おしどり右京捕物車

神光院1974年4〜9月 朝日放送/松竹

キャスト
神谷右京/中村敦夫 神谷はな/ジュディ・オング
観念/下条アトム 音三/太田博之 秋山左之介/前田吟

*写真は右京夫婦の寄宿先・本所常念寺に設定されたロケ地、神光院/本堂脇から中興堂を望む


第1話
鞭

 ヤクザの倅を獄門台に送った北町与力は恨みを買い、奸計に落ちて半身不随となったうえ職も失い、住居すら失う。その後も執拗な嫌がらせが続き、辟易して江戸を出る旅の途中、妻女の腹の子も流れてしまう。この悲惨ののち、なお明るく前向きな姿勢を失わぬ妻を見て、右京は共に修羅の道を歩んでくれと頭を下げるのだった。

ロケ地
・野洲の万蔵の息子・四郎吉が立て籠もる塔、仁和寺五重塔
・妻と願ほどきにゆく日吉神社、上御霊神社(本殿、本殿裏手、合祀摂社)
・流産した子を葬る寺、神光院(本堂脇、蔵の前に箱車が運ばれてくる)
・万蔵を呼び出す千石寺裏の林、下鴨神社糺の森
*右京の運命の激変を一話で描ききり、移動手段も得て、元同僚に一件一両で仕事を請け負うというたつきの道を確保してシリーズのフォーマットができあがる。


第2話
炎

 「仕事」を開始するはじめの一話。箱車の操作がうまく行かない描写や、夫を危地に出したくないはなが押し手を拒否したりする一幕もある。しかし右京は、己を危険に晒すことに生き甲斐を見出そうとするのだった。

ロケ地
・盗品捌きの荷をやりとりするならず者たちのアジトがある芝口(埋立地)が複数のロケ地を用いて表現される。端緒となる岡っ引殺しは琵琶湖西岸、右京夫婦がゴロツキに囲まれる葦原や船の描写に広沢池、これに木津川流れ橋と周辺をミックスしてある。流れ橋では、橋桁に細工されていて観念が川ボチャという珍しい画もある。
・観念に箱車を押させようとするシーンは神光院境内。
・棒で一人箱車を操作しようとして転げ落ちる坂、金戒光明寺東坂
・北町奉行所に御所事務所長屋門


第3話
讐

 遠島になった賊が島抜けしてお礼参り、岡っ引や同心の家族を殺害。そして、当時の担当与力は神谷なのだった。
その賊・浅造は、遠島が決った際に妻が子とともに自死したのを深く恨んでおり、同様の苦しみを与えようと妻子を狙う。標的となるはな、危機一髪の緊迫した戦いが繰り広げられる。

ロケ地
・神谷が身を寄せる本所・常念寺、神光院(今回の主舞台、山門内外のほか境内がたっぷりと使われる)
・神谷の上申により島流しを免れたことで恩を感じて寺に出入りする、元浅造の手下の納豆売りの三次の住む駒込の里、酵素河川敷。
・襲撃を受ける墓地、不明(池端に墓地)
・北町からの帰り、橋上で車を止め浅造の妻子が身投げしたことを述懐する神谷、京都御所厳島神社内の橋(事後、三次の墓に詣でる際も同所。身投げ死体の上がる河原や、はなが供花を投げる水面はどこかの川にスイッチ)


第4話
妖

 凶賊・鴉一味をターゲットとする右京。探索に出た折り遭遇した一人がはなの唇を奪ったことにキレた右京は、その男を執念で捕えさんざんに痛めつけて奉行所へ突き出すが、これが残った仲間の恨みを買うハメに。気配を察知した右京は自らを囮に賊を湯治場へ誘い出し、絶体絶命の危機を切り抜けてゆく。

ロケ地
・鴉一味出没ポイントにあたりをつけて探索に赴く右京夫婦、出た一味の一人に遭遇するのは大覚寺参道(門は映さず御殿川寄り、逃げる賊は参道石橋)
・音三に桶をかぶらせ鞭のトレーニング、神光院中興堂前。
・夜、探索に出る右京夫婦、日本橋界隈のシーンに中ノ島橋たもと。
・北町奉行所、京都御所長屋門(今回は内部も使用)
*源次捕縛の件が瓦版に書かれ評判となるが、この際右京夫婦を「おしどり」と表現。


第5話
蹄

 津南藩主と北町奉行の個人的な確執が、一人の同心を死に追いやる。奉行所の体面のため存在を抹消される老同心、己が運命と重ねた右京はタダ働きで死闘を繰り広げ、津南藩の博労たちと用人を仕留めるが、これは必殺でないので上の二人に手は及ばず。

ロケ地
・博労たちの報告がなされる津南藩邸の庭、不明。
・北町奉行所、御所長屋門。常念寺、神光院(中興堂前、蔵)
・博労たちが走る越谷宿への間道、酵素河川敷。
・博労たちを待ち構える街道、谷山林道(切り通しに小屋セット)
・ラス立ちの野原、酵素
*崖から落とされて単身這い上がってくる右京が迫力。老同心に織本順吉、津南藩用人に菅貫、博労の一人に白影さん。


第6話
奪

 右京夫婦が寄宿している寺の和尚の弟弟子の寺がヤクザに狙われる。葛飾の寺は朱引きの外で、市中での博打をためらう旦那衆を呼び込む狙い、寺社方大検使が裏にいた。
溜めた家賃を礼金がわりと乗り出す右京、一家の用心棒の鞭使いとの対決が見応えあり。

ロケ地
・了善の住持する葛飾・蓮乗院、龍潭寺山門。
・一件を仕事にせよと秋山に掛け合うも不調の帰り道は大覚寺放生池堤。右京の前に立ちはだかる鞭使い、地蔵の首を落としてみせるのは天神島
・死地に自ら飛び込む下総・街道の一本松、不明。


第7話
忍

 今回秋山から頼まれた仕事がケチなものなのでクサる右京、しかし事件は深刻な様相となり、利権がらみの大物が出てくる事態に。今回の戦闘も破天荒そのもの、忍者相手に箱車で迎え撃つ右京、車が横倒しになる場面もある。

ロケ地
・北町奉行所、京都御所管理事務所北門
・常念寺、神光院山門と中興堂。
・金方番所への道、大覚寺参道石橋大門
*灯心の利権をめぐってライバルを消す「甲賀衆」の頭目に佐藤慶。金方役人に江幡高志。


第8話
囲

 昔捕り逃がした悪党を追って上州へ赴く右京。そこにはかつて右京と共に働いた岡っ引がいたが、彼はならず者に迎合する生糸問屋や村人に行動を制限され侮られる日々の果て、アル中と成り果てていた。

ロケ地
・半造を見かけた手代が逃げる玉鼻村はずれの街道、北嵯峨農地畦道。
・右京の回想、出役し半造を追い詰めるも逃げられた賭場開帳の旗本屋敷外、相国寺大光明寺周辺の路地各所。
・上州へ向かう右京夫婦に追いついてくる観念、桂川松尾橋下手右岸堤
*はじめ村人の言うまま右京を追い出しにかかる岡っ引・万吉だが、今ひとたびの希望を持ち協力。しかし身重の恋人ともども戦闘中に落命する悲惨に、はなは「来なければよかった」と沈む。万吉は草野大悟。


第9話
妬

 観念の姉の常盤津の師匠に言い寄る「妾狂いの小間物屋」、これは隠れ蓑の表の顔で正体は禁制品ブローカーの「闇の旦那」。しかし妾話を断るのに実は亭主がと右京が使われ、煙草入れの瑪瑙見られて即バレバレ。
今回は、事件そのものより「亭主芝居」に怒るはなに重点が置かれている。

ロケ地
・八兵衛が観念の姉・おふくを囲おうとする根岸の物件、不明(前に小川のある田舎家)
・禁制品荷揚げの旗本屋敷裏手掘割、嵐山公園中州湛水域・料亭裏の階。


第10話
爆

 右京のミスで捕えるべき相手を殺してしまい、秋山とぎくしゃく。しかも上から圧力かかり捜査自体打ち切られてしまうが、右京は下請け与力のプライドを貫きワルを追い詰める。

ロケ地
・手榴弾を使い商人を襲う一団のアジトがある荒川堤の小屋、木津堤河原流れ橋(冒頭の右京踏み込みと、中ほどの仲間口封じ爆殺、ラス立ちもここ)
・常念寺、神光院中興堂、山門。
・旧知の喜作とばったり会ったはなが話しながら歩く道、下鴨神社泉川畔〜河合社裏。その帰りはなが登る石段、金戒光明寺参道石段
・北町奉行所、御所長屋門
・寺へ来てはなに作法伝授のバイトを持ちかける喜作、くろ谷墓地
・その話で天神下の甲州屋寮へ呼ばれるはな、中山邸通用門(後段で参道も)
*自分が生計を立てると動くはな、わかっていながら傷つく右京、という葛藤があり、はなの「昔の男」で今はワルの手先の寺田農が現れてひっかき回し、雨降って地固まるドラマ展開。


第11話
変

 凶盗の隠し金をめぐる騒動に、はなが巻き込まれる。内輪もめで死んだとされた賊にからくりがあり、という展開。哀れな境遇の賊と女房は、はなの機転で見逃されるあたりが面白い。

ロケ地
・両替商を襲った賊が内輪もめで「兄貴分」を殺害、中ノ島橋下汀。
・北町奉行所、京都御所事務所長屋門
・常念寺の「猪之吉」の墓、くろ谷墓地
・隠し金の謎を暴いたあとはなを求め急ぐ右京、広沢池東岸堤道〜北嵯峨農地御陵前竹林から(お時と「けさ造」の逃亡シーンも同所と畦道)
*藤岡重慶に捕まっても気丈に応答のはなが傑作。けさ造たちを追う川中で、もう箱を押せないと夫を制止するシーンもなかなか。*お時には三島ゆり子。


第12話
簪

 今回の相手は偽金作り一味。偵察に行った途端、おしどり右京とバレて対策を講じられてしまい、はな危機一髪の場面も。そして、部下を何人も失ったうえ担当をはずされて怒り心頭の秋山も一個人として参戦するのだった。

ロケ地
・偽金作り一味の工房がある水辺、広沢池東岸(汀に大がかりな柵をセット)
・常念寺、神光院(山門、本堂脇)
・北町奉行所、御所事務所門
・一味との戦いを終え帰る三人、罧原堤下河原嵐山自転車道
*一味のヘッドは鎖鎌使い、乗り込んだ右京の箱車をぎりぎりと吊り上げ。力勝負の果て、今回のキィとなる小道具「簪」がラスボスを仕留める「どくばり」となる。


第13話
砲

 中尾彬がいっぷう変わった悪を演じる一話、役どころは蘭方医。
貧乏人にはぶっきらぼうだがとても親切、右京に夜間往診もしてくれる長庵は、金持ちからは毟り取ると嘯く硬骨漢。しかしとてもそんなものでは済まぬ行状、金を貰って殺し屋までしてのける。仕事料を値切った商人はライフルぶっ放して荒っぽく殺害、このときは悲鳴を上げた女まで容赦なく射殺。さすがに町方の知るところとなり、最後は診療所で患者を人質に立てこもりまでするが、右京の手からは逃れ得ないのであった。

ロケ地
・長庵にライバル殺害を依頼した白戸屋の多摩川寮、中山邸通用門
・常念寺、神光院門と本堂脇。
・北町奉行所、御所事務所門
・はなを人質に騎馬で逃げる長庵夫婦、北嵯峨農地御陵前竹林沿いの道。箱車を押させ追う右京、畔道。追い詰める山中は谷山林道か砕石場か、不明。


第14話
殺

 プロの殺し屋・竿甚登場、竿に仕込んだ吹き矢でターゲットを殺る集団。元締子飼いの男が殺人に倦み逃げ出すアクシデントから、ドラマが動き出す。
妻子を連れて逃げた殺し屋・峯吉は、足手まといの赤子を常念寺に置き去りにして女房とお堂に潜み追っ手をやり過ごそうとするが、運命に追いつかれてしまう。一方、赤子を養育する羽目になった右京夫婦は、その子から竿甚に目をつけられ抹殺対象となる。

ロケ地
・峯吉が村松藩江戸家老を吹き矢で暗殺する水辺の道、広沢池東岸
・常念寺、神光院中興堂、本堂脇。
・笠甚の誘いに乗るかたちではじまる戦い、相国寺境内(墓地門越しに路地東望〜湯屋まわり〜大光明寺南路地〜大通院南西角〜鐘楼)
*峯吉に赤子を置き去りにされてしまった女房が市原悦子なもんだから、べたべたの母性が溢れかえる。また、子を養育することになったはなは有頂天になって構うが、市原悦子が子を取り戻していったあと、しょげてるのは右京のほうだったり。*赤子を伴ってラス立ちに望む右京、箱車に幼児というとナニかを連想してしまうが、子は死生眼を持っていないのでフツーに泣き喚く。


第15話
虜

 神谷右京、盗賊団にとっ捕まって大ピンチの巻。牢の仲間を助けるべく動く賊は、右京を拉致って奉行所の様子を聞き出そうとするが北町の虎が言うことを聞くはずもなく、業を煮やした賊は秋山に右京と仲間の交換を持ちかけてくる。

ロケ地
・のんびり釣りの右京が箱車ごとさらわれる水辺、広沢池東岸
・常念寺、神光院本堂脇、蔵の前。
・観念が右京を探す浅草界隈、北嵯峨農地田畔。音三が聞きまわる日本橋界隈、妙伝寺塔頭。
・北町に囚われている賊の女房と弟が密会、広沢池東岸
・北町奉行所、御所長屋門
・人質交換に向かう賊、北嵯峨農地・竹林脇の地道
・交換場所の千駄木の一本杉、不明(谷山林道か湖南アルプスか)
*囚われの息子を奪還すべく戻ってくる「先代の頭」に浜村純。右京のため職を賭す秋山の旦那が泣かせる。


第16話
闇

 右京の足を砕いた野洲の万蔵の手下が、じわじわと右京に迫る。この危機に、心身の疲れから目を病んだはなは術後で絶対安静。医者に三日と期限を切られた養生の期間が、緊迫のドラマをつくりだす。

ロケ地
・一味が江戸への道をゆく河原、木津河原葦原。
・このあと江戸へ三里の街道筋で花会の金を持った男を強殺は北嵯峨農地・陵前の道。
・常念寺、神光院中興堂、門。
・北町奉行所、御所門
・伊賀の計略で御府外へ向かわされる右京、日光街道で橋を落とされ大ピンチ、流れ橋(橋桁を落とされ立往生、箱車を川へ落として手繰り寄せる怪力右京)
*万蔵の手下一味のヘッドで冷徹な切れ者・伊賀に岸田森。渡世人のかっこもけっこうお似合い。右京に対する憎悪の表情がコワい。獄門首を見て己の運命を語る台詞が迫力。インテリくさい悪役をやらせたら極上。*流れ橋の使用例中でも、橋桁まではずしての撮影は珍しい。


第17話
破

 凶盗・般若の黒兵衛が護送中奪還されてしまう。このとき行方不明となった老同心は、多額の借金を抱えて定年目前なことを盗っ人らに調べ上げられており、仲間に引きずり込まれていた。

ロケ地
・質屋で行方不明の老同心・陣内の娘と会ったはなが話しながら帰る道、大覚寺大沢池堤
・常念寺、神光院山門
・北町奉行所、大覚寺明智門
・事後、父の墓参の娘につきまとう観念と音三、大覚寺護摩堂前。
*途中、黒兵衛が裏切り者を始末するのに使った凄惨な落とし穴は、江戸を売る一味を追い詰めるラストに陣内の娘が落ちかかり右京が引っ張り上げる緊迫のシーンの布石。はなが質屋へ行き陣内の娘と出会うのも、臨時飲み代のためという、きめ細かいシナリオ。


第18話
燃

 右京を父の仇と狙う娘の話、善人を装い近づき身の上話で哀れを誘い、うまうまと夫婦を連れ出す。…ここまではフツーのお話だが、娘には奇妙な仲間がいた。虚無的で体制を嫌う放埓な若者たち、半裸でうろつきドラッグもやり、人の話は茶化すだけ。70年代のサイケデリックな風俗は出ているが、唐突の感は否めず。

ロケ地
・本所・常念寺、神光院門、中興堂。
・板橋宿へと誘い出される右京夫婦、「近道」とおきぬが導く道、保津峡落合崖上。落石の道、谷山林道。崖から落ちた右京が這い上がってくるのは落下岩


第19話
眩

 ヤバい事件を抱えた秋山が毒を盛られ危機一髪、おぼろげな記憶のアシをとるもワルの口止めが厳しく、秋山自身も夢かと思う事態に、右京が立ち向かう。

ロケ地
・北町奉行所、御所長屋門
・観念が聞き込みにゆく船頭の船、嵐山公園中州湛水域に係留・中州汀も使用。
・白金屋の白山寮へ馬を飛ばす秋山、木津堤
・秋山と共に毒を盛られた酌婦の実家(茗荷谷)へ向かう右京に襲撃、流れ橋(橋上で襲われ、河原と川中を引きずられる)
・右京に遅れて寮へ着く秋山、中山邸参道を馬で駆け門へ。
*川中での車を引き倒されての戦闘、武器もない右京は妻の帯をはぎ応戦。パァにした着物代は別料金。


第20話
怨

 死者三千を越す大火は、悪徳材木商三人の仕掛け。これにより妻子を不幸に落とされた男の復讐譚が大筋。修行の辛さに逃げ出した観念が木場でバイトしていて巻き込まれる。

ロケ地
・拭き掃除や座禅でしごかれ、しまいに剃髪と言われる観念、神光院本堂廊下、回廊。
・北町奉行所、御所長屋門。吉野屋の番頭・与兵衛が妾のお供で渡る橋、中ノ島橋上〜橋たもと(大増水で水路背割からも溢水)
・木場、ロケとセット併用/貯木場の背後には竹林と山、70年代にはまだ京都にもあったのかも。
*吉野屋番頭にしてかつては悪党の「狼の与兵衛」に殿山泰司、実娘の妾を殺されたあとの表情が凄い。それでなくとも怖い顔、ライト下から来てて不気味そのもの。*木場乗り込みの右京の戦い、はながぎこぎこ柱切って小屋を引き倒すのが見もの。


第21話
怒

 米相場を牛耳るため大量の鉄砲を求める近江屋、武器ブローカー探索を命じた同心が殺されたことに責任を感じフライングの秋山が窮地に陥る。これは自身の手でと右京の助力を断る秋山だが、右京は友情から首を突っ込んでゆく。はなは秋山の妻女の心遣いを受け取らず、右京もまた事後秋山が「料金」を支払おうとするのを拒否する。

ロケ地
・同心が試し撃ちの的にされ殺される野原、酵素河川敷。
・北町奉行所、御所長屋門(前路地から東望のショットもあり)
・一味の浪人・速水をつける音三、相国寺方丈前〜大通院南塀際〜林光院(気付かれボコられる)
・ブローカー・玉次郎が鉄砲二十丁を運び込む大川端、広沢池東岸


第22話
峠

 右京の足の治療に一縷の望みを抱いて遠出の夫婦、木の根道の峠を車は通れず右京ははなを麓の茶店で待つことに。この峠に、三年ぶりに凶悪な山賊が帰ってくる。お話は、峠を無理に通ろうとする者たちが賊に遭っての、それぞれのドラマを描く。
今回右京は最後の最後に現れ賊と対決するが、メインのお話にはほとんど出てこない。

*ロケ地はほぼ不明。滝だか堰堤だか要領を得ない激流などあるし、もう到底残っていないと思われる歪んだ木橋も見える。最後の草原も山上やら河原やら皆目見当つかず。


第23話
穴

 御府外へ出張り、獲物を捕らえて連行の右京夫婦からはじまるお話。捕えたチンピラはクーデタを目論む一味の金をかすめており、「世直し党」との死闘が展開される。タイトルの「穴」は、はなが偵察に出た隙にチンピラが逃亡をはかったせいで落ちてしまう草原の氷室。ここから脱出して一味と戦うに至るドラマは圧巻。

ロケ地
・氷室のある草原・雉ヶ原、不明。
・世直し党のアジト、丹波国分寺。不明な民家や野原に道、多数。
・北町奉行所、御所長屋門
*世直し党の大砲購入資金を盗るチンピラに石橋蓮司、イデオロギーがちがち集団との対比が見事なチンピラぶり。共に穴に落ちた際の右京とのやりとりも絶妙、立ち回りでは獣じみて強いし、網を掛けられて絶体絶命の右京に思わず駆け寄り楯となって散るくだりは涙モノ。世直し党の頭目は田口計、総髪でインテリ設定。


第24話
轟

 消音銃を開発する浪人兵法学者、しかし苦節七年の成果は意図せぬ薄汚い用途に使われ、妻女は夫の罪におののいたすえ自死を遂げる。

ロケ地
・消音銃の試し撃ちで殺される市民、二人目が殺される水辺、大覚寺大沢池畔。
・小間物屋で万引きをはたらいた女を説得し、賃仕事の口について話すはな、大覚寺勅使門橋(アングルは御殿川堰堤越しの見上げ)
・足抜け女郎の文を見た右京が考慮のすえ奉行所へ向かう道、中ノ島橋(導入に円窓越しのショット)
・北町奉行所、明智門か。
・沢井が笠間の郡奉行に銃のデモ、五社明神か。
・間道をゆく直訴百姓を撃つ沢井、清滝か。
*マッドサイエンティスト?の沢井浪人は菅貫、酒をぐびぐび呷りながら部品を磨くとこや、下卑た態度で売り込むとこ、百姓狙撃中空しさに襲われる表情や、奉行に撃たれて頓死の凄まじい形相と七変化の菅貫節が炸裂。ぼさぼさ髪のビジュアルは、「田園に死す」の「私」を想起させる。*奉行とつるむ女郎屋の伊勢勝に江幡高志、右京のやり場のない怒りをまともに受けタコ殴りされるとこがなんともカワイイ。*また箱車をひっくり返されちゃう右京、はなを刀ごと鞭で引き寄せるのが乱暴で笑える。


第25話
櫛

 はなが質入れした母の形見の櫛が、奇妙極まる経緯を辿り人から人へ。その間、三組の夫婦の愛憎劇が一本の櫛をめぐって描きだされる。最後の最後に、櫛ははなの元に意外なかたちで還ってくる。

ロケ地
・屋形船で女形役者と密会中の若松屋の女房が櫛を落とす大川、大覚寺大沢池
・櫛は大川と聞きもう櫛はいいと話すはな、大覚寺大沢池堤際・北嵯峨農地
・元北町与力・風間浪人が薩摩藩士を暗殺する街道、広沢池東岸
・風間を妻の墓に案内する右京夫婦、金戒光明寺三門〜本堂前〜経蔵脇(ここで殺し屋・風間が正体を現し戦闘に)
*非常によくできたシナリオ、櫛を手に入れる人をつないで話を紡いでゆく。件の櫛、最後にはお犬さま専用毛梳きに。*元与力で不貞の妻を斬って逐電した男に宍戸錠、出てきただけでドラマチックなほど迫力。


第26話
愛

 物価高騰し民の暮らしが困窮する世情、義賊を気取る世直し組にやんやの喝采。怖じた富商の一人が右京に用心棒を頼みに来る。これが名うての悪徳商人なことから、はなが拒否反応を示し珍しく右京に逆らうが、結局仕事を受け世直し組と死闘のすえ召し捕り。しかし賊が流していたデマ・一味に元北町与力ありとの与太を信じた民衆はおさまらず、奉行の命令で右京がスケープゴートにされてしまうのだった。

ロケ地
・常念寺、神光院各所。
・越後屋用心棒をはなが拒否した夜、寝間を抜け出しいざって現場に向かう右京、金戒光明寺石段
・江戸を出る出ないで秋山と対決に至る林、下鴨神社糺の森
*用心棒の件で夫に食ってかかるはな、こんなに肩も厚くなってしまったと今まで言ったこともなかった愚痴をぶちまける。秋山を鞭打ち続ける右京に斬りつけ止めるシーンは圧巻。


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