時代劇拝見日記
2007年11月

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2007/11/30

■ 銭形平次 第557話「みそっかすの唄」1977.1.19フジ/東映

 惣領の急死後、呼び戻される勘当息子の話。よくある筋立てに、出生の秘密とそれにまつわる父親の苦悩をからめて仕立て、身代狙いの悪党も登場させ濃厚なドラマを積み上げる。
 ロケ地、父の妹の親戚のおばさんに実は不義の子と告げられる清次郎、中ノ島橋下河川敷(お峰の死体発見現場も同所)。駒形屋は材木商なので「材木置場」も二度ほど登場。
*清次郎は佐藤仁哉、父は小栗一也、おばさんは荒木雅子。身代狙いの悪所の元締は佐伯徹、清次郎をハメる元締の情婦は渡辺やよい。平次にシメられ悪党の企みを喋る掏摸は園田裕久。

■ 帰って来た用心棒 第17話「川の流れに」1968.11.18NET/東映京都テレビプロ

 青臭い気炎を吐く者どもに巻き込まれ、難儀を蒙る「市民」を描く。捕まえる側にも余裕のない堅物がいて、獄につながれる者や京の町を出てゆかざるを得ぬ者も出る。

ロケ地
・新吉が友禅を洗う川、大堰川と河原(広い礫河原、浅いが早い流れ)
・京を去るおえんと行き会う野良犬、不明(堀端の町家前、路地、アーチ石橋と掘割。設定は堀川の模様)
*新吉は寺田農、彼に危ない使いを頼む同郷の青年は中田浩二。「志に殉じた憂国の士」の未亡人である、家を溜まり場にされる手習い師匠は富士真奈美、彼女に言い寄る「志士」は穂高稔。

■ 待っていた用心棒 第17話「淀の川風」1968.5.20NET/東映京都テレビプロ

 過激派に染まった倅の藩主を叱りにやって来る「御隠居」だが、京屋敷の藩士らは当然京入りを阻止の構え。御隠居の手引きをした商人の定宿では、何も知らず使いをつとめた女中がむごい目をみる。

ロケ地
・伏見イメージ、宇治川派流と酒蔵松本酒造東高瀬川堤(行き交う旅人をあしらい)。このほか濠に架かる橋、掘割なども映る(旧高瀬川や疏水の溜りか)
・佐野屋が定宿にしている伏見の船宿、嵐山公園中州料亭。周囲の情景に中ノ島橋や錦なども出てくる。
・陸路大坂へ下る野良犬が歩く堤、宇治・木津の背割堤(並木は松)。隠居と佐野屋が密かに落ち合う川べりの小屋も付近か。イメージに御幸橋から見た宇治川を挿んである。
・OP、背割堤を木津から宇治にパン、宇治川御幸橋から下流を見た図も。
*隠居の「西の丸さま」は北原将光で佐野屋は河上一夫、彼らを狙う過激派に田畑猛男。巻き込まれる女中は加賀ちかこ。西の丸さま傑作、カッコはまんま水戸黄門で杖もご丁寧に亀甲竹のアレ。

■ お江戸吉原事件帖 第5話「雀泣かせた童女の願い」2007.11.30TX/CAL

 お使いの小銭をくすねる禿(かむろ)には、哀れな事情と健気な動機。親切面の裏で女子供を売り買いしていた外道に鉄槌が下され、悪どい女衒に引き裂かれていた老爺と孫は故郷へ帰ってゆく。

ロケ地
・禿のみどりの回想、故郷を出る日幼馴染に袋を貰った「家」の前、酵素民家セット(設定は奥州二本松の農家)。後段、飢饉のうえ父が病み窮するところへ女衒が現れる回想シーンでは民家セット内部から外の竹林を見るアングルも。
・行商の荷から芋を盗って逃げる広太、大覚寺大沢池木戸前。逃げて芋に齧りつくところをあけみに咎められるのは五社明神裏手
・孫娘を捜しに来たという老爺・松吉の話を聞くおれんと越後屋、真如堂茶所を茶店に見立て・土下座する松吉のくだりでは塔が映り込む。
・松吉が縁下を覗き込み広太を捜す、二人が野宿していたお堂(?)上御霊神社舞殿
・新入り禿のおはなが女衒の辰三に「誘拐」された世田谷村の八幡さま、上御霊神社楼門
*松吉爺さんは山田吾一、孫娘の「みどり」は鈴木理子。越後屋は大鷹明良、辰三は久保酎吉。
2007/11/29

■ 銭形平次 第556話「居酒屋」1977.1.12フジ/東映

 ざっくばらんな人柄で酔っ払いに人気の酒肆の女将だが、哀しい過去の持ち主。たまたま店にやって来た幼馴染との間で急激に昔の恋が燻るが、男は贅沢好きの女房に起因するやばいヤマを踏んでいた。
 ロケ地、幼馴染の伊之助と逃亡をはかるお葉、六兵ヱが船を用意して待っているのは桂川(松尾橋付近か)
*お葉は藤間紫で、いつもの通り濃厚にしてベタな情話が展開される。幼馴染の錺職は内藤武敏、酒肆の親爺の六兵ヱは寺島雄作。

■ 帰って来た用心棒 第16話「夜に消えた」1968.11.11NET/東映京都テレビプロ

 発作に苦しむ侍の爺さまを助けた田島は、そのまま荷物を持って送ってやり事件に巻き込まれる。事は野良犬のダンナが出張るほどの血腥い一件で、思いきり時間をとられた田島はお目当ての書物を買いそこねる。

ロケ地
・さる藩の帳簿を持って京へ向かう内山老人、木津河原流れ橋。そのあと通る道は不明(この部分タイトルロール)
・勘定方の侍が無実の罪で詰腹を切らされた「さる藩」の城、遠景は書割で天守イメージに高知城天守。許しなく公金で外国船を購入した者もいると語るナレーションの背景の城は富山城天守。「詰腹侍」の奥方と従僕に帳簿を持ってゆく万平ダンナ、不明(背後に里の見える坂道、登るとお地蔵さまがあり道隈になっている)。奥方たちが歩み出す道、不明(奥に池の見える谷地田、伊藤雄之助がけったいな城代を演じた徳川おんな絵巻の話で近衛十四郎の官軍がやって来るアレと酷似)
*発作を起こし田島に助けられた爺さまは柳川清、夫の潔白を証明するため帳簿を求める妻女は田島和子で従僕は永田光男。帳簿を取り返しにやって来る藩士は山岡徹郎に千葉敏郎。

■ 待っていた用心棒 第16話「刺客の条件」1968.5.13NET/東映京都テレビプロ

 命知らずの無鉄砲さは確かに刺客の必要条件、しかし生き残るためにはまた別の要諦。功名心や使命感からの無茶は、確実に命取りなのだった。

ロケ地
・捨て犬と狂犬が頼まれ、功名に逸る若き郷士たちが狙う「大物」が通るルート、はじめ捨て犬たちが待ち受けるもやり過ごす町角は南禅寺僧堂坂(導入は清涼殿と僧堂東塀の間、坂を西に下りてくる。坂の下手南側に「塀」をしつらえ、捨て犬たちはそこに潜む)。次に待ち受けるポイントは御所にスイッチ、堺町御門付近の林間から行列を見た捨て犬たちはガードの固さに諦めるが、郷士たちは拾翠亭脇に潜み斬り込みを敢行。刺客を谷青年と認めた捨て犬が飛び出し、一当り介入してさっと引き上げる際は丸太町通りの「土手」に駆け上がり。
*はじめ野良犬と組んで初めての刺客稼業に挑む谷青年は高峰圭二、連れ戻しにやって来た姉は亀井光代。野良犬に狙われ、次いで護衛される風流人は永田光男で妾は春丘典子。野良犬に風流人の護衛を仲立ちするのは妾に頼み込まれた青木と十吉、作次郎を介する。
2007/11/28

■ 銭形平次 第555話「凧凧あがれ」1977.1.5フジ/東映

 深川の「お救い小屋跡」で肩寄せあって暮らす健気な孤児たち。同じ境遇の、盗っ人に追い使われている少年の闖入でコミュニティは壊されかかるが、子らの夢の大凧は晴れて正月の青空に舞う。

ロケ地
・孤児らが暮らす川べりの掘立小屋、罧原堤際の桂川畔。
・年少の子らが大八の尻押しバイトの坂、吉田神社参道の「車道」。参道石段は映さず。
*孤児らを世話する年嵩の娘は森昌子、子守唄も披露。*凧は子供たちが揚げる希望の象徴であると同時に、賊の手先になっていた少年が抱くただひとつの故郷の記憶。

■ 帰って来た用心棒 第15話「暁に待つ」1968.11.4NET/東映京都テレビプロ

 物慣れぬ新任の某藩留守居役は、出入りの商家に私的外出をするものの天誅浪士に狙われて足止め。会うはずだった女のもとへその家の手代を使いにやるが、危険が迫っているなかでは無謀極まりない行為なのであった。

ロケ地
・お話の過半はセットで進行、事終ったのちの場面がロケ。
・商家の女中を「恋人の手代」が負傷して保護されている番所へ送り届けたあと、野良犬のダンナがゆく早暁の道、仁和寺五重塔下境内。
・元手代と女中が助け合いながら担ぎ行商の町角、仁和寺鐘楼前から水場脇石段を下り観音堂脇石畳へ。
*手代は富川K夫、女中は青柳美枝子、呉服商の主は楠義孝。さる藩の留守居役は金内吉男。店は潰れ留守居は失脚と語られる。*留守居役のガードを野良犬に頼んだのは千造たち、ダンナ方は己の身勝手で情婦のもとに危険な使いに人を出した留守居役にムカつき動く。自身番の留守を頼まれた万平ダンナは食べすぎ←うどん二杯に餅。

■ 待っていた用心棒 第15話「糺の森 七ツ半」1968.5.6NET/東映京都テレビプロ

 己を大物と自負する長州侍は、世話をしてくれた者にかかる迷惑を斟酌しない。元よりカチンときていた捨て犬をはじめ、ダンナ方は庇いあう家族のほうに肩入れ。

ロケ地
・賀茂御祖神社(下鴨神社)解説のくだり、下鴨神社参道から二の鳥居を望む絵、二の鳥居アップのほか剣先の先端(釣り人あしらい)
・森山圭四郎を迎えに糺の森へ朝参りの態で赴く釣具屋の嫁・おせつ、泉川の橋を渡って境内へ。二の鳥居前で神官に挨拶し林間へ、乞食に身をやつした森山と会うのは祭祀場跡付近。
・森山が迎えられる釣具屋(おせつの家、隠居が元長州屋敷出入り)、川堤法面。堤下には立派な蔵を備えた家も見える。後段、役人と捨て犬が大立ち回りを演じる河原は11話で出たものと同じ、仮設のような木橋も見える。
・森山が連絡を取ろうとした芸妓のいる丸太町三本木の料亭・飛鳥のくだり、中ノ島橋を渡り前へ、以降はセットにスイッチ。錦の向かいには通りを演出するため「塀」をあしらい。この料亭には、骨休めにと作次郎が万平ダンナと野良犬を招いて芸者も呼んでいる運び。
・糺の森に出張る町方のくだり、泉川の橋を渡って目明しの十吉が来るほか、青木に釣具屋のことを報告するのは三井社前。
・捨て犬を囮にして釣具屋から脱出する森山のくだり、下鴨神社紅葉橋を渡り河合社前で捕り方に囲まれ。河合社の中から狂犬が現れ役人と立ち合い、池跡で森山を足止め。
・長州に襲われた釣具屋から野良犬が助け出した若夫婦を護って道をゆく捨て犬と狂犬、下鴨神社参道
*森山は不破潤、釣具屋の隠居は高橋錦之助で若夫婦は波多野博と林昌子。青木さまは香月凉二で十吉は西田良だが、小田部さんは花ふじの亭主のまま。 
2007/11/27

■ 銭形平次 第554話「銭埋む…百三十五両」1976.12.29フジ/東映

 用心深い賊が知り合いの軒先に隠していた盗金、そこには贋金が含まれていた。目先の盗っ人を措いても捕えるべき大悪党を求める経緯が、推理ものと人情話をからめて展開される。
 ロケ地、倅が見つけた盗っ人の隠し金について、かねて倅が説法を受けていた寺の和尚に相談に行く大工の親父のくだり、「乗楽寺」山門は神光院山門、庫裏が覗いている。
*盗っ人は黒部進、贋金作りの富商は北原義郎、捕物好きの和尚は太宰久雄、正直者の大工は三角八郎で女房は正司照江、達者な子役は松田洋治。*贋金は符丁だったり、包まれていた裂れが「出袱紗」など、小物にも凝る。

■ 帰って来た用心棒 第14話「仕官の日」1968.10.28NET/東映京都テレビプロ

 浪人と京在番の旗本の喧嘩が、更なる悲劇を出来する。物のわかった旗本の上司は辞を低くして事を穏便に済まそうとはかるが、斬られた浪人のほうの係累に軽率にして野心家のおっさんがいて、最高にマズいタイミングで交渉の場にやって来てしまう。

ロケ地
・岡村勘次郎と「二条城の侍」が斬りあう寺院境内、不明(花頭窓のお堂/田島が詩を吟じつつやって来る道には低い石垣)
・兄を斬った侍を求め祇園の料亭にやって来た弟に、仇討ちが困難なことを告げ償いは俺がとってやると言う野良犬、二人が話す夜道、不明。
・偉いさんの死は全て病死と繕われたことを語るナレーションが被るラストシーン、野良犬がゆく道は永観堂弁天社前〜放生池溢水口石橋。野良犬はこのあと二人分の骨箱を携え参道をゆく「弟の許婚者」を見るが、参道南側には現在の如く塀が無かったさまが明瞭に映る。女は中門のほうへ、野良犬は総門のほうへ、塔頭・智福院前を二手に別れゆく。
*喧嘩沙汰で命を落とす浪人・岡村勘兵衛は唐沢民賢、弟の俊吉は里見浩太郎で許婚者は磯村みどり。勘兵衛を斬った二条城の侍二人は波多野博と戸板幸男、彼らの上司は宇佐美淳也。己の点数稼ぎのため俊吉に仇討ちを唆す帰参先の上司は中村錦司。*浪人宅へ出向き謝罪もするし身の振り方も考えるからと「仇討ち」を回避しようとする、温厚にしてものを弁えた偉いさん、偶発により死に臨んだ彼が発する言葉は皮肉にも「倅に仇の名を」だったという結束節炸裂のゆくたて。仇討ちの理不尽さを説き、怨恨の無限ループを止めようとする話はいくらでもあるが、いざ事が己の身に及ぶや出る身勝手をさらりと出す手法は秀逸。

■ 待っていた用心棒 第14話「仇の名は」1968.4.29NET/東映京都テレビプロ

 万平ダンナがミクロコスモスを感じた庭のある静かな寺で、俗塵にまみれた馬鹿者が仕出かす殺人。許せぬ悪を斬る狂犬だが、仇が誰であるか知らぬほうがよい者に酷い真実を覚らせてしまうことになり、卒塔婆がひとつ追加される。

ロケ地
・万平ダンナが庭を拝見にゆく京郊外の寺、毘沙門堂。庭は宸殿裏手の晩翠園、水石や観音堂が印象的に映し出される。出入りには勅使門が使われ、門下の石段も映る。宸殿前の枝垂桜は開花中。宸殿座敷のほか、住職が勤行するシーンには霊殿が使われていて、天井龍が映り込んでいる。塀越しに安祥寺山を望む絵もある。塚は境内と思われる←同じ絵を別作品で見た覚えあり。
*何かマズいことを仕出かし京屋敷の連中に狙われている若侍は石浜朗、親のコネを駆使し逃げ回るくせに嫌味な若様を好演。住職は山村弘三、若い僧の妹は沢宏美。*庭に甚く感服した万平ダンナは「三匹」にも勧めるが、三者三様の反応がおかしい。狂犬が行った先を察知した野良犬の「はー、ぶつばちだ」も傑作。
2007/11/26

■ 銭形平次 第553話「人形は見ていた」1976.12.22フジ/東映

 殺しを目撃してしまった幼女を狙う悪党どもを、怒りを込めて断罪する親分。強殺と見えた一件の裏には色事がらみの恐喝、通底するテーマは「子」。
 ロケ地、お咲が瓦版書き殺しを目撃する川端、上賀茂神社ならの小川畔。その後お咲が一人遊びしつつ辿るルート、金戒光明寺永運院下坂(石蹴り遊び)社家町明神川(笹舟流し)金戒光明寺参道石段(登ってゆく)。瓦版書きに相談を持ちかけていた矢場女に事情を聞く平次、広沢池東岸(夕景)。子供連れを眺め弥助の言葉を思い出すお静、金戒光明寺石段下に露店等あしらい(お咲連れの平次がやって来て束の間親子ごっこ)、お咲の手を引いてゆく平次夫婦は永運院下坂。お咲を拉致したうえ売り飛ばそうとするゴロツキに追いついて打ち懲らす平次、不明(植林杉の山道)
*お咲は服部ひろみ、達者な子役。その母は伊吹友木子、イケズ風味は無し。捨てられて縊死をはかる矢場女は松木聖、孕ませた若旦那の店の番頭は中井啓輔、雇われたゴロツキは五味竜太郎で手下に福ちゃん。病を得て平次や万七に助力を乞う金網町の目明し・弥助は林孝一、後継の養子・佐吉は火野正平。血縁の子を持たぬ弥助の嘆きは平次夫婦に愚痴るのみで、尽してくれる養子との確執等は描かれず・せっかく正ちゃんキャスティングしてあるのにもったいない。

■ 帰って来た用心棒 第13話「風の泣く里」1968.10.21NET/東映京都テレビプロ

 木津川のほとりの鄙びた里に暮らす女たちのもとに、その家の倅の勤め先から女がやって来る。主人と称する奈良町奉行所与力は、国士を気取るもののただの追われ者で、女たちに不幸をもたらし消えてゆく。
*ロケ地は川と萱葺民家と鐘楼門を持つ寺と田畔、湖国やら丹波やら見当つかず。川は河床に粗い礫が顔を出す流れ、河畔林は竹で堤高はさほどでない。萱葺の前には大根干し用か稲架か不明な木組。*追われる与力は青木義朗、協力者の商人は高原駿雄。与力宅の女中は花園ひろみ、隆作は宗近晴見、母は荒木雅子。*行きがかり上追捕の役人を多数ぶった斬ってしまうダンナ方だが、女三人は無事。しかし彼女たちの大事な人は帰ってこない。

■ 待っていた用心棒 第13話「祇園に斬る」1968.4.22NET/東映京都テレビプロ

 祇園に遊ぶ富商を、長州の使嗾を受けた浪士たちが狙う。ダンナたちがガードする相手は斬られたり卒中で頓死したり、痴情のもつれで心中などいつもの事だが、言われるままお使いをしていただけのおちょぼさんが失職してしまうのが、どうにも哀れなのだった。

ロケ地
・祇園町が舞台、おちょぼのお咲や浪士たちが白川新橋巽橋辰巳大明神周辺を行ったり来たり。白川新橋の真ん中に「窓」をしつらえての撮影も。
・野良犬が町をゆくラストシーン、今宮神社。かざりや西塀際から東参道、かざりや側の灯籠に暇を出されて途方に暮れるお咲が腰掛けている。
・OPロケ地、八坂神社楼門と境内、辰巳大明神白川新橋・巽橋
*お咲は小谷悦子、寿々花姐さんは国景子。野良犬の雇い主の富商は天王寺虎之助、功を焦る浪士二人は田中直行と平沢彰。*捨て犬が予言した祇園町の女難は本人に降りかかり、用心棒に来ているところを女の旦那に誤解され悲惨な結果に。
2007/11/25

■ 大岡政談 魔像 1989.12.27CX/松竹

 朋輩の嫉みを受けた新参の御書院番・神尾喬之助は、妻を陵辱し死なしめた者たちへの復讐を期し江戸の町に潜む。徒手空拳の彼に命懸けで手を貸す夫婦あり、よろず揉め事仲裁を生業として生きる豪快な亭主は、神尾と瓜二つの外見をしていた。

ロケ地
・園絵を拉致した駕籠がゆく道、下鴨神社馬場(連れ込まれる荒れ寺はセット)
・妻の死後登城する神尾、江戸城イメージは姫路城天守、西の丸、菱の門。
・御用部屋で朋輩にいたぶられたあと不気味な笑いを残して去る神尾に激怒し追う戸部、建仁寺方丈廊下(南側)。追いついて斬られるのは西側廊下。神尾乱心と騒ぎ走り回る御書院番衆、清涼寺回廊二条城鳴子門二条城本丸櫓門二条城内濠端
・殿中での神尾の仕儀を聞き激怒する脇坂山城守、屋敷の門は大覚寺大門
・閉門の処置がなされる神尾邸、妙心寺大龍院門(路地見下ろしのアングルも)。
・囚われていた伊豆五を釈放する大岡越前守のくだり、南町奉行所は大覚寺明智門。大岡が語る御書院番衆の横暴、民衆をいたぶる風景の一つは車折神社参道(他はセット)
・壁辰宅へ現れた神尾を取り逃がした一件を聞き怒るほか脅え強がる山城守、座敷は不明(花頭窓のある座敷、庭が見えていて紅葉)
・脇坂邸へ向かう筆幸親子を尾行するお弦、北野天満宮本殿脇。途中茶店で休む親子、今宮神社門前茶屋・一和(お弦はそっと同じ床机に座り筆幸の献上物の包みと生首入りの一件をすり替える。首はもちろん御書院番衆の一人のもの)。親子が脇坂に会う座敷は建仁寺久昌院、屋敷イメージに塀越しの庫裏上部が挿まれる。
・壁辰の娘・お妙を連れ出し結婚を迫る筆幸の倅、大覚寺大沢池堤(遠景に塔や五大堂)。あんたも筆幸も脇坂もキライと罵り駆け去るお妙、大覚寺放生池堤
・残り九人が寄り集まる長岡頼母邸にカチコミをかけた神尾と右近、捕り方に追われ逃げる夜道は随心院参道、植え込みからお弦が手招く。騎馬で出役のシーンには拝観口付近も使われている。捕り方と大立ち回りを演じる神尾(実は右近)中ノ島橋(捕り方二人ドボン)。橋下に船、打って出ようとする神尾をお弦が制し、船は出てゆく(このあと船をやるシーンはセット)
・捕まった右近が江戸払いに決まったあと、逃げおおせた神尾が妻の墓に参るのは金戒光明寺墓地、文殊塔が映る。伊豆五の援助の申し出を断り一礼して去った神尾が、旅装の右近に別れを告げるシーンは粟生光明寺山門、内側に茶店をあしらいそこに右近がいる。右近は山門をくぐって去り、やって来たお弦といちゃつきながら旅立ってゆく。
・神尾がゆく道、琵琶湖西岸・舞子浜汀。
*神尾喬之助と茨右近は杉良太郎の二役、スクエアな神尾とでぇへへ右近の対比ももちろん見ものだが、たっぷりと見せる立ち回りは必見。お弦は藤真利子。大岡さまは丹哲で壁辰は石橋蓮司、この二人は神尾に同情的で、見逃す方向で気脈を通じる。レンジの娘役は洞口依子、神尾に惚れる経緯は唐突だが、いじらしく可愛い。神尾の妻女は伊藤美由紀、父の伊豆五は長門裕之。岡っ引で江幡高志、瓦版売りで赤塚真人、大迫の郎党で牧冬吉など脇の脇も楽しい。御書院番衆、中心になって神尾をいたぶる戸部は亀石征一郎、一番首を取られる大迫は河原崎建三、このほか宮内洋や中田博久、西田良やエクランメンバーなどよく見た顔がずらずら。彼らの後ろ盾の脇坂山城守は菅貫で脇坂に貢ぎ伊豆五に取って代わろうとする筆幸は山田吾一。

■ 浅太郎鴉  三隅研次監督作品 1956.3.28大映

 国定忠治の子分・浅太郎が、親しい人々との悲しい別れを経て新しい人生に踏み出してゆく過程を描く。
忠治に悪心を抱く二足の草鞋を斬った浅太郎は、病篤いお栄の亭主を捜すためもあり旅に。やっと会えた徳二郎は荒んだ日々を送っていたが、浅太郎の説得と息子会いたさに故郷へ帰る決心をするも、イカサマ博打の壺を振ったことが災いし金のため無惨に殺されてしまう。彼を陥れたヤクザと死闘のすえ重傷を負う浅太郎だが山の一家が彼を保護、傷も癒えかけた日、忠治が赤城山に籠ったとの凶報が届くのだった。

*ロケ地はほぼ判明せず。以下、手がかりの備忘録。
・百々村の紋次が手下の浪人と忠治に対する悪企みを話している夜道、浅太郎が現れ彼らを斬り捨てるのは「材木置場」。板塀が見える気もするがほぼ材木のみ。
・甲州さして街道をゆく浅太郎、地道に小川、木橋(このあと高崎出身という姐さんのいる一家へ立ち寄り)。歓迎されないので夜発ちのあとの街道、土手際の地道(並木道、対岸の河畔林は竹。馬子に松代までの距離を聞く)。
・徳二郎が現れるかもしれないと聞き赴く須坂の祭礼の神社(幟に佐原神社と見える)、参道はちょっと登り。
・土手の喜太郎が徳二郎をハメて膾に刻む道、木橋を渡って土手道(子分たちを土手下の汀に伏せてある)。
・徳二郎と約した通り喜太郎一家を訪ねる浅太郎、やってくる道は石灯籠連なる道隈。
・浅太郎をやり過ごした喜太郎が、子分の藤吉を兄弟分のもとに走らせる道は石垣沿い。藤吉が岩間の一行と出会うのは小丘下の畦道。
・喜太郎一家との大立ち回り、野原から林越しに見下ろしのショットが入りあとは山腹の林間。
・おみよと弟が負傷した浅太郎を見つける山道、植生は杉林。おみよの家は山腹の小屋、あしらいものかありものか不明。
・忠治の一件を知らせる早馬が走る街道、道端に萱葺民家。
・縋るおみよを振り切り赤城山へ向かおうとする浅太郎、追いついてきたおみよに導かれ通る滝上、滝は渓流瀑。以降山道や川べり(山中の渓流)、頂上近くの尾根など。ここから赤城山を見やる設定。

キャスト
板割の浅太郎/市川雷蔵 おみよ/嵯峨美智子 お栄/浜世津子 御室の勘介/小川虎之助 金井の徳二郎/舟木洋一 百々村の紋次/羅門光三郎 土手の喜太郎/杉山昌三九 三ツ木の文蔵/千葉登四男 清水の頑鉄/光岡龍三郎 国定忠治/黒川弥太郎
*赤城の子守唄の、裏切者の勘介を斬る甥・浅太郎の逸話を最後に持ってくる仕掛けの旅もの。人の生涯を花に譬え、今の忠治を盛りという勘介が絶頂での退隠を勧めるべく行動した設定で、雷蔵の浅太郎は勘介を斬らない。忠治も全て弁えていて、八州が取り巻く赤城山から浅太郎を脱出させるために兄哥たちも動く。そして勘太郎を負った浅太郎をおみよが出迎える運び。

2007/11/24

■ 遠山の金さん 第97話「鯨のように飲む男」1977.9.1テレビ朝日/東映

 酒飲み親爺の自慢の息子が主に見返られ、ヤクザに命を狙われる仕儀に親爺ブチ切れ。奉行なんてお屋敷でふんぞり返ってとぶつ親爺に辟易しつつ、金さんは親子ともども助けてお白州へ。
*ロケなしセット撮り、出座の前に大覚寺宸殿がちらりと映るがバンクフィルム。*アル中親爺は玉川良一、お白州で酒量制限を勧められるが「二合では目薬」。倅の雇い主は永井秀明、川人足束ねのヤクザは五味竜太郎で手下に福ちゃん。阿る先の船手組頭は川合伸旺。

■ 必殺仕事人IV 第26話「主水外で子供をつくる」1984.4.27ABC/松竹

 凶賊の役人殺しを証言した水茶屋女は、お礼参りを恐れ無理に金を作り男と逃げる。しかし庇護者と見えた与力は、当の賊を使嗾する悪党なのだった。
 ロケ地、浅草寺境内のお涼の茶店、今宮神社東門を映したあとセットの茶店に。「疑惑の子」ネタで金を作ったお涼が内藤に報告する市中、大覚寺勅使門橋上。江戸へ向かう伝蔵一味、駿河付近の街道は松尾橋下手の堤か。相模手前で渡渉する川は桂川か(けっこう荒瀬)。学友と遠出の順ちゃん、下鴨神社泉川畔。姉ちゃんたちの手拭を取ってやろうとして木に登ると蜂の巣と玉助は糺の森。品川さして夜道をゆくお涼と新五、内藤を待つも一味に囲まれてしまうのは大覚寺天神島、二人の死体が検分されるのは大楠の根方。内藤をつける秀、大覚寺有栖川畔(収蔵庫脇)。秀の出陣、大覚寺五社明神(舞殿前から走り出し鳥居をくぐり抜け)。加代と順ちゃんの出陣、下鴨神社河合社脇。仕置は糺の森、有象無象を散らすのは蜂の巣で。
*お涼は高瀬春奈、北の与力は亀石征一郎。*「証言」やハチなど出て、主水の決め台詞に「ハチの一刺し」←ロッキード。

■ 柳生あばれ旅 第1話「天狗の子守唄 −品川−」1980.10.14テレ朝/東映

 武断政治は終りとする柳生宗矩の提案で、戦のための道だった東海道を造り直すことに。将軍の裁可が下り、「東海道秘密巡検使」が選出される。なみいる旗本の中から宗矩が白羽の矢を立てたのは息子の又十郎、勘定改役の二人をお供に旅がはじまる。
最初の舞台は品川宿、折しも薩摩の荷役に苦しむ人夫たちが暴発寸前になっていた。

ロケ地
・薩摩の殿様の行列がゆく品川の街道、琵琶湖畔・石積護岸のある地道。薩摩の荷を運ぶ人夫たちを追い立てる藩士たちは湖畔の坂道。
・貫目をごまかした荷に苦しみ倒れたあと、皆に相談と里へ走るお駒と留吉の前に立ちはだかる佐野屋の用心棒、不明(蔵の脇に地道、暴将でも出たところ)。ここで「一ツ目天狗」が出て用心棒たちをばっさり。
・江戸城イメージ、姫路城天守
・品川さして道中の又十郎一行、琵琶湖西岸松原。宿場はセット。
・人夫らが相談をぶつ小屋、鳥居本八幡宮鳥居下に小屋あしらい。人夫に化けた又十郎が石段を降りてきて小屋の話を立ち聞き。佐野屋の用心棒が騎馬で駆け入るシーンには入口の鳥居が映り込むほか、今は困難となってしまった道側の竹林を背景にした絵も。
・一ツ目天狗に危機迫る鮫津の松原、舞子浜松原。
・OPロケ地 騎馬の十兵衛/琵琶湖、お紋が渡る橋/流れ橋、金兵衛と六左衛門がズッコケの街道/大内辻堂、又平がチャンバラ/保津峡落合、又十郎のチャンバラ/嵐山自転車道か
*男装して荷役に出る人足頭の娘に吉沢京子、父は小林昭二で朋輩の留さんは高橋元太郎。問屋場の佐野屋は須藤健、裏切る用心棒は黒部進、薩摩の道中奉行は小池朝雄。家光は森次晃嗣、宗矩は山村聰。*重責を荷った弟を案じ出張る兄さんが一ツ目天狗で、今回は酒肆にいたお紋もサポートに回る。又十郎は四角四面な堅物、はじめ薩摩の相良にはかられ一時謹慎食らったりする。この際、佐野屋でバイト用心棒をしていた荒木又右衛門と出会うが、この二人の天然ぶりが傑作。ヌボーっとした大男の又右衛門はともかく、又十郎もかなり大雑把で笑える。

■ しゃばけ 2007.11.24CX/松竹

 自分にだけ見えるあやかしを友とし、病弱の身を養う大店の若旦那には積年の懸念。己がため家を出された腹違いの兄を後継にと願う若旦那だが、その身に別次元からてとつもない災厄が降りかかってくる。彼の出生の秘密にまつわる「命を贖う薬」の香りを求める、なりそこないの付喪神との対決を期し火事場へ向かった一太郎は、当のあやかしが取り憑いた兄と向かい合うことになる。

ロケ地
・兄に会うべく家を抜け出した一太郎がゆく夜道、南禅寺僧堂坂。お供すると鈴彦姫が現れるのは今宮神社高倉脇坂下。姫と二人ゆく道、大覚寺放生池堤。とんだアクシデントでなりそこないが発動してしまう現場に遭遇するのは大覚寺天神島大楠根方(棟梁が棒手振りに殺される現場、不忍池畔設定)
・長崎屋の三番蔵、大覚寺蔵(明智陣屋前)
・長崎屋の荷揚げ風景、八幡掘明治橋新町浜(京橋近く設定)
・三春屋の栄吉が一太郎に兄と会えたか聞く堀端、八幡掘・明治橋上手左岸汀(岡っ引の日限の親分が明治橋上から声をかける)
・父が見合目的で一太郎を連れ出す祭礼の宮、今宮神社境内に露店あしらい。意図に気付き場を離れた一太郎を追って来る父、中ノ島橋たもと。一太郎の落とした風車を拾った升田屋が植木職人に刺される橋、中ノ島橋(花火見物の町衆でごった返し、植木職人は揉み合いのすえ橋からドボン)
・栄吉の手引きで家を抜け出す一太郎のくだり、香りを求める憑かれ者が駕籠を襲うのは随心院土塀際。一太郎が害されたと思い番所へ走る佐助たち、走りぬける路地は八幡掘左岸建物裏手の路地、渡る橋は明治橋。
・家へ戻り湯浴みする一太郎と話す佐吉のくだり、印籠を失くした経緯の回想、途中で気分が悪くなり駕籠をおりた町角は随心院薬医門(印籠を駕籠に置き忘れ/その駕籠が襲われ)
・駕籠が襲われた現場を通りかかった侍が落ちている風呂敷包みを拾う道、随心院土塀際。
・一太郎に頼まれ兄に金を届けに行く栄吉が走る道、南禅寺僧堂坂。
・生まれた子を三日で亡くしたおたえが子授けを一心に祈る神社、鳥居本八幡宮本殿。おたえの母・おぎんがその姿を垣間見るのは舞殿から。荼吉尼天に願い入手した反魂香を「使う」おぎんも鳥居本八幡宮本殿前(祭壇をしつらえ)
*ちょっと棒読みくさい若旦那も、ある意味透明感あってイイかも。これでこそお付きの二人が生きてくる感じもする。出自が明かされ運命と闘うと決意するくだり、鳴ってる音楽もだけどこれからラス立ちという切迫ではなく、なんかラストステージへの導入みたいな。
2007/11/23

■ 銭形平次 第552話「庖丁がらす」1976.12.15フジ/東映

 魚河岸もの、納屋役人の横暴が民を苦しめるおきまりの筋だがさすがに銭平、ビシっと決めた人情話。キャストゆえか、良い意味で芝居がかっている。
 ロケ地、斬首のところを江戸払いで済ませてくれた恩人・明神の吉兵衛の墓に参る滝蔵、金戒光明寺本堂裏手墓地。ゑびす講を前に意地で大量仕入れされた鯛を始末しに、納屋役人と示し合わせ四日市の見張り場へ向かう弥平次らの前に立ちはだかる滝蔵、宇治中州・橘橋たもと(目的地は木更津河岸で橋は江戸橋設定か)。橋上と中州を使って平次や樋口さまの大立ち回り、宇治川先陣の碑や宇治川本流の流れも映り込む。
*滝蔵は中村竹弥、「柳刃の」と二ツ名を頂くが経歴に尾鰭の模様。戻ってきた亭主に剣突を食らわす女房は浅茅しのぶ、父の血を継ぎ花板を張る娘は岩井友美、恋人の魚河岸衆は坂東吉弥。旦那衆を気取るも実態はヤクザの弥平次は山口幸生、強面のセンセイは阿波地大輔、滝蔵のことをたいそうな兄哥と吹き込む旅人は西田良、つるむ納屋役人は宇田学哉。*祝い事に鯛を買えねば江戸っ子が蓆旗と樋口さまをおどかす平次、このくだりでは当時の習俗の薀蓄も登場。
2007/11/22

■ 銭形平次 第551話「花と泥」1976.12.8フジ/東映

 牢で一緒だった仲間にも忌み嫌われる悪党、窮して縋ってきたその「昔の男」を、目の前にある幸福を捨てて尽くそうとする哀れな女心を描く、重苦しい一話。
 ロケ地、佐和吉が仲間に手形を渡す集合場所、大覚寺護摩堂。手形師を殺され怒ったヤクザが佐和吉たちを追う道、大覚寺天神島朱橋〜祠。黄八がヤクザに殺されるのは「材木置場」。おりんが関所手形を持ってくるのを、二人の思い出の場所である深川稲荷で待つ佐和吉、上賀茂神社ならの小川畔梶田社脇。
*おりんは赤座美代子、佐和吉は富川K夫。おりんを嫁にと望み佐和吉の無理を聞こうとする畳屋は小野川公三郎、岡場所の女将は新屋英子。*暗ぁい話の締めくくりは将棋の勝負ではしゃぐ平次夫婦、八はアテられて拗ねる。

■ 帰って来た用心棒 第12話「あの竹薮をぬけて」1968.10.14NET/東映京都テレビプロ

 老ノ坂の往還を分け入った竹藪に埋もれてある旧家、そこへ国事に奔走する志士が怪我人として運び込まれ、血腥い一陣の風が吹き荒れて去ってゆく。繰言を呟き続ける老爺と、黙って世話を続ける嫁は、志を抱き出て行った当主の帰趨を知らされない。
*ロケ地は山道と竹藪と旧家、ほぼ全て不明。山道は九十九折の狭い地道、竹林はよく手入れされた明るい林床で西山っぽい。旧家は入口に短いステップのある萱葺の門、また又三匹第4話などでも出て来たアレか。このほか近くの百姓家も萱葺。*用心棒に来た野良犬を追っ手と誤認し逃げて足を折る志士に坂口祐三郎、追っ手は穂高稔や高城淳一。押し込み浪人は平沢彰に林浩久。旧家の嫁は小山明子で因循な隠居は明石潮。

■ 待っていた用心棒 第12話「西から来た侍」1968.4.15NET/東映京都テレビプロ

 地下活動の密書を運ばされた野良犬と小料理屋の小女は、役人に追われる羽目に。きっと大事なものと心を痛める健気な娘だが、頼んだ侍も親切ごかしの夫婦も、彼女の好意に値せぬ下衆だった。

ロケ地
・主な場面はほぼセット撮り。
・大捕物が終った朝、捨て犬と狂犬がゆく市中、ねねの道。天狗の面を求め狂犬に被せるのは東山工芸
・野良犬が捕り方と擦れ違う町角、梅宮大社東参道
・捨て犬と狂犬が捕り方と擦れ違う道、今宮神社東参道。捕り方は東門に駆け入り、捨て犬たちはかざりや西塀際をゆく。
*小女は伊藤栄子、彼女を使いに出した志士気取りは楠年明。野良犬と小女が一時逃げ込んだ先のチクリ夫婦は新屋英子と楠義孝。野良犬と「取り引き」の男は波田久夫。*怒り心頭でチクリ夫婦のもとへ乗り込む野良犬の悲しみの表現はもちろん凄味が利いて見ものだが、黙々と大根を大量に刻み続ける万平ダンナもコワい。
2007/11/21

■ 銭形平次 第550話「かんざし変化」1976.12.1フジ/東映

 男のなりをして男名を名乗り、棒手振りをしてお堂に隠れ住む娘・捨吉。双親を不幸な経緯で亡くした哀れな娘、親代わりという叔父が更に酷く、やっと掴みかけたささやかな温もりも蹂躙されかけるが、親分の働きで悪党どもにはそっくり報いが返ってきて幸せなカップルが誕生。
 ロケ地、桐生屋の巳之助がチンピラに殺されかける稲荷境内、赤山禅院本殿脇。その襲撃者の紋太が殺されて見つかる柳原土手下、大覚寺大沢池畔。巳之吉が捨吉に家を出る話をする水辺、大沢池(舟着はありものかあしらいものか不明)。捨吉の住まう稲荷裏のお堂、大覚寺五社明神舞殿に壁と扉あしらい(内部はセット撮り)、本殿も映り込む。
*捨吉は村地弘美、桐生屋の若旦那・巳之助は藤間文彦。捨吉の悪い叔父は汐路章、巳之助を害そうとした後妻は町田祥子、情夫で旗本の冷や飯食いは沖田駿一。*奇妙な捨吉を八は「女狐」呼ばわり、事終わって平次宅に挨拶に来た女のなりをした捨ちゃんに尻尾が無いか凝視するのがラストに来てお笑いで締め。

■ 帰って来た用心棒 第11話「弦月の下」1968.10.7NET/東映京都テレビプロ

 勤勉なため激しく浪士の恨みを買った奉行所の役人が、上の方針で配置転換に。前例あることとて彼の移動には慎重に配慮がなされるが、情報ダダ漏れでワヤな事態が橋本宿を舞台に展開される。上つ方の遣わした用心棒である野良犬の働きもあり、当の本人は無事東帰を果たすも、病の亭主に人参を買うため命がけで使い走りをつとめた旅籠の女が、とんだ貧乏籤を引き当てる。

ロケ地
・「石部のアレ」のあと恐慌を来す奉行所役人たちのくだり、塔の見える四阿は高台寺公園から八坂の塔か。路地やお宮さんは東山界隈か。所司代の長屋門もロケか。
・藤田と落ち合う予定だった茶屋の主・与五郎を追う千造たち、不明(蔵や土塀、穴太あたりの町なみに似る)。千造たちをやり過ごした浪士が築地の際で与五郎に「伏見のあそこ」と落ち合う場所を指示。
・危地を脱し、橋本宿に待たせてあった女を伴い大坂さして街道をゆく藤田、八幡・御幸橋下手の背割堤(右岸側、宇治の流れと桂との背割越しに天王山を望むアングル。並木は松)
・多額の謝礼を貰った旅籠の女が人参を求めて帰る道、お薦さんに化けた与五郎を見てしまい殺されるのは出雲大神宮玉垣際(反対側は池の地道)。女の悲鳴を聞く平馬は池堤の道、女を刺して逃げてきた与五郎を斬(平馬がゆく道の端に「是より橋本宿」の道標、設定は伏見でなく橋本か←橋本と伏見の端っこはずいぶん離れているので声は届かない→但しまだ巨椋池があった時分の話)
*橋本宿の旅籠で守銭奴と朋輩の誹りを受けつつ小金を稼ぐ女は根岸明美、彼女に使いを頼む「藤田の女」は国恵子、藤田は牧冬吉。浪士に通じる与五郎は土方弘、彼に伏見で落ち合う場所を指示する浪士は出水憲司。中野誠也の龍造寺平馬はたまたま橋本宿に居合わせ、路銀を稼ごうとして一丁噛むが、貰いは無いうえに哀れな女の死を見る羽目に。

■ 待っていた用心棒 第11話「襲撃七条河原」1968.4.8NET/東映京都テレビプロ

 役人狩りの現場に居合わせ、浪士たちに狙われる老いた元目明し。老人は難を逃れるが、彼の家で刺客を待ち構えたお町のダンナは凶刃に斃れ、その死はもうひとつの棺を追加する。

ロケ地
・妾宅を出てくる与力、上賀茂社家町屋敷門。源吉に声を掛けられ連れ立ってゆくのは上賀茂神社校倉脇。このあと野道を経て河原へ(この部分はタイトルロールだが話に関わってくる)
・与力が斬られる七条あたりの鴨河原、堤高と川相から当の鴨川下流部と思われる。但し七条界隈ではなく、少なくとも十条から下。右岸堤の向こうには僅かに人家の屋根が見え木も生えているが、左岸堤には何も見えず。両堤ともぱっきりと直線的。川相は出水後か、少し荒れている。撮影のため拵えたか、或いは臨時に架橋されたか、水面に近い危なっかしい木橋が架かっている。
*七条河原に万年青の土を採りに行く老人は北竜二、娘は葉山葉子で老人が昔仕えていた同心は長谷川明男、若い二人はほのかに思い合う設定。「不逞浪士」の手先・源吉は西山嘉孝、浪士の首魁は国一太郎。老人の弟で五条の酒肆の主の作次郎は小田部通麿、万平ダンナが入り込んでいる。野良犬は河原で寝ていて浪士たちの企みを知り、捨ちゃんと狂犬は飯と酒を求めて万平ダンナのもとへ寄ってくる運び。
2007/11/20

■ 銭形平次 第549話「闇夜の証人」1976.11.24フジ/東映

 証言者もあることから、容疑者を番屋に呼ぶ平次。しかし暗闇の事とて果たして見間違い、裏も取れ嫌疑は晴れて釈放されるが、男は勤め先を解雇されてしまう。以降ねちねちと平次にからみ声高に非を鳴らす男だが、再就職先を親身に探す親分を見て陥落、事件解決の糸口をもたらしてくれる。このフレームアップが主題の話だが、妾殺しの一件も並行して丁寧に描かれ、情話と糠喜びの万七の落胆まで入っている。
 ロケ地、賭場へ行っていたという貴三郎の話の裏を取るためチンピラたちをシメる平次、葦原は木津河原。殺された妾の友人に話を聞く平次、大沢池畔か。
*番所へ引っ張られたのを機に解雇される貴三郎は常田富士男、勤め先の女将は近江輝子、妾を囲っていた駕籠屋の大将は須藤健。

■ 帰って来た用心棒 第10話「東の空が暗く」1968.9.30NET/東映京都テレビプロ

 嵐山の山水を愛でにいった先で物騒な事件に遭遇する万平ダンナと田島は、殺された男のお供をしてきた娘を拾って帰る。娘が預かっていた秘密文書も、それを狙った侍を野良犬が斬った件も、しんどい仕掛けは全て済み、娘は万平ダンナが紹介した店で働き始め重宝がられ、そこの板前と何やらよい雰囲気。皆温かく彼女を気遣い、なんと野良犬ダンナまで娘に物を贈るが、悪い因縁が店にやって来てしまう。

ロケ地
・朝の素振りをする田島、木島神社舞殿脇。いいとこへ行こうと誘いにやって来る万平ダンナは参道石畳を来る。
・嵐山イメージに渡月橋を左岸下手から、二人が山水を愛でに赴く峡谷は保津峡落合河口。名を変える川の説明をする万平ダンナのくだりには、嵐峡から遠望した渡月橋も映る。殺されている旅の男を見つけるのは保津峡左岸巌上、その男のお供の娘・おせつが待っている人足小屋は清滝川左岸にあしらい・橋を渡してある。
・嵐山での仕儀を届け出る土地の名主宅、不明(長屋門、母屋は萱葺)
・おせつが書付を来た者に渡すよう言われていた東山の料亭、不明。
*おせつは沢宏美、勤めた先の板前は近藤正臣で店主は江幡高志。嵐山でおせつを狙うも田島に阻まれ不覚をとり、藩重役に覚悟を迫られ出奔し、不逞浪士となって京の町で悪さをはたらく一団の首魁は田口計。*タイトルはおせつがそれを言った者に書付を渡せと聞いていた符丁「東の空が暗くなる」から、東も西も暗いと幕末の暗雲垂れ込める京を謂う表現にも。

■ 待っていた用心棒 第10話「天神さまの細道」1968.4.1NET/東映京都テレビプロ

 酒肆の女を娶る浪人だが、暮らしは立ち行かない。窮したうえ引き受けた汚れ仕事では道場剣法が通じず、せっかく得た金も逃す体たらくに女房は別の男のもとへ走り、惨劇となる。

ロケ地
・子らが遊ぶ境内を抜けて長屋へ帰る川島浪人、本法寺塔脇〜墓地(木をナメたあとセットへスイッチ、長屋が墓地に接している趣向)
中ノ島橋を映し松井田が川島浪人と会う「錦」の座敷へ(セット)。ここは後段も松井田と川島の妻女が会う「錦」として出てくるが、設定は鴨川べりの料亭・錦。
・野良犬が護衛をつとめる老武士が滞在する北野天満宮近くの茶屋、不明(料亭ふうの門構え、庭も使用か)
・老武士を斬りに行くも野良犬に追い払われた川島浪人が、依頼主の松井田の手先に呼び止められ金の返却を迫られる夜の町角、本法寺境内摂社前。斬りつける川島を止めに出てくる捨て犬たちは脇から登場。
・老武士を斬りに行くも中から野良犬が出てきて「もう終った」と言われた狂犬が眺めやる北野天満宮、本物。林越しに楼門続きの塀を狂犬が横から眺める格好(人物吹き替えの可能性あり)で、子らが通りゃんせを歌い人が行き交う境内は楼門前参道石畳を中心に社殿など。ツヤツヤ黒光りのお牛さんも映る。
・川島浪人が無縁仏として葬られたという化野念仏寺、本物(石仏群)
・OP京イメージ、渡月橋清水寺全景、御所大路銀閣龍安寺石庭三条大橋等。
*川島浪人は片山明彦、妻女は稲垣美穂子。野良犬を雇うも襲撃者を斬る斬らぬで対立し解雇する老武士は原健策。老武士に刺客を送る長州侍・松井田は山岡徹也、手下をつとめる町人は高津住男。
2007/11/19

■ 銭形平次 第548話「お七は殺しを見た」1976.11.17フジ/東映

 親も無く一時悪い仲間に入っていたせいで無実の罪を着せられかかる青年、彼を思う娘のたっての願いで乗り出す平次。思い合うも擦れ違っていた若い二人を結びつけて、事件は決着。
 ロケ地、お七が安二郎と「デート」の大川べり、木津河原。悲鳴を聞いて駆け上がり、死体の傍に茫然と立つ弥吉を見る柳原土手は木津堤、堤法面に木で組んだステップ、堤下には杜が見える。堤道には常夜灯あしらい(後段、お七と八を使って検証する場面もある)。お七の回想、事件前日吹っ切れない弥吉に焦れて安二郎とデートの約束をして場所を弥吉に聞こえるように言った「竹中稲荷」、吉田神社竹中稲荷(舞殿越しに本殿を映して導入、舞殿脇をお七が来て、三叉の石畳脇に弥吉が甘酒の屋台を出している)。安二郎が六造に店に平次が来たと告げるのは竹中稲荷本殿裏手摂社群。土手で殺された越中屋の番頭の墓、不明(黒谷か永観堂か、卒塔婆の様態から浄土宗と思われる)
*弥吉は三ツ木清隆、お七は市毛良枝で目明しの父は陶隆司。越中屋の若旦那・安二郎は大丸二郎、悪仲間の六造は森章二でグルの同心は六本木真。

■ 帰って来た用心棒 第9話「無惨の巻」1968.9.23NET/東映京都テレビプロ

 京の出店へやって来た大店の女将が襲われるが、野良犬のほか凄腕の浪人が関わって企みは頓挫、首謀者の「志士」は名を地に落し遺族は町衆の非難を浴びる。その男を斬った田島は、いきり立った遺児の怒りを受け止めてやるが、状況は変わらず残された者たちは京を去るしかなかった。

ロケ地
・話の過半は市中で進み、御幸町の道標などもセットにあしらい。
・大坂へ帰る女将と大番頭の前に立ちはだかる、志士の手先だった中番頭、伏見手前の街道筋、不明(堤道か、並木は松など)
・野良犬がゆく道、御所拾翠亭南塀際。
・京を去る「志士」大槻の遺児たち、相国寺大通院南塀際〜鐘楼前植込際(大通院の塀越しに鐘楼の屋根が見える)
*訳もわからず襲われる後家の女将に野際ひとみ、彼女を籠絡して軍資金を得るつもりだった中番頭は不破潤、出店を預かる大番頭は海老江寛。中番頭が師事する志士・大槻は月形哲之介。女将を最初に助けた流れ者の浪人・龍造寺平馬は中野誠也。

■ 待っていた用心棒 第9話「関所越え」1968.3.25NET/東映京都テレビプロ

 大黒柱は出稼ぎにゆく雪の寒村で起きる事件、百姓の女房を関所越えの小道具に使おうとした男も、袖の下を貰って通しかけた役人も野良犬たちの介在でおじゃん。難儀を強いられた嫁と、その安否を気遣い駆けてきた亭主、助かるはずの二人の前に暗黒がぱっくりと口を開けて待っていた。
*見ているだけで震えの来る雪の里は、いつも通り全く見当もつかず。*若夫婦は水木達夫と桂麻紀、老父は吉田義夫。嫁を言いくるめて家に入り込む、鬢擦れのある「行商人」は穂積隆信、町人にやつし「嫁」を連れて関所を通ろうとする侍は田口計。「福本清三」は万平ダンナが戻ってきた際の柵の傍の番人か・所作それっぽい。*酒原理主義の狂犬でも呑まぬのは「長虫入り」のマムシ酒。このほか万平ダンナの作る怪しの「生姜汁」は野良犬も食わぬ代物らしい。
2007/11/18

■ 半七捕物帖 三つの謎  佐々木康監督作品 1960.10.16東映

 三本のお話を詰め込んだ作り、御大はキメのシーンにうっそりと登場し、現場でちゃきちゃき動くのは半七が育てた若手の目明しで、彼の祝言が決まる過程を筋立てにからめてある。

 最初のヤマは富商・津の国屋の乗っ取り事件。家を出ることになった養女の縊死からはじまり、祟りネタで主を追い詰める悪党どもだが、グルの和尚や軽業師など種も仕掛けも半七に見破られ御用の運び。
 二本目は仇討ち話、半七見知りの遊び人・伊太郎が仇を求める兄妹に肩入れする。道場の中に籠る仇どもを引きずり出すのに使われる小道具・ズーフラが面白い。仇の道場主を密かに殺させた女狐をとっちめる段でも出て、貸主のいる横浜新地へ話をつなぐ役割もする。
 最後は異人の相手を嫌がった遊女を助けてその異人を斬った若侍・菊川の話、お尋ね者となり自棄を起こす青年を利用し女も横から掠めようとする悪仲間を、常吉親分も助勢してやっつける。菊川の罪についてはとても都合のいいお達しがありチャラに。

ロケ地
・津の国屋の養女・おきよが縊死して見つかる永昌寺、津の国屋の衆が駆け入る門は真如堂山門(赤くない)。墓地はセット。
・伊太郎の挑発に乗って外へ飛び出してきた道場主の岩下と師範代を誘い込む山王境内、下鴨神社参道(脇に塀あしらい)〜楼門翼(伊太郎がスリットからズーフラを突き出し更に挑発)〜境内(舞殿脇に梶井兄妹が潜み待つ)〜二の鳥居。物陰から手が出て岩下を斬る。
・横浜新地の楼から姿を消した遊女の実家へ捩じ込みに来る男衆のくだり、騒ぎを見ていた男が仲間のダンナ方に注進に走る道、南禅寺正因庵前。
・遊女の実家・村上方へ身請け金を持ってきた菊川が受け取りを拒否されたあと、見張っていた常吉に呼子を吹かれ逃げるくだり、南禅寺法堂裏手回廊の開口部から僧堂坂を望む絵が出て、別口で追ってきた伊太郎が開口部をくぐって現れる。菊川は僧堂の塀を乗り越え、僧堂南門から出てくる。菊川が入る仲間の旗本・大月邸は天龍寺寿寧院門。

キャスト
半七/片岡千恵蔵 桐畑の常吉/東千代之介 伊太郎/鶴田浩二 菊川新八郎/沢村訥升 八兵衛/堺駿二 文字春/千原しのぶ
津の国屋次郎兵衛/明石潮 お藤/赤木春恵 お雪/舟橋恵子 金兵衛/原健策 覚念/堀正夫 村木宗次郎/加藤浩 幸次郎/徳大寺伸 梶井三四郎/尾上鯉之助 岩下左内/戸上城太郎 おそよ/花柳小菊 平田喜平次/加賀邦男 神坂七之助/清川荘司 村上治衛門/高松錦之助 お美代/桜町弘子 太田兵助/香川良介 大月孫之丞/吉田義夫 須藤周馬/楠本健二


■ 次郎長と小天狗 殴り込み甲州路  マキノ雅弘監督作品 1962.9.22東映

 次郎長は売り出し中の親分、小天狗は大前田栄五郎の跡取りの青年・栄二郎。芝居小屋で暴れた酔っ払い役人と事を構えた栄二郎が草鞋を履く段から話がはじまる。
栄五郎の指示で海老屋甚八のもとへ行かされる栄二郎、娘の喜代との縁談含み。二人の出会いは掏摸に胴巻をやられて空きっ腹でフラフラの栄二郎に金を恵んでやる喜代という、しまらないものだったり。しかも賭場で遊んでいるうちに海老屋に殴り込みがあり、甚八をむざと殺されてしまうハメに。義父ともなるはずだった親分の死に、栄二郎は仇討ちを期しひとり無謀な旅に出るが、ここへ次郎長が加勢に出て喜代との仲も取り持ち、黒駒の勝蔵をバックにつけたども安を見事討ち取る次第。
*ロケ地は一つとして確認できなかったが、なんかみんな湖西っぽい。棚田の地道や小川の川堤や、そっくり残っているのを期待するほうが無茶だが、遠景の山は変わらないはずなのでいつか確認してきたい。マキノ監督で錦之助の一連の次郎長ものには湖西が多用されている例もある。

キャスト
大前田栄二郎/北大路欣也 大前田栄五郎/柳永二郎 半次(掏摸)/本郷秀雄 海老屋甚八/薄田研二 お喜代/小林哲子 朝駒太夫/藤本二三代 ども安/阿部九洲男 栃川伴之進/小田部通麿 黒駒の勝蔵/山形勲 大政/水島道太郎 仙右衛門/河原崎長一郎 森の石松/ジェリー藤尾 清水の次郎長/中村錦之助

2007/11/17

■ 遠山の金さん 第96話「お湯の中にも鬼が住む」1977.8.25テレビ朝日/東映

 青木さま連れて慰安旅行の最中に事件を拾う金さん、乗せられたフリで巧みに一味を誘導し、彼らを仇と狙う青年は捜査に邪魔なので乱暴に町方に渡して、ブツを買いに現れた顔役たちも一網打尽。運んでいるのは火薬と鉄砲、極端に火を恐れる一味の描写が傑作。
 ロケ地、箱根の湯宿、日吉山荘。夜中こそこそとツナギをとりに行く闇の半兵衛の段では飛竜の滝上を伝い歩き日吉大社白山宮の祠前を通り過ぎるシーンがある。北町御用の高札を掲げた一味が越えてゆく難所は保津峡落合崖道〜落下岩前、上の岩場から矢之吉が岩を落とすが失敗。江戸を指して街道をゆく一味が小休止の茶店、北嵯峨農地竹林際(茶店に金さんがいて火薬の詰まった箱に煙管をぽんぽん、凍りつく一味が大笑い)
*金さんをちょっとした色仕掛けで誘い込む女は弓恵子、番頭という触れ込みの闇の半兵衛は多々良純、浪人は睦五郎。一味に店を襲われた生き残りの青年・矢之吉は五味一孝。*青木さまの鼻ちょうちん浮揚や、赤目主従が湯でひん剥かれる仕儀などコミカル要素てんこ盛り。ラストは表題の都々逸を口ずさむ金さんで締め。結束信二脚本。

■ 必殺仕事人IV 第25話「主水の上司転勤する」1984.4.20ABC/松竹

 お民の鳩仲間のおばちゃんが殺される話、次第と依頼を血で記した布きれは、鳩の足に付けられて届く。仕置の場に来合わせた田中サマを投石器でボッコンの件は、彼のお手柄になってしまい八丈左遷が取りやめになって主水を泣かせる。
 ロケ地、鳩を放しに行っておさわと知り合うお民と秀、北嵯峨農地か(小丘の上の松の根方)。帰り道、おさわを自宅に誘う二人、北嵯峨農地竹林際(竹越しのシルエットも)。北城屋の娘が酔漢にからまれているのを助ける宮部浪人、今宮神社門前茶屋・一和。北城屋の侍女に頼まれ宮部を尾行する加代、なぜつけるとヒネられキスされてしまうのは今宮神社稲荷社脇。おさわがお参りの神社、今宮神社本殿。箱根さして街道をゆく宮部とおさわ、北嵯峨農地畦道。おさわが殺される山道は不明、脇に竹林も見える。
*おさわは田島令子、夫の宮部は剣持伴紀、娘のため宮部を入り婿にと望む北城屋は三谷昇で詳細は語られないが相当のワル。
2007/11/16

■ 銭形平次 第547話「情の墓参り」1976.11.10フジ/東映

 八の失恋話をフレームに描く若い恋人たちの愛の成就、親分は十二年前の町方の汚名を雪ぎ青年の鬱屈を解放してやる。
 ロケ地、おさよの茶店、大覚寺五社明神祠裏の林にあしらい。平次夫婦と八がやって来る段では観月台が背後に映り込んでいる。
*父を冤罪で亡くしお上を恨む掏摸の青年に風間杜夫、恋人のおさよは松岡まり子。冤罪のもとの盗みをはたらき、今また青年を盗みに引き込もうとする悪党は幸田宗丸、手下に白川浩次郎や不破潤。*八の恋ばなしは次の的に映り、再び万七が現れて嘴をはさむお笑いで締める。

■ 帰って来た用心棒 第8話「野分の中」1968.9.16NET/東映京都テレビプロ

 京に遊学していた常陸の郷士は、才に溺れ志士気取りで動き虎の尾を踏む。田舎からやって来たその若者の老父のため動くダンナたちだが、青年と父が生きて会うことは遂に無く、また闇は深くフィクサーの実像も杳として知れない。

ロケ地
・大原女や田島に道を聞く奥田老人、ねねの道付近街路。
・老人の倅がいるはずの宏堂学塾、不明(脇に路地、門は檜皮で前に石橋←欄干に「) (」こんな感じのアールつき)
*老父は月形龍之介、倅は山根久幸、彼の子を身籠っている酒肆の女は馬淵晴子。大坂の富商と称するフィクサーは原健策、周作とお大尽を取り持つ男は玉生司郎。

■ 待っていた用心棒 第8話「雪あかり」1968.3.18NET/東映京都テレビプロ

 実家の父に無理を言い貰い受けてきた盆梅、雪道を難儀して運んできた妻女を待っていたのは、寄りかかっていた大樹が失脚しうろたえる無様な夫。そして不実な裏切りのすえ、無駄な屍が重なってゆく。
*ロケ地は雪の里、山が近い。旅籠の萱葺は見たような気もするが、雪に埋もれていて確認不能。*内儀は花園ひろみ、若党は宗近晴美、主人の侍は外山高士で連れ出した芸者は水上竜子。珍しく女連れの捨て犬だが芸者の用心棒、狂犬は失脚侍のお供でやって来る。

■ お江戸吉原事件帖 第4話「迷い込んだ若様」2007.11.16TX/CAL

 仲間と落ち合うのに松葉屋を選んでしまった坊ちゃん侍は文無し、わけもわからず太夫を揚げたためとんだ居残りさんとなりこき使われる。仲間の死を知り決然と吉原を出てゆく「若様」だが待ち伏せに遭い拉致、この際尾行していたあけみが斬られたこともあり、三羽の雀は悪党の成敗と若様の救出に向かう。藩からお迎えが来て借金も済し帰る若様を、引き止めもせず送り出してから泣く玉菊ちゃんが可愛いのだった。

ロケ地
・若様と仲間が追われ逃げる夜の掘割、大覚寺勅使門橋下・御殿川河床。
・若様の同志・杉田が吉原へ向かおうとして待ち伏せに遭う日本堤、嵐山自転車道
*慎之介若様は大柴隼人、悪家老は内田勝正で悪徳商人は二瓶鮫一。元締に借りがあるらしい大目付は伊吹吾郎。福ちゃん二態、悪党が成敗されたあとに出てくる間抜けな用心棒と、大門で若様を出迎える家臣。この家臣には峰蘭太郎の姿も。*今回の仕置はあけみ抜きの三人、浪人や家老とガチの二人強過ぎ。
2007/11/15

■ 銭形平次 第546話「男になりたい男」1976.11.3フジ/東映

 お調子者の天満の喜ィやんを盛りたててやる平次の人情話、心温まる親分のやりようを見て、とても敵わぬと喜八は笑う。
 ロケ地、迷子になっていた正助の子を拾う八、木島神社鳥居前。板橋への行き帰りの街道、北嵯峨農地か(立ち回りは竹林林床)
*喜八は笑福亭鶴光、彼を手懐け情報をとろうとする鳥羽蔵は溝田繁。殺された元博労と幼馴染四人の人間模様が錯綜する。*万七がフライングして捕まえてきた女形が口汚く突っかかるのを「女形なら啖呵の切りようも」とたしなめる親分が面白い。鶴光の鼻歌ももちろん入っている。

■ 待っていた用心棒 第7話「志士になる日」1968.3.11NET/東映京都テレビプロ

 親戚宅でこき使われる兄妹、ある日会いにやって来た幼馴染は志士になりおおせていて、武士になれると誘う。しかし志士たちには既に手が回っており、青年が町方に売ったと誤解した幼馴染は彼を斬りにくる。割って入り、心ならずも斬ってしまった野良犬の表情が凄絶。

ロケ地
・タイトルロールの八王子在、土地の青年たちが撃剣の稽古に通う道、穴太橋走田神社(社務所前から鳥居前を過ぎ社叢脇へ)
・近在の青年たちが稽古をする家、不明(瓦葺、低い塀からお百姓が覗き込んでいる)
・八王子宿を出た野良犬たちがゆく道、具体的特定は難しいがこの山が見えているので穴太の里と思われる。
*旅籠の下働きの青年は大丸二郎、妹は山岸映子。幼馴染が「先生」と呼ぶ志士は西山辰夫。青年の稽古仲間に川谷拓三、旅籠へ出張ってきた役人に西田良。

■ 帰って来た用心棒 第7話「六角の闇から闇に」1968.9.9NET/東映京都テレビプロ

 六角の獄に囚われていた浪人は、あまりの苦しさに耐えかね密偵を引き受けてしまう。しかし町雀でさえ怪しむ早すぎる出獄を、長州が疑わぬはずもなかった。夫婦の危機に現れるは、謎の筋から寄越された用心棒・野良犬。

ロケ地
・牢を出てきた塚本浪人が家へ向かう道、仁和寺五重塔北側の小径〜金堂へ向かう坂〜鐘楼前〜東福寺一華院前。
・長州出入りの浪人が捕り方に追われる市中、仁和寺観音堂脇から石段を駆け上がり水掛不動参道口へ。チャンバラは鐘楼前。
・逃げた一人を追う捕り方、東福寺同聚院脇路地(突き当たり付近)からセットにスイッチ。塚本浪人が帰宅の際通る路地も同所。
・野良犬の示唆で刀を脱し京から去る夫婦がゆく道、大覚寺有栖川畔〜護摩堂前〜天神島朱橋。
*塚本浪人は川辺久造、妻女は桜町弘子。長州藩士は田畑猛雄。*千造が自身番で水飴を売っていて青木同心に叱られるが、製造元は万平ダンナで山ほど作っている模様。十吉もやっていたり。水飴というが箸の先にからめて食うアレではなく、割水した「冷やし飴」のことと思われる。しかし甘酒といい冷やし飴といい脳天にくる強烈な甘さで、酒飲みがあんなものを飲むとは信じ難い。
2007/11/14

■ 待っていた用心棒 第6話「冷えた燗酒」1968.3.4NET/東映京都テレビプロ

 野良犬が危機を教え逃がしてやった若侍たちの件は後をひき、殺到した追っ手により元からボロい玄妙館はさんざんに破壊される。混乱の中に無辜の命も失われ、塒をなくしたダンナたちは江戸を去ってゆく。

ロケ地
・玄妙館、同じようなお長屋ふうの門が二つ、右手奥には神社らしき石段と鳥居。しかし前の道が妙に広くてセットくさい。
・大金を見せびらかしてならず者に殺された坂井の検分、琵琶湖岸。亡骸が運ばれていったあとに、野良犬が汀を歩み去る姿が来る。
*留守居役を抱き込んで勢力拡大をはかるも失敗し追われる「急進派」の若侍の一人・坂井に坂口佑三郎、手前勝手な屁理屈で志士を気取るほかとんだ色悪。彼の若党に宮土尚治(現・櫻木健一)、坂井らが江戸入りを阻止しようと板橋で見張っていた藩士は森章二。

■ 帰って来た用心棒 第6話「粟田口の迎撃」1968.9.2NET/東映京都テレビプロ

 訳ありげな「志士の妻女」を助けて動くダンナたちは、京と大津を行ったり来たり。夫婦も庇護者もやられてしまうが、「密書」は不思議な男の手によりいずこかへ届く。

ロケ地
・大津の浜で立ち回りの野良犬、琵琶湖西岸。これに先立って映し出される船のシーンは流入河川の河口部か。葦原をナメて、野良犬のいる湖岸の草地へパン。立ち去る野良犬の足元に波が寄せている。陽が昇ったあと映る湖面は琵琶湖大橋から南望の堅田あたり。
・万平ダンナと美和が近江へ向かう道、堤道か。野良犬が出てくる茶店は橋たもとにあしらい、橋は簡素な木橋で琵琶湖流入河川と思われる川に架かっている。流れはけっこう急。
・野良犬が美和の「夫」大内を保護してある屋敷、不明(「離れの座敷」のみ映る。民家か)
・夫の亡骸を寺に預け出てくる美和、随心院参道(中から山門と、外から山門越しと両方のアングルが使われる。設定は保護されていた大津の屋敷の近く)
・美和のお供をして京入りの万平ダンナと野良犬、三人が差しかかる「粟田口」の道標がある夜道は吉水大弁財天女社前。檀浪人が現れてこの先に20人いると注進するのは円山公園東縁の道、人数のうしろに大谷祖廟北通用門の石段が映り込む。大立ち回りを物陰から見ていた檀浪人が独り言を呟きながら去る坂は円山公園へおりる坂。田島を加え歩き出す四人、どこまで送るのか美和に問う万平ダンナのシーンは大谷祖廟北通用門の西の塀際。
・美和を夫とともに葬った墓から帰る万平ダンナと田島、随心院参道(外から門越し、設定は山科とナレーションが入る)。墓地そのものは不明。
・ラスト京イメージ、東寺南側の歩道に露店あしらい、塔と南大門映り込み/嵐峡から見た渡月橋(ズームアウト)
*美和は伊藤栄子、京での庇護者(町家)は徳大寺伸、大月は長谷川哲夫。追っ手情報を知らせる乞食じみた謎のアイパッチ浪人・檀万三郎は舟橋元、得物は薪ざっぽ。*随心院の設定については、全く同じアングルで映るし設定もほぼ同じだが、先のは大津にいる美和が「近くの寺」と言い、後のはナレーションが山科と言うので、「ロケ地資料」にはいちおうその通りに併記。

■ 銭形平次 第545話「屋形舟の殺人」1976.10.27フジ/東映

 恩人にして庇護者の夫が実はとんだ食わせ者という薄幸の女が、末には幸を得て江戸を離れる経緯を描く話。視聴者には悪党の正体をちらちら見せて謎解きを進める仕立て。
 ロケ地、由五郎が殺されて見つかる屋形船、広沢池東岸に繋留。平次が由五郎の過去を流人仲間の老爺に聞き込みに行く雑司ヶ谷の農家、亀岡か(萱葺民家、遠景に山なみを控えた広大な田地、イメージのみ)。雑司ヶ谷から帰って来る平次を待つ八、平次が渡る橋は中ノ島橋、八の待つ茶店は橋たもとにあしらい。「南池袋」からの帰りゆえ、設定は神田川江戸川橋あたりか。
*苦悩の被害者面がなかなかの質屋の内儀は岡田可愛、亭主は成瀬昌彦、「心の恋人」から真の夫婦へと結ばれる手代は高峰圭二、島帰りの父は沖ときお。
2007/11/13

■ 待っていた用心棒 第5話「湯島裏の女」1968.2.26NET/東映京都テレビプロ

 苦界に身を落とした元同心の妻の代人として、かつ「仲間のようなもの」を助けるため、野良犬は南町与力のもとへ乗り込む。三様に弱い女に優しい名無し犬たちだが、女は身を隠し金を届けることもできない。
*ほぼセット撮り、野良犬が八丁堀同心に刃を突き付け女の夫の切腹の真相を聞きだす「材木置場」はロケと思われるが、夜なうえ木ばかりで特定困難(神社の玉垣のような目印も一切映らず)。*女の夫の御用を勤めていて連座し、今は女の情夫の要助は穂高稔、女は三原有美子。倒幕浪士と通じ捜査情報リークで私腹を肥やしていた与力は小柴幹治、配下の同心は山口幸生、目明しは出水憲司。浪士たちの説明のくだりに出る、町をゆく浪人集団の中に福ちゃん・小峰さんに平沢彰。*捨て犬は要助に暗殺を頼まれ、野良犬は上記の通りに関わってゆくが、狂犬は道場で酒食らって寝てるだけ・しかし女には気遣いを見せもする。万平ダンナは道場を賭場に貸した罪で投獄されていて、家主権限で捨て犬に便乗して出して貰う。*今回も玄妙館のひでー現状が出てきて、鼠は天井裏を激しく這いまわり土埃を盛大に落として女を脅えさせる。狂犬曰く奥にも部屋はあるが根太が腐っていて台所は鼠の巣、道場がいちばんマシらしい。

■ 帰って来た用心棒 第5話「地蔵盆の灯り」1968.8.26NET/東映京都テレビプロ

 地蔵盆の宵、万平ダンナが拾った迷子は野心を抱く倒幕浪士によって人質にされてしまう。子を送っていった手習いの師匠が巻き込まれ危機に遭遇するとき、夜の路地にうっそりと野良犬が現れる。

ロケ地
・浪士たちが子を送ってゆく師匠の前に立ちはだかる道、不明(両側塀、腰高な石垣)
・京都所司代、大覚寺大門
・師匠の家近くの地蔵堂へ駆けてゆく子ら、大覚寺五社明神
・さらった子の父を呼び出し与力暗殺の手引きを迫る浪士たち、大覚寺護摩堂(前年にできたばかりの心経宝塔が映り込んでいる)
*手習いの師匠は高森和子、与力のお供をしている子の父は河上一夫、師匠に食ってかかり野良犬にたしなめられる女房は伊吹友木子。*万平ダンナ傑作、暇なのか子供好きなのか地蔵盆に集う子らに混じり歌を教えたりはいつもの通り。そんな万平ダンナを仄かに慕う師匠の気持ちには全く無頓着なのがらしいというかダメっつうか、とにかく笑える。

■ 銭形平次 第544話「明日の行方」1976.10.20フジ/東映

 金箱を掘り出しに来た盗っ人が白骨死体を掘り当て腰を抜かす椿事からはじまる事件、殺人事件の後始末を引き受けた大工は、吉原女郎を身請けするための金を欲していた。彼があっさり口封じされたあとは、身請けされ女房となった女の悲痛な心情が描かれる。
 ロケ地、冒頭の鐘撞きの寺、不明。備前屋の死体が見つかり平次が訪ねてきたことを「舎弟」に相談におよび斬られる大工、大覚寺大沢池堤・水門そば。
*大工は和田浩二、女房は二本柳俊衣。備前屋の主におさまっていた旗本の舎弟は中田博久、兄の旗本は中庸介。*どうしても生きて大門を出たくて手練手管で客に身請けをせがみ、逃げ出す算段だった女だが相手の優しさにほだされ恋女房に。その男を亡くし、危ないとわかっていて旗本の呼び出しに応じ、はじめ男を騙したことへの贖罪代わりにネガティブな後追いを遂げようとする女に、親分のお説教という寸法。仇討ちに乗り込んだと思い込んでいる八に、夫婦して説明する後付けも入れてある。*髑髏見たあと平次ばかりか八まで食欲をなくすが、絵はけっこう漫画チック。
2007/11/12

■ 銭形平次 第543話「妹よなぜ」1976.10.13フジ/東映

 妹に良かれと自らの結婚も躊躇っていた兄、妹と彼の女と、二人の女が岡っ引としての男を苦しめる。
 ロケ地、平次を待つ八、今宮神社石橋たもとに茶店あしらい。平次は石橋を来る(鳩飛び立ち)。寄場帰りの伝八とおみのが逢引するのは東門前。伝八殺しの検分のあと、源太を問い詰める平次、今宮神社稲荷社脇。
*源太は村野武範、妹は遠藤真理子、結婚を約束していた酒肆の女は富山真沙子、妹にコナかけ・昔の女を利用の伝八は水上保広でヤクザの親分は永野龍雄。

■ 帰って来た用心棒 第4話「祇園小路に死す」1968.8.19NET/東映京都テレビプロ

 病の父のため花街にいた女は、恋人の仕官のため客の公儀役人に身を任せるが、男が仰せつかった仕事も女の仕出かした不実もろくな結果を呼ばず、恋人たちは空しく石畳に骸を晒す。

ロケ地
・「道場破り」の田島が、さっき負かした師範代に声をかける道、東福寺同聚院脇路地一華院塀北東角。師範代をクビになった浦辺浪人が石を投げ込む小川、上賀茂神社ならの小川神事橋たもと。橋を渡って美代香がやって来て、二人はともに長屋へ帰る。
・祇園町の描写、出勤する芸妓たち、石塀小路
・祇園さんへお参りの美代香、八坂神社境内。
・影の所司代・内藤を狙って殺到する倒幕浪士たち、料亭の裏塀は石塀小路、浦辺と美代香が落命するのもここ。
・奉公に上がる美代香の妹、八坂神社境内本殿裏石段白川巽橋・白川新橋石塀小路(下河原通側入口)
*浦辺は早川保、美代香は長内美那子、内藤主膳は城所英夫。浦辺が命じられるのは、長州者の中に倒幕浪士として潜入する仕事。小田部・香月コンビが目明し千造と青山同心で登場し、下っ引は西田良。万平ダンナの言葉ひとつで野良を信用。*ダンナたちは野良犬の奢りで高い料亭に上がりこんでいて騒動に際会するが、食いつけぬ佳肴をもしゃもしゃ食らう田島がなかなか可愛い。

■ 待っていた用心棒 第4話「暗殺」1968.2.19NET/東映京都テレビプロ

 イデオロギーを主張したため消される旗本、その暗殺をめぐり多数の人々が巻き込まれ運命を狂わされる。

ロケ地
・旗本・望月孫兵ヱ邸、東福寺一華院門。裏口の描写はセット。
・望月邸の侍女と裏口で会っていた大工の青年・栄吉が暗殺を目撃する帰りの夜道、宗忠神社玉垣下のいまパーキングになっている所、北鳥居と水場も映り込む。狂犬が出てくる長屋はあしらいもの。栄吉が話していたルートは「八幡さまから切り通しに出て近道」。
*狂犬は栄吉を助け、捨て犬は口入屋の用心棒から豹変、野良犬は当の望月の用心棒として本人に頼まれていて依頼主の死後も律儀に役目を果たす。万平ダンナは栄吉の親方の近所に道場がある設定、近所の評判は「化物屋敷」で、先代・先々代も有難くない異称を貰っていた模様。*栄吉は賀川浩、侍女のお雪は坂倉春江、実は暗殺を指揮していた目付は飯沼慧、玄妙館へナシをつけにくる口入屋は不破潤、望月家断絶後莫連女になって狂態を晒す意地悪な女中頭は伊吹友木子。
2007/11/11

■ 照る日くもる日  内出好吉監督作品 1960.4.26第二東映

 江戸を騒がす御用盗は、密命を帯びた薩摩藩士の仕業。彼は役目に区切りをつけ風雲渦巻く京へ向おうとした矢先、折しも結成された幕府の地下組織の手にかかる。ここから、残された息子とその恋人、同じく江戸に潜んでいた薩摩藩士、ひょんなことから関わってくる女盗賊一味が複雑に絡み合い、地下組織を束ねる大身旗本の屋敷で大活劇が繰り広げられる。これは前編で、屋敷に侵入する段で中ほど。
 ロケ地、深川八幡、御香宮。細木年尾が白雲堂を訪ねる道はセットの深川八幡裏道通りからごこんさん拝殿前〜回廊脇を通り再びセットにスイッチし白雲堂の長屋へ。後段、辰巳芸者のお林が白雲堂にツナギをとるくだりでは、お林がまず本殿にお参りし、本殿脇に店を出している白雲堂のもとへ(ここへ妹芸者たちがわっと殺到する)。細木宅も加納邸もセットだが、加納邸侵入の際船が水門付近の水流に呑み込まれ傾いたあと、鳴門の渦潮と思われる映像がインサートされていて大仰。
*加納邸は仕掛けがいっぱい、剣客・岩村鬼堂が組織に加わる旨返事をした座敷からして、紐を引くと畳がパカっと落ちるように作ってあり断ると地下行き。その地下、一部は牢で水門を開くと囚われ人は藻屑と散るシステム。通路は折れ曲がってちょっとしたダンジョン、秘密組織の会合も地下で行われる。
*深手を負った細木新之丞は女盗賊の助けでからくも家に辿り着き、息子に後事を託し落命。表には捕り方が殺到するが倅の年尾は父の亡骸に掛けた布団に火を放ち逃走。その頃、女盗賊は加納らに追われ危機に陥り、結城一郎太が助けようとするが敢無く捕われ加納邸へ連行される。


■ 照る日くもる日 后篇  内出好吉監督作品 1960.5.3第二東映

 加納邸侵入の段から再開、加納が組織に命じているただならぬ内容を立ち聞いた結城一郎太と細木年尾は、仲間にこのことを知らせるのが先決と脱出を決意。結局乱闘となるが、捕えられた女盗賊の仲間も同時に乱入していて大混乱。なんとか屋敷を出たあとは、京が舞台に。
 ロケ地、薩摩藩京屋敷、御所管理事務所門(東門)。京都所司代は北門に似るが細部が異なる長屋門。加納の一党が京へ向う街道、琵琶湖岸(砂浜の湖岸と松原脇の地道)。結城が加納のやって来るのを見張る京へ一里半の飯屋(山科)、二階から見える街道風景は棚田か。京へ入った加納の配下・大庭を見張るため同じ旅籠に腰を据える細木、部屋から眺めやる小川イメージに白川。加納が入る白川の河内屋山荘、不明(まず門が映り、庭はけっこう広壮な池泉で大立ち回りもあり。脱出した結城が馬を「借りて」逃げる道は谷地田か)。加納が本当に腰を据える深草の南山荘、阿弥陀ヶ峰参道脇の桐院席に似る。焦れて逸った加納の息子・節太郎が三条卿らを斬る屋敷前、仁和寺勅使門(書院がのぞく)〜参道。節太郎を人質にした結城らが加納を呼び出す八坂塔、仁和寺五重塔(イメージのみ、お芝居はスタジオセットに塔初重を組んで)。官軍の行進(細木らは晴れがましくシャグマをつけて馬上)、田畔(不明、棚田か。設定は草津付近)
*細木が気にかかり京までついてきてしまうお銀、けっこうお役立ち。
*岩村の娘・お妙をたばかり倅の嫁にしようとする加納だが真意は深く、心情を吐露する場面は切ない。
*立ち回り場面などで前編から鳴っているメロディーは維新マーチのヤッパンマルス、後編のラストシーンでは鼓笛隊とともに高らかに登場。
*「シャグマ」、細木のは赤くて結城と西郷どんのは白い。全員薩摩なんだから色を完全に外していることになるが、どのみち記号なのでま・いいっか。

2007/11/10

■ 遠山の金さん 第95話「殺しが呼んだ恋月夜」1977.8.18テレビ朝日/東映

 鼈甲を持っていた船頭が殺されてはじまる事件はもちろん抜け荷がらみ、全ての糸を引く与力に別口で脅されタレコミ屋をしていた親爺の件では、白州で金さんの正体を見て娘の恋が終ってしまう哀話もついてくる。
 ロケ地、賭場で金さんに駒の代金として鼈甲を渡した船頭が通るのを見ているお昼寝金さん、大覚寺護摩堂縁先。その直後編笠侍が船頭を斬るのは天神島、これらの設定は佃島。屋台蕎麦屋の喜八が南町与力に呼び出され脅されるのは大覚寺五社明神。金さんを殺そうとしてできない喜八、与力一味がやって来て大立ち回りは赤山禅院西池か。
*喜八は村上冬樹、娘は小野恵子。鼈甲を渡した船頭は井上茂、潜りの正吉一味に福ちゃん(名のみクレジットあり、しかし「三」のとこすげー歪んでるのはひょっとして「二」だったのを直した痕では)。

■ 必殺仕事人IV 第24話「秀空中で戦う」1984.4.13ABC/松竹

 闇の大元締からトップダウンの指令は依頼主も不明の仕事、的はかつて秀が仕込まれた軽業一座。調査のすえ非道の行いが明らかとなり、秀は兄弟のように育った青年と対決する。
 ロケ地、久しぶりに矢七と空中ブランコの技を試したあと、何か厄介ごとがあるのか聞く夕陽の葦原、木津河原。長生きしろと言い捨て駆け去る矢七は流れ橋上。「仕事」のあと始末した一家を簀巻きにして川に投棄する「一座」、流れ橋(橋脚に秀が潜み姉弟の会話を聞く)。出陣の勇次、中ノ島橋下背割、秀は流れ橋上。
*矢七は加納竜、姉の出刃打ち芸人は鳥居恵子。裏の仕事を仕切る道化の権蔵は江幡高志、胸のへんまである袴がラブリー。闇の大元締は志摩晴彦。
2007/11/9

■ 銭形平次 第542話「平次相合い傘」1976.10.6フジ/東映

 常磐津の師匠に入れあげる、どこかから赤子を連れてきてお静に丸投げ、「平次も男」とろくでもない憶測が飛び交うがもちろんお調べの一端。色っぽい師匠は、盗っ人の引き回しに立ち会った平次から最期の言葉を聞き出そうとする。
 ロケ地、処刑された盗っ人の女房・お加代の墓、西壽寺石龕脇。サルスベリのある神社を探し回る八、今宮神社(聞き込みは稲荷社前、疲れて座り込むのは石橋)。鬼火の新八が盗金を隠していた鳥越明神、赤山禅院本殿脇。
*師匠は二宮さよ子、ここの飯焚きで正体はアレな爺さんに北村英三、川獺の吉五郎が新八を売ったと告げて死ぬ男は唐沢民賢。*浮気平次にやきもきの周囲が大笑い、万七親分なんか師匠宅に乗り込んで「切れてくれ」とくどくど。

■ 帰って来た用心棒 第3話「送り火が燃えるとき」1968.8.12NET/東映京都テレビプロ

 盂蘭盆の夜、寡婦のもとへ義理筋から預けられた客は倒幕浪士。たちまち降りかかる災難、町方に追われ家にも戻れぬ母子を優しく頼もしく保護する三人だが、彼らにかかる難儀を心苦しく思った寡婦は、娘を連れていずこともなくそっと消える。

ロケ地
五山送り火は大文字が遠景と燃える護摩木のアップで本物を。料亭から見える大文字は書割、妙の字は遠景の本物、船形と鳥居形は模型越しの書割。
・預かった客を残し使いに出る母子、円山公園か(塀際と林間、町へおりる石段)
・土佐藩京屋敷へ掛け合いに行く野良犬、東福寺一華院門。通される座敷は不明。出て来た野良犬に対応を聞き怒りを露わにする田島は門続きの塀際(北へ歩く)
・万平ダンナが掛け合いに行く寡婦の勤め先の清水の料亭「梅むら」、不明(料亭か)。これに先立って清水イメージに清水寺三重塔が挿まれる。
・町方をまいて塒に帰って来た野良犬と田島が歩む路地、祇園界隈か(石畳)
*寡婦は鳳八千代、土佐脱藩浪士は菅貫太郎、預けに来る番頭は西山嘉孝で料亭の主は天王寺虎之助、倒幕浪士を探る目明しは山口幸生。

■ 待っていた用心棒 第3話「吹きだまりの月」1968.2.12NET/東映京都テレビプロ

 武士を捨て市井に生きようとしていた男が、時勢に乗った企みの果て虫けらのように始末される。密談を隣の座敷で聞いていて黙過した野良犬だが、残された健気な娘の用心棒として彼女に降りかかる火の粉を払い去ってゆく。

ロケ地
・料亭に呼ばれ留守居役暗殺を断った帰り、佐山浪人が元同僚の藩士たちに斬られる道、疏水分線大豊神社御旅所付近(川端、橋、板塀際)〜宗諄女王墓前(川端、墓所際、橋)
・万平ダンナの道場・玄妙館、不明(旧地裁官舎に似た長屋門)
*佐山浪人は植村謙二郎、娘は河村有紀、父子と懇意の大工は武周暢。*大工と万平ダンナは馴染みで、江戸へ帰ってきたばかりのダンナと酒肆で旧交を温めているところへ佐山浪人の凶報が入る運び。捨て犬と狂犬は万平ダンナの道場を訪ねて来ていて、藩士らが手配した鳶たちが乱入してきたのをボコる←酒がなくてご機嫌斜め。狂犬などはやって来た同心に酒買って来いと毒づいたり。野良犬が披露するくどい理屈が例の口調で開陳され見もの。*酒肆の「ポスター」が「くだん」なのも凝っている。

■ お江戸吉原事件帖 第3話「涙の起請彫り"ぬしさま命"」2007.11.9TX/CAL

 松葉屋の花魁・若菜は、三枚起請を出したり朋輩相手に高利貸しをしたりの、ちょっと問題な女。幼い日に夫婦約束をした青年が故郷から出てきて男衆をしているが、吉原の掟に縛られた男女の恋は忍ぶ恋のまま終ってしまう。

ロケ地
・市中イメージに八幡掘をゆく船、船頭福ちゃんっぽい挙動。
・若菜から堺屋に宛てた文を届けに走るあけみ、嵐山自転車道
・ラスト、箱屋を連れて日本堤をゆくおれん、嵐山自転車道。この前に映る赤い百日紅は嵐山東公園のもの→写真
*若菜は山田まりや、直次郎は草野康太。若菜の金を騙し取る実は金貸しの「堺屋」は杜澤たいぶん、手下は伊庭剛。*タイトルは堺屋に証立ての刺青、直次郎の臨終に際し作り物だと落として見せる。
2007/11/8

■ 銭形平次 第541話「人情江戸暦」1976.9.29フジ/東映

 濡れ衣を着せられたうえ板前を続けられなくなった男は荒み、いまや強請りが飯の種。しかし彼と駆け落ちしてきた女は、所行を知りつつ一途に思いを寄せる。その腹に子が宿ったと知ったとき男は一か八かの勝負に出て、罪は償わねばならぬものの結果オーライで未来が開けるのだった。
 ロケ地、船頭の房吉が乗せた男女を強請るくだり、屋形船がゆく川は桂川か。お堂で寝ていてヤクザにボコられる房吉(恐喝の報復)大覚寺護摩堂。房吉に金を持ってゆく半田屋の主、御室霊場放生池石橋〜お堂。お崎を呼び出す房吉、待っているのは中ノ島橋上、大金を渡し故郷へ帰れと言うのは橋上手の中州法面、平次が渡って来るのを見て立ち去り。その後お崎と話す平次は橋下の汀。房吉に上方へ行けば板前ができると持ちかけ妊娠を告げるお崎、赤山禅院拝殿前。強盗に入り逃げている元同僚の粂八に飯と着替えを持ってくる房吉、赤山禅院本殿(垣内)。粂八の分も加え大金を半田屋に要求する房吉、大覚寺天神島(祠の「裏」に朱鳥居あしらい)。金受け取りに指定の浅間神社境内、木島神社本殿(粂八が正体を現し、危機には銭)
*房吉は尾藤イサオ、お崎は梶三和子。半田屋夫婦は小鹿番と松村康世、婿養子の浮気騒動が人情劇に。房吉の濡れ衣の元でもあった粂八は山崎猛。

■ 帰って来た用心棒 第2話「赫い月の夜」1968.8.5NET/東映京都テレビプロ

 田島の下宿先で起こる「ご時勢」の騒動は「しんどい仕掛け」になっていて、益体もない屍が積み重なるのみ。叔父を訪ねてきた白川女と田島が再び顔を合わせることもなく、一見平穏な京の日常が続いてゆく。

ロケ地
・冒頭の京イメージ、三条大橋渡月橋(嵐峡からのズームが引いてゆく)嵐峡右岸(大原女が通る)辰巳大明神(白川女が通る)〜白川女たちが出発する里(山裾に萱葺民家)金閣銀閣清水寺子安塔龍安寺石庭御所大路社家町はずれ明神川渡月橋(臨川寺前の左岸から)〜鐘楼(不明)〜田舎道(不明)藤木社越し明神川
・田島の下宿に叔父を訪ねてきた白川女が帰る道、社家町明神川畔。
・野良犬が公家の雑掌に啓蔵の香典を取りに行く公家屋敷、社家町はずれ・明神川畔民家(現在は建て替わっている。手前に映り込む塀は現存)
・おたえがめかしこんでいると朋輩にからかわれる白川の里、不明(先に出たイメージと同所)
・仕事を終えて夜道をゆく野良犬、社家町・明神川畔。
・締めくくりの京イメージ、清水寺全景〜南禅寺三門金閣渡月橋藤木社越し明神川
*白川女のおたえは松山容子、叔父で田島の大家の啓蔵は永野龍雄(公家の使い走り)。啓蔵を斬った侍たちの一味のゴロツキは草野大悟で、啓蔵の警護を野良犬に頼んだ公家の雑掌は増田順司、二人は兄弟で「しんどい仕掛け」なるも詳細は語られず。*タイトルは不吉なイメージの赤い月、その下で野良犬が血刀を振るう。*白川女と大原女の違いで薀蓄垂れる万平ダンナ、袴をたくし上げて熱演。物売りでは梯子担いだ「畑の姥」も出る。

■ 待っていた用心棒 第2話「町の中の野火」1968.2.5NET/東映京都テレビプロ

 とある城下町、横車を押す二足の草鞋に苦しめられる男女の哀話。捨て犬の儲け話に乗り目明しを黙らせるための金を稼ぎに出る野良犬だが、駕籠に乗っていたのは目指す大物ではなく、身代りをつとめた狂犬だった。

ロケ地
・城下を通る大物の件が「有志」に伝えられるくだり、料亭は円山公園か。三々五々家を出てゆく侍たちの情景は民家長屋門付近の町なみ金剛禅寺付近の町なみ。天守を望む城下町はセットと書割。
・「清河八郎」の駕籠がゆく街道、落合トンネル手前〜保津峡左岸の道(地道)〜竹林際(北嵯峨農地か)
・城下を去る野良犬に報復と立ちはだかる藩士たち、不明。
・捨て犬と狂犬がゆく城下の町角、民家長屋門付近
・父の墓に別れを済ませてきた酒肆の男女が万平ダンナと行き会う境内、西教寺本堂前。万平ダンナが参る酒肆の主と目明し宅の下女の墓、西教寺墓地(大師堂の甍が映り込む)
・捨て犬と狂犬がゆく江戸へ四十五里の街道、中山池堤か。
・野良犬がゆく街道、野道は不明、渡る橋は犬飼川下河原橋(旧の木橋)
・タイトルロールの街道筋(清河の駕籠がゆく道)、切り通しは安行山か。渡る橋は若森廃橋、見上げの堤道も。
*野良犬が福笹をくれてやった目明し宅の下女は大川栄子、酒肆の女は磯村みどり、恋仲の無宿人は林浩久。二足の草鞋は福山象三。
2007/11/7

■ 銭形平次 第540話「わくら葉の女」1976.9.22フジ/東映

 正義感の強い若手与力が煙たい悪党は罠を仕掛けるが、それに加え悪党の根城の岡場所にいた女が実母と知れ、悪党はいよいよ調子づく。手柄話をしているところへ乗り込んだ平次も居直られ窮するが、倅を思う母は悪党に突進し我が身を斬らせ「口実」を作りだす。
 ロケ地、出勤途中の松岡与力を襲う般若一家のチンピラ、相国寺鐘楼裏手(兄貴分が芝居の段取りを指示するのは碑の陰)
*松岡与力は太田博之、幼時に大火ではぐれた実母は馬渕晴子、松岡の養母は阿井美千子。身を捨てて我が子の危難を救う実母と、正義を貫くよう勧める養母と、二人の母が泣かせる。本所深川を仕切る大悪党・般若の栄五郎は神田隆、ふだん屯するのは岡場所、ここに「実母」のお島がいて、年食って女郎をお払い箱になったあと飯炊きをしている設定。栄五郎とつるむ筆頭与力は梅津栄。

■ 帰って来た用心棒 第1話「道を教えた娘」1968.7.29NET/東映京都テレビプロ

 武芸者の若者・田島次郎は、はるばる京へ小太刀の名手を訪ね教えを乞おうとするが、当の「師匠」は老いさらばえているうえ酒浸り、挙句の果て会ったその夜に借金返済の算段に暗殺仕事を引き受けて頓死。この件に巻き込まれるかたちで、三人の男が出会う。

ロケ地
・芸妓に建仁寺への道を聞く田島、ねねの道・東山工芸前(田島の背後に銅閣が映り込む)
・町娘(のちに浅川の娘と知れる)に道を聞く田島、長楽寺門前(参道の物売り娘、大谷祖廟の石段や塀も映り込む)
・建仁寺へやって来る田島、渡る小橋は永観堂放生池の橋、これに先立って多宝塔を含む全景も映される。境内を掃く寺僧に浅川道場への道を尋ねるのは御影堂前。
・借金取りと揉めているふうな浅川のもとを辞し野宿しに寺へ行く田島、永観堂御影堂。ここで浅川と多勢の侍の斬り合いがはじまり、田島が介入し野良犬がうっそりと現れる。発作に苦しむ浅川のため医者を探しに門を走り出る田島は中門、足もとに斬殺死体を見る。以降、浅川に暗殺を依頼した侍がいる木屋町の旅籠(セット)とここを行ったり来たり。野良犬は律儀に再々御影堂へ戻ってきて柱に凭れている。
・寺僧により葬られた浅川の墓も永観堂の墓地、遠景に多宝塔が映り込んでいる。田島と浅川の娘が行き違うのは墓地北端の石段、田島の荷物を回収してきて早く立ち去ろうと言う万平ダンナは御影堂・阿弥陀堂間の石段。
・浅川の娘が入る尼寺、常寂光寺。仁王門をくぐった娘は尼に伴われ石段を登ってゆく。
・締めくくりのナレーション部分の野良犬がゆく町、血風録「海仙寺党全滅」のラストで斎藤一が隊士を率いて巡察する「塔と庫裏の見える石段上」と同所、次いで大谷祖廟参道
*浅川敬斉は永田靖、娘は岡田奈々。借金取りは遠藤辰雄で娘を売り飛ばそうとしている。浅川が入り浸る酒肆の無愛想な親爺は小田部通麿、暗殺の依頼主は織本順吉。
*田島は島田順司、柔術家の品田万平は左右田一平、野良犬は栗塚旭。


■ 待っていた用心棒 第1話「剣を抱いた十人の客」1968.1.29NET/東映京都テレビプロ

 とある城下町、策謀のためにスカウトされた浪人たちは旅籠に集まってくるが、指令の来る気配がないどころか、唯一名が知れていた藩士は上意討ちに遭い死亡。解散せよとの知らせは来るが、志士気取りで気炎を上げていた浪人どもは小グループごとにわるさをはじめ、悉く野良犬たちに打ち懲らされる。主な場面は「旅籠の難儀」。

ロケ地
・城下へ向かう浪人たちが通る池端の道、不明(池の向こうに里)。天守は書割。
・旅籠を手配した藩士・小島の屋敷、東福寺一華院門(影の浪士と小島の妹のやり取りは式台玄関、門の内側が見えていてくぐり戸から旅籠の番頭が入ってくるが、一華院で撮られたものかどうかは不明)
・二階の一間に屯する浪人たちを恐れた旅籠の主にせっつかれ、夜道を小島宅へ走る番頭、東福寺一華院北東塀際(カーブ部分を過ぎ同聚院との間の路地へ)
・影の浪士と城下を脱出した小島の妹が翻心し戻ると言い出す町外れの街道、不明(丘の上の谷地田)。城下を出て来た野良犬と行き違うのは冒頭に出た池端。小物類から丹波と思われるものの見当つかず。
*旅籠の主は山村弘三、番頭は今野秀明で下女は柴田美保子。影の浪士は中野誠也で小島の妹は佐々木愛。浪人たちは河上一夫、伝法三千雄、月形哲之介、山本弘などよく見た顔が満載。
*野良犬は伊藤雄之助、捨て犬は島田順司、狂犬は高橋俊行。品田万平は骨接ぎの先生で投宿。

2007/11/6

■ 銭形平次 第539話「平次を狙え!」1976.9.15フジ/東映

 平次に召し捕られ獄門となった弟の恨みを晴らすべく仕掛けてくる闇の元締、初手はしくじり次手に選ばれ因果を含められた刺客は、平次に子の命を救ってもらった父だった。
 ロケ地、直七が処刑された鈴ヶ森、酵素か。鉄造が働く普請場、大覚寺五社明神鳥居付近にあしらい。父を待つ正太ははじめ普請場近くの有栖川畔に、溺れているのが見つかる川は桂川罧原堤付近(平次が飛び込んで引き上げる)。入水と見えた御高祖頭巾の女を見かける平次、「女」は中ノ島橋上、平次らが来る夜道は橋下手の岸辺(かなり増水、橋上手の堰や栗石の河川敷も水で溢れている)。平次を襲った女形くずれが土左ヱ門で見つかる千鳥橋下、検分は中ノ島橋たもと。子を連れて亡妻の墓に参る鉄造、化野念仏寺(墓は新墓の間に、辰巳屋一味が出て子を連れ去るのは石仏群囲いの石積脇)。直七の身元を洗い両親の菩提寺・下谷新坂町の宗源寺へ赴く平次、寺の門は不明(柱しか映らず)、辰巳屋のことを話しつつゆく帰り道は金戒光明寺永運院下坂、頬っかむりの鉄造が切りかかるのは長安院下坂、立ち回りは経蔵脇へ移動。
*鉄造は峰岸徹、闇の元締の辰巳屋は武藤英司で手下に山岡徹也。*辰巳屋を油断させるため重傷を装う平次、騙されて真っ青のお静の顔を見張っている手下に「見せる」。この直前に万七が余計なことを言いに来ていて、お静の不安をかき立てているというオマケつき。それでなくとも藁人形入りの菓子折も来てるし。*捕まって自棄になった辰巳屋が子の出生をバラそうとした際にばしっと一撃をくれる親分、タイミングも絶妙。

■ はんなり菊太郎 2 第6話「旅立ち」2004.2.13NHK

 江戸からはるばる、菊さんに揉め事を解決してもらおうとやって来るお使い。いま京を離れるのはと躊躇う菊さんだが、巻き込まれて関わった事件で見た男女の絆に感じ入り、江戸での男女の一件に乗り出す臍を固める。

ロケ地
・亭主のため無茶をする女のことをお使いの甚兵衛さんに話す菊さん、二人が腰掛けているのは大覚寺護摩堂縁先。あとは菊さん次第と発つ甚兵衛さんは天神島汀、一人考え込む菊さんは天神島大楠の根方。再会を喜び合う佐介とお絹を見たあと、甚兵衛さんの言葉を思い出しつつゆく菊さん、大覚寺有栖川畔。風のように京を去った菊さんがゆく街道、谷山林道切り通し(両側)〜分岐道頂上。
*菊さんをヤクザの用心棒(似てさ加減が微妙で笑える)と間違えて襲うお絹は川中美幸、亭主は国広富之、江戸からのお使いは川北民夫。

■ 俺は用心棒 第26話「乱れ雲」1967.9.25NET/東映京都テレビプロ

 鳥羽伏見の戦い勃発、砲声の聞こえる酒肆で平然と酒を呷る野良犬。急速に変わりゆく時勢に、見知りの者たちは散り散りになり、救おうとした女も儚く消え、どこへ向かうのか野良犬も峠を越えてゆく。
*派手な戦闘シーンは使い回しか、饗庭の丘のような地形も見える。おゆみに言い寄っていた口入屋が沖田のことを注進に及ぶ長州の陣地はごこんさん境内か。沖田を大坂へ下らせる船着場、堤法面と水面の様子から見ると宇治か鴨最下流部のような感じ。千造と逃げ込む民家の後架は穴太か。野良犬がゆく鈴鹿峠、林道か。*沖田を匿う伏見の女は扇千景、言い寄る口入屋は徳大寺伸、長州の仕官は国一太郎。
2007/11/5

■ 銭形平次 第538話「追われていた男」1976.9.8フジ/東映

 己も憎からず思う女の愛を拒む男には、おきまりの「過去」。過ちを恥じ善人に徹してきた仇持ちと、流浪の果て凶賊と成り果てた仇討ち侍との再会が、欲をかいた男に攪乱されさらなる凶事を出来するところへ、正義の銭が飛んでくる。
 ロケ地、平次が浪人に追われる伊勢屋の番頭を見る明神境内、不明(ラストシーンもここ、石段の上に鳥居、豊国廟に似たつくりで本殿の提灯には梅鉢御紋)。吾助が浪人に追いつかれるところへ伊勢屋の娘が駆けつけ割って入るくだり、大覚寺五社明神〜大沢池畔。騒動の経緯が解せぬと呟く平次、休む茶店は大沢池畔に。夜道で浪人に斬られる伊勢屋の娘の婚約者、大沢池畔林間。吾助を池の端に呼び出す浪人も大沢池畔。
*仇持ちで元武士の番頭は長門勇、彼に師範代の父を殺された浪人は北村晃一、浪人を使い婿に納まろうとした手代は武周暢、伊勢屋の娘は八木孝子、万七に捕まり浪人のことを吐く元凶賊一味は西田良。

■ はんなり菊太郎 2 第5話「ねえちゃん」2004.2.6NHK

 喜六の姉が亭主殺しで捕まり、鯉屋も田村家も冤罪を晴らすため動く。菊さんは怪しい偽証女の心を溶かしにかかるが、女が心を開き「化粧」を落しかけたそのとき、闇から手が伸びてくる。

ロケ地
・田村邸、妙心寺雑華院(門前に灯あしらい)
・東町奉行所、大覚寺明智門
・事後、女ごころの機微を話すお信と菊さん、大覚寺大沢池北辺並木(紅葉)
*喜六の姉は中原果南、亭主の死に当初惑乱。その亭主の囲い者だったと偽証する女は小島聖、女牢の牢名主は杉田かおる、亭主の母に土田早苗。出入りの藩と癒着し悪事を働いていた大番頭は山西惇、頭の固い吟味方は佐川満男。

■ 俺は用心棒 第25話「めおとの風」1967.9.18NET/東映京都テレビプロ

 「ご時勢」で領民から金を用立てようと代官が派遣されてくるが、したたかな庄屋は抱き込んだ小役人と画策し「接待」で金高を抑えようとする。好き者の代官に宛がわれかける茶店の女、その店には野良犬が来合わせていた。
*仲のよい夫婦が営む茶店は池のほとり、土手越しに里居が遠望される。庄屋屋敷は立派な構えで天を突く大木が聳えている。丹波あたりで見たような気はするものの不明。*茶店の夫婦は国浦正己と柳川慶子、代官は穂高稔で庄屋と通じる手代は織本順吉、庄屋夫婦は沢村宗之助と菅井きん。*「茶店の女の用心棒」として庄屋屋敷に乗り込み、代官ぶった斬って庄屋脅して茶店の夫婦の「逃走資金」をせしめ、「うまくいった」と微笑う野良犬だが、この時点で尺が五分ほど残っているのがミソ。
2007/11/4

■ 鞍馬天狗 角兵衛獅子  大曽根辰夫監督作品 1951.7.12松竹

 稼ぎをなくして泣く角兵衛獅子に金を恵んだことから、新選組に所在を知られてしまう鞍馬天狗。恩人のため新選組の狙撃を邪魔した角兵衛獅子の杉作は、二足の草鞋の親方にきつい折檻を受けるが、天狗が現れ彼をシメる。子らを引き取り薩摩屋敷に預けにゆく天狗だが、そこで西郷に頼まれた仕事は危険極まりないものだった。

ロケ地
・「東山三十六峰…」の語りに乗せて綴られる幕末の京イメージ、八坂の塔〜柳揺れる川面(水たっぷりの瀞・疏水か)三条大橋(剣戟)
・京都所司代、二条城東大手門。所司代の命ではじまる浪士狩り、ダンダラ闊歩する町角は相国寺大通院南西角(鐘楼映り込み)〜南塀際。
・杉作らが営業している京の町角で突如はじまる新選組の粛清、東寺境内・食堂(夜叉神堂が映り込む/露店や芝居小屋あしらい)。天狗が出て「隊士」小河原に止めをさそうとする新選組に発砲、駕籠に乗せ連れ去るのは本坊前付近の楠の疎林。
・斬られた小河原を家に運んでやり看取った天狗が、帰ってきた小河原の愛人・お喜代とすれ違う路地、不明(板塀と植え込み)。お喜代は天狗を犯人と誤認。
・暮れゆく町を歩く杉作、祇園か。途方にくれて座り込む松月院門前、不明(土盛上に塀、八段程度の石段を上がって門。大谷祖廟通用門に似る)
・新選組に松月院を襲われた天狗がチャンバラ、建物から外に出ての立ち回りは大徳寺境内小橋〜千体地蔵生垣前〜三玄院前(杉作が天狗を狙う銃に気付く)
・目明しの長七のもとから子らを連れ出した天狗が預けにゆく薩摩藩京屋敷、大覚寺明智門
・白川女や托鉢僧行き交う京の町イメージ、上賀茂社家町
・天狗が心配で薩摩屋敷を抜け出す杉作、相国寺大光明寺通用門。町を彷徨うくだり、白川畔とセット組み合わせ。疲れ佇む橋は疏水か(水満々)。イカ頭巾を見かけ駆け寄り、長七に捕まってしまう橋は白川巽橋
・杉作が監禁される新選組屯所、相国寺玉龍院。天狗への企みを聞いて必死で逃げ出す塀は大通院西塀。
・伏見街道を走る新選組の一隊を囮と知らず追う天狗、川堤か(双方騎馬)。待ち伏せの藤森神社(?)、下鴨神社か(両側林の「参道」、杉作が土壇場で天狗を止めるのは馬場に酷似、池跡付近に似た林も出るが、天狗と杉作が走り出る際に映る鳥居とすぐ脇の田んぼが疑問)
・本物の密使が乗った船がゆく川、追いついた天狗が川に飛び込む橋、不明。橋は背の高い大きな木橋。
・天狗が密使に化けて入り込む大坂城、大阪城天守〜大手口〜多聞櫓。露見し逃げ回る城内は姫路城内、にの門やはの門下坂など駆け回り、窮して登るのは西の丸化粧櫓。
・天狗が捕われた後、西郷に今は動けんと言われ吉兵衛と杉作二人で大坂へ向かうくだり、船着場は嵐峡右岸。
・大坂城の裏門で見張りをやり過ごし侵入する杉作、彦根城天秤櫓。追いかけ回される城内は姫路城はの門下坂や西の丸。
・水牢から辛くも脱出した天狗が戻っている京イメージ、下鴨神社楼門
・天狗の隠れ家に侵入し殺そうとして失敗、以後居着くお喜代にいつ誘き出すと詰め寄る長七、不明(野道)。角兵衛・親無し子と謗られ里の子と取っ組み合いの杉作、不明(林脇の野原)。天狗・お喜代・杉作に吉兵衛の四人で野遊びの山、不明(木の生えてなさ加減がゲレンデみたいな感じ)
・天狗と近藤勇がサシで果し合いの東寺、本物の塔と金堂。
・江戸へ向かう天狗が馬を駆る道、不明。

キャスト
鞍馬天狗/嵐寛寿朗 杉作/美空ひばり 黒姫の吉兵衛/川田晴久 礫のお喜代/山田五十鈴 小河原進助/原健作 隼の長七/加藤嘉 京都所司代/有馬一郎 大坂城代/進藤英太郎 土方歳三/永田三男 近藤勇/月形龍之介


2007/11/3

■ 必殺仕事人IV 第23話「せん遺言状を書く」1984.4.6ABC/松竹

 持病篤い華道の家元は、並び立つ二人のうち優れたほうを後継に決め遺言状を書くが、家族間のいざこざから他人も巻き込んでの血腥い事態に。仕事人たちとの関わりは主に勇次、恨みの筋は託されないが受け取った金は仕事料となる。
 ロケ地、家元の死後後継人事が曲げられ身辺に怪しい影を感じた「正当な後継者」春草が勇次に相談を持ちかける橋、中ノ島橋(橋上、橋下)。春草殺害も同所(夜)、出陣の際勇次は現場の欄干に手向けの桜花を一枝挿してゆく。
*春草は吉澤京子、腕が立ち後継に名指されるも妾腹ゆえ奥方に憎まれ敢無い最期を遂げる。奥方は谷口香、春草後継を阻むため亭主も手にかける毒婦を演じる。娘の相手の師範代は大竹修造。*せんの遺言状は主水への嫌がらせ、きっかけは鯛の天麩羅の食い過ぎ。

■ 遠山の金さん 第94話「命乞い」1977.8.11テレビ朝日/東映

 仲のよい大工夫婦を見舞う不幸、それぞれの過去から悪い因縁が祟るが、許せぬ悪と過ちをきちんと裁く遠山桜が夫婦の絆を繋ぎとめる。
 ロケ地、おしなにむささびの鉄のことを尋ねる金さん、大覚寺大沢池堤(岡っ引が出て金さんを不埒者として連行)
*おしなは中山麻里、大工の亭主は島津住男。双方隠していた過去を持つ運び。むささびの鉄は市原清彦、彼に殺される牢名主は大木正司。鉄の隠し金を狙う悪辣な目明しは小林昭二。赤目を騙す太女郎は亀淵友香。
2007/11/2

■ はんなり菊太郎 2 第4話「いのちの酒」2004.1.30NHK

 老舗に入り込み屋台骨を食い荒らす「毒虫」が発生。店を任されたばかりの青年は、厳父に反発する心の隙をつかれ入り込まれてしまう。親殺しの大罪から倅を救うため、勘当を言い出す頑固親父が泣かせる。

ロケ地
・嘉兵衛を釣りに誘う次右衛門、大堰川河川敷
・田村邸、妙心寺雑華院門。
・京を去る嘉兵衛を見送る菊さんとお信、山室堤
*嘉兵衛は蟹江敬三、倅は川野太郎。乗っ取り屋は上杉祥三、手下の毒婦は大西結花、下っ端のゴロツキは草川祐馬。嘉兵衛がお信に費えとして渡した根付を喜六が調べに行く小間物屋に北大路欽也、爺いぶりが見事。

■ 銭形平次 第537話「秘密」1976.9.1フジ/東映

 幸薄き娘が掴んだ恋、相手は失踪中の姉の亭主。突然姉が現れ二人の仲を裂こうとするが、嫉妬などではない事情が隠されていた。妹を自分と同じ引き込み女にせぬため、心に傷をつけぬため立ち回る姉が哀れ。
 ロケ地、平次がお照と伊三郎を見かける縁日、今宮神社境内(お照は灯籠に腰掛けて待ち、伊三郎と楼門を出てゆき、八が二人の事情を話す茶店は高倉下にあしらい。ラストシーン、隠居のお供のお照も同所)。賊がツナギをとる町外れ、大覚寺五社明神
*お照は永野裕紀子、姉・お光は黒沢のり子。伊三郎は大竹修造、キャスティングからこいつがクサいと判るが親分の怪訝な表情も笑える。お光が伊三郎を罪に落とそうとして雇った巾着切りは牧冬吉、賊の首領は小田部通麿(髭はなし、浪人)、はじめ意地悪に見えるお照を気に入り保護する隠居は志摩晴彦。

■ お江戸吉原事件帖 第2話「水揚げに散った夢」2007.11.2TX/CAL

 ひばりの昔の男が立派になって吉原へ。助力を申し出る男に、育てている振袖新造の水揚げを頼み込むひばりだが、男の店にキナ臭い噂が流れた直後彼は別の楼の遊女と心中を遂げてしまう。どうにも納得のゆかぬ死の真相が知れたとき、四羽の雀は悪党のすだく場へ。

ロケ地
・遊女の文を届けに走るあけみ、嵐山自転車道。その帰りお団子を食べる茶店は今宮神社東門内にあしらい、あけみは朱橋に腰掛け。ここで山城屋の製品水増しの噂を聞く。
・番頭が裏切っていると山城屋の女将に告げるおれん、今宮神社高倉下。
*ひばりが面倒を見ている振袖新造の玉菊は高松あい、山城屋は柄沢次郎、悪企みを仕掛けた岩木屋は伊藤高、雇われ浪人は朝井完記、山城屋と心中立てで殺された遊女・葛の葉は滝沢千里。

■ 俺は用心棒 第24話「拾った道」1967.9.11NET/東映京都テレビプロ

 殿様の寵深い腰元と逃げた近習は、とある農家に逃げ込み。たちまち追手がやってくるが、居合わせた野良犬はその家の婆さんが気の毒がるのを見て二人を逃がす。もちろん碌な結果は待っていないが、老夫婦に危難は及ばず女は新しい命を拾う。
*山道、里居、渓流ともに全く不明。轍が目立たないのが印象的。*近習は寺田農、怖くなって逃げ沖田を追っ手と誤認し斬りかかる愚挙に。腰元は花園ひろみ、老夫婦は藤原釜足と高橋とよ。
2007/11/1

■ 俺は用心棒 第23話「闇に白い火」1967.9.4NET/東映京都テレビプロ

 ヤクザに翻弄される旅籠の若夫婦、幸福な日々はいきなり断ち切られ嫁は拉致される。居合わせた万平ダンナと新太が取り返しに行き、そこの用心棒をしていた野良犬が裏切ってはもう終りなのだが、親分を斬り捨てたあと見えた壁には不気味に刃が突き立っているのだった。
*ロケ地は雪嶺を望む里、土手や家なみ等いずれも見当つかず。最後に野良犬が渡る橋は東焼田橋に似たフォルム(もちろんそこではない)。*ヤクザの親分は戸上城太郎、思いがけず早くに島から帰ってきてしまう荒くれは不破潤、下っ端に川谷拓三。*万平ダンナの雑学披露炸裂、薪割りから飯焚きから赤子の世話まで薀蓄垂れ。しかしせっかく作った絶妙の菜飯は冷えきり、若夫婦がそれを口にする機会は永遠に失われる。

■ はんなり菊太郎 2 第3話「京のかぞえ唄」2004.1.23NHK

 不当に解雇された同僚のため刃傷沙汰を起こす老爺、彼の釈放を訴える子守女はお店の坊を人質に立て籠もり。菊さんの提案で娘を説得する老爺の姿に、一同涙。

ロケ地
・里帰りの奈々を送ってゆく田村夫婦、妙心寺雑華院門〜続きの塀際。次右衛門が帰されてしまう途中の道は今宮神社境内。奈々の実家は錦の商家設定。
・立て籠もりの庚申堂は松竹京都オープンセットに特設の模様。天児がたくさん吊るしてある。
*子守女は柊瑠美、彼女が父とも慕う老爺は芦屋小雁。立て籠もり騒動に妙な名乗りを上げて菊さんに追い返されるけったいな浪人は越前屋俵太。

■ 銭形平次 第536話「狼の罠」1976.8.25フジ/東映

 やはり丙午の女だからと巷間喧しい富商の家つき娘の不幸は、身代狙いの悪党の仕込み。たくさんの人々が巻き込まれた悲惨な事件だが、丙午の女は最初の恋を取り戻し明るく笑う。
 ロケ地、丙午の女を呪った藁人形が打ち付けられ、岡場所の女が縊死する稲荷堂、吉田神社竹中稲荷本殿。三浦屋の婿の心中は殺しと八に話す平次、大覚寺五社明神本殿。三浦屋の娘・お佐和に番頭のことを聞く平次、上賀茂神社ならの小川畔。どんな手を使って心中にと考え込む平次、上賀茂神社校倉脇。平次が知り合いの浪人に頼んで番頭を襲わせる夜道、大覚寺有栖川畔祠前(五社明神)。伊勢崎に葬られた婿の墓を掘り返し死体を見る平次、不明(ありものの墓地)。屋形船で密談する番頭と岡場所の楼主、嵐山公園中州水路湛水域。岡場所でここに女房がと騒いだ清之助が襲われる帰り道、映画村内の広隆寺塀か。清之助の回想、療養に来ていたお佐和と恋に落ちた甲州下部の河原、清滝河原(温泉を表すスモーク演出、設定は「湯川」の下部川か)
*お佐和は三浦真弓、清之助は青山良彦。悪心をもった番頭は宗方勝巳、元武士で柔術の達人設定、親分が頼んだ浪人さん危機一髪の腕前。ラス立ちでもいいだけ暴れるが手の甲に銭ぐっさりでお縄。研いでるのかその銭。*丙午の女を甚く敵視の万七、現場でも悪し様に罵るほか町中触れてあるく執拗さ。おかげで見ている者にも次第に丙午イヤンな感じが。前にさんざんやられた丙午の女の亭主で植田峻が出ていて、笑いをとりにチラ出。
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