八州廻り桑山十兵衛 捕物控ぶらり旅
キャスト

桑山十兵衛/北大路欣也 主人公の八州様・やもめで一女あり
粂蔵/寺島進 十兵衛の小者・爽快なガラの悪さが必見
五兵衛/河相我聞 桑山家足軽・八重ちゃんを見る視線が優しい
川端三五郎/笹野高史 十兵衛の口うるさい上司
登喜/梶芽衣子 義姉上・再婚勧めが定番
八重/北村一葉 十兵衛の一人娘・健気に父を待つ

2007年5〜7月
テレビ朝日/東映


大堰川第1話 2007/5/1

 博徒の揉め事が血を見そうという厚木宿へ出向く十兵衛、着いたその晩に代貸が血祭り。激しい憎悪を滾らせる代貸の女房を抑え、金での手打ちに持ってゆく十兵衛だが、秘事を見た道案内が斬られたことで真相が発覚、黒幕を成敗する次第に。

ロケ地

  • 中仙道坂本宿に出没する押し込みを捕え江戸へ護送する道、不明(溜池の堰堤/将軍家光忍び旅II第5話と同所)
  • 厚木へ向かう大山街道、粂蔵と十兵衛が落ち合う茶店、上賀茂神社ならの小川畔。大山詣の行き交う、五兵衛が二人を待つ茶店、山室堤登り道。
  • 厚木の渡し(相模川)大堰川(道案内の勘助が出迎え)
  • 弥五郎一家の代貸が殺されて見つかる竹林、鳥居本か(死体は大岩に寄りかかり)
  • 代貸殺しの犯人と目された、対立する彦次郎一家の熊吉が土左ヱ門で上がる相模川の河原、桂川松尾橋上手・罧原堰堤直下右岸河川敷
  • おさわに示談金を持ってゆく勘助と、宿へ戻る十兵衛が別れる夜道、不明(道端に祠・背後は林/ゴイサギの声あしらい)
  • おさわの回想、旅芸人として流れ歩いた「道」、木津河原か(一面の砂地・水みちと思しき筋/画面上部に枯草の土手)
  • おさわの家で「男」を見た勘助が斬られる道、保津峡落合崖道
  • 厚木を発つ一行を見送る勘助の女房・お絹、大堰川河川敷(渡し場)

*道案内の勘助は神保悟志、女房は山口香緒里。代貸女房のおさわは星野真理、厚木陣屋下役は羽場裕一。


走田神社稲荷社第2話 2007/5/8

 八州のニセモノが出る話、ハメられて御判物を盗られた同僚を思って秘密裡に事を運ぶ十兵衛、偽者の真似っこまで出る始末で、こやつらを囮に江戸まで護送してゆくが押さえたのは一味の女一人。上司に雷を食らいかけるが、当の川端さまの口がそもそもの発端なのだった。

ロケ地

  • 江戸へ帰る十兵衛一行、大宮宿手前の中仙道は山室堤(大宮宿泊、八州の山下ご乱行を耳にする)
  • 江戸イメージ、妙心寺霊雲院前路地(通行人の足もとのみ映る)。八重を連れた十兵衛が風車を買い与えるのも同所。
  • 偽八州を探索に出る十兵衛、日光街道を古河に下り山下の道案内と落ち合う茶店、谷山林道頂上付近
  • 偽八州が捕まったと聞き栃木宿へ、本物の山下が捕まっている名主邸、走田神社社務所
  • 御判物を追うべきという十兵衛、妾が気になり江戸へ戻る山下、別れる街道分岐は谷山林道分岐道(十兵衛らは脇道の登り、山下らは本道を雲心寺平方面へ/妾宅は足利)
  • 偽八州が凶行と聞き上州大浦へ向かう十兵衛、道案内と落ち合う山道、谷山か。
  • 偽八州を求め野州を歩き回る十兵衛、セットを挟んで河原のシーンは大堰川河川敷
  • 木崎宿で捕えた真似っこ一味を唐丸に籠め、偽八州らの接触を見張りながらゆく深谷から江戸へ向かう中仙道、熊谷手前の池堤は1話と同所(不明)、鴻巣を過ぎ蕨宿手前の街道は山室堤、板橋宿近くの池堤不明、板橋手前で昼を使う茶店は大覚寺大沢池畔
  • 御側御用の旗本・小川讃岐守邸、大覚寺明智門(三男の冷や飯食い・半四郎が出てきてブチの二毛猫を構う)。半四郎がゆく市中、擦れ違う町娘を見返るのは走田神社稲荷社重ね鳥居。十兵衛が彼に「山下どの」と声を掛けるのは参道、立ち回りは本殿前。半四郎の供述で上州大浦の利根河原で見つかる手下の死体、広沢池池底

*山下は石橋蓮司、百姓家に飯泥棒に入ってたりのナサケナイ系レンジで、最後にはあんまり反省してナイので十兵衛の鉄拳を食らう。レンジの妾はメイサツキ、お妾さん部分は思わずレンジ悪趣味!で、唐丸を見に現れ十兵衛の指弾を受ける部分では哀しい女。半四郎は榊英雄。
*父親と部下の会話を聞いて、そそくさと荷物をまとめている八重ちゃんがいじらしい。大仕事を前に張り切ってトレーニングの粂蔵の気合いも見もの。


保津峡落合第3話 2007.5.15

 捕まえた貸元は上州で三本の指に入る大物、その凶悪を恐れる者たちにより今回もまんまと微罪で逃れるが、桑山のダンナは捨て置かない。のうのうと「酒肆の親爺」で過ごす喜三郎、その真向かいの木賃宿に陣を構えた十兵衛は、執拗な監視を続けアゴを干上がらせてゆく。

ロケ地

  • 喜三郎を告発した又八が消される林、鳥居本か糺の森か(死体は倒木に凭れかかり)
  • 八州の黒田が喜三郎に啖呵を切るも「酔って落ちた」工作で消されるくだり、保津峡落合河口、落下岩。
  • 粂蔵が喜三郎を護送してゆく道、大覚寺放生池堤
  • 粂蔵とは別に江戸へ戻る十兵衛、広沢池西岸際の道(農地からの撮り)
  • 喜三郎の処分が決まったあと十兵衛が狙撃される帰り道、大覚寺護摩堂裏手。
  • 五料宿で道案内の辰次らをピックアップしてきた十兵衛が、遅れてやって来た粂蔵らと合流する街道、嵐山自転車道
  • 近在の道案内を呼び集め指令を出す鎮守、大覚寺五社明神裏手。
  • 事後、木崎に戻ってきた桝吉がお京と再会する道、大覚寺大沢池北辺並木(植え込み際に地蔵あしらい)

*喜三郎は火野正平、スキンヘッドの強面。丁寧な物言いには凄味、狭まる包囲網にキレてゆくさまは哀調を帯び、「渋い」正ちゃんの魅力全開。木賃宿の女将で元喜三郎の情婦に喜多嶋舞、彼女のため身代りとなる桝吉は高杉亘。道案内の辰次は四方堂亘。
*八重ちゃんネタは食いものがらみ、せっかく作った蕎麦も天麩羅も苦手で義姉上に嫌味を言われる次第。


竹中稲荷第4話 2007.5.29

 主家の金を持ち逃げした青年は主街道を避け大がかりな回り道、彼の闖入は頼ろうとした安房の網元と周囲にとんだ災禍をもたらす。

ロケ地

  • 十兵衛が娘とお参りの神社、吉田神社竹中稲荷本殿。
  • 十兵衛一行がゆく下総の街道、山室堤(持ち逃げの忠吉を内々に追う岡っ引とばったり会い話を聞く茶店を堤にあしらい)
  • 忠吉が勝浦へ向かうルート、犢橋(こてはし)から上総一宮のくだりは大覚寺大沢池北辺水路(駕籠)山室畦道(映像は忠吉一人、直後に地図被り「東金」、ここまでは東金街道)日本海海浜(地図は大網、本能、茂原を経て一宮川を渡り一宮。忠吉が一人ゆく海岸は一宮海岸設定か)
  • 干鰯並ぶ勝浦の浜、日本海海浜に合成か。須崎屋、宝厳院通用門
  • 忠吉の死体が見つかる川、保津峡落合河口(流れのみ映し崖や保津峡は入らず・小河川しかない勝浦の地形を反映か)
  • 忠吉殺しの疑いで捕えられていた津国屋が破牢し須崎屋を刺してしまう浜、琵琶湖(当地を去る一行も同所)

*親切心から忠吉を泊め、金を盗られると思い込み猛る彼を殺めてしまう夫婦は中島ひろ子と宮川一朗太、子に着せてやりたくて忠吉の衣を仕立て直してバレる運び、その哀れに十兵衛は「見逃し」。忠吉が古着屋で贖めた「三筋だての結城縞」はなかなか印象的。お大尽の津国屋は石田太郎、成り代わろうとする野心家の須崎屋は片桐竜次。津国屋に女房を奪られた当地の道案内は三浦浩一、充分に描ききれておらず勿体無い。白札屋に内々の調査を頼まれる岡っ引は峰蘭太郎。*忠吉が勝浦へ向かうルートの設定は画面から追ったが、駕籠舁きが犢橋から一宮まで送ったと言っているので厳密には設定されていないイメージとも思われる。
*健気な八重ちゃん、出かける父上に形代の姉様人形を渡すのが可愛過ぎ。


保津小橋第5話 2007.6.12

 義姉上に異母妹の息子が大変と頼み込まれ、玉村宿へ出向く十兵衛。名家へ養子に入った青年は、飯盛女と相対死騒ぎを起こしていた。無実の証拠を求めるくだりはいつものドラマ、新婚早々にも関わらず婿殿が悪所通いをする訳に、変わった設定を持ってくる。

ロケ地

  • 春の野に出て八重と草摘みの十兵衛、大堰川堤外地(河原や水面は映らず)
  • 玉村宿へ向かう一行、粂蔵がおむすびを頬張りながら十兵衛を待つ地蔵さま、大覚寺大沢池北辺並木(地蔵のほか「中山道」の石標あしらい)
  • 道案内の幸平と前橋へ向かう十兵衛、利根川を渡る橋は保津小橋(二人は橋上、橋下を船が下ってくるが残念ながらFRP。下流側から側面を見る図で、ほぼシルエット)
  • 川越藩前橋陣屋、民家長屋門(ここの留守居役が「婿殿」の岳父)
  • 幸平の依頼で婿殿・格之進の敵娼の馴染みを聞き込む男たちのくだり、塀際で百姓女に話を聞くのは民家塀際。
  • 真犯人が見つかり解放されたあと、十兵衛に礼を述べ実家へ帰るという格之進に婚家へ挨拶に行けと勧める十兵衛、大覚寺護摩堂裏手に茶店あしらい。

*格之進は辻本祐樹、舅は林隆三(渋い)。道案内は井上高志、刺客の雇われ浪人は谷口高史(狂態がなかなか)、格之進に詰腹を迫る藩士たちは野口貴史に伊集院八朗、欲がらみで悪心を起こす女郎屋の女将は桂木梨江。
*格之進の嫁は十一歳、遅くにできた子に早く家を継がせたい留守居役が「焦った」結果の騒動。いがみあう婿と舅は少女の言葉に降参の態。
*十兵衛の料理は義姉上のお礼の鯛/八重ちゃん、笑ってるところを見るとコレは好物なのか。


第6話 2007.6.19

 上州でブイブイいわせていた千葉周作に江戸行きを示唆し、北辰一刀流興隆のきっかけとなったかもの八州さま。但し騒動にかまけていたため、八重ちゃんの新しい母上は実現しない。

ロケ地

  • 江戸の町の書割に姫路城天守(?)合成。
  • 組頭の川端さまが話す千葉周作のトラブルのくだり、野田天流の剣客たちと仕合う周作は酵素河川敷・木の前。
  • 掲額の件で揉める伊香保神社、鳥居本八幡宮
  • 上州へ向かう十兵衛たち、早々に出会う千葉VS野田天流の諍いは大覚寺五社明神
  • 会いに来た初枝と逍遥し話す十兵衛(行田宿はずれ)大覚寺遣水跡(大沢池北岸、天神島北辺水路や夜泊石なども映る)
  • 道案内の義助が関わる事件のため前島へ馬を飛ばす十兵衛、山室堤大堰川(渡し場)
  • 奉納の扁額を携え引間の佐鳥道場へ入る千葉周作と弟子たち、民家南塀際民家長屋門(佐鳥道場)
  • 伊香保神社に集結する野田天流の人数、鳥居本八幡宮広場、舞殿。
  • 前島の立て籠もり事件を解決したあと引間へ向かう十兵衛たちがゆく街道、不明(一部酵素か/切り通しもあり)
  • 周作は説得するものの、おさまらぬ佐鳥たちに囲まれ襲撃される十兵衛、下鴨神社河合社裏手糺の森

*初枝は奥貫薫、八重ちゃんと遊ぶ姿が十兵衛の妄想の形で出る。初枝の夫は春田純一、掲額中止に不満な分子の一人で十兵衛に打ち負かされ、離縁を申し渡した妻に「許して・捨てないで」で初枝の桑山家入りはナシに。千葉周作は山口馬木也。川端さまの話で出る野試合での野田天流の剣客の一人は福ちゃんかも(ポニーテール)。


妙心寺第7話 2007.7.3

 裕福な紺屋の若妻誘拐事件、出向いた先では奇妙な経緯。目の前の事象にも己が運命にも無関心で投げやりだった女は、十兵衛の刃の一閃により自ら運命を拓くことを選択する。

ロケ地

  • 父上を出迎える/見送る八重、妙心寺大通院裏路地
  • みきの実家・越谷へ向かう十兵衛たち、広沢池東岸汀。
  • 草加へ戻る十兵衛、道案内が走ってきて脅迫状を見せる街道は大堰川堤
  • 助蔵がみきに刃を突きつけ金をとり逃げるあやめの渡し、大堰川河川敷
  • 船から上がった二人が友五郎に捕まる河原も大堰川
  • みきの回想、助蔵に求愛され芝居を打って逃げようと持ちかけられた岩槻宿の鎮守、大覚寺五社明神裏手

*紺屋の後妻・みきに加藤たか子、亭主は小倉一郎。若槻宿の新興ヤクザは成瀬正孝。


嵐山自転車道第8話 2007.7.10

 八重のためお役を退く決心をする十兵衛。最後の勤めと向かった宿場では、家庭を顧みなかった父を恨む娘と、娘のため手を汚そうとした父を見る。

ロケ地

  • 小幡宿の力士上がりの道案内・七蔵が殺された田畔、不明(土手は池堤か)
  • 小幡への道をゆく十兵衛一行、広沢池西岸の道・農地からのアングル。
  • 「容疑者」たちの回想、金貸し女が七蔵に袖にされ刺そうとした鎮守、鳥居本八幡宮(七蔵がコナをかけた女と情夫が来て未遂)
  • 七蔵の女房・おたきが父に逃げてと迫る水辺、大覚寺天神島
  • 再び八州として出立する父を見送る八重、妙心寺大通院裏路地。街道をゆく十兵衛一行、大覚寺放生池堤嵐山自転車道(地蔵や灯籠あしらい)

*おたきは中山忍、父は平泉成。七蔵は菅田俊、つるんで献上品を横流ししていた郡奉行は江藤潤。「縊死」した七蔵配下の千太の死体を運ぶ役人に福ちゃん。*八重の言葉で八州を続ける十兵衛、上司は復職の申し出に渋ってみせ、十兵衛が去ったあとうひゃあ助かったと大はしゃぎ。


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