はやと
1969年1〜3月
毎日放送/松竹

キャスト
はやと/里見浩太郎 リキ/中島貢

 悪の組織「幻」と戦う正義のヒーロー、はやと。これは彼のほんとうの名ではなく、世を忍ぶ仮の名。時代設定は戦国を過ぎて泰平の世に移行するあたり、幕藩体制は確立している模様。はやとの髪型が総髪の武芸者ふうで、出てくる女は垂らし髪だったりするし、幕府が諸大名の改易政策を推し進めるという話が出てくるので、家光前後と推測される。舞台は地方藩領が主で、旅もの要素も強い。二話以降は少年・リキがはやとの旅に随行する。白土三平の漫画に出てくる忍者の如き風体のこの子はドラマの根幹に深く関わり、陰に陽にはやとを助ける。里見浩太朗の初主演作で一話三十分尺の子供向け時代劇、モノクロ作品。

第1話 「はやぶさ三段斬り

 新年を寿ぐ町に、はやとを狙って幻一味が現れる。茶店地獄みたいに芸人や通行人が一斉に正体を現しはやとを襲い、以降ずっと休みなしの戦闘シーンが続く。左近が妹を潜入させた赤沢藩の寮へ戦いがなだれ込み、強面雲水の五味龍太郎やくの一の左時枝との死闘が繰り広げられる。

 ロケ地、幻一味が巣食う赤沢藩の寮、勝持寺(導入は東門、以降南門下石段や本堂下築地、茶室下石段など境内を派手に使ってチャンバラ)。秘密を入手した左近の妹・まゆみに化けたくの一がトラップを仕掛ける林、下鴨神社河合社脇。このあとも戦闘はここで続き、河合社裏や池跡に馬場(隼三段斬り炸裂・詳細な説明あり)なども使われる。まゆみが密書を隠していた祠、広沢池観音島(水無)
*騒がしいくらいに連続する戦闘シーンの後には、「正月早々罪の無い子供を…許せん!」のはやとの断罪決め台詞、ちょっと「お説教」くさくて笑える。*「幻」は治まりかけた世を再び乱すため諸大名を周旋してまわる悪の組織、目的は日本征服。


第2話 「死の人形使い

 幻の差し向けるヒットマンは妖術使い、はやとたちが助けた巡礼娘を操り襲ってくる。投宿していた砲術家の老爺は殺され、孫の少年は見事に仇を討つ。

 ロケ地、巡礼のゆかりがならず者に絡まれるのを助けるリキ少年、不明(崖の山道)。リキの家、不明(萱葺民家、曲家)
*妖術使いに江見俊太郎、ヘンな形の人形を用いる。


第3話 「死神浪人

 赤沢藩の殿様を害する企みに加担する幻、当地に入り込んだはやとは、強敵を求め続ける剣士と遭遇する。幻一味に雇われるのも強い相手と戦いたいからという鬼頭一角に木村功、白の着流しで終始ニヒル。はやととの対決シーンは剣技の解説つき。

 ロケ地、道場破りを追ってくる弟子たち、不明(田んぼの向こうに村落、チャンバラは高台。勝った道場破りと一角がやりあう際には溜池のような水面も見えている)。このあと幻の右源太が彼をスカウトする参道?は走田神社に似るも確定できず。リキを連れて野道をゆくはやと、幻一味に囲まれ円陣を組まれちょっとピンチの草原、不明。戦いを終えて赤沢城を見上げるはやと、伏見城天守。赤沢藩関所と周辺の竹林(一角と対峙)、不明。
*はじめ安藤昇かと思った鬼頭一角、声を聞くと紛うかたなき「木更津の元締」。殺陣もシャープでめちゃカッコイイ。*怖い関所がなくなったと百姓に感謝され当地を去るはやと、お城の騒動はどうなったんだよ。


第4話 「魔のどくろ仮面

 食い詰め浪人が手に入れた奇跡のアイテムは髑髏のお面、かぶって念を籠めると火薬が炸裂するわ催眠作用はあるわで、調子こいた浪人たちは強盗もやらかして豪遊。しかしお面の力などではなく、彼らを操って世に騒擾を齎さんとする幻の悪企みなのだった。

 ロケ地、浪人たちが初めて面の力を使うお屋敷の門、随心院薬医門。豪遊して出てくる料亭、不明(萱葺きの門)。二人をつけて面を見るリキ、随心院参道。用済みと幻に消されかかる門、長屋門
*浪人二人が傑作、玉川良一と江幡高志で、のっけから食い逃げ。今回の剣技解説はこの二人を懲らしめる蹴り技など。


第5話 「せむし男の怪

 死体を細工してはやとの顔に作り、むごい殺しをはたらかせる奇怪な老爺。点滴セットなんかある怪しの地下工房が笑える。もちろん最後は同じ顔対決、ニセモノのほうの里見浩太郎のブラック演技も見もので、元々が死体なもんだからギギって感じで動く。吉田義夫演じるせむし男は落雷で一巻の終わり。
*ロケ地、山道が出てくるが皆目見当もつかず。


第6話 「血を呼ぶからす

 四度まで奪われる永野藩の御用金、襲撃現場に居合わせたはやとは崖から落ちて人事不省の藩士を助けるが、頭打ってて記憶喪失。藩の家老は内通者の存在を口にし、はやとが助けた男ともう一人生き残り腕を失った藩士に疑いをかけるが、はやとは真実を見通しており幻と通じた家老を討ち果たす。

 ロケ地、永野藩の御用金を運ぶ一行が襲われる山道、湖南アルプス(吉宗評判記 暴れん坊将軍のOPと同じ場所)。谷川で手を洗うはやと、飴売りの歌に不吉を感じ取る、清滝河原。崖から落ちた伸之介を保護する小屋、不明。小屋から彷徨い出た伸之介がふらふらと行く城下、走田神社社務所塀際(このあと幻の忍者が襲うシーンにはラウンドした土塀あり。走田神社周辺だとすると今は無い)。事後、侍を捨てた彦三郎と行き会うはやと、不明。
*御用金襲撃で片腕を失う藩士・彦三郎に和崎俊也(悪人でなく正義派)。


第7話 「おおかみ岳の決闘

 村を襲う野盗が狼岳からやってくると聞いたはやとは山へ。砦にいた野武士と取っ組み合いの途中、彼らは幻一味でないと知れ意気投合、以降力をあわせて砦を狙う幻と戦うことになる。

 ロケ地、狼岳、湖南アルプス。村で幻一味と戦ったあと馬を放しねぐらを突きとめようとゆく道、北嵯峨農地・陵前の道。
*なぜか仲間に手を出させずはやとと一騎打ちの野武士・五郎太がいい味。取っ組み合いの最中敵でないと知れすぐに和解し肉焼いて宴会も笑える。彼らの砦にはトンデモ武器も備えてあるが、一時幻に使われてのピンチを救うのはリキ。櫓の上に据えてあるのはどう見てもガトリング砲、いつの時代じゃ。


第8話 「黒い手袋の殺人鬼

 平和な村を襲う幻一味を迎え撃つはやと、今回は大ピンチ。一味と行動を共にする凄腕の人斬り浪人がいて、もともと勝てるか否か怪しいうえ、リキを助けて罠にかかり馬で引きずり回されてもうズタボロ。刀を杖にして歩くよたよたの状態で、はやとは殺人鬼に向かってゆく。

 ロケ地、久しぶりの山に喜ぶリキと追っかけっこの山道、不明(幼松が多数)。村人に助けを求められる道、不明(松林)。高台に立ち村を見て庄屋に防衛策を授けるはやと、不明(屋敷林の向こうは広大な農地、手前に川あって木橋…なんか七谷川っぽい)。御友一学と対峙の「村はずれの流れ橋」、流れ橋(一学と再戦を約して別れたあと笛を吹くシーンでは情感たっぷりに映し出される。これには番違いの主題歌が被る。後段彼と死闘の際には、案じて駆けて来たリキが川を渡って近付く)。夜中、犬の騒ぐ気配に物見に出るはやと、下鴨神社泉川畔。罠にかかり引きずられる林、糺の森
*一学に内田良平、黒の着流しにムシリ頭、ニヒルに決めているが殺人剣を振るう際黒手袋をはめるのは気障すぎ。ボロボロはやとと非情の一騎打ちの殺陣は解説つき。


第9話 「恐怖の矢文

 幻が娘をさらう里、代官が娘を無防備に放ってあるのを怪しむはやと。果たして代官は操られておりはやとを消しにかかるが、父の前に飛び出した娘が非道を責める。

 ロケ地、幻が出る村はずれの竜神ヶ原、不明(山に囲まれた草地)。幻にさらわれ縊死した娘の墓に参る代官、不明(周囲は竹林、相国寺墓地と思われるが現在とかなり様相が異なる)。代官が幻に襲われる帰り道、相国寺湯屋角。瀧ヶ原代官所、光源院。琴の稽古にゆく代官の娘、光源院前〜林光院への路地
*代官は舟橋元。


第10話 「死闘

 女に率いられた忍群に襲われるはやと、リキの機転で制するが、その際片目を潰されたことで復讐に燃えた相手は、とてつもない強敵を雇い差し向けてくる。

 ロケ地、うつぼ一味に襲われる林、下鴨神社糺の森。鬼の佐々良が出て暴れる城、彦根城天秤櫓下。暴虐の限りを尽くす佐々良の前に立つはやと、石垣
*佐々良に宍戸大全、陣羽織にザンバラ長髪の白髪で一見官軍の大将みたいなんだけど、顔は思いっきりブキミ怖く作ってある。立ち回りはもちろん「特技」の空中戦を展開、見応え充分。うつぼに真山知子、手下の黒主に牧冬吉。*長時間気配を断つのは無理と判断したはやとはリキに当身して隠すが、あんまり長いこと戦ってるので起き出してきてうつぼに手裏剣→目潰し。お手柄に奢ってもらう美味しいものはうどんという安上がりなお子様のリキちゃん。


第11話 「くらやみ剣法

 盲目の剣士と渡り合う話、但し相手ははやとではなく、道場主の父を殺された娘の仇討ち。暗闇大得意の剣士の剣戟が見もの。

 ロケ地、城下入りのはやとらが浪人にからまれている春乃と出会う街道、不明(ラスト見送りも同所、両に松並木の土手、瀞状の川も見える)。小野寺道場、建仁寺西来院。道場主を倒した幻伊十郎を追う門弟たち、僧堂前路地。春乃らが伊十郎に呼び出される狐の森、不明。門弟を全て倒され一人逃げのびた春乃がはやとと出会うやしろ、鳥居本八幡宮。伊十郎に春乃の伝言を伝えに走るリキ、東福寺通天橋五社成就宮前〜三門(伊十郎が立っている)。果し合いの秀月院龍哭堂、仏殿大屋根(内部描写に蟠龍図をインサート)
*春乃に土田早苗、お転婆男勝りの剣の達人設定で殺陣たっぷり。彼女に結婚を条件に助太刀を申し出てドツかれる珍妙な浪人に汐路章。


第12話 「鏡地獄

 今回の「幻」は女、鏡を使った催眠術で人を操る。亡母に会わせてやるとリキをたらしこみはやとを誘い込むが、ニセはやとが発動し町で大暴れというのはなくて、秘術の鍵を見抜いたはやとの示唆でリキが「輪」を断ち切り女の魔術は破られる。

 ロケ地、こゆきに見せられたマジックの話をはやとに話すリキ、大覚寺護摩堂脇・石仏前。こゆきが「まじないところ」を開いている妙光寺、二尊院湛空上人廟所石段黒門。事後、はやととリキが旅の一座にこゆきとそっくりな女を見る街道、大覚寺大沢池堤(木の水門が見える)
*こゆきに三島ゆり子、ギヤマン部屋へ人を誘い込む怪しの術者。不気味な高笑いがナイスはまり。秘術の鍵となる「輪」はメビウスの輪、前後にリキを使って「たのしい理科」ふう「お子様向け」解説あり。


第13話 「血染の連判状

 はやとにアジトを悉く潰され窮した幻は、改易を恐れる大名や食い詰め浪人を糾合し幕府に敵対する新たな動きを見せる。三隅藩にその蠢動を見たはやとは当地に滞在し動静を探るが、不死身の首領が出現し大ピンチに。

 ロケ地、子を背負い道をゆく浪人・左内を構うリキ、大覚寺大沢池堤水門傍。釣り中のはやとは大沢池北東畔。城内描写の石垣は彦根か。隠密だった伝次に見送られリキと二人旅立つはやと、大沢池堤
*いたずらリキが長屋の大家の黒子に生えた毛を線香で焼くお笑い、これが窮地に陥ったはやと起死回生のポイントに…ってなんでそんなのが急所なんだよあの毛は神経が露出しているのか。*金のため刺客となりはやとを襲う左内に梅津栄、怖い顔で刀眺めたりマジ殺陣もあり珍しいので見もの。*幻の首領から得た連判状、公儀隠密への引渡しを拒否し御政道批判をかますはやと、後年の説教節の萌芽がちらり。


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