乾いて候


お毒見役主丞 乾いて候 1983フジ/東映

 将軍暗殺の陰謀渦巻く江戸城に、お毒見役として乗り込み巨悪を焙り出す男、腕下主丞。
吉宗の隠し子という日陰者の身をニヒルに処す彼だが、親子の情から将軍を助け剣をふるうことになる。

 ロケ地、冒頭の江戸城(背景に暗雲ドロドロ)姫路城天守閣。OPに重なる、江戸に着いた主丞の立つ船着き、広沢池東岸(水無)に桟橋セット、引き潮の汀を演出。城に入る主丞を襲う、老中の迎えに偽装した一団と戦闘、彦根城天秤櫓下石垣。大手門から入る主丞、天秤櫓。吉宗が毒を盛られたと主丞を呼びに来る大岡忠相の妹、相国寺(庫裏〜鐘楼)。忠相に今回の事件処理一任を申し出る主丞、枳殻邸傍花閣前。失脚した間部詮房が城を出る、姫路城はの門下坂。落飾し城を去る月光院、姫路城三国濠(天守バック)。江戸を去る主丞がゆく石段、不明・キャプチャ。岩がちの渓谷、天神川河床。甲賀がアジトを構える妙義山奥の院、神護寺(山門、金堂下石段に大屋根映りこみ)。日光街道の宿、紀州の子供時代を回想の主丞、柊野堰堤。日光参拝の将軍の行列が渡る橋、蓬莱橋か(同じ映像をよそでも使いまわしてる気がする)。今市の宿場で襲撃された将軍を隠す小屋、鳥居本八幡宮にセット。甲賀衆と最後の闘争、神護寺(本堂、参道林間)。ラスト、忠相の妹に声をかけず去る主丞、化野念仏寺


乾いて候 お毒見役必殺剣 1984フジ/東映

 天一坊事件を解決する主丞、自らの運命から天一坊には同情的、将軍にはカニ料理に下剤混ぜたりなんかする。

 ロケ地、ご落胤「亀松君」の駕籠が襲われる浜松付近東海道、琵琶湖西岸松原。江戸城外観イメージ、姫路城。天一坊が宿とする洛北雄山寺、西明寺山門。京都所司代、大覚寺明智門(御殿川の中からのショット)。天一坊の件を聞き上機嫌の吉宗が野点の席ではしゃぐ、枳殻邸傍花閣前。天一坊一行が江戸へ向かう街道筋の山道、谷山林道。尾張の刺客と剣戟の渡海屋寮前、法然院山門。天一坊について城中で話す主丞と忠相、仁和寺宸殿。紀州平沢村で天一坊の昔を知る隣村の松造を尋ねる主丞、酵素(ダート、河川敷に小屋セット)。松造が落される山中、保津峡落下岩。山内伊賀亮が主丞との立ち合いの際の「芝居」のレッスンをつける、桂川臨川寺前付近の堰堤下河床。立ち合いは下鴨神社馬場(スモーク焚、扇風機送風、灯台セット)。事後、僧形の天一坊が「両親」の墓に詣で旅立つ、二尊院墓地。これを見届け去る主丞、紅葉の馬場


乾いて候 1993フジ/東映

 前作より10年を経て、すこぅしお年を召した田村正和と、あんまり変わらない高廣兄上の姿が見られる。導入部はほぼ前作を踏襲、お話は実は生きていた母との再会と別れが描かれる。ニヒルな主丞も凄絶な母とのからみではうるうる場面多し、上様はおちゃらけ度合を少し減じ、かわりに馬鹿殿を本田博太郎がコミカルに演じる。

 ロケ地、宇都宮藩下屋敷、青蓮院(建物はあまり映らず大楠のシルエット越しにちらり)。江戸城は彦根城を使用。忠相が主丞に母の死の経緯を聞くシーンは時報鐘前、背後に街並がちらっと映る。母が尾張の手にあると聞く主丞、太鼓櫓下。日光街道で雨宿りの主丞が甲賀くの一に狙われかける、魔気神社楼門。その後襲撃される汀は沢ノ池かと思われるが、判断材料に乏しい。汀の形状からダム湖か溜池は間違いなし。宇都宮城にも彦根城を使用、将軍来るを告げる早馬が疾駆するくだり、観音台下の坂道観音台前の橋西の丸三重櫓裏手。母のいる千手院は不明。

*必殺剣と1993年の間に「乾いて候」6回ものが撮られている(1984年秋)。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ