暴れん坊将軍
 26〜51話 (1994-1996)

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吉宗、見参!女剣士の挑戦状炎上!大奥の恋姉とおとうと悲恋を斬る武士道北国に折鶴が飛んだ!愛と復讐の遠眼鏡男と女の夢舞台女賞金稼ぎ修羅の花道!俺らの兄貴は上様だ!絶体絶命!大岡越前鬼同心が泣いた夢冷や飯剣法恋囃子名探偵!新井白石死を呼んだ悲願花吉宗、騙りを働く!?陽気な剣客黄金地蔵が呉れたお母ちゃん八丁堀情話 悪名の女!大江戸あばれ主従涙を抱いた花乙女帰って来た次男坊鴉盗賊の娘人斬り子守唄天下を正す無頼漢江戸自慢、吉宗うれしや天下餅!


第26話「吉宗、見参!女剣士の挑戦状

 飢饉の民を救うため、御納戸品を売却し財源とする上様。これを汚職の糧とするワルあり、入札で不正を働くうえ秘密保持のため殺しもしてのける。彼らに父である前御納戸役を殺された息子が復讐を図るが、若衆姿も凛々しい「彼」は数奇な経緯で男として育てられた娘だった。

 ロケ地、御納戸役の不正に故障を申し立てた津田藩士が斬られる、大覚寺五社明神。父を斬った剣の主を求め道場破りの千之助が帰途襲われる、仁和寺金堂前参道。前御納戸役・斉藤邸、妙心寺聖澤院。御納戸役に消された献残屋が土左ヱ門となって見つかる、桂川右岸汀。墓参の千之助、くろ谷墓地。ワルの密談の屋形船、大沢池
*女剣士に付き従うじいに初代小頭・園田裕久。


第27話「炎上!大奥の恋

 上様の意向を受けて大奥のリストラ・引き締めを遂行する年寄・浦路に、寄合席の旗本・大奥の局・出入り差し止めを食った商人が襲い掛かる。手口は乱暴、いきなり駕籠を銃撃するにはじまり、最後は火薬で大奥を吹っ飛ばそうとするトンデモぶり。この陰謀のさなか、提灯奉行方の若者と奥女中の恋が芽生え、艱難を乗り越えハッピーエンド。

 ロケ地、浦路の駕籠(中は代参の中)が銃撃される道、大覚寺大沢池堤(発砲は大沢池上の船から、木々は紅葉)。提灯奉行の増島と火の番奥女中・千勢の件について上様に報告シーンの田之倉、姫路城西の丸。ニタついて下城の増島が二度と大奥へは入れないだろうと言われるお城下の道、好古園茶の庭南側の路地。小十人参番組屋敷(千勢の実家)大覚寺明智門。酔った旗本にからまれる増島、天神島に茶店セット。庭番と揉み合うヒットマンが消される、放生池堤。増島が宿下がり中の千勢とデートの縁日、上賀茂神社ならの小川畔にセット。このあと物思いに沈む千勢が佇む汀、大沢池畔。菱田屋を尾行する庭番、参道橋を渡り大門へ→久永大和守邸。恋に悩みとぼとぼ下城の増島に声をかける新さん、姫路城堀端舗道(外濠南西端、川との間の遊歩道)
*増島時之介にひかる一平、軟弱な若侍がよく似合う。*大奥に火災を起こし浦路失脚の陰謀、しかし仕掛けたのは火薬仕込みのぶっとい蝋燭、女たちを避難させ灯を点検して回る大騒動となる。最後は既にしゅーしゅー煙上げてる一件を上様が手ずから堀に投げ入れ危機を回避。


第28話「姉とおとうと

 医生の弟に学費を送るため苦界に身を沈める姉、晴れて御典医への道開けた矢先、過去の経緯から魔手が忍び寄る。互いにワルに脅され、切羽詰った姉弟の思いを掬い上げてやる上様、「二人の命俺が預かった」と成敗に出てゆく。今回の将軍毒殺計画も、裏で糸を引いているのは尾張なのだった。

 ロケ地、め組の娘たちにせがまれ天神様へお参りの新さん、梅宮大社本殿。毒を盛られヒクヒク浪人が転び出てくるのは神苑入口の門から。典医見習い・孝太郎に接触し脅迫の浪人、妙心寺法堂渡廊。お考が駆け落ち相手の浪人と口論のすえ「落とす」神田明神の石段、常寂光寺山門上石段。


第29話「悲恋を斬る武士道

 仇と追われ病み付き露命をつなぐ浪人には、二つの懸念があった。ひとつは告発した不正の件、今ひとつは自分が斬った汚職上司の妻である元恋人の女。彼の告発は握り潰されており、恋しい女は彼を仇として旅の途に。そして出会う江戸、禁忌を越えて道行きを決意の二人は思い空しく、不正の大元であった江戸家老の手先に斬殺されてしまう。この二人の世話を焼いていた上様、ワル高笑いの座敷に乗り込み「蛆虫ども」を成敗の大立ち回り。

 ロケ地、江戸入り間近の仇討ち一行、広沢池東岸(水無)。「仇」の浪人・加納源太郎に仇討ち一行が江戸入りしたことを告げる新さん、大覚寺放生池堤。小浜藩での事件について報告の庭番、五社明神裏手。加納浪人の回想、桐江との駆け落ちを父に阻まれる汀、広沢池北岸(水無)
*加納源太郎に加納竜。ラス立ち福ちゃん入り、庭番に「斬られた」あと、「復活」して上様にぶっ叩かれて二度明瞭に海老反り。


第30話「北国に折鶴が飛んだ!

 上様の依頼で忠相が抜擢し新潟に送り込んだ与力が左遷と曲解、忠相の政敵と組んで陰謀を仕掛けてくる。おさいを誘拐し忠相が切腹しないと殺すと脅迫の企みは上様にバレバレ、吉報を待っている座敷に乗り込まれてしまう。

 ロケ地、江戸へ通じる間道をゆく天満屋の荷駄が山賊に襲われる、酵素ダート。おさいが拉致される路地、上御霊神社本殿裏手。忠相の命令と偽り庄屋を殺す戸川与力、庄屋屋敷は民家門。め組の若い衆がおさいの折鶴を見つける川、上賀茂神社ならの小川(神事橋上から川中)。事後、上様が折鶴を流すお庭、二条城清流園
*政敵の老中に西沢利明。


第31話「愛と復讐の遠眼鏡

 はびこる抜け荷の麝香、起こりとなった半年前の信濃屋摘発の一件が洗い直される運びとなり、慌てた当事者の勘定奉行は証拠隠しに動く。この過程で、奉行と結託していた回船問屋の過去の悪行も絡んできて大騒動、信濃屋の遺児と回船問屋にハメられ遠島となった男が奇妙な経緯のなか心を通わせる哀話が挿まれる。

 ロケ地、ワルとつるみ信濃屋を陥れた北町与力が消されて死体となって上がる水辺、大覚寺大沢池・天神島北の水路。島抜け男が娘の墓に参り、回船問屋の用心棒に斬られる、二尊院墓地
*労咳の娘の薬代欲しさに回船問屋の言うまま盗みに参加する男、捕縛されても事情は語らず島送りに甘んじるが、託した筈の娘も金もワルにかっさらわれていたという悲惨なお話。タイトルの「遠眼鏡」は、事実を知って島抜けしてきた男がワルのアジトを旅籠の二階から見張るスコープ。覗いているうち、信濃屋の娘の難儀を見てしまい肩入れのこの儀助に和崎俊哉、二代目暴将お庭番。*ラス立ち福ちゃんは浪人ルックでシャープな殺陣、画面の一番手前でしゃきーんと抜刀。


第32話「男と女の夢舞台

 病篤い藩主を持つ松本藩、おきまりの後継問題で大モメ。己が係累を次期に据えようと図る国家老の陰謀を阻止せんがため藩主の隠し子が浮上するが、ご落胤は侍を捨て戯作者になる夢を軌道に乗せはじめたばかりの若者だった。

 ロケ地、斬られてめ組で療養していた松本藩の元目付がご落胤探しに大騒ぎしながら駕籠でゆく道、仁和寺参道(この様を見る新さんは茶店)。元目付がお参りの宮、梅宮大社本殿(ここに刺客出てチャンバラは境内)。元目付とご落胤の佐吉を引きあわせる新さん、仁和寺水場観音堂前。ご落胤「佐吉」の回想、養父と釣りの汀、大覚寺大沢池南西畔。
*元目付を襲う刺客の一人に福ちゃん、最初は「イカ」で出て二回新さんにぶっ叩かれ。ラス立ちにも登場しカメラの真ん前・大写しで「斬られる」が、あまりの高速回転のけぞりゆえ顔はブレている。


第33話「女賞金稼ぎ修羅の花道!

 準レギュラー、賞金稼ぎの夜叉面のお銀が散る。
お話は、上州相生藩で作られる春画プリントの抜け荷用反物をめぐる陰謀。秘密を知り、親友から託された証拠品の割符を持つ脱藩侍が賞金首となり、お銀はこれを付け狙う。浄円院の真心に打たれ、狙う侍の子を思う心に打たれたお銀は切所で賞金首を庇い斬られ、浄円院に看取られ事切れるのだった。
 ロケ地、賞金首の浅葉を見つけ誰何のお銀、山室堤道。横入りの相生藩士らとお銀が斬り結ぶ隙に船で逃げる浅葉、罧原堤下汀。浅葉が故郷に残した息子の安全を祈願の神社、梅宮大社本殿、お銀が来て逃げるシーンに楼門と神苑汀。小梅村清涼庵、法然院山門。相生藩士たちに襲われる小頭たち、直前にくぐる門は梅宮大社神苑入口の門。上州から帰還の左平次が馬を飛ばす道、谷山林道。お銀が浅葉に事情を聞く汀、広沢池東岸(バックに萱葺民家、池は水無し)。事後、上様が逍遥のお庭、二条城清流園内濠堀端(バックに本丸櫓門の前の橋)


第34話「俺らの兄貴は上様だ!

 不作の風聞に米を隠匿し値を高騰させる悪徳商人たち、これにムカっときた蜜柑問屋の若旦那は、蜜柑船で紀州から米を運び庶民の用にたてようとする。この動きが気に食わない米問屋たちと、裏にいた旗本が彼を消しにかかる過程が描かれ、彼の家にあった紀州候のお墨付き入り葵紋の守袋をめぐって涙のドラマが展開される。

 ロケ地、米問屋に雇われ民心の不安を煽った瓦版屋が消され捨てられる堀、嵐山公園中州岸〜湛水域。米問屋を探る忠相の密偵が用心棒とチャンバラは中ノ島橋たもと。上様のお庭逍遥は二条城清流園
*若旦那は大森貴人。忠相の密偵に小峰隆司、悪役でないのにコワい顔、しかしそこはかとなくラブリー。ラス立ちには福ちゃんもいて複数回斬られている。


第35話「絶体絶命!大岡越前

 忠相を失脚させ後釜に座ろうと画策の旗本、殺人鬼のような刺客を雇い入れ次々と要人を暗殺し人心を不安に陥れる。それでも忠相が罷免されないのに焦れて、殺し屋にはダイレクトに忠相殺害を命じたり。しかし猟官運動の際、田之倉のじいに千両相当の甲冑を贈って意図バレバレ、幕閣を集めた席で上様が忠相を罷免するお芝居に乗せられ、祝宴の席で悪事をべらべら述べ立てているところに乗り込まれ万事休すという馬鹿な結末となる。

 ロケ地、若年寄の姉が暗殺される法要の寺、粟生光明寺阿弥陀堂(五色幕巡らせ)、法要は本堂内陣、女装した怪しの暗殺者がゆく回廊、本堂脇渡廊。陰謀の主・堀川縫殿助邸、妙心寺龍泉庵。殺し屋に狙われる御書院番頭・土井の本所二ッ目の妾宅、妙心寺福寿院。ここで阻まれた殺し屋が逃げる際南町与力を殺害する堀、大覚寺御殿川・勅使門橋下の河床。事後、上様トリオが昼間っから酒を飲むお城の庭、嵐亭
*弟を冤罪から救ってくれた忠相に恩義を感じ身を挺して危難を救おうとする女渡世人や、殺人鬼設定なるも目の悪い妹を治したい一心で悪事に加担する殺し屋など、脇に面白い設定を持って来てある。無闇に武勇を誇るも妾宅を狙われタジタジの御書院番頭に五味龍太郎なども。ラス立ち福ちゃん入り。


第36話「鬼同心が泣いた夢

 亡くした女房に酷似の女郎に肩入れする北町同心、侠気に感じた両替商から大金を都合して貰い身請けまでする。しかし太っ腹な両替商が凶盗に遭い、同心はガラのわるい口入屋に返済を迫られる。ここから道を踏み外す同心、押し込みの手伝いまで話が進むが彼に助けてもらった女郎の懇願に土壇場で翻心、しかしワルの刃は彼を刺し貫くのだった。
凶盗は職権濫用で見回り中「下見」という火盗改長官の仕業、女郎屋や口入屋とつるみ悪いことしまくり。

 ロケ地、筑後屋の死体を検分したあと、供養のため自分が捕えると気炎を吐く北町同心、仁和寺経蔵。火盗改長官がまた下見のための巡回と報告の小雪、金堂脇。同心・沢田の墓、くろ谷か。
*恋しい女のため銭に転び悪に身を投じる同心に大橋吾郎、湯治を約束の濡れ場に怖い顔がなかなか。


第37話「冷や飯剣法恋囃子

 側室の子を世継ぎにと上州・安中藩で持ち上がるお家騒動、正室に子を生まれては困る一派が陰謀を仕掛けてくる。謂れ無き罪で藩主から致死を命じられる正室、乳母親子の献身とかつての恋人の助けに加え上様の「裁可」下り自由の身となり、幸福に向かって歩き出す。

 ロケ地、正室が殺した態を繕われ見つかる役者の死体、大覚寺放生池堤。安中藩江戸屋敷、妙心寺聖澤院。正室の役者殺しの件について伝播早すぎと庭番に調査を命じる上様、嵐亭(縁先越しに庭)。安中藩、お国御前が藩主に正室を讒言の庭、梅宮大社神苑。正室の身代わりとなって死んだ乳母の娘の弔いの寺、不明(妙心寺と推測されるも中から撮られては無理)。乳母の娘の墓、二尊院墓地。大目付に駕籠訴の乳母、大覚寺大門前。ラスト逍遥の庭は嵐亭(こちらは建物バックの庭)


第38話「名探偵!新井白石

 お話は、小判改鋳に際し不正を働く勘定奉行を追い詰め懲らしめるもの、これを調べていた勘定吟味役が金座に銅を納入した業者を乱心して殺す形で消され、遂には調査を命じた老中が城中で毒殺される。事件の闇に迫ろうとする新さん、ここに消された者たちと親交のあった老儒者・新井白石が関わってくる。

 ロケ地、新井白石邸門、不明。金座、大覚寺勅使門。勘定吟味役の不審死を受け老中と図る白石がゆく道、南禅寺僧堂坂。老中邸裏門は僧堂通用門。勘定奉行・萩原近江守邸、大覚寺明智門。刺客に襲われる白石、南禅寺僧堂坂。駕籠かきに急を聞く新さん、法堂前。老中頓死を聞く鯉に餌やり上様、二条城清流園。老中に茶を出した茶坊主の死体が上がるのを見たあと萩原の駕籠と行き会う白石、妙心寺涅槃堂前路地。白石と会った印象を忠相に話す上様、二条城内濠端。許婚者の娘に婚約解消を言い渡す白石の息子(作事奉行)梅宮大社神苑。息子の様子を聞いて駆け戻る白石、新さんとばったりは妙心寺福寿院道入口の四つ角。自刃しかける息子を止める白石、鹿王院客殿縁先。白石の息子が金沢藩の岡嶋仲道に材木の手配を頼みにゆくくだりで映る金沢城、本物。萩原邸へ潜入の左平次、御殿川河床に身を潜める。金座に向かった小雪、御殿川沿いの塀際をそろそろとつたう。
*白石に長門勇、暴将ではお馴染ゲストだが第6シリーズまで来ると、初期シリーズの浪人役とは違う使われ方をする。上様に「大久保彦左衛門のような爺」と称される如くの役回りで、ビジュアルも完全にお爺様。徳田新之助が上様と知れるまでは、持ち味のぶつぶつボヤく軽妙なやり取りが続く。


第39話「死を呼んだ悲願花

 普請下奉行と材木商が結託し、架空取引をでっち上げ私腹を肥やす。この悪企みに用いる毒を作らされていたのは、左平次の幼馴染の医師だった。

 ロケ地、名義貸しの巳之助を追う普請方同心が用心棒に襲われる、仁和寺観音堂。釣りに来て同心と芸者の心中死体を見る新さん、大覚寺放生池堤。この際使われた毒について心当たりを報告の左平次、天神島。幼馴染の医師・永山を問い詰める左平次、天神島朱橋上。巳之助が始末される、相国寺鐘楼脇。毒を渡したことを後悔し、お甲を追う永山を紀州屋の番頭が阻もうとする、今宮神社合祀摂社前、境内。
*医師・永山が研鑽のすえ抽出に成功の毒は彼岸花の根汁。花は、上司毒殺の吉報を待つワルの座敷の床の間に派手に活けられていたりする。これが上様の放った正義の扇に散らされる趣向、あとに首ちょんぱの彼岸花が茎を林立させている画も挿まれる。*ラス立ちは福ちゃん入り、上様にぶっ叩かれ、左平次にばっさり斬られ、も一遍上様にばっさりでその都度派手にのけぞる。


第40話「吉宗、騙りを働く!?

 旗本御家人を脅迫し強請りを働く目付衆、献残屋と組んでウハウハ状態。悪事に気付いて消された徒歩目付の娘と、彼に恩を感じる浪人に仇を討たせてやる上様、ラストは二人の祝言で幕。浪人が探索のため「大岡越前守」を騙るのだが、エチゼンなんて言ってませんよイチゼンです、私の雅号です姓は大岡です邪な人が勝手に聞き違えるのですと強弁の浪人が傑作。目付に脅されていた旗本邸に証拠を取りに行く新さんが浪人に「上様を騙って」と思わせるのがタイトルの謂。

 ロケ地、徒歩目付暗殺の夜道、大覚寺五社明神心経宝塔への道(雨、塔はライトアップ)。残された娘に話を聞く新さん、茶店は大沢池南堤にセット(遠景に護摩堂と塔)。献残屋を尾行する浪人が刺客に囲まれる、上賀茂神社奈良社ならの小川。「騙り」設定で上様が入る腰物奉行邸、門は大覚寺大門、庭は鹿王院客殿前の庭。ラスト、婚礼にじいを誘う上様、二条城清流園
*献残屋に川合伸旺、証拠を残さぬため白扇を小道具に使うコスいやり取りの際も、さすがの憎態さでマル、白髪のちょん髷がよく似合う。*娘をさらう段、見張り役の浪人に福本センセイ、きょろきょろと落ち着かないふうにあたりを睥睨、め組が殺到するのに体を引いてビビってみせる。ラス立ちのファンキーなお顔で断末魔の小船秋夫もいい感じ。


第41話「陽気な剣客

 バイトに精出すアカるい侍・原田平八郎と知り合う新さん、一献傾けたあとはもう新さん平さんの仲。一方、め組の小頭は病の夫を助け健気に働く美人妻に入れあげ、世話を焼きまくる。しかし彼らは追う者と追われる者という悲しい運命を背負っていた。
夫妻が追われる理由は殿の意に逆らったゆえの上意討ち、乱行の噂ある藩主は悪家老によって天守に監禁されていたことが知れ、上様の殴りこみに。平さんは誤解のうちに若妻に刺されるわ、家老の手先にめった刺しになるわで絶命。看取る新さんの姿に「夢灯り」鳴り出し、懐手して夜の町をワルのもとに向かうシーンにスイッチ。

 ロケ地、土木作業のバイトする平さんを見る新さん、桂川松尾橋上手河原(新さんのいる映画村日本橋と似た欄干を手前に置いて)。篠に追われる事情を聞く新さん、大覚寺放生池畔〜五社明神。平さんが篠夫婦の討手であることを打ち明ける、仁和寺九所明神。襲われる篠を助け家老の手先を水に叩き込む平さんだが篠に刺される、天神島。め組を抜け出した平さんが藩士らに討たれる、南禅寺僧堂坂。事後、藩主帰還を告げるじい、二条城清流園


第42話「黄金地蔵が呉れたお母ちゃん

 御用金強盗出る。こやつらが金を隠匿したお堂にたまたま入り金を発見した飛脚は、一部をガメ以降仕事もやめてしまい散財の日々。そんな父を案じ、また小判に不審を抱いた子らはめ組へ相談、これは上様の知るところとなり、御用金の件も放蕩親父の件も解決に向かう。
タイトルの「母」は、金の在り処を探るべく勘定奉行とつるむ富商から飛脚のもとへ送り込まれた芸者が、大岡裁きにより女房として納まるエピソード。「地蔵」は飛脚がガメた金を埋めた野末のお地蔵さん、新さんのお芝居で子らに仏の声が降ってくる。

 ロケ地、御用金強奪の東海道大森付近、不明。賊が金箱を隠匿する閻魔堂、御室八十八ヶ所御堂。勘定奉行・安西兵庫頭邸、相国寺大光明寺。飛脚が賊に金の在り処を迫られるくだり、仁和寺金堂脇〜鐘楼。子らが蜆採りの川、上賀茂神社ならの小川
*飛脚に島木譲二、パチパチパンチも披露。福ちゃん、二態で登場。飛脚が芸者を助けに来るくだりで浪人(フレームから体半分出てるが「おぅぁー」の呻き声で知れる)、ラス立ちで勘定奉行配下の家士(上様に二回ぶっ叩かれる)。


第43話「八丁堀情話 悪名の女!

 阿片入りの妙な薬が流通、これを追う南町与力。彼の家庭で起こる人情劇を絡める。根幹のドラマは、「父の女」を許せない娘の反発と、先代から受けた御恩に報いようと体を張るその「女」の和解を描く。麻薬は旗本の名家の殿様が「お家芸」とかいってごりごり自分で調合していやがるトンデモ設定。

 ロケ地、旗本・安藤邸(上屋敷)、不明。与力の娘が麻薬製造・流通一味のならず者と密会の出合茶屋、錦水亭。前後の「天満宮」は長岡天神境内と思われる。先代の恩について新さんに話す与力の愛人、嵐山公園中州北岸(濁流が流れている)。事後、与力のその後を談笑の上様トリオ、二条城清流園
*堅物与力に伊吹剛、娘に反抗される親父を渋く演じる。ラストはぼろぼろに負傷、この人の見せ場にはなんか膾姿多いような。*ラス立ちに福ちゃん、都合三回「おわぁ」とのけぞり。おまけに旗本の手下の峰蘭太郎も同様にのけぞっていて笑える。


第44話「大江戸あばれ主従

 田之倉のじいのもとに紀州から訪ねてくる姪、用件は母の決めた縁談がイヤだから叔父様どうにかして。この娘が、道中でお庭番の血染めの密書を預かってきたりするからややこしいことに。じいは別口で猟官運動しまくりの奏者番の恨みを買っており、消された忍びはこやつを追っていた。じいを襲う凶刃に上様が立ちはだかって毒にやられたり、姪がさらわれたりする荒っぽい展開ののち、上様は行き違っていた若い二人を結びつけてハッピーエンド。

 ロケ地、冒頭め組の女たちにからむ浪人を川に叩き込む武家娘、木津川か。高坂藩上屋敷、大覚寺大門。城の庭で田之倉に姪と会った話をする上様、二条城清流園。紀州、野遊びの律(田之倉姪)に馬上から声をかける「婿候補」沢井、山室堤道。浅草付近、江戸見物の律と舟遊びの新さん、大覚寺大沢池(船)。これを見て身を乗り出し水に落ちる沢井、大沢池堤。姪と沢井の話をしながら歩くじいと新さん、仁和寺鐘楼前〜手水場脇石段。差し込みを装ったくの一に襲われたじいを庇い斬られる新さん、観音堂脇の植え込み。奏者番・建部が律を拉致しじいを呼び出す吾妻の森、鳥居本八幡宮(広場、鳥居下)
*六郷の渡し船上でおさいに絡み、居合わせた律に投げ飛ばされる浪人、福本先生。水中でじたばたしながらフレームアウト。これでラス立ちにも出ているんだから侮り難い。


第45話「涙を抱いた花乙女

 新さんにほのかな思いを抱いた花売り娘は、父の仇を討ちに江戸へ来ていた。彼女が返り討ちに遭い無惨な死を遂げたあと、その姉に事情と娘の思いを聞いた新さん、ウルっときて「恨みは俺が晴らしてやる」。仇の凶暴侍は藩重役や悪徳商人とつるみ、姉の恋人は密命を受け彼らを追っているというややこしい設定が挿まれる。

 ロケ地、花売り娘・おはつが新さんに別れを告げる、梅宮大社神苑汀。その後斬殺されて見つかる大川、嵐峡。仇討ちの事情を探りに越後飯倉領稲田村へ赴く左平次、民家群。これを上様に報告の庭、二条城清流園。おはつの姉に形見の小太刀を渡す新さん、黒谷墓地金戒光明寺本堂前〜梅宮大社舞殿脇(茶店セット)。病の恋人の代わりに決着をつけにゆくおしま、深川八幡は梅宮境内(夜間)


第46話「美女を泣かせる鬼十手

 妻女の声を奪った盗賊を捕えるため、捜査打ち切りの火盗改を辞め南町へやって来る男。任務のためとは言え葬儀の場で早桶をひっくり返したり、粗暴な振る舞いで悪評ふんぷんたるその同心は、熱い心を持ついい奴なのだった。

 ロケ地、大阪屋の葬儀が行われている寺へずかずか踏み込む如月同心、粟生光明寺回廊、阿弥陀堂。大阪屋の暗殺を殺し屋に依頼した丸屋を立ちあわせ殺し屋とのツナギを待つも丸屋が消される神社、今宮神社境内(楼門、合祀摂社)。忠相に如月のことを尋ねる上様、不明(芝地に茶亭、弓のお稽古中)。殺し屋一味の雲水が首領の女に如月の妻女は昔殺し損ねた娘と告げる、粟生光明寺山門。ここへやって来るグルの火盗改頭取、石段。朝右衛門が如月を斬ったのは罠のお芝居とじいに告げる鯉の餌やりタイムの上様、阪口青龍苑切石橋。さらわれた如月の妻女と捕えたおもんの交換場所に指定の下谷金杉・妙法院、不明(門の前に短いステップ)。如月の墓、二尊院墓地
*残忍極まりない殺し屋の首魁・おもんをすっぱり成敗するためか、山田朝右衛門が登場し容赦なく斬る。グルの火盗長官は亀石征一郎、盗賊だったおもんを捕え度胸を見込み殺し屋に仕立てたのはコイツ、いつもの如く凶悪設定で上様の断罪にもちっとも怯まず「腹を切れとは笑止千万、それは上様がなされるが宜しかろう」。*如月主水は誠直也、新さんを自宅に招くのにオイコラと十手出したり、妻女との馴れ初めを照れながら大声で吹聴したり。*おもんの手下の雲水に小峰隆司、ラス立ち福ちゃん入り(火盗改配下の侍、笑うほど何遍も出てくる)。


第47話「帰って来た次男坊鴉

 恩ある名主が冤罪に落ち刑死、渡世人・藤十は仇を討つため江戸に帰還、そこは二度と戻らぬ覚悟で去った故郷だった。幼馴染の恋人が兄嫁となったことで武士を捨て江戸も捨てた藤十、仇の代官を斬るがこれが回りまわって兄の仕業と疑われる羽目になり、また兄は遺留品から弟の帰還を知りただ黙す。根幹には代官を使嗾し私腹を肥やしていた勘定奉行の悪行、兄が疑われる仕儀となった「果し合い」の一件も昇進を餌に妻女に悪さを仕掛けたこいつがらみ。藤十を暗殺させ、ワシの身は安泰と呵呵大笑の座敷には上様に乗り込まれてしまい一巻の終わり。

 ロケ地、神谷覚之進に妻女とお奉行が××と吹き込む代官・岩松、大覚寺勅使門橋。藤十が江戸入りの船、桂川罧原堤下。代官御用邸、大覚寺明智門。果し合いをすっぽかし酔って帰る岩松を襲う藤十、中ノ島橋上。神谷の妻女の噂について報告の小雪、相国寺宗丹稲荷。神谷邸、相国寺大光明寺(門、玄関先、東塀)。藤十を探し船宿へ向かう奉行の手下、大覚寺大沢池堤(朝右衛門に釣竿で追い払われる)。藤十の素性を話す朝右衛門と新さん、放生池堤上に茶店セット。船宿を出た藤十が奉行の手下に襲われる、相国寺大光明寺南路地〜湯屋西側の林間、塀越しに大光明寺方丈大屋根が見える珍しいショット。神谷の妻女に藤十の思いと神谷の真意を告げ去る新さん、帰途の風景は仁和寺中門(二王門背景)、塔。
*代官に五味龍太郎、勘定奉行に立川三貴、どちらもねっとりとワルい。朝右衛門登場、刀傷に堪能とか言って藤十の手当てさせる上様…ついでにボディガードも。


第48話「盗賊の娘

 父を盗っ人と知らなかった娘、知っていて原因は自分と心痛める母、本格のお盗めの老盗は手下に裏切られ無念のうちに死ぬ。彼らの思いを汲んだ新さんは、裏にいて糸を引いていた勘定奉行を探り当て成敗。

 ロケ地、言いがかりをつけ丁稚をいたぶる侍を懲らしめる新さん、仁和寺参道に縁日セット。これを見て新さんにボディガードを依頼のお清、御室八十八ヶ所・大窪寺前の石橋。父が盗っ人と知り荒れるお清を酒肆から連れ出し諫める新さん、走田神社本殿前、参道。お清を連れてゆく「父」の報謝宿の百姓家、走田神社社務所。「父」の隠し金が隠匿されている本所満徳寺、不明。事後、奉行のことを怒る田之倉のじい、二条城清流園。所払いとなった母子がゆく街道、嵐山自転車道


第49話「人斬り子守唄

 市中で斬りつけられめ組に保護された島帰りの男、かつて仕出かした殺しは縁薄い娘に金を残してやるため、しかし奇縁は巡り、殺した相手は娘の養父だった。彼を主の仇と狙う青年が娘の婚約者だったりもして、もつれた事情の果て男は娘の白無垢を見て死んでゆく。

 ロケ地、島帰りの時次郎が出島屋と会い五年前の事を語った件を報告の庭番、二尊院紅葉の馬場。時次郎の娘が勤める茶店、上御霊神社参道にセット(以降、恋人と会うくだりに合祀摂社も映る)。出島屋から出た船手奉行の駕籠がゆく武家屋敷街、妙心寺衡梅院前、佐竹邸は聖澤院。佐竹のことをじいに聞く鯉に餌やりの上様、阪口青龍苑(池の切石橋上)。母の墓参のお咲、大覚寺五社明神二尊院墓地。このあと時次郎が襲われるのは五社明神。刺客を撃退した新さんが時次郎に事情を聞く、放生池堤。ラスト、野点の上様、前に芝地の茶亭、不明。
*時次郎に中野誠也、渋い役どころ。*新さんおさんどんで煮物焦がしてテヘッ等のおちゃらけあり。


第50話「天下を正す無頼漢

 事の発端は阿片中毒の侍が市中で大暴れ、これが縁で新さんは妙な浪人・深井清三郎と知り合う。彼は阿片のことを知るや、出所を探って強請ると言い出し新さんに協力を迫る。また、阿片中毒の侍を運び込んだ医者が強つくばりで二十両もの治療費を取るのを怒り、阿呆な芝居を打って金を取り戻すなどもしてのける。小金を得るには、大名の門前を借りて腹を切るパフォーマンスで涙金をせびり、真似をする浪人が多発したりする。そして極めつけは元の主家である海津藩に乗り込み無体を強いられている腰元を救い出す大芝居、寛永寺の使僧に化けてひとくさり。そんな彼には卑劣な上司と衝突して藩を退去した過去があり、その上司はいま海津藩江戸家老として幼君をよいことに藩政を壟断、阿片の密売までしているのだった。

 ロケ地、阿片中毒の侍が暴れる芝大神宮境内、上賀茂神社ならの小川畔に露店セット。田之倉邸に乗り込みハラキリパフォーマンスをやらかす深井、姫路城好古園夏木の庭門。介錯してやると言い出すじいから逃げる深井と新さん、好古園の路地を逃げ回り。事後、深井を召し出す上様、姫路城西の丸


第51話「江戸自慢、吉宗うれしや天下餅!

 老中を追い落とし後釜に座ろうと画策の若年寄、気の毒な経緯で出戻りの姫にとんでもないスキャンダルを捏造して失脚を図る。噂に耐え切れず自死を図った姫を保護した新さん、若年寄が得たりと己の悪事をべらべら開陳する座敷に乗り込み成敗。

 ロケ地、釣りの男が浪人の土左ヱ門を見つける大川、広沢池東岸。に組の清吉が連れ込まれたという菊姫の屋敷、鹿王院(玄関を内側から見下ろすクレーンショット〜清吉が刺客に斬られるのは客殿と本堂を結ぶ回廊)。煽られた民衆が押しかけ騒ぐ老中・時山淡路守邸、大覚寺大門。菊姫が入水未遂、広沢池東岸。菊姫の回想、落馬事故で夫である吹上藩主を亡くした馬場、下鴨神社河合社脇。
*苦悩する姫の父老中に品川隆二、あんまり見せ場なくもったいない。*タイトルはお祝いと餅をつくめ組のラストシーン。


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