破れ新九郎
1978テレビ朝日/中村プロ


キャスト
新九郎/萬屋錦之介(獣医)
吉兵衛/田中邦衛(大工)  三田主水/若林豪(元公儀天文方の浪人)  宗方十吾/岡本冨士太(元同心・問屋場勤務)
おきん/岸田今日子(閻魔長屋大家)  治助/せんだみつお(長屋差配)
八兵衛/嵐寛寿郎(問屋場長老)  うわばみのおよし/春川ますみ(閻魔長屋隣の妓楼勤務)

第1話「砂塵の町に来た男」

 牛を殺すと与太者が発言した瞬間キレる新九郎。以後動物を苛めたら許さんと宣言。若林豪は元幕府天文方という体で下駄投げて天気予報するのがなりわい。
金貸し(石橋蓮司)以下代官まで斬っちまう新九郎、問屋場のごまかしで済む問題なのか?
冒頭、現代の新宿と風俗が映し出される。脚本は池田一朗。

第2話「えん魔がくれた千両箱」

 江戸の町にセントバーナード犬出現、オランダ人の置いてった犬だから「バン」。若林豪も破れ奉行と比べるとギャグ多し、前作でのスクエアさは影を潜め衣装も胸毛を見せてみたりラフ。
「火には火、殺しには殺しだ」ってワルの商家(放火で身代築いた極悪人)に火かける相談してやがんの、長屋のみんなで。天気侍の予報で火付けの日取り決めたりして。それで、時津屋燃やして主人殺ったあと代官所へ乗り込んで全員褌一丁にして丸坊主にしてさらし者にしちゃったりして。こんなことしでかしても問屋場の八兵衛が「証拠不十分!」って言えばおしまい…。
若林豪の、着流しの裾ぴらっと持ち上げて下駄投げる一連の仕草が可愛い。

第3話「ねずみ小僧獄門首」

 鼠小僧を追い使っていた黒幕・大目付の増井邸に討ち入るえんま長屋五人衆、ぬうっと押し入って斬りまくる新九郎と三田主水。
鼠小僧には中村嘉葎雄、兄弟競演。なんかずいぶん体格が違う。
押し入った先で大工の吉兵衛が要の柱を抜きにかかるというシーンがあったが、先にコト片付いちゃって屋敷が倒壊するとこは見られなかった。中村プロ作品だから絶対やると期待してたのにな。

第4話「ここは地獄の一丁目」

 三田主水、黒幕の同心を殺るのはいいが、それ辻斬り。大ワルの白足袋の金蔵は破れ馬医者にばっさり。かような大量殺戮もアラカンの一言「十年早いわ」で済まされてしまうから、このお話は面白い。

第5話「哀愁女の十字路」

 前の勘定奉行の仇・新任奉行を討ちに巡検の役人と入れ替わるえんま長屋五人衆。奉行と腹心を殺るのはイイけど、おつきの下っ端も皆殺しはアリなのか。いつのまにか通称が「破れの先生」になってる新九郎。

第6話「地獄の白州は快刀乱麻!」

凶盗・鎌鼬のアジトに討ち入り盗人もつるんでいた南の筆頭同心も皆殺しのえんま長屋五人衆。蕎麦屋の竹之助がなんであんな格好してるかといういわれが判明。

第7話「通り雨ならお命頂戴」

 内藤新宿に弾の雨が降るっていうのは西部劇風味、時代劇のひとつのジャンルだと思うけどさすがに最近さっぱり見ない。
鉄砲同心なんていうのも出てくると悪役の設定多し。天気侍大活躍、新九郎の泣きの入り方が派手。

第8話「天保大地震」

 寺社奉行と寺の坊主が流行神を仕立ててぼろ儲け。身を持ち崩す者も出る始末。ワルどもをじわじわ苦しめてやると怒る新九郎、蹴りだけで十兵衛殺っちゃう。祀ってる「おばば様」にちょっと細工しただけで自ら転んで頓死する和尚。寺社奉行は地震が怖くてたまらず庭に飛び出したとこをばさー。あのぅ、人前で奉行殺ったら70人からの藩士が路頭に迷うから、って言ってたんじゃ…藩士も見境なしにいっぱい斬ってないか…。
おばば様っていうのは脱衣婆か。

第9話「新九郎西伊豆へ走る!(前)」

 蘭学者の絡んだ一件で三田主水が牢にぶち込まれ、新九郎は事態解明に伊豆へ。
折角の旅ものだからご当地映像がいっぱい、前後編なので派手な殺陣は次回にお預け。

第10話「新九郎西伊豆へ走る!(後)」

 ロケ地は伊豆・堂ヶ島。トンボロ現象で知られる三四郎島を効果的に使用。
海防隊屯所で大立ち回り、焼跡視察の目付一行に発破かまし煙に乗じて斬り込むファンキーな長屋衆。国立公園?で火使いまくりの勢いが凄い。

第11話「大台風!御用金強奪」

 天気予報を悪用され牢に入れられ怒る三田主水。鉄砲組とか八王子千人同心とか出るときっちりワル。
吉兵衛の呑んべの犬、模様が変…マジックかなんかで描いてるのか。

第12話「血風!帰らざる街道」

 長屋に鼠が出たといって吉兵衛・主水に馬医者まで大騒ぎ。怖いらしい。主水に至ってはその後女郎屋へ行ったまま帰らず。
甲府勤番絡みの強盗と殺し。組頭二人は天気侍と元同心がバッサリ。
馬医者は玉屋で借りた衣装で「松平新九郎」などと爆笑ものの名のりを上げ騎馬で突進。

第13話「激闘!えんま長屋の合戦」

 ゲストに石橋蓮司、風体は思い切り目付きのわるい痩せぎす・大たぶさの浪人。冒頭から地回り相手に大立ち回り、鬼勝一家皆殺しにしてそこへ居座っちゃう。
ハードなシーンと打って変って平和なえんま長屋。七輪で魚焼く新九郎、菜っ葉刻む主水(尻からげて赤襷)、天気侍は相変わらず裾ぴろーんとまくって下駄を放る。
石橋蓮司の役どころっていうのは長屋の追い出し、ニヒルに決めてるのに。放火させたり子供拐したり姑息。しまいに騒ぎが大きくなり長屋へ大人数で討ちこむ羽目に。用意周到長屋衆も迎撃。形勢不利になるとレンジはトンズラ決め込むが、黒幕の代官と一緒に新九にバッサリ。代官殺すの何人目だ。

第14話「罠!死美人は知っていた…」

 ワルの同心一味の宴席の隣で小判の音立てて誘うと、欲ボケが律儀に川岸を掘る掘る。そこへ五人衆。新九郎の台詞に「てめぇら人間じゃねェ叩ッ斬ってやる」が出る。
借りた小判を問屋番に返しに来た主水、時ソバやって誤魔化そうとするがアラカンに一両足りねぇって看破されてたり。ところで死美人って何。

第15話「盗っ人宿の女」

 上方から賊を追ってきた老目明しだが、昔捨てた娘が当の賊に拾われ育てられていたという奇縁。肩を落し新宿を去ろうとする男だが、賊を使嗾していた奉行の手が伸びる。
奉行んとこへ乗り込むのに盗っ人衣装で入る四人、邦衛似合いすぎ。凶事を知らせに走ってくるのは患畜だったり、アラカンの一喝で薄幸の娘は見逃されたり。

第16話「流浪の女 おゆう」

 タイトルの女に「けもの医者」呼ばわりされる新九郎。女の仇の黒部は普請奉行、普請と不審掛けたギャグが寒い。
助太刀に新九郎と天気侍、黒部邸に白昼乗り込んでばっさばさ。若林豪の殺陣、手の捻りが独特というか変というか。いや好きなんだけどね。

第17話「必殺!無双一本槍」

 長屋に越してきた速見太郎左衛門は訳アリ。大友柳太郎ゲスト出演。
速水に仕向けられた刺客ぱっぱと殺っちゃう長屋衆、その黒幕の大名の米と金奪って配るし。
速水を仇と狙う立場の男は好青年、討つつもりは無いと藩を辞そうとするもハメられとっ捕まる。湯屋で物騒な相談する長屋衆、虚無僧に化け捕まった青年を取り戻しに。でも変装の必要が認められないんですが。討ち入り先では当然皆殺し。
事が終わって、頭の固い速水老人のために正式に敵討ちが行われる。双方の槍が一合した瞬間けもの医者の刀が一閃、穂先を切り落として強引にメデタシに持ってゆく。

第18話「血涙 地獄の子連れ狼」

 宿場はずれに住み着く侍の飼い犬の小屋作らされてフテる吉兵衛、しかし仕事にかかるとノリで大きい立派なの作る。犬は真っ黒けの大型犬。
高遠藩邸に捕われた侍の息子を助けに乗り込む五人衆、家老以下皆殺し。今回アラカンの〆も無く、いいのかこれで本当に。

第19話「無惨!狙われた百姓妻」

 狼藉を働いた松平丹波守を傷つけてしまい窮地に陥る夫婦を庇う長屋衆。
馬鹿殿は夫婦の行方を言わぬ長屋の噺家を斬り、夫婦の親を抱きこんで街道で手下に惨殺させる。
けもの医者はキレて「叩っ斬るだけじゃすまねぇ」とわなわな。治助は老中・稲葉(笑)に駕籠訴、馬鹿殿慌てて帰国。その行列に立ちはだかる新九と吉兵衛、背後を天気侍と元同心が固め当然の如く皆殺し、これで津山藩は取り潰しと笑う一行、ここまでやって大丈夫なのか。

第20話「殴り込み!破れ軍団」

 いつものアレは殴り込みじゃないとでもいうのか、のサブタイトル。
政情の変化で邪魔になり始末されかかった公儀お庭番、その放った鳩を救い密書まで読んで思い切り首突っ込む長屋衆。
お庭番・望月兵馬の母を囮にするため、罪人として晒したやり口に怒り朝駆けで乗り込む長屋衆、街道筋には乾いた風が吹きからからと物が飛んでゆくさまはまんま西部劇ノリ。忍者相手に大立ち回り、乗り込む前に「いい考えがある」って言ってたけどただ斬りこんでるだけじゃん。
で、皆殺しの挙句お庭番・望月はそこで斬り死にしたって話を仕立ててそれで済ます…毎度のことながら無茶苦茶。破れシリーズでいちばん破綻しているのはこれかも。
望月母子は武士を捨て内藤新宿で居酒屋を開く。見た目まんま仕事人の畷左門(望月役は伊吹五郎)

第21話「殺しの報酬は殺し」

 梟を小道具にした辻斬りが多発、長屋からも被害者。新宿に客とられた四谷のゴロツキのさしがね。頼光だか雷公だかいう熊みたいな巨犬登場。
実行犯は旗本のどら息子、所業を知った親は家光の例をひき正当化、どころか長屋潰すと脅しかける始末。それを詰った辰吉とおみよを無礼討にされけもの医者マジ切れ。悪人どもの座敷に巨大犬が障子を突き破り乱入、鯨船で突入し銛が飛び込んでくるというお話も乱暴だったが犬とは…。

第22話「曲芸女太夫騒動記」

 甲州の百姓一揆の首謀者を匿い新宿に小屋掛けする一座、地回りに狙われ惨い目に。
座頭の情人が殺された夜、黙って次々部屋から出てくる長屋衆。やくざ一家に夜討かけ親分の枕蹴っ飛ばし「寝てる場合じゃねぇんだ!」に始まりヤクザ皆殺し。
小道具のチンパンジーがなんだか無理矢理出したようなちぐはぐさ。ヨロキン、動物好きなのか。

第23話「流転!夕陽の父子唄」

 鹿(破れ医者の患畜)を連れた少年の蘭学者の父、作成した地図を狙われ崖から落とされやっと帰り着くも夫婦ともに暗殺されてしまう。
その夜、ものも言わずに首謀者の大目付邸を取り巻く長屋衆。おのおの獲物を構えて闇よりぬっと現れる姿は必殺テイスト。元同心の持ってるトランプの剣みたいな短刀、なんかヘン。
今回、殺しのパターンもいつものバサバサ乱闘ではなく強いコントラストの映像なのも必殺ノリ、でも馬医者のみいつも通り。

第24話「六十二万石の鯉騒動」

 屋敷奉公に上がらないおこいの家の池に錦鯉放り込んでハメようとする尾張藩留守居役のヒヒ爺。
弱っていた鯉はけもの医者が預かる。鯉がいなければ問題ない、刺身にして食っちまおうと言う天気侍。渋谷川で釣ったと言って尾張藩に鯉を届け十両せしめる長屋衆、その金使って妓楼で大騒ぎ。
再度おこいの家に錦鯉放つ企み、手先に使った鯉取り名人の若者・馬之助を殺すやり口にけもの医者怒る。尾張藩下屋敷に乗り込み天誅。あれ天気侍いないと思ったら裏門固めてる。
馬之助の埋葬で話は終わるがいくらその職業が馬糞拾いだったからってラストにまぐそ大映しにしなくても…げろげろ。

第25話(終)「大爆破!夜空に消えた新九郎」

 政情不安な折から神田川・淀橋水車で火薬を挽いていると聞き、様子を見にゆく新九郎。現場で働く百姓の身を案じ、やめさせようとするが幕閣はきかず。どころか新九と吉兵衛を始末しようとするので、新九郎は長屋を退転、水車小屋に「爆発危険」の幟立てて居座る。元同心の流した噂で職人たちは騒然となるが老中が力で押さえ込む。そのうち長雨が続き川の水嵩が増え水車がオーバーロード、爆発。
玉薬奉行は自刃。惨劇にキレるけもの医者、老中邸爆破を企む。火事装束で乗り込む長屋衆(天気侍、自分たちを閻魔一族と発言…)、老中引っ括って導火線につなぎ火つけて行っちゃう。どかーんと上がる火の手、ぱあっと上がる花火、脅かしただけだと思ってたら死んだみたい。なんて無茶な。
問屋場に呼び出される新九郎、人間到る処に青山在りと遠まわしに退去勧告するアラカンの目に涙。ひっそりと長屋を立ち去る新九郎、その後慌てて探しに出る長屋一同、なんか変なとこ探してる。ラスト、生き物をぞろぞろ引き連れ砂丘をゆくヨロキンが微笑ましく可愛い。


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