川を訪ねる旅

糺の森の川

 みたらし池 

 下鴨神社本殿の東側に御手洗社という摂社があり、瀬織津姫命を祀る。
社前には泉があり、これをみたらし池という。現在自然湧水は涸れていて、どこかから引かれた水が池を浸している。社のうしろには灰色の塩ビパイプが見えている。
糺の森にかつてはたくさんあったと思われる湧水が涸れてしまったのは高野川を改修する際に河床を掘り下げ、その結果水位が低下したのが主たる原因ともいう。
 ここでは夏の土用の丑の日に「みたらし祭」、通称足つけ神事が行われ、暗いうちから大勢の人で賑わう。内容は裸足で池に入り灯明を社前に捧げてくるというもので、暑気を払い息災を祈願する。
 以前はこの祭の間だけ水があって、ふだんは涸れた池底を見せていたものだが、近頃は常時水を湛えているようである。
少し前に訪れた時は水は澄んでいてザリガニが這い回っていたが、今回見ると池底を緑藻が覆い錦鯉が泳いでいた。
 この泉に浮ぶ湧き水の作る気泡をかたどって作られたのがみたらし団子の発祥と伝える。神社の近くにみたらし団子を商う店がある。醤油のよく利いた酒飲みにも旨い逸品である。

 みたらし池から流れ出した水はみたらし川と呼ばれ、鮮やかな朱色の太鼓橋をくぐり、続いて葵祭に先立って斎王代が禊を行う「橋殿」の屋形の下を流れて、本殿敷地の南東隅から糺の森へと流れ出し、ならの小川と名を変える。
 左写真はみたらし池を出たばかりのみたらし川。奥に見える丹もまぶしい楼閣は本殿入口の楼門。左手に見える桧皮葺の屋形が橋殿。
 右写真は参道から本殿楼門を見たもの。

・糺の森の川・表紙  ・糺の森  ・泉川  ・瀬見の小川  ・ならの小川


▲川を訪ねる旅・目次   ▲サイトトップ