銭型平次

1993年、フジテレビ/東映  第三シリーズ

キャスト
銭形平次/北大路欣也 お静/真野あずさ 八五郎/三波豊和 万七/伊藤四朗 清吉/山西道広 番太/林家珍平 保科源次郎/三浦浩一 菊村数馬/丹羽貞仁 並木藤兵衛/中村梅之助 笹野新三郎/神山繁


第1話 「暗闇の婚礼」  

 夜な夜な現れる気味の悪い行列は、憎い仇を誘い出すためのお芝居。まんまと逃げおおせ、お宝を隠した蔵を作っている悪党を、銭が暴き出す。

ロケ地

  • 「暗闇の婚礼」の行列が消える荒れ寺、不明。低いクリーム色五本線入り塀、平門、塀前には石垣の土手、背後に竹林の山か丘が迫る。墓地も映る。ここに地蔵政の倅三人組が巣食う運び。
  • 八五郎の見舞いに行く途中の平次夫婦が寄る神社、神護寺石段下に縁日の露店あしらい、当の八五郎が起きだしてきて気炎を吐く。
  • 一座を襲った千石屋から逃げた吉之助とお文が隠れる橋、中ノ島橋。追っ手は橋上、二人は橋下護岸際に。夜間撮影。
  • 地蔵政が磔になった刑場、不明。背後に幼杉。
  • 地蔵政らの盗みのせいで詰め腹を切らされた池田家家臣の説明のくだり、盗難発覚後に警護役が走り出てくる「玄関」は建仁寺勅使門。その後警護役の娘が婚礼当日に門前払いを食らうシーン、門は建仁寺禅居庵門、とぼとぼ帰る路地は久昌院前路地、駕籠の中で自刃しているのが見つかるのは三門前石畳。
  • お文を呼び出し、彼女の父の左官が作っている千石屋の土蔵について聞く町角、仁和寺九所明神(導入は塔頂部)。ここは後段も出てきて、万七がお文を連行してゆく際には鳥居も映る。

*スペシャル拡大枠

ゲスト 松村雄基、立花理佐、大出俊、立川三貴


第2話 「死霊のお告げ」  

 奇態な祈祷師が大店の跡取りを指名するが、もちろん裏あり。獅子身中の虫が仕出かした悪行は、平次の計らいで当の祈祷師が暴露する運びに。

ロケ地

  • 歳賀屋の葬儀が営まれる寺、儀式が執り行われる「内部」は粟生光明寺阿弥陀堂、平次が歳賀屋の娘と話すのは本堂脇渡廊。大番頭が平次に跡取りの「孫」の正当性証明を依頼するのは鐘楼脇。
  • 母が失踪したと平次を頼ってくる幼児のくだり、坊の話を聞いての平次の連想シーン・大川に浮いた女の土左衛門の検分、嵐峡汀。
  • 坊を「母」の塚に連れてゆくお静、不明(竹林林床)。二人を消そうとしたゴロツキが、駆けつけた平次に追われ逃げて刺されるくだりには、第一話でも出たクリーム色の塀(塀越しに中のお堂の甍や、塀手前の「土手」のほか、塀の角を曲がったところにある「門」や背後の丘も映る)
  • 事後、大人の都合で振り回された二人の幼児が遊ぶ川、上賀茂神社ならの小川。歳賀屋の娘と婿が、平次夫婦に男児の行く末を約束する。

ゲスト 南條玲子、左時枝、穂積隆信、日下由美、石山律雄


第3話 「雪の夜

 しんしんと雪降り積む夜に起きた殺人事件、現場の母屋は密室。雪に残された記号を解く平次、誰が犯人でもおかしくないほど憎まれていた、外道な被害者をめぐるあれこれが謎解きにからんでくる。

*ロケ無しセット撮り、ほぼ現場の寮で推移。

ゲスト 大場久美子、有沢妃呂子、絵沢萌子、早川雄三、出光元


第4話 「炎の記憶」  56

 辛酸を舐めて生きてきた女の初めての恋は、結ばれたその夜に断ち切られる。以来九年、待ち続けた女は消息の手掛かりを得るが、男は物騒な連中に使われているのだった。並木さまの心遣いが見せ場を作る。

ロケ地

  • 保科のダンナが平次にまた出た盗賊五人組のことをボヤく市中、大覚寺天神島。ここで掏摸を見かけた平次が八五郎につけさせると、船宿の主が財布をやられている縁日、大覚寺五社明神(露店あしらい)。獲物を広げるお光たち、神護寺五大堂縁下(平次は縁先から飛び降りて二人の前に)
  • 船宿へ金を返しにゆく女掏摸のお光だが、主は夜釣りに出てしまっているくだり、嵐峡。船だけにスポットが当たり、暗い水面が広がる。追いかけるお光の背後に嵐亭の石垣。
  • お光が九年も通いつめたお富士さま(富士浅間大権現の幟あしらい)石座神社本殿(舞殿越し見上げの図も)。どこの富士神社かは不明。
  • 賊からもお上からも逃げようとしたお光たちの前に出て、温情を示し投降させる並木さま、上賀茂神社ならの小川畔・奈良社鳥居前。

*並木さまはお光の母を捕らえた過去あり、その母は獄死。

ゲスト 戸川京子、高岡健二、福田豊士、頭師佳孝


第5話 「消えた花婿」  

 仮祝言に来なかった花婿、亡母の恋人で父とも思う浪人、二人が似通う、有り得ぬ不思議を平次が解く。劇中二役を演じた怪優は、キレた部分全く無しの抑えた演技。

ロケ地

  • 木曽屋の跡取り娘・お里が恋人と出会った八幡境内、大覚寺五社明神。本殿前に露店あしらい、ならず者の手からお里を引き剥がすのは本殿裏手。手を引いて天神島朱橋を渡り、落ち着く船は広沢池東岸
  • 婿を迎える駕籠が木場から今戸へ向かう土手八丁、大覚寺大沢池堤。往還とも同所。
  • 平次が逃がした浪人をつける八五郎、夜道は大覚寺有栖川(河床から見上げ)
  • お里を呼び出し始末しようとする親戚筋と一味、大覚寺五社明神(舞殿前、夜)

ゲスト 本田博太郎、塚田きよみ、常泉忠通、玉川伊佐男


第6話 「落ちた天神花」  56

 汐見橋下で起きた殺人事件、その解決のほか、ここを遊び場にしている悪童をめぐる情話を絡ませる。頑なないたずらガキは、身を捨てて思ってくれる爺さまに心を開く。

ロケ地

  • 常盤津の師匠が絞め殺されて見つかる汐見橋下の河原、流れ橋上手河原。見えている橋脚は右岸寄りのコンクリート部分、橋上には灯台あしらい。
  • 平次に爺さまの釈放を迫る悪童・三太、車折神社参道。
  • 金をくれた職人に平次がやって来ると知らせる三太、職人がお店のお嬢様とお参りだった神社は車折神社本殿。
  • 釈放された爺さまを送ってゆく平次、罪を被った訳を聞くのは大覚寺護摩堂前。お静と八五郎に連れられやってきた三太が放生池堤を走り爺さまに縋り付く。

*万七親分が摘発する、見当違いの遊び人に福ちゃんチラリ。

ゲスト 奥村公延、鷲生功、成瀬正孝、青木海


第7話 「出刃を研ぐ女」  56

 不可解な殺しは、犯人が告白の遺書を残し墜死で決着。しかし動機が不明なことにこだわり調べる平次、哀れで健気な仇討ち事情が明らかとなる。

ロケ地

  • 遺書を残して巳之吉が落ちた橋、西明寺参道・指月橋。行く戻る双方のアングルのほか、清滝河原から見上げの絵もある。
  • 「三人」の恩人・鳴海屋が吊った木、不明。
  • 映画村オープンセットのコンクリ屋根民家の背景に嵯峨っぽい山なみ合成。

*墜死した板前の前歴を聞く段で出る峰蘭さんは別に違和感ないけど、万七親分がやつしに行く床屋の小船秋夫は珍しいかも。その万七、色っぽい常盤津の師匠におよばれして、やらずの雨とか引き止められて次の間に床まで敷いてあるが、酔っ払って寝てしまったうえ翌朝殺人の疑いで捕まるナサケナイ運び。

ゲスト 能登要、御木本伸介、鈴鹿景子、海津亮介、山本清


第8話 「覗かれた手紙」  56

 上州から呉服屋に届く文が狙われるが、記されているのは謎の数字。相棒を裏切って得た金で、のうのうと暮らしていた元盗っ人の正体を暴くには、けっこう難儀するのだった。

ロケ地

  • 飛脚が殺される板橋街道本郷付近、上賀茂神社。枝垂桜脇〜神事橋を渡ったところで賊が出る。
  • 保科同心と一緒に知恵を借りにゆく並木さまの御長屋、建仁寺禅居庵門。
  • 賊の指示で身代金を置きにゆく外神田・長命寺、神光院本堂。放生池石橋たもとに捕り方が潜むが、背後から襲われる。
  • もう一方の受け渡し場所の佃の渡し、広沢池東岸に桟橋あしらい。

ゲスト 未來貴子、新田純一、三上真一郎、佐藤仁哉、谷口高史、笹木俊志


第9話 「夜歩く」  56

 タイトルは夢遊病でも殺人鬼でもなく、夜な夜なお宝の安否を確かめにゆく女賊の、傍目には丑の刻参りにも映るふるまい。その女の「娘」と称する女医は、「母」の正体を知らず奇妙な経緯で診療所を開いていた。

ロケ地

  • 女医の「母」が夜に通う地蔵の祠、竹と木混じる林に巨岩、鳥居本か。小柴垣の小道も映る。
  • 般若のおもんの元手下が、いちおう掘ってみるふくろう池畔、広沢池東岸。汀に漁師小屋あしらい、女医監禁中。

ゲスト 杉田かおる、樋浦勉、山本昌平、岩本多代


第10話 「生きている死体」  56

 状況から、どうも殺されたらしい結城屋の主。しかし死体は上がらず、下手人らしき手代を万七が捕らえたりもするが事態は進まない。そうこうするうち、誰もいない主の部屋で煙管に火が点いていたり、羽織がはためいたり、濡れた足跡が廊下に点々と残っていたりと怪異を生ずるが、それは下手人を燻し出す手管なのだった。

ロケ地

  • 寄り合い帰りの結城屋が刺されてドボンの堀端、八幡堀堀端(白雲橋下手)
  • 川浚いが行われる佐賀町の掘割、八幡堀(明治橋下手)
  • 漁師が網に仏を引っ掛ける大川、不明(広い水面、静水域)
  • 犯人が誘き出される伊勢屋の向島寮、大覚寺望雲亭(門、中はセット撮り)
  • 結城屋の墓、金戒光明寺墓地。

ゲスト 山口果林、吉野真弓、北町嘉朗、玉生司朗


第11話 「戦慄の矢」  

 お尋ね者の悪党が次々殺される事態、平次が突き止めた黒幕は、賊に逆恨みされ妻を殺された男だった。

ロケ地

  • 射殺され逆さ吊りにされた男の検分、不明(林に鳥居)
  • 引っ立てられる罪人を射て逃げた男が辰巳与力に斬られる橋、中ノ島橋
  • 射殺された罪人の恋人に話を聞く平次、大覚寺護摩堂前。石仏裏に「一味」の男が潜み立ち聞き←これを受けて娘を自宅に保護。
  • 悪人狩りについて与力に突っ込みに行く平次、出てくる門は建仁寺開山堂通用門。門前で待っていた保科同心が疑義について聞く帰り道は両足院前路地
  • 保護していた娘がさらわれ、平次に一人で来いと指定の西方寺、不明(門前に草ぼうぼうの階段。中はセット撮りで設定は荒れ寺)。ここから逃げた一味の男を追って立ち回りの林は鳥居本八幡宮広場。
  • 一味の芸者に履かせたと、辰巳与力に迫る平次、立ち回りの門は南禅寺三門
  • 田舎へ帰る娘を見送る街道筋、大覚寺大沢池堤

*冒頭、立て続けにお尋ね者が射殺されるくだり、最初に殺られる傘さした着流しの男は福ちゃん、オゥッアゥッと反りかえって倒れる。

ゲスト 風祭ゆき、田中雅子、志賀圭二郎、綿引勝彦


第12話 「不運な夜」  56

 連続する材木商殺しには、果たして意図あり。しかし不可解なのは、巻き込まれて父を殺された筈の女が取る態度。平次は、記憶の断片を繋ぎあわせて謎を解く。
怪優が登場してすぐ殺されてしまうが、回想シーンでやっぱりねの怪演を見せる。

ロケ地

  • 「藤三を殺して」娘を人質にして逃げた賊が、捕り方に囲まれ川に飛び込んで逃げる橋、中ノ島橋。このとき娘は返り血を浴び、掌には重い創傷を負っている。
  • 娘に証言を求め、面通しに来いと指定する五社明神、大覚寺五社明神。設定は「信州への近道」、凶賊と依頼者が高飛びする際に通る筈とあたりをつけた場所。境内のほか観月台や大沢池水面が映り込み、放生池と中堤の見え方は珍しいアングル。

ゲスト 辻沢杏子、磯部勉、山田吾一


第13話 「満月の夜の惨劇」  56

 柳橋の売れっ妓の不可解な行動は、男嫌いの看板まで全て愛する男のため。仇討ちに行く男を身を切る思いで送り出す姐さんだが、相手が凶悪過ぎるのだった。

ロケ地

  • 平次たちが張り込んでいると、凶賊・満月組が船で現れる番町河岸、大覚寺大沢池
  • 芸者の働きで仇を呼び出すも、返り討ちに遭う両国の香取神社、鳥居本八幡宮。芸者が駆けつける道は小柴垣の道、恋人の侍が倒れているのは本殿前。

ゲスト 藤吉久美子、鶴田忍、沖田さとし、菅貫太郎、福本清三


第14話 「死の花嫁衣裳」  

 花嫁衣裳を着せた女を絞め殺すという、グロい事件が続発。少ない手掛かりをもとに謎に迫る平次は、病んだ魂を見る。

ロケ地

  • 職人の娘が殺されて見つかる、二件目の現場の鳥居坂のやしろ、鳥居本八幡宮本殿内陣を舞殿越しに。
  • 平次夫婦と知り合いの、四番目の的の娘が男に会うために行く屋敷、不明(1話と2話で出た五本線入り塀際、石積み越しに。夜間撮影)

ゲスト 堀内正美、若林志穂、津村鷹志


第15話 「ひょうたん供養」  

 好き者の冗談に見えたイベントには、子や孫を思う心が隠されていた。隠居の死の真相を解いてゆく平次は、爽やかな結末に気を良くして町をゆく。

ロケ地

  • 瓢々斎が瓢箪供養を執り行う向島長命寺、大覚寺大沢池畔。
  • 寺島村の瓢々斎の寮、不明(アプローチに互の敷石あって両脇にごく低い竹柵。短いステップ上がって門、門は檜皮葺き、塀は濃いクリーム色で木の腰板。庭の池は林の中にある小さなもので、踏み石が水中に続いている。水質は東山山麓にたくさんある、疎水由来の水を引く庭のそれと似る)

ゲスト うじきつよし、伊藤美由紀、中井啓輔、園田裕久、大木正司、松村康世、溝田繁、北見唯一


第16話 「四人の容疑者」  57

 永年勤め上げた目明しが、引退後に命を狙われる事件発生。町方は色めきたつが、捕まえた実行犯は悉くホンボシに非ず。謎は、些細な記録漏れや、ふとした言動の矛盾に気付く平次の慧眼により解かれてゆく。

ロケ地

  • 鳥越の親分を殺すと言った囚人の話を同牢だった男に聞く町角、今宮神社稲荷社前。
  • 並木さまの昔話に被る、金座から盗られた二万両を引き上げる夜の大川、セットかロケか不明。
  • 親分の留守中に長屋の床下を掘る一味、その作業を見つめる親分の若女房の回想、掘ってダメだった道端、酵素ダート。ここで親分が独り占めしたと邪推。
  • 一味を片付け、逃げたおこんを銭で仕留める平次、嵐山公園中州堀端(堀の南側には板塀をあしらい)。銭を受けたおこんは河川敷へ転落、ここへ亭主の親分が走ってくる際には水路に架けられた橋が映り込む。
  • 事後、事件のことを語り合う平次夫婦と八、お茶する茶店は今宮神社境内石畳そばに床机をあしらい。全く無関係な「殺す」と言っただけの男を、佐渡まで追って捕まえて帰ってきた万七は、東門から入り橋を渡ってくる。

ゲスト 友里千賀子、木瓜みらい、でんでん、佐藤輝、中田博久、原口剛、江幡高志、高津住男


第17話 「赤い櫛」  

 ライバルを次々消してゆくヤクザ、手を貸す鉄火肌の女は何故か岡っ引を辱めるが、それには哀れな事情があった。己が胸に全て呑み込む、万七親分がカッコいいお話。

ロケ地

  • 茶店で休み、前の水辺に佇み物思うお小夜、大覚寺大沢池畔。
  • お小夜の母の墓に参る万七、神護寺境内か(山中、崖際。設定は信州)
  • 成銀のかしらがお小夜にもう一度手を貸せと迫る町角、大覚寺東塀際。塀の向こうに宸殿が霞む。
  • 天神一家の貸し元たちが殺されて見つかる水辺、大覚寺天神島
  • お小夜が万七を呼び出す長閑寺境内石段下、神護寺石段下。
  • 万七宅から帰った平次がやって来るお静の待つ神社、松尾大社本殿前。

ゲスト 北原佐和子、亀石征一郎、伊藤敏八、守田比呂也、小沢象


→ 北大路欣也版 銭形平次  表紙


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