地獄の掟
   1982.11.12フジ/映像京都

キャスト
幾造/仲代達矢 おみつ/中村明美
定七/隆大介 与兵衛/益岡徹 由之助/五條貴士 源三/役所広司
富次郎/山本圭 名のない男/室田日出男
岡島/石橋蓮司 金子/近藤洋介


 原作・山本周五郎「深川安楽亭」、「いのちぼうにふろう」として映画化もされ、無名塾により舞台化もされたお話のテレビ版。安楽亭の親父に仲代達矢。
 舞台は吹き溜まりの埋立地の「島」。密輸中継基地となっている怪しの島には、ならず者の巣食う酒肆があった。道にはずれた者たちのアジールに逃げ込んできた一人の若者から、話が動き出す。貧しくも懸命に働き独立も間近な若者は、言い交わした幼馴染の女が売られるのを看過し得ず行動を起こすが、力及ばずぼろぼろになって「島」に辿り着いたのだった。男にかつての自分を見、義侠心に駆られた安楽亭の面々は熱い血を滾らせて言う「命棒に振ったっていいじゃないか」。このあと、町方との攻防、取引相手の裏切りなどありメンバーは次々と斃れゆき、事後島に戻ったおみつと富次郎が安楽亭の残骸を見る姿に呑んだくれの「名のない男」の地蔵和讃が被る。

 ロケ地、西の湖園地に建物あしらい。
*仲代の亭主がいい味なのは無論のこと、メンバーも秀逸。知らずの定七が鳥の雛を保護する経緯は、微笑ましくも悲しい隠喩となり圧巻。前半で消されちゃう同心の石橋蓮司もいいし、あとで出てくるもう一人の同心が「石屋」だからたまらない。益岡徹や役所広司もあまり目立たぬものの個性横溢。*安楽亭の美術も見もの。


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