騎馬奉行がゆく
1995.7.11日本テレビ/東映

 時は大塩の乱直後、長きにわたった家斉の治世は倦み幕藩体制の危機も迫るなか、当の家斉は大御所として家慶の政道に容喙、まわりには欲の皮の突っ張った輩が取り巻いていた。ここに老中・水野は気骨ある士・黛内蔵助を抜擢、火盗改長官に任命し斬り捨て御免の権限を授ける。
 お話の主軸は、大塩の残党が将軍の命を狙う企み。しかし一味の首領は変節し、大御所の取り巻きのフィクサーと通じる。ワルの狙いは家慶を抹殺して、孫の若君を次期将軍に推戴すること、陰謀渦巻くなか内蔵助以下火盗改五人衆はすんでのところで阻止、そこに大御所逝去の報がもたらされるのだった。

 ロケ地、大塩の乱のイメージに大坂城天守(改修前)。江戸城イメージ、姫路城天守。深更、江戸城に取り付く大塩の残党・鴉組、彦根城佐和口多門櫓。御金蔵、櫓内側。奪われた二十連発銃のことを水野老中に報告の黛、阪口青龍苑築山。元鉄砲改役だった旧友・平岩を訪ね手合わせの黛、酵素木の前。向島の中野碩翁邸、大覚寺大門。碩翁の孫・犬千代ぎみが遊ぶ庭、阪口青龍苑池まわり。船で登城する碩翁、八幡掘(掘割〜新町浜、白雲橋上に黛が立ち龍頭のギヤマン張り船を見下ろす)。橋上の黛とお銀のショットから彦根城佐和口多門櫓前の濠へスイッチして登城を表現。将軍の日光参詣を狙う街道のくだり、河畔林などから亀岡盆地の桂川と思われるが、堤の高さや河床の砂の量が些か?木津ではのギワク捨てきれず。また、五人衆が先乗りの山道は酵素ダートと思われるが、確定要素なし。道と川は難しい。

*五人衆は目黒祐樹演じる元鉄砲改、本田博太郎演じる元大目付配下与力で槍の名手、この二人は黛の旧友でスカウトされる。共に役人に嫌気さしてる設定だが、以降の展開には生かしきれておらず勿体無い。あとの二人は水野差し回しの若手と、前から火盗にいたおっちゃん(懐かしい、暴将初代め組小頭)。五人衆には特権(寺社地や大名家にも踏み込み可、いいのかホントに)の象徴として十手と馬が将軍直々に下賜される。十手は葵紋入りの金房つき、馬は五色の色違いのハミつきという、なにか踏み外しかけたような設定だが、あまり目立って使われず惜しい。*悪役陣はフィクサーの隠居に神山繁、禿頭は珍しい。あと老中と大目付に北原義郎と中田博久、ツーショットも暑苦しく、とってもわかりやすいワル。彼らは、大御所逝去のあとイキナリ討ち込んできた五人衆に碌に断罪もされず皆殺しの憂き目をみる。このへんとっても乱暴な展開でちょっとアレだが、高橋英樹が許さんモードに入ってるからお構いなし。*そして脇、福本センセイは鴉組の「悪いほう」の浪人として現れ、騙されていた正義派の大塩残党の峰蘭太郎を問答無用でバッサリ。油断のならない福ちゃんは、このほかにも黛が女掏摸に財布をやられる場面で、人足役できょろきょろしている。その女掏摸が髪切り魔の話を持ってくるくだりでも、かもじ屋の前を大八引いてすーっと通ったりする。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ