幕府お耳役檜十三郎

1991TX/松竹


第1話「公儀大目付の陰謀

 檜十三郎は飛脚屋紅屋の居候で恋文の代筆を表の生業にしている大目付配下の「お耳役」。友人の鳥見役・竜崎又平は役目柄どこでも入ってゆき、またこれも友人の渡り中間・新次は日銭で大名に雇われ内情を探る。又平と新次は十三郎の友人の立場崩さず「助けてやる」というスタンス。時により額面の多寡はあるものの「お小遣い」を受け取る。これに加え紅屋の女将お富と女飛脚のお染がファミリーを形成。女将は十三郎の仕事を弁えているがお染には秘密。
将軍家斉の御世、三十何人か目の将軍の娘の輿入れ先の内偵、大目付と十三郎のツナギは水辺の料亭の座敷の下へ船をつけ竹筒刺して行う、錦水亭
将軍の娘拝領を避けたい鍋島藩と南部藩のどたばた。それにつけこむ大目付筆頭の京極丹波守、これを誅滅せんと十三郎に謀る大目付・田ノ内隼人正。鍋島方が南部藩の虚偽申し立て暴くといって目付ら呼び出す長谷寺、粟生光明寺。石段を登る証拠の人質乗せた駕籠まわり一行に襲いかかる「お耳役」軍団。渡り中間は濡らした手拭を次々投げ相手の顔に貼りつかせて自由奪う。そこへ鳥見役が特製強力トリモチで相手引っ掛け(どんな接着力じゃ)階段から落とす。ワルのアタマ連中は十三郎が堂内で斬。
事後、悪企み及ばず将軍の姫押し付けられる鍋島藩、京極追い落としにはもっと強烈な証拠が要るとひとりごちる大目付・田ノ内。


第2話「大名潰し・三千両の罠

 喜連川藩主、京極丹波の冥加金断り目付けられる。船宿「浮舟」での田ノ内と十三郎の竹管通してのツナギ、話題は喜連川。十三郎、お忍びの「殿」と意気投合。
喜連川藩に永代橋修復の話、資金に難渋するところへ怪しい援助話、京極の仕組んだ偽金持ち込まれる。京極のお耳役は十三郎の昔の女・お甲。京極の小姓とお甲のツナギ見ていて渡り中間が追いかけられ鳥見役と共に隠れるのは下鴨神社・糺の森、泉川に架かる石橋下。
喜連川藩の江戸家老が責負い自刃するに及びお甲斬る十三郎。小姓は殺り損ね、今回も京極追うには至らず、京極邸の天井から偽金降らすに留まる。


第3話「紫袱紗に包まれた謎

 駕籠に忘れ物、袱紗包みから出た「橘井院百聞録」なる書付をめぐって起こる大騒動、中には大名諸家のスキャンダルが書き連ねてあった。
袱紗を番所に届けた町民たちが次々殺され、金座後藤周辺では小判改鋳を利用してのぼろ儲けが画策され、裏には京極丹波の影。十三は仲間二人の助けを得て核心に迫り、橘井院に辿り着く。
 ロケ地、浜町河岸で駕籠を降り袱紗を忘れてゆく女、建仁寺久昌院前〜境内。女が刺客に斬られる、三門(南からのショット、法堂が映り込む)。田ノ内にツナギをとるため船をやる十三、大覚寺大沢池。新次と又平に調査を依頼する十三、今宮神社高倉(夜)。「橘井院」の御後室が滞在する高輪北町・泉岳寺坂下の西光庵、西明寺山門。京極丹波邸、相国寺大光明寺南塀越しに堂宇。京極家用人と窓越しに百聞録について話す八木伝七郎、建仁寺方丈回廊の花頭窓。金座を見張る十三に声を掛ける娘飛脚のお染、建仁寺鐘楼脇。後藤の番頭が入る有馬家下屋敷、随心院薬医門。鳥見役のなりでここへ侵入し、危地に陥った別式女を助けた又平がナンパしようとして逃げられる、建仁寺両足院前。「橘井院」を守る別式女たちを誘き出す新次、手拭を浸すのは下鴨神社泉川、又平とともに彼女らを倒し眠らせる戦闘シーンは池跡。事後、お城の廊下で京極家用人に小判改鋳の件で皮肉をカマす田ノ内、建仁寺方丈前廊。国へ発つ「橘井院」京の方の駕籠、嵐山自転車道
*橘井院とはペンネームで、橘と井桁の紋は田沼意次の娘・お京の方の嫁ぎ先の井伊家の紋、百聞録を包んであった紫の袱紗にあった九曜紋は田沼家のもの。八木伝七郎の印籠にある七頭の疾駆する馬は田沼の隠し目付「七ッ目組」のもの、という設定など小物に凝るのも面白い。


第4話「生まれたままの悪女

 秋田藩邸から裏帳簿盗る女賊・不知火のおもん。秋田藩留守居役と親友の田ノ内、十三郎に探索下命。おもんの裏には京極丹波の手先・犬千代。でも帳簿はおもんの情夫にパクられ悲嘆の女賊、考え込み佇む水辺、広沢池。その夜おもんと一杯飲り憎からず思う耳役三人衆、軽妙な会話が絶妙。
おもんの情夫、帳簿売ろうとして斬られる林、糺の森。情夫が隠していた帳簿先回りし取り戻したおもん、犬千代に毒づき渡さず、鳥居本八幡宮。逃げる石段、段途中から大木生えてる珍しいもの、要調査・キャプチャ。その後紅屋に十三郎訪ねるも不在、犬の手先に見つかり斬られ虫の息、隠れる苫舟、広沢池。耳役三人衆がおもんを荼毘に付す嵯峨酵素。おもんの弔いと出陣の十三郎、あれぇ犬斬られちゃったよ…いいのか?


第5話「五万石争奪!踊る密書

 柏田藩の世継騒動、正室の子推す城代家老は田ノ内の竹馬の友、側室の子推す江戸家老は京極丹波に接近、錦鯉贈ったりなんかして。
十三郎には城代の娘で駆け落ちし長屋住まいのお絹夫婦の保護の命下る。お絹は勤め先の料亭で京極と江戸家老の密談漏れ聞き、次第を書状に認め田ノ内に送る。それを運ぶ紅屋のお染が襲われ手紙奪われる、下鴨神社糺の森池跡。その後お絹夫婦も襲われ十三が助勢。襲撃現場、塀と路地が…妙心寺?坂あるから違うか。
その後再び襲われ捕われたお染救うべく人質交換に赴くお絹夫婦、大沢池天神島
ラスト、国へ帰るお絹見送る十三、大沢池・放生池境の堤


第6話「大名馬鹿 罠にかかった六万石

 小姓あがりの京極丹波の側近・重松が遠州浜松藩主河内守に奥州・棚倉への転封を言い渡しに来る、山科随心院。棚倉は不首尾起した大名の左遷先。十三の友で河内守家来の六之進は責負い自刃。河内守の女癖が引き金。その妾・お艶の身辺を調べ十三とツナギとる新次、広沢池。ごろんぼが襲い掛かってくる。襲撃に失敗した浪人を始末した侍を新次が追う、入っていくのは棚倉藩下屋敷、随心院?棚倉藩は唐津に、浜松藩の後釜に唐津藩がという六万石のコロガシ。
お艶と十三が話す寺、河内守・辰吉との経緯を語る、真如堂本堂〜鐘楼〜塔。辰吉のバックに誰かがいて操っていると示唆する十三、お艶は怒って立ち去る、真如堂山門。その後辰吉の手下が十三襲う、真如堂境内から金戒光明寺へ抜ける塔頭の間の道。
島流しになった辰吉を赦免する代わりに浜松藩主ハメるのが条件だったことを突かれ身の危険説く十三の言葉とお艶に子供できたことから意を決し唐津藩下屋敷に赴く辰吉、大覚寺明智門。唐津藩と縁を切って江戸を離れたいと申し出る辰吉、口封じに斬られる。偵察に来ていた鳥見役が助け出すも頓死。
生き証人の口塞がれた耳役チーム、田ノ内まで出張り重松を誘い出し酒席で三大名国替えの尽力はただ働きだったと京極に伝えよと告げる。その頃重松を待つ唐津藩と棚倉藩の座敷に耳役三人衆出陣、手拭と鳥刺し棒炸裂。慌てる重役たちに迫る十三の影、斬りまくったうえ証文奪い焼き捨てる。死屍累々の座敷へ駆けつける重松くん、「くっそお」おそーい。


第7話「秘密を盗んだ女

 東照宮修繕の情報芸者に漏洩しちゃう田ァ様。そのせいでほぼ内定してた加賀藩に藩公病臥とか言って逃げられる。田ノ内、十三に芸者・小太郎の探索下命。
探索中、出入り先の彫師宅に出入りする怪しげな浪人尾行する鳥見役、今宮神社石橋真如堂、気付かれ斬りかかられる。バックには京極に取り入ろうとする唐物商・東海屋、小太郎は弱味握られ手先となっていた。その弱味・里子に出した実子・太一と月イチで会う小太郎、北野天満宮。内縁の夫と息子を見つめ微笑む小太郎に声かける十三、感情移入。
一方小太郎と別口の手先の芸者、欲をかき消され大川に土左ヱ門として上がる、桂川罧原堤(堤下汀)。
小太郎、彫師と浪人・月形に江戸城石垣工事入札情報入手を命ぜられる、真如堂。やむなく動き強引に京極丹波の酒席で入札価格ゲット。そこへ十三現れ足を洗うよう示唆、説得。始末はつけてやると約す。
縁日をゆく七之助(彫師)、新次が幇間のふりして誘い出す、今宮神社合祀社、十三闇より出で斬。東海屋の入浴中鳥見役が風呂焚き封じ十三が板壁越しにぶすーで板から湯がぴゅー。東海屋の座敷で呑んでた月形もさくっと始末。
漏洩の事実明るみに出焦る京極に嫌味ちくちくの田ァ様。
ラスト、縁日をゆく十三と紅屋の女将にお染、小太郎親子が三人連れで睦まじそうな様子見かける、真如堂参道・水場
*ロケ地補足 芸者尾行シーンに宗忠神社参道石段(十三郎が植え込みから出てくる)


第8話「恋文代筆仕り候

 のっけから谷中のいろは茶屋で旗本の部屋住み連中と勤番侍が暴れまくり。騒ぎ起して大名から金を巻き上げるシステムが作られ裏に京極丹波用人・重松久馬がいる。この件の探索を十三に下命する田ァ様。毎回十三にちくちくお説教されるとこがヒッジョオーに可愛い財津一郎。
紅屋に恋文代筆頼みに来た茶屋の娘・おゆみ。周りからは諦めろと諭されている。相手のお小姓組・神尾孫八郎の家でも同様。そのうえ神尾家では組頭と義母が共謀し孫さま廃嫡を企む。二人の様子出歯亀していたお染、新次誘い逢引の現場覗きに行く、大覚寺五社明神付近。とりとめのない話を蜿蜒と続け終いに眠り込む二人、大覚寺護摩堂の縁先。朝までそんなコトしてて勤務に遅れそうになった孫八郎、慌てて走り出し大名行列の前突っ切ってしまい無礼を咎められ摂津浅田藩邸に連れ込まれてしまう。お小姓組組頭・大沢は猛る若手旗本を抑え好機到来とばかり孫八郎抹殺を企図。
一方、このことを十三に知らされ動く田ァ様、ツナギは駕籠止めて用足しの林の中、糺の森。これを察知した重松、事を早めその晩に大沢自身が浅田藩邸に忍び入り縄解くふりしてぶっすり、孫さまあっけなく昇天、自害と処理される。怒り神尾邸に続々集まる旗本衆、窮した浅田藩は重松に調停依頼、千両払わされる。藩役人の帰りを襲う耳ーズ、情報取り大沢の名浮上。
ふらふらと神尾邸に来てしまうおゆみ、義母と組頭の悪企み(そんなことを声高に喋りながら歩くなよぉ)聞いてしまう。後を尾けていた新次、気転利かせ連れて逃げる。
事の顛末を田ァ様に告げる十三、まぁた用足しの林、糺の森、密命下る。
重松の駕籠襲う耳ーズ、供を鳥見役が散らした隙にばっさり。神尾邸に入り込んだ新次がうまうまと大沢を門前におびき出す。神道無念流の達人との対決、鍔迫り合いの末相手の脇差抜きぶっすり殺る十三、殺陣見応えあり。大沢の死体発見する義母・菊は脅しつけただけ、殺さなくっていいの?ちっちゃい子供いるからか。
孫八郎の墓参りに来るおゆみと十三、金戒光明寺墓地、三重塔をバックに。


第9話「女郎蜘蛛の罠

 播磨五万石川鍋藩で持ち上がる騒動は昔の怨恨と欲得ずくの絡みあったところへ京極丹波が糸引いてるいつもの構図。川鍋藩改易の後釜に座る藩を入札させるという悪辣さ。
調査に入った新次は側室に食われて呆けたままなのがなんかね。
ロケ地、京極別邸に嵯峨の個人宅くらい。


第10話「恋におちたら地獄ゆき

 上州・平井藩の若侍七人、脱藩の罪着せられ葬られる、嵯峨酵素。石末峠をゆく七人縁の一行も怪しげな僧形の一団に暗殺される、谷山林道。その際用足し中だった石坂頼母の妹・お絹のみ助かり先頃再会した幼馴染おけいの身辺探っていて居合わせた新次が救出。
兄の墓に参ったお絹、藩の侍に攫われかかるところを紅屋の女将が割って入り助けるが新次は捕われてしまう。連れ込まれた先に幼馴染のおけい、パトロンが平井藩の家老。
その夜律儀に紅屋襲撃に来る僧形の一団、鳥見役と十三に返り討ち。その後新次捕えていた家老も斬、平井藩改易。家老が溜め込んでた金は七人の墓の中、で死体はというと藩邸裏の池の中に重し付けて沈めて…わぁ映すな。池の水面長いこと映して業平の歌まで被せて何事かと思ったら…悪趣味…。
ラスト、菜の花の咲き乱れる川辺でピクニックの耳ーズ&紅ーズ+おけい、桂川罧原堤下草原か。


第11話「隅田川浮世草子

 深夜、水辺で心中偽装工作の侍たち、大沢池北西畔。翌朝浜町河岸へ上がる武家屋敷の中間と夜鷹の死体、。
松前藩の抜荷と京極丹波の関係について十三に探索下命する田ァ様。心中の片割れの中間は松前藩で働いていた。また、藩江戸家老は世継めぐり京極とつるんで画策中。版元から頼まれこれを草子に書く十三、松前藩大騒ぎ。怪しい雲行きに世継に予定していた子も母も斬られ、情報漏洩源となった藩士も斬られるに及び江戸家老始末しにゆく十三。


第12話「殺しの絵図の裏のウラ

 京極別邸で目付たち招いて宴、その席に狼藉者乱入、中山邸。これが京極の仕込みで田ノ内と耳役を焙りだす陰謀。京極邸にはかつての又平の恋人・久美が仕えていて、京極は耳役のことも又平の名も知悉。既に事は露見していた。
ある日京極が田ノ内配下の耳ーズの始末を命じているのを聞いた久美、知らせに走り又平庇って斬られる。耳ーズ出陣、京極の手先となって自分たちを襲った大村藩を襲撃。又平、前回からなんか怪力系になってる…。
江戸城お廊下、行き会う京極丹波と田ァ様、タヌキ会話。


第13話(終)「闇の裁き!小判に抱かれて死ね

 側用人・加納の急死を受け後釜に座る画策する京極丹波。田ノ内の耳役の動静掴んだ京極の手の者は紅屋を襲う。乱戦、斬り抜ける耳ーズ、大覚寺脇の有栖川、大沢池溢水口付近、夜。
京極配下の耳役・若松と千代は自分の仕事と京極の悪辣さに疑問を抱いている。そこへ十三との出会い重なるうち揺れる若松たち。遂に側用人就任工作に使った一万両の受け取りを盗み出し十三に渡すも両名とも死亡。
これを持ってビシバシ賄賂を受け取った老中まで糾弾する田ァ様、京極は罷免に。それでも気晴れぬ十三、京極の奥用人斬り切腹の間の京極の座敷に乱入し首を斬りおとす。
ロケ地、京極丹波が老中に裏金渡しに屋敷を出る、大覚寺大門石橋


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