新三匹の侍

1970年 松竹/フジ(五社英雄アワー)

キャスト
流右近/安藤昇 楓源三郎/高森玄 桜京十郎/長門勇 おりは/菊ひろ子

 数回シリーズ化された「三匹の侍」を継承した作品。前作から桜京十郎のみ残し、あとの二匹は新キャスト。
「安藤組長」演じる流右近はニヒル設定だが実は一番の人情家、女子供に弱い。軍師としての顔も見せる。なりは白の単衣に短めの黒袴。
楓源三郎は常にぎらついた欲望丸出しの野良犬、しかし女は裏切らない。見た目は最も若い感じ。なりは着流し、よく太刀を担いでいる。
桜京十郎は前作同様槍の名手で人情家、なりは典型的な芋侍だがけっこう女にモテている。
おりはは流にベタ惚れの道中師、最終話では流に「俺の女だ」と言われている。
制作された時代を反映した反体制的なエピソードが散りばめられるが、基本は男くさい人情ドラマで、汗の匂いが感じられる。汗と言えば流の背中、立ち回りの後などぐっしょりと濡れた衣装がなんともリアル(あとの二匹も汗かいてるけど、黒だから流ほど目立たない)。別々に旅ゆく四人はいつしか集まり、共に事にあたるのはおきまりの進行。締めくくりの大立ち回りは、三匹それぞれに味わいの深い殺陣。


第1話「男が男が抜いた時」1970.7.6

 銀山に、それぞれの事情を抱えて「三匹の侍」が集まってくる。
流右近は妹の位牌を胸にヤマの支配者に復讐の牙を研ぎ、桜京十郎は食い詰めて流れ着き、楓源三郎は惚れた女の尻を追いかけ、望月家支配の銀山でドラマが展開する。
お話のベースは流の復讐劇、妹の病のため銀山に身を売った兄、兄をヤマから逃がそうとして散った妹、その妹を流の情婦と誤解してチクってしまった壺振りのおりは、愛憎が錯綜するなか、流は仇を斬り続ける。銀山支配の実父である用心棒の老武士の哀話が、これに絡んでくる。

 ロケ地、流と桜の対面となる沢、天神川若布谷付近。ヤマはどこかの砕石場か演習場か、不明。流の妹の墓で待つおりはに話しかける銀山用心棒の大曽根、西教寺墓地二十五菩薩来迎群像前。雲竜一家の人数から流を庇うおりは、真盛上人廟下石段。大曽根を斬る流、湖南アルプスか。


第2話「申の刻には獣が死ぬ」1970.7.13

 賞金稼ぎが群がる先には、水車に括りつけられた男。傍には盲いた雲水と武家女。前藩主に多大な恩を受けた乳兄弟の雲水は、謀略によって先君を弑した現藩主を憎悪し、藩も許せず抱き込み心中を企てていた。流右近は、暴虐の殿に父母と村の衆を皆殺しにされた男児に見込まれ、一番の弱点を衝かれてしまう。

 ロケ地、現藩主が雲水に捕まった狩場でずっと進行。野原の背後の山腹にガレ場がのぞくが不明。
*狂乱の殿に菅貫、結局妻を殺す家老に五味竜太郎。


第3話「狂い斬り闇を裂く」1970.7.20

 理不尽に殺された父母の仇を狙う若者は、役者となって家老が二親にした仕打ちを芝居に仕立てる。家老が面白かろう筈もなく、また彼が辻斬りとなって重職を暗殺したこともあり、押し包まれる運びとなる。彼と三匹の関わりは、各人のカラーがくっきり出たエピソードが用意され上々。家老役の加藤嘉がまたいい味、好々爺に見えて腹黒の老人が見もの。

 ロケ地、町はずれの河原や「家老風呂」のある渓流、楓が半四郎に斬りつける塀際など不明。


第4話「血しぶき賽の河原」1970.7.27

 正義感の強い二足の草鞋の親分、しかし息子は旅先で三人も娘を殺すという悪行を仕出かしていた。息子可愛さと道義の狭間で揺れる親分、そこへ不満分子を煽り立てて一家乗っ取りを狙う動きがあり、組を二つに割っての大乱闘に。

 ロケ地、騒動を煽る浪人が屯する釣り小屋、不明(第3話の河原に酷似)。大乱闘の河原、流れ橋と河原。
*広い河原での桜京十郎の殺陣は、トリッキーさも充分に発揮され必見。


第5話「死神の鈴が聞こえる」1970.8.3

 おりはに化けた抜け忍にハメられ、何度も危ない目に遭う流と楓。一人食い扶持を稼ぎに出ていた桜がおりはを偶然救い出し、抜け忍夫婦を見捨ててくる三匹だが、おりはの「赤ん坊は?」の言に戻ってゆく。そして、忍者集団のヘッドと戦い危機一髪の流を救ったのは、彼が最後まで信じずにいた老巡礼の形見の持鈴だった。

 ロケ地、五条大橋たもとでおりはの稼ぎを待つ三匹が忍者に襲われる、木津河原。ニセおりはが赤ん坊を隠していた稲荷、伏見稲荷の末社か。桜と別れ赤ん坊をあやしつつ歩く三人、金戒光明寺石段。老巡礼に声を掛けられるのは三門。白川女に化けた忍びを追う楓がトラバサミに掛かる、下鴨神社糺の森。目をやられた流を癒すため老巡礼がいざなう西国三十三番札所の滝、不明(設定京都なのに…33番って岐阜やんか)。赤ん坊を奪われたあと、老巡礼の供養と貰った飯を食う流、金戒光明寺経蔵。まだ忍者の襲撃、本堂前〜墓地。ニセおりはが夫の煮売り屋とツナギをとるのは三門。以降、ここを「塔」に見立てて立て籠もり。おりはの命をタテにとられた流と楓が忍者集団に向かう坂、東坂。ラスト大立ち回りは冒頭の河原と同所。


第6話「俺が女にした女」1970.8.10

 刺客に遭う女を助けて招かれる流、行った先は高級料亭。用心棒として腰を据えるが、そこのオーナーは政商で、流を雇った妾の女将は藩札発行高を探る公儀隠密という裏があった。女将の正体は割れていて、公儀に言い訳のできる方法での始末が計画されており、「犯人」に仕立てられた女は桜の昔の女というおまけ付き。

 ロケ地、女将とお紋が襲われる道、金戒光明寺石段長安院下坂。桜の回想、お紋を助けておぶってやる道、大覚寺放生池堤。女将が六部に化けた隠密とツナギをとる宮、吉田神社竹中稲荷(脇の石段、重ね鳥居、祠)。料亭、坂口か(築山と池泉、四阿)。女将殺しに雇った浪人とツナギに行くお紋のあとをつける桜、金戒光明寺本堂(仏像)墓地。お紋に女将の正体をバラし諌める桜、本堂前石段永運院下坂。お紋の回想、京十郎に置き去りにされた祠、大覚寺天神島石仏群(桜隠れている)。お紋と国境を目指すも追っ手かかる街道、草の生えた欄干の低い土橋、不明…七谷川か本梅川か。
*お紋に三島ゆり子、女将に赤座美代子、実は藩目付の怖い浪人に亀石征一郎。


第7話「荒馬娘が吠える町」1970.8.17

 馬方の一家と捕り方の大乱闘が導入。ここへ父を助けに馬に乗って乱入する荒くれ娘、彼女を中心に話が進んでゆく。造り酒屋を強請っていた馬方の親分を大層な人数を仕立てて殺した代官は、酒屋の女将とつるんで藩特産の水晶を横流ししており、荒くれ娘は父のネタを引き継ごうとする。

 ロケ地、冒頭の馬虎一家との乱闘、代官を斬った城代の密偵とチャンバラ、ともに流れ橋下の河原。当地を去る四人は橋上を行き、見上げのシルエット。代官所、大覚寺明智門
*実は密偵の代官の雇った計算高い用心棒、垂れ目でつるんとした表情もなかなかに目を惹く武林に大塚吾郎。桜とのやりとりが面白い。荒くれ娘は倍賞美津子。


第8話「御金蔵破り」1970.8.24

 三匹はそれぞれ別々の筋から大盗・夜霧の仙蔵のもとへ導かれる。彼は最後の大仕事と、甲府城の金蔵から一万両を盗み出す計画を立て三匹にヘルプを依頼、まんまと盗み出したあとには間抜けなオチが待っているのだった。

 ロケ地、米俵が闇取引されたり、一揆衆が隠れるお堂、不明。甲府へ三里の街道、流のピンチに短刀を投げた老盗・仙蔵が待っているのは北嵯峨農地竹林沿いの道。甲府城、彦根城。天守下、天秤櫓に濠、三重櫓が金蔵で米蔵が佐和口多門櫓だったりと各所を使用。ラスト、一文も手に入らず肩を落として甲府を去る三匹におりはが追い討ちをかける道、不明。
*綿密な計画を立て入る仙蔵、濠を泳いで渡り金蔵から米蔵へ荷を渡し米俵に隠して逃げるなどの間、うきうきと実に楽しそうな流たちが、見る者も楽しませる。*お城に雇われた凄腕用心棒に夏八木勲、正体を現したあと流とのチャンバラが圧巻。


第9話「巡礼女の唄が聞える」1970.8.31

 恋しい男を出牢させるため賞金稼ぎとなって殺しを続ける女、しかしやっと外に出せた男の志は挫けており、女には売女の罵声が飛んでくる。そのとき女の恋は終わり、流との賭けに決着がつく。

 ロケ地、巡礼姿のお妻が身売りを装って賞金首を仕留めるお堂、御室霊場か。流が顔を洗う渓流や近くの山道、献上馬を隠匿している村(遠景にダム湖)、馬を引いて届ける三匹がゆく河原(大きめの礫)、不明。代官所、民家長屋門。馬を掠めて逃げようとする男の前に立ちはだかるお妻、谷山林道
*お妻の天保銭のアイパッチが印象的。お話のテーマは正義派の挫折と転向で、親身になってくれた桜たちをあっさりと裏切る農民といった「七人の侍」ふうエピソードも入り、時代の匂いがぷんぷん。


第10話「決闘三対三」1970.9.7

 武芸者の三兄弟は狂犬、刀番の屋敷から殿の小太刀を盗み出し、娘を次兄の嫁に寄越せと横車を押す。楓はエラい目に遭った仕返しと金のため、桜は世話になった男の仇討ちに、流は「偏屈だから」と三兄弟に向かってゆく。

 ロケ地、ヤクザの親分の女を寝取ったと追い掛け回される楓、広沢池東岸(腹減ってふらふらで、篠崎家の用人に鰻で釣られる)。狂犬三兄弟・高島の屋敷、随心院長屋門。かつての恋人のため小太刀を返して貰いに行った元足軽が膾にされて叩き出されるのは拝観口。一文にもならず当地を去る三匹、随心院参道
*次兄の徹次郎(沼田曜)がいちばんキレてて、うひうひ笑う顔がメチャ怖。


第11話「夜光珠が哭いている」1970.9.14

 一揆の扇動者として捕われ唐丸で護送される浪人・津山を巡る、様々な人間模様。一揆のリーダーとして津山を尊敬し慕う庄屋の娘、お宝の夜光珠を求める宝飾品バイヤーのオランダお京、津山を仇と憎み命を狙う百姓の孫七、腰抜けと侮られるも実は凄腕の居合の達人である藩士の宮地、そしてなぜか唐丸から出たがらない当の津山周馬。津山を助けようとする者に雇われた側と護送の用心棒と、三匹も割れて対決寸前になったり。津山の正体が知れ、誰も幸福にならず得もしない殺伐で幕。

 ロケ地、桜が依頼者の庄屋の娘に不首尾を告げる、御室霊場地蔵前。護送の山道、湖南アルプス天神川。浦住本陣、お京が差し向けた刺客のほか、腕前を見た同僚も斬る宮地、下鴨神社河合社裏。高津の船着場、琵琶湖(東岸、愛知川の三角州あたりか)


第12話「訣れの鐘が鳴っている」1970.9.21

 ヤクザの小日向一家を全滅させる三匹、大評判となり子供たちのチャンバラごっこのネタも「我こそは槍の名人・桜京十郎!」「正義の味方・流右近だ」。噂に踊らされた民衆は、この町にも三匹が現れて横暴な西虎一家をやっつけてくれるものと期待するが、来たのはニセモノ。しかもそれは三匹を小日向一家の仇と憎悪する西虎の、誘き出しの仕込みだった。

 ロケ地、小日向一家を全滅させたあと、桜とはぐれた流と楓が野宿の神社、走田神社(二人が寝ているのは本殿内陣、子らがチャンバラごっこは本殿前)。楓と流を呼び止める子ら、名乗るも桜いないじゃん偽物!と走り去る道、谷山林道。試してみようと子らが二人に投石→水落ち、沢ノ池汀。偽三匹歓待騒ぎから逃げ出した三匹が衣を乾かすお堂、金戒光明寺経蔵。おりはの知人のお咲の家、不明。お咲の亡夫の菩提寺、西寿寺(鐘楼、本堂前、石段、墓地への坂)。事後、桜が酒肆の女将に追っかけられる道、北嵯峨農地竹林脇。当地を去る三匹とおりは、金戒光明寺石段(側面から見下ろしのショットと、本堂大屋根を背負ったアングル)
*父を西虎に殺されすねる勘吉を宥め諭す流、仇討ちに得るところなしと道を説く。いつもむっつりと怖い顔の「安藤組長」が見せる優しい笑顔は必見。*偽三匹、似て非なる微妙さが抱腹もの、宿場の道で三対三のじりじり寄るシーンは音楽も最高に笑える。


第13話「何処へ行くのか獣道」1970.9.28

 最後の舞台は極めつけの、無人の宿場。戸板は全て打ち付けられ、風が吹きぬけてゆく。この荒涼たる町に、山鳴りが不気味に響く。
ここで三匹が対決する相手はなんと三方向、小諸藩と、九鬼一族と、公儀隠密。楓は肩を撃ちぬかれ、流は腹に一発受け、桜も手傷を負いぼろぼろの三匹、騒動のもととなった女は彼らに詫び羨望を口にして死んでゆき、決死の脱出がはじまる。

 ロケ地、小諸藩主が腰元を追いかける林、下鴨神社糺の森。風泊宿はずれの国境、崩壊地形は湖南アルプスか白水峡かはたまた演習場か。
*小諸藩側役に雇われた用心棒に和崎俊哉、九鬼一族の頭目に北村英三。*山鳴りは噴火直前の浅間山、ために風泊宿は無人。


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