弥次喜多道中 斎藤寅次郎監督作品 1956.8.22大映


 借金を溜めまくった弥次喜多コンビは長屋を逃げ出すが、土中で喉を損じた喜多八を治してくれた医者に究理石を託され、京の町で病に苦しむ子らのため東海道を下る。もちろん珍道中で、斬られて死んだと思った医者は出てくるし、訛りのきつい石を狙う浪人たちもヘマばかり、出張ったアチャコの岡っ引は頼りにならず。最後は川止めの島田宿で、浪人たちを出迎えに来たならず者たちと丁々発止、石を手にした弥次喜多コンビがまんまと川を渡りきったところでやんやの喝采、悪は滅びてメデタシの幕引き。

 ロケ地、医師・久庵邸、不明(萬福寺のような竜宮門)。浪花屋一行の女道中、琵琶湖畔の松原沿いか。久庵が喜多八の喉を治す(病名はオランダ熱)峠の茶店、谷山林道か。浪人が久庵から究理石を奪う山道、不明。大家の娘を見て借金取りと思い込んで逃げた弥次喜多のくだり、喜多八が風呂桶被って落ちる崖、不明。女道中師が浪人らは西へと告げたあと映る雨の街道筋、不明(川堤か)。川止めの宿から見る大井川、大井川渡し場、不明(流れは相当量あり瀞をなす。河原は石礫、川中に水制の聖牛が幾つか見える)

*全編これコメディの痛快劇、ヘンな設定や小物も多数。まず焦点の「究理石」からしてトンデモ、箱を開けると怪光線を発し患部に照射するや一発で治癒という優れもの…しかし医者はラジウムとかアブないことを口走っている。このほか、番所でのマンボ踊りや、三味線をギター持ちした田端義夫が宿の二階で喉を披露したり。彼が率いる舶来屋差し回しのちんぴらたちは「太陽族」だし。バガボンドとか洋語も出まくり、アチャコのボヤキも炸裂。

キャスト
弥次郎兵衛/市川雷蔵 喜多八/林成年 阿茶吉/アチャコ おこん/阿井美千子 おくみ/小町瑠美子 細野久庵/山茶花究 千代/島倉千代子 仙太郎/田端義夫


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