淀川のワンド

 淀川の汀に「ワンド」と呼ばれる静水域がある。
これは河川に設けられた水制によってできたもので、城北ワンド群と庭窪ワンド群という大きなものは明治初期の改修の際の副産物である。
 現在は川に突き出した地形も複雑なものとなり、様々な生き物を育むビオトープとなっている。

 ここでご紹介するのは守口市八雲にある庭窪ワンド群。
左写真遠景の橋は近畿道の橋で、大阪を南北に貫く大動脈のひとつである。
多くの車が日夜頻繁に行き交う道の傍に、このようなビオトープがあるのは珍しく貴重なことである。

 ワンド地形は、川に垂直に張り出させた水制に流下物が絡まり形成される。
汀に行儀よく並んだ箱庭のようにも見える。
釣り船がもやっている。岸辺にも釣り人が立ち並ぶ。バス8ヘラ2といったところか。
水制の上に生えた木には無数の小鳥がすだき、水草の間にはカルガモやカイツブリが見え隠れする。

 今回はここで問題のあるものを見た。水面を埋め尽くさんばかりの勢いで繁茂するボタンウキクサである。
通称をウォーターレタスといい、亜熱帯原産の水草で観賞用に輸入された。強勢種で、瞬く間に繁殖する。最近各地の内水面で問題となっている。
少し前に園芸店で売られているのを見て、ホテイアオイのようにならなければいいがと危惧した、それが現実となってしまった。
ウキクサといっても昔から田んぼで見るあの豆粒のようなものではなく、直径10cmを越える大きな肉厚のもので、腐敗による水質悪化と静水域の酸素不足が懸念される。
ガーデニングやアクアリウムが大はやりで結構だが、外来種が在来の生態系に及ぼす影響をいったいどういうふうに考えているのだろう。業者も、消費者も。

撮影日 2002.8.15 大阪府守口市八雲北町地先


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