26〜51話

→松平右近事件帳表紙


第26話「お銀哀歌

 因果を含められ他人の罪を着て遠島となった男、いっこうに来ない赦免に焦れた彼は島抜けを仕出かし江戸へ。弟とも思う彼を庇ってお銀が落命という悲劇が出来する。

 ロケ地、房州浦安の浜に打ち上げられる島抜け一行、広沢池北西岸
*お銀の従兄弟に加納竜、彼に因果を含めた佐伯屋とつるむ牢奉行に久富惟晴。ラス立ち福ちゃん入り、出会えの声に一番手で到着。*酒肆・たちばなはお小夜が継ぐ。


第27話「はぐれ鳥の唄

 新レギュラー・おらん登場、女掏摸設定。或る日掏った財布に小判がざくざく、しかしそれは贋金だった。もちろん製造元のワルは彼女を探して血眼、可愛がっていた弟分が犠牲になってしまう。

 ロケ地、贋金作りの工房から逃げ出した飾り職人が見つかり斬られる堀、大覚寺御殿川(勅使門橋から飛び降りて逃げてくる)。お小夜の財布を掏ったおらんをシメる右近、お祭りの神社は今宮神社(導入は舞殿前で太鼓叩いてる右近、おらんに鉄拳制裁は稲荷社裏)。大川端に上がる飾り職人の死体、広沢池東岸
*贋金は川越で使い藩主を失脚に追い込む企み、川越から移封されたのを恨んでいる藩の江戸家老が暗躍というお話を作ってある。家老は幸田宗丸で、協力する悪徳商人に稲葉義男、仲間割れしているところを右近に乗り込まれ皆殺し。こいつらが使う拳法家がすげー乱暴で、おらんの弟分を責め問いして撲殺、雇い主に怒られてたり。*「藪さん」に反発しつんつん突っぱるおらんだが、事件解決後メロメロで押しかけ女房を気取ったりする。*OPやアイキャッチが新しくなり、殺陣も組み立てが少し変わる。


第28話「女は二度夢を見た

 かつて自分を慕っていた娘、田舎で幸せに暮らしていると思いたかった右近だが、凶賊の情婦に成り果てた女を見ることに。しかし右近の説得に折れた女は、気配を察知した賊に始末され昔恋した男の腕に抱かれ息絶えるのだった。

 ロケ地、梅吉にお光の消息を調べるため沼津行きを依頼する右近、広沢池東岸(梅吉の職場の船着き)。右近の回想、長崎遊学前お光と行った縁日、今宮神社境内。長崎行きを告げるのは柊野堰堤下左岸河川敷。お光が尼に身をやつし隠れている尼寺、源光庵山門(おらんが蜆売りに来て断られ印象に残り人相書で判明)。船手奉行が雲水に化けた宗五郎とツナギをとるくだり、大覚寺放生池堤〜池畔(茶店あしらい、背景に心経宝塔と池と)。お光の墓、不明(丘の上、背景に小山の頂)
*お光に范文雀、夕立の宗五郎に小池朝雄、お光が誑かす刀屋に藤尾純。お光は長屋での幼馴染設定、彼女の父は右近の素性(尊い方の血筋とのみ語る)を知っていて娘にあきらめるよう説得する場面が出てくる。このとき、右近は梅吉の兄として育ったと語られる。*ラス立ち槍使い多し、福ちゃんと小峰さんが同時に突き入れてくるシーンがあり、一瞬お二人のどアップ出る。


第29話「試し撃ち

 おらんの幼馴染の泥ちゃん登場、気のいい彼は入った先で暗殺団と出くわし思わず人殺しと叫び、老中の命を助けることになり気安く爺さん呼ばわりして親しんだりする。そもそも盗みもおらんが蜆売りをしているのがかわいそうというのが動機、一本気な彼は老中を狙った刺客を町で見かけ、正義感からつけていって災難に遭う。

 ロケ地、老夫婦の心中と聞き駆けつける石部が走る道、大覚寺放生池堤(右近と新八が来る道は池畔か)。若年寄・土岐大和守邸、相国寺林光院。おらんが蜆取りをしている川、桂川罧原堰堤下右岸河原(源治と話すくだりに何度も出てくる。じゃぶじゃぶと川に入るシーンや、堰堤上を歩く・魚道のへりをつたうなどいろんなアングルあり。中州に漁具や釣り人もあしらってある)。町で老中を狙った刺客を見かけ尾行する源治、相国寺方丈西塀(木に隠れて)林光院前路地湯屋(ここで見つかり、危機に投石して助ける清太郎は樹上)。刺客が勘弁ならず土岐邸に侵入する源治、開いてて入る裏口は相国寺大光明寺南通用門。将軍の菩提寺参詣帰りの老中の駕籠を狙う土岐一味、神護寺毘沙門堂陰に潜む。駕籠は石段下に現れ、中から出てきた右近と大立ち回りは石段を大胆に使用。
*潜入したところを捕まり試し撃ちの的にされてしまう源治に山本紀彦、間抜けなお人よしを好演。米問屋とつるみ老中のお蔵米放出に怒る若年寄に遠藤太津朗、ギャグ一切なしのエンタツはメチャ怖で渋い。洒脱な老中には水嶋道太郎。*悪徳商人が手配するスナイパー、むき出しで銃持って若年寄邸へ入ってゆくのが笑える…職質されたらどうするつもりなんだろう。ツッコミもうひとつ、蜆とりの川…あんな流れてる瀬にはシジミいないんじゃないのかなーあからさまに魚道歩いてたりするから突っ込んでも仕方ないけど。


第30話「八年目の復讐

 藩の公金を私する悪家老、スケープゴートを仕立てて涼しい顔×2件。八年前に謀殺された父のため復讐を企てる娘と、今回夫を生贄にされた妻と、二人の女の恨みを報じてやる右近、荒野で大立ち回り。

 ロケ地、おらんが白根藩用人の息子と遊んでやっていて誘拐されてしまう大杉神社、大覚寺五社明神(大沢池畔に茶店あしらい)。用人・脇村邸、相国寺大光明寺門。身代金受け渡しに指定の五道の辻のやしろ、鳥居本八幡宮。脇村邸へ投げ文をした虚無僧を追う清太郎、相国寺方丈塀際〜弁天社脇〜鐘楼脇。おらんが昔の掏摸仲間を呼び出し虚無僧探しを依頼、大覚寺護摩堂前。右近の説得に応じた虚無僧女が隠してある子供のもとに案内する道、大覚寺天神島(八年前父が陰謀に落ちたことを告白)。参勤交代費用を国元へ運ぶ荷駄が襲われる裏街道、砕石場か(回想シーンの八年前のも同所)。脇村の墓へ参る妻子、二尊院墓地。その帰り一同揃って降りてくる坂、紅葉の馬場


第31話「拐わかし

 事件は銃の密造、元鉄砲鍛冶を引き込むのに女房誘拐を企てる一味。しかし間違えてあろうことかお小夜をさらい、右近に出てこられてワル一巻の終わり。

 ロケ地、鍛冶屋が試し討ちのあと失敗作を咎められ殺される水辺、広沢池西岸湿地。ワルに目をつけられてしまった元鉄砲鍛冶の女房の回想、縁談を蹴り二人で出奔する備前の浜辺、琵琶湖岸。
*お加代とお小夜を聞き間違える手下に福ちゃん、クレジットは「男A」なれどお話を回す重要な役どころで台詞もいっぱい(主に脅し文句)。黒幕の旗本に高野真二、悪徳商人に北村英三、元渡り中間のワルに大木正司。ハメられる元鉄砲鍛冶は真夏竜、ちょっといい感じ。スラム描写で出てくる小船秋夫の坊主頭がなかなかコワい。


第32話「帰って来た土蔵破り

 鬼と呼ばれた岡っ引の父に反発し家を飛び出した息子は、賊の一味に成り果てていた。手配書を見て苦悩する岡っ引、父の病を知る息子、情は通い合うが死は二人を隔てる。

 ロケ地、岡っ引・佐平が息子とよく釣りをした池、大覚寺大沢池(大沢池堤、佐平が佇むのは天神島汀)。江戸を離れるべく千住へ向かう賊一味、神護寺参道南の道。右近に立ちはだかられ立ち回りは林間かわらけ投げの崖。文吉の島送り、広沢池東岸(船番所セット)
*佐平に内藤武敏、息子の文吉に星正人、賊の首領の旗本の部屋住みに五味龍太郎。


第33話「妻恋いしぐれ

 結ばれる筈だった男女の、掛け違う運命。親方の許しなく修行に出た男も、彼の子を身籠っていた女も不幸なままだった五年の月日は、男の死によって昇華される。

 ロケ地、仁吉が浪人者に襲われる東海道品川宿外れ、舞子浜。通りかかった右近が彼を助け浪人を撃退する段では大覚寺大沢池堤にスイッチ。親方の墓に詫びる仁吉、不明(巨大五輪塔並ぶ)。魚とりの正太に声をかける仁吉、広沢池東岸
*仁吉は玉屋の花火職人、そこの娘と結婚予定だったが、無理に加賀へ修行に。そこで加賀藩の火薬密造を知り追われることに。演じるのは三田明で逃げる際ついた傷を顔に貼り付け。お相手は小林かおり。


第34話「義賊と鳥追い

 大工の父を辻斬りに殺され、仇を探す姉弟。姉は鳥追いに身をやつし、弟は武具商に勤め仇の情報を得ようとするが、焦れた弟は武家屋敷を直接探るうち腹が立ってきて義賊を気取るようになっていた。右近が乗り出し単なる辻斬りでないと知れワルは一掃、捕まれば獄門の弟の始末は粋なはからいでエンド。

 ロケ地、おらんが丁稚を苛める侍から掏った印籠を持ち聞きこみの右近が浪人たちに襲撃される道、金戒光明寺長安院下坂(刺客は鐘楼下の石垣から殺到、小峰さん入り。雇ったのは印籠を見た鳥追い女)。大奥総取締の山野辺が「参詣」の青山・光明寺、西明寺(寺社奉行が入ってゆくシーンに山門、若僧が空手トレーニングは鐘楼前、僧と奉行が話すのは本道縁先)。おらんと梅吉が印籠の主を探して歩く途中、寺社奉行の手下に見つかる道、金戒光明寺永運院下坂。父の墓に参る鳥追い、金戒光明寺墓地。墓で会って帰りの姉弟に声をかける右近は本堂脇、茶店あしらい。右近が義賊・むささび小僧を「成敗」する小塚ッ原、下鴨神社池跡(墓標あしらい)。右近がむささび小僧を捕えたと聞き駆けつける石部のダンナが渡る橋、下鴨神社参道石橋(池跡に駆けつけるも右近にもう斬って埋めちゃったと「髷」を渡され岩さんクサる)
*大工が殺されたのはヒミツの工事の口封じ、山野辺が頻繁に「参詣」する寺の本尊の裏が若僧とお楽しみBFへの入口で、ごごーっと開く趣向。彼女に取り入る寺社奉行に田口計、僧に福山象三。*鳥追い女の姉は早瀬久美、弟のむささび小僧に佐藤裕介。*ラス立ち福ちゃん入り、一旦後姿で斬られたあと復活し田口計の前に斬られる。


第35話「とどけ・涙の叫び

 座頭殺しで捕まった幼馴染の無実を訴えるおさよ、彼を慕っていたおさよの心を察した右近が動く。

 ロケ地、機嫌悪そうに川に石を投げる栄治に声をかけるおさよ、下鴨神社泉川畔。栄治に偽の伝言をした旗本の手先が始末され浮く大川、広沢池観音島(梅吉が仕事中見つけて引き上げ)。小普請組・大槻邸、大覚寺大門(見張る清太郎は御殿川の中)。赤猫でお解き放ちの栄治が出頭場所へ向かう道、大覚寺放生池堤大沢池(旗本たちに囲まれ)。清太郎に窮地を救われ足を負傷しつつ行く栄治のシーンは下鴨神社糺の森にスイッチ。出頭場所の築地妙慶寺、毘沙門堂(山門に薬医門、栄治が足を引きずりつつ来るのは参道坂)
*栄治に永井秀和、座頭を騙し金を巻き上げていた旗本に亀石征一郎(待つのももどかしいとか言って牢に放火したりする癇性持ち、なかなかコワい)、座頭に阿波地大輔、牢奉行の波田久夫もいい味。ラス立ち福ちゃん入り、大槻の下でブイブイの「六法組」の一人。


第36話「狼に狙われた一人娘

 好色な馬鹿殿に娘をとられそうになった親父が思いつく狂言、勘当息子に助力を頼むも裏目が出てしまう。

 ロケ地、茜屋のおみねが誘拐される道、大覚寺参道(明智門前〜参道石橋。頬っかむりの「悪者」は御殿川の中から様子を窺い、参道石橋から娘を引き下ろし河床に置いてあった駕籠に乗せて拉致)。身代金持ってこいの大川浜町河岸、広沢池東岸(後段、茜屋の勘当息子の弟分が馬鹿殿におみね情報を売った帰り消されるのも同所)
*作事奉行の馬鹿殿は峰岸徹、素っ頓狂な高声は志村けんの馬鹿殿に似る。おみねは芦川よしみ。ラス立ち福ちゃん入り、一旦清太郎に刺されるが復活、廊下続きの橋上でのけぞりを決める。


第37話「裏切られた友情

 若年寄と組んだ油問屋の陰謀、値吊り上げに反対した同業者を始末。この手先となって動く伊賀者が清太郎の親友、友を信じたい清太郎は右近に反発する。

 ロケ地、夜釣りの梅吉が忍者の着替えを見てしまう天神橋川端、広沢池東岸(池中に橋脚をあしらい)。梅吉が一味の女に色仕掛けで呼び出される入谷鬼子母神、大覚寺五社明神(来たのは梅吉を当て落とした清太郎で旧友の忍者と対決)
*清太郎の旧友・霞の小六に曽根晴美。


第38話「罠にはまった瓦版

 御船蔵改修をめぐるキナ臭い陰謀、作事奉行と組んだ悪徳商人は請負業者に放火、一家を皆殺しするも仕事はとれず、更なる悪謀を重ねる。

 ロケ地、放火犯を「目撃」した盲目の娘の拉致未遂、仁和寺参道(眼病快癒の願掛けに寺に来た設定)。助けたおらんと右近に一応礼を言う兄(ちゃんと名医に診せるつもりでそそくさ右近から逃げる)観音堂前。兄妹の事情を立ち聞きしたおらんが右近にそれを話す、観音堂脇。悪徳商人に騙され無実の材木商を放火犯と暗示した瓦版を売り出す兄、仁和寺五重塔前。その兄に仕掛けは誰かと迫る右近、広沢池東岸(船上)。「証拠」の着物を届けた漁師に話を聞く右近、広沢池東岸(漁具あしらい)。捕われた材木商の妻子が入水し土左ヱ門で上がる水辺、広沢池北西岸。己の非を覚り自らを責める兄、仁和寺九所明神。兄の面影を留めたいと治療を断る妹の回想・幼時の兄妹は大沢池堤か。
*妹を盲目にした負い目を持ち、瓦版で一発当てると意気込む兄に高橋元太郎。単細胞のお人よしを好演。*ラス立ち福ちゃん入り、命を粗末にするなと右近に大喝されほとんどの家来は逃げ散るが、福ちゃんはそう言われる前にちゃんと斬られてのけぞり。当然殺陣は短め、時間が押していたのか遺された妹が治療を拒むラストシーンも唐突にぷつっと切れた感じで終わる。


第39話「梅吉捕わる

 瓦版屋の女主が殺され「同衾」していた梅吉は捕われ牢へ。もちろん天から梅吉の仕業と思わぬ右近の奔走で、女主の追っていた事件が露わとなる。

 ロケ地、町方に偽証した梅吉の敵娼が清太郎に告白すると言った矢先縊れて見つかる稲荷、大覚寺護摩堂(清太郎が前に立つとひとりでに扉が開き吊りが見える)。右近に往診を頼み連れ出した先で待ち伏せ→チャンバラ、大覚寺大沢池堤。巴屋の妹が呼び出され拉致される氷川神社の祠、天神島(呼び出したのはネタを漏らしていた商人、大木の陰に隠れて話す)。妹を人質に巴屋の職人が呼び出される大川端、広沢池東岸
*お話の間中梅さんは牢の中、途中心弱りして「俺やったかも」。石部のダンナは梅吉を釈放しないと皆に詰め寄られさんざん、しかし隠れて捜査もしていたり。*油値上げで冥加金がっぽりの黒幕は川合伸旺で目付方。つるむ悪徳商人は神田隆で、仲間に入るも慄きネタを瓦版屋に漏らしていた商人に和崎俊哉。


第40話「父娘を結ぶ青梅宿

 右近も薫陶を受けた本草学の権威は、研鑽のすえ高麗人参の国産化に目途をつけるが、これを横取りして私腹を肥やさんとする悪党あり、学者を捕え娘をタテに脅し製法を手に入れようと企む。

 ロケ地、謀反人として捕えられた榊竜山の唐丸を見た右近が石部同心に話を聞く、仁和寺二王門基壇。竜山の娘・美里が駕籠訴しようとするのを止める右近、仁和寺御室桜林(若年寄の駕籠は参道を来る)。南町奉行が他出するのを尾行する清太郎、金戒光明寺永運院下坂長安院下坂(ここで用心棒に誰何される)。竜山処刑の布告を見て焦る美里にあれは罠と諭す右近、仁和寺御室桜林。囮になって奉行を呼び出す美里、金戒光明寺三門(奉行は三門前の石段を来る)。江戸を発ち再び旅ゆく父子、北嵯峨農地
*竜山に中丸忠雄、美里に神保美喜、黒幕の若年寄に須賀不二男、南町奉行に上野山功一、用心棒に中田博久。ラス立ち福ちゃん入り、家士。


第41話「ろくでなしの恩返し

 寺社奉行がはたらく悪事は富籤の不正、色ボケでもあり宮大工の娘を狙い同時に棟梁に不正を強要、断られるや干すという悪行を重ねている。娘の婿がねであった青年は身を持ち崩しているが、奉行一味に潜り込み金を掠めて棟梁親子に渡そうとしていた。

 ロケ地、富籤の不正を断った常磐天神の宮司が暗殺される橋、中ノ島橋(見ていた佐吉が追われ橋から水落ち。右近らに助けられるシーンはセット)。常磐天神、本法寺(元禰宜の玄幸に声をかける岩さんの段は仁王門越しに境内を見るアングルで、塔が映り込む。富突きは本堂)。佐吉の指示で棟梁の娘が千両を持って帰る道、広沢池東岸。入る船宿は池畔にあった料亭で、座敷から池を眺める画もある。奉行の配下に斬られ果てる佐吉は東岸汀で船着きあしらい。
*佐吉に大門正明、寺社奉行は小林勝彦で配下に内田勝正。ラス立ち福ちゃん入り、二回ほど斬られたあと羽織かえてもう一遍。


第42話「女賊 稲妻お松

 ワル与力に尻尾を握られてしまった賊は、言うなりに盗みを働き金を運び続ける。或る日町方から逃げる際負傷した賊の首領はおらんに保護されるが、彼女らが持っている守袋は同じものだと知れる。

 ロケ地、早朝仕入れ帰りのおらんが通る道、相国寺大光明寺南塀際。通り道の祠を拝むと中から足を怪我した女、弁天社。おらんの家を出たお松が佇む水辺、中ノ島橋下汀。手下を使い右近を呼び出すお松、仁和寺九所明神。おらんに二度と道を踏み外すなと説教し、右近にと伝言するお松、相国寺鐘楼脇、宗旦稲荷。お松の墓へ参る右近とおらん、黒谷墓地(帰り道に塔をバックの石段)
*大火で生き別れた姉・お松に野川由美子、ワル与力に深江章喜、手下のヤクザに井上昭文。ラス立ち福ちゃん入り、どアップもあり斬られて釣瓶掴んで倒れ。


第43話「鴉の長吉 何故泣くか

 浮世小路へ引っ越してきた男は底抜けのお人よし、実は元盗賊なのだが足を洗ったきっかけも善人ゆえ。おきまりで元の仲間が声を掛けてくるが、ここでもその性ゆえ渦中に飛び込み、遂に命を落としてしまうのだった。

 ロケ地、生活苦から子捨てを思い立った長吉が、別の赤子を見つけてしまいお二人お持ち帰りの尼寺・光明院、相国寺大光明寺(門、前庭)。長吉の元の仲間が盗み話を持ちかける船、広沢池(導入はセットから、上陸は東岸)
*長吉に高橋長英、元怪盗黒鴉とは思えぬヘマな善人を好演。ダシとってない「恐ろしい味」の蕎麦売ったりする。企みの大元は抜け荷発覚を恐れた船手頭の使嗾、将軍御上覧予定の軸盗られて町奉行切腹の大ごとに。これが北原義郎で悪徳商人は田中浩。引き込みに入った先の若旦那の目を潰してしまい、贖罪のため長吉は足を洗うが当の若旦那が意外な顔で現れるのはやり過ぎかも。*ラス立ち福ちゃん入り、船手頭配下。いつもの如く際立って姿勢のよい立ち姿で見事な海老反りも披露。残ったメインの悪党に右近がとりかかる場面では邪魔にならぬようゴロゴロ回転で場から退く技も見せる。


第44話「過去をもつ女にかかる濡れ衣

 勘定奉行とつるむ炭問屋、悪事の証拠の書付を元手代のちんぴらに盗られ強請られる。こやつが消されるのは報いだが、同じく脅されていた昔の女が巻き込まれ、悪事は右近の知るところとなる。

 ロケ地、炭問屋が勘定奉行の用人に恐喝の件を相談する屋形船、大覚寺大沢池。炭問屋を尾行する清太郎、相国寺湯屋角。用人と炭問屋がツナギをとるのは宗旦稲荷裏、その後用人が入ってゆく勘定奉行邸は林光院。右近が炭問屋を呼び出す谷中の清水八幡宮、石清水八幡宮(楼門、本殿裏手。右近は中から出てくる。ラス立ちは本殿裏手で派手に展開)
*巻き込まれる小間物屋夫婦に田島令子とうえだ峻、ちんぴらは八名信夫。ラス立ち福ちゃん入り、勘定奉行配下の侍。


第45話「暦女に死神が憑く

 アブノーマルな画家は旗本の部屋住み、彼が描く緊迫の裏絵で大儲けの版元。モデルに対する行き過ぎた行為は女たちを死に至らしめており、外道の所行を知った右近は怒りをこめて剣を振るう。

 ロケ地、梅吉の回想・殺されたお鯉が大店の主ふうの男と乗った屋形船、大覚寺大沢池。お鯉の勤めていた深川の矢場を訪ねる右近、今宮神社東門、境内(お鯉の姉貴分・おまさに話を聞く茶店をセット)。お鯉がモデルをした浮世絵の版元を芝居で連れ出す右近、乗り込む屋形船は大覚寺大沢池船着(大)から出る。絵師・詠春を尾行する清太郎、妙心寺春光院前路地大庫裏脇路地相国寺鐘楼(詠春は鐘楼に入って侍のなりに着替え、田村を吟じつつ大通院南西角を曲がってゆく。入る屋敷は映画村セット)
*菱川詠春(新庄長門)に菅貫、もちろん狂乱系。殺陣はちょっとおじゃる風味。版元・雅仙堂は伊達三郎、右近の芝居や清太郎の天井潜入に鋭く気付く曲者設定。*ラス立ち、右近の相手は詠春と雅仙堂の二人だけでじっくり成敗、決め台詞もちょっと変えてある。*タイトルは月代わりの浮世絵シリーズ、死神は描かれた娘たちが変死することから「暦女は不吉」と立つ噂。菅貫誘い出しにオランダ渡りの幻燈機を使い亡霊を演出。


第46話「二人のおらん

 屋敷奉公させた娘をタテに回船問屋に抜け荷を強要する悪家老、悪事に気付き屋敷を逃げ出した娘はおらんと瓜二つ。同じ顔をした娘の女心を察したおらんは、彼女を男に会いに行かせたり身代りを買って出たり。

 ロケ地、屋敷を逃げ出したおまちが走る道、相国寺方丈塀際法堂前。追手が出る鹿沼藩邸、大覚寺明智門。追いつかれ囲まれるところ、おまちをおらんと誤認した清太郎が介入、相国寺放生池天界橋。番所で診た病人を差し替えられた薬で死なせ御用も医者も停止になった右近が佇む橋、大覚寺天神島朱橋。おらんが武蔵屋の仙次におまちと誤認される縁日、松尾大社境内(おまちと誤認した殺し屋が凝視するのは亀の水場)。自訴しようとした武蔵屋がお参りしていて殺し屋にやられ縊死体で見つかる紺屋町稲荷、今宮神社地主稲荷。武蔵屋の墓、不明(丘陵地)
*おまちはかたせ梨乃の二役、恋人の仙次は森次晃嗣、武蔵屋乗っ取りを企む番頭は牧冬吉、鹿沼藩江戸家老は玉川伊佐男、つるむ与力は睦五郎、一味の殺し屋は山本昌平(強くてメチャ怖)。ラス立ち福ちゃん入り、清太郎にかかってゆき煙玉を食らう。


第47話「囮にされた放蕩息子

 右近が感銘を受けた徳高い医師は、思わぬ筋からハメられ前家老毒殺に関わり、今また息子の殺人をでっち上げられ毒の調合を求められていた。右近の諌めを聞いた医師は思いとどまり、悪者の前で自ら毒を呷り決着をつける。

 ロケ地、殺人犯にされた医師の息子がワル仲間とツナギをとる神社、木島神社本殿。町方に偽証した右近に訳を聞く医師の娘、蓮華寺五智如来像
*医師に下元勉、娘に土田早苗、息子に頭師佳孝。*藪さん伝手を求めてのスラム潜入、お決まりの鶏モモ焼いてむしゃむしゃ、が出てくる。*ラス立ち、家老の手下は向かってくるが他の家士は腰が引けており、名乗り時と家老成敗後にハハー↓。悪家老、動かない家士に焦れてその侍の刀を引き抜きそいつを斬る…錯乱か。


第48話「十手に賭けた命

 若旦那・岩さんが罠にはまり謹慎・切腹の沙汰もという危機、新八親分は自ら身を危地にさらし悪党を誘い出す。

 ロケ地、売人殺しは罠だと新八に話す右近、愛宕念仏寺境内・石仏前。岩さんをはめたニセ夜鷹のお駒が土左ヱ門で見つかる大川、罧原堤下汀。岩さんがお縄にした盗賊の妹が出している料理屋(地下が阿片窟)、不明(入口に巨大宝筐印塔、見返りに石垣)。新八親分がわざと誘いに乗り出向く浜町河岸、広沢池東岸(「蔵の壁」あしらい)。新八の墓、不明(坂おりた所に門で上が墓地のアレ)
*阿片密売の黒幕の船手奉行に青木義朗、悪徳商人の手先の一人に福ちゃん。


第49話「忍びや哀れ

 伊賀者と甲賀者の許されぬ恋だった清太郎の過去、江戸に現れたかつての恋人は強欲な幕閣にたばかられ非業の死を遂げる。

 ロケ地、右近が会った娘の名を聞き探しに出た清太郎が佇む橋、中ノ島橋。清太郎の回想、修行時代知り合った甲賀くノ一のおふうとの出会い、柊野堰堤。側用人・大河内豊前守邸、相国寺林光院。その屋敷から出たおふうを尾行するおらん、相国寺回廊前〜光源院前〜鐘楼脇〜宗旦稲荷(ここで拉致される)。おふうの父・望月道順の墓、二尊院墓地。おふうたちを騙し狙わせる相手の老中・本多和泉守の向島別業・草思庵、白沙村荘・夕佳門(門前で下僕を倒し存古楼入口へ「侵入」)
*おふうに新藤恵美、甲賀者の岩室の飛に和崎俊哉。豊前守の家来に福ちゃん。


第50話「闇に咲く花なみだ花

 元長崎奉行とつるみ抜け荷をはたらく回船問屋、足抜けをはかった船長が消されるが、彼は保身のため書付を残していた。それをめぐる丁々発止に介入する右近、彼に近付き探りを入れるスパイの哀話が中心。

 ロケ地、殺された船長の検分が行われる四貫河岸、嵐山公園中州下手右岸河川敷。知らせを聞き駆けつける娘は中ノ島橋を渡ってくる。娘や水夫が連れ込まれる船宿・川よし、中山邸(門、参道、通用門)。船宿の裏でお艶を待つ右近らに声をかける船の梅吉、嵐山公園中州舳先・料亭裏(渡月小橋上手、梅吉の船は水路をゆく)。右近を店に泊めた朝、川辺に出て物思うお艶、嵐山公園・桂川堰堤脇法面。お艶の正体を指摘する右近、下鴨神社泉川畔。
*お艶に由美かおる、張り付くうち次第に右近に魅かれる哀れな女で、お色気はなく終始暗い顔。彼女の情夫の悪徳回船問屋に久富惟晴、元長崎奉行に波田久夫。


第51話「三ツ葉葵を貫く銃弾

 続発する若い娘の失踪事件、他ならぬ「右近」が調査中と知った悪党は、暴露を恐れ右近の命を狙うが度重なる失敗に業を煮やし、お小夜たちを人質にとって逃げ隠れできぬ場へ誘い出し銃撃するという荒技に出てくる。

 ロケ地、右近登城時の天守は書割、城を出る右近は二条城北大手門。往診に出た右近に矢が放たれる神社、上賀茂神社山口社奈良社。若年寄・有馬阿波守が異人と新式銃の試し撃ちを見る野原、天神川堰堤上広河原。失踪事件で浮上した祈祷師を調べに行ったおらんと梅吉が出てくる浄海の寺、本法寺仁王門。じいを呼び出し、浮世小路にお供した中間が逐電したと聞く右近、二条城北大手門前の橋(濠が見えている)。右近が呼び出される日野の鬼追峠南・不動ヶ原、天神川堰堤上広河原(ここへの山道も周辺と思われる)。清太郎の遺骨を抱き伊賀の里へ帰るお小夜を見送る右近、上賀茂神社神事橋。旅に出る右近を待ち構えるが同道を断られるおらん、中ノ島橋
*呼び出しに応じ一人で行くという右近に、清太郎は詳しく地理を説明する。右に行けと清太郎が言った分岐道を左にとる、葵紋の衣をまとった編笠の侍は細身。*将軍家斉は丹波哲郎、若年寄は根上淳、その手下に中田博久、浄海に坂田金太郎。異人のなりが傑作、王侯貴族みたいなちょうちんブルマーにタイツ、オマエは何者か。


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