必殺仕事人 III

キャスト
中村主水/藤田まこと 秀/三田村邦彦 勇次/中条きよし 加代/鮎川いずみ 西順之助/ひかる一平 筆頭同心田中/山内敏男 せん/菅井きん りつ/白木万理 おりく/山田五十鈴

第1話「殺しを見たのは受験生」1982.10.8

 順ちゃん仲間入りの経緯を描く話、殺しの現場を目撃した青年は始末されかかる一幕あるも主水によって意義を見出され一員に。

ロケ地
・西順之助が仕事人たちの殺しを見てしまう川端、広沢池東岸
・阿漕な金貸しのもとから帰る加代と順ちゃんが一味の岡っ引に誰何され危機一髪の川端、罧原堤下河原
・南町奉行所、大覚寺明智門
*今見ても笑えるお子様の順ちゃん初期、「ぼくのかんがえたしごと」が殊にツボ。


第2話「下駄をはかせたのは両替屋」1982.10.15

 ちんけな相場師が為替偽造で死罪に。手伝った女と彼の女房の芸者は激しく憎みあうが和解、二人の話は裁きの正当性に疑義ありの方向へ進む。

ロケ地
・南町奉行所、大覚寺明智門
・伝馬町牢屋敷、明智門(看板をかけて軒下をアップで)
*両替商とつるみ与吉の盗んだタカに下駄を履かせた吟味与力に黒部進、体格いいから風呂での仕置が映える。*お笑い順ちゃん、「明日模擬試験」発言のほかソープ潜入でスタンガンびりびり騒ぎを起こす。


第3話「アルバイトをしたのは受験生」1982.10.22

 順ちゃんの学友の哀話、弟は身を汚してまで学費を作る姉を見かねバイトに出るが、世話をした口入屋はとんだ悪党。そして姉もまたその一味にがんじがらめの身の上だった。

ロケ地
・身元不明の少年の死体が上がる大川端、大覚寺大沢池畔。
・夜鷹が釈放される南町の門、明智門
・水辺に物思うおせきを見かけ声を掛ける勇次、大沢池木戸放生池堤
・口入屋とつるみ少年を食い物にする和尚が住持する宝徳寺、妙顕寺(導入場面では堂宇がぐるっと映される。少年たちが論語の講義を受けているシーンは尊神堂座敷、渡廊越しに方丈の塀と寿福院塔がのぞく。おせきが寺へ来て悪党どもに捕まるくだりや、主水が少年の首吊りに出くわすくだりは三菩薩堂前や基壇の亀腹(主水が潜む)。周平が逃げ出すのは本堂脇渡廊下)
・中村家と誤認されていた本当の脅迫相手の屋敷は相国寺林光院
*弟の恨みをとの依頼は姉から、しかし的に自分も含めるのが哀れ。順ちゃんは彼女を仕留める羽目になる。


第4話「火つけを見たのは二人のお加代」1982.10.29

 旗本の次男坊と所帯を持つという加代の幼馴染、しかしその男には大目付の娘との縁談が持ち上がっていた。邪魔者の始末には、順ちゃんと同じ塾に通う放火犯の若者が巻き込まれる。

ロケ地
・南町奉行所、大覚寺明智門
・山田流鎖鎌道場、相国寺大光明寺(周辺の描写に南塀も使われる)
・大目付・土田邸に招かれ出てくる山田親子、林光院。父親が勇次に吊られるのは宗旦稲荷鳥居(新次郎をビビらせるのに加代が祠で三味を弾く)
*鎖鎌の達人の兄、天井に潜む秀の気配に気付き梁に鎖を飛ばし一瞬で天井裏に上がってくる妙技を見せる。この強敵に向かうのは主水、順ちゃんを囮に鎖を封じ回りこむ。順ちゃんは友達の火刑を見て熱出してるので、今回殺しはパス。*山田の父に五味龍太郎、出入りの火消しに丹古母鬼馬二。


第5話「夢の女に惚れたのは秀」1982.11.5

 秀になんと夢遊病の気、これを悪女に利用され、さんざ悪夢を見たすえ殺人者に仕立てられかける、ちょっと奇妙な一話。

ロケ地
・公儀御用鏡師の道斎が作事方のタカリ侍に賄賂を渡す屋形船、嵐峡
道斎の女房が弟子と逢引の茶屋、錦水亭
・悪夢続きでクサる秀が佇む水辺、大覚寺大沢池(木戸脇)。そこへやって来た「夢の女」を呼び止めるのは五社明神、女に「夢の中で亭主を殺して」と縋られるのは天神島
*道斎に名悪役・外山高士、被害者は珍しい。頼みの筋の肌付金はうまく主水に渡る。女房のお銀に長谷直美、男たちの思惑をよそに秀を名指しせず、秀に殺される際には後悔する言辞もあり。好きな人の前では殺しはできないと泣く秀で、誘導されての殺しはナシ。鏡師ネタなので、あざといくらい合わせ鏡の効果が使われている。


第6話「女牢に目をつけたのは主水」1982.11.12

 嫌がる武家娘を縛って致すのが趣味の変態さんは、嬲る相手を牢から調達。身籠り始末された女囚の妹は、自分の身代りで罪を着た姉の仇を討つため自ら牢に。

ロケ地
・伝馬町牢屋敷、大覚寺大門
・越中屋寮、望雲亭。お栄が埋められる墓地、不明(丘の上か)
・勇次と順ちゃんが的を殺る夜道、広沢池東岸
*変態商人に北見唯一、牢名主に長谷川待子。縛りは捕縄術名手の同心が担当。


第7話「捨て子をされたのは三味線屋の勇次」1982.11.19

 ささやかな願いを叶えるため三味線屋の軒先に赤子を捨てた幸薄い女は、力に押し潰され地獄を見て逝く。依頼は出されていないが、勇次とおりくが有り金を置く。

ロケ地
・亭主の墓参りに行ったおりくが三味をさらうお小夜と会う墓地、黒谷墓地(お小夜が三味を弾くのは文殊塔下の石段脇)
・家元・棹屋邸、不明(萱葺き・数奇屋ふう/斬り捨て御免第1話に出たものと同じ)
・岡っ引連れで子を取りに来た家元の倅に自分の子だと啖呵を切ったあと、お小夜に子の父になることを申し出る勇次、桂川畔か。
*薄幸の女が絶品、今出川西紀。


第8話「窓際族に泣いたのは主水」1982.11.26

 主水よりひどい待遇の五年も書庫整理の老同心、しかし文武両道の自慢の息子がいて、町場の者ながら気立てのよい娘が嫁に決まり、という筋立ては必殺のみならず時代劇のお決まりで悲劇に収斂。このお話では、父子の非業の死のあと残された「嫁」が身を落し頼み料を捻出するも、初手の客にあろうことか「仇」がついてしまい、惨劇となる。

ロケ地
・中身の銃を見てしまい撃たれた荷揚げ人足が死体で見つかる川端、罧原堤下汀
・お糸に今度父に会ってくれと告げる窓際族の南町同心の息子・信一郎、柊野堰堤下。
*鉄砲方与力とつるむ銃密売の悪徳商人に浜田晃。


第9話「年末賞与を横取りしたのはせんとりつ」1982.12.3

 お城の畳替えの仕事を取りたい商人と、横領の穴埋めをしたい役人が結託。ハメられるのはライバル店の職人で、前科を利用される。

ロケ地
・子を捜す政吉に誘拐したと告げ錠前師の腕を貸せともちかける以前の仲間、広沢池池端。
*政吉に平泉征。*順ちゃん試験勉強で仕事パス、自宅謹慎中の主水にツナギをとるため加代は熊野権現の札売り巫女に。


第10話「子供にいたずらされたのは主水」1982.12.10

 一分金に紐をつけて大人をからかう坊、食い詰め浪人の逆鱗に触れ斬られてしまう。坊の親父は裏で顔役とつるんでおり、浪人は私刑・妻子は始末の仕儀に。顔役と浪人には経緯あり、裏の顔を知られたくない事情があった。

ロケ地
・顔役の手下に連れ去られた子らを追った順ちゃんが二つの死体を発見する溝、今宮神社石橋下。
*顔役は堺左千夫、殺された坊の親父は波田久夫。


第11話「恋の重荷を背負ったのは秀」1982.12.17

 秀に技を教えた男の娘が、亡き父の遺志を果たすため仕事人になってやって来る。的は秀が親しくしている飴売り娘の父で、仲間を売り足を洗った土蔵破り。彼には二重に過去のしがらみがまとわりつく。

ロケ地
・飴売り娘に修理した簪を届けに来る秀、今宮神社境内。
・仕事帰りの飴売り親子、広沢池東岸堤〜汀にあしらった小屋が家(夜間撮影)
・飴売り親子が昼をつかう水辺、広沢池観音島(水無し、サギ多数群れる)
・飴売りの治平が自ら殺されに行くとお六に約した汐見橋、中ノ島橋(お六は橋下で待つ。捕り方が橋の上を走り、治平が追ってきた賊一味に襲われ果てるのは河川敷、栗石に光が当たり印象的)。主水が賊とつるんでいた同心を殺る祠はセットと判断したが、背景に石垣が光るのがちょっと五社明神っぽい。
*治平に北村英三、お六は竹井みどり。


第12話「つけ文されたのは主水」1982.12.24

 悪党の罠にはまり父を殺され店は欠所になってしまうお嬢様、呆けた彼女を引き取り慈しむ男がいるものの、結局二人とも口を封じられてしまい恨みの筋が託される。

ロケ地
・伝吉に段取りをつけさせ菊弥太夫と屋形船でデートのお嬢様、乗り込む船着きは渡月小橋下手の階(右岸側・オルゴール店側に竹垣あしらい、橋は見えないように撮ってある)
*長崎屋令嬢のお波に仁和令子、伝吉は元長崎屋奉公人で狂言作者志望の若者。太夫は堀田正美、元旗本無頼で現勘定方の侍や狂言作者などとつるみ盗みのほか内部情報を取る賊・暗闇小僧。*タイトルは夜鷹に岡惚れされた主水が貰う恋文で笑い話、代書をしている伝吉につなげる挿話。*順ちゃんは探索を終えると「年末で忙しいから」消え、おりくさんが旅から帰り途中参加。


第13話「上司の期待を裏切ったのは主水」1983.1.7

 貧乏が嫌で突っ張らかる柳橋芸者が純情に立ち戻ったとき、保身を企む黒い手が伸びまっとうに生きようとした意志は踏み躙られる。

ロケ地
・芸者・菊千代の回想、自分に純情を捧げる下駄職人の音吉と遊んだ幼時の川端、桂川か。
*芸者は北原理絵、幼馴染の職人は江口正昭。順ちゃん召集には講習で遅刻のほか、仕事にゴーサインの場には来ず。しかし秀が潜入の船宿には無理についてきてヤラしいものを見てエレキテルがあそこに。


第14話「婦女暴行を目撃したのはおりく」1983.1.14

 衆を恃み女を慰み者にする許し難い書生輩の悪戯は遂に殺人に発展し、発覚を恐れるあまり仲間を殺めたうえその母も手にかけるという深間に落ちてゆく。友人の死に憤激し仇を討つと激する順ちゃんだが、「仕事」への参加は許されない。

ロケ地
・婦女暴行事件に関する「表」の仕事で順ちゃんを呼び出し探索の主水、昌平黌付近へやって来るくだりは今宮神社東参道(この先が昌平黌で予備校がたくさんと順ちゃん)高倉脇坂(町方の主水を見た「犯人」がヤバいと騒ぎだす)
・お玉ヶ池千葉道場付近を案内するくだり、大覚寺五社明神有栖川畔(主水、学生に突っ転ばされ)大沢池北西畔。主水といた順ちゃんに怒った書生たちが彼を取り囲む道、大沢池堤。順ちゃんが池に叩き込まれるのは水門脇。
・殺された半玉の姉芸者が、目撃者のおりくに頼んで犯人を捜し歩いたすえ見つけられず帰る道、放生池堤。二人に気付いていた書生たちが待ち受け潜むのは天神島祠脇、芸者とおりくを襲うのは天神島鳥居、面を割ってしまった弥太郎を殺すのは大楠根方。
・出陣の秀がゆく道、今宮神社東参道東門(閉めて時を待ち、一人目が勇次に殺られたあとパニくって逃げてくるのを仕留める。簪で門を留めてあったり、門扉に張り付いていたりする)
*弥太郎の母に白石奈緒美、町方が捕えて形式上弥太郎殺しの下手人にしたおりくを的に頼み料を置いてゆく。


第15話「加代に死の宣告をしたのは主水」1983.1.21

 加代たちの長屋に住む、おっかさんの目を治すんだと健気に働く坊が、富商の捜す双子の片割れというよくあるパターン。欲をかいた加代が坊の情報を売り込みに行くのもお決まり、しかし富商の女将はとんだ曲者で坊どころか加代にも災いが。怪しい女がいると田中さまに話を上げられてしまい危機一髪、制裁も覚悟して反省しきりの加代が泣かせる。

*ロケなしセット撮り。女将に佐野アツ子、つるむ同心に中田博久、同じく一味の番頭は芝本正。


第16話「饅頭売って稼いだのはお加代」1983.1.28

 幕閣の人事も意のままにするフィクサーは生臭坊主、拳法の達人や猛犬を飼いがっちりガード。父の仇・覚明の悪事の証拠をつかむため、大奥女中だった女は提げ重に身を落し寺に潜入する。このため駕籠舁きとデキて大奥を下がる醜聞をでっち上げての周到さも、覚明の金の力に負けてしまう哀話。

ロケ地
・精華院の門、金戒光明寺三門
・お光が「利用」した駕籠舁きが秀に悩みを打ち明ける水辺、大覚寺大沢池畔。
*順ちゃん参加は猛犬対策、エレキテルで通路を作製。平服でやって来て殺しはナシ。


第17話「花嫁探しをしたのは勇次」1983.2.4

 昨夜祝言したはずの嫁が消え、起きたら傍らにお女郎が寝ているという仕儀に騒ぐ青年。彼の申し立ては悉く否定され、居合わせた勇次はきっとヤバいと忠告するが、青年も相手の娘も死に追いやられる裏には、富商乗っ取りの悪謀がとぐろを巻いていた。

ロケ地
・上州屋の祝言の花嫁披露で騒ぎ殺された伍作の墓、北嵯峨農地の小丘・田地越しに広沢池が遠望される。
*謎めいた展開で始まるものの、仕事に掛ける段はルーティン。順ちゃん殺しに参加。


第18話「月の船を待っていたのは秀」1983.2.11

 酷い親方のもとで日を過ごす角兵衛獅子の娘は、苦しみから解放してくれる「月の船」を幻視する。哀れな現実逃避の夢想は、仲間の少年たちを巻き込み神々しい祈りの場を形成するが、欲をかいた大人たちの食い物にされ悲劇となる。

ロケ地
・「見せ物」が見物の怒りを買い町方が出る騒ぎのあと、香具師らが子らを乗せて連れ去る苫船、広沢池東岸か。
*子らにシンパシーを抱き「行事」に参加する秀、仕事人「潜り技隠し黄金止め」と似通う設定なれど、秀の青さを描いたそれと異なり詩的な仕上がりで、政の「黄金の血」にも通じる。冷血の親方は山本昌平。


第19話「にせ物に踊らされたのはせんとりつ」1983.2.18

 金のため一度だけ節義を曲げ作った模造品は、悪党の手で古陶に仕立てられ世に出回る。事実を知りねじ込んだ陶工は消され、父の死に怒った息子が殴り込んで同じ運命に。盗った簪の金を瀕死の体で届けに来た青年の心を汲み、秀はそれを頼み料として置く。

*ロケなしセット撮り、順ちゃん参加せず・理由は湯冷めするから。


第20話「厄払いしたかったのは主水」1983.2.25

 横行する怪しの拝み屋を告発しようとした瓦版屋、敵の正体はかつて彼を裏切り罪に落とした仲間だった。彼が消されたあと息子は拝み屋を調べるが、悲しい事実を知った直後殺されてしまう。

ロケ地
・文三がタレコミと呼び出され殺される河原、中ノ島橋下河川敷。翌朝の死体検分は橋下手の河原。
*厄払い教団のヌシに藤木孝、グルの瓦版屋に住吉正博。仲間に裏切られ寄場送りになったうえ妻を盗られた文三に楠年明。*順ちゃん参加させて貰えず←ツナギの場で正義の瓦版作り提案してあきれられ無視され。


第21話「赤ん坊を拾ったのは三味線屋おりく」1983.3.4

 職人夫婦のささやかな幸福は、「羊の皮をかぶった化物みたいな娘」の横恋慕によりめちゃめちゃに。殺すためにさらわれ捨てられた赤子を拾い、一番弟子と認めていた女を手にかける、おりくではじまり終わる一話。

ロケ地
・女房「失踪」後、赤子を抱いて一人川端をゆく植木職人の吉造、罧原堤下河原
*吉原の大元締が猫かわいがりする娘に今出川西紀、どこか翳のある善人面、悪女ぶりもおりくの指弾を聞く迷惑顔もさすが。*廓に行ってみたくて参加をせがむ順ちゃん、不許可。


第22話「湯女に惚れられたのは勇次」1983.3.11

 変態のお大尽に殺されてしまう湯女の仇を討つ話、それは勇次に惚れていて、痛めた腕を労わり案じてくれた女だった。

ロケ地
・勇次が順ちゃんを呼び出し医学的見解を聞く水辺、広沢池東岸(水少なし)
・湯女のゆきがお参りの小春稲荷、今宮神社稲荷社(与力と幇間に拉致されるくだりでは、駕籠で東門を出てゆく)
*変態サディストの両替商に梅津栄、つるむ南町与力は上野山功一。勇次の腕は順ちゃんが電気治療。


第23話「ギックリ腰で欠勤したのは主水」1983.3.18

 秀が拾ったのは、山形から父探しに出てきた母子。坊を連れて行った見せ物小屋に父はいたが、彼は好き者の女を誑かす道具にされていた。

ロケ地
・秀が母子を拾う川端、大覚寺放生池堤
・お静の回想、茂助を見送った故郷の峠、不明。
・茂助の営業実態を見てしまったあと、親子三人語り合う丘、不明(松の根方?)
・一家が始末されかかる屋形船、広沢池(秀が駆けつけるのは東岸、茂助の検死も東岸、水上のシーン一部大沢池か)
・仇討ちを加代に託し江戸を去る母子がゆく小雪舞う野道、酵素河川敷
*「怪力熊男」で見せ物小屋に出ていた茂助に丹古母鬼馬二、舞台では全身毛だらけ。女房のお静は早乙女愛、座頭に黒部進。*順ちゃん参加(ライデン瓶)。


第24話「三味線二重奏したのは勇次」1983.3.25

 年貢代わりに大島から連れて来られた織子たちを救う、生き仏と見えた尼僧はとんだ夜叉。尼を信じ脱走する娘たちを運んでいた娘船頭だが、辞めると申し出た途端に消され、その幼い弟から加代に願いが来る。

ロケ地
・ほぼ全て大覚寺。大川端と、向島妙月庵も全て大沢池まわりで撮影。織子たちが逃げてくる堤、放生池堤。庵の戸口は東塀通用門(有栖川側・妙月庵と木札)。庵近くを通りかかった勇次が妙なる三味の音に聞きほれ自分も三味線を出して弾き合わせるのは五社明神。娘船頭が織子たちを上陸させる船着き、大沢池船着き(小)。縁へ出て三味を爪弾く妙月尼、観月台か。大川端にあがる娘船頭の死体、放生池堤。勇次の出陣、船で大沢池をゆき、池溢出口を有栖川から見上げて石垣の間を船がすーっと通るアングルも。秀の仕掛け、東塀に取り付き戸口から出てくるのを待ち、通用門前の橋上で丹波屋を殺り、後は有栖川河床に降りて伊助を引きずり込んで始末。
*妙月尼に加茂さくら。一味は大坂新町遊郭に女を供給する企みで織子らを引っ張り込み、尼と同心がデキていたり←娘船頭はこれを目撃し嫌気がさす設定。順ちゃん不参加←試験に落ち熱出して寝込み・ツナギにも顔出さず。


第25話「殺しを見られたのは秀」1983.4.1

 秀に呪詛の言葉を喚き逝くターゲット、以後秀は常に何者かの視線を感じ脅え暮らす。苦悩は仕掛け間際まで続くが、自身で解決・納得。的は、卑母から生まれたことを僻ませぬよう甘やかされて育ち、狂気を孕む度外れた我儘者になってしまった姫と、その取り巻き。

ロケ地
・小間物問屋で見かけた秀を捜すあいだ姫を待たせる待合、錦水亭
*諏訪十万石の姫は風祭ゆき、御世話役は波田久夫(村正で姫に刺される)。


第26話「嫁の勤めを果たしたのは加代」1983.4.8

 強請りの小悪党が、上前をはねようとした二足草鞋に殺られる話。死んだ片割れに頼まれ母に会いに行った青年は、目のわるいおっ母さんに息子と誤認され、悪さをしつつも孝行しようとするが母ともどもヤクザの手にかかってしまう。

ロケ地
・亥之吉と伊之吉のコンビが強請りの上がりを分けようとしているところへ赤鬼一家が現れる大川端、大覚寺大沢池(ヤクザは五社明神の方からやって来る)。刺された亥之吉が伊之吉に母へと守袋を託す堀、御殿川河床。
・伊之吉が一旦はまともに稼ごうとして出向く工事現場、大沢池堤(地固め工事演出)
*土方をしくじった伊之吉が強請りに転じるくだり、恐喝する三人は順ちゃんに秀と勇次。冒頭の二人組での強請りはお嬢様(伊之吉のほう、けっこう似合う)と中間に化けて。*タイトルは、亥之吉のおっ母さんに嫁に来てくれと言われた縁で。


第27話「暴力塾生にいじめられたのは順之助」1983.4.15

 親の権威を笠に着て傍若無人の若様だが、新任の塾講師は腕っ節も正義感も強く捻られお灸を据えられる。もちろんそんなことで根性が直る筈もなく、卑劣漢は最も弱い部分を突きにくる。身籠っていた妻の無惨を見た男は、正面から乗り込んでゆくが馬鹿息子の親もまた卑劣なのだった。

ロケ地
・夜釣りの旗本(馬鹿息子の父)に仕掛ける秀、柊野堰堤落差工下・堰堤上。お供の郎党を感電死させる順ちゃんは堰堤下。
*塾講師は森次晃嗣、旗本は田口計。


第28話「相撲取りに惚れられたのは加代」1983.4.22ABC/松竹

 三年前腹を空かせて絶望していた力士志望の青年を助けてやった加代、彼は十両に出世して現れ不器用なアプローチをかけてくる。しかし勝つところを加代に見て欲しかった青年は、親方に持ちかけられた八百長を断りガチで勝ちに行ったすえ殺され、彼を好いていた幼馴染の娘と、恨みの筋は二人分。

ロケ地
・腹減らして絶望の果て入水を試みる青年を助ける加代、罧原堤下汀。「三年後」の再会も同所、水面に嵐山東公園の並木映り込み。
・長屋の大工夫婦が心中を擬装された死体で見つかる川端、広沢池東岸
*自ら手を下そうとする加代を、主水が止める。八百長で大儲けのうえ阿漕に貸し込む勧進元の相模屋は牧冬吉。


第29話「老眼鏡を買わされたのは主水」1983.4.29

 罪をでっち上げ牢にぶち込んだ囚人から金を巻き上げるシステム、与力と岡っ引に牢名主が組んでの悪行。金を作らせるのは娘の身売り、これには岡っ引の愛人の裁縫の師匠がからんでいて、順ちゃんの淡い恋の相手が毒牙にかかってしまう。

ロケ地
・伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門(裏口はセット)
・囚人の死体が運び込まれる墓地、例の場所か。
・順ちゃんがお袖とデート、大覚寺大沢池(お袖の父が窩主買いで捕まったと知らせが来るのは放生池堤)
*岡っ引は藤岡重慶、愛人の師匠は一柳みる、牢名主は汐路章。


第30話「スギ花粉症に苦しんだのは主水」1983.5.6

 堅気になった勇次の仕事仲間は、持病に付け込まれ夫婦ともども地獄を見る。悪党は主治医のほか御典医にヤクザ、女房の絵の師匠までてんこ盛り。

ロケ地
・賦分けの野原、糺の森か。
・竜とお峰の出会い、椿を取ろうとして滑落したお峰を助けた竜、保津峡落合落下岩
・町で竜を見かける勇次、中ノ島橋の上と下。
*百花の竜に苅谷俊介、お峰は鈴鹿景子、主治医は真田健一郎。*勇次の仕掛け、三の糸でモチーフの椿を散らして。


第31話「全財産をなくしたのは加代」1983.5.13

 惰弱の風を嘆き世直しを思い立つ殿様、指向性がアレで度胸試しに無辜の民を殺戮。目撃した加代に行状を聞いた、名乗らぬまま来た日陰の母が止めに走るが結果は無惨、そのおばさんに幼時世話してもらった勇次が頼み人に。

ロケ地
・田安家上屋敷、大覚寺大門(庭や縁はセット)
・逃散百姓が寄って住む町外れ、酵素河川敷に掘立小屋あしらい(襲撃シーンは夜間)
・田安の家士が浪人たちを斬る林、下鴨神社糺の森。配達中の加代がそれを目撃するのは参道。逃げた加代が通りかかった町方に縋るのは河合社脇。
*田安の殿様は遠藤征慈、日陰の母は小畠きぬ子、殿様を唆す軍学者は五味龍太郎で指南役は高峰圭二。*タイトルは目撃時預かった大金を落しすっからかんの加代→腹減らしてスラムに施しのおこぼれを貰いに行き襲撃を見る。


第32話「誘拐犯の娘に惚れたのは秀」1983.5.20

 定期的に来る秀のメランコリー、寝そべりに行った川端で見たべそかき娘には重い事情。子供の命を救うため脅迫者から逃れた娘は行くあてなく秀を頼るが、父子ともども悪党の手にかかり、恨みの筋が託される。

ロケ地
・鬱屈した秀が寝転びに行く川端の草原、桂川松尾橋下手右岸堤法面(堤上の木が印象的、後段では桂川の曲折点を望む下流を見た絵も出る。堤越しに嵐山の緑が映し出される)
・身代金が船に積み込まれる大川端、広沢池東岸(悪党とグルの岡っ引が船に細工するのは葦原)。主水の出陣にも広沢池東岸(堤の並木)
*南町同心が黒幕で仕出かす誘拐事件、秀のお相手の娘は脅されて仕方なく加担した岡っ引の娘。主水に仕置される同心は「仕事人だったのか」発言。


第33話「囮になったのはおりく」1983.5.27

 ポスト狙いの暗殺をしてのけたのは冷徹な殺し屋、久しぶりに江戸に戻ってきたおりくは、彼らを仕事にかける依頼を受けていた。

ロケ地
・夜道を流して歩くおりくを襲う殺し屋三人組、鳥居本八幡宮小柴垣道〜広場。
・殺し屋を雇った曽根の屋敷イメージ、民家長屋門
・誘い出された小夜(「切腹」した勘定奉行留守居役の娘)をつける秀、広沢池東岸(隠居に化けた民蔵に道を聞かれ邪魔される)
・殺し屋を誘き出し仕掛ける橋(アジトは向島浜松河岸、弁天島側へ誘い出し)中ノ島橋。順ちゃんプランで橋に細工、工作段階では橋桁裏に取り付き鋸を振るい、仕掛け段階では堰堤上に立ちロープを手繰る。勇次の仕掛けは欄干を支点にして吊り、二人ともドボン。このくだり、出陣の勇次は橋下河川敷(栗石)で、おりくが民蔵にとどめをさすのは湛水区間の堀端(民蔵、再ドボン)
*殺し屋のヘッドは江幡高志、留守居役の後釜に座った黒幕は有川正治。


第34話「大名になったのは同級生」1983.6.3

 タイトル通り、順ちゃんの友達の塾生が頓死した小大名の跡取りに。物慣れぬ青年大名は老獪な茶坊主にころっと騙され、大金を毟られた挙句篤実な家老に加えほのかに恋情を抱いていた腰元を蹂躙され殺されてしまう。これが「仕事」になり、糠喜びに終る高額の頼み料や悪党どもの描写など戯画タッチで進む。

ロケ地
・酒井家上屋敷(元老中・闇将軍)相国寺林光院
・江戸城イメージ、姫路城天守。御廊下、西教寺本堂・書院間回廊。控えの間等も書院や客殿の座敷と思われる。
・堀家の腰元・浪江の入水、大沢池か広沢池か。
・小坊主組頭を尾行する秀、相国寺鐘楼前〜林光院(酒井邸)。出陣のおりく/秀も相国寺境内か。
・事後、遠流になった「同級生」を見送る順ちゃん、相国寺大光明寺南路地
*組頭に逆らい殺される小坊主に村田正雄、堀家家老に中井啓輔、小坊主組頭は北九州男。*仕掛けは酒井家へ乗り込み、スケスケ女相撲に興じている悪党どもを仕置。


第35話「金融札に手を出したのはお加代」1983.6.10

 借りたら地獄の、今でも笑えない高利貸しネタ。厳しい取り立てに遭い家をとられたうえ娘を失った母は、辻に立ち頼み料を作る。気触れ芝居で大江戸屋から逃れるおふみ、直後に見せる凄絶な恨みの顔が印象的。目隠しカウンターも仕置の際効果的に使われる。

ロケ地
・女衒にひかれ街道をゆくおふみ、北嵯峨か。
*おふみは入江若葉、高利貸し一党はお馴染みの悪役さんたち。順ちゃんツナギの席で異議を唱え離脱。


第36話「ニセ占いで体力消耗したのは主水」1983.6.17

 大経師乗っ取りの陰謀、天文方の役人が世話した後妻がとんだ悪女。企みに加担する怪しの易者が皆既日食で大儲けのネタなども挿まれる。
見込まれた家の娘と親しかった順ちゃん、彼女の死を見届け仕事に参加・後妻を始末。

ロケ地
・日月堂の娘と話す順ちゃん、「材木置場」。
・江戸城イメージ、彦根城天守(日月堂が刷り上った新暦を持って上がる)
・母を殺そうとしたかどで処刑される美緒、下鴨神社池跡(柵あしらい)
*巫女あがりの後妻は磯村みどり、一見貞淑な悪女がハマリ。天文方は原口剛。


第37話「芝居見物したかったのはせんとりつ」1983.6.24

 名優を父に持つ青年は役者を志し若村座に入るが、母の危惧通りそこは魔窟だった。淡い恋も摘み取られ父同様に殺されてしまう青年、病の床で悲報を聞いた母は仕事人に恨みを託して果てる。

ロケ地
・船で出陣の秀と順ちゃん、広沢池東岸
*沢村菊之丞は西川鯉右、市川富三郎は藤間勘十郎、座の親方の金貸しに深江章喜、一味なるも恋の恨みで旧悪を暴露し殺される女形に梅津栄。*役者二人の仕置は舞台で、演しものは曽根崎心中、お初徳兵衛心中のクライマックスで主水と勇次が仕掛ける。


第38話「淋しいのは主水だけじゃなかった」1983.7.1

 次期将軍を狙う御三卿の一・清水家のご隠居は、活動資金を陰富で調達。手先に使った越後屋が女房に逃げられ、秘事を知る者としてその女に魔手が伸びる。復縁したばかりの前夫を殺したことにされ女は刑死、その恨みは主水たちが晴らすが、御三卿の隠居を殺ってはタダでは済まない。

ロケ地
・清水家の庭、不明(永観堂の溢水口に似る。セットの可能性あり)
・店に現れた母を追い共に暮らそうと言うおひさ、広沢池観音島
・おすみの処刑、酵素河川敷
・江戸城イメージ、姫路城天守
・別れのツナギ、大覚寺天神島
・江戸を去る仕事人たち、大荷物を持った加代がゆく野道、北嵯峨農地・畦道。秀がゆく街道、不明(堤)桂川松尾橋上手右岸汀。勇次がゆく街道、北嵯峨竹林広沢池(船上)
*おすみは二宮さよ子、陰富を牛耳る越後屋は高野真二、清水の用人は草薙幸二郎、グルの吟味与力は浜田晃。


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