必殺仕事人 V 旋風編1986朝日放送/松竹

キャスト
中村主水/藤田まこと
鍛冶屋の政/村上弘明 夜鶴の銀平/出門英
西順之助/ひかる一平 便利屋お玉/かとうかずこ
与力鬼塚/西田健 田中熊五郎/山内としお 千代松/遠藤太津朗


第1話「主水エスカルゴを食べる」1986.11.7

 主水は埋立地の石川島百軒長屋番所へ左遷、規約違反のリサイクル屋をたしなめに行くと裏稼業をブチまけると逆に脅される。女は虎の娘と名乗った。

 ロケ地、左遷を言い渡されクサる主水が奇妙な殺しを見る橋、中ノ島橋(殺られた男と鶴が堰堤上の湛水域を流れてゆく。主水は背割に降りている)。その男の兄弟が銀平にお礼参りの浜辺、琵琶湖東岸(お玉が虎の娘と名乗るのも同所葦原)。上総屋の非道を奉行所に訴え出て叩き出された大工がクサって石を投げる、大覚寺放生池堤。上総屋の用心棒に斬られるのは五社明神
*主水「復帰」はツナギの場に順ちゃん連れでぬぅっと入り小判を掴む。普請方組頭(中田浩二)を斬ったあと用心棒に追われた主水が仕事場に闖入、のかたちで政登場。


第2話「りつ、ハウスマヌカンになる」1986.11.14

 大奥がらみの事件。娘を差し出して大奥出入りを目論む版元の大旦那、邪魔な婿を始末するのに無関係な女を巻き込んで不義密通を成敗に持ってゆく。女の幼い遺児が香典を差し出し「仕事人を、母の恨みを」、こういうのに主水は弱い。

 ロケ地、お志麻が襲われる川端、広沢池東岸。銀平が鯉を刺して道具の具合を確認の船着き、広沢池東岸に船着きをセット。真珠院とつるむお小姓頭・水野久三郎邸、大覚寺大門。順ちゃんが聖古堂親子をバズーカで木っ端微塵、大覚寺勅使門橋(足止め役のお玉はひらりと飛んで橋の下)
*冒頭主水の馬鹿な睡夢、金きら衣装の主水が田中と鬼塚に左遷を言い渡して哄笑。


第3話「主水、殺人ツアーに出かける」1986.12.5

 馬鹿殿を討とうとはかる校倉藩の有志、彼らの一部が百軒長屋に雌伏。江戸へ向かう藩主を街道に討つ計画は頓挫、構っていた藩士の一人が討ち死にするのを見たお玉は足し前をした頼み料を置き主水らに頭を下げるのだった。

 ロケ地、魚屋と薬の行商人に化けた校倉藩士がツナギをとる川端、広沢池東岸(魚屋の直吉が斬られて船着きからドボン、銀平の操る船が来かかる)。校倉藩主・稲葉備前守の行列がゆく熱田・宮宿手前の街道、琵琶湖・舞子浜松原手前の道(後段、沿道の娘に悪さをするくだりは浜に近いところ、背後に高島の岬が見えている)。直吉がお玉に別れを告げ押し花を渡す、広沢池東岸。大山まいりの長屋衆に紛れ仕置に向かう仕事人たち、谷山林道各所をたっぷりと使って(切り通し、頂上作業場、分岐道、両側切り通し等)
*馬鹿殿は菅貫、僅かな尺で狂態を熱演。


第4話「せん、りつ、カチンカチン体操をする」1986.12.12

 苛政が敷かれる村から銀平の昔の恋人よりSOS、女は銀平の裏稼業を知っていた。銀平が武州の村へ赴くので半ば旅もの、仕置は江戸で。

 ロケ地、武蔵国日の坂村総代・青木伝右衛門邸、民家長屋門。総代の妻女・お滝の文を見て銀平の回想する嫁入り行列、七谷川畔の農地か(河畔林と思しき竹林が見える)。お玉が船宿のおさきに銀平の行方を聞く、中ノ島橋たもと(右岸)。日の坂村、隠し米摘発の八州、萱葺民家と周辺。百姓らが直訴の相談をぶっていて摘発される鎮守、鳥居本八幡宮(舞殿、石段)。屋敷から逃げたお滝を捜索する八州の配下、下鴨神社糺の森(政とお玉が助け舟)。銀平がお滝を連れ逃げ回るルート、酵素河川敷と降り口〜萱葺民家(草鞋を貰う)保津峡落合河口(筏製作)・崖道・落下岩・保津峡(筏で逃走)・保津峡左岸巌(背に矢を受けたお滝が死亡、銀平に「仕事」を依頼)
*順ちゃんのバズーカ、代官邸の門吹っ飛ばしにも使用。


第5話「主水X'マスプレゼントする」1986.12.19

 天草四郎ふうザビエル襟のエセ伴天連青年に騙された長崎の大店の娘、「弾圧」から逃れた際約束した江戸で会おうとの約束を信じ健気に働くが、恋人はキリシタン摘発ナンバーワンの長崎奉行だった目付役とグルで、江戸でも悪事を重ねていた。

 ロケ地、伴天連青年・宗次郎がこっそりミサをひらく荒れ寺、大覚寺聖天堂(近くに崩れ土塀あしらい)。酔漢にからまれるお小夜を助ける銀平、広沢池東岸。失踪した娘を捜す西田屋の使用人、大覚寺放生池堤。娘が恋人と入水、堤前の大沢池(宗次郎が止めに入る)。来合わせてこれを見るお小夜は木戸の前。宗次郎のためミサが開かれる合図の凧を揚げに河原へ来るお小夜、罧原堤下河原。宗次郎が目付宅に入るのを見るお小夜、中山邸門、参道。


第6話「主水バースになる」1987.1.9

 凶賊とそれに寄生する旗本がターゲットのお話。冒頭から阿呆な理由で主水不在、仕方なく残ったメンバーで仕事にかかるが、目指す相手の屋敷にはやっと江戸に帰ってきた髭ぼうぼうの主水が来ているのだった。

 ロケ地、凶行のあと一年雌伏していた賊と御庭番組頭が密談の屋形船、桂か。薩摩のイメージカット、噴煙を上げる桜島は本物、鶴丸城は伊賀の上野城天守(鶴丸城は天守の無い館作りの典型例なんだが)。将軍の印籠を城内の蘇鉄の根方に埋めるべく潜入の主水、藩士に混じって入る城門は知恩院北門。お玉が賊の手下を騙して連れ出し、鶴とバズーカで仕置の川端、広沢池東岸
*主水は将軍の密命で薩摩行きを強要される設定、船倉に監禁されているので髭伸び放題のさまが「ランディ・バース」。


第7話「主水、せん、りつ、ダブルベッドに寝る」1987.1.16

 カピタンに抜け荷の協力を求める悪徳商人と旗本、断られるや殺すという乱暴な展開。この恨みを晴らすのが仕事で、カピタンの娘・マリアに関わった主水は感情入りまくり。無茶な展開をおぢさんの純愛物語に仕立ててある。

 ロケ地、オールセットで外へは出ず。
*オランダ商館長親子だが、使用言語はなぜか英語。舌っ足らずの「モンドサーン」はけっこう可愛い。酒に毒仕込まれて殺されるカピタンの「ドリンク?」もなんだかアレだけど、中村家ギャグを締めにやって来る商館の使者の「ヒョー、ショー、ジョー」がもっと笑わせる…元ネタは大相撲の千秋楽でいっつも出てたパンナムの極東支配人。


第8話「主水、コールガールの仇をうつ」1987.1.23

 題名通りのお話、家のため身売りした女の、あまりにも気の毒な運命を描く。彼女に言ってはいけない一言を発したと、政が亭主を非難し「依頼」に拒否反応を示す一幕もあるが、銀平の「証言」であっさりGO。

 ロケ地、主水に身の上を語るおむら、大覚寺護摩堂(実家近くの観音様境内、堂裏手に身売り直前植えた心の支えの木。持ってきて置いただけのものなので、縊死のくだりでの吊り描写はなし)。騎西屋たちへの仕置、タカマチの陣取りをしている夜の神社境内、下鴨神社河合社鳥居際。バズーカで仕掛けたあと、出役してきた鬼塚さまたちの目をごまかすため主水が中へ誘い込む際、門も使用。
*おむらに目をつけ亭主をハメる香具師の元締・騎西屋に牧冬吉。接待を受けた鬼塚の口から「民活」なんていう言葉が出る。


第9話「主水、りつ、ラブホテルに行く」1987.1.30

 大金をとって牢から罪人を出す逃がし屋の話、替玉調達に使うのは出合茶屋。これが「ラブホテル」で、薬で眠らせた客がまぁるいベッドに倒れ伏すと、ぐるぐる回ったのち真ん中がぱかっと開いて下にどすん。忍ぶ仲の男女だから失踪しても大丈夫という乱暴な手口で、百軒長屋の住人の、病の亭主を抱えて身を売っていた健気な妻女がやられてしまう。

 ロケ地、おしのと「客」の男が船で運ばれてゆく、大覚寺大沢池船着(小)。出陣の銀平も同所の水上。
*牢同心とつるむ牢名主に阿波地大輔、スキンヘッドもよく役柄にハマるが、銀平にやられて件のベッドから下に落ちる際も巨体ならではの迫力。連れ合いの女に紅萬子。ラブホ設定はほかに、主水の殺しの際派手な鏡が目眩しに。


第10話「主水、ワープロをうつ」1987.2.6

 年番与力に抜擢された金森は、紙問屋の伊良子屋と組み新改訂の定書百ヶ条を売り飛ばすワル。保身のため用意された書物役の若者はきっちり犯人にされ謀殺、息子のため金森に身を任せた彼の母親も返り討ちに遭い、彼女を憎からず思っていた政は香典を仕事料として置く。

 ロケ地、伊良子屋の口利きで書物役同心になった宗吉を危ぶみ政に話す主水、広沢池池底(水はほぼ抜かれている)。定書の密取引に向かう長州の侍を乗せた銀平の船が着く汀、大覚寺大沢池畔。口封じに消されかけ逃げる銀平、有栖川河床(溢水口付近、御殿川河口の石垣に身を潜める)。伊良子屋と取引の侍たち、大沢池木戸
*書物役の母に大信田礼子。前は花屋だったと政が彼女に話す一幕がある。*金森が南蛮趣味ということで、手動文書運搬機とかヘンな小道具も出るが、法令集からは相剥をとる純和風。タイトルのはラストの中村家コントで主水の夢想として出て、デスクに座った主水が名前を表示させて悦に入る図、オアシスのモニター別のやつ…発売当時は馬鹿高かった。


第11話「主水の隠し子現れる」1987.2.13

 主水の昔の女が長屋へ越してくるが、彼女は賊一味の引き込み女。賊と組んだ南町同心がうまうまと詰所へ持ち込んだ公金3300両を狙っていた。「隠し子」は引き込み女の娘、母子とも惨い運命に落ち後味わるい結末を迎える。

 ロケ地、お島と昔話の主水、舞殿の傍に石鳥居、不明。母の示唆で矢平次一味の盗っ人宿から逃げるお島の娘・お小夜、大覚寺望雲亭木戸。
*お島に中村メイコ、お小夜は主水の子か否かは語らず事切れる。*季節ネタにバレンタインデー、ギフトはハートマーク入りの饅頭で「伴天連の日」。


第12話「主水、ネズミ捕りにかかる」1987.2.20

 仕置にかけられるワルは見世物小屋一座、興行がハネたあとヒヒ爺を集めて素人女を斡旋。女たちの弱味につけこんでピンハネをやらかし、故障を申し立てた者はあっさり口封じという非道をはたらく。一座の下働きの娘に肩入れする政のエピソードが入り、曲折あって「依頼」は死せる彼女から。
*悔悟の念を利用されトラップに引っ掛かって宙吊りになる政のシーン、デカいから見もの。*座頭に島田順司、上方弁で押しが強く「沖田」の面影はナシ。


第13話「主水、化粧をする」1987.2.27

 息子に期待をかける小役人、しかしイマドキのお子は隠れて流行の衣装をまとい化粧なんかしてストリートに。このよくある擦れ違いが、公金穴埋めのための芝居に利用されてしまう。

 ロケ地、高島藩勘定方用人・藤尾の息子の欽太郎が通う聖堂学問所、金戒光明寺東坂(下校風景)。磯春の船でおりんと不倫デートの欽太郎の悪友・千之丞、大覚寺放生池堤に船を着けて。欽太郎を見捨てて逃げてくる千之丞をつかまえ居所を聞くお玉、有栖川・御殿川河床。高島藩の金蔵、明智門を入ったところの。ワルをまとめて始末するため芝居を打ちにゆく主水、高島藩勘定方に注進に及ぶ玄関、式台玄関。仕置に向かう政と銀平が合流しほっ被り(泥棒設定のため)を着ける橋、勅使門橋
*今回も被害者からの依頼は無し、藤尾に思いを寄せていたお玉が、下着泥棒の詫びに貰った金を置く。*まとめて始末は主水の提案、蔵で派手な仕置が繰り広げられる。*せんりつに塗りたくられた主水のお化粧、どこか鬼塚さまに似ていたり。*若者の路上パフォーマンス等の風俗、けっこう凝っているが傾き者というよりは竹の子族。*欽太郎は「スキゾー」山本陽一。


第14話「主水、大奥の鶴を食べて失業する」1987.3.6

 ゴミ捨て場に「落ちていた」鶴を長屋中で分けるが、その鳥さんは大奥で飼われていた御台さまのペットで長屋衆ブタ箱行き。罰金で釈放となるが、その折の奉行所お墨付きのはずの借金は罠、地上げ屋がやってくる。そして政が関わっていた、鶴世話係の大奥女中が真実を暴くのを恐れたワルが襲い掛かる。

 ロケ地、お女中の滝山を城へと送ってゆく政、二条城濠端・隅櫓前。流されかける銀平に手を差し伸べる政、流れ橋橋脚(炎上する長屋はセット、仕事人たちが脱出の川端は木津河原に塀と火事場を演出か)
*ぼうぼう燃えさかる長屋での仕置、やはり火器はヤバかった可哀そうな順ちゃん。彼につきまとってた二人は手入れ段階で逃げたままの模様。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ