江戸を斬る VI

*女性陣のアクションはお京親分が中心、おゆきさんはこのシリーズでは出番少なし。たまに出てきても紫頭巾率は低い。


第1話「捕物小町初手柄」1981.2.6

 下っ引きの金太はそのままでお京チェンジ、由美かおるに。
初手柄となる事件は、浜野藩側用人がお部屋さまと組んで藩政を牛耳るための資金集め。手段は押し込み強盗だからトンデモ、お京は臨検した船の吃水に着目しターゲットに辿りつく。
 ロケ地、賊が逃げた川筋を見張る金公(釣り)にお京(茶店)大覚寺大沢池畔。下屋敷から出た怪しの貸本屋を尾行するお京、有栖川(河床から見上げ)護摩堂(襲撃)
*初手柄と言い条、このシリーズのパターンに則り金公の手柄を譲られるかたち。酒を飲まされ気を失っていたお京が、出役の石橋に発見される運び。…酒は同じくとっ捕まった紫頭巾も飲まされているが、こういうのフツー麻薬でしょ。*名和宏演じる側用人、遠山に追い詰められお部屋さまを刺して自刃、炎に消えるという派手さ。*警護の藩士に福ちゃん、ラス立ちも。


第2話「死体が消えた藪の中」1981.2.23

 お化け屋敷「八幡の藪知らず」が大評判、しかしそこは凶盗のアジトだった。魚政一行とお化け屋敷に入った堅太郎ぼっちゃんが死体を見つけて父に急報、しかし入ったときは始末されていて×、懲りないお子は夜中に入って賊に捕まってしまう、いつものパターン。
 ロケ地、堅太郎が見た死体が発見される大川、広沢池東岸


第3話「雛祭の夜の恐怖」1981.3.2

 雛祭りの夜、寄場から脱走した凶賊が女子供ばかりの魚政に立てこもり。金太親分は中に入ってくるもののお約束で気付かず、若い衆も女たちをタテにとられむざむざと括られ。うまうまと逃れる賊だが、堅太郎ぼっちゃんの機転でアジトを嗅ぎつけられてしまう。
 ロケ地、金公に乗り込まれ一人馬で逃げる賊のかしら、追う道は酵素ダート、追いついての組み打ちは河川敷
*霞の五郎蔵に今井健二、女も容赦せぬ凶賊と語られるが、その割にはあんまり非道は働かない…足手まといの手下は消すが。はじめに寄場から逃げる際、撃たれて取り残される手下に福ちゃん、親分の正体を霞と明かして悪態をつく。どアップあり。


第4話「殺し針連続殺人事件」1981.3.9

 抜け荷の濡れ衣で獄死させられた長崎屋の遺児が、十五年を経て仇討ちに江戸へ。南京手妻の清国人として活動する香蘭太夫はお京親分そっくりという設定、もちろん由美かおる二役で出まくり。三人目を殺ろうとして負傷した太夫を保護の金公、強引に残りの一座と代役のお京を率いてワルを懲らしめにかかる。そしてお白州、御定法では厳罰のところ清国人は適用外とスーパーロジックを展開、江戸払いの温情を見せるのだった。


第5話「消えた怪盗土蜘蛛十蔵」1981.3.16

 土蜘蛛の十蔵は、仲間にも顔を見せない賊。手下に密告され仕事をしくじったあと、長くアジトに姿を見せず裏切り者を焙り出す…という筋だが、この間変装して石橋同心宅に潜り込むという荒技をやってのける。そのなりというのがよぼよぼの老婆、堅太郎ぼっちゃんの同情を誘い奥の間で床につき、ちゃっかりと捜査情報もゲット。演じるは西村晃、ひっつめ白髪で杖ついて歩く姿は必見…男にしか見えない・青島幸男のいじわるばあさんよりひどいかも。最後は、油断して石橋宅で変装を解いているところをぼっちゃんに見られ、アジトを突き止められる結果となる。
 ロケ地、神社で素振りの堅太郎、脇の崖から「お筆婆さん」がよろばい出てくる、平岡八幡宮石段下。十蔵のアジト、谷中天徳寺裏の一軒家、不明。「お筆婆さん」が手下の源七(仲間に耄碌爺と思わせている)とツナギをとる神社、松尾大社(楼門から入り、水場脇の木におみくじを結ぶ形で接触)。十蔵に始末された密告者の死体が見つかる、広沢池東岸汀。
*十蔵の手下の一人に福ちゃん、お京を捕まえたり、ラス立ちもあり、お白州もちらっと参加。


第6話「女辻斬り紫頭巾」1981.3.23

 病身の夫の薬代のため多額の借金をする妻、これをお偉方の贄にしようとはかる悪徳商人一味。金を借りる際迫られ逃げた女は、辻斬りで金子を工面するまでに追い詰められる。
フツーだと女は辻斬りを思いつかないが、この武家女は小太刀の名手で、辻斬り騒ぎの紫頭巾からヒントを得て犯行に及ぶ。その紫頭巾が辻斬りというのは、例によって「お転婆」が本物の辻斬りを懲らしめに出てお京親分に見られ早合点されてしまったもので、江戸を斬るおきまりパターンのひとつ。
 ロケ地、塚本浪人の妻・節がお参り、松尾大社本殿。助平侍にからまれた節が鮮やかに切り返すのを目撃するおゆきは参道にセットの縁日。
*塚本浪人に島田順司、さすがに病人がよく似合う。妻の行為がバレたあとが傑作で、小太刀の名手は「このうえは悪を討ち果たして」と絶望の中でも勇ましいのに対し、夫は「…死のう」。*女を世話されて上機嫌のお偉いさんには川合伸旺、卑猥な行為に及ぶ際の目尻下げたうひょひょ笑いはこの人ならでは。最後は金四郎たちの計略にハマり紫頭巾に髷を切られて大慌て、必死に髪を掻きあげて元に戻そうとするのがラブリー。*節は辻斬りに出る際、きっちり聞いたままの紫頭巾に扮する。紫頭巾対決もちゃんとある。


第7話「男やもめが陥た罠」1981.3.30

 石橋同心が十手を盗られたうえ、それを凶賊の押し込みに使われてしまい窮地に陥るお話、謹慎の父に代わって堅太郎ぼっちゃんが出張り金公がサポートする、おきまりパターン。十手紛失は珍しく女に騙され設定、酒席で一服盛る女のほうも夫の仇は石橋とたばかられていた。
 ロケ地、湯島天神へお参りの石橋父子が急病のおふでを助ける、今宮神社(本殿、境内)。おふでが石橋を呼びとめ酒席に誘う、東門前(茶店も映り込み)
*男やもめに蛆、は金四郎の示唆で謹慎中の石橋を見舞ったおゆきが押入れを開けると、どどっと落ちてくる汚れた衣類で表現される。堅太郎ぼっちゃん、こういうのは放置しているのか。おゆきさんは今回このお見舞いだけ、珍しく旦那さまの言いつけ通りお転婆はやらかさない。*賊の正体は、揃って評判のよくない口入屋と岡っ引。威嚇のため飼っている犬も凶悪、ばうばう吠える「アカ」の鼻先の皺が可愛い。こいつの毛が現場に残っていて堅太郎に発見される設定。


第8話「義賊うの字小僧」1981.4.6

 鼠小僧にあやかり義賊を気取る素人の盗っ人、正体は病の母に孝行する気の小さいかざり職人。町での人気を聞いてやに下がるが、本物の賊が彼の名を騙り凶行に及ぶ事態に。かつての自分を思い諌めに動く次郎吉が泣かせる。
 ロケ地、金四郎の温情で寄場送りになった梅吉を見送る船手番所、広沢池東岸に柵と番小屋に船着きをセット。
*梅吉に赤塚真人。「うの字」フォントの件を聞きつけてくる凶賊一味の椋十に中田博久。


第9話「闇に消えた江戸小町」1981.4.13

 若い別嬪の神隠しが頻発、お京の幼馴染も失踪。裏には、占いで巧みに娘たちをおびき出し誘拐する人身売買組織がいた。
 ロケ地、神隠しに遭った娘の一人が死体で見つかる大川、広沢池東岸。備前屋のおひろがお百度を踏みにゆく八幡さま、鳥居本八幡宮本殿前。おひろの身代金受け渡しの常盤橋、中ノ島橋(誘拐団は船で)。お京が占い師の託宣通り水垢離をとる神社、鳥居本八幡宮井戸。
*エセ占い師の光明大師に多々良純。ラス立ち福ちゃん入り、町人。


第10話「魚河岸小町は瓜ふたつ」1981.4.20

 松坂慶子二役もの。お家騒動の渦中にある娘の身代りになるお話で、魚屋のおゆきが御用人に目撃されなくてはいけないため、夫婦喧嘩して実家へ戻っているシナリオが用意される。
お家乗っ取りを目論むご舎弟に菅貫、ずるがしこい放蕩者を演じる。ねちねちと用人に絡んだり、脇息に凭れてびろーんと足を投げ出すしぐさはスガカンならでは。
身代りのお見合いの席へ乗り込んでのラス立ち、身分を明かしているので金四郎はお奉行スタイルでの立ち回り。


第11話「願いをかけた釣忍」1981.4.27

 盲いた妹を治そうとする兄、健気に生きる妹。彼らに兄の昔の悪い仲間が手を伸ばすが、幼馴染の次郎吉や魚政メンバー、金公が出張り事なきを得る。タイトルの釣忍は、枯れたシノブに水をやり続け芽だしを待つ妹の願掛け。希望を持たせてやるため、シノブの玉を取り替える情話がコメディタッチで挿まれる。
 ロケ地、揃ってお参りの魚政メンバー、松尾大社本殿、楼門。おるいが酔っ払いに絡まれているのを助けるのは参道(茶店等セット)。幼馴染のおるいの兄を訪ねるも、すげなく扱われ考え込む次郎吉、上賀茂神社ならの小川神事橋。賊一味がおるいをさらい、呼び出しをかける弥生神社、鳥居本八幡宮
*賊の頭目に汐路章、じっくり下調べをして入るとされるが、見た感じ行き当たりばったりっぽいのが笑える。ラス立ち福ちゃん入り、盗っ人の一味。


第12話「鍾馗が解いた贋金事件」1981.5.4

 贋金作りの一味は用心深くよそで製造、嵐をついて搬入するが大川に沈んでしまう。これを引き上げるためワルに目をつけられる潜りの達人、彼は病気の息子のため陸に上がった元船乗りだった。タイトルの鍾馗さまは元船乗りが息子に与えようとした五月人形で、ワルに引っ掛けられるきっかけとなり、また屑として捨てられていたことで事件発覚の鍵ともなる。
 ロケ地、大川で難破した船の水夫が土左ヱ門で見つかる、広沢池東岸
*贋金回収の船、水夫の一人に福ちゃん、ヒゲつき。


第13話「金公お京の夫婦旅」1981.5.11

 人買い船の悪党を追ってお京親分は潮来へ。すかさず追う金公、出女はヤバいので夫婦で鹿島詣をつくろい二人旅、しかしワルの手が伸びていて危地に。今回は支配違いの水戸領なので、金公を牢から出すのに「アレは雪姫さまの婿」が来る。
 ロケ地、怪しい船を臨検するお京、嵐峡(湛水域から船着き、権蔵が逃げるのは嵐亭下の舗道)。取手宿で人買い一味と悶着のすえ人殺しとされ追われるお京と金公、捕り方から身を隠すのは広沢池東岸。その後葦原を突っ切り、潮来近くの水郷で船を借り受け娘船頭に化けるお京、西の湖。金太と次郎吉が講に混じってゆく道は不明。
*二人旅で内心期待のお京親分、もちろん金公は全く取り合わず進展なし、その代わり水戸黄門ばり「入浴シーン」あり。


第14話「親子を結ぶ情の捕縄」1981.5.18

 貧ゆえの盗みから追われる父、健気に生きる残された母子。この設定でこれでもかのベタベタ情話が積み上げられてゆくが、白州では「罪は罪」のお説教。行きつけの質屋に強盗のなっさけない父に河原崎健三。
 ロケ地、塾帰りの堅太郎が付木売りの長太と会う、金戒光明寺三門石段。まさごで付木押し売りの帰り二人がゆく坂、永運院下坂。父のため心中を思い詰めた母子が立つ橋は映画村日本橋だが、流水は中ノ島橋上手の堰堤。寄場送りの伊佐吉を見送る浜、広沢池東岸


第15話「お千代を襲う恐怖の影」1981.5.25

 ヤクザの抗争、片方の親分暗殺現場に来合わせたお千代が、見られたと思い込んだ殺し屋に狙われる。二組のヤクザで悪役脇役陣わんさかご出演、殺し屋は宮口二朗で怖すぎ。
 ロケ地、木川屋の葬儀、相国寺大光明寺門(見張りのお京は方丈塀際)。葬式に出席の山鷹屋に斬りかかる木川屋の子分、鐘楼脇。お政とお千代がお祓いを受けにゆき殺し屋に狙われる神社、日向大神宮外宮(酒樽落しを食らいあわやの石段は別の場所の模様)


第16話「白洲に哭いた父ふたり」1981.6.1

 父の薬代のため置き引きをはたらく孝行娘、盗ったブツの中に盗賊が用意した押し込み用間取り図があったため大騒ぎに。図面を取り返す役目を賊の頭目に強要された元掏摸が、実は彼女の実父で、養父である元の仲間と彼女を逃がそうとはかる情話。このべたべたのお話にウェイトが置かれ、お京親分や金公の働きは影が薄い。遠山裁きには尺をとる。
 ロケ地、夜烏の源五郎に恩ある元掏摸が営む、竹屋の渡しの茶店、罧原堤下河原。彼が源五郎に呼び出され置き引き娘の消息をつかむよう命じられる屋形船、広沢池東岸。孝行娘・おりんが弥生神社ではたらく二度目の置き引き、松尾大社境内(舞殿下、楼門、参道)。寄場送りとなる元掏摸の見送り、広沢池東岸に柵セット。


第17話「おゆきに惚れたいい男」1981.6.8

 魚政を手伝い中のおゆき(例によって脚丸出しのあの格好)に一目惚れの魚屋が現れ、人妻と知れるまでひとくさり落語ふうにクネクネと笑い話。彼の病の母が借金とりに乱暴され落命する騒ぎがあり、おゆきは金四郎の示唆で一芝居打って大元の白河別当に迫る。
 ロケ地、伸助がおゆきにプロポーズの八幡さま、松尾大社本殿、楼門。
*悪どい別当に名和宏、実は目あき。前段の盲人を装った表情も怖いが、やはり名和宏がかっと目をむくと怖さ倍増し。*おゆきさんは伸助の妹の代わりに別当宅へ連れ込まれているので、ラス立ちに参加するも紫頭巾はナシ。ワルから取り上げた銃をぶっ放す場面もある。


第18話「辻斬り 赤法師」1981.6.15

 ここんとこ紫頭巾が出ないと思っていたら、赤い大きいのが出る。辻斬りではなく追い剥ぎで、吉原帰りの金持ちのボンボンなどを狙い、峰打ちして財布を盗る。この男には辛い過去があり、追い剥ぎはその過去に負わされた傷の療養資金づくり。森次晃嗣演じる、そこはかとなく被害者づらの赤法師に、捕えに行って監禁されたお京がいたく同情、殺しをしてのける偽者を探索に出張る。
 ロケ地、赤法師のアジトの小屋、広沢池東岸。赤法師の回想、素行の悪い藩士に言い寄られ力ずくで乱暴されかかり舌を噛んで死んだ妹、松尾大社亀の水場
*偽赤法師の正体は妹の仇、獣じみた乱暴者を五味龍太郎が演じる。*「赤頭巾」じゃないのは荒法師ふうの巻き方だから。色は臆面もなく真っ赤っかで、着物は法華経柄。


第19話「我が子を捕えた御用旅」1981.6.22

 最後の仕事と上方から賊を追ってきた老目明し、探索のさなか生き別れの息子と出会うが、彼は当の盗っ人一味という奇縁。極道で母を泣かせた父に反発する息子だが、かしらに父を殺せと命じられ真人間に立ち返る。これがためお裁きは二年の八丈送り、他の賊は引き回しのうえ獄門。
 ロケ地、弥生神社の縁日で癪の発作を起こした北浜の宇兵衛を助ける魚政メンバー、今宮神社高倉下坂。面売りの屋台を出している「息子」にそのへんの子供を使って一味のツナギ、境内。利用された子に話を聞く、楼門


第20話「お京が陥た阿片地獄」1981.6.29

 阿片もの、フライングして潜入捜査のお京が、例によってあっさり露見してとっ捕まり監禁される筋立て。売人に義母と折り合い悪くグレて勘当された男がいて、彼に済まなく思う義妹が巻き込まれる。
 ロケ地、琴のお稽古帰りのおちかが阿片を求める薬師堂、大覚寺聖天堂(売人の房吉は縁先、まわりに占いの露店などセット)。このとき一緒にいたおふみを聴取するものの不調で成果なく帰るお京たち、大沢池堤。尾行していた男を追い詰めるも水に身を躍らせ逃げられる、天神島朱橋。密売組織に潜入していた南町の隠密回りが殺され見つかる、望雲亭脇の有栖川(水まわりは用水堀という設定で、有栖川にセットされた欄干のような木組は「水門」らしい)


第21話「十手で物言う悪い奴」1981.7.6

 十手風を吹かす乱暴な岡っ引・仙蔵。借金取立ての用心棒もするが、お京や石橋同心に阻まれ面目を失い、つるんでいた高利貸しから積もった借金の返済を迫られてしまう。窮した仙蔵は高利貸しを殺害、酒癖の悪い大工に罪を着せるが、全て金四郎に見破られているのだった。
仙蔵が大工をハメる手口、金四郎たちが仙蔵に罠を仕掛けるお芝居などがテンポよく描かれた佳作、大工の幼い娘の健気さも盛り込まれる。
 ロケ地、遊び人の銀三を呼び出し、大工をハメるよう指示する仙蔵、今宮神社若宮社前。高利貸し殺しは千両盗ったと「リーク情報」を吹き込まれた銀三が仙蔵を呼び出し恐喝するのは稲荷社脇・合祀摂社前。
*今回は金太もしくじらず仙蔵をハメるお芝居を完遂、しかしこの際下っ引に大量の飯をタカったうえ海老天のお土産つき…。*仙蔵に井上昭文、銀三に江幡高志。銀三がゆく賭場の中盆に福ちゃん。


第22話「小鈴に誓った恋三味線」1981.7.13

 札差殺しの現場で鉢合わせした恋人たちが、互いに相手が犯人と誤解し「私がやりました」と庇いあう、よくある展開。もちろん仕組まれたことで、使い込みがバレそうになった番頭の仕業、泣きついた先の口入屋の入れ知恵。これを豪華キャストでやるのが、ナショナル劇場ならではの展開。女中に手をつけてしまうスケベ札差に遠藤太津朗、気弱そうなくせにやることは大胆な使いこみ番頭に南道郎、骨までしゃぶるつもりの口入屋に須賀不二男、その番頭には田口計。そして恋人たちの男のほうは森次晃嗣、常盤津の家元の出だが義母に継承を阻まれグレている設定でいつものように苦悩に満ちた被害者顔。
 ロケ地、女の年季が明けたら迎えに来ると就職の報告をする清太郎、今宮神社石橋。もうお嫁さんになれないと別れを告げる大黒屋女中のお久、稲荷社前。実行犯の男に金をせびられる大黒屋の番頭、吉田神社竹中稲荷参道(重ね鳥居下)。金を取りに来た男を始末しようとする口入屋の番頭、本殿まわり。
*実行犯の金せびり男を始末するため雇われた先生方の一人に福ちゃん、金公に石ぶつけられたり次郎吉に一発入れられたり。


第23話「酒に溺れた居合い抜き」1981.7.20

 生き別れの母子再会の情話。凄腕だが酒に目がない侍はお役目をしくじり浪人、この際プライドゆえ妻を放逐し子と二人大道芸で糊口をしのぐ日々を送る。そして流れ着いた江戸で彼らは出会うことになるが、侍は妻の再縁先の商家を脅すヤクザの用心棒となっていた。
 ロケ地、縁日で居合い抜きを見せる相良浪人、神護寺和気公廟所前。父が両断した梨を分けて食べる、息子の十郎太と見物していた堅太郎、明王堂(ここはこの後も十郎太が辻占を売る場面で出て、母・お登勢と出会う。愛染堂という設定で、母恋しい十郎太が明王に祈る)。お登勢をさらった川並一家が指定の身代金受け取り場所・椙本神社、鳥居本八幡宮本殿前。事後、愛染堂から出てくる石橋と金公、神護寺山門
*相良浪人は大山勝己、凄腕の剣客設定なので殺陣がたっぷり拝める。金公とやりあう場面も。川並一家の頭目は北村英三、手下に福ちゃん・役名「藤十」で台詞もたくさん。


第24話「お役者小僧の挑戦状」1981.7.27

 凶行を重ねる賊、被衣をかぶった女や屈強な男、若衆姿などが目撃され、しまいに高札に「お役者小僧」名義でお奉行を愚弄する張り紙をしてゆく始末。振る舞いをお京に怪しまれてアシがつくが、かえってこれを監禁しヤラしい行為に出るという凶悪さ、しかし堅太郎ぼっちゃんを妙に構ったことが災いし、金公に乗り込まれてしまうのだった。
 ロケ地、骨董商・文庫堂に出入りの怪しの雲水を尾行するお京、相国寺大光明寺南路地を西へ、墓地の門を入ると黒谷墓地へスイッチ。
*お役者小僧に西沢利明、表は善人づらの極悪人。こういう役どころだと余人にない凶悪さ。堅太郎ぼっちゃんとの関わりは店頭展示の虎の衝立、中に盗んだ狩野永徳の軸を隠すが表装を左右逆にしちゃって気付かれ。ぼっちゃんがなんで関わってくるかというと、虎の絵を気に入って文庫堂の店先で加藤清正ごっこをしていたり…このお子はまたあちこちでいらんことを…。


第25話「闇に浮かぶ怨みの影」1981.8.3

 呉服問屋の若旦那の婚礼の夜に起こる幽霊騒ぎ、その後もしつこく出て町中の噂に。もちろん仕組まれたもので、総領を密殺して妾腹の子を後釜に据え、店を牛耳ろうとした番頭の悪事を燻り出すための悲しいお芝居。番頭が守りを固め、正体がバレそうになったところで金四郎が介入、芝居を引き継ぎワルを成敗。
 ロケ地、総領と祝言を挙げる筈だったお小夜が「入水」の大川、嵐峡。検分に来たお京に事情を話す番頭、築地塀と墓地不明。手下のならず者にお小夜の妹情報を聞く番頭、方形のお堂を見下ろす高台?不明(二尊院?要確認)
*番頭が雇い入れる用心棒の一人に福ちゃん、幽霊を追う・ラス立ち・お白州と登場多し。口髭つき。


第26話「掏った財布が無実の証」1981.8.10

 大金を持っていたため殺人犯として捕縛される指物師、実は掏った金ゆえ出所を言えないのだった。病の女房を抱えた哀れな事情に、なんとかして無実の証を立ててやりたい金四郎が動き、普請奉行のからんだ汚職が暴かれることとなる。
 ロケ地、指物師が金を抜いた財布を隠す水天宮の祠、大覚寺五社明神(導入に暮六ツの鐘、塀越しに見た鐘楼)。長屋を追われた指物師の妻子が彷徨う道、放生池堤
*財布に入っていたのは普請奉行の書いた「煙草五つ」の受け取り証文、ロッキード事件・チャーチ委員会のピーナッツ100個(暗号領収書、不正献金の証拠)のもじり。*今回強引な岡っ引はただの功名心でワルに関係なし。


第27話「脅迫された町奉行」1981.8.17

 捕まった盗賊・野伏の富五郎を奪還すべく手下が動く。奉行所の機密書類をゲットして「燃やす」と脅すが、このお話に火事の際にはたらく「駆けつけ御用」のエピソードを使ってあるのが珍しい。
 ロケ地、書類焼却との脅迫を受けて富五郎を解き放つ金四郎、富五郎が尾行の町方を愚弄するかのように歩き回る道、鳥居本八幡宮中ノ島橋(飛び降りて船で逃亡)
*富五郎に菅貫、女にチクられて捕まる際の真っ赤な襦袢姿が可愛い。*ツナギに使われる牢番が入り浸る賭場の中盆に福ちゃん。


第28話「おゆき誘拐危機一髪」1981.8.24

 寺社地に巣食い悪行を重ねる香具師の元締・小松屋と全面対決の覚悟を決める金四郎、配下の寺社地立ち入りも辞さず寺社奉行の不服申し立てもはねつける。闇の寺社奉行と異名をとる小松屋は、はじめストレートに金四郎の命を狙うが、手強いと見るやおゆきを公然と辱め社会的地位を奪う策に出る。
 ロケ地、養伝寺、粟生光明寺。冒頭石橋らが小松一家のチンピラを召し捕る際は門と参道を使い縁日を演出。お咲拉致も門前。事後、御開帳を見にやって来る魚政・まさごの衆も門前、同じく見物の金四郎とおゆきは本堂縁先。おゆきの身柄を、と金四郎が呼び出される浜町河岸、嵐山公園中州岸。
*内田朝雄の小松屋とグルの大検使に川合伸旺、厨子に籠めたおゆきの「御開帳」をうひょうひょと見に来るが、開けたら金公。小検使に内田勝正もいてコテコテ。彼らに手を貸す、兄を金四郎に獄門にされ恨んでいる莫連女に田中真理。*福ちゃん二態、チンピラ取調べの際の書役と、ラス立ちのご浪人(三回ばかり派手にのけぞり)。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ