暴れん坊将軍 II  →暴れん坊将軍 II 表紙


第160話「にわか侍、破廉恥武士道!」 1986 (本放送時は第162話)

 森川正太演じる放蕩者の若旦那が話を起こし、締めくくる。
ワルは普請奉行で、口入屋と組んで公共事業の入費を水増ししてピンハネ。常々煙たがられていた改役の老武士は、借金のカタに系図を売り渡すハメに追い込まれる。それを買った魚政の馬鹿息子はにわか旗本となり汚職奉行にいいように利用される運びとなるが、新さんにお灸をすえられ改心し御家人株は元に戻されメデタシ。

ロケ地
・与之助に入り込まれ役宅を出た又左衛門が辻謡をする神社、今宮神社高倉脇坂(口入屋にボコられ大怪我)
・御成街道の普請場、不明(発破シーンあり/砕石場か)
・ラスト弓のお稽古上様、枳殻邸印月池畔芝地、幔幕巡らせ。
*頑固親父の元改役は内田稔、娘は谷川みゆき。馬鹿息子の与之助は森川正太、阿呆な若旦那ぶりや馬鹿な侍ぶりが大笑い。父の魚政は北見唯一。普請奉行は近藤宏で部下に上野山功一や笹木俊志、結託する口入屋は石橋雅史で子分に西田良など。


第161話「のぞきは下手な鬼同心!」 1986 (本放送時は第163話)

 粗暴な同心が妹の恋人を水銀泥棒と疑って動くのと、新さんがメッキ仏像の線から怪しの虚無僧たちを追う線は現場で鉢合わせ。正体を現した悪党を乱戦のすえ討ち取るが、同心の追っていたほうはとんだ誤解の親の仇討ちだったり。

ロケ地
・虚無僧たちのアジトとなる柏木村の禅寺、勝持寺(山門、参道、本堂や鐘楼など境内各所が用いられる)
・鍍金に使う水銀を薬種問屋から強奪した虚無僧たちが帰りにめ組と行き会う京橋付近、大覚寺五社明神(後段伊勢屋がアジトに出向く夜道も同所)。。
・桜井同心の粗暴な行為を注意した新さんが喧嘩をふっかけられる町角、梅宮大社神苑(門越しのアングルもあり。桜井の妹と伊勢屋のデートも同所、池中亭の土橋も使用)
・桜井が虚無僧に押し包まれ脚を斬られる町角、上賀茂神社神事橋たもと。
*「鬼吉」桜井同心は松山政路、元本所奉行所。妹は小林かおり、伊勢屋は下塚誠で手代は野口貴史。鬼吉の幼馴染の同心は水上保弘、妹は東啓子で鬼吉に惚れて追っかけ回し。鍍金仏の黒幕の軍学者くずれは川辺久造、手下に黒部進と倉田健。


第162話「秘境!湯けむりに消えた女」 1986 (本放送時は第164話)

 上様の剣友である秩父代官は清廉にして熱血漢、吉宗に倣って目安箱を設け善政を敷き、卑劣な商人を排するなどして功を称され、勘定奉行に抜擢される。しかし彼は贅沢好きの奥方を籠絡され、窮地に陥っていた。

ロケ地
・秩父イメージに保津峡、以降各所が使用され、船下りもたっぷり映る。処々に挿入される奇岩は不明。
・秩父代官の奥方が離れに滞在の温泉宿、日吉山荘。め組の衆が舟遊びの武家女を目撃する崖、保津峡落合落下岩(船は保津峡)。このあと露天風呂覗き。
・誘拐された奥方の身代金を持って来いと指定の秩父神社、鳥居本八幡宮(小芝垣の道、舞殿、本殿)
・代官に討ち込まれ逃走する上州屋、保津峡。上陸してのチャンバラは広沢池東岸、北岸の林でも立ち回り。
・お城の庭で代官と次第を語る上様、枳殻邸印月池畔。代官の回想、賄賂を受けた奥方を問い詰めるため任地から江戸へ騎馬で取って返す道、木津堤。事を質され窮した代官が、成敗されるためわざと上様に斬りかかるのは枳殻邸傍花閣前の遣水脇(咄嗟のことゆえ上様は脇差でマジ斬り)
*代官は片岡弘貴、奥方は一柳みる、代官の腹心は白井滋郎。上州屋は藤岡重慶、飼っているヤクザは曽根晴美で手下にきくち英一や小船秋夫など。


第163話「新さんに再び悪女の深情け!」 1986 (本放送時は第165話)

 幼い頃生き別れた兄妹の再会ばなし、兄は無宿人と成り果て、大店の養女となっている妹をそれと知らず誘拐する。これがとんだ仕込みで、町名主が頭取年寄に選ばれるための芝居に養父まで一枚噛んでいるのだった。身代金を入れた狸の置物を取ってくる役に、江戸入りしていた「火の玉お銀」が登場し新さんを悩ませる。

ロケ地
・お銀が持ってきた「狸」を受け取って船で逃げる誘拐犯、嵐山公園中州湛水域。追う庭番が浪人に囲まれるのは右岸堀端の林間。黒幕の町名主に消される誘拐犯、中ノ島橋たもと中州側護岸堰堤脇。駆けつける新さんとお銀は橋上。
・兄・秀次郎を襲う町名主の手下、広沢池東岸
・町名主邸イメージ、青蓮院長屋門(シルエット)
・所払いの兄と江戸を発つ妹、広沢池東岸(渡船のシーンも)
*「信濃路、新さん賭場荒らし!」で出た女道中師、森マリア演じるお銀が話を引っ掻き回す。市中で見掛けてあちゃーの新さんに「将軍!」と呼びかけるのが傑作。どうにかして江戸から出て貰おうともてなすお庭番たちも面白い。へばりついていたさぎりなんか、お酒にしびれ薬を盛られてワヤ…しかしさぎりのほうから盃ねだったような。*再会の兄妹は福田健次と桃山舞子、町名主は井上昭文でグルの骨董屋は松本朝生、強面に有川正治や大竹修造。ラス立ち福ちゃん小峰さん入り。*タヌキ見張りでめ組の女装も←見てしまい思いっきりイヤそうな顔の庭番が笑える。


第164話「夫婦飛脚の夢便り!」 1986 (本放送時は第166話)

 公儀御用の三度飛脚問屋・木津屋が欲をかき、中小の同業者を潰して一手にと企む。世の中金じゃと公言して憚らぬ道中奉行が抱き込まれており、よく知らずにその手先となって弱き者を苦しめる弟を、母代わりの姉が諌める情話。

ロケ地
・飛脚が襲われる板橋宿はずれの船着、広沢池東岸。逃げた殺し屋が馬を止めてあったのは下鴨神社河合社脇。
・八州屋の飛脚が襲われる浦和宿はずれの中山道、下鴨神社馬場
・おくらが新さんに弟の愚痴を漏らす、大覚寺大沢池船着(大)。庭番が強盗は木津屋の差し金と報告、五社明神本殿脇。
・八州屋の主・定八が自ら向かう高崎への道(川越街道)嵐山自転車道。馬で追った新さんが危ういところで間に合う定八襲撃の山道、酵素ダート。立ち回りの竹林は北嵯峨か。
*飛脚屋・八州屋は橋本功、乞われて後妻になったおくらは加茂さくら、姉に同心株を買って貰った道中方同心は宮崎達也で老僕は重久剛一。中小潰しを目論む大手業者は外山高士で道中奉行は高城淳一。殺し屋は笹木俊志と峰蘭太郎。*同心株を買って無一文になった旅籠の雇われ女将のおくらを、定八が貰い受ける運び。「義兄」に無礼な態度をとり奉行の言いなりに無慈悲なお役をつとめる弟を、加茂さくらの姉がガンガンに「折檻」。

資45


第165話「稲妻に裂かれた二人旅!」 1986 (本放送時は第167話)

 一代で財を築いた男が、上昇志向をワルに利用され使い捨ての道具にされる悲話。彼の娘がライバル店の息子と恋仲というよくある設定だが、巧者の渋い演技によりしっとりとした情味を醸し出す。

ロケ地
・身投げの福島屋の娘・お登世、中ノ島橋。呑んだ帰りのめ組の衆がの前へ通りかかり、助けに走る。
・襲われている木曽屋の息子・佐太郎を助ける新さん、今宮神社東門〜石橋。
・お登世のことを佐太郎に話す新さん、大覚寺放生池堤(家出したお登世をめ組へ送ってゆくのも同所)
・福島屋が呼び出される備前屋の寮、中山邸通用門、庭。
*福島屋は小林昭二、悪に染まりきれぬ人物を好演。娘は園みどり、好いた仲の青年は草川祐馬で父は瀬川新蔵。福島屋を悪の道に引きずり込む札差・備前屋は早川研吉、黒幕の作事奉行は小林勝彦、若年寄は北原義郎。*備前屋が雇う用心棒に福本センセイ、今宮神社で新さんにぶっ叩かれるほか、中山邸で福島屋の娘を刺そうとして小柄投げられて腕にぐっさり。「徳田新之助だな」と凄む台詞あり、役名は「高沢」。


第166話「小判を拾った幽霊娘!?」 1986 (本放送時は第168話)

 悪企みは勘定奉行の贋金つくり、いやいや従うふうの両替商は、流出した小判を拾ったことで命を狙われる奥山芸人のお京の父だったという悲劇。新さんに娘の素性を聞かされた両替商はすぐに翻心するが、時既に遅いのだった。

ロケ地
・浅草奥山、仁和寺(境内、茶店、護摩をかぶるシーンは中門内側・二王門が見えている)
・娘は大火で死んだと思い込んでいる大口屋が日参する空の墓、化野念仏寺石仏群脇に「京」マーク入りの墓碑。
・父の死後、芝居で勘定組頭を脅迫し伝通院裏の地蔵堂へ呼び出すお京、大覚寺護摩堂。ラス立ち、堂前から放生池堤護摩堂裏へ移動。堤上での殺陣は池ボチャもあり。
*お京は篠山葉子、大口屋は内藤武敏。勘定奉行は宮口二郎で組頭は中田博久、雇われ浪人は佐藤京一。騒がしい小屋主は北見唯一。勘定奉行配下の侍に福ちゃん、さぎりにぐっさり刺されて前のめり。*タイトルはお化け屋敷で働くお京が、逃げた錺職人殺害現場で偽小判を拾うことから。


第167話「哀しい夜明けを待つ女!」 1986 (本放送時は第169話)

 江戸の町を恐怖に陥れる凶賊、捕まらぬからくりは火盗がらみという図。逃げるため我が子を犠牲にした鬼畜は「子の母」に仇を討たれ、賊のあがりを掠めようとした外道は成敗される。
凶賊の情婦の向かいに住む夫婦に尺がとられ、見張りのためその家に間借りする新さんも入ってほんわかドラマを繰り広げる。

ロケ地
・賊が金を隠してあった子の墓(谷中浄泉寺)郊外の墓地
・罪一等を減じられ江戸を去るおれんが行く街道、北嵯峨か(竹林、地蔵あしらい)
*凶賊は岩尾正隆、情婦のおれんは松居一代。向いの職人夫婦は西川峰子と有光豊。火盗長官は菅貫太郎。福ちゃん二態、町方に連行されるおれんを見ている町衆の一人で道具箱担いだ大工と、ラス立ち火盗改の侍。


第168話「コソ泥入門!かあちゃんが欲しい」 1986 (本放送時は第170話)

 狐面の凶盗が跋扈、裏には忠相追い落としを画策する小普請支配がいた。八年前一味と袂を別った蕎麦屋が口封じに消されかかるが、蓮っぱに見えた彼の元女房は土壇場で娘を庇うのだった。

ロケ地
・賊の出没ポイントについて庭番と相談の忠相、金戒光明寺鐘楼
・一味のアジトの唐津屋寮、大覚寺望雲亭
・蕎麦屋の半次郎が襲われる道、大沢池堤。親子を保護したあと屋台を取りに行く新さんと半次郎、放生池堤天神島(盗っ人だったと告白)
・半次郎の元女房・お紋を待ち伏せる新さん、二尊院黒門前。二人をそっとしておいてやれと説得するのは墓地
・唐津屋が小普請支配の松野と会うため船を出す水辺、広沢池東岸(映画村特撮プールとうまく繋げてある)
・半次郎が拉致された娘を追って出たと聞いた新さんが歩く道、相国寺大光明寺南路地。半次郎が走る道は大覚寺有栖川畔・望雲亭生垣脇。おすみが半次郎の無事を祈る仏、二尊院墓地下の集合塚。松野邸、大光明寺(方丈、石庭、前庭、門)。ラス立ちは大光明寺から法堂前疎林に移動してゆく。
・事後、祭りに屋台を出す半次郎、蕎麦を手繰る新さんに父の再婚を告げる娘、大覚寺放生池堤
*半次郎は鶴田忍、おすみは三浦リカ、元女房のお紋は水原まき。賊の首領の唐津屋は田中浩、手下でお紋といい仲の儀十は遠藤征慈。黒幕の小普請支配は山本昌平。*唐津屋と松野の密談を探るさぎり、気づかれて猫でごまかしの際使う巨猫が奇妙。


第169話「恋の九十九里、地獄花!」 1986 (本放送時は第171話)

 大身旗本が領地の山で芥子栽培、加えて硝石まで作っているというトンデモ。悪事は、捕われて江戸屋敷に連れ込まれた名主を案じた娘がめ組へやって来て露見する。

ロケ地
・房州から来た娘に「留山の山あいのお花畑」のことを聞く新さん、大覚寺大沢池畔。回想シーンの芥子咲くお花畑は酵素「木」のそば。硝石小屋は酵素河川敷に小屋あしらい(爆発炎上)、騎馬で駆けつける新さんはダート。
・八十吉の無事を祈るおくみが襲われる神社、今宮神社稲荷社ほか境内各所。
*騙されて黒色火薬を作らされる名主は織田あきら、恋人の娘は小椋寛子。板倉兵庫助は山口嘉三、硝石製造に手を貸す医者は川合伸旺、芥子持ってウフフ場面もある。ラス立ち福ちゃん入り、板倉は追い込まれて「上様、火焔地獄をご覧に入れまする」で小屋吹っ飛ばし。


第170話「め組が消えた異変街道」 1986 (本放送時は第172話)

 埋蔵金もの。舞台は伊豆・修善寺、北条氏の隠し金。
北条征伐に功あった先祖を持つ旗本が、蔵から出てきた古文書で埋蔵金のことを知り密かに山を掘る。人夫は露天風呂でさらってくるという無茶、北条の怨霊鎧武者なんか出て不気味なムードを醸し出すが、実は元伊勢氏に仕えた、お家再興を目論む郷士の仕込み。彼は旧主の財宝を護る衛士であった。

ロケ地
・伊豆へ五里の街道をゆく新さん、日吉大社走井橋
・め組が投宿する修善寺温泉の湯治場・天城屋、日吉山荘(飛龍の滝から本館や大宮川べりなど目一杯使われる。スモーク焚いて温泉演出)
・騎馬武者に襲われたあと、釣りの郷士・荒木右京を見る新さん、琴滝
・右京のことを報告するさぎり、日吉大社六角堂
・右京に真意を質す新さん、鳥居本八幡宮本殿前。
・伊勢新三郎の墓に参る右京、廻田池畔か。
・ラス立ちは琴滝
*右京は辻萬長、彼の旧主筋・伊勢新三郎の女房は衣通真由美。旗本は遠藤太津朗で手下に田畑猛夫や堀田真三、小峰隆司など。


第171話「謀叛人の娘」 1986 (本放送時は第173話)

 将軍暗殺に失敗しその場で自刃して果てた尾張の家老、残された娘のその後を描く情話。騙されて岡場所に売られたその娘を救う南町のベテラン頑固同心が、娘の出自でワルに脅され窮地に陥るエピソードが主軸となる。

ロケ地
・遠乗りの上様が襲撃される道、下鴨神社馬場。馬をおりてチャンバラは池跡、尾張の江戸家老が罪を一身に背負って自刃。
・蓄妾の浄雲寺住職を脅す栄五郎一家、神光院中興堂(方形の堂と鐘楼は他所か)
・自刃した江戸家老の妻子が門前払いを食う武家屋敷の門、大覚寺大門
・寺宝を奪い霊岸島へ運んでくる栄五郎一家、琵琶湖岸、ここがラス立ちの場になる(西岸の河口州か)
*おみわは北原佐和子、老同心は長門勇で妻女は八木昌子。ヤクザを操って抜け荷のお宝を集める周防屋に名和宏、ヤクザは浜田晃で強面の子分は五味龍太郎。足抜きしたおみわを追うチンピラの一人に福ちゃん、女に簪で刺されたり、新さんに扇でしたたかにぶっ叩かれてのけぞる。おみわの父の江戸家老は唐沢民賢。


第172話「十手無用の父娘鳥!」 1986 (本放送時は第174話)

 芝一帯で阿漕な取立ての両替商、裏には野心満々の火盗改長官。火除地を巡る汚い陰謀に憤激して立ち上がる下っ端同心と、その恋が描かれる。相手は元岡っ引の喜平の娘で、過去のしがらみも出てくる情話。

ロケ地
・花房右京之介邸、大覚寺大門
・喜平のことを報告の才蔵、上様と忠相は仁和寺茶店でお茶中(窓の桟越しで導入)
・花房と両替商が火除地の薔薇色アフタープランを嬉々として話す向島、大覚寺大沢池畔。
・ラス立ちは大覚寺心経宝塔(基壇のみ映り込み)から護摩堂天神島(祠越しのショットあり)を使って繰り広げられる。
*若い火盗同心は冨家規政、お相手の娘は野村真美で父の喜平は和崎俊哉。火盗長官は田口計で腹心は原口剛、つるむ両替商は長谷川弘、手代に清家三彦。喜平が昔死なせたかたちの浪人は浜田雄史、冒頭両替商に斬りつける男は波多野博。


第173話「愛の証しの月夜唄!」 1986 (本放送時は第175話)

 阿漕な金貸しが横行、暴利で民を泣かせる。諸大名にも睨みをきかせているため、摘発も甲斐なし。この諸悪の根源の大元締が、珍しく新さんがマジ惚れした女を囲っていて若僧呼ばわりのふてぶてしさ、身分が判っても平然と将軍が死ねば世は大混乱で儲かるなどと嘯く始末。生まれて初めて惚れた男を凶弾から庇って死ぬ女が哀れ。

ロケ地
・糸屋妾宅、大覚寺望雲亭。もう一度小笛に会いたくて船を出す新さん、夜の大沢池。無視されて岸へ船をつけるのは放生池堤
・暴利を自身番に訴えた三州屋が北町同心に斬られる道、仁和寺御室桜林(観音堂前)。その死体が上がる大川端、広沢池東岸汀。
・金貸しを摘発の騒ぎを見る群衆に小笛を見つけて追いかけ事情を聞く新さん、初めて会った時から好きなどと言われるも去られるのは仁和寺金堂前。
・小笛が糸屋の妾と知り、拗ねてプイっと去る新さんを追う小笛、九所明神
・糸屋の本宅か料亭か、配下を集め指令を出す家の門、不明。
*小笛は辻沢杏子、糸屋は北村総一朗でマジ怖い系の巨悪。手下の口入屋は市川青虎、グルの北町同心は中村孝雄と石倉英彦。高利の被害者の三州屋は田中弘史で女房は松村康世。ラス立ち福ちゃん入り、用心棒のセンセイ。*糸屋の「汚い金」を散財するのに芸者遊びを思いつく天然系の小笛、上様が好きになる女ってみんなどこか浮世離れしてる感じ。


第174話「決戦前夜の仮祝言!」 1986 (本放送時は第176話)

 疫病が出て以来無人の箱崎町沖の中州、ここには脛に傷持つはぐれ者の集落があり、折から高騰中の人参を闇で捌いていた。一党の頭目はかつての海賊・黒潮の重兵衛、心優しい荒くれたちは保護した若い恋人たちに希望を託し、廉い闇の人参が邪魔な悪党どもから島を守って壮絶な討ち死にを遂げるのだった。

ロケ地
・おせつが釣り帰りのめ組の衆に中州へ行きたいと申し出る岸辺、嵐山公園中州河川敷
・中州、汀は船着きのある広沢池東岸を主体に西岸湿地等を組み合わせ、重兵衛の小屋は酵素河川敷にセットが建てられていて適宜スイッチ。
・政吉が江戸へ出た事情をおせつから聞く新さん、中ノ島橋たもと。おせつの回想、江戸へ行くという政吉が二年待ってくれと言った上総・佐貫の海辺、広沢池東岸(水中に鳥居あしらい)。このあと二人で中州へ。
*中州の男どもが傑作、田中明夫の重兵衛はじめ御馴染みの悪役脇役陣がずらり、福ちゃんもいて小船秋夫とコンビで売人をしていて仲間より一足先に膾。出水憲司のセンセイがとってもいい人なのも貴重。政吉は和泉史郎でおせつは内山みどり。悪徳商人は汐路章と三上直也、勘定吟味役は坂東弥十郎。こっち側の用心棒は有川正治や小峰さんに峰蘭さん入り。*薬種問屋の裏にいた勘定吟味役を召喚し指弾する上様、バックレると御簾するする上げさせ重兵衛の扮装して座ってるという趣向、マスクべりべり剥がし。津田は斬りかかったあと自刃。


第175話「母哀し、裏切りの二重奏!」 1986 (本放送時は第177話)

 大工・幸次郎の母が殺人事件に巻き込まれるが、当人は口を開かず謎が深まる。裏には、息子の出生にまつわる秘密が隠されていた。タイトル通りの、ワルの上ゆく大ワルが最後に現れる仕立て。

ロケ地
・おりくを殺そうとした中間が殺される神社裏、仁和寺九所明神経蔵脇。
・神田の福江藩上屋敷、大覚寺明智門。庭は不明、里坊の池泉か。
・中間の殺害について現場を検証の新さん、仁和寺経蔵
・福江藩留守居役の妻女・静江の駕籠がゆく道、大覚寺放生池堤。屋形船に乗る、船着(小)
・事情を告白したおりくが新さんとゆく道、仁和寺観音堂脇〜大覚寺放生池畔〜日吉大社走井橋
・幸次郎と才蔵が連行される霊岸島、大沢池北西畔(バックに五社明神)
*幸次郎は井田弘樹、母・おりくは小畠きぬ子。娘婿の栄達に障ると、娘が昔産んだ不義の子を始末しようとする冷血の抜け荷商人に織本順吉、娘は葉山葉子、娘婿の留守居役は勝部演之。ラス立ち福ちゃん入り、留守居役の部下で槍持って向かってくる。*妻と義父を始末しに来た悪党に怒った上様、名乗らず雑魚ともどもマジ斬り。


第176話「家康公の借金証文!?」 1986 (本放送時は第178話)

 借金証文というのは、本能寺の変のおり死地を脱した神君が決死の伊賀越えの際、土地の乱破に助けられたことを謝し書いた起請文。この「古文書」が、甲賀の里から盗まれて騙りに使われるお話。加納のじいさまを神君が夢枕に立ったというお芝居で暗示にかけ、旗本屋敷を乗っ取った上で騒動を起こし、加納さまと忠相の失脚を目論む、当の旗本屋敷の所有者。その家の殿様は不行跡を咎められ失脚した旗本で、甲賀の里を追われた極悪忍者を引き入れていた。これに、古文書が盗まれた際父を殺された乱破の子孫が、仇討ちにいやいや江戸へ出てきているエピソードがからむ。

ロケ地
・加納じいが屋敷を乗っ取ったと忠相に突っかかる下条掃部太夫、枳殻邸侵雪橋たもと。これを上様に告げる忠相、印月池畔。
・下条邸、中山邸門と庭(忍者トレーニング中)
・鉄砲が運び込まれる下条邸裏の船着場、大覚寺大沢池木戸脇の船着(小)
・下条邸をのぞき仇を発見する鬼沢夫婦、中山邸参道塀。新さんが来て女房のお政に事情を聞く道、大覚寺放生池堤天神島
・お政と鬼沢雲右衛門の馴れ初めの祭り、大覚寺大沢池畔。
・仇の武井信玄斉を見て斬りかかるお政、大覚寺護摩堂裏手。
・ラス立ちの下条邸裏の林、下鴨神社糺の森池跡
*じいを引っ掛けるお芝居の神君、顔は上様。暴将お得意のおどろおどろしいヘンな脚色が笑える。神君を助けた土豪の子孫と騙って現れる若様の正体は雇われ女形の百合之丞、演ずるは伊庭剛。奇怪にしてコワい術者は小沢象、ほんものの子孫の「鬼沢雲右衛門」は橋本功で怪鳥のような笑い声が炸裂。公儀に恨みを抱く元奥祐筆は小笠原弘。町で鬼沢をボコるチンピラの一人に福ちゃん。*ラス立ちはマジ斬り入り、下条は自刃。


第177話「箱根八里の鬼退治!」 1986 (本放送時は第179話)

 落馬して湯治の加納じいが心配で箱根へ赴く新さん、め組の衆は駆け落ち娘を追っかけて同じく箱根へ。そこでは関所奉行が大目付のどら息子にへつらい、か弱き者を泣かせていた。
手形を盗られて難渋する、病の子のもとへ急ぐ母を見かけ、彼女がどら息子の「趣味の鉄砲」の的にされかかったのを助けた新さん、ワルを成敗に向かう。

ロケ地
・箱根関所、日吉大社参道にセット。
・鳴海屋の駆け落ち娘がゆく街道、大覚寺大沢池(導入は南岸から遠景のショット)
・じいが逗留の温泉宿、日吉山荘(もうもうとスモークが焚かれている)
・助けた篠に自分の印籠を渡し、これで関所を通るよう促す新さん、日吉大社大宮橋上。謝して去る篠、西本宮参道をのぼってゆく。この他関所まわり、日吉さん境内各所を使ったと思われる個所が多い(杉木立はかなり太い)
*ラス立ち前、身分の名乗り方が「紀州から来て今は吉宗」と婉曲表現。馬鹿息子たちはマジ斬りされている。大目付の息子は伊吹剛、手下の剣客に真田健一郎。駆け落ち娘に頼りないとフラれる手代に山田隆夫、手形を盗られた遠州屋の女将は宮園純子。


第178話「怨みを染めたつのかくし!」 1986 (本放送時は第180話)

 沈みかけた船から海神への生贄として荒海へ放り込まれた少女は、15年後当の御用船の責任者の後妻に入り込み復讐を遂げようとする。このお話がメインなもんだから、江見俊太郎演じる勘定奉行のエピソードなんか完全につけたり。せっかくお庭番が行く先々でのご乱行を調べ上げてきているのに詳細は省かれ、ちゃっと成敗されてオシマイ。
本筋のお話のほうは、丑の刻参りしているは、義理の息子に悪い遊びを教えるは、亭主が調べている上役の調書を当の相手に渡すはと、きびきび復讐を果たす女の姿が描かれるが、息子を殺そうとした段で、でっかい息子に「父を許して下さい」とえぐえぐ泣かれて復讐心は萎えてしまうのだった。

ロケ地
・倅に剣の稽古をつける乾、酵素河川敷。
・新さんたちが丑の刻参りを見る夜の林、鳥居本か。
・勘定奉行に夫の書いた調書を差し出すさき、大沢池上に屋形船。
・孫を連れた老巡礼が乾に船に乗せてくれとせがむ佐渡の浜、琵琶湖岸。この前に日本海と思われる荒磯イメージが挿入される。
・さきの回想、祖父と旅する撫子咲き乱れる海辺、琵琶湖岸。
*さきは鈴鹿景子、勘定方組頭の乾は剣持伴紀で息子は山内圭哉。老巡礼は宮城幸生。ラス立ち福ちゃん入り。*新さんのことでからかっため組の衆をビビらせるため、丑の刻参りルックで現れるお末、等身大のでっかい藁人形を持ち込み釘を打ち込むが得物が掛矢だから凄い。「恨めスや」と訛っているのは可愛いんだかなんだか。


第179話「夢かるた、師走の謎唄!」 1986 (本放送時は第181話)

 大奥御年寄・永井さまの弟は箍の外れた馬鹿殿、目をつけた材木商の後家を謀殺して金を奪うほか、まだ財あるはずと強盗に入ったり、あきらめきれずに大奥勤めの跡継ぎ娘を拉致ってお宝を探す。悪党のくせに「今の上様は」などとナマを言い謀反まで企てるあきれた男は、上様とめ組に阿呆な手でハメられて一巻の終わり。縦糸に、材木商の長女で勘当されたわがまま女が、妹の深い思いやりを知り反省する情話を持ってくる。

ロケ地
・信濃屋の暗殺に関わった船頭が殺される町角、仁和寺経蔵、九所明神。
・弓のお稽古上様に船頭の身元を報告の忠相、枳殻邸印月池畔。
・御年寄・永井の実家の九鬼坂邸、大覚寺明智門
・信濃屋を勘当されたおとみが参る母の墓のある寺、坂本の慈眼堂
・歳の市の芝神明、神光院か。
*永井は桜町弘子、外道の弟は佐藤仁哉で強面の部下は黒部進。永井の部屋子のおしなは伊藤みゆき、姉で役者と結婚して勘当された女は一柳みる。


→暴れん坊将軍 II 表紙


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