江戸を斬る V 1977C.A.L

今宮神社稲荷社 キャスト
 遠山金四郎/西郷輝彦 おゆき/松坂慶子 次郎吉/松山英太郎
 お政/春川ますみ うめ/千石規子 咲/大山のぶ代
 佐吉/和田浩治 片桐弥平次/田村亮
 脇坂重蔵/成田三樹夫 徳川斉昭/森繁久彌

 「II」の設定は大筋ではそのまま、おゆきは紫頭巾で次郎吉を従えて奔走するし、伊蔵親分は相変わらず魚政を敵視する。しかし魚政ファミリー中、太助と「ちっちゃい姉ちゃん」が消え、次郎吉は「兄貴」設定となり眼鏡をはずし、うすのろ偽装のお芝居はナシに。金四郎の配下には同心の片桐と岡っ引の佐吉が加わる。「III」での遠山対抗勢力は火盗改長官の脇坂重蔵、幕閣の叔父をバックにぶいぶいと鼻息荒し。妖怪鳥居ほどは出張らない。


第1話 1977.1.17

 前作の設定を引き継ぎ、金四郎の活躍と紫頭巾の「暗躍」が描かれる。キャストには若干変更あり、おばば様という賑やかキャラも投入される。
「南町奉行」の金四郎、初手のお話は火盗改との対立を描く。火盗の苛酷なやり口から無実の大工を救い、自ら賊の懐に飛び込む金四郎、偽装工作はじきにバレて監禁の憂き目を見るが辛くも脱出、しかし上げた手柄は火盗に爽やかに譲り、さらわれた長官の妹も無事救出の金四郎、死神妹に惚れられたり。

 ロケ地、盗っ人相手の口入人・伊平次が筮竹をふるう浅草奥山、金戒光明寺三門付近に縁日セット。死神重蔵の妹が拉致される墓地、くろ谷。伊平次を始末にかかる野分けの庄五郎の手下、広沢池東岸。南町奉行所、大覚寺明智門
*火盗に成田三樹夫で既に濃いのに、賊に今井健二。暑苦しいまでの画面となる。


第2話「狼たちの掟」1977.1.24

 凶悪なゴロツキに魅入られ、寄場を脱走する羽目になる元船頭。彼の妻子を慮って動くおゆきたち、ゴロツキがチクった仲間にお礼参りして火盗改に踏み込まれる現場に介入、有無を言わせぬ捕物から救い出し、金四郎の情けある裁定が下りメデタシの運びに。

 ロケ地、おばば様がお参りの根津権現、今宮神社(本殿、楼門、石橋)
*IIIの次郎吉、「兄貴」設定で眼鏡ははずし「うすのろ」偽装はナシになっている。伊蔵親分も登場、相変わらず魚政を敵視。「死神」成田三樹夫はラストに「おのれ遠山今に見ておれ」のみ。おばば様は偶然おゆきに介抱され複雑な心持ちに。


第3話「金四郎の縁談」1977.1.31

 おばば様の企みで大目付の娘との見合いを迫られる金四郎、たまらずトンズラを決め込む。出た先でいたいけな幼女をいたぶる地回りを懲らしめると、用心棒に雇いたいと怪しげな男からの誘い、無頼を装い入り込む。そして仕事はなんと大目付の娘の誘拐なのであった。

 ロケ地、同心・片桐たちが話す汀や、おゆきが誘拐犯の逃走経路と見当をつける汀、大目付が身代金を持ってくる「中州」、広沢池東岸。おゆきが放生鰻売りの老爺に行き交う船のことを聞く、中ノ島橋北詰たもと。
*幼女に絡む地回りに汐路章、地雷也の入墨を見せて凄む。これに対抗し桜を見せる金四郎、お白州ではシラをきる誘拐犯に「やかぁしいやい」と片袖脱いで桜吹雪が舞う。一瞬でさっとしまうのがおかしい。この段で既に脛に傷持つ大目付は腹切ってて縁談はナシに。


第4話「強請に使った贋金」1977.2.7

 頓狂な強請り婆さんに振り回される金四郎とお政、これが贋金を持っていたことから言うなりになって潜入捜査にかかる二人、騙りを働く婆さんを誘導しワルの大元を引きずり出す。
お政が関わったのは、おばば様に金四郎の縁談について嫌味を言われかっとなって家を飛び出したもの。老婆二人が話を掻き回すコミカルなお話。


第5話「人情遠山裁き」1977.2.14

 その昔商売が行き詰った折り心ならずも手離した娘を探す富商夫婦、偶然見つかった娘を迎えとろうとするが、間に立った地回りが欲をかき寸でのところで養親が消されかかる。この危機にカッコよく介入の金四郎と紫頭巾、地回りを叩きのめしたあとお白州では人情溢れる裁定が下されるのであった。

 ロケ地、お参りのおゆきが伊勢屋夫婦に声を掛けられる、赤山禅院(本堂前〜本堂東側に茶店セット)
*伊勢屋の実娘に「II」の「由美姫」山口いづみ、健気な町娘を演じる。


第6話「すった財布が縁結び」1977.2.21

 片桐同心に春の巻。お相手はタイトル通りの女掏摸。
お話は、女掏摸が材木商から掏った紙入れに入っていた機密書類からはじまる。大奥がらみのそれを持って強請りに行った女掏摸の父(これに加藤嘉使うから贅沢)が殺されるなどして金四郎の調査入り、ワルの企みは白日のもとに曝される運びとなる。片桐が同心と知り心を閉ざす女掏摸のくだりが細かく描かれる。

 ロケ地、加藤嘉が強請りに行って殺される新シ橋、中ノ島橋たもと。大奥の女と女掏摸を船から「投棄」の大川、広沢池東岸
*「役人なんか」とむくれ何も話さない掏摸・お京をひっぱたく片桐、喚ぶわななき声がちょっと「正和」ふうかも。掏摸にはジャネット八田、最終話にもファミリー扱いで登場。


第7話「殺しの爪痕」1977.2.28

 おばば様の侍女・咲に縁談、喜び舞い上がるじい。しかし最後には戻ってきてしおしお。この間、咲の相手が巻き込まれる血腥い事件が描かれる。
事件は、八州回りの道案内(目明し)が追い詰めた凶盗が江戸潜伏との報からはじまる。盗んだ金で湯屋を開いているその盗っ人の鼻先まで迫る道案内は消され、その咎はややこしい痴情のもつれで咲のお相手に濡れ衣。次郎吉や片桐たちの探索で事実は次第に明らかとなり、抵抗しまくる凶盗を捕えてお白州。巻き込まれた咲のお相手と、彼が弄んで捨てた「偽証」女はお叱りと微罪で済むが男トンズラ、咲はドラえもんの声でわんわん泣き。

 ロケ地、道案内・善八の死体上がる水辺、広沢池東岸。ラスト、咲が戻りおばば様のお世話を終えたおゆきを送ってゆく金四郎、今宮神社東参道
*タイトルは道案内が殺される際湯船につけた跡。このお湯、緑色…バスクリン?


第8話「盗まれた入牢証文」1977.3.7

 江戸に進出の上方から来た掏摸集団、その跋扈を阻む金四郎。主軸は片桐同心の恋その後。堅物の同心と前身を恥じてもじもじの元掏摸のお京、肩入れしようとした岡っ引と大喧嘩の一幕が描かれ、最後は三人の和気藹々で締められる。タイトルそのまんまの、片桐が証文を掏られ窮地に陥るお話。

 ロケ地、おゆきが金四郎に「三人」をなんとかしてやれと迫る茶店、大覚寺大沢池畔にセット。元手下のひょう六がお京に復活を乞う橋、上賀茂神社ならの小川神事橋。お京を隙見の上方掏摸、河畔の摂社脇。片桐が入牢証文を請求に帰る南町奉行所、大覚寺明智門。これを窺う掏摸たち、御殿川対岸。脅されたひょう六が片桐から証文を掏る、五社明神有栖川畔の祠脇(この際収蔵庫東塀が映りこみ)


第9話「暗闇の追跡」1977.3.14

 凶盗・木鼠小僧が出没、鼠小僧顔負けと瓦版に書かれてムッとした次郎吉はおゆきや金四郎が諫めるのも聞かず探索に。夜の町で片桐たちに見られ疑われ、挙句の果て木鼠小僧に桶から包丁を盗まれて以蔵の手下をこれで傷つけられてしまうという大ピンチ、逃げ回る彼を火盗改が囲むところへ紫頭巾、更には深編笠被った金四郎まで出て救い、最後は江戸を売る寸前の木鼠を押さえメデタシ。でも出し抜こうとしていた死神重蔵はけちょーん、腹いせに伊蔵親分が火盗に殴られていい気味ちょっとかわいそう。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門


第10話「恐怖の辻斬り」1977.3.21

 辻斬り横行、正体は旗本の乱行。犠牲者となった大工が噛みちぎり口に含んでいた根付を遺体から見つけた女房は、包丁一本で仇と旗本に斬りかかる。これが火盗改に阻まれ確保されてしまい、武士全体の恥と揉み消そうとするのを金四郎の一計でトリッキーに解決。この間、ずっと関わっていた佐吉親分は悩みまくり荒れまくりタイヘン、今回片桐同心がいないのでナマに金四郎に食ってかかったり。金四郎に思惑を崩された死神重蔵はもちろん苦虫を噛み潰す。事が公になり辻斬り殿様のお家は断絶、中でドロドロあった後継騒動も全てオジャンに。

 ロケ地、辻斬り殿様が大工を斬り佐吉に見られる柳原堤、下鴨神社糺の森林床と泉川畔。


第11話「女だてらに河内山」1977.3.28

 上州屋の娘が旗本屋敷に行儀見習い、箔がつくと喜ぶ両親。しかしおゆきたちは奉公先の殿様の性癖から危ぶむ。これが的中、殿様は菅貫。助けに入るのに大奥中揩ニ称し堂々と乗り込み「上様の思し召し」かなんか言って連れ出そうとするが、宿下がり中の本物の大奥女がいて露見、しかし開き直り白州で暴露と脅す始末。窮した旗本側は急遽火盗改を呼びつけ、門前でばっさりやって死人に口なしを図るが、危機にはちゃんと手配の上駆けつけてくれる金四郎さまなのであった。でも白州でお裁きはヤラれ、おゆきと次郎吉は百叩きに。

 ロケ地、上州屋が一家でお参り、今宮神社稲荷社。百叩きの奉行所門前、大覚寺明智門
*タイトルは妹の読んでいた「実録・河内山宗俊」から思いついて画策のおゆき。次郎吉ちゃんは裃つけてお付の侍をやる。*菅貫は好色の馬鹿殿、女叩いたりするけど極悪設定はなし。きょろりきょろりと動かす目ン玉が可愛い。むきーと怒る姿はもっと可愛い。


第12話「殴られた水戸烈公」1977.4.4

 おゆきの扱いに焦れたお政、水戸家へ直談判。これを受けて烈公は微行で金四郎のもとへ。しかし行く先々でトラブル、しまいに騙り一味の替玉にされて佐吉親分に捕縛されお白州へ。大騒ぎのすえ結局金四郎を自邸に呼びつけおゆきとの祝言を迫る烈公、森繁大活躍。

 ロケ地、庭師と服を替え屋敷から出る烈公、殿を探す中山用人のシーンは大覚寺宸殿縁先〜庭。庭師の格好で南町門前に立つ烈公、明智門。出てきたところを中山用人に見つかる、参道橋(用人は御殿川暗渠源頭部から呼ばわる)
*タイトル、殴ったのはお咲、曲者とか言って薙刀のこじりでボカっと一発。


第13話「金四郎の結婚」1977.4.11

 おゆきの身分の件は、水戸家用人・中山が仮親となりおはば様にも納得させるが、晴れて嫁取りの金四郎に難題が持ち込まれ、婚礼そっちのけで奔走する羽目に。
事件は、箱根山中で勘定奉行が銃撃され暗殺、という物騒な一件からはじまり、犯人は大塩の残党と知れ、金四郎たちが秘密裡に警戒するなか、微行で目黒へタケノコ食いに行っちゃう上様。止めても裏を返しにゆき、きっちりスナイパーに狙われる。これを防いだ金四郎、乱れた風体のまま三々九度でメデタシとなる。

 ロケ地、水戸家を出る花嫁のおゆき、大覚寺式台玄関
*おばば様を説得する際、中山用人の家来として来る烈公、西山光右衛門なんて名乗る。年寄り三人の掛け合いが傑作。タケノコ飯の店へ上様を救いに駆けつける金四郎、肩に銃弾を受けつつ奮戦、その後屋敷へ駆け戻るが、お奉行様それは貫通銃創なのでは。


第14話「嫁も姑も意地っ張り」1977.4.18

 おゆきにケチをつけてやろうと虎視眈々のおばば様。しかし料理は巧いし武芸はアレだしのハイパー嫁・おゆき、紫頭巾となって走り回ったりもして、金四郎は「あぁ?エエー?」と唖然。そして、おばば様が家出して関わった火盗改の岡っ引と火付け強盗の一件にも介入しまくりのおゆきと次郎吉、最後は金四郎が収め、死神重蔵は臍を噛む結果となる。


第15話「狙われた亥の刻小僧」1977.4.25

 寝入りばなを狙って入ることから「亥の刻小僧」の義賊を気取る盗っ人が、仕事を断った仲間に売られ凶賊扱いされ罠に落ちるのを掬い上げてやる金四郎、次郎吉は過去から忸怩たる思いで動き、若奥様は愛も変わらず紫頭巾になって大立ち回りをやらかす。

 ロケ地、行商の荷をお堂の縁下に押し込む「亥の刻小僧」三吉、大覚寺護摩堂。盗っ人仲間の長次が大きいヤマを手伝えと迫る、天神島石鳥居下(大沢池水少なし)。南町奉行所、明智門
*金四郎の鼻を明かそうと役宅へ侵入の三吉、寝ている筈の遠山夫妻の会話「天井裏の客人」「梁の上にお上がりに」が傑作。


第16話「涙が光る遠山裁き」1977.5.2

 早くに夫を亡くしたあと、健気に働く嫁をいいだけイビる老婆。飯を放り投げるは、仕事の邪魔をするは、ヒヒ爺いに娶わせようとするはの大騒ぎ。挙句の果て、嫁が仄かに思う向いのかざり職人を邪魔とし伊蔵親分使って罪に落そうとする。金四郎は周到に罠を張って職人の冤罪を晴らし、お白州では仲人を申し出て嫁を援護。この場でも自らの幸福より老母に仕えるという嫁に鬼婆ホロリ、過去を謝罪し和解でメデタシ、お構いもナシ。…どうでもイイけど汚職岡っ引の伊蔵の処分もナシなのかお奉行様。


第17話「罠に掛った死神」1977.5.9

 凶盗が跳梁し、火盗改は躍起になって探索に出張る。金四郎もろくろく帰宅せず七人芸の金の字に変装し市中を回る。そんななか芝居を打ち手下を賊に潜り込ませる死神重蔵、きっちりバレてて矢衾で危機一髪。ここに金四郎現れ鮮やかに矢をかわし重蔵を庇いお堂の中に立て籠もり、しかし外から鍵掛けられて火薬に点火されこれも窮地に。ここには紫頭巾と次郎吉が駆けつけ事なきを得るが、見られてはマズいので金四郎が当身を食らわせ重蔵を眠らせる。事後潔く負けを認める重蔵、でも根に持ってそうな口ぶり。

 ロケ地、火盗改が泳がせ目的で釈放した番頭が追われ斬られる、大覚寺参道橋御殿川。重蔵が仕込んだ芝居で密偵役の「浪人」が呼び出されるツナギの新川弁天堂、広沢池東岸に浮御堂ふうのをセット。


第18話「医は仁術か算術か」1977.5.16

 お政の霍乱を糸口にはじまるお話、最初に来た金ぴか衣装の表御番医は欲深の藪医者、次は襤褸を着た変わり者の名医。ヤブのほうは回船問屋と組み薬の横流しで大儲けを企むが、良心的名医に患者が流れるのを恐れ、ゴロツキを使い医療事故を装ってハメる。母の恩人に報いるため紫頭巾が出張り、口封じされかけるゴロツキを助け、仕上げは金四郎が踏み込んで幕。
*ヤブに遠藤太津朗、ぐぬーぐふーと呻く声が見苦しさ満点の好演、きらきら衣装も恰幅よい体によく似合う。高潔な名医には大滝秀治、目つき鋭くなんか毒盛りそうでもあるが、笑うと福々しくて可愛かったり。


第19話「どじな兄貴の妹思い」1977.5.23

 碌に働きもせず博打三昧、妹から稼ぎを掠めるうえ酔って暴れ仕事の邪魔をし諸人に迷惑をかける兄、白州でも反省の色も無く悪態をつく。こう書くと陰惨でどうしようもない男だが、品川隆二が演るから傑作になる。事件も、ハメられて妹を女郎にと脅され岡っ引殺しを請け負うという、本来ならどん暗話を落語的世界へ持ってゆく。これにレギュラー陣がそれぞれに持ち味を生かして絡み、佐吉親分が健気な妹に堅苦しく接近という華も添えられる。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。グズ虎を尾行の佐吉が姿を見失う薩摩藩上屋敷裏口、相国寺大光明寺南塀と通用門。表門は大覚寺大門。甘酒売りの妹・さんのところへ来て売り上げをひっさらう長助、今宮神社境内(バックに東門、佐吉お参りは本殿)。その後さんの荷を担いでやり道々話を聞く佐吉、上賀茂神社ならの小川畔。グズ虎の手下に連れて行かれる長助、相国寺鐘楼前。


第20話「悪徳検校」1977.5.30

 悪辣な取立てで庶民を泣かせる検校の手下、検校自身はまともなイイ人、しかしその妻女が手下と通じており消される羽目に。この際には伊蔵親分がアリバイ工作に使われて証拠上がらず難渋。しまいに検校の跡を継ぐ大ワルに仕掛ける金四郎たち、典薬頭へ差し出す娘をかどわかすところへ介入しお縄、危機にはきちんと紫頭巾も駆けつける。

 ロケ地、武山検校の死体が見つかる汀、広沢池東岸。駿河へ調査に馬をやる片桐同心、桂川堤〜林道(特定に至らず)


第21話「狙われた女」1977.6.6

 兄に毒を盛り家を継ごうとはかる弟、旗本のお家騒動は事を察知した侍女を狙ったことから金四郎たちの知るところとなる。紫頭巾で出ていて彼女を助けることになったおゆき、よく見ると幼馴染のちぃちゃんだったり。旗本の弟とつるむ材木商はずる賢く立ち回り、火盗改を巻き込んで雇った刺客ごと侍女を消そうとするが、雇い人を殺された駕籠屋の親父が義憤に燃え協力したことなどあり、金四郎の策略にハマり野望は潰えるのだった。

 ロケ地、捜査について話しながら歩く片桐同心と佐吉、相国寺路地。材木商の番頭が釣りをしている刺客の親玉とツナギをとる、広沢池観音島。ここへ「強請り」に出る次郎吉は観音さまの裏から出現。
*今回の見どころはなんといっても紫頭巾(大)の登場。火盗改に囲まれ危地に陥る紫頭巾を救いに出た金四郎が扮しているもので、あろうことか大股開いて褌をちらちらさせながら大立ち回り。出張った死神重蔵と鍔ぜりあいの一幕もあり、直後何食わぬ顔で駕籠から出て「何か」の金四郎の目を見て??状態で首を傾げる成田三樹夫が可愛い。駕籠屋の親父の「東八」北村英三もいい味。雇われ刺客の親玉には伊吹聡太朗、梓右近・IIと続いて登場、でもわりとあっさりヤラれてしまって勿体無いのだった。


第22話「人を見て法を説け」1977.6.13

 阿漕な金貸しをとっちめるお話。病人の布団を剥ぐやり口に怒った魚政の若い衆が巻き込まれ、しまいに魚政全員訴えられて入牢→白州に。ここでも御定法を標榜し開き直り、和解を勧告の金四郎にも嫌味たっぷりに食って掛かる憎態さ。しかし定法を逆手に取った金四郎のはかりごとで泣き入り、賠償金をとられてしまうのだった。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門
*因業金貸しに西村晃、偉そうなのから泣きまで百面相が秀逸。発端の借金娘に西崎みどり、幸薄い「被害者」を好演、責め問いはあるものの今回はハッピーエンド設定。


第23話「男の約束」1977.6.20

 香具師の元締に騙されて殺しの罪を被る男、無実の者を死罪にできぬと動く南町メンバー。容易に役人を信じない男に、片桐同心は母の死に目に会わせてやるため身を挺して脱走させる。これが明六つまでに帰るか否かがドラマとなる。
金四郎の名を出し、死神重蔵を焚きつけて男を始末しようと動く香具師とグルの火盗改与力に岸田森、牢屋敷の前で追い詰めるが中から成田三樹夫出てきて「俺の顔に泥を塗ったな」でおしまい。斬られる顔がまたなんとも岸田森。


第24話「殺しの疑惑」1977.6.27

 長崎奉行と組んで禁制品で大儲けの回船問屋、伝手となった役者は殺すは、まだ儲け足りないとばかりに老舗の同業をハメるはの悪行を重ねる。ひさごの勘当息子が役者殺しの罪を着せられたもんだからおゆき介入しまくり、調査に入るのに「夫婦喧嘩で実家に」と飛び出す始末。ワルの密談立ち聞きして捕まったりするが、じきに紫頭巾になってチャンバラ。しかし事後、おばば様に女大学の講義をされてしまうのだった。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。禁制品仕込みで老舗をハメた成功報酬を取りに行く次郎吉、仁和寺鐘楼脇。用心棒が出てきて仲介のヤクザともども落とされてしまう底無し井戸、手水場


第25話「掠奪された御用金」1977.7.4

 死神重蔵、日和るの巻。盗っ人が盗っ人を嵌め、火盗改に捕えさせて油断させたあと内懐に入り込み情報をとってまんまと御用金を奪う。この結果重蔵は叔父に叱責され絶縁を言い渡されハラキリ寸前。ここへ金四郎の助け舟、一味の女を捕え泥を吐かせ隠した金のありかも重蔵に教え面目を施させるが、恥を知ったか嫌になったか死神は御役御免を願い出て幕を引く。

 ロケ地、金四郎が次郎吉を釣りに誘い殺された橋番について聞く、罧原堤下河原。伊豆・土肥から御用金を運ぶ一行、表を避けてゆく大山街道、保津峡付近。叔父に絶縁され「善処」を言い渡された重蔵が深刻な顔をして降りる石段、粟生光明寺
*金四郎に御用金のありかを教えられた重蔵、感謝の言を吐くほか、事後魚政を訪ね「今までゴメン」、これに金四郎が「これからは仲良く」に死神「暇になるからちょくちょく来る」…成田三樹夫のコワモテがらがらと崩壊…これで「III」の最強キャラはおばば様ということに。


第26話「八百八町は日本晴れ」1977.7.11

 最終話は大物ゲストを迎え、大物フィクサーを退治る金四郎のお話。大奥を阿片で牛耳り政権を制しようとした「隠居」は伊賀者まで繰り出して証拠隠滅を図るが、焦れたハネ上がりコンビのおゆきと次郎吉のフライングで窮地に追い込まれる。彼らが最後の切り札に用意した阿片漬けの剣客は金四郎を庇うかたちで凶弾に斃れ、これには敬意を表し計らうお奉行、フィクサー宅に乗り込んで大立ち回り。最後は遠山ファミリーの日常が描かれ、日本橋をゆく夫妻で幕。

 ロケ地、おばば様が饅頭食いすぎで癪起こし怪しの薬(阿片)を買う四万六千日の縁日の金竜山浅草観音、仁和寺茶店。その薬を求める咲が赴く鳥越神社門前茶屋、今宮神社社務所。紫頭巾が金持って来い指定の鎮守、鳥居本八幡宮(石段、広場)
*フィクサー・高野石堂に小沢栄太郎、剣客に大友柳太朗と渋い。パシリに五味龍太郎を使う贅沢さはさすがナショナル劇場か。


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