八丁堀の七人
 第6シリーズ  2005年 テレビ朝日/東映

キャスト
仏田八兵衛/片岡鶴太郎 水原弥生/萬田久子 おやい/楯真由子
松井兵助/山下徹大 古川一郎太/末吉宏司 吉岡源吾/日野陽仁 花田孫右衛門/おりも政夫 磯貝総十郎/石倉三郎
市之丞/岡田翔太 青山久蔵/村上弘明


第1話「前編 地獄を見た夫婦!幕府に恨みあり」2005.1.10

 お役御免になった金奉行・結城蔵人が水面下で企む深謀、その真相知れぬまま本人は自刃、奥方は姿を消す。その女は以前八兵衛と縁談のあった仲、昔を懐かしみつつ夫の行為に手を貸していた。

 ロケ地、路傍の祠に手を合わせる奈津、大覚寺五社明神祠。遊ぶ子らに凧をあげさせて貰う、心経宝塔前広場。その「自作」の凧を見かける八兵衛、中ノ島橋上。おやいに来た縁談から逃げた八兵衛がクサって佇む水辺、中ノ島橋たもと堰堤脇(見たことないくらい増水)。蓬莱堂殺しで疑惑を持った青山が結城と話す、仁和寺観音堂前。八兵衛から捜査状況を聞き出す奈津、大覚寺天神島汀〜大木下。堀端で遊ぶ子らを見て八兵衛との昔を回想の奈津、八幡堀堀端、回想シーンの凧あげは嵐山自転車道。蓬莱堂の墓、不明。蓬莱堂の娘が入水しかけるのを止める一郎太、広沢池東岸


第2話「後編 御金蔵破り!夫の恨みを晴らす女」2005.1.17

 小火は奉行の煙草の不始末、理不尽な仕儀に怒る夫を制止し得ずにいた奈津は、彼の死後意思を継ぐかたちで御金蔵破りを企む盗っ人に手を貸す。早世した子と夫の位牌を前に暗く沈む奈津、最後は賊の凶刃に斃れる。

 ロケ地、賊に恐喝された挙句斬られた侍の息子に事情を聞きにゆく花田同心、御三卿清水家屋敷前、二条城鳴子門。おやい誘拐未遂、妙心寺大通院裏塀際。奈津を尾行した八兵衛が当身食らわされ拉致、嵐峡船着き汀。監禁から逃げた八兵衛、追いつかれ奈津が機転をきかせて刺す→八兵衛ドボン、八幡堀堀端。上がってくる八兵衛、明治橋下。
*おやいちゃんの縁談は、手傷を負いながら助けてくれた市之丞の一件で白紙に。*もちろん大元の奉行も放っておかない大小コンビ、青山さまの「もう目付に知らせたよぅ」に気色ばんでいた奉行は膝を折り、この場面ではチャンバラ無し。


第3話「恐怖が忍び込む!亭主を密告した女」2005.1.24

 乱暴な亭主に散々泣かされた女は、八兵衛の励ましで未来を掴むべく居場所を密告。その結果亭主は島送りとなるが、赦免され帰還。別の男と所帯を持ち、子にも恵まれ幸せだった女に暗雲が忍び寄る。過去は切れないと絶望して泣く女、八兵衛は青山さまのやっちゃえ指示を受け強盗団の一味になっている男を捕物の際斬殺する運びとなる。

 ロケ地、八兵衛と吉岡が「辻強盗」を叩きのめす縁日、仁和寺御室桜林観音堂脇。お葉の家近くの根津権現、上御霊神社(本殿、高倉脇、本殿裏手)。御赦免船の着く沖合、琵琶湖西岸
*仏の八兵衛の珍しい「成敗」、どうしようもない悪党を憐れむ形に仕立ててある。*萬屋儀十の手下の「本物」の強盗掏摸が出るくだり、通行人に着流しの福ちゃん。便乗犯の出る最初のほうの見物衆(職人)にも見えた気がするが小さすぎて確認できず。


第4話「昔、捨てた女!だまされた筆頭同心」2005.1.31

 ロートルの「昔の恋」ふたつ。弥生堂のはハチとの痴話喧嘩を呼ぶだけだが、磯貝さんのは深刻で、体よく騙された中年男の純情は後味わるい結末に。
前回に引き続き、青山さまの采配はなんだかダークで、囮の男女は捕物の際落命する。

 ロケ地、河内屋が伊助をハメたことを話す同心たち、大覚寺五社明神。おまつが弥生先生にノロケ話をする茶店、不明。伊助が呑んだくれて寝ている縁日、大沢池北西畔。おゆきが磯貝に架空の「if…」の話をする縁日、不明。ラスト、釣りの青山さまとハチ、広沢池観音島
*深刻で悲惨な話なのに、磯貝さんはどたばたと騒がしい。わけても河内屋が言い残した言葉の謎解きに振られる落語ふう聞き違えエピソード、「ちょっとだけ閉めて」→「ちょっと抱きしめて」は脱力モノ。*ダークな采配はさておき、ちょっとオヤジ入ってきたかもの青山さま、「女なんて夜中に布団に」…。


第5話「北町への挑戦状!死神と呼ばれた女」2005.2.14

 だぜい与力大ピンチの巻。南町の野心家が青山の後を襲い、弱気のお奉行を戴く北町を我が物にせんとの企み。北町同心が三人もフレームアップであげられ、久蔵は無期限謹慎に追い込まれるが、ワルに使嗾されていた女の誤解は仏の八兵衛の働きで氷解する。
事態が解決に向かう間、まわりから「血も涙も無い鬼与力」と責められる青山さまだが、ハチを信頼しきって昼寝を決め込むのだった。でも「死神のお竜」を囮に使うよう指示を出すなど、最近のだぜい与力はやっぱりちょっとダーク系。なのに、当の囮は八兵衛さん突き飛ばして「青様ステキ」とのぼせ上がってたり。

 ロケ地、縁日でお竜を待ち伏せ真実を問う八兵衛、大覚寺五社明神。南町与力とつるむならず者を追う吉岡たち、妙心寺福寿院行路地入口〜大通院裏塀〜龍泉庵門(設定は鬼龍寺)。南町奉行所、大覚寺明智門。お竜を囮にワルをおびき寄せる根津大社、大覚寺勅使門。以降、捕物シーンは御殿川河床や太鼓橋、門前の林間(紅葉)などで繰り広げられる。事後、釣りの青山さまに軽口を叩くハチ、神泉苑法成橋上。父に許可?された長崎留学のため一心にガイドブックを読む市之丞は参道石橋
*今回のひそやかな見せ場は青山さまとハチの「友情」だが、しっとり風情ある場面にはならずオヤジ系ギャグが飛び交い、青山さまの台詞も妙に飛ばしている。*三番目の亭主を殺したのは鬼与力・青山と吹き込まれ同心たちをハメる女髪結いに山田邦子。


第6話「人妻の秘密!奉行所の中で殺人が…」2005.2.21

 隠密回りの柴山が例繰方を斬ったと主張する年番方与力、その態度にきな臭さを嗅ぐ青山さま。隠然たる力を持つ与力は果たして悪の巣窟を牛耳っており、柴山のほうにはどうしても口に出せぬ過去のしがらみがあった。

 ロケ地、兵助らに追われたお尋ね者が逃げ込む仏性寺、山門と石段は毘沙門堂勅使門と下の石段。境内は西教寺各所を使用、寺侍に掛け合うハチのシーンなどは水場から二十五菩薩来迎群像を見るアングル、潜入した孫さんが露見して逃げ回る回廊やワルが屯するお堂は本堂とその続きの回廊、北町出役の際のお堂には大師堂。孫さんが探っていてここからダメと止められる廊下には、来迎群像の現物を保存展示してあるのが見えて効果的。ほかには、おやいちゃんがさらわれる路地に妙心寺福寿院道入口。待合の女将回想、柴山に会えると嬉しそうに飛んでくるおるいのシーンに衡梅院北塀際。ラスト、巡礼として旅立つ柴山とおるいを見送るハチと青山さま、大覚寺放生池堤


第7話「火傷顔の男!生きていた反逆者!?」2005.2.28

 反乱の果て死んだとされた大塩平八郎が、江戸で生きているという話が出る。ひょっとして大塩?という謎めいた浪人なども現れるが、大塩現るの噂は彼の叛逆の原因を作り死に追いやった大坂西町奉行が、私腹肥やしに名を利用した卑劣な行為だった。

 ロケ地、堀伊賀守邸、大覚寺大門。江藤六平太がハチに大塩を密告した西町同心であると明かす河原、桂川罧原堰堤下・右岸汀。押し込み強盗で得た八千両を米俵に隠し浅草御蔵を出る仙波屋、大覚寺明智門(蔵がのぞく)参道石橋。荷を運ぶ一行の前に北町の出役、上賀茂神社ならの小川畔。事後、父に謝る市之丞、上御霊神社南門と舞殿間の石畳(ハチも犬の数馬連れて登場)
*具体的な歴史事件が出て時代設定が明らかに。また、青山さま大塩の友達と判明。*大塩密告の同心に嶋田久作、おやいちゃんの父かも話は余計な気が。*ホントは堀が探りを入れるためやらせている陽明学の塾、市之丞の隣に福ちゃん。マジの塾生ではなく、あとで仙波屋の蔵から逃げた江藤を追う用心棒として出てくる。よく見ると市之丞たちが火盗改に連行されるくだりでは大工、変装している設定なのか通行人兼用なのかは不明。


第8話「殺人を目撃した女!証言に潜む過去」2005.3.7

 大店の主殺しの目撃者の女中、偽証やDV亭主への献身には悲しい過去がからんでいた。真犯人の、殺された主の後添えがまんまと高飛びしようとするが、女はハチの説得に応じ全てを告白する。

 ロケ地、近江屋向島寮、宝厳院通用門。面通しのあとおちかを送ってゆくハチ、縁日の神社は梅宮大社本殿前。おちかの新しい勤務先の柳橋料亭、宝厳院門。おちかの亭主・定次が「真犯人」を脅迫して刺されるお堂、大覚寺護摩堂。翌朝、現場に駆けつけるハチ、放生池堤。凶器の匕首が出るのは石仏群。定次の墓、二尊院墓地。拝んだあとおちかとハチが連れ立ってくぐるのは黒門。ラスト、凧揚げハチと釣りの青山さまが漫才、大覚寺大沢池船着(大)
*幸薄き女・おかよに遠山景織子、「目」がいい。*高飛びの後添えが雇う用心棒の一人に福ちゃん、焦る女に背を押され捕り手の前に突き出されたり。このほか、おかよの新しい勤め先をハチに教える吉岡同心のうしろを職人姿で道具箱担いですーっと通ったり。


第9話「悲しき夫婦愛!居酒屋占拠事件」2005.3.14

 振幅の激しい「キレた系野獣派」本田博太郎が演じる、純愛の哀話。掠奪してまで得た女の業病に絶望した浪人は、薬代のため町方を引きつけるための立てこもり事件を起こすが、そのさなか女の命脈は尽きてしまう。現場の酒肆には青山さまが居合わせ、盃を傾けつつぽつぽつと浪人と話すのが見どころ、ハチはその間裏事情の調査に回り、浪人を落す役回りも演じる。

 ロケ地、亡妻の墓に参る青山さま、大覚寺梅林。呑んで寝込んだ木の下、病身の妻を労わる浪人を見る、護摩堂脇の木(佐野夫婦は堂縁先、設定は「護摩堂」)。伊勢屋の押し込み強盗の浪人の探索について報告を受ける釣りの青山さま、大沢池船着(小)。おやいが佐野から薬代を預けられる、妙心寺大通院裏路地。志乃の墓、罧原堤下河原
*人を害するつもりもない佐野、心ならずも立てこもるゆえにキレて刃を振り回し大音声を発する。志乃を奪い去る際の「俺の命だー!」の雄叫び、走り方が妙。青山さま、この佐野の処置を「器物損壊」に。


第10話「別れの時!全員抜刀の総力戦」2005.3.21

 殺しの現場で目撃された浪人からはじまる事件は、17年前の駿府城代の悪事を明るみに出す。揉み消しにかかる現大目付、町方の意地をかけて北町一同は定法破りの討ち込みをしてのける。渦中の浪人はおやいの実父設定、娘の存在を知ったことで、冤罪に落ち死んだ駿府勤番組頭の父の汚名を雪ぎ、お家再興を志す。

 ロケ地、薬屋へお使いに出たおやいが秋月の情婦・おしまに名を聞かれる、妙心寺福寿院への路地。元駿府勤番侍の小間物屋が殺されて見つかる湯島天神裏、梅宮大社舞殿脇。駿府城、彦根城天守。元駿府城代で現大目付の如月民部邸、大覚寺大門。座敷と庭は不明(直指庵によく似る)。おしまを連れ出し勤番組頭の倅・矢作数馬の居所を迫る八兵衛、大覚寺放生池堤(後段、斬られたおしまが這ってくるのも同所、ラストのトリオ漫才も)。大目付の配下を尾行していて恫喝される磯貝ら、妙心寺東海庵前。品川宿手前の街道をゆく秋月とおやい、大覚寺大沢池堤。おやいが去ったあと傷心の市之丞がうろつく、五社明神
*タイトルそのまんまの展開、「全員抜刀」は十手を使わないと宣して抜きつれる北町一同。予告にあった白装束は、同心一同打ち揃って着用しお沙汰を待つくだりで。*大目付の部下に福ちゃん、ラス立ちに登場。


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