暴れん坊将軍 II  1〜19話

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第1話「一番神輿が俺を呼ぶ!」 1983

 徒目付の若者と恋仲の魚屋の娘、男に縁談あるを嘆き自死と見えたは偽装殺人で、密談を聞かれた目付と富商の陰謀、そもそも縁談も仕込み。暴発する若侍と娘の弟を抑え保護した新さん、ワルを断罪。

ロケ地
・津川文之進が城中で暴れた経緯を聞く弓のお稽古上様、姫路城天守を背に三国濠端。
・お濠から川に出る上様を隠した船、嵐峡上手の保津峡か。
・おしのの墓、亀岡か。
・失踪したおしのの弟を探すめ組のくだり、常が聞き込みの渡し場は罧原堤下河原
・おしの殺害の真相について忠相の報告を聞く新さん、相国寺庫裏前。
・おしのの弟が目付の配下を尾行するも露見する道、相国寺路地。危機に駆けつけ撃退する新さん、鐘楼脇。
・目付・兵頭内膳邸、大光明寺
*おしのは五十嵐夕紀。目付は南原宏治、配下に内田勝正。悪徳商人は田中浩。*してやったりと高笑いで賄賂の受け渡ししている座敷に飛んでくる正義の扇、大リーグボールの如き弧を描いて障子を突き破り悪徳商人の手にぐっさりと突き刺さる。血ダラーっと出てしかも抜けないハイパー扇。新規お庭番の活躍も天井板割って乱入のさぎり、土中から出現の才蔵と派手。成敗は二段構え、ひとしきりワルを相手に立ち回り、後日お城に召し出して「カーン」。目付は「もはやこれまで」と斬りかかってくるが制止され、庭に走り降りて意味不明の呟きを残し自刃。*第二シリーズ、キャスト変更は庭番二人、さぎりに才蔵。新規参入に今回のお話の主人公・文之進(*33話で退場)。龍虎はなにやら診療所を開いている(所帯は別になっているが途中からほぼめ組に入り浸りな感じ)。テーマ音楽が少しアップテンポになり、OP上様は白馬に昇格。


第2話「紅蓮の炎に鬼を見た!」 1983

 禁制品取引で私腹を肥やす長崎奉行と、品行のとてもよろしくない弟が、真面目に働く植木屋夫婦を苦しめる。以前妻を狙う借金のカタとして指を詰められた元指物師の植木屋、今また幼い娘が殺しを目撃したことから命を狙われるが、みんな奉行の弟の仕業。無力な民への無体に怒った上様、荷を隠そうとしている奉行宅へ乗り込み大暴れ。

ロケ地
・忠相が上様を連れ出す目黒の御狩場、不明(井尻に似た荒地)
・目安箱へ笄を入れた女のことを上様に報告する忠相、姫路城西の丸。ここではじいからこそこそ逃げてゆく上様のコミカルな子供走りが塀際に見られる。
・ラスト、弓のお稽古は姫路城天守をバックに三国濠端。
*植木屋は小野進也で女房は五十嵐めぐみ。長崎奉行は小池朝雄で弟は藤木敬士、奉行の配下は平沢彰、グルの岡っ引は長谷川弘。ラス立ち福ちゃん入り・奉行の家士。*乗り込み時、黒塚の趣向で登場の上様、赤頭に般若面。刀持ってないので彩物でぴしぴしぶっ叩き、一旦退場ののち通常スタイルで再登場。


第3話「気になるあいつの恋びんた!」 1983

 妙な出会いなるもちょっと「いい感じ」の新さんと町娘、しかし強欲な親は彼女を妾奉公に出してしまう。娘を欲した旗本はやりたい放題の愚連隊、先君のお墨つきを振りかざし手を焼かせていた悪党なのだった。

ロケ地
・おふねに殴られる上様と忠相、広沢池北西岸(コサギのいる水辺は別の「川」)
・神谷召し出しを命じる弓のお稽古上様、嵐亭延命閣。
・お墨付きの一件でクサる新さん、池の鯉に餌投げてるところへ声をかけるおふね、梅宮大社神苑・池中亭への土橋上、追儺の踊りを見るのは舞殿。その後ユリカモメ乱舞する水辺でお茶する二人、桂川臨川寺地区左岸河川敷(堰堤脇)に床机あしらい。
・事後、親元へ戻るというおふねに別れを告げられてしまう新さん、広沢池東岸汀夕景、水際に鳥居あしらい。
*おふねは三原順子、父は北村英三・母は松村康世・祖母は和歌林美津江。悪旗本は石橋蓮司、取り巻きでマジ斬りされる二人は成瀬正ときくち英一。*アレなセンスのタイトルだが、暴将独特の脱力エピソードあり。おふねとの出会いなどは、忠相とバードウォッチング中の上様が遠眼鏡で娘の小用を見てしまいド助平と殴られる設定。しかもどこから見ても真っ白で脚指さえちゃんと黄色いコサギを「珍鳥」とか「ゴイサギ」とか言うし。また、これをお城へ帰った上様がボヤくし。加納さまは「上様が女の股ぐらを!?」なんて大声出すし。庭番まで失笑してるし。こんな妙なヒーローにあるまじき挿話を入れられている割にはラス立ちは大マジ、石橋蓮司がこれ以上はない憎態でお墨付きかざして「これが目に入らぬか上様といえど頭が高ーい」とやるのにマジ斬り、お墨付きをばらばらに切り裂いた上でバッサリ、倒れたレンジの顔はガラス越しのアオリ。


第4話「富士の白雪に消えた女」 1983

 久能山東照宮の修復工事をめぐり私腹を肥やさんと企む駿府城代と宮大工、上様のお声がかりで決まった棟梁を襲わせるが阻まれ命は奪えず。しかし棟梁の傷重く実務には耐えず、勘当中の息子を呼び戻す運びになるが、これが悲劇の発端となる。

ロケ地
・駿府の浜、静岡ロケ・バックの富士も美しい。
・弓のお稽古上様に棟梁負傷を報告の才蔵、枳殻邸印月池畔。
久能山東照宮、本物。楼門・唐門・廟所など映る。
・城代の手に落ちるを拒み胸を突いた七重が捨てられかかる川、上賀茂神社ならの小川
*棟梁の息子の嫁は西崎みどり、幸福を前に散るいつもの役まわり。後釜を狙う宮大工に梅津栄。


第5話「狸に化けた弁天様」 1983

 父に置き去られた娘二人の人生が橋上でクロスする。一人は今棄児となったばかりの幼女、いま一人は捨てられたのち裏街道を歩んだ女。鮮やかに悪人から金を掠め取り消える女は、幼女の父を探し当て巡り会わせてやるのだった。
金をとられるのは贋金作りをしていたかつての大盗、女は新さんを騙し強請りの場で闘わせその隙にまんまと金持って逃走、馬鹿を見る新さんだが、女と所帯を持って差しつ差されつなどと空想しきっちり鼻毛を読まれている始末、とりあえず悪党が捕まってよかったねで幕。

ロケ地
・おりんが贋金入りの財布を掏った浪人が殺されて見つかる大川、広沢池北西岸
・新さんと文之進が幼女をあやしているのを橋下から見るおりん、渡月橋下桂川右岸(橋脚のみ映る。新さんがいる橋は映画村日本橋)
・新さんに須貝救出と騙し強請り話を持ちかけるおりん、広沢池北西岸(汀に鳥居セット、水天宮の額)
・贋金作りの八丁畷の太兵衛と取引の水辺、木津川流れ橋下河原。
*おりんは熊谷真実、養父で強請りネタを企画する甚左に遠藤太津朗、太兵衛を強請りに行く際は凄味のある悪人面を見せる。殺陣もちょっとだけ披露。タイトルは、幼女の父・須貝浪人がおりんに言われて届けに来る信楽焼の狸から「分け前」の小判がざらーっと出てくるのを見ておりんを表現する「弁天様のようなお人」から。


第6話「絵文字が告げた吉宗暗殺」 1983

 性懲りもなく上様を狙う尾張方の陰謀、凄腕の忍びを差し向けたり、証拠隠しに爆破までするが、最後は加納じいの教えた上様のスケジュール変更を鵜呑みにして失敗。これに、己の野望のため娘の幸せを踏み躙る北町与力の哀話がからむ。

ロケ地
・市中でツナギのシーンに上御霊神社(本殿裏手、舞殿、本殿、高倉)
・尾張とつるむ木曽屋の寮、中山邸門。
・父の法要に向かう上様の駕籠(半蔵入り)を襲う忍群、鳥居本八幡宮(小柴垣、広場)
・亡き許婚者の墓に参る与力の娘、二尊院墓地
*娘婿を犠牲にしても出世をはかる北町与力は大木実、娘は中村れい子、許婚者は伊庭剛。尾張の意を受けた若年寄は小澤象、尾張江戸家老は永野辰弥、悪徳商人は外山高士。*タイトルは耳と口の利かぬ船頭が客の唇から読み取った陰謀を絵にして出した訴状から。


第7話「わらべ地蔵の子守唄」 1983

 地回りとつるんで悪事を働く寺社奉行大検使、め組が差配の火除地を遊郭にと図るが、思いっきり上様に不審持たれて断念、途端に地回りを闇に葬ろうとする。しかし地回りは捕り方から逃れ寺子屋に立て籠もり、同様の事件で息子を亡くした元館林藩士で現寺子屋師匠はヤクザを涙の説得。

ロケ地
・寺子屋のある新徳寺、坂本の慈眼堂(天海僧正廟所のほか、前の灯籠群や山門、参道)
・寺社奉行所、大覚寺大門
・ヤクザを説得する段、寺子屋師匠の回想・捕物の際上司のフライングで我が子を含む人質の子供三人を亡くした利根川、罧原堤下河原
*寺子屋師匠は高津住男で妻女は三浦真弓、地回りは汐路章で子分は曽根晴美、大検使は北原義郎。


第8話「五万両のとんぼ返り」 1983

 武田の隠し金を巡っての騒動。大判大量ゲットの前勤番支配、汚名を着せて下役を殺したことからアシがつく。断絶の憂き目を見たその旗本家、生さぬ仲の子を育ててくれた奥方に深く感謝する軽業師の実母が陰から援護し、これが上様の目にとまる運び。

ロケ地
・お庭で素振り上様、枳殻邸印月池畔。
・苛められている松之助、金戒光明寺三門
・軽業の太夫をしている実母が松之助を励ましとんぼを切る橋、中ノ島橋(橋標鮮明に映る)
・甲府へ向う一座を見かける遠乗り上様、下鴨神社馬場(一座は参道)
*若衆姿で探索の「実母」が危機に陥るところへ現れる新さん、通常なら正義の扇が飛んでくるところだが、今回は若衆の遺留品の頭巾被った新さんが上から降ってくる。まるで「紫頭巾」、しかし「特大」。*太夫は片桐夕子、奥方は一柳みる。元勤番支配は菅貫太郎、隠し金猫ババの勘定勤番衆の一人に原口剛、菅貫の命でグルの勤番衆を暗殺してまわる強面は国一太郎。ラス立ち福ちゃん入り。


第9話「女泣かせの付けぼくろ」 1983

 松平健二役の「そっくりさん」もの。新さんに瓜二つ設定の遊び人は、左目下の黒子もあやしいジゴロ。彼が巻き込まれる抜け荷事件が主軸で、やばいヤマに手を出すも恩人の船番所役人の死を見て反省→新さんが身代わりに出てワルを成敗。

ロケ地
・新さんが忠相とツナギをとる神社(政吉の愛人の芸者・おすみが拉致されるのも同所)上賀茂神社奈良社
・おすみが龍虎に政吉のことを相談する水辺、上賀茂神社ならの小川畔。
・堺屋の用心棒たちに仇と斬りかかる政吉、大覚寺有栖川畔。
・船番所役人を回想の政吉、広沢池東岸に船着きセット。政吉に化けた上様の船がゆくのも同所、ここでラス立ち。
・政吉たちが江戸を経ったあと新さんと龍虎が話す神社、上賀茂神社御所舎脇。
*おすみは金沢碧、政吉が父と慕う船番所役人は守田比呂也。政吉をヤバい仕事に誘う兄哥は中田博久。*やばいヤマは思い切り物騒な将軍暗殺計画、銃を買い込むのは長州の江戸家老(藩関係なし・個人的計画)。


第10話「泣くな吉宗大江戸無情」 1983

 闇の大老と呼ばれ、娘を尾張候に娶わせいずれ天下を睥睨せんと野望ぎらぎらの元老中・根岸道斉。しかしやることはセコく、仕官を餌に釣った浪人たちを使嗾し、尾張の殿様が孕ませた邪魔な侍女を殺させる。このあと浪人たちの一人は罪の意識に苛まれ狂死、残った者も仕官などさせて貰えずなぶり殺しに。ブチ切れ上様は馬を飛ばして駆けつけ、道斉の胸倉つかみ悪し様に罵り成敗。

ロケ地
・道斉の高輪・皇乾荘、中山邸(門、参道)。庭で鯉に餌をやりながら娘・お能と悪企みの道斉、枳殻邸臨池亭縁先(用人に連れて来られた筑波浪人がお目見えは対岸)
・身籠ったお能の方付き侍女が筑波たちに暗殺される屋形船、嵐峡か。侍女の死体が見つかる河原、中ノ島橋下手河原(発見者は橋上)
・黒幕がわかっていて何故手をつけぬと新さんに迫る文之進、広沢池東岸(水無、汀に水天宮の祠あしらい)
・左文字を始末する用人、広沢池北西岸の林。
*今回は浪人の悲哀がテーマ、冒頭慶安の変イメージが出るが、この中で由比小雪の炎の自刃を演じるは福本先生。ラス立ちにも登場し盛大にのけぞる。*道斉に藤岡重慶、べたべたに生腥い悪党を演じる。主同様悪辣な用人は牧冬吉。筑波浪人は原田大二郎、仲間は剣持伴紀(縊死)に森章二(斬殺)。巻き込まれる火の番の爺さまは河合絃司。


第11話「花散る里の夢見鳥」 1983

 恋に賭け職を辞したくの一、健気に男に尽くすが旗本の勘当息子は呆れ果てたヒモ。それに加え辞職の際の義理で盗っ人の片棒を担ぐ羽目に。やがて彼女の不幸は全てその「義理」の蔓から出たものと知れ、上様に本道へ立ち返るよう示唆されるも、男に去られた女は自死に近いかたちで賊の刃を受けて散るのだった。

ロケ地
・元御広敷勤めで朋輩だったゆかりを尾行するさぎり、じきに露見し話す汀、広沢池東岸
・才蔵とツナギは大覚寺護摩堂、ゆかりのことは告げず。
・ゆかりについて上様に報告の才蔵、鯉に餌の上様は枳殻邸侵雪橋上。
・さぎりにゆかりのことを聞く上様、大覚寺五社明神天神島
・さぎりの回想、ゆかりと訓練・辞職の際の幸せそうなゆかり、枳殻邸傍花閣前。
・事後、ゆかりの墓に参るさぎりと上様、二尊院墓地
*ゆかりは山内絵美子、ヒモの若様は大竹修造。賊の首領は丹古母鬼馬二、手下は黒部進に福本清三(役名「清六」)、黒幕の御留守居役は幸田宗丸。


第12話「めおと千両大漁節」 1983

 お浜御殿まわりで巻き起こる怪事、近づいた漁師が捕縛されたり消されたり。抜け荷と察した上様は、御浜御殿奉行にゆさぶりをかける。これに、素行は悪いが一本気な漁師の青年のエピソードがからんでゆく。

ロケ地
・御浜御殿付近の芝浜、琵琶湖西岸(松原、木の桟橋、浜に漁具あしらい)
・剣の素振り上様、二条城清流園(ラストも同所)
・御浜御殿奉行所に入る忠相、大覚寺勅使門橋(建物はセット撮り)
*お調子者の漁師の青年は森川正太、恋人役は田中綾。浜御殿奉行は川辺久造、上様に顔切られる手下は有川正治。*長次が新さんは上様とバラす一幕があるが、笑われてオシマイ。


第13話「修羅場に咲いた隠れ妻」 1983

 「珍しい菓子」を富商から貰う大身旗本の談合現場に踏み込む目付方吟味役、正義の味方かと思いきやさに非ず口止め料を強請る。お話は、こやつらの悪事を知った下役が罷免されたうえ謀殺される悲劇を描き、残された女房が身分の違いを越えて義父に認められる涙の物語で締めくくられる。

ロケ地
・お城の橋から白鳥を見る上様とじい、二条城本丸櫓門橋上。召し出した目付・梶野と話すシーンは本丸御殿石垣の間〜内濠沿い桜並木
・罷免された目付方の若侍・相楽弥一郎が駕籠訴の梶野邸、相国寺大光明寺(前庭と門、訴えを聞くのは方丈縁先)
・弥一郎が酔っ払いの喧嘩を偽装され暗殺される麹町の路地、大光明寺南塀際。
・目付方に口止め料を持ってくる旗本、鳥居本八幡宮舞殿(ここへ至る道は相国寺仏殿跡林間、起伏をうまく利用)
・この仕儀を上様に報告の才蔵、相国寺法堂基壇上(遊ぶ子らあしらい)
・うまうまと連れ出された弥一郎の女房の危機に馬を飛ばす新さん、相国寺路地
*弥一郎の妻女は服部妙子、水茶屋あがりと認めぬ父は稲葉義男。強請り実行犯の目付方吟味役は大木正司で目付は近藤宏。


第14話「文金高島田の泣き上戸」 1983  42

 定職に就かず酒浸りの父に何度も縁談を潰されている薄幸の女と知り合う新さん、その素行悪いアル中父は元加賀藩の中間頭だったことから賊に目をつけられ、屋敷の見取り図を書かされてしまう。裏にはきれいごとを言上の大目付がいて、諸大名を罠にはめ脅していた。

ロケ地
・大目付・朝倉佐渡邸、大覚寺大門(若槻藩家老があてつけハラキリ)
・お庭番が月ノ輪衆と戦う林、糺の森か。
・茶問屋の息子との話が破談になったと新さんに話すお春、仁和寺九所明神
*お春は高橋恵子、ダメ親父は玉川良一。大目付は田口計、忍びの首領は五味龍太郎、見取り図を書かせる一味の「宮大工」は松山照夫。*大目付が諸大名から宝物を奪うのに使う忍群、月の輪衆なんてネーミングされてる。熊か。ラス立ちにはこれらも参戦、上様は対忍者では脚をぶっすり刺すという細かい殺陣。


第15話「盗っ人新さん御金蔵破り!」 1983

 大泥棒・天竺呂久平から目安箱に御金蔵破りの予告状が投げ込まれる。その根城が深川のスラム・無法河岸と聞いた上様、八人殺して五百両窃盗のお尋ね者「徳田新八」としてムシリ頭もむさくるしい浪人に扮して潜入、呂久平と一当たりののち意気投合して盃交わしたりなんかする。この泥棒、御金蔵へ入る目的は大判一枚を盗ってくること、馴染みの女郎が自分の盗みのせいで親を亡くしたと聞かされ、罪滅ぼしに女の頼みを実行しようとしていたのだった。しかし女は大騙りで正体は上方の盗っ人・紅姫小僧、天竺の縄張りを我が物にしようとの企み。裏には勘定奉行失脚を目論んだ下役が控えていた。

ロケ地
・弓のお稽古上様、枳殻邸傍花閣(幔幕張り)
・呂久平の根城について庭番の報告を受ける新さん、大覚寺大沢池畔。
・馴染の女郎のもとへ船を出す呂久平、広沢池東岸
・紅花小僧の裏切りで捕り方に追われた呂久平と新さんが会う払暁の鎮守、鳥居本八幡宮舞殿前。北町へ自首して出る呂久平、大覚寺明智門
・島送りになる呂久平を見送る新さん、広沢池東岸(柵と船着きあしらい)
*呂久平は藤木悠、紅姫小僧だった女郎は水原まきでグルの勘定吟味役は江見俊太郎(ラス立ち前に唐突に登場)。無法河岸住人には福ちゃんも。


第16話「鬼が棲む浮世風呂」 1983

 禁じられ廃れた隠れ遊びの浮世風呂を復活させようとする立花屋、深川八幡門前の長屋を追い立てる。その長屋で孤児を養育する学者父子を助けて動く新さんたち、放火までしやがる一味を成敗の運び。貧ゆえに老母を死なせたあと出世の鬼となり、ワルの一味になっていた寺社方の役人(学者の娘の元許婚者)が土壇場で正道に立ち返るエピソードが挿まれる。

ロケ地
・料亭・立花屋、嵐山公園内料亭・錦
・矢沢に会い立ち退きについて話す梢、大覚寺大沢池堤(南岸、池越しに心経宝塔)
・梢に矢沢のことを聞く新さん、大覚寺放生池畔。襲撃の刺客と立ち回りは護摩堂
・放火のあと矢沢に会い諭す新さん、仁和寺金堂前林間。
*山岡先生は左右田一平、娘は秋津万里子で元許婚者は伊吹剛。立花屋は森幹太で寺社奉行は川合伸旺、長屋の焼跡で人を威嚇する浪人に福ちゃん。


第17話「花嫁学校討入り前夜!」 1983

 勘定方の下役が不正に気づき密かに入手した帳簿は剛直な吟味役に渡され、彼は覚悟を決めて大元のワルを焙り出そうとするが敢無く横死。父の死の真実を知った娘は、白装束も凛々しく薙刀持ってご学友とともに勘定奉行邸へ討ち込みをかける。娘たちは吟味役邸で開かれている花嫁学校のメンバー、新さんは阿呆な巡り合わせでその講師をつとめていたのだった。

ロケ地
・吟味役・宇津木邸、相国寺大光明寺門と前庭。講師に呼ばれた新さんがやって来るのは湯屋前路地
・荒療治に怒った宇津木の娘・ちさが新さんに勝負を挑むのは鐘楼前。
・庭番のツナギや弓のお稽古上様のお城のシーンは枳殻邸傍花閣前。
・事後、学校メンバーとめ組の野遊びは広沢池東岸、お弁当広げは池に張り出したバルコニー、新さんとちさが話す桟橋、共に作り物あしらい。
*ちさは荒木由美子、父は内田稔で老女は北城真記子。不正を見つけた下役は坂口徹郎、不正役人は宮口二郎でグルの勘定奉行は名和宏。仇討ちに乗り込んだ娘たちが前段となるラス立ちに福ちゃん、肥えたご学友のかわいのどかに突き飛ばされ。*屋敷へやって来た新任講師を見た宇津木、顔を見て固まるがそんな筈ないと一人納得。ラスト、ちさに告白された「上様」に「若い吉宗」表現。


第18話「飛脚鳩ちゃんを訪ねて乱れ舞い」 1983

 佐渡からの御用金を奪取の旗本、ブツを捌くのに御禁制から外されている仏像を利用。職人さらってきて自邸の地下工房で作らせ、グルの仏具屋と連絡をとる際は伝書鳩を使う徹底した保身ぶり。しかし行方不明の父を思う子の気持ちがワルの牙城を突き崩す。

ロケ地
・御用金強奪の街道、酵素か。
・鳩が飛び越えてゆく大川、広沢池東岸。各場面で鳥居や灯台などあしらい演出。
・大奥イメージやトリオで協議の場面に姫路城西の丸、弓のお稽古等には三国濠端、お庭番が訓練中を演出した城内は二の丸石垣。
*仏具屋は須賀不二男、悪事に加担の使用人は平沢彰。旗本は浜田晃、配下に石倉英彦のほか鳩の世話をする中間に小船秋夫。監禁されていた職人は平泉征で女房は弓恵子。*鳩の行方を追うのに火消し動員、皆して屋根に登りツナギの文を運ぶ一羽を待つが、来たのは団体さんで大混乱。


第19話「妻は長良のひと柱」 1983

 梅雨の豪雨で墨田堤が破堤、責を負い普請奉行は自刃。息子に後を継がせようとする上様だが、実務上の不安から、長良川作堤に功績あった元大垣藩郡奉行を探し出し補佐の任にとプランニング。作堤は自分がと企む作事奉行が妨害を働くのを成敗、この過程で元郡奉行のトラウマも癒され、彼の娘と普請奉行の跡継ぎが結ばれてメデタシ。

ロケ地
・水の引いた大川に入り何やら調査の元郡奉行「大野」と出会う新さん、木津河原
・普請奉行の遺児・俊平が大野の娘に求婚の松原、琵琶湖西岸
・人柱志願の名主の身代わりに自刃した「大野」の妻女の遺体を長良川堤に埋めにゆく野辺送りの列、木津堤
・作事奉行が宴会を開いているところへ馬で駆け入る上様、琵琶湖西岸(浜に舞台セット、殺陣は汀でばしゃばしゃ)
・事後、築堤の指図をする大野と俊平、木津河原
*長良川堤を縄張りした男は青木義朗、作事奉行は伊達三郎でグルの口入屋は早川研吉。名主の中村錦司がいい味。*作事奉行の野郎、蛇籠を細工して破堤を招くという外道、しかし治水のことはナニも判っていないっぽくてコワい。


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