白獅子仮面

1973日本テレビ/松竹


第1話「青い目と赤い目の狼

 なんだかとっても不穏な空気の江戸の町、南町奉行・大岡越前は武装同心隊を創設する。選ばれた同心たちが勢揃いしているところへ、隊長に抜擢された剣兵馬が襖をからっと開けて入ってくる…もうこの時点でコスプレの三ツ木清隆、白パンタロンに赤ベスト、得物の二丁十手は電工ベルトみたいなホルダーに収納している…どんな同心なんだよ。
今回現れる火焔大魔王の手下は狼仮面、赤い息吐いたり目線ビームで人を操ったりする。なんとか戦う兵馬だが、洞窟に誘い込まれ爆薬をかけられ落盤で危機一髪。苦しむ兵馬に、虚空からひゅーっと現れ啓示を与えるお獅子の顔、「獅子吼!」の叫びとともに兵馬は白獅子仮面に変身。便利なしもべの白馬ももれなくついてくる。このあとは砕石場か造成地みたいな荒地で、悪の手先と大乱闘。操られた越前の妹が兄を爆殺する寸前に阻止し、狼仮面のヘッドを倒して変身を解く。しもべの白馬は自動的に林の中へ去っていったり。

ロケ地
・大岡越前邸、相国寺林光院(門、境内)
*変身の合図は二丁十手をかざしクロスさせる、これが主題歌にある「カッチンカチャリコ」なんだよねー。でも「ずんばらりん」は余計だろ。*ギャグ要員の同心・田所に古川ロック、犬怖い設定が剣の達人みたいだが腕はからきし。


第2話「雨もないのにカラカサ小僧

 日照り続きで水飢饉の江戸の町、大魔王の手下はこれに付け込み井戸に毒を投じて回る。
今回の化物は見た目は妖怪絵なんかにある通りのカラカサ小僧なんだけど、足は二本あり黄色いタイツを穿いていて、傘を開いて空を飛び(音からするとエンジンがついている模様)攻撃をかけてくる。集団でキャハハハ笑って勝ち誇り、喧しさも迷惑。はじめはノーマルに戦う兵馬だが、傘お化けのくせに強くて押し包まれ井戸に落とされ危機一髪→半身水に浸かった状態で「獅子吼ー!」で白獅子仮面登場、しもべの白馬も駆けてきて町外れで大乱闘。なんだかよくわからない戦闘のすえカラカサ小僧たちは倒され、前回の狼仮面と同様しゅわーっと消滅する。

ロケ地
・旗本屋敷の井戸を警護する侍たちをカラカサが襲う、鳥居本八幡宮(本殿、井戸)
・大岡邸の井戸も狙う、相国寺境内、林光院。
・まだ水の出る井戸がある浄泉寺も狙うカラカサお化けたち、西寿寺(本堂前の井戸、田所と岡っ引が逃げ去る石段は墓地への坂、変身を解いた兵馬がしゅたっとキメるのは参道石段・本堂を背負う)


第3話「一ツ目の刺客がやって来た

 今回の手先は、ストレートに大岡越前と兵馬を狙う。なにしろ、今や江戸の人々の心の拠り所になっちゃってるお二人なのだ。股旅者の集団としてざっざっと行進してくる妖怪たち、大岡邸へ討ち込む際はぱぱっと三度笠を投げてみせたりする。でも合羽とったら中の人はトンデモ。いや、一ツ目ってちゃんとタイトルにあるから、一ツ目小僧なのはわかってたけど、上半身裸だしトゲつきのパワーリスト巻いてるしチャンピオンベルトみたいな赤腹巻してるし毛むくじゃらだし…靴なんか妖精さんみたいな赤いトンガリ靴。怪力系で強くて、警護の同心たちは皆殺しになったうえ「死体」が操られて越前を襲うんだけど、小僧さんたちの詰めが甘いもんだから越前に見破られて役に立たなかったり。大魔王にこれを指摘され怒られた一ツ目たちは兵馬に殺到、ここで田所同心を盾にとられて縛られたうえ火をかけられ危機一髪。炎のなか瞑想する兵馬、息を整えて口笛吹いてしもべを呼ぶ。ロプロスでも来たらどうするんだ。駆けてくる白馬、ついでに十手も呼び寄せヘンシン。越前を襲う一ツ目たちの前に白獅子仮面が現れる。

ロケ地
・大岡邸、相国寺林光院。一ツ目たちが放る三度笠は向かいの大通院大屋根を背景に舞う。
・お城からの帰り、兵馬に大目付も寺社奉行も化物騒動が収束したと思ってるとぶつくさ愚痴る越前、相国寺方丈西塀際
・白獅子仮面と妖怪のラス立ちは相国寺林光院境内
*妖怪を倒し小屋根に乗ってポーズ決めてるヒーローに、越前が「白獅子仮面…」と呟くのがなんだか激しく笑えてしまう。


第4話「小判の好きな化け猫騒動

 今回送り込まれるのは化け猫、古典的に手をクイッとやって人をとんぼ返りさせたりする。鍋島産か。悪企みは偽小判で江戸を大混乱に陥れること、大藩の姫にとり憑いて悪さをするところへ大岡さまの妹が潜入し、危機一髪にはかっこよく白獅子仮面が現れる。

ロケ地
・久世藩の姫の駕籠を職質の兵馬、南禅寺僧堂坂
・久世藩邸周辺を固める同心たち、大覚寺勅使門前林間。姫の駕籠が出てくるのは大門参道石橋勅使門橋(ここで尾行まいて消える)
・化け猫に操られた縫が飛び降りろと命令される「塔」、南禅寺三門。白獅子仮面と怪猫軍団との戦いは三門前の参道
*白獅子仮面は、縫が塔から落ちて危機一髪に発動。しもべは呼ばない。


第5話「顔なし男が顔を盗る

 囚人を解放し江戸の町を混乱に陥れるプランを思いつく大魔王、送り込むは人の顔をトレースする特殊技能を持つ怪人・顔なし男。こやつが狙うは大岡越前、奉行になりすまして囚人解放を命令するが、越前をちゃんと殺せてないうえに白獅子仮面が駆けつけて一巻の終わり。

ロケ地
・林で猟師の顔を盗り「妖怪顔盗りの術」とか吹く顔なし男、下鴨神社池跡
・大岡越前邸、相国寺林光院(門、前庭、塀外)
・江戸城イメージ、大坂城千貫櫓天守
・蜆売りの少年が顔を盗られる、下鴨神社河合社(倒れてた子を田所同心が助け起こすのは東塀脇)
・子の悲鳴に馬を降りる越前、中ノ島橋上。子を助けにじゃぶじゃぶと川に入る、橋下の汀→怪人にヤラれて川へドボン。
ジャンボタニシ*顔なし男と言い条、形はある。…ツブツブの集合体だけど。色もピンクじみてて不気味なマスクには、しっかり空気穴も開いている。このブツブツ、なにかに似ているどこかで見たと記憶を辿ると、アレだったのねのジャンボタニシの卵。夏、田んぼにいっぱい湧いて迷惑な外来種(右写真)。*大魔王、越前を調べたらしく、弱点を狙うとブチ上げる。妹でも狙うかと思ったら、「忠相の類まれなる優しい心」を利用してガキ使うという悪辣な作戦…言い回しが妙なんだよ大魔王、褒めてるじゃないか。


第6話「妖怪女狐参上

 今回の化物は女狐、巫女さんみたいな着物でお面(本体?)はリアル狐。見境なく人を殺す、放火しまくりなどの悪行を重ねるほか、継母のDVに泣く娘を誑かして仲間に引き入れたり。白獅子仮面は女狐の火薬が爆発する危機に発動、憑依された娘が継母に迫るのも阻止しお説教垂れて去ってゆく。

ロケ地
・森田屋の娘が弱虫の義理の弟を励まし遊んでやるのは相国寺林光院西側の空地。
・継母に突き飛ばされ怪我をした娘が泣きながらやってきて女狐に誘われるのは今宮神社稲荷社
・大岡邸、相国寺林光院門。
*女狐って呼称で既に笑えるが、変身前の兵馬を網で捕えて「妖術仕掛網」ってそれ術じゃないじゃん。


第7話「必殺コウモリ男

 怪人はコウモリだけに膜があり、これをぱっと広げて襲ってくるのが痴漢ふう。あっさり弱点を見破られたあとは大魔王の示唆で蜆売りの少年をさらい、越前呼び出し。また子供か工夫のない奴らめ。今回は大岡さま既にピンチなので、助けに門を飛び出した時点で「獅子吼!」。

ロケ地
・大岡邸、林光院(門のほか、田所同心が蝙蝠の群れに引っ掻かれる際には大通院南塀がバック、対策用の網を繕う場面は前庭)
・越前が呼び出される護持院ヶ原、下鴨神社池跡
*コウモリ男は光に弱い…で龕灯、音に弱い…で鉦太鼓、こんなので追い払われる怪人って弱すぎ。第一どこが必殺なんだか、ひょっとして胸の毒針?予告編では毒って言ってたけど本編でそんな表現あったかなー。


第8話「のっぺらぼうが火をふいた

 油屋が次々襲われ、払底の危機。江戸を火の海にとの大魔王の企み、越前は残り少ない油を餌に手下をおびき寄せる手段をとる。
今回の手下は虚無僧に化けたのっぺらぼう、つるんつるんではなく耳とでかい口はあって火を吹く。田所同心にはろくろっ首になって脅かしたり、テレポートかましたり透視したりもする。仮面は、苦戦した挙句江戸に放火と聞かされ発動。

ロケ地
・大岡越前邸、相国寺林光院前庭。化物をおびき寄せる南町奉行所には同所門(この作、越前の邸が役宅なのかどうかよくわからない)。化物が奉行所へ殺到するシーンの背後には大通院西塀。


第9話「ワラのお化けが笑う時

 江戸郊外で多発する人さらい。幼子を失った親の嘆きを思いやった越前は、罠と知りつつ兵馬を派遣する。
人さらいはワラのお化け、積み藁からいきなり現れて子を取り込む。真っ二つにされても癒着し、中の人は全身黒タイツ男で、後段の戦いではほとんどタイツ。

ロケ地
・兵馬らが派遣される草壁村、亀岡盆地か。
・大岡邸は相国寺林光院(門、中仕切り)
・タイツ男と兵馬が戦う荒れ野、谷山林道か演習場か、或いは白水峡のごとき崩壊地形か。
*また子供をタテにとる大魔王、手下に悪の道に精進とかお説教垂れてるくせに自分はワンパターンで工夫がない。黒タイツは、藁分身の術とかいうらしい。


第10話「河童の皿の光るとき

 今回の手下は河童。江戸中の米をかっぱらい町を混乱に陥れ、幕府が仕立てた緊急の御用米の荷をも襲撃する。鉄を腐食させる緑の体液を吐き、ときにはミニサイズに変身して捜査状況を窺ったりとマメに動き回り、兵馬をまんまと水中に引きずり込み窒息寸前に追い込む→獅子吼で発動。

ロケ地
・河童の根城の「池」、不明。なんだか川っぽい州もあるが皆目見当つかず。
*河童、顔は凶悪系。首んとこにびらびら付いてて、下半身白タイツ。思い出したように皿に水をつける場面があり笑える。


第11話「三ッ目の一ツが飛んでくる

 化物は三ッ目入道、額の目が「超能力」で飛んでゆき悪さをする、見た目も怖い強敵。そのうえ今回はあろうことか人類に裏切り者が出て、大岡越前への私怨を晴らそうとするから始末がわるい。

ロケ地
・武州無宿の悪源太が強盗殺人の罪で磔の鈴ヶ森、酵素河川敷(化物が処刑を邪魔、あとで越前を磔台にくくりつけるのも同所)
・悪源太が処刑される時刻に、供養のため寺にいる越前、神光院中興堂。お供の田所同心たちに越前のスケジュールを聞き出そうとする入道、蔵ときゅうり塚の前。
・墓地で越前の卒塔婆を立てる悪源太、不明。
・ラスト、鈴ヶ森で越前を助けたあと入道たちと白獅子仮面の死闘は白水峡みたいな荒れ野。
*手強い入道に手こずった兵馬、発動の前に口笛でしもべの白馬を呼ぶ。


第12話「怪人ヨロイ武者

 今度のは鎧武者、豊臣の亡霊で大魔王が悪魔の力を与える。かなり手強く、突き殺しても復活。ヘッドの騎馬武者なんか、兜を遠隔操作して厄介このうえない(この間本体は首無しで動いてて笑える)。最後は変身した兵馬と騎馬戦、倒すと爆発し、炎の中に五三の桐の幔幕がちらっとのぞく。

ロケ地
・悲鳴に駆けつける田所たちに助力を申し出る柳生道場の弟子たち、相国寺方丈西塀際。駆けつけた兵馬と戦う鎧武者、湯屋前。柳生道場、大光明寺(門、庭、方丈)。柳生が鎧武者に散々にやられた件の瓦版を売る男、鐘楼基壇。
・大岡邸、相国寺林光院
・鎧武者たちと兵馬が戦う荒野や「底無し沼」、不明。
*鎧くんたちははじめ二人登場、ヘッドは柳生道場に飾ってあった鎧が手下の呼びかけに応じ発動する。…トヨトミゆかりなのになんで将軍家指南役の床の間に。夏の陣の鹵獲品か。


第13話「輝け!白獅子の星

 白獅子仮面にやられた手下の死屍累々を前によくもよくもとブチ切れ大魔王、魔力でもって全て復活させる(…最初から全員でかかれよ)。唐傘から狼男から三ッ目入道から河童まで復活し、放火殺人の雨嵐。しまいに越前がさらわれ、大魔王のアジトに持っていかれてしまう。この際重傷を負った兵馬だが、目覚めるやよろばい出て大岡邸門外で「獅子吼!」、血の池地獄に落とされかけていた越前を救い出し、遂に大魔王自身と最後の戦いを繰り広げる。

ロケ地
・妖怪なんか束になって出て来いと軽口を叩く田所たちのもとにきっちり総出で現れる怪人たち、中ノ島橋
・大岡邸、相国寺林光院
・河原や崩壊地形っぽい谷、不明。
*大魔王のもとへ通じる「道」、次元ホールっていうか地獄通路っていうか、シューターみたいなビジュアル。兵馬の「お星さま」アニメが、かーなり荒っぽくて傑作。


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