銭形平次  140〜157話 1969年

宇治橋芥留杭 キャスト
 銭形平次/大川橋蔵 お静/八千草薫 八五郎/林家珍平
 お民/園佳也子 為吉/神戸瓢介 お弓/鈴村由美
 万七/遠藤辰雄 清吉/池信一
 笹野新三郎/根上淳 樋口一平/永田光男


第140話「春姿一番手柄」1969.1.1 13

 正月早々出た義賊は瓦版屋のネタ芝居、しかし彼らが滞在している芸人宿の主がネタの元義賊・ましら小僧という奇縁。彼の正体は、生き別れの娘の線から平次の知るところとなる。

 ロケ地、万七の決めつけで町方にしょっ引かれる芸人たち、蝦蟇の油売りが捕まるのは今宮神社東門(捕り方門内から)。決まって正月やってくる鳥追いのお春とデートの秀、御所厳島神社(清吉が来て「御用」→逃げられ)。芸人たちが解放されたあとお参りの平次一家、今宮神社舞殿脇に茶店あしらい。
*元ましら小僧の仁助に中村竹弥、彼に恩ある秀に「赤影さん」坂口祐二郎、火事で生き別れた父を探すお春に都はるみ(「好きになった人」を披露)。*カラー作品。


第141話「金色の指」1969.1.8 13

 便りのない姉を案じて江戸へ出てきた娘、その純心さは乱暴者の大工の心を動かす。彼が素直に平次を頼ったことが幸いし「姉」の死の真相が明らかになり、田舎娘を騙して地下工房で強制労働をさせていた悪者はお縄となる。

 ロケ地、おきみが探し当てて額づく姉の墓、不明(設定は深川乗心寺で投げ込み寺、合祀された無縁仏が積まれた墓地と、ならず者が岡っ引を刺す石段が見える)。大工の政蔵が出入りしていた賭場がある正林寺、不明(調べて出てきた平次が小間物屋と行き会う門、塀に五本線で右手にくぐり戸)。墓地で殺しを見て逃げたあと行く当てなく橋に佇むおきみに声をかける政蔵、白川巽橋(辰巳大明神の玉垣や川端の町家が映り込む)。おきみに豊市を面通しさせたあと尾行する八、豊市が入ってゆき見失う民家?裏門、不明。平次と歩く道すがら姉のことを語るおきみ、上賀茂神社神事橋。河内屋が禁制品を投棄しようとするところを誰何する平次、不明(川端に路地と塀、川はちょっとした谷)
*禁制品を秘密裡に製造していたワルは金田龍之介、普段の顔は上品そうだが、地下工房が見つかって踏み込まれた土壇場で爆薬に火を点じて「ざまあみろ」と高笑いするとこはちょっと阿部怪異。*タイトルは工房で疲弊し死んだ娘の指に付着していた金糸の痕跡。


第142話「三千両の恋」1969.1.15 13

 お弓ちゃん悲恋話、踊りのお師匠さん殺害現場に来合わせた彼女は、賊の隠し金をめぐる物騒な事件に巻き込まれる。拉致しようとする賊から助けてくれた青年を憎からず思うお弓、しかし彼は当の賊の手先だった。

 ロケ地、師匠の兄の土左ヱ門が上がる永代、深川木場の船宿・喜仙周辺、瀬田川(雲住寺塀や竜宮の一部も映り込む。建物はあしらいものか既存か不明)。専次に誘われ散歩に出るお弓のシーン、不明(池端と思われる汀、一味の男が二人を注視する鐘楼?もある)。師匠の撥から出た金の隠し場所、お弓を人質にした賊とのラス立ち・向島若宮八幡、木島神社(平次らが潜むのは本殿内陣、賊との立ち回りは舞殿脇)
*お弓ちゃん、専次の正体を平次に指摘されても断ち切れぬ思い、彼の死後も位牌を店に置く女心が哀切。


第143話「いれずみ者」1969.1.22 13

 強突ばりの金貸し殺し、彼に讒訴され島送りになった男が疑われ追われるが、ひとり平次のみ予断をもってせず、真実に行き着く。嘘まじりの話を聞く親分の、顰めた眉がきりりとかっこいい。

 ロケ地、仕出屋の仙造が平次に捜査状況を尋ねる道、不明(低い塀越しに甍、立派な破風に大きな懸魚)。御用の帰りの平次が襲われる夜道、大覚寺護摩堂脇・石仏前。島帰りの由松を追い込む万七、嵐山公園中州側湛水域堀端(由松は堀に飛び込んで逃亡、設定は大川)。妹のお照とひそかに会う逃亡中の由松、大覚寺護摩堂(平次を見て逃げ出した由松を銭で足止めは天神島朱橋たもと)。金貸し殺し一味の浪人が欲をかいた仲間を斬る、護摩堂(ここでラス立ち、強面の浪人が弱っちくて笑える)
*久々のオフにお静を手伝う親分、布団の綿入れするのに手拭マスクが可愛い。お照の保証人を引き受けた話で出る、ぱりっとした衣装一枚も持ってないお静のエピソードもなかなかの情味。


第144話「消えた御用金」1969.1.29 28

 御用の金塊を運ぶ途中の放馬が、身延参りの男たちの運命を狂わせる。金塊を隠匿し何食わぬ顔でやり過ごそうとする男たちだが、果てしない欲が結局身を滅ぼすもととなる。

 ロケ地、逃げた馬の背から御用金が消える下田街道、不明。父が刺されたあと粂吉を呼び出すおきち、禅林寺(永観堂)画仙堂
*おきちに三島ゆり子、万七を追い返す迫力が見もの。甲府勤番支配の切腹を回避し南町に面目を施さしめた親分、八も一緒にお奉行にお呼ばれで、紋付着た二人が可愛い。


第145話「邪魔者」1969.2.5 14

 凍てつくような寂しさを抱えた女は、自分を殺しにやって来た浪人に切所で助けられ、命の価値を噛みしめる。タイトルの「邪魔者」が幾重にも意味を持たされ、妙味を醸すつくり。おこんは弓恵子。

 ロケ地、夜回りの平次が川べりに立つおこんを見かける護岸、高野浪人が仙次を追って走ってくる橋、不明。このあとおこんが実は賊の板倉屋一味に拉致されかかる川辺や、高野が平次を呼び出し殺そうとする「柳川橋」も同所。水に突き出した護岸の形、法面のアール等が鴨川の剣先や宇治川塔の島の舳先によく似る。橋は欄干が木で橋脚はコンクリート、周辺には狭い石段なども見える。


第146話「顔の無い兄貴」1969.2.12 14

 柳原の川っぷちに上がった長持の中の死体が下っ引と大騒ぎ、出てくるのは兄弟の確執と怪しの女。お静姐さんの情に負けた女から真相が割れ、乗り出した親分はもつれていた兄弟の絆を結び直してやる。

 ロケ地、川べりで長持を開け中身に腰を抜かす為吉、宇治川汀(背景に河畔の旅館と槙の尾山)。兄・英造の前に立ちはだかり恨み言を述べ立てる弟・源太、大覚寺五社明神(二人に気付き駆け寄る平次らは観月台前)。源太に英造生存を知りながら黙っていたことを詰問する平次、御香宮摂社脇。お紺が平次らに告白するかたちで回想の英造の仙太殺し、御香宮絵馬所。運び屋の仲間になった英造が、金を運んできた男に十手をかざすも正体は首領で危機に陥る、御香宮本殿(平次や捕り方が出て立ち回りの際には祠も映り込む)。入水を覚悟した英造を思いとどまらせ逃亡を示唆する平次、宇治川畔(観流橋下からの放水が流芯に見える)
*タイトルは中の死体の顔が潰され英造に擬装の件、実は彼に殺された仙太で川谷拓三。


第147話「子供が見た」1969.2.19 14

 強請りたかりのゴロツキ殺し、万七の予断で職人が投獄され、それは違うと動く平次の捜査は行き詰るが、八と芸者の応酬で出た言葉が真実に行き着く鍵となる。
投獄された職人の子が殺害現場を目撃しており、その子の言葉を信じて動く親分と、背を押すお静の会話が泣かせる。

 ロケ地、ヤクザの仁兵衛が絞殺される深川弁天小橋近くの岸、哲学の道・若王子神社の北、宗諄女王墓所前の右岸。宇之助の釈放、大覚寺明智門(待つ妻子は御殿川べり、設定はもちろん南町奉行所)
*殺された仁兵衛周辺を洗う親分、賭場に手入れし捕まえた貸元以下が殺しと関係ないと判っても、ちょっと牢にブチ込んでみるというヤクザ嫌いぶりが笑える。能村庸一氏の著書にあった、野村家と交わした約束通りのコンセプトなことに感心しきり。親分、侍もキライだもんね。


第148話「九尾の狐」1969.2.26 14

 かつて跋扈した凶盗が押し入った商家の三万両の隠し金を狙い再び暗躍、仲間割れの殺しからアシがつくが、悲しい因縁も掘り起こされる。
ご大層な地下隠し部屋にしまわれていた三万両の正体が脱力もの、見てのお楽しみ。

 ロケ地、仕入れ帰りのお千代が清五郎殺しに行き合わせる明神藪の稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿前。平次の追及から逃げたお千代がおみくじを結ぶ御籤堂、今宮神社本殿右翼前(前の梅におみくじ結び)。お千代を稲荷に呼び出した新助が平次を見て逃げ出す石段、竹中神社脇・三高碑への石段。隠し金のある小梅の信太稲荷、竹中稲荷本殿裏手摂社群
*九尾の狐は凶盗・信太小僧の背の刺青、彫ったのはお千代の祖父、この凶賊に両親を殺された泉屋の生き残りが新助という因縁。二人は仇同士と言う八を叱りつける平次、もちろん固く口を閉ざしたまま終わるが、観念して投降した雅扇堂にも情をかけ「娘」に対しひとこと言わせてやるのが泣かせる。一味の盲いた浪人と暗闇対決の殺陣も見もの、賊の下っぱに福ちゃん。*カラー作品。


第149話「胡蝶の印篭」1969.3.5 14

 苦学生が射止める長崎遊学、友の成功を寿ぐ男には隠していた思いがあった。ライバルを蹴落とそうとする企みが親分の働きによって潰える話に、苦学生まわりの人情話をてんこ盛りに添えてある。

 ロケ地、肥前屋押し込み犯の血痕を追って辿り着く川端、宇治川畔。川筋を聞き込む八、網を繕う漁師に聞き込みの川端は宇治川橘島右岸べり(対岸に現在朝霧橋たもとにある屋形)。船の手入れをする男に聞き込みも宇治の中州、歩き疲れた八が護岸に寝っころがる。漢方医・大室道庵で聞き込み出てくる平次、不明(門)。医者へ行ってないなら薬屋かと推理しながら歩く平次が渡る橋、宇治・発電所放水路に架かる観流橋(下を轟々と水が流れる)。探索を終えて合流する平次と八、宇治の中州(対岸に甍)。蘭方医・高野英次郎の塾、御所拾翠亭門。賊の片割れの土左ヱ門が上がる河原、不明(夜景、石礫河原で流れは瀞)。娘の懐妊を知った蕎麦屋の親爺が親子連れをしみじみ眺める川べり、宇治中州
*苦学生・高山に河原崎長一郎、師匠の高野に曾我廼家明蝶。高山の隣人が蕎麦屋親子で、賊と疑われた彼を庇うのにオヤジ黒イカに作って賊のフリしたりするがバレバレ。高山には、行き倒れたところを救ってくれた番太との交流という情話もあり、これがけっこうなトンデモでそのオヤジはキリシタン。通夜の席でヒミツ祭壇開けっぴろげてるけど大丈夫なのかな…。豪放磊落な蘭方医と意気投合する平次のくだりも傑作、ラストには質札つき紋付の笑い話もある。


第150話「謎の供養料」1969.3.12 28

 押し込んだ先で殺される賊、しかしその仏は奪った金を持っておらず、傍には謎めいた線香代の紙包み。金の行方も殺しの謎もすっぱり解いた親分、律儀なオヤジには手厚いケアを施す人情話。

 ロケ地、杉田屋の番頭が持ってきた賄賂入り菓子折りを携え墓参の女将を訪ねる平次、相国寺大光明寺南塀際。墓地も相国寺。殺された賊の片割れが倅を人質に儀助を呼び出す三間堂、相国寺経蔵(この前に挿まれる刻の鐘は本法寺鐘楼・背景に塔、「無宿者狩り」の使い回し)
*元こそ泥のおでん屋のオヤジに谷村昌彦、金ちょろまかしの番頭に牧冬吉、女将に阿井美千子。はじめから死体の凶悪なお尋ね者に阿波地大輔、手配書があまりにそっくりで笑える。


第151話「振袖が泣いている」1969.3.19 2849

 丁子屋の染物が大評判、しかしその振袖を着た娘の袂に火が投げ入れられる事件が頻発。出てきたのは染物の意匠をめぐる怨恨、張本人だった父を諭す息子(峰蘭太郎)が泣かせる情話。

 ロケ地、丁子屋の軒先を借りお情けで暮らす老爺が怪しい眼帯男とこそこそ話す林、下鴨神社河合社裏手。老爺の息子が父を問い詰める神社、新日吉神社本殿裏手スダジイ根方。
*万七親分ちょっといい話×2。お春宅でご飯ひっくり返したのを屋台蕎麦で補填、お春と源次が出した蜆屋から連日山ほど購入。平次に恩を感じる元掏摸の女が、昔の腕を生かして着物放火犯を封じて歩くネタもある。


第152話「投げ銭由来」1969.3.26 15

 平次の得意技のルーツが、悲しい形で語られる。
一見密室殺人に見える現場にあった痕跡から呼び覚まされる遠い記憶、そして怪しい女の立ち回り先には、果たして懐かしい友の姿があった。

 ロケ地、芳松と競い祭りを楽しんだ神田明神、不明(透垣が下御霊神社に似る)。立木に刃物の痕が残る護持院ヶ原、下鴨神社糺の森(芳松との対決も同所)
*芳松に川合伸旺。


第153話「駕籠の中の女」1969.4.2 28

 烏山藩の中揩ェ襲われる事件、無辜の駕籠舁きが斬られたことで乗り出す親分。出てくるのはおきまりのお家騒動、奸物の甘言に乗り恋人を裏切る女や、その身代りに三両で命を投げ出す下女など複雑な綾が入り乱れ、親分の大嫌いな侍の横車がわんさか。

 ロケ地、千住はずれで黒イカに襲われるお峰の駕籠、不明(杉林の地道)。お峰の実家・立花屋の寮、不明(萱葺?の平門に瓦つき、ポーチ脇には幼杉の植え込み)。墓参のお峰が襲われる寺と墓地、金戒光明寺本堂と裏手の墓地。黒イカの元烏山藩士の妹が勤める両国橋の船宿・喜仙、嵐山公園中州料亭・錦。立花屋から帰る浪人・戸上が襲われる夜道、不明(碑に「下かう道」、短いステップや石柵など見える)


第154話「闇夜の短筒」1969.4.9 28

 銃を使った辻強盗は押し込みにエスカレート、手蔓を求めてお静を怪しい道場に潜入させる平次。結局そこに犯人たちが現れお縄となるが、この間お静や八は正体バレて危機一髪。

 ロケ地、辻強盗の路地、不明(石畳の路地、腰に石垣の塀)。斧塚の道場、不明(塔頭みたいな四脚門、入ると細かい敷石の石畳が分岐し式台玄関)
*お静は道場門前で癪起こしたお女中、八は通りかかった医者で髭つきというお芝居で入る。勝手な行動で露見と反省するお静が可愛い。事件現場でいちゃつく夫婦もほんわかお笑い。


第155話「誓いの匕首」1969.4.16 28

 島帰りの佐吉を気遣う親分と「妹」の情話、鉄砲玉に利用された男が再びハメられかけるのを寸前で救う。堅気を装うワルとの狸芝居や、佐吉を誑しこむ毒婦に容赦ない親分が痛快。

 ロケ地、佐吉をお島と会わせる重太がゆく池端、不明(汀に道と塀、お島と会う植え込みに鐘楼みたいな建物の脚がちらり)


第156話「浮世数え唄」1969.4.23 15

 母子再会の情話、養子に出した娘の成長を陰で見る母だが、祝言を契機にきっぱり未練を捨てようという健気さ。しかし彼女の周りには碌でもない男たちがいて、あわよくば大金を脅し取ろうとはかる。

 ロケ地、お駒(水芸の朝駒太夫)が供養の鰻を放す玉姫橋、中ノ島橋。夜にこそこそ外出した小屋主をつける平次、東福寺一華院南塀際〜臥雲橋(平次に出刃が飛んでくる)〜日下門脇塀際(設定は護持院坂)。お駒を呼びとめ十三年前の件を指摘し迫る平次、不明(塀際、五本線)。出刃打ちの元竜斎に自首を勧める平次、永観堂御影堂。脅迫者だった小屋主に迫るお駒、永観堂弁財天(見返りのシーンには「図書館」も映り込むが、現在と様態は異なる)
*欲深好色の小屋主に藤尾純。


第157話「妄執の刃」1969.4.30 15

 平次に捕まり遠島となった男のお礼参り、底無しの悪党の影に脅える、元情婦の哀話がからむ。

 ロケ地、島抜けした辰五郎が着物を奪うため殺人を犯す品川の浜、琵琶湖か(風強く三角波が立っているが、海にしてはちょっと)。島送りの際の回想と、辰五郎らがアジトにする囚人小屋のくだりで出る金杉橋の浜辺、舞子浜か(小屋の向こうに水制か突堤のような石積み、浜のうしろには松原、遠景にけっこう高い山なみ)
*辰五郎に天津敏、徹頭徹尾ケダモノの如きワルで、昔の女が是非もなく自分に従うと思い込んでいる単純さが、思い詰めた女の表情と怖いコントラストをつくる。*この回でお静が交代、予告編の前に新旧お静を脇に橋蔵の挨拶入り。


*放送日時参考文献
「大川橋蔵」丹羽真理子編 2004年ワイズ出版

→銭形平次(大川橋蔵版)表紙


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ