巨勢道をゆく

− 曽我川上流の旅 −

 飛鳥から軽の大路を下り桧前・真弓の里を過ぎ曽我川を遡る、上代からの道・巨勢街道(こせかいどう)
曽我川源流部の重阪峠を越えると五條、ここから紀州へ・高野山へ・大峰山へとつながる道であった。往古の人々にはすなわちそれは異界への道でもあったろう。
 今回はこの近辺を中心に曽我川の源と上流部の諸支流を見て回った。

  大和へ  

 国道309号を南下。石川を渡り富田林市板持に新設のトンネルを抜けるともうすぐに富田林街道に出る。
県境の水越峠を越える前に千早赤阪村の道の駅に寄り、野外のデッキでローソンで買ったサンドイッチとコーヒー牛乳で朝食。北東方向の丘の上にはワールド牧場のサイロが見えている。施設前の田畑の上をツバメがせわしなく飛び交う。
 水越峠はトンネルで通過。ワインディングの旧道も捨て難いが、一走りで駆け抜けてしまえるのは魅力。トンネルを抜け奈良県に入り、国道309号と国道24号が交差する室の交差点を東進。御所市池之内の変電所近くで車を停め、満願寺川を撮影。三面張りのチョロチョロの細流のくせに存外深い谷を刻んでいる。再びハンドルを握り、309をなお南へ。大口峠を越え、吉野口駅周辺市街地を回避するバイパスを走り大淀町今木へ。この先も309を走り車坂峠を越えればもう吉野川が見えるところだが、本日の目的のひとつはこの今木の里。

  今木の里  

 昨夏、洞川へ行ったとき車窓から見掛けて以来目をつけていた吉野川分水路と、曽我川上流部支流・今木川を見る。
吉野川分水路は、大淀町の吉野川から大和盆地を灌漑するべく引かれたもので、御所市で左右にわかれ、当麻方面と天理方面に流れてゆく。暗渠部分も多いが地表流の見える所もあり、今木地区では引水されたばかりのそれを見ることができる。

山を貫いて大和盆地へ行く分水路 道脇の看板
今木川のすぐ横を流れる分水路 山から出たばかりの分水路

  薬水の谷  

 今木の里のはずれからゴルフ場用に作られた道を通り、山を越えて南の薬水地区へ。クラブハウス入口を過ぎると道は登りとなり、ピークを過ぎると曽我川上流部支流・薬水川の谷頭が見えてくる。この付近では、何を作るつもりか知らないが重機を入れて谷を崩していた。ここは近鉄吉野線大阿太駅に近いので、また宅地開発でもするのだろう。こんなささやかな谷も残しておけないのか。
 薬水の谷沿いの細い道を西進。途中、谷の南側にある近鉄吉野線福神駅を見る。駅舎は新しくなっており、周辺にはじわじわと新興住宅地が広がってきている。大和の開発には歯止めがかからないようだ。
集落を抜け、吉野線が薬水川を渡る鉄橋を過ぎる。この橋梁がレンガ造りの味わい深いもので、電車が通過する絵を撮るべくしばらく待機する。ここは吉野線薬水駅の南方にあたる。

 この後は薬水川が曽我川に流れ込むのを見て、県道120号五條高取線を南下、曽我川本流の源を見に行く。

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撮影日 2001.4.22


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