鬼平犯科帳 第8シリーズ   Dc


鬼火/瓶割り小僧/穴/眼鏡師市兵衛/はぐれ鳥/おれの弟/同門対決/影法師/番外編(スペシャル)


鬼火」1998.4.15 通算125話SP 原作同名 17巻

 ふと入った居酒屋で狼藉者叩きのめす平蔵、騒ぎの間に逃げ散る居酒屋の夫婦。その際漏れ聞いた「丹波守の指図か」に反応する平蔵、その後店を窺う怪しい浪人を尾ける粂八と彦十、粂八前後を固められ追われる湯島天神から凌雲寺への道、随心院築地塀。もう一人の浪人尾ける平蔵、ならの小川畔。斬撃の末あっさり負けを認め事情話す高橋浪人、磊落な人柄。これに怪しい浪人・大野への仕掛けを依頼する鬼平。
 高貴薬扱う大店が凶盗にやられ、失踪したままの居酒屋夫婦の一件との関わりが浮上、病がちの大身旗本と医師と隠し子と凶盗と、事情が錯綜。
 大身旗本の実子で他家継いだ神田・今川小路に住まう納戸役・長井伊織の姿垣間見に来る居酒屋の女将・お浜、妙心寺塔頭道。我が子の後姿を見送り塔の見える石橋上で嘆くお浜、東寺方丈池
 奪った高貴薬を前に旗本を操る算段の医師・吉野道伯、盗賊の嘗役。道伯に次の仕掛け決行を示唆する盗賊たち。事情知る居酒屋夫婦の小屋襲う人数、殺される亭主、斬られ瀕死のお浜は役宅で息を引き取る。
 高橋浪人の寄宿先に詰めていた彦十とツナギの平蔵、大覚寺放生池堤。高橋浪人は大野に依頼された平蔵襲撃の演技、斬り合いの末死んだフリ。狙った盗賊改の撹乱失敗を知らず商家に押し込む大野たち、お縄。結果大身旗本は失脚、医師も捕わる。
 お浜の墓に詣でる平蔵とおまさ、見返る墓にちろちろと鬼火。しとしとと降り続く柔らかな雨、石段降り帰る鬼平、不明。


瓶割小僧」1998.4.22 通算126話 原作同名 21巻

 上野寛永寺でのろ牛と呼ばれるかつての盗賊仲間にばったり出会うおまさ、仁和寺五重塔前、縁日セット。石川の五兵衛の手下になっている。その宿が安手のものでないことに不審抱く平蔵。その直後喧嘩で殺されるのろ牛、懐中から凶盗に殺された桐生の富商の財布が出てくる。のろ牛の宿・伊勢新に張り込み、夜半二階の窓から出て怪しまれ捕まる五兵衛。詮議にも達者な口で応答し何一つ吐かぬ五兵衛、憎体な面を隙見する平蔵、見知った顔。牢番の割った茶碗の音に思い出す、20年前の「瓶割小僧」。平蔵、一計を案じエキストラ集め芝居を打つ。役者はそのへんで拾ってきた悪たれ坊主と瓶割の一件に絡んだ浪人の息子。
 万端整い五兵衛を連れ出す盗賊改、連れてゆく先は五兵衛が幼少時住んでいた芝・神谷町界隈。陶器屋の店先で「瓶割小僧」演じる子供見せられにやにや笑い軽口飛ばす五兵衛、次いで連れて行かれる先では瓶割後のエピソード、浪人に斬られかかり平蔵に助けてもらった場面再現されるのにへたり込む五兵衛・20年前の瓶割小僧音松、粟生光明寺紅葉道。名乗り上げる平蔵に恐れ入る「音松」。


」1998.4.29 通算127話 原作同名 11巻

 口紅が人気の芝・西久保の壺屋、売り上げを蔵に収めようと開けてびっくり、三百余両盗まれているが錠前はしっかり掛かっていて丸一日気付かず。より厳重な錠に変えるがまた侵入られて、今度は三宝に盗まれた金がそっくり乗せられ返されている。
 川で遊ぶ子らの姿眺めている平野屋源助、金杉川に鍵を投げ捨てる、中ノ島橋。子らの遊ぶ川は桂川本流
 壺屋の間取りから見ると隣の平野屋からしか入れぬと源助に心当たり無いかと密偵に尋ねる平蔵。その見込み通り平野屋源助は引退した大盗で悪戯ごころ起し半年かけて抜穴掘っての復り盗め。
 川崎大師へ参る平野屋、石清水八幡宮。参道で名鍵師・近江の助次郎と行き合い神殿裏でツナギつける。帰途、大森村で特産の麦藁細工求める源助、男山の竹林
 壺屋の子の祝に招かれた源助、新しい錠前見てむらむら、埋めた抜穴再度掘り壺屋に侵入、藁細工の鼠置いてくる。今夜の仕事を番頭(盗賊だった頃の手下)にうきうきと話す源助の部屋の押入れから盗人スタイルで現われる平蔵、平野屋で求めた扇かざし身分を明かす。
源助を罪に問わず「穴」を埋め戻しておけと命ずる平蔵、以後二人は用を努める。
*鍵などを舐る仕草は原作にあるとおり坂上次郎が怪演、しかし源助の設定は鶴のように痩せた爺。


眼鏡師市兵衛」1998.5.6 通算128話 原作「二度あることは」 20巻

 非番に目黒・感徳寺の先祖代々の墓に参るうさ忠、真如堂墓地。バックに本堂破風。境内をゆくうさ忠、塔前の寺務所の茶屋セット越し。
とある茶店に入り黄粉餅食ううさ忠、その隣の空家を訪ねてくる老人を訝しむ。その空家は盗賊・瀬川の友二郎が女房に小間物屋を出させていたところで、女房の情夫に殺害されるという事件があった場所なのだった。老人を尾けるうさ忠、妙心寺桂春院前の路地。老人の入ったのは眼鏡屋、名は市兵衛。蓑火の配下の鍵師で足を洗っている。彦十と二人で張り込み。
 一方、三雲の利八見かけ平蔵に報告するおまさ、粂八が命令を待たず見張る盗人宿・渋谷村氷川明神近くの百姓家、粂八が佇む汀は広沢池東岸。
 三雲の利八は市兵衛のもとを訪れ鍵師として自分の盗めに加われという。脅され承知する市兵衛。眼鏡屋出た利八がゆく、大覚寺放生池堤、うさ忠が尾行。市兵衛は思い詰め雇い人に置手紙し逐電、尾行の彦十。
 利八を尾け百姓屋を窺ううさ忠、殴られ昏倒、縛られる。そこへ討ち込む鬼平。
 事後、市兵衛追って行った彦十を迎えにゆくうさ忠と粂八、彦十の駕籠と行き合わせる、山室堤道、手前に堤下のY字路。復命し報告の彦十、六郷の渡しで市兵衛と腹割って話したことを告げる。六郷渡し、大沢池船着
 平蔵の予言通り江戸に舞い戻る市兵衛、再び友二郎の女房の店だった場所訪ねるとおまさと彦十が出迎える。この日のために平蔵が借りていたもの、市兵衛はのちに密偵に。


はぐれ鳥」1998.5.13 通算129話 原作「白蝮」 12巻

 鬱々と町をゆく未解決の丁子屋の凶盗が脳裏から去らぬ平蔵、生き残りの手代を訪ねる、美山町萱葺き民家集落。原作と随分変えてあるので設定は不明なるもドラマの雰囲気から江戸郊外であると思われる。事件の記憶に「引っ掛かっている」何かを思い出したか聞きに来たのだが果たせず泣く手代。
 うさ忠は今日も見回りと称し谷中寺町の岡場所で色の道を探索。馴染みの妓が贔屓客に取られしかもそれが女と聞き待伏せの上からむが軽くあしらわれ、抜いて突っかかるも扇で面打たれやられてしまうという情けなさ、大覚寺五社明神〜有栖川畔
復命したうさぎの腫れた顔見て笑う平蔵、話を聞き件の扇開き驚愕。扇に「京・冷泉家」、丁子屋の手代が証言した、事件の折盗られた扇。
早速手代に見せると思い出す、引っ掛かっていたのは目撃した賊の胸にふくらみがあったこと。
 始まる探索、岡場所の客の女・津山薫の人相書きも手配される。この動きに暗い顔をしている同心・吉見丈一郎、女は同門の剣客・森初子であった。師匠の墓で会い詰問、戻ってくるとの約も反故。揺れる吉見に活を入れ初子への思い断ち切れと真剣で立ち会う(互いに峰を見せて)鬼平。
 密偵からの情報で津山薫と共に登楼した浪人者が割れる。尾行の盗賊改、背後を気にする浪人、有栖川畔、設定は谷中寺町。アジトのセットは「隠宅」撮影所内セット。
 アジトに討ちこむ鬼平、津山薫は吉見と一騎打ちにて斬られる。
 原作では平蔵に「変態」と言われ父の仇云々にも因あるのではとまで勘繰られる「変わった趣味」の初子、ドラマでは可憐な面も描かれる。タカラヅカと思われる女優さんの起用も殺陣・濡れ場ともなかなか「見せる」。


おれの弟」1998.5.20 通算130話 原作同名 18巻

 高杉道場での旧知・滝口丈助を見回りの途中ふと訪ねる平蔵、妙心寺。滝口の様子にただならぬもの感じ尾行。研師・今井宗仙のもとを訪ね出迎えた女房のお市と妙な雰囲気に嘆息の平蔵。
 滝口は平蔵の「本所の銕」時代に闇討ちに遭う身代わりとなって負傷、粟生光明寺石段。そうした経緯もあり弟のように可愛がっている滝口の身辺を調べるよう沢田・彦十・おまさらに依頼する平蔵。沢田は研師訪ね、研ぎの間隔が頻繁なことと高杉道場での後継者巡る紛争のことを聞く。次期と目される第一は滝口だが御側衆筆頭・石川筑後守の三男・源三郎が横槍を入れている。
 滝口のことを彦十に話しながら歩く平蔵、上賀茂神社ならの小川
 滝口には石川源三郎から果たし状が来る。料亭にお市を呼び出した滝口は果たし状を見せ死の予感語り恋情を告げる。
 翌朝、平蔵への手紙置き起居する小石川宮坂・心行寺を出てゆく滝口、妙心寺蟠桃院と養徳院の間の路地(西向きのどん突きを見る)。呼び出し場所の深川十万坪・火除地蔵前で襷をかける滝口、仁和寺九所明神前疎林。弓で射られる滝口、飛び出し役職名乗る平蔵、曲者は逃げ散る。お市の名口にし平蔵の腕の中で死ぬ滝口、助けられなかったことを許せと骸を抱く平蔵。沢田に滝口の死聞かされ遺品の佩刀渡され、その刀で自害するお市。悲惨な結果を久栄に愚痴る平蔵、凝縮された幸福もあると応える久栄。
 平蔵は上司・京極備前守にこの仕儀の決着迫るが入れられず。
 一年後、広尾ケ原で馬を走らせる源次郎、下鴨神社馬場。供を一刀の下に斬る沢田。源次郎を落馬させ弟の敵討ちと斬って捨てる平蔵、池跡
源次郎の百日忌のあと京極に招ばれ盃を干しながら見詰め合うシーンで終劇。


同門対決」1998.5.27 通算131話 原作「高杉道場・三羽烏」 12巻

 鬼平と高杉道場で同門だった男が盗人に身を落とし平蔵に一泡吹かせてやろうとするが敵わず、というエピソード。
粂八の船宿のシステムなど興味深い件が語られる。
 ロケ地、大川万年橋を渡り別れ行く砂蟹のおけいと笹倉の太平、中ノ島橋。ターゲットの巣鴨の徳善寺(ロケ地不明)へ押し込んだ長沼又兵衛一味に襲い掛かる盗賊改、大覚寺大沢池木戸〜護摩堂前。


影法師」1998.6.3 通算132話 原作同名 16巻

 役宅の茶室でうさ忠の見合い。婚礼が十日後に迫った日、叔父のところへ挨拶にと称し岡場所へ向かううさ忠。途中叔父にばったり会ってしまい両親の墓に詣でる羽目に。
この姿を見かけた盗賊・塩井戸の捨八はうさ忠を「両個の源三郎」という以前エラい目に遭わされた昔の仲間と間違え後を尾けてくる。
うさ忠は目黒威徳寺で墓参済ませたあと目黒不動(真如堂)で叔父をまき、捨八もうさ忠の姿を見失う。うさ忠を源三郎と信じて疑わぬ捨八は叔父も盗人と思いその行く先を尾け、入った菓子屋に引き込みに入っていると思い込む。自分の宿へ戻った捨八は仲間の井草の為吉にこのことを話し、両個の源三郎のお盗めの上がりをそっくり頂く計画立てる。
 だが捨八が以前エラい目に遭ったのは両個の源三郎のした事ではなく井草の為吉と長坂万次郎が仕組んだものであった。為吉と長坂が再度捨八の上がりを掠めようとツナギをとる神田橋御門外の茶店、本法寺境内にセット(背景に多宝塔)。この密談をおまさが聞いていて盗賊改の探索が開始される。捨八の宿も突き止められ見張り所が置かれ、宿屋にはうさ忠が送り込まれる。この際うさ忠は仮病を使わされるが、近所で開業している立泉門下の医師・道仙が偽装工作とツナギを受け持つ。こんなことは初めての経験とはしゃぐ道仙(田中様)と対照的に粥ばかりの食事と婚礼の日延べが気になり萎れるうさ忠。
 お盗めが切迫してくるなか、うさ忠は外を売り歩く鰻売りの声にたまらず飛び出し、戻ったところで捨八とばったり。びっくりして飛び出す捨八は召し捕えられる。
気付かれていないことを確認した鬼平は為吉と長坂の一味を一網打尽。
原作では両個の源三郎ではなく「さむらい松五郎」だが両個(りゃんこ)の意は二本差し、ニュアンスは同じ。


さらば鬼平犯科帳スペシャル 「最終回」1998.6.10 通算133話

 鬼平事故死を聞き好機と江戸へやってくる白子屋菊右衛門、しかし平蔵の死はお芝居で白子屋を誘き出す算段というお話をフレームとし、過半を密偵たちの追憶に費やし懐かしいエピソードの抄録が次々と映し出される。白子屋は金田龍之介。

「フレーム」の白子屋胎動〜一件落着部分のロケ地
 ・忠吾をお供に京へ向かう平蔵、谷山林道頂上付近、両側切り通し。
 ・大坂イメージ、セット町なみの遠景に大坂城天守…書割の可能性あり。
 ・東海道をゆく白子屋、谷山林道(箱根山中)嵐山自転車道
 ・品川宿はずれの盗っ人宿へ入る白子屋、萱葺民家不明(美山か)
 ・姿を現し出役の鬼平、火盗改の人数が走る夜道、松本酒造前東高瀬川堤
 ・老中・松平定信邸へ挨拶に罷り出る平蔵、随心院薬医門

抄録に採用されたエピソード

★各密偵の「鬼平」との出会い
・粂八/血頭の丹兵衛 ・彦十/本所桜屋敷 ・おまさ/血闘 ・五郎蔵/敵
*伊三次はこの時点でいないので無し、ラストには五月闇と猫じゃらしをちゃんと入れてある
★平蔵関係者に関するエピソード
・久栄/むかしの男 ・井関録之助/托鉢無宿、本門寺慕雪 ・お熊/笹やのお熊 ・岸井左馬之助/本所桜屋敷
★平蔵の人となりに関するエピソード
むかしの女/兇賊/泥鰌の和助始末/熱海みやげの宝物/盗法秘伝/一本眉/蛇の眼
↑この間に「迷路」や「炎の色」等での出役シーン特集が挿まれる
★フルバージョンのインスピレイションに乗せて名場面集
炎の色/猫じゃらしの女/五月闇/うんぷてんぷ/はさみ撃ち/あきれた奴/雨乞い庄右衛門/女掏摸お富/暗剣白梅香/麻布ねずみ坂/谷中いろは茶屋/老盗の夢


→鬼平犯科帳視聴メモ表紙

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