田山川

大阪湾流入河川 訓:たやまがわ

 大阪府阪南市西部を流れる、大阪湾に注ぐ川。
和歌山市直川(のおがわ)・泉南郡岬町と阪南市の境に聳える俎石山(420m)に発し北流、阪南市南山中の丘陵地に谷を穿ち、阪南市箱作(はこつくり)に小さな扇状地を開き箱作海水浴場の浜の中央で大阪湾に注ぐ。
元の海岸線は改変を受けているため判りにくいが、河口部には茶屋川との複合三角州を造っていた形跡がある。

上流の谷  阪南市南山中
二つの谷が合流 左が本流 上流部右岸側の丘陵

 上流部は丘陵地の間を抜けてくる。谷底平野はさほど広いものではないが耕作地として利用され、処々に堰が設けられ取水されている。
前日の雨のせいで濁りが入っていて上写真の川水は白く映っている。
源流となる俎石山の反対側、和歌山市直川を流れる紀ノ川の支流・千手川と川相が酷似しているのが興味深い。
川沿いの道は紀泉アルプスを越え紀州へと通じる古道である。
左岸側の丘陵は墓地として開発が入っている。右岸側の丘も現在造成中で、木も刈られ真っ平な禿山となっている。

遊来橋 田山稲荷神社 遊来橋下の淵

 川は谷あいを抜けてすぐに国道26号をくぐり海を目指す。国道から箱作海水浴場へ向かう道と別に細い村落へ通じる道があり、丘に突き当たるあたりに田山稲荷神社が鎮座している。道には田山川を渡る橋が架かっていて、参道となるゆえ擬宝珠つきの立派なものである。下を流れる川は驚くほど深い谷を刻んでいて、覆い被さる木々の下でざあざあと激しい水音を立てている。

滝上の淵
遊来の滝  阪南市箱作 落差9.2m

 水音の正体はこの滝で、上部にポットホールを刻み下段はオーバーハングして二条の水が落下してゆく。
滝があるのは神社境内で、海を望む丘に岩盤を削って落ちる滝は信仰対象にもなったのであろうか。

南海の鉄橋下 もう汽水域 せんなん里海公園で暗渠に
公園下の暗渠出口 突堤の端から海へ

 滝を懸けたあと川はじきに南海本線をくぐり、その先はもう海である。
流れ込み先は整備されたビーチとなっており、手前に「せんなん里海公園」が付属する。川はこの公園の下を暗渠でくぐり、ビーチを左右に分けるかたちで海に流れ込んでゆく。両岸は大きな切石で組まれたもので、流れ込み正面には突堤が設けられている。その左右から海に通じるようにデザインされている。

整備された右岸側のビーチ 右岸側の汀
左岸側のビーチ 左岸側の汀 遠景は淡輪付近

 ビーチは箱作海水浴場で、対岸には淡路島、目を北に転じれば関空の施設が望まれる。
新たに整備された海浜には「ピチピチビーチ」なる愛称がつけられている。
川の流入部をコンクリートで固めてあるため汀が不自然な形に掘れていて、コンクリート建造物の際では陥没らしきものも見られる。注意したいものである。
浜辺にいると飛行機が離陸する際の重低音がけっこう響いてくる。

沖突堤の向こうには関空が望まれる

撮影日 2002/12/22

*滝の名について「田山川を守る会」様から御教示頂きました。多謝。
 会では田山川上流域のハイキングコース整備や清掃活動などを行っておられます。


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