長七郎江戸日記
  41〜60話


第41話「故郷が呼んでる」1984.11.27

 富商を陥れ次々欠所に追い込む大目付、真の的は一つで他はカムフラージュ、目的は借金チャラ。竹馬の友の若年寄に頼み込まれた長さんが乗り出し、手先に使われていた若者の命を救い更生に導く。

ロケ地
・六さんが武蔵屋欠所の事情を話す寺、南禅寺三門基壇(石垣下から見上げ、三門を背負う)
・武蔵屋の蔵へギヤマンを置いたチンピラの巳之吉が依頼者へ上乗せを掛け合いに行く神社、今宮神社境内に縁日あしらい(この後もツナギ等に多用、楼門や灯籠、高倉が使われる。高倉の裏手で立ち回りもあり、ブロック映り込み。茜のツナギもここで、東門に茶店セット)
・山岡頭巾を被った若年寄の水野とツナギをとる釣りの長さん、広沢池東岸に船着きあしらい。
・八王子在の巳之吉の実家、酵素河川敷に納屋セット、降り口を坂の道に使う。
・おゆきを連れ故郷に帰る巳之吉を見送る長さん、北嵯峨農地竹林際。
*巳之吉に丹波義隆、老母に初井吉栄、大目付は外山高士。


第42話「大江戸哀歌」1984.12.4

 ぽっと出の無宿人を使い捨ての道具にしたうえ、ゴミのように始末する強盗団の黒幕は火盗改長官。お話は、友を頼り江戸へ来た青年がその友の無惨な運命を知る過程を描く。

ロケ地
・江戸へ出てきたばかりの太吉が押し込み直後の賊が無宿人を始末するところを見てしまう祠、大覚寺五社明神(夜)
・火盗改役宅、大覚寺明智門
・太吉を追いかけ仙吉の噂を聞き込んだと本所へ引っ張っていく辰、大覚寺放生池堤
・仙吉とお袖の遺骨を抱き故郷へ帰る太吉を見送る長さんたち、下鴨神社馬場(街道設定、灯籠や旅人あしらい)
*仙吉に伊庭剛、情婦のお袖は三浦リカ、火盗長官は高野真二。*無宿人が増えてというお話で本所のスラムが出るが、道端で肉焼いて食べまくりがいつもより過剰。


第43話「宅兵衛子守唄」1984.12.11

 宅兵衛の甥が芸者と心中、あとから使いこみもバレる。妻女はかんかんに怒り赤子を宅兵衛に押し付けるが自身は市中で放蕩、しかし行動の真意は夫の無実の証拠を得ることにあった。

ロケ地
・釣りの長さんとお供の辰、広沢池東岸←心中だと声、屋形船で「相対死」。
・死んだ女の妹芸者に話を聞く長さん、仕立てた屋形船を襲う一味は広沢池東岸
・宅兵衛の甥・左門の墓、黒谷墓地
*宅兵衛さんの子守りカワイイ。現実年齢でもおじいちゃんとか言われてて笑える。*貞女の妻女は平淑恵。


第44話「くの一有情」1984.12.18

 お世継・竹千代ぎみ重篤の事態に長七郎を消そうと暗躍する柳生、まず六さん籠絡から。孤児だった六さんの心を擽るネタで気の毒な足抜き女郎を持ってくるが、当然くの一。わかっていながら罠に乗る長さん、いずれ哀れな身の上と女を思いやるのだった。

ロケ地
・悪辣な女郎屋を目こぼしする役人について協議の長さんたち、大覚寺五社明神内陣。
・散策のお葉のお供の六さん、大沢池畔。そこを襲う忍群、天神島
・柳生に消される町方、広沢池西岸に屋形船繋留。
*六さんくの一に騙されメロメロ、何度もうるっと来ていて全て明らかになっても態度変わらず、女の遺髪を故郷に届けてやるため旅に出たり。*備前屋成敗、宅兵衛の「このお方は」にも「喧しいやぃ何が何だかわからねぇが構わなねぇからぶっ殺せ」で始まる斬りあい、やくざ相手にも律儀に双剣抜き決めセリフの長七郎君がおかしい。この前に成敗衣装着込んで宅兵衛と六さん従えて町を歩いてる描写があって珍しい。*お葉に佐藤万理、実は柳生者の医者に中田博久、備前屋に長谷川弘、辰の敵娼の巨大女郎はかわいのどか。


スペシャル3 「柳生の陰謀」1984.12.25

 大鳥神社の縁日、大熊手持って石段を降りてくる長さんたち、神護寺金堂下石段。その雑踏で浪人が射殺され長さんはスナイパーを追う、鐘楼付近。スナイパーは逃げる途中立ちはだかった思い切り強そうな浪人にバッサリ、名前あり台詞もちょっとあり話の鍵となる役なのに開始五分もせずに斬られてしまう狙撃手に福本先生。町方が駆けつけるまで長さんたちが詮索している間中倒れてる先生がラブリー。撃たれたのは元風間藩指南役で、狙撃に使われた銃は高性能の連発式で雑賀衆のマーク入り。
 滅んだと思われた雑賀衆は風間藩の一角に居住を許され生き永らえていた。これに難癖をつけて改易の腹の幕閣、長さんは風間藩へ向かう。道中渡る橋、中ノ島橋、おれんと辰三郎が橋下に潜んでいてあとを追いかける。山道をゆく長さん一行、柳生が死出の旅路と嘯き見ている、谷山林道
風間藩主を松平長七郎の名で呼び出す長さん、大覚寺護摩堂前。風間藩の雑賀一族居住は駿河大納言の依頼であったことを知る。また、雑賀衆は葵の御紋に騙されて銃を製造したのだが、調べにやって来た大目付はお上の知らぬことと言う。翌日、村は爆破され村人は忍者に虐殺されてしまう、砕石場での撮影と思われるが特定できず。柳谷周辺には砕石場がわんさかあってどこも怪しいのだが。
窮した風間藩主は切腹、しかし去らぬ改易の危機に尾張にまで出張の長さん、葵の御紋見せて鉄砲作らせた尾張藩の侍を突き止めるが柳生の手先の福本先生を殺った剣客に証人を消されてしまう。また、自身も柳生の手先の襲撃を受け川に身を躍らせる、中ノ島橋
遂に葵の裃着け尾張城に現れずいずいと罷り通る長七郎ぎみ、宗冬と押し問答に。これを物陰で聞いていた尾張公は自藩の危機感じ上様の裁可をと申し出、風間藩改易はチャラに。
ラス立ちは尾張城代家老と大目付が高笑いの座敷で。十重二十重の手勢に双剣が唸る。
残った柳生の剣客との立会いは大覚寺天神島で。


第45話「瓦版始末記」1985.1.8

 盗っ人の芝居にまんまと騙され、無実の小間物問屋を放火殺人犯と書いてしまうおれん。長さんは落ち込むおれんを励まし、冤罪を晴らすため奔走する。

ロケ地
・火事場から逃げた男が逃げ込む小屋、広沢池東岸(町方に踏み込まれて逃げ、船上で「自刃」→水落ちで水面に「血」がぶわぁ。設定は辰の台詞に「川」)
・牡丹屋主人を責め上げ白状させた同心を皆で囲む鐘楼、金戒光明寺鐘楼
・寸前で中止の牡丹屋火刑、刑場は酵素河川敷に竹矢来あしらい。
*盗っ人は大奥出入りが目当てで牡丹屋を陥れる。狙いは御金蔵。焦るおれんを見かねた牛さんが体を張る一幕あり、泣かせる。今回の成敗はちょっと変則、追い詰めた賊の首領は背に三つ葉葵を彫り込んでおり、さぁ斬れるかと凄む。ここで長さんの身分が明かされ、葵が葵を斬るのにどこからも文句は出ないと言い放ち「俺の名前は引導代わり」の通常モードに。このくちなわの以助に睦五郎、打ち首を逃れるためうしろ首にも小さく葵紋を入れてあるのが笑える。賊に雇われおれんと辰を狙う用心棒のリーダーに福ちゃん、長さんが出てきて失敗、口封じに包丁が背にぐっさり。


第46話「野盗秘聞」1985.1.15

 大坂屋の娘誘拐は15年前の恨みから。賊の首領と娘は兄妹という奇縁が土壇場で明らかとなるが、悪党が用意した鉄砲隊が二人を引き裂く。

ロケ地
・大坂屋に頼まれ身代金を運ぶ長さん、日野宿はずれの地蔵谷、谷山林道。そこで再び場所変更の多摩川上流からす峠・二本松の道祖神も谷山林道。切り通しのほか頂上付近、伐採後の斜面など各所が使われる。
・再度さらわれたおようの身代金引渡しに指定の浅茅ヶ原、不明(白茶けた岩場と疎林、白水峡や湖南アルプス、竜王付近のガレ場に似る)
*兄は放火による火事の際「たまたま入った」賊に助けられ、妹は乳母の家にいて助かり当の放火犯に引き取られ育てられた設定。悪党は当時の堺奉行所与力と同業の「大坂屋」で北原義郎と高城淳一。ラス立ち福ちゃん入り。辰の阿呆ソングあり、賊に姿を見られ夢楽堂までご案内。おれん不在回。


第47話「町に咲いた恋唄」1985.1.22

 宅兵衛さんの老いらくの恋、不完全燃焼に終わるの巻。町で助けた娘に入れあげるが、彼女の身の上には秘密があり、そのため悪党に狙われていた。

ロケ地
・元の仲間に追われボコられ灯籠で頭を打つ唐辛子売りの弥七、仁和寺九所明神(参道を走りぬけ本殿へ)。そこへやってくる長さんと辰は金堂前から近付く。辰を番所へ走らせたあと立ち上がる長さんの背後に五重塔宝輪。
・弥七を殺してしまったことを責められる勘助たち、仁和寺塀(内側)
・町でならず者にからまれるおみねを助ける宅兵衛、仁和寺観音堂脇。
・弥七が葬られた無縁墓地に額づくおみねに声をかける長さん、化野念仏寺内陣。
・勘助らに見つかり逃げたおみねが侍に立ちはだかられる、大覚寺護摩堂(背景に心経宝塔映り込み)
・おみねの回想、おかしらで養父の仙蔵に足を洗い江戸へ行くよう言い渡されたお堂、仁和寺経蔵
・投げ文で誘い出され「音羽の仙蔵の隠し金」を掘る悪党どもに長七郎ぎみの声が降ってくる、長さん仁和寺鐘楼のバルコニーからひらりと飛び降り、立ち回りは鐘楼前から金堂、参道に林間と移動してゆく。
・江戸払いになったおみねを見送る宅兵衛と辰、大覚寺大沢池堤(カメラ引くと水門と水面が映り長さんのいる池畔に、背景に心経宝塔)
*元甲府勤番支配で仙蔵を殺して金を奪い、今またありもせぬ隠し金を狙っておみねを付け狙い仙蔵の手下を動かす凶悪な町奉行に山本昌平。グルの悪徳商人に須藤健、おみねに島村佳江、仙蔵の子分だった勘助に黒部進。*宅兵衛さん、おみねに「帰って、もう来ないで」と言われ葉隠の一節を呟くのがカワイイ。


第48話「疑惑の男」1985.1.29

 はじめに表面化するのは年増狙いの女誑しが仕出かす財産目当ての殺し、その犯人が猟官運動に熱心な大身旗本とつるみ、富商への押し込みに手を出す。心弱き女の心を的の外道に、長七郎の鉄槌が下る。

ロケ地
・常磐津の師匠が白昼殺される縁日の神社、松尾大社(長さん一行は楼門をくぐったところで悲鳴を聞き駆けつける。殺害現場は水場)
・女誑しと旗本の中間が密談の屋形船、広沢池東岸×2。
*女誑しに藤木孝、どすこい態のカマっぽい「誘惑」がなかなかに気持ち悪く見せる。無役の旗本は外山高士。用心棒に福ちゃん。


第49話「命、売ります」1985.2.5

 息子が難病に冒され治療に多額の金が入用の江戸っ子の魚屋は、己が命を売り工面しようとするが、とんだ悪党に利用されてしまう。長さんが介入するのはいつものことながら、今回北町奉行に圧力をかけるまでするのは、父と子の情を捨て置けぬトラウマからなのだった。

ロケ地
・魚屋の佐吉に「命を買う」と声をかけた侍が指定の回向院裏一本榎、大覚寺天神島大木。次に指定の一ノ橋五社明神は大覚寺五社明神(大奥中揩殺せと命じられ、逆らうと当身で落とされ中揩殺したふうに擬装工作される)
・陰謀の黒幕の吟味役・上杉主膳邸、大覚寺大門
・佐吉の息子を手術した蘭方医・良伯の診療所、大覚寺明智門(左手に看板あしらい、佐吉仮釈放で詰める町方を上杉の配下が襲う)
*単細胞の魚屋に高橋元太郎、ベタ情話を仕切る好演。勘定奉行職ゲットのほか自分が手をつけ孕ませた中揩フ始末も同時の大悪党の吟味役に小林勝彦、朝文堂を巻き込み利用。佐吉の息子を執刀する医師はお馴染み河合絃司。*牢で殺されかかる佐吉、ボコったあと「コミ」にされかかるが、実行は福ちゃん。


第50話「お礼参り」1985.2.12

 牛さん中心の情話、むかし自分が勧めて町方に協力させた男に凶盗のお礼参りあるを察知して動き、体を張る。朴訥で情に厚い牛さんが渋い、泣き笑い人情劇が展開される。

ロケ地
・牛さんが大吉のお御籤を引いて出てくる神社、下鴨神社二の鳥居。帰りに通る林は糺の森、石仏のまわりを探る仁蔵は池跡(盗金の隠し場所)
・息子の多吉を探し呼ばわる佐吉の女房、桂川河原(子供のお使いの脅迫状を渡される)
・来いと指定の一文字橋、流れ橋
*親方が凶盗と目撃してしまった飾り職の佐八にうえだ峻、女房は三浦リカ。遠島になった筈が江戸に現れる凶盗・仁蔵に武藤英司、つるむ普請奉行に亀石征一郎で極悪・金を差し出した賊を皆殺し。


第51話「黄金の夢」1985.2.19

 母や妹を泣かす小悪党をとっちめる長さん、きついお灸を据えられいちおうマトモに働きだす男だが、扱ったのが原野商法の「金山の権利書」。売った婆さんが首吊りかけてるのを寸前で止めて、男はワルに立ち向かってゆく。

ロケ地
・仙次に五両入りの財布を落としたと騙される辰、中ノ島橋。欲に駆られ着物脱いで川に入る段では、渡月小橋たもとの石段にスイッチ。
・長さんに差し向けられる近江屋の刺客、大覚寺大沢池堤
・五郎太が調べに行ったヤマで火矢を射掛けられる小屋、砕石場。
・義憤に駆られ近江屋の用心棒に突っかかるも返り討ちで川落ちの仙次、中ノ島橋
*夢楽堂若者三人組が仙次に揃って騙されるのが傑作、お里は皮製と称しスルメで作った財布を売りつけられ、五郎太は身投げが出たと言われ助けに行って服を盗られる。辰のはロケ地項目に書いたとおりでこれも着物を盗られる。*仙次に高松しげお、母・おろくに河東けい。斬られて川落ち、大わらわで夢楽堂に辿りつく仙次、てっきり死んだと思ってると回復、おっ母に粥を食べさせて貰っていて笑える。


第52話「幻の母を見た」1985.2.26

 長さん、病篤い婆さんのため身代り息子をつとめるお話。息子は死んだというが実は生きており、母の薬代のため刺客を強要されていた。

ロケ地
・飯塚藩邸に押しかけるも門前払いを食ったおさちが襲われる帰り道、仁和寺五重塔前。おさちが長さんに父親の代わりをしてと頼み込むくだりでは、参道のほうに移動してゆく。
・茜を通して呼んだ御典医に「母」の容態を聞かされる長さん、大覚寺護摩堂前。
・六さんに悪者情報を聞く長さん、大覚寺護摩堂裏手。ここへおさちが祖母の急変を告げに走ってくるのは放生池堤
・「母」と本当の息子の墓、大覚寺天神島
*おさちは祖母は目が悪いので大丈夫などと言うが、左利き演技できなかったしで、きっちり母は気付いていて長さんに身代り芝居を感謝して逝く。肉親に縁薄い長さんの母上幻想シーンもあり、幼い長さんは江戸を斬るの堅太郎ぼっちゃんに似ている。*六さん、悪の巣窟の道場に乗り込み殺人を依頼して探りを入れるが、的は「夢楽堂っていうよみうり屋の辰っていう色男」。もちろん直後にくしゃみする辰の顔が来る。*ワルの首魁の江戸家老を追い詰めると後ずさり、足が庭石に当ってズレる。このラス立ち福ちゃん入り。


第53話「顔のない男」1985.3.5

 老中を狙う若年寄だが、汚職がはびこるとして堀田老中は反対。堀田を始末にかかる安倍土佐守は刺客を差し向けるが、配下の侍を処刑されたことにしてかかる手のこみよう。しかし刺客は敵方の隠密の女と心を通わせてしまうのだった。

ロケ地
・大月左近の素性を六さんに聞く長さん、大覚寺放生池堤石橋上(池に睡蓮開花)
・老中・堀田石見守邸、大覚寺大門
・将軍の名代で川崎大師へ向かう石見守の行列、下鴨神社馬場参道(泉川映り込み)
・刺客と隠密が愛を確かめ合うのを見届けた長さんが歩く道、大覚寺放生池堤(放生池は草ぼうぼう)
*石見守を守るため徒士に化けて行列にいた長さん、大月が斬りかかるのをいなしお説教。徒士姿で膝出してる里見浩太朗は珍しい。


第54話「おれん慕情」1985.3.12

 おれんの元亭主に殺し屋疑惑、己のため体を壊した女房のため手を血に染めた男は、しかし大ワルにたばかられていた。おれんとの過去の経緯も描かれ、錯綜する感情が重苦しいドラマを繰り広げる。

ロケ地
・おれんが別れた亭主・源三とばったり会う縁日、今宮神社境内に屋台あしらい。
・源三を訪ねたおれんがその後の経緯を聞かされる、今宮神社東門石橋(去る源三は門を出て南の路地へ)
・お百度を踏むおれん、今宮神社稲荷社(前の石畳に百度石あしらい、後生車つき)。
・牛さんにおれんと源三の過去を聞く長さん、中ノ島橋
・おれんが源三を騙った文で呼び出され殺されかかる鬼子母神、大覚寺五社明神(舞殿に扉と壁セット)
・源三とおしまの墓、不明(小丘の上)
*源三は綿引勝彦、ぶっきらぼうな物言いと態度がこういう役柄に憎いほどハマる。おしまは一柳みる、源三を引き止めるため馬鹿な芝居をしていた心根が哀れ。*黒幕は北町与力で源三に殺させたのは己の悪事を知る者という悪党、藤岡重慶。手下の半助は福本清三。今回の「成敗」はこの二人のみで、福ちゃん丁寧に殺され。


第55話「春のつむじ風」1985.3.19

 幕閣の弱味を握り威勢を誇る大目付、告発しようとした小役人を始末するがあろうことか「松平長七郎」と名乗って殺る。小役人の遺児は長七郎ぎみを仇と狙うが、誤解はすんなり解け、こすからい手を使うワルは本物に乗り込まれてしまう。

ロケ地
・早朝散歩の長さんと辰、仁和寺九所明神拝殿前。林で鳥を獲る娘と秋月河内守の秋田犬がトラブル、近くの林間。
・娘の兄が寄宿する源正寺、西明寺(山門内外のほか石垣、灯籠なども)
・娘を浅草見物に連れ出す長さん、今宮神社境内に屋台あしらい。その帰り、長さんに父が死んだ経緯を語るのは大覚寺大沢池北東岸汀(水少なく、汀に岩露出)
・傷癒え足柄山へ帰る娘を見送る夢楽堂一同、大覚寺大沢池堤(桜は演出の模様、他の木々はほぼ枯れ葉)
*山出し娘の獲る「ヤマドリ」、どう見てもドバト。秋田犬・金剛丸の死んだフリが可愛い。*大目付邸の床下に潜んだ六さんたちまち露見、四方から柵が降りてくる仕掛けに捕まってしまう。カウントしてないけど、六さんバレ率高すぎ?*大目付は御木本伸介、手下に内田勝正(暗殺実行犯)。
設定エピソード
・兄妹の父が大目付に牛耳られる幕閣に絶望し「野に下った長七郎ぎみ」を頼る設定。
・誤解を解くのにすっぱり名乗る長さん、「父」が斬られた日は駿河大納言の祥月命日で終日お堂に籠っていたのが「アリバイ」。
・長さんの身分を探るのに辰をおだててご馳走、辰は「高貴な身分」と言いかけてやめる。身分差の表現はちりめんじゃこと鯛。


第56話「母子武士道」1985.3.26

 仕官を夢見て江戸へやってくる母子、しかし頼る叔父は家老の悪事を国元へ訴えようとして殺されお先真っ暗、そのうえ母は彼らの悪事を目撃し追われる身に。権高な母と朴訥な息子が繰り広げる、泣き笑い人情劇。

ロケ地
・茶店で貰った餅を食う母子、大覚寺護摩堂縁先。
・山田藩邸を訪ねる母子、イメージに西本願寺寺の甍(諸堂)
・息子の仕官を祈願しに町歩きの母、大覚寺五社明神。疲れ佇む水辺は大沢池船着(大)
・追われているのに外出の母が見つかってしまい庇った植木屋が斬られるくだり、大覚寺護摩堂裏手付近(心経宝塔など映り込み)
・植木屋の墓に参る母子と植木屋の娘、二尊院墓地。帰り道に紅葉の馬場
*母に園佳也子、息子に大橋吾朗。悪家老は北原義郎で、使いこみの穴埋めに浪人を使い他藩の荷を強奪。*辰、五郎太を呼ぶのに「カッペ」はこれが初出か。


スペシャル4「怨霊見参!長七郎 弟と対決」1985.4.2

 夜な夜な現れ要人を暗殺する白い獅子毛に能装束の賊、「忠長見参」とビラ撒いてゆく。世間では忠長卿の怨霊と噂する。
辰三郎と五郎太が夜に出掛けてゆき目撃の能装束、老中を斬ってきたばかりの獅子毛男が走るのは大覚寺大門外の参道。辰らは怖気て橋のたもとに隠れるが「見たな」と詰め寄られる、参道石橋上。そこへ「平九郎」と声かける旅姿の母娘に慌てて立ち去る獅子毛。 この母娘は忠長卿の側用人柘植の妻子で、獅子毛は忠長卿の九番目の遺児・平九郎であることが判明する。出生を隠し育ててきたがある日現れた堀尾主膳なる男がそれを暴露、自棄になった平九郎は妹に無体を働く、広沢池西岸。それきり家へは帰らず。
事情を聞いた長さんは柳生宗冬邸へ赴き事を告げ柳生の名を借りたいと申し出、「忠長卿の怨霊」に向けて高札を出す。約定の御領院河原で対峙する長七郎と平九郎。説得敵わず抜きつれ、苦悩の末弟を斬る長七郎。このロケ地、ひょっとして西檜尾川上流の放置された砕石場か。
 この隙にと気勢上げる堀尾のもとに現れる能装束の赤獅子毛、もちろん長七郎ぎみ。今日のお召は白に薄墨。双剣抜き放ちワルを成敗のラス立ち。
平九郎の遺骨を抱き旅立つ母娘を見送る長さんと辰、酵素?


第57話「壁際族の反乱」1985.4.16

 長さんの将棋友達のベテラン同心は巨悪の尻尾を踏み左遷、いっとき倦みワルの誘いに乗りかけるが、長年十手を握ってきた誇りはそれを許さなかった。

ロケ地
・南町同心・前田が岡っ引と事件のアタリをつける市中、金戒光明寺経蔵前石畳(大師前と刻まれた灯籠映り込み)
・牧野出羽守の爆死後、御側衆から側用人に昇進した相馬弾正邸、大覚寺大門
・証拠品を千両で買うとの申し出があり揺れる前田、薬研堀の番所を出て酒肆へゆく堀端、大覚寺放生池堤
・みすみすワルを見逃すのかと迫る岡っ引に良心で飯が食えるかと言い返す前田、金戒光明寺参道石段
・唐津屋と取引の行徳河岸、広沢池東岸(水少なめで岸部分広い)
・前田と勘八の墓、大覚寺天神島
*前田同心に織本順吉、勤続30年のキャリアを踏み躙った上司に怒り暴発に至る心情を好演。前田付きの岡っ引・勘八の小鹿番もいい味。前田の後釜になった元例繰方の若手に伊庭剛、黒幕の弾正は外山高士。*前田同心は定町回り→警動に格下げ、しかし警動というのは私娼狩りの手入れの形態で、職名に使うのか疑問。


第58話「父娘のきずな」1985.4.23

 筑後柳川藩立花家から騙し取られた神君拝領の雪舟の軸を巡り大騒動、暗躍する側衆・森田図書を断罪の長さん、お召はグレーのラメに墨色。血の繋がらぬ娘の晴れ着を購うため知らず偽造に関わった絵師の悲話が挿まれる。

ロケ地
・藩祖の墓所で雪舟の軸紛失の責を負い切腹の柳川藩士・加納、二尊院三帝陵。額ずく藩祖の墓はその中の宝筐印塔か。
・絵師・泰山の娘・おそでが逢瀬の水辺、大沢池堤水門脇。
・おそでの幸せを見届け町をゆく長さん、大沢池堤に屋台あしらい。
*おそでの恋人に峰蘭太郎、ラス立ち福ちゃん入り。


第59話「反骨武士は死なず」1985.4.30

 笠間藩のお控様が起す騒動に関わる長さん、殿の密命を受け市中に暮らす元勘定役の「老いの一徹」に意気を感じ加勢。しかし任務半ばにして姦計に落ち落命する篤実な武士、長さんの怒り爆発、兄を殺し安登を襲おうとするお控の野望を打ち砕く。

ロケ地
・市兵衛の娘が父が狙われる理由はと恋人の喜作に問われる、神護寺和気公廟所前。その後父に理由を問う娘、渡月橋広沢池西岸湿地(養魚場端)
・亡父の墓参の笠間藩主を亡き者にせんとお控一派が襲撃、神護寺山門五大堂前。長七郎ぎみが降りてくる、神護寺金堂前石段上部。このあとラス立ちは、石段中程〜五大堂毘沙門堂と殺陣は移動、事後平伏する笠間藩主の背後には大師堂も映り込む。
・市兵衛の墓に額づく娘、黒谷墓地。見届けた長さんがゆく、金戒光明寺三門
*市兵衛に小林昭二。お控が遊ぶ座敷を警備する家士に福ちゃんと峰欄太郎。


第60話「大江戸女番町始末記」1985.5.7

 盗みのかどで店を放逐された番頭の清吉を慕いグレる大店の娘、しかし一旦ゴロツキの傘下に入った清吉は、悪事に耐え切れず訴え出ようとして命を落とす。母の薬代のため奈落に落ちる青年が哀れ。

ロケ地
・ネタ元の男が縊死を装い殺されたことに不審を抱き浅草奥山へ出向く長さん、金戒光明寺長安院下坂。荷崩れが起こり幼女の上に落ちかかる危機に体を張って救う清吉、参道石段
・車座になって野博打を打つ加代、大覚寺五社明神本殿前。加代を連れ出し五郎太に来た冗談の縁談話を糺す長さん、放生池堤。捻り上げ連れてゆきお説教は天神島
・潰す的の料亭についてツナギをとる権六一味、広沢池東岸に小屋セット。
・清吉の墓、不明(山中の崖際、闇を斬るの六助の墓と同所か)
*清吉に高岡健二、加代に芦川よしみ。阿漕な香具師の元締とつるむ北町奉行に中田博久。金満野郎どもを成敗のラス立ちには小判じゃらりの演出。*冒頭瓦版を売る辰、「駄菓子屋の煎餅の中に眠り薬が入ってる。食べたら寝るでと横に書いてある」と呼ばわるタイムリー?なネタ、事件発生は1984年3月。このほか、縁談がウソで落ち込む五郎太をからかう馬鹿な歌も披露。


→第一シリーズ表紙  →第二シリーズ  →第三シリーズ


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