武士道無残

森川英太朗監督作品 1960.11.30松竹

キャスト
榊原伊織/山下洵一郎 榊原信幸/森美樹 お幸/高千穂ひづる 家老/渡辺文雄


 「何事も仕来り通り」の武家社会の掟、加えて古今変わらぬ支配階級の自儘に振り回される「下級」武士の悲劇を描く。
 若君の逝去に伴い殉死者が選ばれるが、はじめに名指しされた若者は逃亡を企て斬られ、お家断絶の憂き目を見るのが前振り。この不祥事が幕府に聞こえてはと急いで次が選ばれ、指名された青年とその兄、青年を母代わりに育てた嫂の苦悩がはじまる。
青年を蕾のまま散らすに忍びぬ嫂は己の体を与え餞とするが、青年が覚悟して切腹の座についたそのとき、幕府から追い腹罷りならんとのお達し。全てが狂ってしまった一家の上に、ひょんなことで腹を切られては困る家老の思惑で青年の抹殺指令も降りかかってくる。

ロケ地
・殉死を厭い逃げた吉村家の次男が追っ手に斬られる「砂丘」、鳥取大砂丘か。
・OPに被るお城イメージ、二条城北大手門彦根城石垣と天守。
・殉死を厭い逃げた青年のことを今時の若者はと噂する「声」に被る若侍たちの修練シーン(馬上から的に手槍打ち込み)、下鴨神社馬場か。
・兄・榊原信幸に殉死の役目を言い渡された伊織が家を飛び出し立ち尽くすのを見て泣く下男、広場の奥に林、不明。
・兄に伴われ城内の持仏堂へ参籠に赴く伊織、彦根城天秤櫓下〜天秤櫓。
・参籠中の伊織を見舞った友人らが、本来追い腹切るべき重臣の子弟を見て憤激する城下の原っぱ、不明(伊織が立ち尽くしていたのと同所)
・一日の自由を許され城を下がってきた伊織が馬を責める道、川堤か。父母の墓がある荒井村の屋敷、不明(この民家に酷似)
・嫂・お幸と父母の墓に詣でる伊織、墓は不明(五輪塔)。帰り道の二人、三重塔の傍を通り湖を遠望する高台、安土城跡内のハ見寺(「西の湖」の見え方について現状未確認)。手をつなぎ寺を出てくる二人のくだりで仁王門をくぐり、その後丘陵(不明)を経て伊織が馬を駆けさせていた堤へ。
・自分は死ぬがこの山河は在り続けると語り、己の生きた証はどこにもないと歎ずる伊織、琵琶湖西岸汀。その夜伊織に体を与えるお幸、西岸松原。
・切腹の座につく伊織、セットか(作法通りの挙措、短刀を手にするも嫂との情事がフラッシュバックし逡巡、長い尺)
・殉死が中止となったあと城を下がる兄弟、彦根城石垣際〜天秤櫓(兄は家老に呼ばれ、伊織は寺に監禁と指令)
・伊織出奔を聞き荒井村へ走るお幸、屋敷とハ見寺石段。
・伊織に死んでくれと言い刺すお幸、やって来た兄が伊織を斬り捨てる松原、琵琶湖西岸
・ラストシーンに被るお城イメージ、二条城隅櫓彦根城天守


*上映日時参照元 日本映画データベース

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ