素浪人罷通る

伊藤大輔監督作品 1947.10.28大映京都

 天一坊もの。山内伊賀亮に阪妻、対する松平伊豆を大友柳太郎が演じる。
父に会いたい一心の天一坊の純真に打たれた伊賀亮が、暗い前途と知りつつ助力するお話。冷徹な官僚である老中・松平伊豆守は、悪い先例を作るとして落胤の真贋は二の次と抹殺にかかる。よりにもよって火盗改を差し向けてくるそのやり口に怒り心頭の伊賀亮、捕り方を大屋根から眺めやったのちするすると大路に降り立ち、大見得切って「伊豆に物申す評定所へ罷り通る」と大音声。大岡越前がぎりぎりの切所で親子の邂逅成った合図をするのに目礼、呵呵大笑して投降するのが見せ場。


ロケ地

二条城唐門・紀州平野村・感応院に天一坊発つを確認しに来る男たち、勝持寺仁王門と石段。
・天一坊の件で幕閣が次々登城の江戸城、大手門に二条城東大手門二の丸御殿唐門越しに車寄。
・八ッ山御殿、大覚寺宸殿。伊賀亮が美濃から呼んだ千枝と対面する天一坊、回廊の上と下。南町へ落胤の証拠持って入る伊賀亮、式台玄関
・鷹狩に城を出る吉宗、二条城東大手門(堀川通が地道の模様)
・火盗改の出役、大覚寺大門
*美濃の浄楽院や街道筋、子らが伊賀亮を見送る土橋、将軍と天一坊が一瞬の出会いを果たす野道など大半が不明。天井川堤の向こうに家の庇が覗いてる一件など、おそらく残っていないと思われる。大映だけに家居のセットなんか凄いのひとこと、殊にラスト伊賀亮が立つ大屋根は見事。


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