長七郎江戸日記 第二シリーズ 1988-1989NTV/東映

1〜20話

→第一シリーズ →第三シリーズ

二尊院紅葉の馬場 キャスト
 松平長七郎/里見浩太朗 三宅宅兵衛/下川辰平
 おれん/野川由美子 牛吉/高品格 辰三郎/火野正平 おみつ/速川明子 友吉/宮川一朗太
 沢木兵庫(六)/三田明 お銀/高木美保

→長七郎江戸日記2 表紙


スペシャル「千姫有情 母ありき」1988.1.5

 逼迫する幕府の財政のてこ入れと将軍の地位を脅かす者の抹殺を酒井忠勝に吹き込む柳生宗冬、財政は池田家取り潰し・これに長七郎を巻き込んで始末しようというもの。乱行の噂立てられ窮地に陥る池田の正室・勝姫は天樹院の娘、天樹院は千姫の落飾した姿。長さんもいいだけ追い込まれるが、天樹院が乱行の主は自分だとする書付を出し、さすがに家康の孫を貶めるわけにはいかず宗冬の陰謀は潰える。

ロケ地
・老中・酒井忠勝邸、西本願寺大玄関門。
・柳生の隠れ里に長老を訪ねる六さん、外観遠景に美山町萱葺き民家
・役者の死体が投げ込まれる池田家江戸屋敷の庭、中山邸庭園
・技を長さんに破られた根来忍のむささび組が新しい技を練習する林、仁和寺塀ぎわ。
・下城する宗冬を問い詰める長さん、二尊院紅葉の馬場
・柳生邸へ乗り込む天樹院、大覚寺大門
・長さんが捕り方に囲まれ宅兵衛が体を張って逃がす、金戒光明寺塔頭道〜石段
・旅立つ天樹院、谷山林道
*ラス立ちのお召はシルバーグレイのラメ地に墨色。むささび衆が周りを高速回転するという妙な新技を披露。


第1話「散るが命か、寒椿」1988.1.12

 辰三郎に果し合いを挑んできた訳ありげな母子は、徒歩目付の父を謀殺された子と、我が子として主の遺児を育ててきた乳母だった。厳しく頑なに「若様」に仇をとらせようとする「母」を庇い諭す長さん、ワルの大目付邸に乗り込み母子を救い断罪の刃を振り下ろす。

ロケ地
・母子が子犬を試し斬りしようとしているところへ介入の辰、広沢池東岸
・魚とりの町の子らが鉄之助を誘う小川、下鴨神社泉川
・さらわれた鉄之助のため刀を売りに言った帰りのおトキを襲う大目付の配下、下鴨神社河合社塀際。その後長さんがおトキを諭す川辺、泉川(走りの紅葉が見える河畔にちょっと季節的におかしい椿が配置され、これに事寄せてお説教の長さんの言辞がタイトルに。椿は下鴨の名物、川を流れてゆく赤い花が映える)
*猛母に小林哲子、大目付は睦五朗で手下が内田勝正。*果し合いを挑まれた辰が勇んで棒切れを振り回すくだりで「迷わず地獄に堕ちるがよい」とやるのが傑作。


第2話「意気に感ず」1988.1.19

 辰三郎のダチが海産物問屋への強盗殺人の罪を着せられて投獄、裏には家つき娘の女将を殺して店を我が物にしようという、当の店の主の陰謀、同心までグル。牢が火事となり、解放された男は出頭せず。誰も信じぬ彼を説き伏せる長さんが、英断を下して囚人を危険から救った牢奉行を援護射撃、出頭しないあと二人も捕らえて突き出すというエピソードも上出来。

ロケ地
・囚人の集合場所に指定の浅草・善慶寺、妙顕寺本堂前。
・出頭しない五助が佇む水辺、大覚寺大沢池畔・庭湖石前。
・お町の芝居について辰を説く長さん、大覚寺天神島
・出頭しないもう一人・間垣浪人を捕らえる長さん、大覚寺護摩堂前。
*五助に工藤堅太郎、お町は三浦リカ、牢奉行は長谷川明男、悪い同心は山田吾一でつるむ商人は外山高士。*長さん、捕らえた囚人二人とも黙ーってお寺の床柱に括ってゆくのがなんか笑える。


第3話「帰ってきた逃亡者」1988.1.26

 長さんが拾った熊のような浪人は、三年前に無実の罪で詰め腹を切らされた家老の遺命を果たすべく雌伏していた。しかし見掛け倒しで人など斬れぬ男、妻子との穏やかな暮らしを望む彼に助力の長さん、悪家老を成敗。

ロケ地
・藤井浪人が息子の寺子屋を覗きに行く、大覚寺護摩堂(ローアングル、背景に聖天堂が大きく映り込む)。その後長さんと行く道、放生池堤(放生池越し、池は草ぼうぼう)。祭りが行われている天神さま、辰夫婦の漫才は五社明神前。
・藤井に決起の話をする三田村(藩士・妻の兄)広沢池東岸(水無し、灯籠を池底にセット)
・妻子を置いて旅立つ藤井が通る関所、大沢池堤に柵セット。
・長さんのとりなしで復縁(軒先に手拭)の夫婦、任地に向け旅立つ親子、木津川流れ橋上。
*妻子が待っていてくれるか否かのサインに、門口に手拭…高倉健かお前は。*浪人は橋本功で妻は一色彩子。悪家老に川合伸旺、夜中に小判を数えてほくそえんでいるところを長七郎ぎみに乗り込まれる。障子に映るシルエットを誰何し斬りつけ、開いた穴を広げ自らばりーんと障子破って外へ出てくる珍しい段取り。*ラス立ち福ちゃん入り。


第4話「手折られた白梅」1988.2.2

 勘定奉行の汚職を暴かんとした若侍は、信頼した恋人の父である勘定吟味役に裏切られ、同志も恋しい娘も失うという後味悪い結末を迎える。

ロケ地
・吟味役・加賀爪外記の娘・ひづるが恋人である勘定方の小役人・八田のもとへ同志の死を知らせに走る道、金戒光明寺御影堂大屋根を背に石段を降り、石段前の路地を西へ。
・八田宅を襲った勘定奉行の手の者を尾行する六さん、二尊院紅葉の馬場(見下ろし)
・八田らが奉行の手先に捕縛されかかる下城の道、仁和寺御室桜林(枯葉)
・加賀爪に娘はやれんと言われた八田がひづると話す市中、御室桜越しに
・夢楽堂を訪ねて来たひづると話す長さん、紅葉の馬場中ほど。
・殺された同志の墓に参る八田、二尊院墓地(長さんがやって来て声をかける)
・加賀爪宅を探っていて天井槍刺しで手傷を負った六さんが足を洗う水場、二尊院黒門付近の落ち水
・事後、失意の八田を励ます長さん、紅葉の馬場
*八田小十郎に加納竜、加賀爪外記に小林昭二、奉行を脅して一味に加わる段は見もの、二面性ある人物を好演。勘定奉行は小林勝彦。


第5話「仇討ちという殺人」1988.2.9

 長さんが関わった亡き友の仇討ち、裏には血を見るのが好きな変態藩主がいて、あろうことか長さんが血塗れで斃れるのを見たいがため、瓦版屋を使い誘き出そうとする。友の遺児と寡婦を守るため、長さん乗り込みで馬鹿殿を成敗。そもそも長さんの友が殺された時点から仕込みという、トンデモ殿様が見もの。

ロケ地
・まだ詳細も明かされぬまま仇討ちの場所と書き立てられる采女ヶ原、酵素(河川敷に竹矢来が巡らされ、地回りが場所の采配をしている)。辰夫婦が見物衆相手に席を売る、酵素の木
・阿漕な瓦版屋・朝文堂とツナギをとる編笠侍、金戒光明寺本堂脇(野ざらしの仏さんの脇に板塀あしらい)
・長さんの回想、結城新三郎の悲報を聞き山中藩に赴く長さん、街道筋は大覚寺大沢池堤
・結城の遺児・勇太郎の剣の師が助太刀を申し出ての帰途南部に言いがかりをつけられ斬殺される道、金戒光明寺長安院北路地永運院下坂
・事後、元服した勇太郎が仕えることとなった岡部藩(改易の山中藩を併合した隣藩)江戸屋敷、大覚寺大門(長さんが対岸から見ている)。見届けて行く長さん、放生池堤北縁の石橋。
*未亡人・綾に田島令子、変態殿様は藤木孝、南部虎之助は中田博久が髭つけて・兄は田中浩。勇太郎の剣の師は荒木茂。ラス立ち福ちゃん入り。


第6話「春遠からじ」1988.2.16

 寄合旗本の次男坊に娘を弄ばれ孕まされたと知った父は、正当な扱いをと迫るが、そのろくでなしに幕閣からの縁談あり、不祥事が漏れては困ると消されてしまう。一方、娘はその場におらず身の不運を嘆き入水、これを牛さんと六が助け夢楽堂へ。しかし娘は頭を強打し記憶喪失となっていた。長さんは記憶が戻って再び死のうとする娘にお説教ののち、ワル高笑いの座敷へ乗り込み血の雨を降らせる。

ロケ地
・斬られた挙句家を燃された書道教授・篠原の位牌を東光山・妙源寺に預けにゆく、向かいに住む行商人・佐吉、神光院(山門越しに庫裏)
・嫁と甘酒飲んでサボリ中の辰が夢楽堂で保護している記憶喪失の娘を見る茶店、今宮神社境内(香苗は稲荷社脇)。これを襲う編笠の武士(戸田の手下)の段は西明寺にスイッチ、見ていた辰らが人殺しと喚く橋は参道・清滝川に架かる指月橋。香苗が落とされるのは参道→河原。
・保護された香苗が見る幼時の夢、犬に追いかけられるのは広沢池池底か。
・事後、二人して父の位牌を受け取りに来る香苗と佐吉、神光院本堂脇・中興堂前〜本堂前放生池石橋
*佐吉に宮崎達也、香苗は立原ちえみ。旗本は川辺久造でどら息子は下塚諒手下は成瀬正孝。


第7話「はしり雨」1988.2.23

 陸奥の寒村に生まれ、13の歳に女郎として売られた女、年季明けて髪結いをして暮らす彼女に再び不幸が降り注ぐ。江戸を荒らし回る凶盗・夜嵐、その正体は実の兄、しかも土壇場で知れる兄の出自、陸奥よりももっと貧しい地から労働力として買われてきた血のつながらぬ兄、女郎にはいっそ年季があって羨ましかったと呪詛を吐く兄は、父母をも殺したと嘯く。これを断罪に現れた長七郎は、女にとって女郎時代唯一人間扱いしてくれた懐かしい面影。短筒を突きつけられた長七郎を庇って凶弾を受けた女は、雨の日の出会いを胸に薄幸の生涯を閉じるのであった。

ロケ地
・長さんの示唆で直次郎と接触の輩を尾ける辰が突き止める両国の顔役・又蔵の別業、中山邸(門、塀)
・かえで床の裏手、おさわが佇む川辺、下鴨神社泉川。長さんに兄のことを語る背景には河合社本殿に塀際、門等。
・おさわの墓、二尊院墓地。墓参を済ませ長さんがおりて来る坂、紅葉の馬場
*おさわは原日出子、直次郎は伊東敏八、又蔵に高桐真、誤認逮捕に平謝りの奉行は中村錦司。


第8話「人斬り数え唄」1988.3.1

 わらべ歌になるほどその義が知れている殺し屋・人斬り五郎造、しかし依頼者にたばかられ無辜の者を殺害したことから自らを断罪し島送りに。赦免も断る五郎造だが、遺族の難儀を耳にし江戸に立ち戻り動く。長さんは彼のし残したワルの始末を引き継ぎ、抜け荷でつるんでいたおおもとの目付と口入屋一味を皆殺し。

ロケ地
・人斬りのわらべ唄歌う子らが遊ぶ宮、上賀茂神社ならの小川神事橋たもとに地蔵あしらい。島造を尾行している辰夫婦や宅兵衛さんがいるのは橋下手の河畔。六さんに島造が遠島になった経緯を聞くのもこの付近。
・音羽の佐助親分の墓に仇討ちを誓う朝吉を止める親分の娘、黒谷墓地
・島造に事の経緯を聞く長さんと辰、水石いっぱいの石庭、不明。
*島造は織本順吉、口入屋は井上昭文で目付は江見俊太郎。朝吉は草川祐馬、島造のことを話す島帰りの男に峰蘭太郎でラス立ち福ちゃん入り(目付の家来)。*島造の得物は地蔵の竹柵に仕込まれていたり、殺しの場面がトリッキーで必殺風味。


第9話「地獄を覗いた姫君」1988.3.8

 大目付の讒言により改易となった彦坂藩、殿様は運命を受容し陰ながら姫を見守る隠棲の日々。しかし家臣は姫君を我が子として守り育て、お家再興の日を夢見る。だが、その元家臣が商売で儲けた資金にワルの手が伸びる。
大目付が使嗾する変態殺人鬼に誑かされた「姫君」は養親と店の者の死を見て懊悩、自死を図るが長さんが阻止、また家臣の仇討ちに出ようとした殿様もとどめ、引導代わりの双剣がワルどもに振り下ろされる。

ロケ地
・月之介が大目付の手先に囲まれ同道を求められる林、仁和寺疎林塀際。
・殿様の隠宅、8話の庭と同所か(門)
・お袖(姫君)が色悪・月之介とデート、仁和寺各所(金堂前の道、経蔵、九所明神、林間)
・事後、尾張屋の墓参(墓地不明、丘の上か)の殿様とお袖を見届けた長さんがゆく、仁和寺中門(正面、金堂が遠景)
*元殿様は神山繁、大目付は五味龍太郎、月之介は磯辺勉。*仁和寺ロケ、一部ちらちら雪。*「天知る地知る」などとワルを断罪に現れる長さん、上中下三段の蔀戸が開き、足から順に露わになるという仕立て。*辰三郎、反故で作った妙なサンバイザーを装着、額飾りに「夢」なんて書いてある…お手製?


第10話「母ひとり旅」1988.3.15

 色っぽい年増に惚れられ有頂天の宅兵衛さん、女の身の上に同情しきりで老後資金を投げ出すが、これが色仕掛けの仕込みで裏にはあくどい地回りと悪徳商人、果ては勘定奉行職狙いの大身旗本までいる始末。女は病の息子のための高貴薬欲しさに追い使われていたもので、女を使いライバルを陥れようとする企みは長さんに阻まれることとなる。

ロケ地
・安価で質のよい炭を扱う野州屋の荷が襲われ火をかけられる、広沢池東岸(水少)、長さんと辰が来かかるのは堤道。
・煮売屋の女将・おあきが祈願のお不動さん、神護寺金堂。その帰途よろけて宅兵衛が助ける石段、山門下石段。茶店でお話は和気公廟所前に縁日をセット。
・事後、労咳の息子を亡くしたおあきが巡礼にまじるのを見る釣りの長さんと宅兵衛、琵琶湖西岸
*おあきに三林京子、甲州屋は金井大で旗本寄合席は北原義郎。福ちゃんクレジットあり。*宅兵衛を騙した女を説教にかかる長さん、女の耳にエコーする「人の好意」「まごころ」などの文言が傑作。


第11話「命を売る男」1988.3.22

 妻の薬代のため縁日で「命を売る」と称し手付金を掠める浪人、これを邪魔な札差殺しの下手人に仕立てようと仕官話を持ちかける蔵奉行。根が善人の浪人は土壇場で奉行の悪事を覚るが、後の祭りなのだった。

ロケ地
・宗田貫平が二十両で命を売る縁日、北野天満宮本殿裏手。
・宗田と義弟のぺてんを聞き込む縁日風景、大覚寺心経宝塔をイメージに挿入。
・手口を調べ上げたあと、また命売りに出ている宗田を咎め刃を突きつける天神様の縁日、事情を聞く境内裏手は上賀茂神社北神饌所裏手。
・宗田の長屋を訪ねたあと長さんと宅兵衛さんがお説教、ならの小川(長さんに蔵奉行の没義道を聞かされるのも同所)
・事後、職を世話して貰った宗田が義弟の遺骨を抱いて松前に発つのを見送る長さん、北野天満宮境内(バックに本殿大屋根上部と満開の紅白の梅)
*宗田貫平に松山政路、蔵奉行は高野真二。


スペシャル「天下を取れ!仕掛けられた反乱」1988.4.5

 辰三郎と友吉がヤクザにからまれているのに割って入るのは藤岡弘演じる別木軍兵衛。
彼が長七郎が飲み明かした朝別れるのは大沢池畔。石仏も映っている。
宅兵衛と長七郎が事件のことを話し合う橋は上賀茂神社・ならの小川の神事橋
長七郎が別木を呼び出し詰問し説得するのは相国寺の鐘楼
別木が宅兵衛の尾行をまく茶店は大沢池畔。


第12話「悲しい女」1988.4.12

 大名荒らしを追っていた長さんが拾った、賊の流れ手裏剣で負傷の女。実は顔を見られたため長さんの命を狙う盗賊の仲間で、記憶喪失を装い夢楽堂に居候。長さんはこの女の企みで寝間の床下から刺されかけたり、石段から大樽を幾つも落とされ打撲傷を負うなどけっこうエラい目に遭う。しかし女は、天正以来陽の目を見ぬ根来衆再興を夢見て騙され追い使われていたという、悲しい身の上を秘めていた。

ロケ地
・大名荒らしの賊・仁王について報告する六さん、大覚寺護摩堂前。
・お駒を捜す長さんが悲鳴を聞く、五社明神。声を頼りに行くと樽落しの石段、法輪寺参道。
・お駒が弟とツナギをとり長さんの始末を急かされる、天神島
・お駒の記憶喪失は芝居ではと話す宅兵衛、放生池堤池畔に茶店あしらい。船着き(小)に佇むお駒に声をかけ六と共に行けと示唆の長さん、六さんは大沢池木戸際。
・事後、根来へ帰るお駒がゆく道、広沢池西岸
*お駒に蜷川有紀、西山辰夫の大目付とつるみお宝を盗られた大名に高利で融資の札差は田口計、仲間を裏切る根来衆首領は中田博久でアイパッチつき。
設定エピソード/長さんの母の実家、織田家(仁王一味に家宝盗られ長さんに相談)


第13話「老兵は死なず」1988.4.26

 年老いた定町回り同心が肩を叩かれ、本所方移動を勧められる。儂はまだまだと荒れる勘兵衛さんだが、長さんの励ましに奮起し勇んで新しい職場へ。しかしそこは、普請に関する汚職の巣窟だった。

ロケ地
・墓参の勘兵衛の娘・七重、黒谷墓地。その帰り、幼馴染の旗本の次男坊・伊織がならず者に追いかけられるのを見る道、今宮神社石橋稲荷社前。
・七重が伊織に要橋の見積額を聞かれる吾妻権現山門、今宮神社楼門。伊織のことでおれんに声を掛けられるのは高倉脇坂
*長谷川勘兵衛に佐藤英夫、年番方与力は勝部演之で目付は永井秀明、悪徳材木商は高桐真。福本先生が目付配下の剣客・向井一角として登場。冒頭本所方同心を跳躍してバッサリ、相手の刀をまっ二つ。目付邸を探っていた六さんの気配に気づき畳をぶっすり(六さん刺されてる)。逃げたのを追って屋台を見つけ、長さんを偉そうに誰何したり。ラス立ちにはもちろん出ずっぱり、最後は長さんに斬られるがのけぞりは無し。但し勘兵衛さんの危機に六さんが投げた煙玉には、うわぉとのけぞってみせる。


第14話「おふくろの味」1988.5.3

 出世欲に目が眩み人柄も変じた息子夫婦を嘆き家出の老母、辰三郎に拾われ人心地を得るも息子はワルの内ゲバで落命という哀話。亡母に似た老女・ふきを庇護する辰が泣かせる。
お話は、勘定奉行・蔵奉行(老母の息子)・富商がタッグを組み米を高騰させ大儲けを企むというもの、物資隠匿の倉庫を人目から逸らすため民衆を煽り打ちこわしの芝居を企図、結果人死にを出す事件が発端となる。

ロケ地
・辰がふきを拾う川辺、大覚寺大沢池船着き(小)。ラスト、辰が老女からの感謝の文を自慢げに長さんに見せるのも同所。
*老女の息子に抗議のため殴り込みをかける辰、薪ざっぽ持ってきりきり武装。ダミ声で怒声を発しすばしこい立ち回りを見せるが、事後長さんに「怖かったー」と泣きつく姿が可愛い。*長さんに乗り込まれる勘定奉行に菅貫太郎、一旦平伏も逆らういつものパターンだが、「長七郎ぎみとてたかが素浪人ではないか」と不逞な態度を見せるのはやはり菅貫ならでは。老母は風見章子。


第15話「三途の橋」1988.5.10

 凶盗・鷹ノ目を息子の仇と追う同心が殺され、残された孫娘を保護した長さんは賊の巣食う「濠外」の地獄島へ。司法の手も届かぬスラムがひとしきり描かれ、これを隠れ蓑に抜け荷で大儲けした金で出世を目論んでいた北町与力を焙り出した長さん、屋敷へ乗り込み双剣を振るう。

ロケ地
・昨夜出た凶盗について六さんと話す縁日、大覚寺心経宝塔前に茶店セット。
・「若」が地獄島へ行ったと聞きワシも行くという宅兵衛さんを止める六さん、大覚寺大沢池畔。
・手入れを逃れ中州に隠れるスラムの住人たち、罧原堤付近桂川中州。おかしらの指示が来る船小屋、罧原堤下汀にセット(爆破シーンも同所かは不明)。抜け荷取引の川端は嵐峡か中州掘割か。
*地獄島は濠に囲まれ、橋一本で通じる設定。*スラム潜入の長さんの出で立ちは袴をつけた浪人態で、うっすら無精髭。ラス立ちはいつもの衣装。


第16話「小鳥を愛した少年」1988.5.24

 同心暗殺に次いで、夢楽堂のおみつが命を狙われる。犯人は暗い眼をした少年、執拗におみつを狙うが手当てをしてくれた優しさに触れ動揺、足を洗おうと図るが彼を殺人機械に仕立てた親分に消されてしまう。これを見た長さん、暗殺依頼の俳諧師で正体はマルチ詐欺師の連寂宅に乗り込み成敗。

ロケ地
・同心暗殺、神護寺石段金堂前。
・おみつが殺し屋・次郎に殺されかける橋、金戒光明寺放生池極楽橋
・囮となってお参りのおみつを狙う次郎、神護寺毘沙門堂
・連寂邸、中山邸通用門
・ふざけて外出したおみつを探す友吉、金戒光明寺長安院下坂。おみつを襲う次郎、鐘楼(揉み合い落下)。後段、長さんのお説教後少年が物思い石を転がす溝は参道脇の溝。
・事後、小鳥の来る林に葬った次郎の墓、不明(山上?)。帰り道の長さんたちが降りる坂、神護寺鐘楼下石段
*「天竺講」なるマルチで大儲けしたあと身代わりを立て自死を偽装し俳諧師になりおおせていたワル、悪行を語るエピソードは辰ちゃんの騙され話「ホントなんだってば一両が五両に」…このほか、おみつの寝所に鬘と女物の着物まで着込んで身代わりをつとめるなど活躍、ちょっと見可愛いけどよく見ると気持わるい。*ラス立ち、用心棒数人しかいないのであっさり済み、その分福本先生ののけぞりが多い目に映る。


第17話「夫婦飛脚・恋の綱引」1988.6.14

 芝増上寺改修を仰せつかってしまう小藩、賄賂を持ってこなかったと怒る御側衆が画策したもので、以降国元からの金飛脚が殺され荷を奪われたりして窮地に。この飛脚屋の家つき娘夫婦がおれんの幼馴染、御側衆に抱きこまれた番頭の企みで若主人が追い出されるなどしていた。鳶山藩と飛脚屋を救うため動く夢楽堂の面々、家つき娘と気の弱い養子はきっちり長さんのお説教を食らう。

ロケ地
・番頭の企みを調べて長さんに報告の辰、金戒光明寺三門
・六に御側衆の調査を頼む長さん、神護寺山門下石段中程。事後山田屋夫婦の今後を思い微笑む長さんは境内。
*気弱な婿は高橋長英、家付き娘の女将は三浦真弓で番頭は田中弘史。ラス立ち福ちゃん入り、御側衆の家来。


第18話「葵と紫陽花」1988.6.28

 不遇で名ばかりの「御縁戚」十八松平の若様、権威を傘に着て市中で無体を働く。これを利用して、大金借りてる富商や、いると都合のわるい目付衆を無礼討ちさせて始末の御側衆、こやつらは長さんが撫で斬り。若様は、長さんたちの根強い説得で心を決めた父の隠居に成敗される運びとなる。

ロケ地
・松平盛親邸、相国寺大光明寺(門、前庭、中仕切、堂縁先)
・お供の旗本奴とぶいぶい町をゆく頼盛に三河浪人と名乗り嫌味をかます長さん、不明(緩い石段、下部は曲折)
・御側衆・鳥羽伊勢守邸に頼盛引渡しを申し入れに行った帰り襲撃される盛親、相国寺湯屋脇、方丈西塀際。
・若君がさらった娘を隠している一族の菩提寺・妙法寺イメージ、相国寺方丈甍
*松平盛親に大木実、伊勢守は近藤宏。
設定エピソード
・牛さんが長七郎ぎみの出自と今の暮らしを隠居に語る。


第19話「妻こそ我が命」1988.7.5

 宅兵衛さんの剣の弟子夫婦が何者かに陥れられ「心中」死体となって見つかり、辻斬り疑惑まで上乗せ。冤罪を晴らし犯人を捕えるべく弟子の跡を辿るため、宅兵衛さんは口入屋・叶屋に潜入の運びに。この際おれんと夫婦を偽装、わざとらしいこのお芝居が傑作。事は食い詰め浪人を利用した叶屋の阿漕な裏稼業と知れ、普請奉行や旗本の悪事も明るみに出る。

ロケ地
・山中夫婦が心中を装い殺されて見つかる、広沢池北西岸湿地。
・山中の辻斬り疑惑の噂を告げる六さん、大覚寺大沢池北東畔。
・回船問屋暗殺の裏にライバルの浪花屋と報告の六さん、神護寺和気公廟所(後段のツナギも同所)
・宅兵衛が叶屋に腕を試される境内、神護寺山門(内側)。明日妻を伴って来いと言われるのは鐘楼下石段前。
・尾行した六さんが船で叶屋にまかれる、嵐峡船着き。
・叶屋の隠居所を探る辰たち、嵐亭生垣(辰が植え込み下から顔出す)
・浪花屋が暗殺依頼の書付と千両を交換、神護寺石段下部と周辺。
*旗本寄合席・無役の悪党に中野誠也、叶屋は穂積隆信、普請奉行は浜田晃、浪花屋は高城淳一で用心棒に福ちゃん(クレジットあり)と小船秋夫。


第20話「夢いくたび母の暦」1988.7.12

 長さんが拾った酔っ払い女は、永年のつとめを終え八丈から帰った盗賊の女房だった。島での暮らしを地獄と語る女、生きる支えとなったのは本土に残した娘のこと。商家の養女となり幸せに暮らす娘を陰ながら見て涙を零す母、そして娘の身に伸びる魔手には我が身を顧みず救いに入る。

ロケ地
・おかつの元手下・だるまや源兵衛が入る宍戸藩上屋敷、大覚寺大門
・おかつを誘い散歩に出る長さん、二尊院紅葉の馬場(じっくり話を聞く段の茶店は坂の下にセット)。ここで入る回想シーン、おかつが岡っ引に娘を預け流人船に乗る番所、広沢池東岸に柵あしらい。
・だるまやについて六さんの報告を受ける長さん、化野念仏寺石仏群脇。
・密殺した小松屋の死体を運び出す宍戸藩江戸家老の若様、大覚寺勅使門橋(橋下の御殿川に六さんが潜む)。死体投棄は保津峡落合(崖下から見上げでマネキン投下を映し、菰包みの小松屋は河口部に置かれているのを六さんが発見)
・上屋敷に拉致された娘を助けにゆくおかつ、御殿川を走り勅使門橋脇から上陸。
・事後、祝言を挙げる娘を遠目に見て立ち去る旅装のおかつ、車折神社(中門から式が執り行われている本殿前を望む)
*おかつは中村メイ子、江戸家老は上野山功一で源兵衛は大林丈史、小松屋は大塚国夫。


→長七郎江戸日記2 表紙


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