時代劇の風景 ロケ地探訪
仁和寺  二王門


 周山街道の基点に建ち威容を誇る山門は、京三大門のひとつ。
他のふたつ、知恩院三門や南禅寺三門と同様、あまりのスケールゆえ全体をフレームに入れる例は少ない。2005年正月の国盗り物語では、仁和寺全景が京都のイメージとして使われたが、鳥瞰の遠景にも二王門はよく映えていた。
この門の内側にステージをセットして野外コンサートが催されることもある。

二王門 仁和寺前交差点から
二王門 内側 中門越しに二王門遠望

 二王門のスケールを効果的に使った好例は暴れん坊将軍 III のエンディング。お庭番の左源太(途中から才三バージョン)と疾風が両側から寄り、中央で頷きあう姿にズームインしてゆく。二人の背後には中門がぼやけて映りこんでいる。これは境外からの撮影で、珍しい。
二王門が映るのは、参道や中門から見返った内側のことが圧倒的に多い。風魔の陰謀を打ち破った長七郎ぎみが感慨深げに歩く道だったり、寛永寺参詣に向かう暴れん坊将軍の駕籠がくぐっていったりする。中門から見返った二王門は、坂の下に小さく見える。けっこうアップダウンの多い江戸の町としても説得力のある構図である。
メンバーの一人が妖怪・鳥居耀蔵暗殺を企てる必殺からくり人「鳩に豆鉄砲をどうぞ」では、駆けつけた仇吉たちが二王門下に立ち、時次郎が籠る塔を見遣る。必殺ではこのほか、必殺仕事人V激闘編で生臭大僧正が住持する寺として使われた。
御家人斬九郎「可愛い目撃者」では、息子の所業を知った石橋蓮司演じる与力が悄然と歩く先に二王門が映りこんでいる。

グラウンドから見た二王門
参道塀 グラウンド側 グラウンド 北望

 二王門をくぐって境内に入ると、左手に宸殿拝観口、右手の塀の向こうは空地になっている。中央部が均されたグラウンドで、塀際に立ち木があるほか足もとは草ぼうぼう。この空地から二王門を見るアングルも使われる。

 森鴎外の掌編「阿部一族」を深作欣二監督が映像化した同名の長編時代劇では、藩公の菩提所がここで、大きな卒塔婆がセットされた。墓標は二王門を背負う格好に立てられている。この「墓前」で、お小姓たちや犬牽役が殉死するさまが描かれる。
荒れ狂う旗本の若様を斬九郎がやり込める御家人斬九郎「男二人」では、当の若様の家と河野家のお抱え力士が代理戦争の試合を行う尾張藩江戸屋敷の庭として使われ、土俵がここにセットされた。相撲の試合を映し出す際には、カメラがぐるっと回り迫力。


→仁和寺表紙

*ロケ使用例一覧 ・1989年以前  ・1990年以降


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