隠居、これが物凄いおばさんでワルの材木商とつるみ利権を貪るのだが、姫様に歌留多で負けてあっさり方向転換して反省しちゃうもんだからワル形無し。それでも力に訴えようとする向きは、上様に成敗されてしまう。

ロケ地
・二子多摩川の渡し、木津川か(河原は砂地、河畔林は竹)
・刺客に襲われる仕事中の宮大工、仁和寺九所明神。叫び声に駆けつける新さんは塔前。ほかに参道や塀際も使われる。
・宮大工の回想、十津川郷で名主に娘を貰えと迫られた川辺、保津峡
・歌留多の会が催される大検使・宮脇式部太夫の佃島別業、中山邸通用門。
*郷士の娘は平淑恵、父は中村錦司、棟梁は柴田p彦。大検使は有光豊でご母堂は園佳也子、彼女の下にいた悪党は曽根晴美で悪徳商人は早川研吉。


第57話「突っ張り娘の手毬唄」 1984

 南町与力配下の密偵は娘壺振り。潜入先ではお色気で重宝され、探っていることがバレそうになると天然ボケをかますしたたかな彼女は、岡っ引だった亡父に反発しグレた経緯を持ち、いまその遺志を継ごうとしていた。抜け荷の証拠を掴んだ娘は与力に情報を上げるが、その途端切れ者の野心家は豹変する。

ロケ地
・地回りから禁制品が流れていると話す上様トリオ、枳殻邸印月池畔。
・おたかを尾行する新さんのうしろをつけてきた龍虎が騒いでターゲットに逃げられてしまう川岸、桂川松尾橋下手右岸堤と河原。その船が停泊し密談の情景は大覚寺大沢池にスイッチ。
・ツナギの御籤を結びにゆき地回りの手下に見つかって絡まれるおたかを助ける新さん、上御霊神社本殿裏手。賭場の客から鼈甲の櫛を贈られるおたかは本殿前。
*おたかは東啓子、立身のため彼女を始末する与力は亀石征一郎。黒幕の老中は北原義郎、悪徳商人は永野辰弥、賭場を仕切るヤクザは剣持伴紀。ラス立ち福ちゃん入り、家士。与力の指図で龍虎の懐に財布を仕込む掏摸は小船秋夫。*龍虎がおたかに惚れこんで入れあげる設定、純情親方が描かれる。賭場潜入の上様はけっこう天然っぽい。


第58話「泣いて馬謖の怨み節」 1984

 大岡さま苦悩の一話。生き別れとなっていた腹違いの妹が凶盗の一味として捕われるが、彼女は空しく旅に散った母のことで大岡の家を怨み、忠相を失脚させようとする意図を持っていた。この盗っ人一味を飼っていたのは作事奉行、盗み金を猟官運動に使い、妹の件で忠相を辞めさせて後釜に座ろうと企むトンデモ男。彼らに消されかかった忠相の妹は改心するが時既に遅く、一味の浪人の凶刃に斃れるのだった。

ロケ地
・冒頭め組のお参り、上御霊神社本殿〜舞殿前参道。
・忠相の妹・おぶんの回想、巡礼の雪道に倒れる母、相国寺墓地入口門前。
・庭番に作事奉行の調査を命じる新さん、上御霊神社参道に茶店セット。
・凶盗一味と座敷で次の南町奉行はワシとブチ上げる作事奉行、料亭外観に錦水亭
・妹と遊んだ谷中の墓地、塔下に佇み遊ぶ子らを見る忠助、金戒光明寺文殊塔
・飼っていた小鳥を放すおぶん、一味の鮫三らが駆け寄り逃げろと示唆するもおぶんの始末を請け負った仲間の浪人がずいと現れる町角、上賀茂神社神事橋たもと〜奈良社まわり。
・新さんに助けを求めたおぶん、忠相との想い出を話す神社、吉田神社竹中稲荷(舞殿まわり、三高碑への石段、重ね鳥居下)
・谷中墓地で浪人に刺されつつ忠相のもとに辿り着くおぶん、金戒光明寺墓地石段。
・事後、吹上庭で桜花のもと酒盃を上げる上様トリオ、相国寺大光明寺石庭。
*おぶんは松原千明、彼女を刺す浪人は小林稔侍、作事奉行は石橋雅史で家来に福ちゃん、忠相の密偵に波多野博(飴売り)。


第59話「日本一のゴマすり坊主」 1984

 ゴマすりヨイショで大名に媚びを売りまくる茶坊主、福助。彼の恋人は錦絵に描かれるほどの美女で、猟官運動のギフトにと目を付けられてしまう。町で彼らと知り合った新さんは、福助に策を授け筆頭老中に媚び諂う大名どもを焙り出しにかかる。この間拉致など荒っぽい展開あり、救出の際にはめ組が入り込んでいるほか、美女に化けておさいが白無垢着ていたりとドタバタで終わる。

ロケ地
・福助が大名方にゴマをするお城の廊下、相国寺方丈裏手。
・老中へのギフトにするつもりで招ばれた公家の姫が撃たれる箱根山中、琴滝
・お仙が拉致されかかるのを阻む久ちゃんと新さん、大覚寺大沢池堤
・お城の廊下を拭き掃除の福助、相国寺方丈縁先(背景に法堂屋根映り込み)。城の太鼓台外観イメージに鐘楼。福助が同僚にシメられるのは仏殿跡疎林
*福助にうえだ峻、ヨイショ茶坊主も見ものだが、事後もう媚びは売らないとばかりにニコリともせず座っている姿が傑作。賂を受ける筆頭老中は永井秀明、錦絵の美女をさらう大名は名和宏で配下に唐沢民賢。ライバルの隣藩の殿様は永田光男。*お仙の錦絵を見た加納じい、にまにま笑い「ワシはまだ生々しいぞ」…。*ラス立ち時、なかなか場を去らないおさいに難儀するさぎり、上様の「カーン」も彼女が去ってからの後回しに。


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