雲霧仁左衛門

 キャスト
 雲霧仁左衛門/山崎努 七化けのお千代/池上季美子
 木鼠の吉五郎/石橋蓮司 州走りの熊五郎/本田博太郎 因果小僧六之助/佐藤和久
 安倍式部/中村敦夫


第1話 おかしら 1995.11.29

 じっくりと時間をかけた雲霧のお盗めを一件丁寧に描き、急ぎ働きを企む同業者をシメたあと急遽決めた盗めを鮮やかにしてのけるさまも描いて、雲霧一味の魅力を見せつけ観る者を引き込んでゆく。一方火盗改には新長官が着任、私財を投じると宣言し雲霧逮捕をブチ上げる。

ロケ地
・木鼠の吉五郎と一味を乗せた船がくぐる橋、大覚寺天神島朱橋〜盗みの描写を経て引き上げシーンは八幡掘堀端
・民家イメージカット、広沢池北東岸の民家(水無、サギとユリカモメ映り込み)
・武蔵屋への押し込みのあと引き上げる船、八幡掘
・千代と六之助を乗せた船がゆく堀割、八幡掘大覚寺天神島北辺水路八幡掘堀端(船橋付近、南岸の町屋が盗っ人宿設定)
・草間の勘蔵が仲間にツナギ、南禅寺三門(ゴイサギの声あしらい)
・押し込み先の下女を殴り倒す勘蔵一味、相国寺鐘楼裏手。
・洗濯女をからかう六之助に石を投げる州走りの熊五郎、上賀茂神社ならの小川。六之助が追いかけてくるシーンは別の川にスイッチ(不明)
・火盗改役宅塀外で刀を売るおかしら、南禅寺僧堂坂・通用門そば。
・小頭に竹村玄洞宅の様子を話す六之助、大覚寺天神島北辺水路汀。
・お京とツナギをとる勘蔵、南禅寺三門
・釣りのおかしら、広沢池東岸(捕り方を見て水中に逃れる)


第2話 狙われた男 1995.12.14

 盗っ人宿に入るところを見られてしまう六之助、火盗の知るところとなり雲霧に危機迫る。素早く対応する雲霧一党、盗っ人宿を鮮やかに始末し散開するが、危機はもう一段、「目撃者」を始末しにゆくところを火盗に先回りされ六之助は捕われてしまう。これを「荒事」で切り抜けるおかしらの大胆不敵、してやられた安部式部は悔しさに体を震わせる。

ロケ地
・六之助が入るのを見られてしまう船宿・佐原屋、八幡掘東端(合成の爆破シーンあり)
・岡田与力への工作を指示するおかしら、屋形船は嵐峡
・六之助を見た利吉が火盗の密偵・留次郎に金を貰う段、神護寺和気公廟所前〜石段〜五大堂縁下。
・佐原屋を見張る利吉と留次郎、八幡掘西の湖(留次郎が一人船で千代と六をつける)
・留次郎の死体が上がる川端、不明(礫河原、流量多し)
・利吉の住む葛飾村へ赴く六之助たち、家はセットだが岡っ引が張り込んでいる神社は宮前町の天王神社(素盞鳴神社)
・吉五郎がおかしらに火盗の動静を報告するのは南禅寺三門。歩み出した二人は僧堂坂


第3話 兄いもうと 1996.1.10

 また六之助の線から雲霧に仕掛けてくる火盗、偽の妹を送り込み。一方二年もかけた大仕事の総仕上げに着手する雲霧、「千代姫」は豪商に伴われ名古屋へ。

ロケ地
・岡田与力が尾行していた岡っ引をシメる縁日の神社、北野天満宮本殿裏手。
・六之助の人相書の高札を見たあと、松屋への仕掛けの話をするおかしらと吉五郎、大覚寺護摩堂
・千代が公家の若後家に仕立てられている船宿、錦水亭(池端の東屋を対岸に見る座敷が仕立ててある)
・六之助が母の墓に参る娘を見てならず者から助ける深川の無縁墓地、大覚寺天神島(大楠の根方に墓石あしらい)放生池堤(石橋の下に仕込んだ船で逃走)
・六之助が偽の妹を刺し殺す河原、不明(桂か)
・一人名古屋へ向かう旅装のおかしらが野辺送りと行き会う街道、山室堤


第4話 川止め 1996.1.17

 ひたひたと名古屋へ向かう雲霧一党、しかし突然の大雨で島田宿が川止めに。宿場ではニセ雲霧が出たり、病に倒れたおみつが助けてくれた浪人の情にほだされたり。ニセモノ成敗を本物の雲霧の仕業と見た火盗は、川止めを延期させ躍起になって探し回るが雲霧のほうが一枚上手、まんまと先に行かれてしまう。

ロケ地
・松屋の駕籠がゆく街道、琵琶湖西岸河口州。
・島田宿、みろくの里オープンセット(ここにも雲霧の盗っ人宿)
・州走りが六之助と鉢合わせする小屋、酵素か。
・江戸への早馬が走る街道、山室堤。火盗同心たちを乗せた早駕籠がエイホと走るのも同所、農地側からのアングルもあり。
・おみつを保護した浪人が兄の仇と押し包まれ斬られる夜道、大覚寺大沢池畔。浪人の一人を偽者と見た吉五郎の投石に逃げ散った浪人が逃げる道に護摩堂前。
・千代とお御籤でツナギをとる神社、今宮神社本殿。
・自分だけ損クジと愚痴りながら船を出す六之助、琵琶湖西岸
・川止めが解け旅人が群がる渡船、琵琶湖西岸河口州。
・茶店にいる千代の前を通り過ぎるおかしら、愛宕参道(茶店は平野屋、おかしらは石段を下ってゆくが鳥居は映さず灯篭のみ)。水辺をゆくおかしら、琵琶湖西岸


第5話 使い鳩 1996.1.24

 いよいよ松屋への仕掛け、千代はすっかり入り込みあとは金蔵を探るのみ。しかし、火盗も尾張へ同心たちを遣わし雲霧の動向に目を光らせていた。
今度も六之助がネックとなり火盗に迫られるが、丁々発止の渡り合いは雲霧が一歩先んじる。

ロケ地
・岡崎宿手前の畑地で吉五郎とツナギをとるおかしら、不明(孤立木のある田んぼ、背景の林は河畔林か)
・名古屋市中の情景、大須観音のイメージショットのあと映される縁日の境内は大覚寺心経宝塔前。
・安部式部の命で尾張へ「鳩」とともにゆくお京が早駕籠に揺られる街道、山室堤
・吉五郎に松屋入りを懇願する六之助、相国寺宗旦稲荷裏〜鐘楼裏手・碑前。
・尾張藩町奉行所、大覚寺明智門
・吉五郎がお京の出した手紙を奪取する街道、不明(野中のやしろ、周囲に朱玉垣)
・ヘマ続きの六之助を叱責するおかしら、不明(野末の墓、山際の林)
・松屋の蔵イメージ、セットと松本酒造を併用。


第6話 張り込み 1996.1.31

 手紙を盗られたことに気付いた火盗は山田与力を名古屋に派遣、粘り強い見張りがはじまる。一方仲間と齟齬を来たしていた三次は、櫓の福右衛門に声を掛けられ、金と女を掴まされる。松屋の金蔵に入ってみた吉五郎があわやの危機に陥ったり、千代が公家の作法を突っ込まれ窮するなど、手に汗握る展開もある。

 ロケ地、おかしらと吉五郎がツナギをとる神社、摩気神社(楼門、境内、本殿裏手)
・山田与力らが名古屋へ向かう街道、不明(中〜下流部の河川の左岸、浅く砂が目立ち河畔林が発達)
・火盗が藤屋を見張るのに寄宿する長官ゆかりの方丈寺、妙顕寺(外観は三菩薩堂、スリットから表を覗く建物は庫裏。泊り込みの情景に出てくる回廊等は同所か確認できず)
・三次に声をかける福右衛門、宗忠神社参道〜竹中稲荷本殿裏手(後段、誘いに乗った三次がやってくるのも同所)
・松屋と千代が城の侍に内祝に招かれる料亭、中山邸通用門
・松屋の金蔵を検分してきた吉五郎がおかしらに報告、摩気神社本殿脇「カバー」の木組の下。


第7話 松屋襲撃 1996.2.7

 三次の裏切りに物思うおかしら、しかし断は厳しい。火盗の動きは完全に読み、またまた「荒事」で封じる。そして鮮やかな松屋襲撃、解散に向けて次なる仕事が待っている。

ロケ地
・火盗の宿舎・方丈寺、妙顕寺三菩薩堂
・治平が千代に三次の件を伝える庭、梅宮大社神苑
・六之助やおもんがいる海辺の盗っ人宿・笠屋は撮影所セット(小兵衛の家)琵琶湖湖面を合成。
・ツナギを受けたおもんが旅装で出るのは琵琶湖西岸河口州
・州走りに三次の処断を命じるおかしら、広沢池池底
・三次を始末し、尾行していてた火盗の密偵も殺る州走り、広沢池北西岸湿地。
・三次の「女」が佇む海辺、琵琶湖西岸砂浜に漁具あしらい。
・夜釣りのおかしらに一党への手配りが完了したことを報告する吉五郎、大覚寺大沢池汀。
・雲霧が松屋を襲ったと聞き激怒する福右衛門、琵琶湖西岸に茶店セット。
・名古屋を発ったおかしらが花嫁行列と行き会い微笑む街道、琵琶湖西岸河口州・河畔林沿い。


第8話 まわしもの 1996.2.14

 金遣いの荒くなった岡田与力は妾宅を嗅ぎ付けられ、決定的に疑われてしまう。二段構えだったツナギも露見、用済みとなった「裏切者」はおかしら自身の手によって始末される。

ロケ地
・江戸へ戻った吉五郎が船でゆく運河、八幡掘
・治平とおもんが営む茶店の離れでのツナギ、西の湖(室内から水辺を見るふうに仕立ててある)
・千代に足を洗うよう諭したあと外へ出たおかしらが凭れて沈思する水門、大覚寺大沢池水門
・岡田とツナギをとる市ヶ谷八幡境内の料理屋・万屋、走田神社社務所門。
・煙管屋でツナギ役をしていた利助が保身をはかった岡田に斬られたことを報告する吉五郎、大覚寺大沢池堤
・ラスト、橋上に立つおかしら、石清水八幡宮下・大谷川の安居橋


第9話 不知火の勇五郎 1996.2.22

 寄場から脱走するも捕まり獄死した男が安部式部に似ることを奇貨とし、雲霧に罠をかける火盗。脱走の際出回った人相書きに、お救い小屋で親切にしてくれた青年を見る千代、その思い出が彼女を窮地に追いやる。

ロケ地
・脱走した勇五郎を仲間にしてはとおかしらに提案する千代、石清水八幡宮下・大谷川安居橋
・州走りが治平親子に勇五郎の件の連絡を依頼する川端、渡月橋下河川敷。
・呼び出された勇五郎が雲霧に会いにやって来るお堂、妙顕寺三菩薩堂(縁先や縁下も使用)
・捕まった千代とさらってきたお京と粂蔵の交換が行われる州崎十万坪、木津川流れ橋(橋桁なし)と周辺の河原。逃走し船で川をゆく雲霧、千代が勇五郎との思い出の鈴を捨てる川、木津川


第10話 拾った娘 1996.2.28

 岡場所の朝帰り、行きがかりで助けた娘が自分の子かもしれない吉五郎。その娘の窮状を救うのに雲霧発動、余裕のおつとめをしてのける。そして娘を道具に吉五郎をハメた者どもにも、茶目っ気たっぷりの制裁が下される。

ロケ地
・「三足の草鞋」を履く相模の文治のことを話すおかしらと吉五郎、広沢池北西岸
・昔なじみの七三と吉五郎が語り合う料亭、大覚寺大沢池越しに望雲亭を眺めるふうにしつらえた「室内」。
・吉五郎に生きてるとたまにいい事があると昔語りのおひさ、広沢池池底
・六之助がおひさ親子を送ってゆく船、大覚寺大沢池(背後に水門)


第11話 おかね富の市 1996.3.6

 雲霧一味の引き込み・富の市がわりない仲になった女は別口の引き込み女、許されざる恋は二人の心底を見定めたおかしらの采配で成就する。

ロケ地
・火盗の手下が凶盗に行き合わせる、今宮神社東門(盗っ人が押し入った店は一和)
・ターゲットの井筒屋を見遣り吉五郎の報告を聞くおかしら、八幡掘明治橋(橋たもとに茶店あしらい、橋上から移動して話は続く)
・火盗の手下が張り込みの屋台、大覚寺放生池畔、ターゲットは放生池堤を来る。
・おかねが助三に図面を渡す道、仁和寺観音堂脇、水場下。
・仕えていた首領が雲霧に始末され、おかしらの前に引き据えられるおかね、西の湖畔。
・助三を討ち果たすおかねと富の市、大覚寺五社明神と周辺(心経宝塔、大沢池に「作った」桟橋)
・楽しげな徳の市夫婦を見て帰りのおかしらが佇む橋、八幡掘明治橋


第12話 引き込み 1996.3.13

 雲霧の仕事を横からかっさらう急ぎ働きの凶盗に、おかしらの鉄槌が下る。血も涙もない凶賊の首領を名悪役・亀石征一郎が演じる。

ロケ地
・和田屋に押し入った凶盗の件で協議の雲霧一党、窓から錦水亭東屋を望む「室内」を拵え。
・凶賊に絵図面を売った大工が州走り来るにパニック、仁和寺九所明神
・凶盗・血桜の銀蔵がお宝を隠匿している上駒込村猿田彦神社、走田神社(銀蔵が雲霧に所を吐かされる段では夜景、張り込んでいた火盗の前に銀蔵入りの駕籠がやってくる段は昼間の本殿前)
・嫌疑が晴れ故郷へ帰る和田屋の番頭を見送る千代、大覚寺放生池堤


第13話 お盗め前夜

 いよいよ最後のお盗めにかかる雲霧、しかし火盗の手は着々と迫っていた。
おかしらの「兄上」が登場する。

ロケ地
・おかしらのいる雲霧の盗っ人宿、広沢池北東岸民家をイメージに用いる(後段、複数回挿入される)
・州走りと吉五郎がツナギをとる茶店、中ノ島橋たもとにセット。


第14話 雲霧捕わる

 引き込みの富の市の線から火盗の手が回る。絶体絶命の危機に、おかしらに「本懐」を遂げさせるべく小頭と「兄上」はその身を贄とする。

ロケ地
・火盗の配下が踏み込むがもぬけのからのアジト、八幡掘堀端(黒塀の入口)
・越後屋裏の寺を怪しみお京と探りに入り雲霧一党に見つかって斬られる高瀬同心、不明(竹林の向こうに塀、門は小体な唐破風、内側に大屋根の破風)
・おかしらを逃がし火盗と死闘を繰り広げる吉五郎、八幡掘明治橋下堀端


第15話 最後の大仕事

 「兄上」が雲霧として処刑され、六之助はそれが雲霧本人であることを証明するために命を投げ出す。おかしらは侍・辻伊織に立ち戻り、17年の遺恨を痛快な形で見事に晴らしてみせる。

ロケ地
・おかしらの兄上が捕まったことを知らせに走る州走り、西の湖畔か。
・お堂に端座し刀をあらためるおかしら、大覚寺護摩堂(子安村とテロップ)
・侍のなりに改めたおかしらがゆく道、不明。
・元辻家の郎党・定七がゆく街道、不明。
・定七がおかしらに藤堂藩国家老が猟官運動資金一万両を持ってやって来る日にちを伝える野末の塚、大覚寺天神島(大木の根方に石仏あしらい)。ここに挿入される石仏のイメージ、化野念仏寺石仏群。
・藤堂藩国家老の行列が通る街道、広沢池西岸農地
・「兄上」の唐丸が入る小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門
・「雲霧」の処刑が執行される小塚ッ原、すだく群衆をよそに林の中で千代に別れを告げるおかしら、下鴨神社池跡
・藤堂藩家老の行列をつけるおかしら、不明。その途次お堂で沈思黙考するおかしら、鳥居本八幡宮舞殿に壁セット。藤堂藩の行列を襲うおかしら、不明。一万両が捨て置かれる薩摩藩邸、大覚寺大門
・「兄上」と吉五郎と六之助の卒塔婆に祈る千代、二尊院墓地
・茶店で休む安部式部に煙草の火をせがむ「おかしら」、南禅寺僧堂坂
・おかしらを待ち続ける千代が営む門前の花屋、二尊院紅葉の馬場

* 13〜15話は本放送時放映されず

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ