長七郎江戸日記
  61〜80話


第61話「寛永御前試合 竜 立て!」1985.5.14

 将軍のお声掛かりで催されることになった寛永の御前試合、出場予定者の一人・無現流の師範代が短筒で暗殺される。窮した道場主はかつての高弟・今は剣を捨て市井に生きる朝倉新十郎に出場を依頼。朝倉は一旦辞すが、同じ長屋に住む倅と親しい娘の目の治療代と、同じ高弟で竜虎と称されたもう一人・黒坂の無体な行動に怒り、剣の封を解く。しかし代表を決める試合で勝ちを収めるものの直後振り下ろされた黒坂の木刀に頭を割られ落命、無理にも出場権を得て御前試合の場で将軍を暗殺しようと企む黒坂と、背後で操る改易を恨む藩主や欠所を恨む商人の陰謀を長七郎が裁く。

ロケ地
・短筒の出所を闇の鉄砲商人の俳諧師に聞く六さん(強要)二尊院紅葉の馬場
・朝倉がかつて仕官した折に心ならずも斬った罪なき百姓を日々弔う鹿ヶ森、鳥居本八幡宮。ここで刺客に襲われたり封印を解いた剣をふるって稽古したりする。お咲の平癒祈願は本殿。ホトトギスの声あしらい。
・無現流塚田道場、大覚寺明智門
・黒坂たちが密会する寮、中山邸通用門
・朝倉の墓、二尊院墓地。長さんが墓参の母子を見届け帰る坂、二尊院紅葉の馬場
*父を「竜」と呼ぶ勝之助坊が可愛い。*朝倉に森次晃嗣、長屋の女(お咲の母)に一柳みる、改易を恨む殿様に江見俊太郎、黒坂は原口剛。ラス立ち福ちゃん入り、浪人姿。


第62話「ふたり玉三郎」1985.5.21

 以前に由比正雪の小道具に使われた旅芸人一座の玉三郎が再登場、偶然出会ったそっくりの大名の若様は実は双子の兄だった、という展開。若君の危機に玉三郎はそれと知らず替玉を買って出、ついていった長さんと辰は藩邸で進行するお世継騒動にかかわる。藩主と親子の対面も果たされるが玉三郎は邂逅を満足として身を引き、側室を抱きこみ山城藩乗っ取りを企んだ江戸家老には長七郎ぎみの双剣が振り下ろされる。

ロケ地
・長さんにおケラを嘆く辰の耳に玉三郎の叩く太鼓の音が響く、大覚寺護摩堂
・お忍びの外出を唆される若君、阪口の庭か。
・市中に出た若君が立ち寄る茶店、大覚寺五社明神に茶店セット。若君を襲う刺客、逃げる若君は天神島(北辺水路が「底無し沼」設定)。偶然来合わせた玉三郎が煙玉で撹乱し若君を匿い潜むお堂、護摩堂
・身代わりとなった玉三郎が藩邸から連れ出され密殺されかかる危機に駆けつける長さんが走る道、有栖川畔〜五社明神
・玉三郎の身の振り方を述懐する長さんが佇む水辺、大沢池船着(大)上。
*玉三郎/虎之助に白龍光洋、座頭は中村錦司、江戸家老に小林勝彦。ラス立ち福ちゃん入り。


第63話「おふくろさんよ…」1985.5.28

 頻発する短筒での殺し、被害者は全て南町奉行所関係者で「闇公方」なる怪しの一味を探索していた者ばかり。そうしたなか、武州から息子に会いに来た猛母・多喜を辰が引っ掛けてくる。塾から逐電したという息子・勝四郎は闇公方一味といるところを長さんにとっ捕まり母を嘆かせるが、実はのオチつきでハッピーエンド。

ロケ地
・多喜婆さんに魅入られた辰の話をする長さん、六さんの屋台は中ノ島橋たもとにセット(背後の橋の上で吟味与力が狙撃される)
・練成館、不明(いずこかの塔頭ふう)
・南町に捕まっていた闇公方一味の浪人たちが解放されるが仲間に殺される船着き、広沢池東岸
・一味のアジトを六さんに聞く長さん、上御霊神社本殿脇
・武州へ帰る多喜を見送る勝四郎と長さんたち、大沢池堤
*猛母と辰の交流がユーモラスかつしんみり描かれる、火野正平の真骨頂。*多喜に初井言榮、黒幕の塾長に島田順司、苦悩の南町奉行に内田稔。*解放されるも奉行所に捕まるようなヘマは要らんと始末される浪人の一人に福ちゃん、台詞もしっかりあり、短筒で撃たれた挙句なぜだーと叫びながらぶすぶすとトドメさされる。役名もクレジットされるが「浪人」…。


第64話「俺ァ江戸さ行くだ」1985.6.4

 幼馴染の伊助と再会する五郎太、職を見つけてやるなど長さんたちが尽力するが恋人が田舎から出て来る・殺人者に仕立てられ処刑されかかるの大騒動。背後には江戸城改築工事を巡る陰謀が蠢いていた。処刑直前、目付役邸にワル集結するところへ長七郎ぎみが乗り込み鉄槌を下す。

ロケ地
・伊助に力士の絵をあぶな絵と騙し売りつけられる辰、今宮神社境内東門
・伊助が五郎太にお菊が田舎から出て来る件で相談するお堂、大覚寺護摩堂。伊助の回想、お菊に江戸で一旗を約し旅立つ秩父の里、柊野堰堤
・伊助が江戸へやって来たお菊を出迎える朝の大木戸、下鴨神社馬場に番所と柵セット。
・五郎太の回想、秩父の里を出る際弁当を手渡し見送ってくれた伊助、大堰川堤か。
・遠州屋の名を騙り地回りの重兵衛を呼び出しシメる長さん、上御霊神社楼門境内
*黒幕の目付に和崎俊哉、槍自慢の殿様で床下の六さんピンチ場面あり。*タイトルの歌は劇中辰が替え歌にして披露「飯屋もない、風呂屋も無い、ましてや岡場所全然ない 」。


第65話「たった一度のあやまち」1985.6.18

 十年前、よみうりに書かれた情報がもととなり無実の罪で処刑された浪人、その遺児の一人は盗賊の走狗となり果て、いま一人は医者の卵として精進していた。過ちを深く反省し生きてきた牛さんは兄弟の悲劇の邂逅に立ち会ったのち、幼時より成長を見てきた弟を庇い凶刃に身を晒す。長さんは盗賊を裏で操っていた旗本を処断、夢楽堂一同で長崎に修行に旅立つ若者を見送り大団円。牛さんが送った金を積み立てていた施薬院の医師・帰順のエピソードも泣かせる。

ロケ地
・旗本の配下に大野屋から盗ってきた八千両の証文を渡す盗っ人、大覚寺五社明神内陣(常吉の始末も指令)
・青木浪人の処刑、大覚寺心経宝塔前広場
*ラス立ち福ちゃん入り。


第66話「からくり人形使い」1985.6.25

 純朴な田舎者の夫婦が襲われた事件は、幕政に不満を持つ元若年寄によって演出された将軍失脚を狙う大事件に発展する。麝香の抜け荷から旗本愚連隊に鬼面の忍びと怪しい要素満載でドラマは進行、初めから仕込みのくの一まで出てきて騒がしい展開に。

ロケ地
・大川の桜並木の下で抜け荷の現場を見てしまい襲われる郡山から出て来たばかりの宗吉とお光夫婦、広沢池東岸汀。
・元若年寄・中津川木堂が釣りをしているところへ赤鞘組が話しかける、大覚寺大沢池堤。その赤鞘組を尾行する長さんに襲い掛かる鬼面の賊、大覚寺有栖川畔五社明神
・木堂の隠居所・一心庵を訪れる長七郎、大覚寺望雲亭
・夢楽堂を辞し郡山へ帰る夫婦を見送る渡し場、広沢池観音島、しかし船頭は偽者でワルの手先とすりかわっていて夫婦は船上で斬られる。
*黒幕の木堂に遠藤太津朗。*夫婦が襲われた抜け荷の現場探る辰と五郎太、辰は木箱を拾い中味を嗅ぎハイになり駆け出し、夢楽堂に戻るやおれん達に抱きつき発情しまくり、しまいに長さんに抱きつき裾を捲るという暴挙に。火野正平にしかできない荒技かも。しかし麝香入りの箱拾った時の「兎のうんこの箱詰めか」発言は脚本にあったのかなー。


第67話「くの一化粧」1985.7.23

 藩主に阿るため、うるさ方の保科正之を消そうとする紀州の国家老。その配下の浪人をそれと知らず恋に落ちる長さん監視役の柳生くの一・茜。定めゆえ結ばれぬ身の彼女は己が命と桑原に刀を託すが、その刃は恩ある家老の罪を一身に負い自決する彼の胸に突き立つことになる。

ロケ地
・下城の保科正之の駕籠が襲撃される和田蔵御門外、南禅寺僧堂坂三門
・保科邸、大覚寺大門。その前で僧形の忍びとやりあう茜、御殿川河床〜参道石橋(桑原浪人が竹光で助けに入る)
・桑原とデートの茜、大覚寺護摩堂(桑原が「地蔵」に仮託し武士を捨てた暮らしを語るのは脇の鎌倉期石仏)
・長さんを暗殺にかかるも失敗する桑原、今宮神社合祀摂社前。
・再び保科を江戸城外の御影坂に襲う根来衆、南禅寺僧堂坂。駕籠から出た長さんが阻み、桑原の自刃をみとったあとラス立ち、坂から法堂裏回廊法堂基壇に移動。
*桑原大作に岡本富士太、家老は高野真二。桑原が怪我と真っ先に長さんを頼る茜がなかなか笑える。恋の苦しさも素直に告白。


第68話「御赦免船の男」1985.7.30

 五年前島送りとなった男が帰ってくるが、きっと待っているからと流人船に叫んだ娘は豪商の内儀に納まっていた。身籠っていた事を気付かずにいた女は途方に暮れ自死しようとするところを秋田屋の主人に救われ、事情を知った上で請われ後妻となり子を産んでいたのだった。
女の事情を利用し秋田屋潰しを図る勘定奉行をバックにした一派、はじめ女を恨むも成り行きを察知した男は単身ワルの巣に乗り込むが深手を負い瀕死、己が娘を遠目に見て逝く。

ロケ地
・鉄砲玉の粂八が殺されて見つかる川端、広沢池東岸汀。
・おみつが入水未遂、広沢池東岸葦原。
・長さんに示唆を受けた辰の案内で舟に乗って岸辺にいる瀕死の半次に千代の顔を見せる、広沢池(東岸と船上)
・事後、仲良さげに縁日をゆく秋田屋一家を見る長さん、今宮神社境内
*島帰りの半次に桜木健一、彼をハメにかかる祥風堂のネタ取りに江幡高志。*今回のラス立ち、かかってくる勘定方組頭の家来どもに長七郎ぎみが「これ以上命を粗末にするな」と諭すと戦闘をやめ傍観に回り、主のみ狂ったように剣をふるい続けるという珍しい設定。組頭は田中浩。


第69話「老盗の心意気」1985.8.27

 凶盗・霞の藤造を召し捕り手柄の与力「南町の鷹」金森甚内は、その賊を使嗾し小普請組の叔父・塚原将監の猟官運動資金を得るため凶行を繰り返す。盗みに入った先で倒れた首領の命を救って貰うという大恩を受けた飛脚問屋の旦那が凶盗に惨殺され、残された娘が盗られた預かり金の返済で窮地に立つのを見かね、凶賊に名を騙られた不知火組生き残りの老人二人が立ち上がる。

ロケ地
・塚原将監邸の庭、相国寺大光明寺石庭、方丈縁先。
・不知火組の首領の墓、黒谷墓地。帰り道老盗二人がニセ不知火組の話をしながら降りてくる石段、金戒光明寺石段(解散の回想シーンも同所)
*塚原邸へ侵入し金を取り戻しに入る老人二人は警護の侍に見つかりまくり、いちいち六さんがフォローするくだりが傑作。今福正雄と梅津栄が演じる。


第70話「泣くな!寅」1985.9.24

 彫金師・与作の元へ七年ぶりに宿下がりの娘・お菊は息子を伴っていた。これが奉公先の水島の殿様の子で唯一の実子、しかし正室の実家である出雲藩に遠慮した殿様は未だ嫡子として公儀に届けていない。また、宿下がり自体正室の差し金で背後には出雲藩の家老、出雲からの養子を水島藩の嫡子に仕立てて実権を握ろうとする野望が渦巻いていた。何度も命を脅かされる母子、しまいに偽の迎えの駕籠を仕立て密殺しようとするに及び長七郎ぎみの鉄槌が下る。

ロケ地
・辰の弟子入り話を笑う長さんと五郎太がゆく道、金戒光明寺永運院下坂(OPに被り)
・宿下がりのお菊母子を迎えに水島藩上屋敷門前をうろつく辰、大覚寺大門前。家への道すがらお菊を口説きつつ渡る石橋、金戒光明寺放生池極楽橋(東坂から米俵を積んだ大八車が殺到、来合わせた長さんがお子を救出)
・六さんに水島藩の見張りを依頼する長さん/宅兵衛から水島藩の内情を聞く長さん、共に金戒光明寺三門
・ひ弱な寅千代を相撲で鍛えようとする与作、土俵は梅宮大社か(見かねた藩士に若君と聞かされる)
・母子を乗せた偽の迎えの駕籠がゆく、大沢池堤五社明神に差し掛かり刺客、長さんが割って入りチャンバラ、舞殿に飛び乗っての派手な殺陣。母子を探し追ってきた水島の侍と辰たちは有栖川畔から出て来る。
*与作に織本順吉、ベタな人情オヤジを好演。ラス立ち福ちゃん入り。「寅」は若君・寅千代。


スペシャル5「母は敵か?!由比正雪の陰謀」1985.10.1

 由比正雪のクーデターに一枚噛む長さんの母君、夫の憤死を未だに深く恨み続けている。母君・光松院の手引きで門跡の姫が江戸の寺に下向するという一行が仕立てられ、長崎で奪われた大筒が江戸に運び込まれ、護符と称した爆薬が江戸市民の家に配られる。
母を見殺しにしても市民を救うと決意した長さんは柳生に働きかけ危機を回避するが、由比の手により光松院は落命する。江戸を火の海にし江戸城へ討ち入る支度を整えて火の手が上がるのを待つ正雪のもとに乗り込む長七郎ぎみ、今日のお召は青に白。双剣が正雪を斬って捨てる。

 ロケ地、正雪の資金回収に一役買いへまなことに炎に消えた天海のトリックを暴くため地面を掘らせる、大覚寺護摩堂裏手。深手を負った母のもとへ走る長さん、有栖川畔。正雪の死を知らされ事成らずを知る丸橋忠弥、仁和寺九所明神前〜塀ぎわ
*物騒な護符配って歩く雲水の手下に福本先生。


第71話「十手に賭けた青春」1985.10.15

 夜釣りの帰り狙われているっぽい見習い同心三人組を見る長さん、彼らが関わった巨額の恐喝事件の根は深く、証人が次々消されるなど険悪な様相を呈する。正義感は強いものの稚い若者たちを見守る人々が描かれる。

ロケ地
・見習い同心たちが筆頭同心・谷との連絡に使う三年坂の絵馬堂、大覚寺五社明神舞殿に扉あしらい。
・湊屋の番頭・徳兵衛が自分の管理する蔵からギヤマンが出たことに責任を感じ身投げしようとするのを三人組が止める回想シーン、柊野堰堤か(暗くて判別し難い。嵐山大堰の可能性も)
・徳兵衛の死体が上がる、嵐山公園中州下手汀
・徳兵衛の墓に参る湊屋の主人を諭し裏事情を聞きだす長さん、蓮華寺五智如来像前。
・見習いの一人が先走って上司に掛け合いに行ったと聞き駆けつける長さん、中ノ島橋
・ラスト、事件を述懐する長さんのバックに嵐山公園中州・料亭裏の堀端
*徳兵衛殺害を知らせに夢楽堂に駆け戻る五郎太、迎える辰は両目に将棋の駒嵌めている。目になんか嵌めるの好きなのか火野正平。


第72話「稲妻に浮かぶ顔」1985.10.22

 雷雨の夜、殺人者を目撃した易者は当初後難を恐れ証言を拒むが、岡っ引を恋人に持つ娘の心情を思い似顔を描き提出、その直後暗殺されてしまう。岡っ引は恋人に責められ苦衷、背後には直属上司の同心と、悪徳高利貸しを追い使い私腹を肥やす小普請支配の旗本がいた。

ロケ地
・闇の高利貸しの資金は公儀筋から出ていると長さんに告げる六さん、屋台を出すのは大覚寺護摩堂前。
・長さんの依頼で同心・町田を張る六、金戒光明寺塔頭道
・町田を尾行する六さん、金戒光明寺長安院下坂・鐘楼脇。町田が入ってゆく小普請支配・荒木大膳邸、大覚寺大門(六さんは御殿川の中)
・六さんの報告を受ける長さんのもとへ五郎太が岡っ引・文吉失踪を注進に走ってくる、大覚寺参道石橋
・文吉が町田に連れ出され殺されかかる道、金戒光明寺長安院下坂永運院下坂
・手柄を書いた瓦版を見る文吉とおせん、茶店は金戒光明寺放生池畔にセット(背景に極楽橋を渡る市民)。いちゃつきながら行く二人、東坂
*文吉に松山政路、おせんに西川峰子、町田に山田吾一、荒尾に和崎俊哉、ラス立ち福ちゃん入り。


第73話「大江戸警備隊始末」1985.10.29

 浪士を集め「大江戸警備隊」なる組織をブチ上げのし上がろうとする百姓出の剣客、手柄を上げるための卑劣なからくりを長さんに見破られ引導を渡される。
警備隊は新選組のパロディじみていて、隊長は百姓出の「安堂」、懐刀の参謀に「新田宗一郎」で突きの名手、出会いの道場は「試衛館」、配る隊服の羽織はさすがに浅葱のダンダラではないものの、入隊試験など似すぎ。

ロケ地
・幼児まで皆殺しの凶盗の犯行現場を見て我が身に起こった事件を述懐する五郎太、中ノ島橋北詰橋下の汀。
・五郎太を捜しに出た長さんと辰が新田といるのを見つける林、御室桜林
・警備隊の「入試」が行われる谷中正安寺、仁和寺経蔵
・奉行所からの帰りに長さんと語る新田、嵐山公園中州北岸・落差工前。
・長さんが隊員に稽古をつける林、仁和寺塀際疎林・九所明神拝殿脇(剣の道についてお説教垂れるのを物陰から五郎太が見ていて「俺にはろくすっぽ稽古つけてくれないのに」とアムロふうに拗ねる)
*警備隊幹部が裏で結託し追い使う、押し込みを働く浪人集団の一人に福本先生、典型的なむさい浪人でワルの仲間には入らないと喚く五郎太を制する。役名なしクレジット。


第74話「雨宿り」1985.11.5

 同心を味方に引き込み凶悪な犯行を重ねる一味あり、この仕込みに利用される辰。しかし任務に当たった泣きぼくろの女は辰の無邪気さに使命を果たせず、裏切りのすえに始末され虫の息を夢楽堂に辿りつき「二度と会いたくないなんて嘘・辰さんと一緒に暮らしたかった」の殺し文句を吐きこときれる。

ロケ地
・長さんに疾風一味の情報上げる六と宅兵衛、大覚寺護摩堂縁先。
・辰とデートのお時、大沢池北西畔、このときの辰の釣った魚逃がして「殺生好きじゃない」の台詞がお時の脳裏を巡り一味から離反する因となる。
・お時が斬られ放り込まれる川、広沢池東岸
・ラスト、辰がお時のために流す灯籠、清滝川か。
*お時に島村佳江、賊の首領は深江章喜で同心は睦五郎。


第75話「鬼がすむ屋敷」1985.11.12

 身元不明の侍が斬られた向島の荒屋敷、出ると専らの噂。金欲しさに辰が潜入するがビビらされ、翌朝長さんを連れてゆく。そこで斬られた侍の関係者とおぼしき女・志津を拾うが、正義の士と信じた彼女の夫は藩の特産品の真珠を横流しして私腹を肥やす江戸家老に加担する悪人に成り果てていた。ワルを断罪ののち夫は正義のため死んだと繕う長さんの心遣いは辰の軽口により台無しとなるが、ナレーションはそれを救う形で締め括られる。

ロケ地
・向島の荒屋敷、広沢池東岸(建物は別撮りか)
・国へ帰る志津が長さんと行き会う橋、木津川流れ橋(夕景)
*江戸家老に藤岡重慶、悪徳商人に森幹太。


第76話「おさとの災難」1985.11.19

 公儀御用の富商・紙問屋の美濃屋の身代を狙う御納戸役・大倉石見、手先に御数奇屋坊主・岸本宗元と美濃屋の後妻・お芳(実は大倉の異父妹)。娘をさらって身代金を取る計画がエスカレートし宗元とお芳を娶わせ美濃屋を仕切らせることにした矢先、長さんの断罪が下る。

ロケ地
・美濃屋の娘と間違って夢楽堂のおさとを拐かす宗元の手先、人質交換場所の小名木川畔の水神は広沢池東岸
・本物の美濃屋の娘がさらわれ、美濃屋本人が赴く交換場所の阿弥陀ヶ池の辻堂、大覚寺護摩堂
*お芳に鈴鹿景子、御納戸役に外山高士、御数奇屋坊主は北九州男。宗元の手先の浪人の一人・長井に福本先生、最初から最後まで大活躍。おさと誘拐では口を布で塞ぎ鳩尾に一発。人質交換の場ではおさとに刃突きつけ舟の上、しかし水中から踊りあがった六さんに蹴落とされ池落ち。本物の美濃屋の娘をさらいに来るくだりではまた娘の鳩尾に一発入れる役。もちろんラス立ちにも登場、出会えの言に先頭きって駆けつけ長さんのまわりを見え隠れしながら殺陣に参加、親玉の大倉よりあとの一番最後に長さんに斬られるという目立ちぶり。


第77話「とどけ夫婦囃子」1985.11.26

 斬られて負傷したところを長さんが助けた職人は記憶を失ってしまっていた。瓦版が功を奏し女房が訪ねてくるが何一つ思い出せず。夢楽堂で預かるうち刺客が襲うなどキナ臭い情勢のなか献身的な妻により記憶を取り戻すかざり職人、その証言により明らかとなる貧乏藩主の小判偽造と猟官運動、春には若年寄に推挙と高笑いの座敷に「おまえたちに春は来ん」と長さん乱入のラス立ち。

ロケ地
・神田お玉ヶ池で左八を助ける長さんと辰、広沢池東岸
・左八に接触したくの一とやりあう茜、下鴨神社河合社脇。これを六の屋台にいる長さんに報告の茜、下鴨神社泉川畔。
・茜が贋金の件について用人から下命を受ける柳生宗冬邸、大覚寺大門
・神田周辺を探る五郎太、大覚寺五社明神
・左八夫婦が神頼みや祈祷師を渡り歩くうち刺客が化けた占い師に呼び止められる、下鴨神社二の鳥居前・ならの小川の橋上。この刺客と戦闘の六、糺の森瀬見の小川付近。
・万年寺裏の池に鯉が多数腹を見せて浮くとの話を鯉を下げた子らから聞く五郎太、大沢池畔の林間。六が調査に走る万年寺の池、放生池源頭に水門セット、鋳造の際出る黄色い鉱毒が付着。
*佐八に頭師佳孝、女房に木村弓美、藩主は田中浩。


第78話「極楽とんぼ」1985.12.3

 ネタ探しの帰途、長さんが捕まえた盗賊・闇小僧は武家屋敷を荒らし回る大泥棒。この隠し金を巡って目付役に筆頭与力、同心と岡っ引までグルとなり、しまいには井戸から金を引き上げるのに長屋を乗っ取るという騒ぎ。これに辰の知り合いの怠け者の大工がハメられもうちょっとで死罪、しかしすんでのところで長七郎ぎみがワルを一網打尽の皆殺し。

ロケ地
・長屋で近々井戸さらいがあってマズいとツナギの一味、大覚寺五社明神
*大工・亀吉に岡本信人、岡っ引に石倉英彦、大家に北見唯一。


第79話「心はひとつ義兄弟」1985.12.10

 南町奉行所の金蔵が破られ五千両も盗られるという不始末が出来、犯人は自害した借金抱えた同心・熊木とされる。その妹を妻とする幼馴染の同僚・小谷は決死の覚悟でワルの内懐に入り探索。ずっと首を突っ込んでいた長さんが危地を救い、南町奉行失脚を図った親玉の元長崎奉行と口入屋を断罪。

ロケ地
・柳生宗冬邸、大覚寺大門(バルク映像、茜を茶室に呼びつけるのは丹哲ではなく用人)
*ラス立ち福ちゃんちらり。


第80話「桔梗、花一輪」1985.12.17

 腐った鯛で食中毒の将軍、納入業者の潮屋が捕えられるが牢内で縊死。不審を抱く長さん。潮屋の後妻は長さんのかつての剣友の女傑で、やはり夫の死に疑義持ち真相を探るため同心を誘惑したり、夜鷹に化けて一味の用心棒を脅しつけたりする。危ない橋を渡り続ける志津を案じた長さんはこれを諌め、御膳奉行の後釜を狙った旗本と一味を断罪。

ロケ地
・茜が屋台を出している六さんに御膳奉行の後釜情報を伝える町角、今宮神社東門前。
・鯛をすり替えた料理人が隠れている大川筋二本松の水車小屋、広沢池東岸
・仇をとりに走る志津の前に立ちはだかる長さん、相国寺湯屋脇。
*お志津に長谷直美、悪役陣はライバルに外山高士/同心に大木正司/旗本に西山辰夫、義理の娘の亭主に住吉正博。ラス立ち福ちゃん入り(襖の陰に倒れ込む際裏で引っ張ってる感じ)。茜が志津に肩入れするエピソードがあり、柳生くノ一であることをもうあまり隠していない描写にもなっている。


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