河内湖のほとりの薫蓋樟

境内地いっぱいに枝を広げる楠
薫蓋樟という名を持つ

 中河内の野は大昔、河内湾という海の底でした。その後河内湖という大きな湖となり、近世以降は大和川の付け替えにより干上がり新田が開かれました。
この木が生えている「三ツ島」という地は名の通り水に浮かぶ微高地で、一説には仁徳朝に築かれた横野の堤につながるものともいいます。
付近は河内の野でも低平な部分で、最後まで河内湖の名残をよく残していました。この木はその水景の変遷を見てきたことと思われます。

幾抱えもある幹 のびのびと枝を広げる

 木が生えている場所は今「三島神社」の境内となっていて、あたりにはびっしりと宅地が迫っています。木は太い幹(幹周12.5m)を持ち枝は境内いっぱいに伸び、外にまで広がっています。根方に中世の歌人が楠を称えて詠んだ歌と天然記念物指定の碑が並んで立っているのも時の経過を感じさせます。

村の路地から眺める 毎日の参詣

 この木は近畿自動車道の通る中央環状線付近からも眺められ、遠望すると尚更河内の原風景が眼底に甦る思いがします。
生駒の山ふもとに満々と水を湛えて光る河内の湖、見ることかなわぬ風景ですが往古の姿を想像するのは楽しい行為です。

北西の公園から

撮影日 2002/12/8 門真市三ツ島、三島神社


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