銭形平次

520話〜554話  フジテレビ/東映

赤山禅院キャスト
銭形平次/大川橋蔵
お静/香山美子 八五郎/林家珍平
おせん/海原千里 おつる/海原万理 長吉/田渕岩夫
万七/遠藤太津朗 清吉/池信一
樋口一平/永田光男


第520話「天まであがれ鯉のぼり」1976.5.5 50

 浪人しても大殿の恩に報いようと生きてきた侍、家老に因果を含められ辻斬りから道具屋殺しから全て引っかぶろうとするが、彼はたばかられていた。事件解決後は平次の贈った鯉のぼりを上げ、武士の尾を捨てたことも祝う。

 ロケ地、磯村浪人が蝦蟇の油売りをする上野広小路の町角、今宮神社高倉前(平次がやって来る坂は高倉脇の坂、事情を聞く段では稲荷社が映り込む)。釈放後、磯村が腹を切ろうとする大殿の墓前、黒谷か。
*浪人の勘兵衛さんは三上真一郎、髭面。彼を慕いつきまとう芸者は佐野厚子。どケチで強請りもはたらく道具屋は天王寺虎之助、悪家老は幸田宗丸で悪徳札差は潮万太郎。*新しい溜まり場・喜らくはひょうたんを譲り受けた浪花の姉妹が経営という設定で海原千里万理登場。OPはシルエットになり、歌入りEDが消える。


第521話「平次一番勝負」1976.5.12 51

 汚い手を使い二人まで人を死なしめた棋士だが証拠なし、どうでも捕まえるため平次は千両の大勝負をでっち上げて罠を張る。

 ロケ地、娘を亡くし勝負に負けた六助が縊死する池端、赤山禅院境内西端の池端。お静から封じ手を聞き出した菊之助が正体を現す夜道、赤山禅院本殿脇。
*町の将棋指し・六助は汐路章、賭け将棋プロの算哲は菅貫で憎さげな総髪がまたアレ。「弟子」の悪党は平野康、前髪の若衆姿なれどとんだ色悪で女掏摸も手玉にとる。賭けに出資のお大尽は北原義郎、なかなか不敵な顔も見せるが悪人に非ず。平次を指導する棋士・天野宗歩は真部八段(放送時五段)。*算哲を釣るため「平次は五段の腕」と触れ回る役目を貰いむくれる万七親分、平次に勝負を挑むシーンで終るが名人のあくびからすると二人とも大したヘボの模様。八との腕の差については以前の設定をクリアか。


第522話「錆びていた十手」1976.5.19 51

 蛇のようにしつこい凶悪な目明しに見込まれてしまう男女、艱難辛苦を経て幸せに辿り着く過程を、目まぐるしい展開で描く。

 ロケ地、島蔵と事を構え寄場送りになった伊之吉の無事を祈りお百度を踏む芸者・小雪、木島神社本殿(石畳に百度石あしらい)。夜鷹のお柳が幇間殺しを目撃する山谷堀、嵐峡か(殺しは屋形船、汀は土。お柳殺しもその検分も同所。水面が湛水か流水か今ひとつ判らず)。幇間(女たちに金を融通していた)に添え書きを強いた証文を見せ小雪に返済を迫る島蔵、嵐山公園中州(渡月小橋上手中州/渡月亭別館・松風閣西側)。放免された伊之吉が小雪に求婚する水辺、大覚寺放生池堤。屋台の親爺にお柳のことを聞き込む平次、嵐山公園中州下手右岸河川敷。平次に相談にゆくも不在、物思いに沈む小雪の前に現れ悪態をつく島蔵、嵐山公園堀端(中ノ島橋上手中州南側の岸、対岸の料亭裏手が映り込む/祠あしらい)。島蔵とつるむ船頭・源次の船小屋、桂川松尾橋下手右岸汀にあしらい(後段、踏み込みの場面では堤法面を駆け下りてくる平次の姿が見られる)。島蔵に迫られ思い余って二人して大川に身を投げる伊之吉と小雪、堀端は先の返済を迫られた祠あしらいの場所(ドボンは湛水域かプールか不明)、対岸から長吉が見ていて駆けつけ平次と行き会うのは中ノ島橋。水に落ちた二人を捜す平次は中ノ島橋下手中州法面。引き上げた小雪を船から駕籠に移す島蔵(このまま吉原送り)嵐峡(清吉が目撃)。なお二人を捜す平次が聞き込みの川端、嵐山公園中州(先に出た松風閣の西側)、続く捜索場面は中ノ島橋松尾橋下手右岸堤法面と汀(源次の船小屋)
*島蔵は山本麟一、たださえ怖い面構えに向こう傷があしらわれ凶悪そのもの。伊之吉は黒部進、小雪は近江佳世。島蔵とつるむ船頭は有川正治。*喜らくの姉妹にボロクソ言われた万七たちは吉原乗り込み、お大尽を装い内偵するも見せ金の切餅がマジ餅とバレて監禁の憂き目を見るお笑い。


第523話「おいらの親父日本一」1976.5.26 43

 助けられた身投げ女、片割れは死んで見つかるが、女は相手が違うと言い張る。謎めいた展開だが裏にはよくある「男の事情」。事件解決後、女は親身になって面倒を見てくれた父子のもとに行くと決め、新たなスタートを切る。

 ロケ地、尚古堂出入りの経師職人の死体が見つかる大川端、広沢池東岸(靄かかり)。お絹が「心中した相手」の手代が毒殺された木賃宿の主が尚古堂主人に金を貰う夜の神社、木島神社本殿前(張っていた八がぬっと出て捕まえる)
*尚古堂女将のお絹は磯村みどり、主は佐伯敏、木賃宿の親爺は藤尾純。お絹を助けた万年二ツ目の噺家はフランキー堺、こまっしゃくれた倅の新吉は松田洋治。*喜らくでさらっていたりお絹の身元言い訳に使うネタは「たらちね」、これを覚えきれておらず倅に教えられるのが大笑い。父子二人してお絹をマドンナ扱いするへんはフランキーはともかく子役巧すぎ。*お絹のよくせきの事情を聞きだしてくるのがお静というのも憎い作り。


第524話「あの日雨の日」1976.6.2 51

 米問屋を襲った凶賊は、そこを切り盛りする女将が遠い日に親切にしてくれた気風のいい柳橋芸者と覚り、金を盗られたお店が存亡の危機にあると聞き行動に出る。女将が彼を思い出したかどうかは微妙に描き、リリカルに締める。

 ロケ地、手がかりを求め聞き込みに回る平次と八が待ち合わせの茶店、大覚寺大沢池畔にあしらい(ここで顎に傷の長次郎を見る)。金策に疲れたお八重が佇む石仏、大覚寺石仏(見守っていた長次郎が馬子唄を歌いだすのは池畔)。賊を強請った福島屋の手代が土左ヱ門で上がる鎌倉河岸、広沢池北西岸。蕎麦屋台の親爺にお八重の昔を聞き込む平次、大覚寺大沢池堤(見上げ)
*お八重は小畠絹子、長次郎は河原崎長一郎。仲間の賊は森謙二と中庸介。回想シーンで出る、長次郎をボコったやくざの一人は福ちゃん、クレジットには「やくざ 福本清二」と書かれている。*小諸馬子唄は喧嘩を止め世話してくれた芸者のお八重が蕎麦屋台で口ずさんだもの、ラストでは視聴者サービスめいた「平次のはからい」の小道具に。


第525話「盗っ人の遺産」1976.6.9 51

 元のかしらの隠し金を狙った賊だが、ありかを記した大黒様は忠義者の手でかしらの妻子のもとへ。その爺さまが届け先を間違えたことから平次の知るところとなり、悪党どもは一巻の終わり。恋に悩む息子に金が入用と知りつつ、盗っ人の金を受け取らぬおっ母さんが泣かせる。

 ロケ地、京イメージの塔は八坂の塔、三面大黒天境内からの眺めか。老盗・煙の長兵ヱが隠れ住む嵯峨野イメージ、広沢池東岸の萱葺民家。長兵ヱに大黒様を託された千鳥の千造が江戸へ向かう道、大覚寺大沢池堤。千造を追って街道をゆく甚十郎たち、北嵯峨農地・竹林際。長兵ヱの息子・長次郎が恋人・おみのと話す町角は「材木置場」。千造がかしらの女房だったおよしを呼び出し、残された金のことを話す神社、赤山禅院本殿前。悪党どもが見ているのに気付いた千造が彼らを引きつけて去る道は赤山禅院参道境内西側の池端。隠し金のある亀戸天神、不明(銭平428話「おふくろの嘘」や、殿ふら20話で出たアーチ回廊のある建物、広場に四方に柱の砂場)
*手下に惨殺される長兵ヱは原健策、大黒を託される老爺は今福正雄、元長兵ヱ女房のおよしは伊吹友木子、元手下の残忍な浪人は沼田曜。


第526話「あにとおとうと」1976.6.16 43

 グレた兄を顔も見たくないと厭う弟、しかし兄は一身を投げ出し弟が目指すお店再興を叶えてやろうとしていた。

 ロケ地、水茶屋女が殺されて見つかる稲荷、大覚寺天神島(祠前に朱鳥居あしらい)。おせいの墓、不明。
*ならず者の兄は中尾彬、情を殺し彼の計画に手を貸す情人・おせいは藤江リカ、弟は寺泉哲平。別れ話のもつれで水茶屋女を殺めた馬鹿息子は水上保広、倅のためおせいを刺す親父は有馬昌彦。


第527話「八丁堀異変」1976.6.23 51

 抜け荷摘発にかかっていた筆頭与力が殺され、樋口さまの犯行に偽装されてしまう。放っておくはずもない親分の奔走と、冷たい態度の裏できっちり核心に迫っていた渋いダンナの働きで、つるんでいた悪党どもは一気にお縄。

 ロケ地、進藤与力が襲われたり妾宅へ通う道だったり「殺害現場」になるホットスポットの日本橋小網町の荒布橋、中ノ島橋(橋たもとや中州岸、下手の汀等も使われる)。南町奉行所門、大覚寺明智門(周辺設定で参道石橋も映る)。岡場所の女が次々消えている件を平次に報告する八のシーンは嵐山公園・錦の竹垣前。核心に迫る平次を襲った刺客が失敗後稲垣同心とツナギをとる夜の神社、木島神社稲荷社〜本殿前(つけてきた平次が与力に肩を叩かれ)
*稲垣同心は島田順司、抜け荷をはたらく回船問屋は永野龍雄、雇われ浪人は川浪公次郎、グルの小網町の岡っ引は松田明。進藤与力は山口幸生、妾のお葉は町田洋子。進藤の死後筆頭に昇格と目される与力は和崎俊哉。樋口さまが遅れて到着したとき八丁堀会所を出てくる同心に福ちゃんチラリ。*物柔らかで正義感もありそうな優男と、冷たい言辞で人の心を凍らせる強面と、絶妙のキャスティング。島田氏がお下品に豹変する言葉遣いの変わりようも見もの。*樋口さまと平次の琴線を描く小道具に出てくる物集女産の筍…京都から?


第528話「怪盗ざんげ」1976.6.30

 手下が掟を破ったことにより嫌気がさし足を洗った、往年の「本格」の盗賊。被害者の娘を守り育てる一方、貧しき人々に施し仏と称されるが、過去の黒い因縁はきちんと回ってくる。
*ロケなしセット撮り。三箇条を守った賊のかしらで今は仏の米問屋に葉山良二、忠実な部下は灰地順、強請りに現れ娘もさらう悪党は早川研吉。


第529話「死神参上」1976.7.7 52

 出がけから気を揉むお静の予感は的中、出先でとんだ大騒動に巻き込まれる平次。意趣返しを目論む盗っ人の用意は周到、苦戦を強いられるが、立ち向かう者の姿に打たれて助け手は現れる。

 ロケ地、西新井へ向かう平次が六阿弥陀参りの越後屋母子と出会う日光街道、北嵯峨農地・竹林際(もうここから一味の目が光っている)。常楽院へ参る母子、神光院中興堂。参詣後甘酒を喫する茶店は蓬月庵(主は縛られていて応対するのは一味の男・行き先を聞きだし)。渡し場傍のお寅婆さんの茶店、建物は赤山禅院境内西側の池辺にセット、渡し場は桂川松尾橋下手左岸を組み合わせて使用。茶店に来合わせた「侍」にたばかられ母子が捕まってしまうのは走田神社、内陣と石段。八が聞き込みの四番目の与楽寺、不明。
*島抜けの凶賊は五味竜太郎、侍のなりで騙す伝九郎は不破潤、お寅婆さんは野村昭子、十手持ちを嫌う老船頭は近江俊輔。*越後屋母子の旅は六阿弥陀参り、今は移転している寺もある模様。お供は火消し二人。


第530話「風前の灯」1976.7.14 43

 贋金一味を追う平次だが、用心深い首魁に散々苦しめられる。熱出して寝込んでる八をさらったうえ平次に目潰しをかける悪党ども、ぼやける視界を押して捕物に出てゆくくだりはクサいくらいの泣き芝居。
*ロケなしセット撮り。賭場や矢場に潜入、果ては人足に化ける変化が面白い。しかしいくら盛り上げのためとはいえ樋口さま出動遅すぎ。*贋金一味の首魁は高城淳一、配下の浪人は千葉敏郎、矢場女は長谷川待子。荷揚げ人足に福ちゃん(クレジットは福本清二)、潜入した親分に荷揚げの段取りをレクチャー。


第531話「八五郎の約束」1976.7.21 43

 幼馴染の無実を信じてフライング気味に必死で動く八、裏切りに泣くも皆の気遣いにまた別の涙が。役者の特性を活かし意外性を持たせた作り。

ロケ地
・真次が入り浸っていた音吉親分の賭場、西壽寺(石段を上がり本堂脇を裏に回ると賭場という趣向、室内はセット)
*真次は森次晃嗣、持ち味の「被害者面」の変化が見もの。ハメられかける実は忠義者の番頭は北原将光、お馴染みの悪役。手代は林浩久、音吉は天王寺虎之助、代貸は玉生司郎でこのへんはいつも通り。*八を裏切る悪党に珍しく親分の悪罵「どうせ獄門梟し首」。


第532話「女の花火」1976.7.28 52

 平次に一目惚れした岡場所の女は天然系、無知ゆえ仕出かす騒動はあまりにも哀れな結末を迎える。

 ロケ地、朋輩がお夏にアタック方法を示唆する茶店、永観堂池端に床机あしらい。お夏の魂を乗せた灯籠を流す平次夫婦、上賀茂神社ならの小川
*お夏は沢田雅美、彼女の店の女将の元情夫でお手配中の鮫吉は宮口二朗、彼を利用し成り上がった大悪党は外山高士。*万七嫌味パフォーマンス炸裂、つきまとうお夏のことで平次に「あんたあのコの何なのさ」(同年の必殺仕業人にも宇崎竜童がOPナレーションに登場するなど当時大はやり)。お静に余計な告げ口をしに出向くのも大笑い。*ほぼ筋は同じ話が暴れん坊将軍II「おふう恋燈籠」にあり、脚本はいずれも迫間健。暴将の天然さんは東啓子。


第533話「ぶっつけ仁義」1976.8.4 43

 腕っ節つよく気前のよいカッコいい兄貴に心酔する若者、しかし当の兄貴は義理に縛られ恋しい女をむざと死なせた過去を持つ男、そして若者の恋人は兄貴の死んだ女の妹という奇縁。悪党に唆され鉄砲玉をつとめようとしている若者を救いに行った兄貴は汚い手で刺され、男伊達に憧れる若者に裏社会の酷さを示して逝く。

 ロケ地、不良仲間に男を磨くとブチ上げる政吉、上賀茂神社ならの小川畔。ここで「兄貴」秀次郎がチンピラと立ち回りを演じるのを見る際には神事橋北神饌所前が使われる。既に亡き人と知らずおのぶを捜す秀次郎、縋る手をふりほどき別れた場所での回想シーンは相国寺宗旦稲荷裏手。おのぶの墓、金戒光明寺本堂裏手墓地。平次が秀次郎と話すのは経蔵脇。
*秀次郎は寺田農。伊勢屋を消し回船業に触手を伸ばす、秀次郎に義理をおっつける口入屋は加賀邦夫で手下に福ちゃんチラリ、ヒットマンは宍戸大全。若者とおのぶの妹は沢田勝美と市地洋子。


第534話「男の涙」1976.8.11 43

 火付強盗に仕立て上げられかける火消しの青年、裏には恋に泣く女と、女の情夫の強烈な妬心が隠されていた。出世にかまけていた青年は甚く反省、傷ついた女の心を生涯かけて癒すと誓う。

 ロケ地、孝助のライバル・小市をつける平次、一時姿を見失うのは常寂光寺石段上、小市のいる行場や付近の坂は不明。おしんの父の回想、結婚資金が無駄になったと貯めた金を持ってきたおしん、広沢池東岸(親父は魚網を繕い中)。おしんと孝助がいつも待ち合わせをしていた水辺、広沢池観音島(橋が木橋)。おしんと別れてくれと円次に迫る孝助、赤山禅院本殿前。円次がおしんを渡すと約束した池之端の林、赤山禅院西池とほとりの林。
*孝助は佐々木勝彦、おしんは有吉ひとみ、円次は川辺久造。


第535話「俺の十手は俺の手で」1976.8.18 43

 父のあとを継いだばかりの新米目明しは、無謀にもタチの悪い古狸の尾を踏んでいきなり十手召し上げに。しかし持ち前の性格で突っ走り、万七も巻き込み無茶をやらかした末に悪党をお縄、でもお膳立てはほとんど平次なのだった。

 ロケ地、十手を取り上げられ落ち込む直次が遊里から解放され出てきたお豊と出会う橋、中ノ島橋(直次は橋上、お豊は中州法面に佇み)
*直次は北条清嗣、お豊は吉田日出子。悪辣な岡っ引の閻魔の伝蔵は天津敏でつるむ悪徳商人は田島義文。*悪徳商人の企みを看破した親分が入札に罠を仕掛ける段も面白いが、警動で捕まったお豊のため囲い地破りを敢行する直次にシンクロの万七も傑作・たちまち捕まるヘマぶりが最高。お豊と直次の「発展」はなく、姉さん扱いの模様。


第536話「狼の罠」1976.8.25 52

 やはり丙午の女だからと巷間喧しい富商の家つき娘の不幸は、身代狙いの悪党の仕込み。たくさんの人々が巻き込まれた悲惨な事件だが、丙午の女は最初の恋を取り戻し明るく笑う。

 ロケ地、丙午の女を呪った藁人形が打ち付けられ、岡場所の女が縊死する稲荷堂、吉田神社竹中稲荷本殿。三浦屋の婿の心中は殺しと八に話す平次、大覚寺五社明神本殿。三浦屋の娘・お佐和に番頭のことを聞く平次、上賀茂神社ならの小川畔。どんな手を使って心中にと考え込む平次、上賀茂神社校倉脇。平次が知り合いの浪人に頼んで番頭を襲わせる夜道、大覚寺有栖川畔祠前(五社明神)。伊勢崎に葬られた婿の墓を掘り返し死体を見る平次、不明(ありものの墓地)。屋形船で密談する番頭と岡場所の楼主、嵐山公園中州水路湛水域。岡場所でここに女房がと騒いだ清之助が襲われる帰り道、映画村内の広隆寺塀か。清之助の回想、療養に来ていたお佐和と恋に落ちた甲州下部の河原、清滝河原(温泉を表すスモーク演出、設定は「湯川」の下部川か)
*お佐和は三浦真弓、清之助は青山良彦。悪心をもった番頭は宗方勝巳、元武士で柔術の達人設定、親分が頼んだ浪人さん危機一髪の腕前。ラス立ちでもいいだけ暴れるが手の甲に銭ぐっさりでお縄。研いでるのかその銭。*丙午の女を甚く敵視の万七、現場でも悪し様に罵るほか町中触れてあるく執拗さ。おかげで見ている者にも次第に丙午イヤンな感じが。前にさんざんやられた丙午の女の亭主で植田峻が出ていて、笑いをとりにチラ出。


第537話「秘密」1976.9.1 43

 幸薄き娘が掴んだ恋、相手は失踪中の姉の亭主。突然姉が現れ二人の仲を裂こうとするが、嫉妬などではない事情が隠されていた。妹を自分と同じ引き込み女にせぬため、心に傷をつけぬため立ち回る姉が哀れ。

 ロケ地、平次がお照と伊三郎を見かける縁日、今宮神社境内(お照は灯籠に腰掛けて待ち、伊三郎と楼門を出てゆき、八が二人の事情を話す茶店は高倉下にあしらい。ラストシーン、隠居のお供のお照も同所)。賊がツナギをとる町外れ、大覚寺五社明神
*お照は永野裕紀子、姉・お光は黒沢のり子。伊三郎は大竹修造、キャスティングからこいつがクサいと判るが親分の怪訝な表情も笑える。お光が伊三郎を罪に落とそうとして雇った巾着切りは牧冬吉、賊の首領は小田部通麿(髭はなし、浪人)、はじめ意地悪に見えるお照を気に入り保護する隠居は志摩晴彦。


第538話「追われていた男」1976.9.8 52

 己も憎からず思う女の愛を拒む男には、おきまりの「過去」。過ちを恥じ善人に徹してきた仇持ちと、流浪の果て凶賊と成り果てた仇討ち侍との再会が、欲をかいた男に攪乱されさらなる凶事を出来するところへ、正義の銭が飛んでくる。

 ロケ地、平次が浪人に追われる伊勢屋の番頭を見る明神境内、不明(ラストシーンもここ、石段の上に鳥居、豊国廟に似たつくりで本殿の提灯には梅鉢御紋)。吾助が浪人に追いつかれるところへ伊勢屋の娘が駆けつけ割って入るくだり、大覚寺五社明神〜大沢池畔。騒動の経緯が解せぬと呟く平次、休む茶店は大沢池畔に。夜道で浪人に斬られる伊勢屋の娘の婚約者、大沢池畔林間。吾助を池の端に呼び出す浪人も大沢池畔。
*仇持ちで元武士の番頭は長門勇、彼に師範代の父を殺された浪人は北村晃一、浪人を使い婿に納まろうとした手代は武周暢、伊勢屋の娘は八木孝子、万七に捕まり浪人のことを吐く元凶賊一味は西田良。


第539話「平次を狙え!」1976.9.15 52

 平次に召し捕られ獄門となった弟の恨みを晴らすべく仕掛けてくる闇の元締、初手はしくじり次手に選ばれ因果を含められた刺客は、平次に子の命を救ってもらった父だった。

 ロケ地、直七が処刑された鈴ヶ森、酵素か。鉄造が働く普請場、大覚寺五社明神鳥居付近にあしらい。父を待つ正太ははじめ普請場近くの有栖川畔に、溺れているのが見つかる川は桂川罧原堤付近(平次が飛び込んで引き上げる)。入水と見えた御高祖頭巾の女を見かける平次、「女」は中ノ島橋上、平次らが来る夜道は橋下手の岸辺(かなり増水、橋上手の堰や栗石の河川敷も水で溢れている)。平次を襲った女形くずれが土左ヱ門で見つかる千鳥橋下、検分は中ノ島橋たもと。子を連れて亡妻の墓に参る鉄造、化野念仏寺(墓は新墓の間に、辰巳屋一味が出て子を連れ去るのは石仏群囲いの石積脇)。直七の身元を洗い両親の菩提寺・下谷新坂町の宗源寺へ赴く平次、寺の門は不明(柱しか映らず)、辰巳屋のことを話しつつゆく帰り道は金戒光明寺永運院下坂、頬っかむりの鉄造が切りかかるのは長安院下坂、立ち回りは経蔵脇へ移動。
*鉄造は峰岸徹、闇の元締の辰巳屋は武藤英司で手下に山岡徹也。*辰巳屋を油断させるため重傷を装う平次、騙されて真っ青のお静の顔を見張っている手下に「見せる」。この直前に万七が余計なことを言いに来ていて、お静の不安をかき立てているというオマケつき。それでなくとも藁人形入りの菓子折も来てるし。*捕まって自棄になった辰巳屋が子の出生をバラそうとした際にばしっと一撃をくれる親分、タイミングも絶妙。


第540話「わくら葉の女」1976.9.22 43

 正義感の強い若手与力が煙たい悪党は罠を仕掛けるが、それに加え悪党の根城の岡場所にいた女が実母と知れ、悪党はいよいよ調子づく。手柄話をしているところへ乗り込んだ平次も居直られ窮するが、倅を思う母は悪党に突進し我が身を斬らせ「口実」を作りだす。

 ロケ地、出勤途中の松岡与力を襲う般若一家のチンピラ、相国寺鐘楼裏手(兄貴分が芝居の段取りを指示するのは碑の陰)
*松岡与力は太田博之、幼時に大火ではぐれた実母は馬渕晴子、松岡の養母は阿井美千子。身を捨てて我が子の危難を救う実母と、正義を貫くよう勧める養母と、二人の母が泣かせる。本所深川を仕切る大悪党・般若の栄五郎は神田隆、ふだん屯するのは岡場所、ここに「実母」のお島がいて、年食って女郎をお払い箱になったあと飯炊きをしている設定。栄五郎とつるむ筆頭与力は梅津栄。


第541話「人情江戸暦」1976.9.29 43

 濡れ衣を着せられたうえ板前を続けられなくなった男は荒み、いまや強請りが飯の種。しかし彼と駆け落ちしてきた女は、所行を知りつつ一途に思いを寄せる。その腹に子が宿ったと知ったとき男は一か八かの勝負に出て、罪は償わねばならぬものの結果オーライで未来が開けるのだった。

 ロケ地、船頭の房吉が乗せた男女を強請るくだり、屋形船がゆく川は桂川か。お堂で寝ていてヤクザにボコられる房吉(恐喝の報復)大覚寺護摩堂。房吉に金を持ってゆく半田屋の主、御室霊場放生池石橋〜お堂。お崎を呼び出す房吉、待っているのは中ノ島橋上、大金を渡し故郷へ帰れと言うのは橋上手の中州法面、平次が渡って来るのを見て立ち去り。その後お崎と話す平次は橋下の汀。房吉に上方へ行けば板前ができると持ちかけ妊娠を告げるお崎、赤山禅院拝殿前。強盗に入り逃げている元同僚の粂八に飯と着替えを持ってくる房吉、赤山禅院本殿(垣内)。粂八の分も加え大金を半田屋に要求する房吉、大覚寺天神島(祠の「裏」に朱鳥居あしらい)。金受け取りに指定の浅間神社境内、木島神社本殿(粂八が正体を現し、危機には銭)
*房吉は尾藤イサオ、お崎は梶三和子。半田屋夫婦は小鹿番と松村康世、婿養子の浮気騒動が人情劇に。房吉の濡れ衣の元でもあった粂八は山崎猛。


第542話「平次相合い傘」1976.10.6 53

 常磐津の師匠に入れあげる、どこかから赤子を連れてきてお静に丸投げ、「平次も男」とろくでもない憶測が飛び交うがもちろんお調べの一端。色っぽい師匠は、盗っ人の引き回しに立ち会った平次から最期の言葉を聞き出そうとする。

 ロケ地、処刑された盗っ人の女房・お加代の墓、西壽寺石龕脇。サルスベリのある神社を探し回る八、今宮神社(聞き込みは稲荷社前、疲れて座り込むのは石橋)。鬼火の新八が盗金を隠していた鳥越明神、赤山禅院本殿脇。
*師匠は二宮さよ子、ここの飯焚きで正体はアレな爺さんに北村英三、川獺の吉五郎が新八を売ったと告げて死ぬ男は唐沢民賢。*浮気平次にやきもきの周囲が大笑い、万七親分なんか師匠宅に乗り込んで「切れてくれ」とくどくど。


第543話「妹よなぜ」1976.10.13 43

 妹に良かれと自らの結婚も躊躇っていた兄、妹と彼の女と、二人の女が岡っ引としての男を苦しめる。

 ロケ地、平次を待つ八、今宮神社石橋たもとに茶店あしらい。平次は石橋を来る(鳩飛び立ち)。寄場帰りの伝八とおみのが逢引するのは東門前。伝八殺しの検分のあと、源太を問い詰める平次、今宮神社稲荷社脇。
*源太は村野武範、妹は遠藤真理子、結婚を約束していた酒肆の女は富山真沙子、妹にコナかけ・昔の女を利用の伝八は水上保広でヤクザの親分は永野龍雄。


第544話「明日の行方」1976.10.20 43

 金箱を掘り出しに来た盗っ人が白骨死体を掘り当て腰を抜かす椿事からはじまる事件、殺人事件の後始末を引き受けた大工は、吉原女郎を身請けするための金を欲していた。彼があっさり口封じされたあとは、身請けされ女房となった女の悲痛な心情が描かれる。

 ロケ地、冒頭の鐘撞きの寺、不明。備前屋の死体が見つかり平次が訪ねてきたことを「舎弟」に相談におよび斬られる大工、大覚寺大沢池堤・水門そば。
*大工は和田浩二、女房は二本柳俊衣。備前屋の主におさまっていた旗本の舎弟は中田博久、兄の旗本は中庸介。*どうしても生きて大門を出たくて手練手管で客に身請けをせがみ、逃げ出す算段だった女だが相手の優しさにほだされ恋女房に。その男を亡くし、危ないとわかっていて旗本の呼び出しに応じ、はじめ男を騙したことへの贖罪代わりにネガティブな後追いを遂げようとする女に、親分のお説教という寸法。仇討ちに乗り込んだと思い込んでいる八に、夫婦して説明する後付けも入れてある。*髑髏見たあと平次ばかりか八まで食欲をなくすが、絵はけっこう漫画チック。


第545話「屋形舟の殺人」1976.10.27 43

 恩人にして庇護者の夫が実はとんだ食わせ者という薄幸の女が、末には幸を得て江戸を離れる経緯を描く話。視聴者には悪党の正体をちらちら見せて謎解きを進める仕立て。

 ロケ地、由五郎が殺されて見つかる屋形船、広沢池東岸に繋留。平次が由五郎の過去を流人仲間の老爺に聞き込みに行く雑司ヶ谷の農家、亀岡か(萱葺民家、遠景に山なみを控えた広大な田地、イメージのみ)。雑司ヶ谷から帰って来る平次を待つ八、平次が渡る橋は中ノ島橋、八の待つ茶店は橋たもとにあしらい。「南池袋」からの帰りゆえ、設定は神田川江戸川橋あたりか。
*苦悩の被害者面がなかなかの質屋の内儀は岡田可愛、亭主は成瀬昌彦、「心の恋人」から真の夫婦へと結ばれる手代は高峰圭二、島帰りの父は沖ときお。


第546話「男になりたい男」1976.11.3 43

 お調子者の天満の喜ィやんを盛りたててやる平次の人情話、心温まる親分のやりようを見て、とても敵わぬと喜八は笑う。

 ロケ地、迷子になっていた正助の子を拾う八、木島神社鳥居前。板橋への行き帰りの街道、北嵯峨農地か(立ち回りは竹林林床)
*喜八は笑福亭鶴光、彼を手懐け情報をとろうとする鳥羽蔵は溝田繁。殺された元博労と幼馴染四人の人間模様が錯綜する。*万七がフライングして捕まえてきた女形が口汚く突っかかるのを「女形なら啖呵の切りようも」とたしなめる親分が面白い。鶴光の鼻歌ももちろん入っている。


第547話「情の墓参り」1976.11.10 53

 八の失恋話をフレームに描く若い恋人たちの愛の成就、親分は十二年前の町方の汚名を雪ぎ青年の鬱屈を解放してやる。

 ロケ地、おさよの茶店、大覚寺五社明神祠裏の林にあしらい。平次夫婦と八がやって来る段では観月台が背後に映り込んでいる。
*父を冤罪で亡くしお上を恨む掏摸の青年に風間杜夫、恋人のおさよは松岡まり子。冤罪のもとの盗みをはたらき、今また青年を盗みに引き込もうとする悪党は幸田宗丸、手下に白川浩次郎や不破潤。*八の恋ばなしは次の的に映り、再び万七が現れて嘴をはさむお笑いで締める。


第548話「お七は殺しを見た」1976.11.17 43

 親も無く一時悪い仲間に入っていたせいで無実の罪を着せられかかる青年、彼を思う娘のたっての願いで乗り出す平次。思い合うも擦れ違っていた若い二人を結びつけて、事件は決着。

 ロケ地、お七が安二郎と「デート」の大川べり、木津河原。悲鳴を聞いて駆け上がり、死体の傍に茫然と立つ弥吉を見る柳原土手は木津堤、堤法面に木で組んだステップ、堤下には杜が見える。堤道には常夜灯あしらい(後段、お七と八を使って検証する場面もある)。お七の回想、事件前日吹っ切れない弥吉に焦れて安二郎とデートの約束をして場所を弥吉に聞こえるように言った「竹中稲荷」、吉田神社竹中稲荷(舞殿越しに本殿を映して導入、舞殿脇をお七が来て、三叉の石畳脇に弥吉が甘酒の屋台を出している)。安二郎が六造に店に平次が来たと告げるのは竹中稲荷本殿裏手摂社群。土手で殺された越中屋の番頭の墓、不明(黒谷か永観堂か、卒塔婆の様態から浄土宗と思われる)
*弥吉は三ツ木清隆、お七は市毛良枝で目明しの父は陶隆司。越中屋の若旦那・安二郎は大丸二郎、悪仲間の六造は森章二でグルの同心は六本木真。


第549話「闇夜の証人」1976.11.24 43

 証言者もあることから、容疑者を番屋に呼ぶ平次。しかし暗闇の事とて果たして見間違い、裏も取れ嫌疑は晴れて釈放されるが、男は勤め先を解雇されてしまう。以降ねちねちと平次にからみ声高に非を鳴らす男だが、再就職先を親身に探す親分を見て陥落、事件解決の糸口をもたらしてくれる。このフレームアップが主題の話だが、妾殺しの一件も並行して丁寧に描かれ、情話と糠喜びの万七の落胆まで入っている。

 ロケ地、賭場へ行っていたという貴三郎の話の裏を取るためチンピラたちをシメる平次、葦原は木津河原。殺された妾の友人に話を聞く平次、大沢池畔か。
*番所へ引っ張られたのを機に解雇される貴三郎は常田富士男、勤め先の女将は近江輝子、妾を囲っていた駕籠屋の大将は須藤健。


第550話「かんざし変化」1976.12.1 53

 男のなりをして男名を名乗り、棒手振りをしてお堂に隠れ住む娘・捨吉。双親を不幸な経緯で亡くした哀れな娘、親代わりという叔父が更に酷く、やっと掴みかけたささやかな温もりも蹂躙されかけるが、親分の働きで悪党どもにはそっくり報いが返ってきて幸せなカップルが誕生。

 ロケ地、桐生屋の巳之助がチンピラに殺されかける稲荷境内、赤山禅院本殿脇。その襲撃者の紋太が殺されて見つかる柳原土手下、大覚寺大沢池畔。巳之吉が捨吉に家を出る話をする水辺、大沢池(舟着はありものかあしらいものか不明)。捨吉の住まう稲荷裏のお堂、大覚寺五社明神舞殿に壁と扉あしらい(内部はセット撮り)、本殿も映り込む。
*捨吉は村地弘美、桐生屋の若旦那・巳之助は藤間文彦。捨吉の悪い叔父は汐路章、巳之助を害そうとした後妻は町田祥子、情夫で旗本の冷や飯食いは沖田駿一。*奇妙な捨吉を八は「女狐」呼ばわり、事終わって平次宅に挨拶に来た女のなりをした捨ちゃんに尻尾が無いか凝視するのがラストに来てお笑いで締め。


第551話「花と泥」1976.12.8 44

 牢で一緒だった仲間にも忌み嫌われる悪党、窮して縋ってきたその「昔の男」を、目の前にある幸福を捨てて尽くそうとする哀れな女心を描く、重苦しい一話。

 ロケ地、佐和吉が仲間に手形を渡す集合場所、大覚寺護摩堂。手形師を殺され怒ったヤクザが佐和吉たちを追う道、大覚寺天神島朱橋〜祠。黄八がヤクザに殺されるのは「材木置場」。おりんが関所手形を持ってくるのを、二人の思い出の場所である深川稲荷で待つ佐和吉、上賀茂神社ならの小川畔梶田社脇。
*おりんは赤座美代子、佐和吉は富川K夫。おりんを嫁にと望み佐和吉の無理を聞こうとする畳屋は小野川公三郎、岡場所の女将は新屋英子。*暗ぁい話の締めくくりは将棋の勝負ではしゃぐ平次夫婦、八はアテられて拗ねる。


第552話「庖丁がらす」1976.12.15 53

 魚河岸もの、納屋役人の横暴が民を苦しめるおきまりの筋だがさすがに銭平、ビシっと決めた人情話。キャストゆえか、良い意味で芝居がかっている。

 ロケ地、斬首のところを江戸払いで済ませてくれた恩人・明神の吉兵衛の墓に参る滝蔵、金戒光明寺本堂裏手墓地。ゑびす講を前に意地で大量仕入れされた鯛を始末しに、納屋役人と示し合わせ四日市の見張り場へ向かう弥平次らの前に立ちはだかる滝蔵、宇治中州・橘橋たもと(目的地は木更津河岸で橋は江戸橋設定か)。橋上と中州を使って平次や樋口さまの大立ち回り、宇治川先陣の碑や宇治川本流の流れも映り込む。
*滝蔵は中村竹弥、「柳刃の」と二ツ名を頂くが経歴に尾鰭の模様。戻ってきた亭主に剣突を食らわす女房は浅茅しのぶ、父の血を継ぎ花板を張る娘は岩井友美、恋人の魚河岸衆は坂東吉弥。旦那衆を気取るも実態はヤクザの弥平次は山口幸生、強面のセンセイは阿波地大輔、滝蔵のことをたいそうな兄哥と吹き込む旅人は西田良、つるむ納屋役人は宇田学哉。*祝い事に鯛を買えねば江戸っ子が蓆旗と樋口さまをおどかす平次、このくだりでは当時の習俗の薀蓄も登場。


第553話「人形は見ていた」1976.12.22 53

 殺しを目撃してしまった幼女を狙う悪党どもを、怒りを込めて断罪する親分。強殺と見えた一件の裏には色事がらみの恐喝、通底するテーマは「子」。

 ロケ地、お咲が瓦版書き殺しを目撃する川端、上賀茂神社ならの小川畔。その後お咲が一人遊びしつつ辿るルート、金戒光明寺永運院下坂(石蹴り遊び)社家町明神川(笹舟流し)金戒光明寺参道石段(登ってゆく)。瓦版書きに相談を持ちかけていた矢場女に事情を聞く平次、広沢池東岸(夕景)。子供連れを眺め弥助の言葉を思い出すお静、金戒光明寺石段下に露店等あしらい(お咲連れの平次がやって来て束の間親子ごっこ)、お咲の手を引いてゆく平次夫婦は永運院下坂。お咲を拉致したうえ売り飛ばそうとするゴロツキに追いついて打ち懲らす平次、不明(植林杉の山道)
*お咲は服部ひろみ、達者な子役。その母は伊吹友木子、イケズ風味は無し。捨てられて縊死をはかる矢場女は松木聖、孕ませた若旦那の店の番頭は中井啓輔、雇われたゴロツキは五味竜太郎で手下に福ちゃん。病を得て平次や万七に助力を乞う金網町の目明し・弥助は林孝一、後継の養子・佐吉は火野正平。血縁の子を持たぬ弥助の嘆きは平次夫婦に愚痴るのみで、尽してくれる養子との確執等は描かれず。


第554話「銭埋む…百三十五両」1976.12.29 44

 用心深い賊が知り合いの軒先に隠していた盗金、そこには贋金が含まれていた。目先の盗っ人を措いても捕えるべき大悪党を求める経緯が、推理ものと人情話をからめて展開される。

 ロケ地、倅が見つけた盗っ人の隠し金について、かねて倅が説法を受けていた寺の和尚に相談に行く大工の親父のくだり、「乗楽寺」山門は神光院山門、庫裏が覗いている。
*盗っ人は黒部進、贋金作りの富商は北原義郎、捕物好きの和尚は太宰久雄、正直者の大工は三角八郎で女房は正司照江、達者な子役は松田洋治。*贋金は符丁だったり、包まれていた裂れが「出袱紗」など、小物にも凝る。


銭形平次 表紙


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