赤穂城断絶

深作欣二監督作品
1978.10.28東映


 忠臣蔵を見るたのしみは、ディティールに尽きる。
畳替え、お料理違い、烏帽子大紋への着替えなど前段の細かいエピソードが収斂して松の廊下、ここでも抱きとめが梶川殿か本蔵かなんて差異もある。キャスティングでも、脇坂淡路守を誰がとか天野屋は出るのかとか、もうほんとに細かいんである。
しかし本作は、涙の開城も南部坂雪の別れも無し。ましてや定九郎やお軽勘平や神崎与五郎東下りや垣見五郎兵衛や羽織の別れなんか一切出てこなくて、スピーディの一語に尽きるテンポは、「仁義なき戦い」に似ている。

 もう、吉良さまの苛めシーンすっ飛ばして松の廊下、収城使なんて遠景で終わり、浮さまのくだりも慌しく、吉良邸調査なんか大石出府後いきなり忍び込んで調べるという荒っぽさ。討ち入りも各人のエピソードはほぼ省かれ、殺伐たる殺陣が繰り広げられる。極めつけは泉岳寺に引き上げの行列が無くて、もう義士切腹。でもって最後にハラキリのヨロキンは、累々と並べられた同志の棺を見て仕置の場に臨むという仕立て。「公儀に面当て」の、大石の目論見が果たされることとなる。

ロケ地

  • 江戸城登城の諸大名、二条城北大手門、二の丸御殿、本丸西虎口。
  • 赤穂城、彦根城天守、天秤櫓、太鼓門櫓。
  • 逃亡にかかる大野九郎兵衛を追う若侍たち、相国寺宗丹稲荷前。
  • 赤穂城堀端に居着いた不破数右衛門に、切腹の作法を乞う主税、彦根城観月台橋たもと。
  • 柳沢吉保が色部図書と大石談義、彦根城玄宮園
  • 屋敷を移る吉良を狙う江戸同志のくだり、呉服橋吉良邸は大覚寺大門で対岸に浪士たち。
  • 吉良の駕籠が通るのを待ち構える浪士たちが潜む回向院、金戒光明寺(極楽橋たもとに線香屋セット、潜伏に墓地と境内)
  • 吉良の駕籠がやって来る道、南禅寺僧堂坂。駕籠が去ってゆく坂、金戒光明寺東坂。
  • 大石に刺客を放つ小林、色部に次第を告げ見下ろすのは永観堂御影堂見下ろしのショット。
  • 大石以下お預けの細川家下屋敷、知恩院北門。

*大石にヨロキン、内匠頭に西郷輝彦、吉良さまに金子信雄、色部に芦田伸介、柳沢に丹哲など豪華この上ないキャスティング。屋敷移りの際橋本を襲う密偵に福ちゃん。


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