銭形平次

625話〜652話  フジテレビ/東映

竹中稲荷キャスト
銭形平次/大川橋蔵
お静/香山美子
八五郎/林家珍平
お照/春日照代 三吉/春日三球
お京/久永智子
万七/遠藤太津朗 清吉/池信一
榊兵助/下塚誠 樋口一平/永田光男


第625話「わが子わが女房」1978.5.31 63

 侍の身勝手な都合で引き裂かれる親子、事情を呑み込んだ親分は、自棄になっている父親を励まして家族の縁を結び直し、無理を通そうとするお大名の御家老に啖呵を切る。

ロケ地
・おそでを屋形船に呼び出し母子とも城へ戻るよう迫る丸岡藩筆頭家老、広沢池東岸
・家に寄り付かなくなった宇吉が佇む水辺、中ノ島橋たもと堀端(中州側・堰堤脇)。橋をゆく親子連れを眺めやるところへ、倅は御落胤と吹き込んだ源三が声をかける。
・丸岡藩上屋敷、大覚寺大門
・そでの告白を聞く平次、大覚寺天神島
・口封じされた源三の見分を終え帰る平次に同道を求める藩士たち、大覚寺大沢池堤
・子を連れて来いと指定の真野(まや)神社、赤山禅院本殿前。
・事後、平次に非礼を詫びる榊同心、今宮神社境内。宇吉一家が縁日に来ている。
*宇吉は剣持伴紀、おそでは夏純子。渡り中間くずれの源三は柳原久仁夫、御家老は永井智雄で切腹。


第626話「見習同心心得帳」1978.6.14 64

 榊同心の父が手掛けていた、迷宮入り事件が蒸し返される。邪魔者を消したあといそいそとお宝を頂きにやって来る悪党だが、そのとき既に全ての悪行は暴かれていた。

ロケ地
・大仙和尚の寺、金戒光明寺本堂裏手(墓地越し)
・福山藩を退転した浪人二人が住む長屋、裏塀を大覚寺五社明神にあしらい。長屋の井戸から通じる抜け穴の出口はここの祠という趣向。
・家老と比佐乃が密会の屋形船、大覚寺大沢池
*榊同心に善人面を見せる家老は御木本伸介、グルの悪女は磯村みどり、浪人の一人は武周暢。家老宅の中間は西田良、金を取りに行く際連れている手下に峰蘭太郎、和尚は天王寺虎之助。*三吉の「夜も眠れない」ネタまじり与太話にヒントを得るシーンが出てくる。


第627話「兇悪犯護送」1978.6.21 64

 大泥棒の護送に甲州へ出張る親分、そこで知る盗っ人とその娘の哀れな事情。困難な道程のなか、賊も平次に心を開いてゆく。

ロケ地
・石和代官所を破牢した甚五郎が道を聞くと平次で再逮捕の塀際、広隆寺東塀(外側)
・負傷した同心を置き八と二人護送の街道、不明(山道、ここから間道へ/ここに先立って映し出される俯瞰の山里は東映作品で使い回されるもの)
・負傷した八を医者に見せる沢井陣屋、不明(民家長屋門、前にスロープ・母屋も門も萱葺/また又三匹4話でも出たアレ)
・甚五郎を殺そうとした娘・お咲に話を聞く陣屋の庭、不明(建物裏手に池泉?)
・夫を案じお百度を踏むお静、木島神社本殿(舞殿の陰から春日の夫婦が見ている)。
・平次一人で護送のところを襲う手下、保津峡落合落下岩を中心に崖道や河口付近。
・お咲の助けで虎口を脱した平次たち、一息つく谷川は湖南アルプス。以降、榊同心たちが応援にやって来る道に天神川堰堤や河原、大立ち回りはガレ場の崖道付近で。
*甚五郎は財津一郎、彼を母の仇と恨む実娘だったお咲は大関優子。襲う手下は五味竜太郎や福本清三(役名なしクレジット)。欲と保身で手下どもを使嗾していた黒幕の上席与力は沢村宗之助。


第628話「江戸暮色」1978.6.28 64

 榊同心の捕物を鮮やかに手助けした老爺は元目明し、年齢を理由に十手を返上し亡き息子の嫁と暮らす彼のまわりに差す暗い翳。血を分けた子よりも固く絆結ばれた嫁、その顔を曇らせたくなかった老父の哀れな動機が涙を誘う。

ロケ地
・勘助の帰り道、上賀茂神社社家町明神川(東寄り)。洗濯する女たちあしらい。
・深川の酌婦の死体が見つかる柳原土手下、桂川松尾橋下手右岸堤(付近の河原併用)
・勘助の仕事先へ出向き、死んだ酌婦が駆け落ちした昔話をして水を向ける平次、不明(庭、池泉あり)
・勘助の息子に無心された金を渡すおさよ、金戒光明寺三門。その後参る亡夫の墓は同寺墓地。
・喜三が勘助ほ強請る神社、吉田神社竹中稲荷・重ね鳥居下。
・喜三の前に現れる勘助、繰り出した人数と立ち回りの土手は先に出た松尾橋下手の土手と周辺。
*勘助は内藤武敏、嫁のおさよは榊原るみ。喜三は堀田真二、酌婦を囲っていた商人は西山辰夫、おさよに辛く当たる勘助の子らは鳥巣哲生、山口朱実。


第629話「源太の証言」1978.7.5 45

 父が遠流の間にグレてしまった倅、親分の諭しでその父は更正をはかるが、勤め先で悪党に経歴を利用されてしまう。健気な倅の証言が鍵となるが、彼の虚言壁が災いし親分も回り道。

ロケ地
・備後屋の番頭が入ってゆく肥後屋の寮、嵐山公園・錦
・貞吉の処刑が迫り、源太の証言について悩みつつ歩く親分、嵐山公園・中ノ島橋たもと堀端(南岸、竹垣あしらい)。潮汐に気付く場面の橋脚は渡月橋橋脚。このあと漁をしている親爺に橋上から「当日」の潮目を聞く。
・思い余って奉行所へ駆け込もうとした源太が猪之吉につかまり殺されかける町角、相国寺鐘楼。銭にやられた猪之吉が逮捕されるのは碑脇。
*源太は中村英生、父の貞吉は土屋嘉男。御用達を狙っていた悪徳商人・肥後屋は北原義郎、彼に通じていた備後屋の番頭は唐沢民賢、殺し屋の猪之吉は山本一郎。貞吉を再雇用する肥後屋の娘は吉沢由美子。


第630話「ドジな男の子守唄」1978.7.12 65

 名岡っ引のあとを継いだはいいがしくじり続きの情けない男、そんな彼に愛想をつかし男と逃げた女房が大した御新造ぶりで立ち現れるが、彼女はとんだ悪党に囲い込まれていた。

ロケ地
・志斗吉が波切一味のアジトと「誤報」をもたらした「賭場」、神光院中興堂
・平次が志斗吉を諭し覚悟を迫る町角、吉田神社竹中稲荷本殿裏手摂社。
・子を負って聞き込みに回る志斗吉が休む川端、桂川畔か。
・志斗吉の家を窺ってきたお仲が乗り込む屋形船、大覚寺大沢池船着きに繋留、出た船は大沢池堤を背景に池上を行く。
・志斗吉がお仲を呼び出す妻恋稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿(扁額もちゃんと「妻恋稲荷」に変えてある)
・波切一味がアジトにしていた元炭問屋の寮(崩れ橋近く・新堀町)大覚寺望雲亭(対岸から見て船が舫っているさまも映す/前庭での立ち回りが船に移動)
*志斗吉はなべおさみ、逃げた女房のお仲は北林早苗。実は凶賊だったお仲の駆け落ち相手は入川保則、手下に森下鉄朗や小峰さん。志斗吉に惚れていた千駄木の農家の女は佐々木梨里。*稲荷のほか、セット内に常とは違う土盛を入れて「妻恋坂」を演出。


第631話「殺しを頼んだ女」1978.7.19 65

 跳梁する殺し屋の捕物と、仇討ちにまつわる哀話をからめた話。頑なな武家女が、土壇場で情にほだされ親分を頼るさまが涙もの。ガードの固い殺し屋との丁々発止も面白い。

ロケ地
・殺し屋がツナギに使う「御籤の木」、今宮神社稲荷社
・栄吉が墓守をしている墓地、永観堂墓地。栄吉が供養のため彫った地蔵をあしらい、小屋はありものか不明。
・栄吉と菊代が本物の伝六に殺されかかる八幡浦の林、不明(樹種さまざま)
*仇討ち姉妹は赤座美代子と新海百合子、仇で元侍の栄吉は香山武彦。見かけ上の殺し屋・伝六は松山照夫、船宿の親爺は北村英三。よけいな真似をして捜査を引っかき回す飴売りは島米八。伝六が出入りする千住の賭場の中盆に福ちゃん。


第632話「土俵に賭ける二人」1978.7.26 65

 とんだ血腥い事件に関わりあい、躓きかける取的の青年二人。手口の惨さゆえハナから彼らの仕業と思わぬ平次の奔走で、二人は再び土俵に立ち未来に向けて歩みだす。

ロケ地
・金貸しの治兵ヱが殺され顔を潰されて見つかる神社、今宮神社。東門内外を使い、発見場所は石橋下の溝、安五郎が通りかかる際にはかざりやの暖簾越しに門を見る←茶店の行灯あしらい。
・恋人のお紺と会い治兵ヱのことを告白する源太、蓮華寺五智如来像前。
・安五郎と源太の元親方の娘の回想、治兵ヱに返済を迫られ安五郎が突き飛ばした水辺、広沢池か(静水、汀と水面しか映らず)
・お紺の里の浦安さして逃げる源太に追いつき説得する平次、北嵯峨・竹林の道。
・高飛びの「治兵ヱ」を捕える平次、情婦と落ち合うお堂は大覚寺護摩堂
*源太は佐藤仁哉、安五郎は金子吉延、巴川親方は龍虎。治兵ヱは佐田英助。


第633話「万七大いに売出す」1978.8.2 66

 万七親分に青ヶ島左遷の危機、いつものように平次に手柄を譲られ切り抜けるのだが、誤認逮捕のせいで苦境に陥った親子のため自己犠牲を厭わぬ潔さも見せちゃったり。

ロケ地
・町奉行所、大覚寺明智門(平次が樋口さまに青ヶ島行き候補のことを聞く)
・人殺しの子と苛められた与一が自棄を起こして蜆をブチまけるのを目撃する万七、上賀茂社家町・明神川端。
・万七の青ヶ島イメージ、不明(マジ海)
・万七が万助養子の件をかきくどく亡妻の墓、招善寺墓地。
・苛められ怪我をした与一を助ける万七、罧原堤下河原(後段、孝吉が伊豆屋に匕首を突きつけるのも同所)
・伊豆屋の老女に聞き込みの八、招善寺墓地(坂と塀をナメて直上の墓を映す)
*孝吉は亀石征一郎、嫁で伊豆屋先代の娘は島かおり、倅の与一は松田洋治。先代を殺し娘に財がゆくのを阻んだ伊豆屋現当主は早川純一、弟の医者は高橋仁、消される手下は梶本潔。孝吉に秘事を告げようとして殺された爺さまは寺島雄作、瓦版売りは波多野博。*タイトルの「売出す」は、孝行息子・与一が目安箱に投じようとしていた訴状を見た万七が版元に持ち込む「ネタ」、悪い目明しは自分と書いてイイと申し出。


第634話「若君とお京ちゃん」1978.8.9 45

 辻斬りが出没するなか、平次が助けた若侍は桁外れの世間知らず。お家騒動に嫌気がさして出奔した若様と、かすがの看板娘・お京の間に芽生えた思いは、実ることなく終わる。

ロケ地
・花火を見にゆくお京と「幸助」、中ノ島橋下手中州法面(見物衆は橋上に)
・松平邸、相国寺林光院(門そばの植え込みで八が見張り)
・平次の仕込みで悪家老らを誘き出す林、下鴨神社糺の森。立ち回りは馬場で。
*若様は南城竜也、松平幸七郎という名前が笑えるほか、一人称が「余」だったり食事に関してお決まりのギャグがあり、払いに小判も出す。悪家老は外山高士、若君斬殺を辻斬りの仕業に見せかけるため雇われる浪人は平沢彰(主犯格)。若様の傳役の爺さまは村田正雄。


第635話「死者を呼ぶ女」1978.8.16

 イタコ紛いの降霊は騙り、身過ぎ世過ぎの稼業を凶賊に利用されてしまう女占い師だが、根は優しい女で平次の要請に応じ捕り物に協力。博打狂いで金をせびる弟もなんだか憎めないヤツだったり。

*ロケなしセット撮り。女占い師は范文雀、弟は荒木公之。賊のかしらは清水彰で姐さんは八重垣百合、占い師を利用する手下は木村元。頭から占い師を信じホロっとさせる商家の主は山村弘三。


第636話「ひとつぶの涙」1978.8.23 45

 女をめぐる鞘当てと見えた事件に裏あり、榊同心を利用するための涙にもまた裏あり。ネンネの旦那と、辛い境遇を生きてきた女と、双方に配慮する親分の度量が描かれる。

ロケ地
・水茶屋の主が殺されて見つかる薬師堂、大覚寺護摩堂。発見現場は付近の叢、お堂自身は盗っ人の金の隠し場所としてラストに登場、性癖と信心深さが一致しない話がミソの設定。
・水茶屋の主を殺し「入水」した男の土左ヱ門が見つかる弁天池、大覚寺大沢池畔。
*水茶屋の主を殺したと自訴して出るおゆきは鮎川いずみ、榊同心を引っ掛ける際の清純さとバレ後のすれた風情の落差も良し、身仕舞いで見破る榊さんの御母堂は怖し。


第637話「地獄の影」1978.8.30 66

 過去はあるものの今は錺職人の女房として幸せに暮らす女、しかし「昔の男」が平穏を掻き乱す。男は女の亭主を殺そうとして間違い殺人を犯すが、慎重を期して「男」の調書を読んでいた平次は、判り易過ぎる遺留品に騙されない。

ロケ地
・風呂帰りのおゆうと夜回りの榊同心らが行き会う橋、中ノ島橋。この前に榊と八が歩いているのは中州水路堀端。おゆうの悲鳴を聞いて榊らが駆けつけると、男が水路湛水域に飛び込んで逃げる。
・浅吉が桔梗屋に会わせと言われ出向く高田屋の根岸寮、嵐山公園料亭・。この門口で「浅吉覚悟」と叫んだ「男」が桔梗屋を刺殺。
・高田屋の飼うチンピラに殺されかかったあと、その場を逃げたおゆうが走る堀端、嵐山公園中州水路堀端。おゆうが座り込んで己をなじるところへ平次が現れて真実を迫る水辺、広沢池東岸
*おゆうは三浦真弓、亭主の浅吉は鶴田忍。江戸払いになった「昔の男」は阿藤海、平次の回想に登場する姿が納得の荒っぽさで、見ている者も釣り込まれる。ヒヒ爺のうえ強欲な悪党だった高田屋は伊沢一郎、飼われている荒くれの首魁は有川正治でどうやら「昔の男」を消している模様。


第638話「なみだ橋」1978.9.6

 長い年月預けっ放しの娘を突然迎えに来る母、ずっと育ててくれた養母を思い娘心は千々に乱れるが、偶然巻き込まれたアクシデントにより己の真の心を知る運び。

*ロケなしセット撮り、泪橋の甚兵衛橋は映画村の日本橋。盗っ人の話はほぼつけたりで、主眼は二人の母をめぐる相克。*娘は池上季実子、実母は小畠絹子で養母は八木昌子。


第639話「人情女白波」1978.9.13 66

 足を洗って今は船宿の女将の元女賊は、その昔手入れの際に逃がしてくれたおかしらの難儀を見捨てておけず体を張る。その意気に感じた親分は、いたずらっぽい目つきで樋口さまに「忘却」を迫るのだった。

ロケ地
・伝蔵一味を船に導き捕り方から「逃がす」お辰、広沢池東岸
*船宿の女将・お辰は藤間紫、ならず者に威勢良く切る啖呵、おかしらを掻きくどく泣き芝居など独演会状態。三宅島でつとめを終え経師屋で働いていた「おかしら」の六兵ヱは下元勉。女将を慕う船宿の女中と船頭は榊原久美子と水上保弘。嵯峨帝の宸筆を盗られた経師屋は柳川清。高家の殿様は田口計、追い使われた挙句始末される賊・伝蔵は大木正司。高家の家来で福ちゃんチラリ、ラス立ちも。*六兵ヱをお縄にした係わりでテンから疑ってかかり老爺なのもかまわずガンガンに責め問いする樋口さま、ラストのおとぼけとのギャップが笑える。


第640話「通り魔」1978.9.20 66

 追い剥ぎが多発するなか、遂に起こる殺人。しかし強盗は殺しに関わっておらず、大それた行為にはやはり相応の訳が隠れていた。謎を解く鍵は、現場を通りかかり財布を拾ってガメようかどうか思い悩むダメ男からもたらされ、彼のがちゃがちゃ女房が危ない目に遭ったり。

ロケ地
・祝言を間近に控えた地主の娘が殺されて見つかる深川木場の材木置場、斉宮神社内外。殺しがあったことも知らず半助が財布を拾うのは境外の玉垣際。娘が倒れているのは境内の碑そば、玉垣は現在外塀南西角に残るものが東側に続いており、今ある塀は撮影当時にはなかったことが境内からのショットではっきり判る。もちろん、いつもの「材木置場」は蔵等もはっきり映り込んでいる。
・殺された娘と深い仲だった船頭に話を聞きにゆく平次、広沢池東岸。背後に船宿見立ての「料亭」が映り込んでいる。
*稼ぎが悪く女房に尻を叩かれまくる半助は小鹿番、文句言いまくりの女房は有崎由美子。殺された娘と結婚する筈だった金貸しは小野武彦。*半助の商いは鼠除けの猫の絵売り。劇中売れたのはかすがの亭主にのみ。


第641話「生きる」1978.9.27 66

 ヤクザに執拗な嫌がらせを受け火までつけられた煮売り屋、思いあぐねて訪ねた番所では怪盗さわぎで相手にされず。そのうえ騙りが出て借金まで背負い一家心中寸前のところ、飲もうとした石見銀山の包みは銭がはたき落とす。親分は上の意向に逆らい盗っ人追捕からはずれ、必死で一家を捜していた。

ロケ地
・番所を訪ねたことでヤクザに痛めつけられる与兵ヱ、斉宮神社境内(玉垣外に町衆)
・万七が与兵ヱを追い返したと聞き後を追い聞きまわる平次、松尾大社楼門脇塀際(くぐり戸前、外側=北側)
・お京が食事をしに来た与兵ヱ一家の様子が変だと平次に注進に来る町角、松尾大社本殿(万七や榊がやって来る場面では舞殿や本殿庇側面が映り込む)
・与兵ヱ一家が子のため出向く水天宮の縁日、上御霊神社参道石畳に露店あしらい(ここで鼠とり購入)。見当をつけてやってきた平次らが般若一家のヤクザを叩きのめすのは本殿脇。
・前に住んでいた深川の八幡へやって来ていよいよ毒を呷ろうとする一家、赤山禅院境内・石仏前。
*与兵ヱは織本順吉、火事場泥棒を見た際盲いた設定でこれが嫌がらせを受ける因。女房は丘さとみ。巴屋は西山嘉孝、使ったヤクザは出水憲司など。騙りは田畑猛男。長屋で般若一家の嫌がらせを遠巻きに見ている町衆の一人は福ちゃんか←キョドりかたがそれっぽい。


第642話「こころの叫び」1978.10.18 45

 口をきかぬ娘の将来を思い詰めた男は大金を盗み、獄門のところ親分が手を差しのべる。なんとか話をさせようとする親分の真摯な思いは幼女に通じ、人質にされたお玉は乗り込んできた平次の姿を見て「おじちゃん」と、初めての言葉を発するのだった。

ロケ地
・房吉夫婦が娘の快癒を祈る三圍稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿。本殿と舞殿の間の石畳にお百度石あしらい、ここに盗金が埋められている設定。
・平次がお玉に発声練習をさせる茜橋、上賀茂神社ならの小川神事橋
・勤め先の板前に亭主の事をバラすと脅されたおさよが隠れる神輿小屋、大覚寺五社明神舞殿に建具あしらい。
*房吉は石山律雄、おさよは武原英子、お玉は服部ひろ恵。隠し金に気付き悪心を抱く代貸は長谷川弘で子分に江幡高志、彼らと通じる板前は内田昌弘。


第643話「姿なき殺人」1978.10.25 67

 高級料亭の女将殺害は密室殺人、困難極まる謎解きの描写に加え、驕慢な女将がもとで起こった事件の裏が情話として語られる。

ロケ地
・料亭・橋善、不明(入口は坂、山なみが遠望される。玄関脇に宝筐印塔、茶室まわりは竹藪でこれが凶器のポイント)
・板前・小吉が元女中だったお蝶を見舞い散歩する小石川療養所近くの水辺、大覚寺放生池堤。お蝶と別れをさせて小吉を連行する平次、大覚寺大沢池畔。
*小吉は風間杜夫、お蝶は朝加真由美。女将は松村康世、番頭は山口幸生、花板は大竹修造、古くからいる爺さまは今福正雄。


第644話「にせ平次奮戦記」1978.11.1 67

 冤罪で島流しと決まった男のため奔走する髪結いの亭主、顔が平次そっくりなことを利用し盗んだ十手で岡っ引芝居。彼の存在に気付いた親分は危ういところをフォローするほか、途中から事件を引き継ぎ、権力を笠に着た色魔をやっつける。

ロケ地
・茂吉の難儀に際し甚八が平次の顔を思い出す回想シーン、検分の親分は今宮神社東門。
・甚八のにせ平次に茂吉は犯人でないと吹き込まれた大工が弥七にシメられる川端、上賀茂社家町明神川(道具箱が流されてゆく)
・弥七に怪しまれ窮地に立つ甚八をフォローする八と平次、金戒光明寺永運院下坂
・弥七を呼び出し悪事を指摘する平次、金戒光明寺三門
*甚八は橋蔵の二役、まるきり違う人物を作って見事。尾行シーンのぼやけた顔の人は峰蘭さんかも。彼の女房は岩井友見、茂吉は安井孝で女房は大関優子。殺された娘の親父は陶隆司、悪相でハナから正体まるわかりの悪い岡っ引・弥七は田中浩。


第645話「母娘草紙」1978.11.8 45

 金貸しの鬼婆のもとに現れた生き別れの娘、出自は疑わしく凶賊の影もちらつく。しかしひたすらに母を慕い尽くす娘には聞くも哀れな事情、思いに打たれた「母」は心を開き、看取られて逝く。

ロケ地
・平次がお光に事情を聞く茶店、赤山禅院境内にしつらえ。
・お光が香華を手向けにゆく寺、西壽寺。山門と墓地、榊同心が和尚に話を聞くのは本堂前で石段から見上げ。ここからお光を連れ出す辰造は広沢池東岸(手配中の賊と気付いた榊が誰何するも船で逃走)
・お光の回想、大黒屋へ入り込んだ引き込みだったとお吉に告白された林、不明(崖地?)
・辰造がお光に来いと指定した言問稲荷、赤山禅院。本殿まわりと内陣を使用、万七の危機に現れる平次は本殿縁先から銭投げ。
*ごうつく金貸しは菅井きん、娘と称して現れるお光は松原智恵子。朋輩で婆さんの実子だったお吉は山口朱美、彼女をさらい商売道具にしていた凶賊は千葉敏郎。お光の面倒を見ていた富商は志摩靖彦。


第646話「十手に賭けたお静の命」1978.11.15 45

 臥煙の馬鹿息子のいたずらに巻き込まれたお静が重傷を負わされるが、旗本の権威を笠に着た者どもは反省の色なし。そんななか当の馬鹿息子が誘拐され、親分は今夜が峠という容態の恋女房を置いて出動し、誓ったとおり一同に詫びを入れさせるのだった。

*ロケなしセット撮り。*臥煙の跡取りは住吉正博、なっさけないボンを好演。父の元締は内田朝雄で小頭は原口剛、殿様は西山辰夫、三人ともメチャ偉そう。元締を恨む誘拐犯の元小頭・五郎蔵は木村元、仲間の強面は出水憲司。五郎蔵の回想で出てくるケンカ相手のゴロツキの一人に福ちゃん。*寝込んだお静の代わりにおさんどん平次、トンデモ味噌汁を作る←味噌どさっと放り込み・その辛いのなんのの一件を四杯おかわりする八。


第647話「恩返しのかんざし」1978.11.22 67

 腕はいいが粗暴な錺職人は、拾ってくれた旦那に多大な恩義を感じ任された大仕事に精を出すが、彼は金儲けに便利な道具に過ぎなかった。旦那を信じきり罪を被ろうとするのを知った平次は、正直者を騙した悪党に怒りの十手を振り下ろす。

ロケ地
・松林堂の職人・多平が殺されて見つかる川端、上賀茂神社ならの小川畔、祠脇に遺留品。
・玉野屋でもてなしを受けた和吉夫婦が帰り道に通る思い出の川辺、罧原堤付近桂川畔。玉野屋が喧嘩で怪我をした和吉を手当てしスカウトする回想シーンも出る。
・遺留品の印籠から浮かんだ浪人を尾行する平次たち、浪人が風流を装い大身らしき侍とツナギをとる茶店は神泉苑法成橋たもとにあしらい。見張る平次たちは「平八」側にいるが、背後に竹垣をあしらってある。侍をつける平次、大覚寺参道石橋〜大門(加賀藩上屋敷)
・玉野屋が和吉に金細工を作らせている秘密工房、不明(杉良の遠山の金さん2・第14話で出たのと同じ料亭ふうの建物が並ぶ坂、円山公園内か。設定は根岸付近)
・和吉の女房を呼び出し事情を問う平次、今宮神社楼門〜境内。
・事後、多平の墓に参る和吉夫婦、金戒光明寺墓地。卒塔婆は石段半ば、登ってゆく平次と八のロングの絵では「サイババ」石仏も映り込む。
*和吉は峰岸徹、女房は梶三和子、和吉の友人で禁制品について忠告し消された多平は峰蘭太郎。金物問屋の玉野屋は潮万太郎でハナから胡散臭すぎ、金を横流ししていた加賀藩勘定勝手方は伊達三郎、凄腕の雇われ浪人は宮口二朗。この悪役陣三人が、裏切られたと知った和吉のまわりで哄笑するシーンはあざとくアオリでぐるぐる回し。


第648話「一握りの夢」1978.11.29 67

 父が島帰りなため縁遠い女は、忙しい日々の合間をぬって桟橋に立ち尽くす。「白馬に乗った若様」を夢見る女ごころは色悪じみた凶賊に利用され踏みにじられるが、もとから女の傍にいた良き相手を見出すきっかけになる。

ロケ地
・新シ橋下の船着きに立ち尽くすお新、広沢池東岸。平次らが来かかり船着きを見下ろす新シ橋は映画村日本橋、欄干越しに「池」を見る絵も入れてある。
・お新の勤める茶店へ出向く平次、赤山禅院境内・石仏前に茶店あしらい。呼び出して問い詰めるのは参道。
*賊の虚言を信じ込み手当てして匿ってやるお新は三林京子、いつも彼女を見ていて不器用に幸せを願っていた蕎麦屋の青年は島田順司。お新が匿う凶賊は倉石功、身代わりで捕まる「仙吉」は小峰隆司。仙吉を警戒して固められる木戸に詰める番太に福ちゃん・かなりなアップも見られる。


第649話「奇妙な誘拐」1978.12.6 67

 立て続けに起こる奇態なかどわかしの主は哀れな母、無理押しで我が子を取り戻そうとする女賊だが、最後は娘の幸せのため身を挺する。

ロケ地
・おとしが勤める明神境内の茶店、上御霊神社境内・絵馬堂脇にあしらい。
・連続する神隠しのくだり、目黒今里村の百姓娘が消えた野道、北嵯峨農地・竹林の道。芝金杉の船宿の娘船頭が消えた川、嵐山公園掘割
・おとしの父・兼吉が店を出している町角、今宮神社稲荷社前。
・父が倒れたと騙されたおとしが拉致される石段、吉田神社参道
・おとしは実は拾い子と告白する兼吉、広沢池東岸
・おとしのもとへ行こうとするお竜をとどめ諭す平次、上御霊神社本殿裏手
・お竜をつけてゆく八、広隆寺東塀(境外)〜映画村日本橋へスイッチ。
・お竜の墓、永観堂墓地(振り返った平次の背後に多宝塔映り込み)
*おとしは津山登志子、父・兼吉は浜村純、結婚相手の若旦那は長澄修。お竜は中原早苗、手下の賊は汐路章や岩尾正隆。八が弥惣次(汐路章)の尾行をはじめるくだりで上州屋前を通りかかる大工に福ちゃん。


第650話「十手無情」1978.12.13 68

 巨悪の暗躍で平次大ピンチの話、己の命を狙った岡っ引の名誉を守ってやるため、いかほどの苦境に陥っても耐える親分が泣かせる。

ロケ地
・平次を狙った松吉が始末される夜の町角、相国寺碑(鐘楼裏手)
・松吉の女房を呼び出し書付返却を迫る酒肆の女将、今宮神社合祀摂社前。
・藤三が盗っ人からあがりを徴収する絵馬堂、大覚寺五社明神舞殿に建具あしらい。
・松吉の女房が拉致され捕われる下谷虎仙院、不明(塔頭ふう)
・松吉の墓、招善寺墓地。
*功を焦り闇の元締とつるむようになっていた目明し・松吉は小林稔侍、誤解して平次を憎む女房は江夏夕子。盗っ人の仕事を指図する闇の元締は山本麟一、手下の藤三は黒部進、「ならず者」とクレジットされている手下は福本「清二」←ホントにこの表記。松吉を誑し込んでいた酒肆の女将は戸部夕子、藤三にあがりを渡す盗っ人は唐沢民賢。大の岡っ引嫌いで平次から十手を召し上げる吟味与力筆頭は藤岡重慶、キャスティングとシチュエーションからてっきり黒幕と思いきや、悪党とつるんでいたりはせず最後に「こんどはゴメ」と現れ十手返却・恥ずかしそうにそそくさと去る姿がメチャ可愛い。下っ引で井上茂チラリ。


第651話「狙われた密会」1978.12.20 68

 それぞれ同じ理由で男と忍び会おうとした娘たちが失踪、密会場所に使った出合茶屋は、人さらいが巣食うとんだ魔窟だった。

ロケ地
・仏具商の娘・お縫が出入りの錺職人・柾吉と会い出合茶屋での密会を迫る墓地、金戒光明寺墓地・文殊塔下。躊躇う柾吉をよそに去るお縫は石段をおりてゆく。
・仏具商の縁先でお縫に失踪した備前屋の娘のことを聞く平次、不明(池が迫っている)
・お縫が柾吉を待つ池之端の出合茶屋、不明(647話で出たのと同じ、円山公園内料亭か)。遠景には大覚寺大沢池越しの望雲亭を用い、見張り場面は大沢池畔や放生池堤から切替。
・お縫失踪後、柾吉の妹の下女・お絹に話を聞く平次、庭は望雲亭か。
・お絹が囮になると榊同心に頼み込む町角、不明(幅の狭い石段の下、神社参道か)
・出合茶屋へ潜入したお絹が眠らされ早桶で運ばれるくだり、大八から船に積み替える川辺は罧原堤付近桂川畔。
・娘たちを救出したあと、夜釣りの渡海屋の前に現れる平次、広沢池東岸(ラス立ち)
*お縫は女鹿智子、柾吉は小林芳弘で妹のお絹は清水めぐみ。発展家のお嬢様に振り回される兄妹の葛藤のほか、お絹に鼻の下伸びてる榊さんが出てくる(まだ見習らしい)。仏具商は溝田繁、人身売買の回線問屋・渡海屋は浜田寅彦。


第652話「小唄をどこで覚えたか」1978.12.27 45

 遊び癖のひどい職人にかかった殺しの疑い、亭主のためなら命も投げ出す覚悟の女房がどうした訳か捕縛に力を貸すが、心の底には深い思いが隠されていた。

ロケ地
・芸人くずれの玉助が殺されて見つかる三味線堀、大覚寺大沢池畔・汀に屋形船舫い。
・畳職人・銀吉の仕事先へ聴取に赴くも逃げられるくだり、仕事場の庭先は料亭ふう、逃げる塀際は647話や651話で出たのと同じ竹垣の坂、円山公園か。
・銀吉の犯行と証言した目撃者・彦市をつけるも見失うおかつ、今宮神社高倉脇坂(多数の露店あしらい)
・おかつの行動を危険だとたしなめる平次、上賀茂神社ならの小川畔。
・おきぬを呼び出し約束の金をせびる彦市、今宮神社稲荷社付近。おかつは高倉脇坂を下りてきて二人を目撃。歩きながら彦市に江戸をずらかると話すおきぬ、大覚寺大沢池木戸をくぐり池畔へ。
・彦市が浮く三味線掘、大覚寺大沢池畔。
・浪人に化けた榊がおきぬに仕掛けて身のこなしを見る町角、今宮神社東門そば境内。
*銀吉は清水紘治(紘は本当は糸偏に宏)、釈放時照れてもごもご言ってるのが可愛い。おかつは三島ゆり子、亭主を頭から信じていて訴人は平次に一時預けのつもりの天晴れ貞女。おきぬは山口奈美、表の顔は小唄の師匠で銀吉の幼馴染だが正体は二ツ名を持つ女賊。


銭形平次 表紙


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