快傑黒頭巾

1990.10.7TBS/東映 (秋の時代劇スペシャル)


 大友柳太朗の当り役を高橋英樹が演じる、これでもかというくらい型にはまった勧善懲悪ヒーローもの。
高橋英樹はけっこうおちゃらけが入っていて、後に本作と同じく萬田久子と共演した怪作「さむらい探偵事件簿」の本間五月に近い感じ。長屋人情ものでもあるので、懐かしい「ぶらり信兵衛道場破り」もちらちらと思い出され、楽しい。構成は些か薄味なれど、無意味なくらい豪華なゲストが味わい深い。

 お話は、悪政に泣かされる民の嘆きを見かねて現れる黒頭巾なる男の活劇。争いごとがキライでふだんは刀も携えぬ穏やかな浪人・山中源兵衛だが、田沼父子の金権政治に蹂躙されるか弱き者を看過し得ず、黒頭巾となって悪の手先を倒して回る。田沼の意を受けて動く「草」は源兵衛を黒頭巾と知らずに慕い、彼の正体を知ったのちは任務を擲ち凶弾に斃れるという哀切なドラマが主軸となる。豪華キャストによる、長屋の立ち退き反対バリストも見もの。

上御霊神社

 ロケ地、田沼邸、大覚寺大門。岡っ引から逃げてきた瓦版屋の伊太郎とおりつが黒頭巾の話をする、上御霊神社本殿脇。大名たちが下城、大坂城極楽橋から天守を望むショット。白河藩邸、大覚寺明智門。屋台で蕎麦を手繰る源兵衛のところへやってくる口入屋のおもん、中ノ島橋上〜橋たもと(屋台)。源兵衛の故郷を問うおもん、大覚寺放生池堤。おもんが世話した手習いの寺・円妙寺、西明寺(山門、本堂縁先)。今津屋と田沼の配下が取り引きの屋形船、大覚寺大沢池(黒頭巾出て配下は池ボチャ)。釣りの源兵衛に長屋立ち退きの急報、清滝川汀。白河藩側用人を黒頭巾と疑って仕掛ける田沼の配下、大覚寺石仏群前。徒党を組んで悪事をはたらく浪人たちを探索中気付かれ囲まれるおもん、上御霊神社本殿脇と合祀摂社。ここから逃げたおもんが追い詰められ危機の船着き、広沢池東岸。奉行所でチャンバラの際目潰しをかけられた黒頭巾が逃げておもんとばったり会う橋、中ノ島橋(おもんに追い詰められた黒頭巾は川にドボン)。おもんがおりつに姉の身請け金を渡す、上御霊神社舞殿脇。屋敷を襲われ、抜け穴を使って正徳寺へ逃げた田沼父子を斬る黒頭巾、粟生光明寺本堂。江戸を去る源兵衛、嵐山自転車道

*田沼意次に長門裕之、ふさふさのもみ上げが悪どさを演出。意知は河原崎健三、腰の引けたなっさけない小悪党ぶりが垂れ目にぴったり。田沼配下の隠し目付に綿引勝彦、ハードな感じで違和感を醸し出すのも面白い。長屋の衆に桜木健一、春川ますみに谷幹太(「江戸を斬る」の魚政の女将とおとぼけ下ッ引だからたまらない)、瓦版屋の堤大二郎、大家なんか猫八。岡っ引の深江章吾と下ッ引の赤塚真人もいい味。


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