暴れん坊将軍 II  80〜99話

  →暴れん坊将軍 II 表紙


第80話「黒髪の刺客 吉宗を狙え!」 1984

 上様大奥で大ピンチの巻。ライバルを殺して大奥出入りの後釜に座る商人と、上様を暗殺して尾張を据えようと図る大奥御留守居役が暗躍、殺した商人の娘に親父は将軍の不興を買って無礼討ちと吹き込む。復讐に燃える娘はワルの言うまま中揩ニして上がり上様を狙うが、最初の御目見得の際のぎらつくお目々でバレバレ(怒りに震えて畳引っかいてるし)。最後は寝所に仇討ち中揩引き込んで捨て身で黒幕を燻りだす上様、わらわらと湧く忍群と寝巻姿で大立ち回り、サークル状に火なんか焚いて派手派手。若い衆にからかわれて大奥勤めを思い立つおまっちゃんの笑い話も挿まれる。

ロケ地
・新参の中掾Eお冬を庭に誘う上様、仁和寺宸殿前庭。じいに百合を渡すのは南庭。
・命を狙われた件を庭番に伝える新さん、中門(赤くない)
・大奥御留守居役と大貫屋がツナギをとる屋形船、広沢池東岸に繋留。
・お冬の回想、父に連れて行って貰った縁日、仁和寺参道にセット(背景に塔)
・ラスト、寿命が縮まったと上様に愚痴るじい、宸殿庭。
*中揩ヘ中村明美、御留守居役は待田京介で配下に岩尾正隆、グルのお局さまは有田麻里、悪徳商人は藤岡重慶。*対忍者戦は徹頭徹尾マジ斬り、忍者は「白面の者」。


第81話「夢は盗っ人大明神!」 1984

 博打狂いの極道亭主が、何をとち狂ったか「義賊」夜嵐お辰に憧れ泥棒志願。この男の性根を叩き直すためのお芝居が、凶賊を成敗するお話とリンクする。

ロケ地
・簀巻きにされて大川に放り込まれた鯰の文治が目覚める汀、嵐山公園中州下手。ここで夜嵐お辰の捕物を見る、立ち回りは中ノ島橋上。
・材木石奉行・八木沢邸、大覚寺大門
・夜嵐お辰一味として文治と話す新さん、護摩堂
・深川の木曽屋へ向うお芝居の夜嵐一味、木津川流れ橋、ここでラス立ち(橋下河原、橋脚、川中)
*夜嵐お辰の正体は材木石奉行の若様、真の狙いをぼかすため他に二件凶行をはたらく。欲しいのは童人形、母が自分の面に似せて作らせたものと「姉妹」にあたるもので、本体は幼時父によって火中に投じられ失われていた。このトラウマで変態となった若様、蔵には人形がずらりという気持ち悪さ、マジで人形とお話しててタイヘン。しかし保身を図る父に斬られて哀れな最期を遂げるその手に、上様は人形を握らせてやるのだった。*文治は森川正太、女房は田中綾子。若様は星正人で父は井上昭文。


第82話「やわら武士道日本晴れ!」 1984

 町人に柔術を教える芝の岩田先生は仇と狙われる身、しかし同僚を過って死なせたとされる一件は汚職を隠そうとする藩幹部の陰謀だった。

ロケ地
・大川端で子と鯉を獲る岩田、広沢池東岸
・上様と忠相が岩田藩の内情について協議しながら歩く廊下、仁和寺宸殿縁先。ラストじいの漫才も同所。
・岩田に稽古をつけてもらった帰りにめ組の衆が寄るおちかの茶店、仁和寺参道脇の茶店。旅姿の仇持ちの娘が倒れる(懐妊中)のは参道石段
・沼田藩上屋敷、相国寺林光院。後段、岩田が乗り込んでくる際には西側の空地も。
・沼田藩の新任留守居役について報告の庭番、上御霊神社楼門
・岩田が殺したとされる沼田藩目付が実は毒殺されたと報告のさぎり、仁和寺宸殿前の庭
*岩田先生は新克利、馬鹿正直な柔術家を好演。彼といい仲の茶店の女将は三浦真弓、仇討ち娘にくっついてくる元岩田の弟子の青年は草川祐馬で手は早い模様。新任留守居役の悪党は近藤宏で配下に真田健一郎。留守居役の「出会え!」にこそこそ逃げる江戸家老が笑える→あとで罷免、役者は天草四郎。


第83話「赤い蹴出しの火消し志願!」 1984

 逼迫する藩財政を救うため、刀を脱し商人に身をやつし抜け荷で稼いだ金を渡していた元槍組頭。しかし財政はとうの昔に立ち直っていて、今や金は藩主の遊蕩に浪費されるばかりと成り果てていた。不審をもった男は消されるが、め組に転がり込んでいた義理の娘の線から事は上様の知るところとなる。

ロケ地
・遠州屋が禁制品を搬入する浜、広沢池東岸
・鏑木藩上屋敷、相国寺大光明寺(藩主が藁づとを斬りトレーニングは石庭、怒った遠州屋が乗り込みのくだりに門と玄関)
・弓のお稽古上様に遠州屋の正体を報告する才蔵、仁和寺宸殿南庭白州(勅使門と白書院映り込み)
・縁日で番頭とばったり会って遠州屋の娘と知れるお初、上御霊神社本殿前(小船秋夫が焼きとうもろこし売り)
*タイトルは父に反発して家出、め組に火消しとして入るお初から。父は藤巻潤、娘は水島かおり。藩主は名和宏で家老は高野真二、ラス立ち福ちゃん入り。


第84話「命みじかく燃やせ初恋!」 1984

 難病の妹がいよいよ駄目と知った兄は、故郷の海が見たいという願いを叶えてやるため銃の密造に手を出す。この薄幸の娘と知り合い一目惚れされる新さん、銃を仕上げた途端消しにかかる悪党ばらを成敗、娘には手術を手配してやるのだった。

ロケ地
・市中の新さん、ぱらぱらと雨降ってくる水辺は広沢池、お糸と出会う川は上賀茂神社ならの小川(以降もお糸に身の上を聞いたり、兄の清太郎と話したりする茶店がセットされていたりと今回多用される)
・医師・良順宅前で妹の容態を聞かされる清太郎、社家町の明神川
・玄海屋が試し撃ちの山中、酵素か。
・銃の製造に失敗して消された鉄砲鍛冶が死体で見つかる大川、広沢池東岸
・弓のお稽古上様に新式銃密造の動きを告げる忠相、姫路城西の丸(天守バック)。このあと庭番の報告場面では同所の塀際も。典医にお糸の容態を聞くのは三国濠端、お糸に貰った羽織の組紐をじいに自慢するのは西の丸。
*銃密造の玄海屋に汐路章、用心棒の須貝浪人に福本先生、グルの鉄砲百人組頭は幸田宗丸。お糸は片山由香で兄は伊吹剛。*ラス立ち、銃で狙う鉄砲百人組頭に上様、玄海屋からとってきた短筒を素早く懐から出すというなかなか珍しい趣向。


第85話「火花が飛んだ!嫁・姑!」 1984

 冴えない五番番頭の田之助に嫁を世話する新さんとめ組、しっかり者の後家さんと母親は意外と仲良くてめでたく事は運ぶが、監査役から回された大商いがとんだ騙りで殺されかかるという騒動に。

ロケ地
・旅の商人が殺されているのを見る庭番たち、北嵯峨農地竹林際(箱根を過ぎたあたり)
・お見合いのあと新さんに今度はうまくやると張り切って礼を述べるおあき、今宮神社東門内側石橋たもと。
・お城の吹上の庭でじいにはかられ姫たちの団体にもみくちゃにされる上様、仁和寺白書院〜南庭白州。お城のシーンでは宸殿前庭園も。
・越後屋に来た監査役は悪人と新さんに告げるおあき、中ノ島橋上。
*田之助に谷啓、一回だけ「ガチョーン」。嫁は佐野アツ子で母は桜むつ子。谷啓に嫌味を言いまくる一番番頭には山内敏男、ほぼ主水に悪態をつく田中さま。四番番頭は峰蘭太郎で似た口調。店の主は中村錦司。ニセモノの監査役は剣持伴紀でグルの高家肝煎は外山高士。


第86話「吉宗、ざん悔の鬼剣舞!」 1984

 北上川中流域の天領、ここの代官は私腹を肥やすことしか頭に無く苛政をしき民を苦しめていた。伝統の舞すら禁じられるなか、名主は娘に訴状を託し江戸へ向わせる。そしてその踊りをもって、若者たちは上様の目にとまるのだった。タイトルの「懺悔」は、若者たちの仲にひびを入れることになった言動と、悪代官を放置したことに責任を感じた上様の反省。

ロケ地
・陸奥代官領での鬼剣舞(おにけんばい)の神社、走田神社本殿前。摘発に来る役人は保津峡落合崖道を走り、走田神社参道にスイッチ。逃れた名主の娘と仲間が故郷を振り返る巌頭は落下岩
・江戸へ出た名主の娘が訴状を目安箱に入れようとして阻まれる辰之口評定所、大覚寺大門。追われる娘を助けるさぎり、大沢池北西畔。
・さぎりの遭遇した事件について報告を受ける忠相と剣の稽古の上様、枳殻邸印月池畔。ラストの弓のお稽古シーンも同所、こちらは幔幕張り巡らせた芝地。
・故郷へ帰る若者たち、北嵯峨農地農道。
*ワルの成敗に乗り込む上様、庭番と三人で鬼剣舞のカッコして登場。黒幕は代官任命権を持つ勘定奉行で、陸奥代官に貰うお土産ときたら南部鉄のでっかい火鉢に小判ざくざく、次の任地では飛騨の檜をくりぬいて小判詰めて来いの大した悪党ぶり、田口計で最後は自刃。グルの代官は浜田晃で手下は堀田真三。陸奥の若者たちは高橋恵子、高岡健二、冷泉公裕。福ちゃんは二態で登場、路上で鬼剣舞披露の若者たちに因縁つけにくるヤクザ、介入した新さんにヒネられて映画村日本橋を転げ落ちる。もうひとつは勘定奉行の手下で拉致やラス立ち。


第87話「粋な合羽の似合う奴!」 1984

 野駆けのおり刺客に襲われた男を助けた上様、事情を聞き忠相に聞いていた御用船入札談合の件にピンと思い当たってとった行動は彼になりすますこと。幼い頃に別れたままの妹は誤魔化せても、乳母には思い切り怪しまれたりして傑作。男の脚の古傷まで見てて偽装する芸の細かい上様、ぴろんと裾まくってほれほれと傷跡見せたり。そして悪い船大工の企みを暴き、黒幕の船手頭と若年寄を成敗。「妹」とその恋人の危機に侍のカッコで駆けつけるはいいが、テキトーに誤魔化して消えちゃうへんは上様らしい大らかさ。

ロケ地
・小田原から江戸に向う途中襲われる清吉、日吉大社白山宮(水を飲ませてやる設定の滝は石段脇の水路落水)
・新さんが清吉として町を行くや襲い来る刺客、大覚寺五社明神
・兄を探しめ組を出た妹・お絹と恋人の彦松が拉致される橋、日吉大社走井橋
・事後、町人の服は軽くて良かったと言いじいに怒られる上様、枳殻邸印月池畔。
*「妹」は佐藤万理、悪党を探っていた許婚者は柴田p彦。談合船大工は菅貫太郎と石倉英彦、御船手頭は深江章喜で値をリークの若年寄は永野辰弥。菅貫の用心棒やラス立ちの家士に福ちゃんチラリ。


第88話「お上に怨みの逃がし屋稼業!」 1984

 無実の罪で夫を八丈へ送られた女は、以来お上を怨み罪人を落とす稼業に足を踏み入れる。女の娘は何も知らず同心と恋に落ち、ここから彼女の悪行も悲しい過去も知られる運びに。

ロケ地
・同心が「新さん」に助けられた話を上様にする忠相、仁和寺宸殿前池泉脇。
・南町同心・久米が笹屋の娘とデート中に新さんとばったり、今宮神社境内。
・新さんが二人を誘う鰻屋、嵐山公園・錦
・笹屋の裏から罪人を運び出し船手頭邸へ届けるくだり、嵐山公園中州水路(渡月小橋や大沢池と組み合わせか)
・笹屋の女将の所行を久米に告げる新さん、今宮神社高倉脇坂下。
・無実と判明し八丈から帰るも、現地で女房を娶っていた女将の亭主が江戸を去る道、嵐山自転車道(両側からの撮り)
・久米と娘がお参りの神社、今宮神社稲荷社
*笹屋の女将は加茂さくら、娘は松本奈美子、恋人の同心は下塚誠。実は島から戻っていた亭主は中井啓輔。船手頭は草薙幸二郎で配下に黒部進、逃がし屋の手先をつとめた岡っ引は遠藤征慈、女将の亭主を無実の罪に落とした駿府の役人は波多野博。


第89話「八丁堀師走の恋唄」 1984

 大奥年寄と組んで禁制品を流通させる呉服商、尻尾を掴んでねちっこく迫る町方を黙らせるのに家族を狙う。剛直な南町同心は悪に屈服するを肯んぜず危地に陥るが、町場を歩き回ってる上様には全てバレており、ワルどもにはまとめて成敗の断。小姓頭と恋仲になっている同心の娘の、出生にまつわる哀話が横糸となる。

ロケ地
・小姓頭と同心の娘がデート、上賀茂神社御所舎前。
・忠相が松岡同心に無理をするなと訓示、大覚寺参道石橋
・脅迫状を川に捨て呉服商に呼び出された寮へ赴く娘の実母、上賀茂神社ならの小川畔。
・芝神明の歳の市、神光院放生池前石畳に露店多数あしらい。
*一徹な同心は左右田一平、娘は長島裕子で実母は茅島成美。悪徳商人は川合伸旺、お局さまは三島ゆり子。


スペシャル「吉宗失脚!?初春一番の大江戸裁き!」 1985 (本放送時は第90話)

 尾張宗春のかなり本気な陰謀、生母・お由利の方をキリシタンに仕立てて吉宗を将軍の座から引きずりおろそうとする。父の野望を諌める尾張の姫も登場。
偽物の母上に冷たくされて落ち込む新さん、信仰が本当ならこの手で裁かねばと苦悩の上様、評定の席でのやきもきなど、いつもとちょっと違ったナイーブな上様が見られる。

ロケ地
・元日の行事に衣冠束帯で臨む上様、仁和寺宸殿北側縁先
・お由利の方がわび住いする小梅清涼庵、中山邸(参道、門、境内各所)
・お由利の方に城入りを勧めて断られた旨報告する加納じい、仁和寺南庭
・雪が拉致されかかっているのに介入の新さん、上賀茂神社神事橋付近と林間。
・お由利の方の侍女が水死体で見つかる、広沢池西岸湿地
・雪と縁日の帰り襲撃を受ける新さん、大覚寺護摩堂裏手。
・清涼庵でキリシタン集会の報告を受け慌てて協議の忠相とじい、仁和寺白書院。この手で母を処断と苦悩の上様、仁和寺北庭園池石橋上。
・雪と虚無僧(味方の尾張藩士)が連絡をとりあう、今宮神社東門内石橋たもと。
・清涼庵から出た怪しの農夫を尾行する才蔵、仁和寺中門(剥落が激しい)九所明神経蔵(代参の大奥老女を目撃)。ここで行われた密議についてさぎりと話す、下。
・尾張忍びを調べようとして露見した虚無僧が落命、大覚寺大沢池西岸に係留の船。
・清涼庵への手入れの際、飛び込もうとする上様を抱き止めた忠相が非礼を詫びる、今宮神社稲荷社前。
・事後、尾張へ帰るという雪姫に「告白」される新さん、上賀茂神社ならの小川畔。
・母のもとへ馬をやる新さん、下鴨神社馬場を中山邸参道へスイッチ。
*評定の場の宗春、してやったりとニマニマ笑う顔や、形勢逆転後口をへの字に曲げた顔も迫力でワルい中尾彬はまさにハマリ役。これを諫止する姫に三原じゅん子、健気な役柄なるもドスの利いた声が中尾彬の娘設定によく似合う。尾張をそそのかす老中に御木本伸介。福ちゃん二態、清涼庵で虚無僧を襲う忍び(百姓姿)と、老中邸でのラス立ち要員(家士)。


第90話「春に出初めの木遣り唄!」 1985 (本放送時は第91話)

 定火消しと町火消しの対立ばなし。常々町火消しを目の仇にする偉そうな旗本は、裏で材木商とつるんでおり、放火までやらかしていた。彼らを追及し懲らしめるお話に、も組の御家庭の事情がからみ、無事出初め式が執り行われてメデタシ。

ロケ地
・火消しの喧嘩について聞く弓の上様、姫路城西の丸(天守バック/後段庭番の報告を受けるくだりではぞろぞろと東塀際を歩く)
・も組の頭が娘の「火事芸者」と放火は息子ではと話す橋、中ノ島橋
・芸者が新さんに事情を話す茶店、中ノ島橋下手河原にセット。その弟に説教する新さんのシーンでも同所が使われ、円窓越しのショットもあり。いずれも桂川の瀬が背景となる。
・忠相に旗本に関する報告を上げる才蔵、大沢池畔林か。
・も組に内通者ありと芸者に告げる新さん、中ノ島橋たもと。
*も組のかしらは稲葉義男、娘の芸者は白都真理、異母弟は佐久田修で恋人の水茶屋女は春やす子。旗本は小沢象、悪徳商人は小林勝彦、グルの与力は田中浩。ラス立ち福ちゃん入り、旗本の家士。*ラス立ち前、新さんが乗り込む前に、旗本が手下に詰腹を切らせようとして抗われ、主従で斬りあっていて笑える。


第91話「誰がワルやら閻魔やら!」 1985 (本放送時は第92話)

 世直しを標榜する凶賊、次のターゲットを予告してゆき見張りを巧みにかわすという憎態。茶坊主あがりの易者が主宰し、町方に内通者がいる上、忠相の非を鳴らすうるさい大目付が黒幕だったり。この閻魔党と称する一団に、隠れ蓑として利用されてしまう人のいい浪人を親身になって助ける新さんの姿が描かれる。

ロケ地
・大目付らに責められ窮地に立つ忠相に辞職罷りならんと申し渡す上様、枳殻邸印月池畔。
・閻魔党が消えた大川端にいて刺客に遭う新さん、桂川か。
・妻に面差しの似た人形を求める傘張り浪人のくだり、不明(坂、高麗門、生垣際)
・閻魔党のアジト、真崎にある心形刀流道場、随心院長屋門
・道場を売った大家の家、不明(萱葺き屋根で軒に瓦)
・大目付・堀田備前守邸、随心院薬医門
*傘張り浪人は長谷川明夫、妻女は一柳みる。易者は織本順吉、強面の手下は宮口二郎、黒幕の大目付は須賀不二夫、内通している同心は有川博。狙われる商家の偉そうな主人は西山嘉孝で女将は武田てい子。髭面の大家は小田部通麿。


第92話「天下を占う大姐御!」 1985 (本放送時は第93話)

 舞台は甲府、苛政をしいて民を泣かす城代家老に憎悪集中。改革派の若侍たちは彼を奸物と狙うが、真のワルは別にいて城代は藩を守るため汚名を甘受しており、裏には幕府転覆を狙う尾張の野望が隠されていた。

ロケ地
・甲府入りした上様トリオが尼に呼び止められ困難な状況を示唆される農家、民家門。
・改革派のアジトがある昇仙峡恵林寺、事後旅行く上様トリオが通る精進湖、現地ロケ。このほか葡萄畑なども出て「猿酒」のワインが登場する。
・ラス立ちの八幡の森、鳥居本八幡宮で、あしらいもの多数。
*遠地ロケのほかキャストも豪華な通算300話、陰腹を切って上様に藩の安泰を願う実はいいヤツな城代に天知茂、改革派が希望の星とするもホントは一番ワルい江戸家老に遠藤太津朗、謎の占い尼に淡谷のり子。その倅の若侍(先代家老の子)は大場順で恋人は内山みどり。冒頭、城代に斬りかかった若侍を返り討ちにする家来の一人に福ちゃん。ラス立ちでは加納じいの立ち回り「あちょおー」も見られる。


第93話「男一匹!喧嘩富士」 1985 (本放送時は第94話)

 続いて甲府が舞台。家に居着かず無頼の日々を送り妻子を泣かせる男を改心させる上様のお話、これに絡んで二足草鞋とつるむ道中奉行を成敗するが、尺の半分はめ組の珍道中に割かれていたり。男は先祖が武田家の釜焚きをしていたことから大の信玄びいきで、ヤクザが甲州金を盗ったことに怒り暴発、「風林火山」の旗指物を背に殴り込みをかける無茶をする。

ロケ地
・「現地」ロケは富士山麓青木ヶ原樹海白糸の滝冨士浅間神社(ラス立ち)など。見送りも滝、上様主従が滝上で手を振って去ってゆく。
・吉田宿はずれの野原、北嵯峨農地広沢池北岸。山狩りのシーンは酵素ダートか。
*妻子泣かせの男は大山勝巳、妻子は宮園純子と高原陽子。二足草鞋は江幡高志で手下に森章二、道中奉行は高城淳一。


第94話「心やさしき仇討選手」 1985 (本放送時は第95話)

 仲の悪い隣接する二つの藩を争わせ破滅に追い込み、富裕な領地が転がり込むことを目論むセコい若年寄。すわ合戦の危機は上様トリオによって回避され、争いごとを好まぬ生き物好きの好青年と、一本気な武術指南役は命のやりとりを免れる。

ロケ地
・三春藩上屋敷へ押しかけ仇を出せと迫る相馬藩士たち、相国寺大光明寺南路地〜門。
・兄の仇討ちを強要する藩から逃げ出した清二郎を匿ってやる新さん、相国寺方丈前。
・清二郎の無事を祈ってお百度のお初がさらわれる祠、今宮神社合祀摂社。
・若年寄の企みを上様に報告する庭番、仁和寺宸殿前庭池畔。
・偽の果たし状で護持院ヶ原に呼び出される清二郎と中井軍兵衛、下鴨神社糺の森池跡
・事後馬をやる上様、糺の森馬場
*清二郎は松山英太郎で恋人は大塚良重、父の師匠は河合絃司。仇は和崎俊哉で三春の殿様は中山昭二。相馬の殿様は北村英三、若年寄は藤岡重慶で強面の腹心は大木正司。クレジットに「車曳き(一)福本清三」とあるが、小船秋夫の間違い。*決め台詞は「余の顔も見忘れたか」で、まだ「も」とか入っている。また、「爽やかな若者らしい吉宗」表現がナレーションに。


第95話「母も切ない鬼は外!」 1985 (本放送時は第96話)

 江戸へ出たままの母を求めて秩父から出てくる幼い姉弟、新さんやめ組の奔走でやっと会えた母は彼らを無視。彼女は未亡人で子無しというふれこみで捕まえたパトロンに、店を任されるか否かの際にあった。これでもかと悲惨な幼子を見せて、最後は改心する母でメデタシ。

ロケ地
・松前藩勘定組頭に託された「熊の置物」を持って国許へ向う中間が追っ手に斬られる橋、流れ橋(熊は川に「逃がされ」、汀で悲惨姉弟が拾う。たもとに茶店セット、中から新さんと龍虎)
・松前藩向島下屋敷外の砂金が隠してあった祠、広沢池北岸の林。
*熊には先君の隠し金のありかが隠されており、幼君をよいことに藩政を壟断する江戸留守居役が狙う。これが菅貫で、子らの母のパトロンでもある。血も涙も無い大ワルで、熊を持った子を藩邸に拉致し、熊ちゃん死んじゃうと泣き喚く子の前で置物を真っ二つに割ってみせたり、子無しの未亡人と信じていた「母」の嘘を知るやムチでびしばし。こんなだから、上様に「地獄に落ちるがよい」なんて長七郎みたいな台詞を吐かれてしまう。また、母子を逃がしたあとすぐにラス立ちに行かず、隠し金の祠を謎解きしてみせる上様が描かれこの間戦闘中断してちょっとお間抜けな感じ。でも砂金ゲットした菅貫は即「斬れ!」で、結局身分明かしはナシで成敗まで一気。*菅貫の女になっていた母は金沢碧、彼女の店の妙に野心家な番頭は浜崎潤、悲惨な姉弟から財布を盗む極悪遊び人は小峰さん。


第96話「衝撃!上様がさらわれた!」 1985 (本放送時は第97話)

 悪党の罪逃れが将軍暗殺事件に発展する派手な話、上様は冤罪を晴らそうとする少年たちに利用され監禁される運び。爆破で危機一髪なんて場面もあるのに、剛毅だからか大らかなのか、あんまり緊張感ないのが笑える。

ロケ地
・忠相が囚人解放の件で北町奉行に皮肉を言われる庭、および勅使接待に臨む衣冠束帯の上様が緋毛氈の上をゆく庭、嵐亭延命閣(ついでに上様と気付く「カーン」のシーンも同所)
・飴売りが新さんの印籠を売る縁日、今宮神社境内に露店あしらい。
・囚人の浩吉が名主にたばかられ誘い込まれる目黒不動谷の杣小屋、酵素河川敷に小屋セット。
・浩吉と上様を爆殺したと思い込んだ老中と北町奉行が、してやったりと高笑いの神社、鳥居本八幡宮(舞殿、広場)
*親切づらの名主は多々良純、囲っていた芸者に結婚を迫られ殺したのを青年におっつけようとする。なんか小物くさいぞ。グルの北町奉行は石橋雅史で黒幕の老中は神田隆、こやつらもどこか行き当たりばったりで無計画。罪に落とされかかる青年は渋谷哲平。印籠を買う古道具屋は北見唯一。*掃き出し窓からそっと落とした印籠は辰五郎のもとに届き大騒ぎするも役立たず、もうひとつ落とした扇をさぎりが拾って見つける次第。これがあの危機に飛んでくる「正義の扇」なのも笑える。


第97話「あゝ憎まれて五十年!」 1985 (本放送時は第98話)

 上様の防波堤となり、憎まれ役をつとめる加納じいにスポットが当たる。
増上寺改修費用見積りをじいに突っ返された勘定奉行が闇討ちを企てる騒ぎに、五十年前の蝦夷地の戦で十五歳の五郎左に討たれた侍の孫が現れて仇討ちとブチ上げる騒動が加わる。前者は浪人者を引き連れてじい宅に乗り込んだところを上様に成敗され、後者はずっとその侍を尊び供養してきたじいにほだされ和解。冒頭、勘定奉行と一緒に見積りの件でじいにオコられる老中は意外やグルに非ず、単に喧しいじいを邪魔にしていただけで、満座の中で上様に軽侮の態度を叱責され涙ぐんで恐れ入る、珍しい展開。

ロケ地
・仇討ち孫・左近がいる旅芸人一座が江戸入りの渡し場、木津川(右岸堤に富士山合成)
・勘定奉行・加地邸、不明(見張窓付きで塀は五本線、三段ほどのステップ)
・一座が投宿する芸人宿付近のイメージに大覚寺大沢池船着。
・50年前初陣の五郎左が勝呂兵部の首をとった蝦夷地の戦場、広沢池西岸湿地
・じいと遠乗りして勝呂たちを見送る上様、饗庭か(荒れた台地)
*じいを恨む地頭の孫は大門正明、連れ合いとなる女は小野さやか。一座の座頭は中村錦司で猿回しは林屋珍平。じいを亡き者にとはかる勘定奉行は船戸順でグルの悪徳商人は長谷川弘、手先の浪人に内田勝正や石倉英彦。反省老中は永井秀明。*じい宅に若い下女(お末/小倉加代)、前任者と同じくじいにガミガミ、しかしおてつ婆さんと違い、新さんには「いい男だべ」でべたべた。*じい宅で催される宴、刺身をつくる龍虎に「料理極楽」で修行しているからとツッコミ入ったり、呼ばれた講釈師は旭堂小南陵だったりとお遊び多し。芸無し自称の新さんまで敦盛を舞わされる。


第98話「め組で一番もてない奴!」 1985 (本放送時は第99話)

 宇都宮藩のお家騒動、藩主の病につけこみ仮養子の若君を殺めんと刺客を放つ家老。雇われた御家人くずれの侍の悲哀が描かれる。タイトルは、侍の元恋人に入れあげるも結局土俵にものぼれてなかった九ちゃんのこと。

ロケ地
・豆屋の後家さんちで「泊まった」侍を見て絶望した九ちゃんが首吊りを試みるも失敗、次いで入水を思いつく水辺(池ボチャあり)大覚寺大沢池(新さんが駆けつけ)
・宇都宮藩家老と刺客侍が密談、大覚寺天神島。そこへ来かかる新さんとおさい、朱橋
・若君の駕籠を襲うも中の人は新さんの権現の森、仁和寺水掛不動前〜金堂裏手。
*豆屋の後家さんは服部妙子、御家人くずれは磯辺勉(最後はいいヤツで終る)。宇都宮藩の殿様は北原将光、悪家老は井上昭文。


第99話「青春はるよさらば!北の恋唄」 1985 (本放送時は第100話)

 雪の夜新さんが拾った田舎娘は天真爛漫、年季が明ければと言った七年前の恋人のことばを信じ江戸へ出てきたが、やっと出会えた男は過去の悪行がばれるのを恐れ彼女を消そうとはかるのだった。

ロケ地
・宿屋を襲った賊について報告を聞く弓のお稽古上様、姫路城西の丸
・やくざに絡まれる勘定吟味役の妻女を助ける新さん、大覚寺五社明神。出てきた夫が新さんを胡乱に思い去らせたあと、妻女の子宝祈願のお札を捨てる川、有栖川(河床から見上げ)
・加納じいが下城する川勝を酒席に誘う城内、姫路城はの門下坂。うまくいったと上様が出てくるのははの門
・新さんの示唆で江戸を去るお国、街道筋に広沢池東岸汀、船上シーンもあり。
*一途な陸奥の女に片桐夕子で「秋田音頭」歌いまくり、東北弁も良し。元陸奥代官所手付で今は勘定吟味役になりおおせている男は原田大二郎、腹心は北村晃一。哀れな妻女は藍とも子。


→暴れん坊将軍 II 表紙

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