俺は用心棒

1967NET/東映京都テレビプロ
主演/栗塚旭


第1話「天を斬る」1967.4.3

 文久元年春、さる城下町で起こった騒動はお定まりの急進派摘発。かかる火の粉をうるさそうに払う野良犬だが、侍でもない若者の死にブチ切れ、掛け合いに行った先では血の雨を降らす。

保津峡

ロケ地
・啓助のご主人が目付方に斬られる「材木置場」、木ばかり多くて蔵等は見えず。
・北山長者の娘を保護した山川浪人と馬車引きのえまが休む家、不明(棚田の中に道があり家は小川のほとり)
・長者屋敷、不明(周囲は石垣、長屋門は奥まったところに)
・家老屋敷へやって来る山川、民家長屋門(中から野良犬が出てきて家老はもういないと告げて去る/中は血の海)
・下り船で当地を去る野良犬、保津峡
*行きがかりで長者の娘の用心棒を買って出る山川浪人に近衛十四郎、彼と意気投合する馬車引き娘のえまは中宗根美樹。若党・啓助の親爺は吉田義夫、姉は岸正子。長者屋敷へ討ち入る一隊のリーダーは川谷拓三、配下に福ちゃん。


第2話「剣には小判を」1967.4.10

 江戸へやって来た野良犬は文無し、チンピラに誘われるまま「仕事」をするが捕り方に追われるハメになり、とある未亡人の長屋に転がり込む。奇縁相巡るゆくたてのすえ、何やら人助けもしたり、また追われて逃げ回ったり。

三宅八幡宮

ロケ地
・野良犬がゆく野道、不明(道別れなどあり)。千住大橋、不明(血風録の鴨川銭取橋と同じ)。江戸入りのあと歩く川端は疏水分線・大豊神社御旅所付近(板塀際)
・目明しにハントされて赴く伊勢屋、梅宮東参道の「薬屋」に似るも確証なし。主が出てこないならお断り、のシーンの縁先と庭は見たような気がするが思い出せず。
・清川八郎の「依頼」を受けて伊勢屋を殺しにゆく町角、御所拾翠亭脇。伊勢屋が入る屋敷は御所管理事務所東門
・伊勢屋の駕籠をぶっ刺したあと、金持って逃げた友吉を追っかけてゆく神社、三宅八幡宮
・長屋に逃げ込んで一夜明け、町をゆくと行く手に捕り方で蔵の脇へ逃げ込むのは梅宮大社東参道の蔵。やり過ごし出てきたところへ「目明し」が出て捕り方を呼ぶシーンは今宮神社東参道へスイッチ、一和の脇へ入って逃げ去り(早朝設定で東門は閉じられているが、茶店は二つとも営業中で客もあしらい)
*目明しは波多野博、清川を紹介するチンピラ・友吉は市村昌治で「立て籠もり」の長屋へ別口の用事で借金取り立てに来てダンナと遭遇。沖田は島田順司、清川は岡田英次。長屋の未亡人は岩崎加根子。*友吉が置いていった五両、はじめ全部持っていこうとして思い直し、未亡人に三両を投げて寄越す野良犬が大笑い。


第3話「昏い渦巻」1967.4.17

 浪士狩りに引っ掛かった野良犬は入牢、そこで見込まれスカウトされかかるが誘った浪人は頓死。死に際に仕事料の取り立てを頼まれた野良犬は、八丁堀と過激派を手玉にとり遺族に渡す金をゲット。

疏水分線端・大豊神社参道口

ロケ地
・浪士狩りでたくさんの浪人がブチ込まれる南町奉行所、大覚寺大門。釈放された野良犬の前に立ち酒に誘う前田浪人は参道石橋
・馴染の茶屋へやって来た南町与力・三原を「護衛」して夜道をゆく野良犬、野良犬に指示され三原を待ち構えていた芹沢たちが襲いかかるのは疏水分線端・大豊神社参道口付近(疏水端の大きな石灯籠が印象的/斬られた中間が疏水に転がり落ちるシーンもある)〜御旅所付近(橋に蕎麦屋台が出ている)。三原からカタにとった十手を投棄する野良犬、疏水分線
*前田浪人は成瀬昌彦、元水戸藩士で今はイヌ、家族は父を高邁な志士と信じ込み←野良犬は彼らのために動く運び、長姉は佐々木愛で馴染の酒肆女将は木村俊恵。南町与力の三原は富田浩太郎、水戸勤皇党・芹沢鴨は遠藤辰雄、芹沢配下の浪士に福ちゃんがいてシャープな殺陣を披露←三原の中間を鮮やかに斬って捨てる。*前田浪人が野良犬を出牢させるのに便宜的に付けた名前は「一色大五郎」。


第4話「脱出」1967.4.24

 異人に雇われていた野良犬は浪士の襲撃を防ぐが、斬らずに散らす。浪士の一人は非道を嫌う妙に律儀な青年で、以降彼が仲間に売られ蒙る難儀を野良犬が大胆極まる手口で救うお話に。

大覚寺回廊

ロケ地
・英国公使を狙う松木浪人たちのくだり、場所は洗足池で公使は鴨猟に来ている設定で大覚寺大沢池を見立てる。休息所へ近付く浪人たちがゆく掘割は御殿川、次いで大沢池堤下に潜み様子を窺う。池畔で鴨を撃つ公使を見る川北数馬は天神島護摩堂の周囲に幔幕が張られ、前を異人が逍遥。松木ら浪士たちは天神島朱橋を渡り殺到、休息していたオランダ人商人は五社明神舞殿(洋式テーブルを置いてある)
・土蔵相模で高杉晋作に次第を報告する松木ら、相模屋は琵琶湖東岸ほとりの建物(対岸に三上山が霞み、浜続きに真野川河口州らしき「突起」、「相模屋」に殺到する捕り方の背後に映り込む神社はおそらく和邇南浜の樹元神社)
・品田万平の天地正大流柔術道場・玄妙館、不明(長屋門)
・囮にするつもりで役人が釈放した松木たちが戻る塒、今宮神社門前茶屋・かざりや(東門前からかざりやへ、店には米問屋・丸十の装いがなされている)
・長州藩邸へ乗り込む野良犬、門は大覚寺大門で川北の処遇について高杉に談判する邸内は宸殿裏の回廊、テーブルと椅子をあしらい。
・野良犬が川北の身柄を頼みに出向くオランダ商館、映画村か(川北のその後を語る段で出るのは同志社っぽい煉瓦造り)
・ラスト、海辺に立ち物思う野良犬、和邇川河口州か。
*川北数馬は山根久幸、妻女は堀井永子。浪士のリーダー格の松木は波多野博、浪士狩りの与力は山口幸生で同心は玉生司朗、高杉晋作は菅貫太郎、品田万平は左右田一平。


第5話「紅さんご」1967.5.1

 泊り客に裏切者の密偵を取り次いでしまった下女は、激しく心痛め落ち込む。ダンナたちは彼女の心を安んじようと動くが、苦い結果が残る。

三宅八幡宮

ロケ地
・梅むらの泊り客・佐野屋が仙次にたばかられ呼び出される神社、三宅八幡宮。佐野屋の無事を祈りに来たおしのが運ばれてゆく亡骸を見て気を失うのは本殿前〜舞殿脇。
・野良犬の指示で下水から逃げた今村たちが出てくる川、白川。その後走る浜は琵琶湖西岸(河口州か)
・おしのの亡骸を運んでゆく薩摩藩士たち、白川畔石畳(珊瑚の簪がおしのの手から滑り落ち、藩士たちに踏み躙られる)
*おしのは小川知子、万平ダンナの言を受け暇を貰い下総へ帰ると決めた矢先の不運が哀れ。彼女に珊瑚の簪をくれた佐野屋は山村弘三、仙次は河上一夫、過激派リーダーの今村は鈴木昭生。*野良犬が万平ダンナを誘い泊っていた梅むらは料理旅館、勝手に厨房へ入っての天地正大流のヘンな料理も登場。沖田は倒れたおしのを拾って梅むらへ送り届け、ダンナたちと行動を共にすることに。*事件は寺田屋騒動に先立って起こる薩摩藩の過激派狩り。


第6話「銃声」1967.5.8

 旗本の殿様が道楽で入手するピストル、試し撃ちで祝言を前にした一人息子を殺された老父はせめて恨みの一太刀を浴びせたいと願い、野良犬たちは同調する。

梅宮大社東参道

ロケ地
・横浜村の描写、海浜や遠景の浜辺に荒波寄せる巌頭はバンクフィルムか(遠目に見た浜は琵琶湖大橋から見える堅田付近に似る/巌頭は血風録「海鳴りが呼ぶ」で出た磯に似る)
・大槻織部正馴染みの料亭・松風、不明(どこかの料亭ふう・細竹編みの塀)
・万平ダンナに祝言への出席を願った帰りの道で大槻の凶弾に斃れる吾平の倅、下鴨神社馬場/狙撃の大槻らは池跡に潜む。
・大槻邸の座敷や前庭、建仁寺久昌院か。
・狙撃者の手がかりを求め江戸の町をうろつく野良犬、東福寺一華院前等(どこかの村中のような風景も)
・狙撃者を突き止めたあと大槻の駕籠を待ちうける吾平たち、梅宮大社東参道。「用人」の駕籠を襲い万平ダンナや沖田が戦うのは「薬屋」前。
・大槻を斬って江戸を売った野良犬が渡る橋、流れ橋
*吾平は永井柳太郎、大槻は可知靖之、銃を斡旋する友吉は市村昌治、仕入れ先の洋物屋は南道郎。


第7話「蒼い獣たち」1967.5.15

 とある城下町で起こる、お決まりの過激派摘発騒動。情勢が変わったことで有頂天になる「志士」たちを冷ややかな目で見る野良犬、巻き込まれた蕎麦屋の親子をひとり気に掛ける彼だが、「用心棒」としての役目は果たしきれず当地を去る。

走田神社

ロケ地
・城下から蕎麦屋父子を連れて逃げる野良犬、走田神社社務所前〜鳥居前(ここで一息ついていると「志士」たちが現れ、家内の実家の造り酒屋へ身を寄せるよう勧める。鳥居に刻まれた「享保」の文字もちゃっかり映し込まれる)
・造り酒屋イメージに伏見の酒蔵をインサート、宇治川派流沿いの蔵。屋敷は民家(長屋門のほか前庭も使用/庭はここのものか不明)
*蕎麦屋の伍平は原健策、娘は岩村百合子。冷酷な目付役は小美野欣二。*志士たちは「草莽赤心組」などと称し終始能天気、しかし悪気はなくむしろイイ奴ら設定でちゃんと詫びるし残された娘の世話は思想家の先生夫妻が見る模様。*「城下」の美術も見もの、クレーンショットの大路がいい感じなほか、月明に浮かぶ天守は日向の綾城に似た望楼を持つ。


第8話「赤い提灯の下」1967.5.22

 名ばかりの亭主に売られ、苦労を重ねて掴んだ平穏を破られかける女。居合わせた野良犬は血刀を振るい、女にかかる宿業を断ち切って消える。

ロケ地
・祭りの宿場はセット撮り。
・宿場を去り街道をゆく野良犬は穴太橋手前の西条風の口線を東望か。
*酒肆の女・おたかは桜町弘子、やさぐれ亭主は田口計。宿場に留まるおたかの店の提灯がサブタイトルの謂、変わらず在り続けたと語られるそれが思慕か感謝かは語られず微妙。*宿場には万平ダンナも来合わせているが、野良犬とのからみはナシ。


第9話「同志の八人」1967.5.29

 とある藩で起こる、血気に逸った若者たちによる「君側の奸」暗殺事件。身分に関係なく集ったはずの「同志」だが、上士の地位にある者たちの因循は骨身に沁みたものだった。

彦根城天守

ロケ地
・米俵が搬入されている城内、彦根城天守(お役目中の浅井に「同志」がツナギをとる)
・浅井邸、走田神社社務所
・家老の一人・土橋監物が暗殺される道、走田神社参道
・暗殺決行後「志士」たちが逃げ込む空き家、不明(そこに至る道は川堤、空き家は河川敷。河畔林は竹、家は有り物かあしらいものか不明。大堰川か)
・事後、城を遠くに見て当地を去る野良犬、彦根城外濠端から天守を望む図。このあと行く浜辺は琵琶湖東岸(沖にエリ、浜は松原、大根干しの木架が映り込む←干されているのは特産の緋蕪ではなく白い大根)
*重臣方に籠絡されてしまう上士の浅井は不破潤、西の丸の若君に縁付かされる妹は神谷麻子。城でのツナギ時浅井の脇にいる朋輩に川谷拓三。*右左関係ない野良犬が介入の動機は、処分に際しつけられた上士・下士の「差別」にムカ。


第10話「祇園小路の刺客」1967.6.5

 共に宴席にいた朋輩を斬られ立場をまずくした京在番の旗本は、料亭に居合わせた野良犬を犯人に仕立てて事態を取り繕おうと画策。謀議の茶店を覗いた半玉を無惨に殺した怯懦なる侍の未来は、もちろん閉ざされていた。

祇園・白梅

ロケ地
・旗本たちが宴を張る料亭・千花は祇園・白川南通の白川左岸料亭。「同志」を待つ渡世人の新太は白川新橋に腰掛け。新橋の真ん中に「塀」をこしらえ、西を望むアングルが使われ、画面を切り替えて料亭を映す。巽橋も映り込む。
・宴席にいた旗本二人を斬って逃走する新太のくだりは石塀小路と白川周辺を組み合わせて使ってある。石塀小路は中心部の「石塀」の路地のほか、下河原町通へ抜ける狭い路地も出てくる。
・旗本どもが善後策を練る二条城、内濠端から本丸櫓門を望むアングル。
・祇園さんへお参りの半玉・小美枝、八坂神社西門〜本殿前。舞妓仲間の菊枝が声をかけ、そこで怖い思いをしたと二軒茶屋を指すくだりでは舞殿をナメて南門を映し、二軒茶屋へ。茶店を覗いた小美枝が柳川に追い詰められる林は下鴨神社糺の森
・万平ダンナが返り血を洗う柳川を見る祇園さんの手水場、八坂神社境内の水場。彼の来たほうへ行ってみて、斬られて虫の息の小美枝を見つけるくだりは下鴨神社二の鳥居〜糺の森。
・小美枝が「沖田さん」と言い残したことから屯所を訪ねる万平ダンナ、民家長屋門
・千花に野良犬を襲った柳川だが手痛い反撃に遭い逃げ出すもののダンナたちに詰め寄られてしまう路地は石塀小路、なお逃げるも南のほうから新太が出て一巻の終り。
・長州侍の仕業にしよかと話す青木同心と目明しの千造、辰巳大明神前。
・小美枝の里・白川村を訪ねる沖田、不明(水車架かる川と民家。川は血風録「菊一文字」で出た川と同じ、修学院の音羽川に似る。民家の屋根はトタン張り)
*桂小五郎の手の者である渡世人の新太は中野誠也、桂は舟橋元。目明しの千造は小田部通麿、青木同心は香月凉二。柳川に知恵をつける朋輩は平沢彰、千花へ乗り込む人数の一人に井上茂。


第11話「襲撃前夜」1967.6.12

 百姓上がりの婿養子が砂を噛むような日常に求めた安らぎは、こすからい勤皇志士に利用される。良心の痛みに耐えかねた男は新天地を求めるも、孤舟が空しく川を下る。

東高瀬川と松本酒造酒蔵

ロケ地
・伏見の町をゆく同心・土屋の描写、宇治川派流端酒蔵松本酒造前東高瀬川堤。途中渡る橋と材木置場は不明。
・一斉改めで土屋が担当する船宿、嵐山公園・錦(前に塀などあしらい)。船着きは桂川か。
・土屋邸、走田神社社務所(イメージのみ)
・勤皇志士・三島とツナギをとる土屋、東高瀬川堤法面(堤外地)
・倒幕浪士が集まる清源寺、不明(花頭窓と向拝が印象的、檜皮?の門も見える)
・土屋が通う釣具屋、伏見界隈の堤か。三島に斬られた土屋とおえい親子が乗った船が流されてゆく淀の流れ、宇治川・御幸橋から下流を望むアングル(→写真)
*土屋同心は原田甲子郎、病の父を抱え釣具屋を営むおえいは天路恵子。おえいの件で土屋を強請っていた三島は小池朝雄、野良犬の評価「倒幕が商売」の通りの卑劣漢を好演。西田良が「山崎」で登場、気の毒にも万平ダンナの風呂を覗いた模様。


第12話「木屋町非情」1967.6.19

 町に身を潜めた高杉晋作を狙って、新選組が湧く。野良犬は金のためと称し高杉の逃走を助けるが、彼がために難儀を蒙る、か弱き者たちをこそ捨て置かない。

祇園・白川畔石畳

ロケ地
・京イメージ、白川畔石畳三条大橋石塀小路白川巽橋。子守女のいる白川新橋からお芝居が始まり、千造がその娘に菓子をやって探りを入れる。
・高杉が初めに身を寄せる室町の菱屋、ねねの道の東山工芸
・千造がもたらした高杉現るのネタを上司に上げる青山同心、西町奉行所は旧地裁官舎
・奉行所へ赴く芹沢鴨、白川畔(吉井勇歌碑映り込み)
・野良犬が取り立てに行く長州藩京屋敷、大谷祖廟北門(イメージ)
・高杉騒動で難儀を蒙った姉妹に金を与え立ち去る野良犬、白川新橋大谷祖廟参道
*野良犬が京へやってきたばかりの時のお話、前話で持っていた大金は高杉からせしめたものか。万平ダンナの道場は嵐で屋根が飛び潰れたと沖田が語る。沖田はもちろん、鴨や高杉も既出の通りのキャスティング。あわよくば支払いを免れようとしていた菅貫が笑える。*タイトルの木屋町は、菱屋が高杉を逃がし案内した小料理屋が木屋町五条。菱屋の子守女の姉が勤める(事後馘首される)。


第13話「雷雨の日に」1967.6.26

 雨宿りした仕出屋に強引に入り込み時ならぬ宴を張る「浪士」たち、迷惑がるあるじ夫婦だが、気前よく小判を置き大量の注文をしてゆくのを天佑と喜ぶ。しかし届け先は壬生、やって来た浪士は芹沢鴨なのだった。

円山公園

ロケ地
・新選組屯所、民家長屋門(芳好夫婦が届けに来る場面では、前の地道のほか山手の風景もたっぷり映り込む)。
・鴨らが憂さ晴らしに料亭へ出向くくだり、登る坂や料亭入口は円山公園
*芳好の夫婦は佐々木愛と里見浩太郎。*新選組の御用が入ったことで芳好は板前を募集→求人票を見た万平ダンナがやって来るがヘンなことをべらべらまくし立てて断られ/野良犬も入ってきて用心棒を買って出るがこれも断られ←二人との縁はこれで発生。千造や青山から鴨の悪行について苦情を聞かされていた沖田は、芳好主人殺害について野良犬たちに談じ込まれ「決心」の次第/暗殺は鴨の寝所のみ描写。ダンナたちが殺害現場に居合わせたのは、芹沢一派の押し借りに閉口した商家に雇われ、そこの縁続きの料亭にも出向・ここで呼び出されたのが芳好と聞き素早く動く野良犬が見もの。普段ほぼ酒食らって寝っ転がっている癖に鋭すぎ/万平ダンナの意外とカワイイ寝顔も必見。


第14話「光った庖丁」1967.7.3

 会津の公用方が利用する料亭に仕掛けられた奸計、密かに入洛した桑名の強硬派は店の板前の手引きで暗殺される。それを知らずに手伝ってしまった下働きの青年はいたたまれず、娘の仇討ちに同行し惨劇を演じることとなる。

智積院路地

ロケ地
・駕籠屋をすり替えられ刺客の待つ道へ導かれ、新太に斬られる桑名藩士の岡村、智積院総門(坂を登った内側の築地、現在塀の五本線は無し)〜講堂西塀際石畳(今ある低い植え込みは映っておらず/塀の南西角部分が大写しになる際には井戸の屋形が見えるほか、本坊入口門脇の塀も映り込む)
*万平ダンナが料理の評判を聞き料亭・大吉へ上がり、帰る岡村の駕籠と擦れ違う。野良犬のほうはそこへ行く途中で岡村暗殺に出くわし、巡察に犯人扱いされ朝まで拘留されていた模様。*大吉の下働きの青年は宮土尚治(現・桜木健一)、同じ店で働く同郷の下女に贈られた包丁を持ってゆくものの殺人には使えず、己を刺した刃で相手を刺し返したというのが涙モノ。彼をたばかり駕籠を断りに行かせた先輩の板前は西山嘉孝、通じていた浪士は森章二。


第15話「だんだら染」1967.7.10

 人目をひく隊服は、新入り隊士の命取りに。深手を負うも助かりそうとみた沖田は、一太刀も敵に浴びせていない体たらくを誤魔化してやろうとするが容態が急変、野良犬が救った恋人のほうも世を儚み、全て空しく徒労に終る。

金戒光明寺文殊塔初重

ロケ地
・冒頭京イメージ/友禅流しの川、不明(水質汚濁防止法制定以前なので鴨川かも)。橋は三条大橋。ここから祇園へ。
・大物浪士を見張る平橋と沖田、白川新橋たもとの家屋の二階・眼下に巽橋を望む部屋で、その窓にズームしてゆくと平橋の顔が映る(室内はセット)。このシーンに先立って白川女ゆく辰巳大明神白川新橋が映し出される。巽橋の上には物売りが行き交う。
・平橋を斬った浪人たちが逃げるルート、金戒光明寺極楽橋墓地文殊塔。平橋の頼みで追ってきたお八重が囲まれてしまうが、野良犬が塔初重に現れてかかってきた「大物」を斬。
・長州藩京屋敷、大谷祖廟北通用門(イメージのみ)
・重傷を負い寝かされている平橋の夢に出てくる琵琶湖、西岸汀や湖面。後段、沖田が立ち尽くす汀やお八重の死体が浮くのも西岸。
・医師宅からの帰り、巡察隊を見る沖田と千造、白川新橋から巽橋を見る。
・事後、巡察隊を見て隊服の感想を述べる万平ダンナと野良犬、白川新橋白川畔石畳
*新入り隊士の平橋は今野秀晴、彼と同村出身のお八重は大川栄子。*寝ているところを叩き起こされ不満気に出てきた新太、相手が野良犬と見てけして手を出さず。野良犬は刃を向けた者だけ斬りいちいち刀を納めるが、このときいちいち袂で「拭く」…登場時胸元に桜なんか挿して決めてるくせにキタナイ奴。


第16話「志士の写本」1967.7.17

 見回組の襲撃は人違い、襲った駕籠には気まぐれを起こしてキャンセルを埋めてやった野良犬。仕方なく振るった刃は、彼の立ち寄り先に多大な迷惑をかけてしまう。

三条大橋

ロケ地
・見回組が狙う論客・吉辺が上がっている料亭・川清、不明(塀は細竹編み)
・吉辺がキャンセルした駕籠に乗った野良犬がゆく夜道、疏水分線・大豊神社御旅所付近(橋を渡る)。板塀沿いをゆき、大豊神社参道口付近で見回組の襲撃、橋たもとの大灯籠も映る。
・連行された駕籠留の青年のことを掛け合いに行く沖田、京都所司代は青蓮院長屋門(イメージのみだが提灯には文字を入れ演出)
・江戸送りになる青年の唐丸がゆく道、不明(木の根が張り出した林)
・唐丸を襲った野良犬たちのことをとぼけて話す千造たち、不明。
・青年が届けようとした写本の依頼者を捜し歩き回る野良犬と万平ダンナ、家並みは穴太あたりか。遂に見つからず写本を川に投げ捨てる野良犬、二人が腰掛けている橋は三条大橋
*野良犬が立ち寄った駕籠留の姉弟は嵯峨三智子と賀川浩。見回組の酒井は宝達晃一、沖田言うところの「口説の徒」吉辺は南道郎。野良犬が放り込まれると先客に万平ダンナがいる牢、囚人の一人に福ちゃん。*小便禁止と貼り紙をしてある路地へ入ってナニかしてきたあと洗った手を貼り紙で拭くし、草履で行く先決めるし、鯖寿司皿ごと牢に持って入るし、野良犬の仕草が大笑いなれど終始例の仏頂面。


第17話「網の目の中」1967.7.24

 生活のため就職する浪人だが、仕えた主は急進派の大物。身辺には勤皇左幕双方の目が光っており、本人には右も左もないのにスパイ扱いされ、一旦は誤解も解けるが亭主を案じた哀れな女の「短慮」で水の泡。ドラマは、亭主の死後下品な酌婦に身を落とした女が、姉小路卿暗殺を聞いて発する高笑いで締めくくられる。

仙洞御所外塀

ロケ地
・姉小路公知邸、智積院講堂門(石畳は少し変化)。出入りを見張っている千造は塀南西角。
・犬山が姉小路卿のお供をしての御所参内、京都御苑・仙洞御所外塀際(東側)
・雑掌に挨拶して屋敷を下がる犬山、智積院講堂塀南西角〜西塀際(庫裏のほうへ/刺客の新太が現れるのは井戸)梅宮大社東参道蔵脇〜神苑通用門から中へ(水路は満々)〜セットへスイッチ。
*新入りのノンポリなのに消されてしまう哀れな「浪人」・犬山は夏目俊二、美人が仇になる女房は木村俊恵。*野良犬と万平ダンナは女房が勤める宿屋に来ていて関わり、酌婦になった女の酒肆にも来ていて酔態を見る。


第18話「月明柳馬場」1967.7.31

 靡かぬフィクサーの富商を暗殺すべく動く長州は、搦め手から攻める。道具にされた男女の帰趨は野良犬の予想を超えて無惨、次第を見届けた野良犬は隠居の寮に乱入し鬼神のごとく血刀を振るう。

阪口青龍苑

ロケ地
・柳馬場の松前屋嘉兵ヱの住む寮、青龍苑
・長州藩京屋敷、大谷祖廟北通用門(イメージのみ)
*松前屋の隠居は浜村純、出入りの小唄師匠は松山容子、彼女と恋仲の本宅差し回しの手代は森乃福郎。手代を誰何したあと野良犬に斬られた、間者と目される用心棒は平沢彰。師匠や手代をスパイにしようとはかる長州の男は汐路章(なりは行商人)。


第19話「真葛ヶ原にて待つ」1967.8.7

 やっと代官所手代の職を得、御用の旅の暇を見て妹に会いに来た男が京洛に散る。容貌が桂小五郎に酷似していた不運、しかし過って彼を斬った筋目の良い筈の侍たちは、卑怯にも言い逃れようとする。彼の妹の料理屋には、野良犬と万平ダンナが来合わせていた。

清水寺仁王門

ロケ地
・新選組の張り込み・市中を走り回る隊士たちのくだり、岡っ引のツナギを受け走り去るのは下鴨神社河合社裏手。友禅流しの河原を走る隊士、大堰川河川敷(広い礫河原)。釣りをしている密偵、中ノ島橋上手中州法面・ツナギの山崎は中ノ島橋上を来る。密偵が見張っている「桂に似た男」が上がっている「対岸の待合」は不明、建物は二階家で堤際に生垣・この画はイメージのみ。変装して待合を張り込む千造たち、白川新橋たもとと辰巳大明神際。待合を訪ねてくる「妹」、白川新橋から巽橋を渡り小路の店へ。待合の設定は三本木。
・待合を出て五条坂の「妹」の店へ向かう磯崎兄妹を追い誰何する新選組一番隊、円山公園東端付近。園内の坂や料亭も映り込む。
・妹の店から出て清水寺へ詣でる磯崎、清水寺仁王門舞台(舞台は子安の塔付近からの遠景、イメージのみ)。見廻組に斬られるのは東福寺洗玉澗、投げ捨てられた通行手形が流れてゆくのは三の橋川河床、妹が探しにやって来るのは谷底の橋で背景に臥雲橋が映り込む。通天橋の木組もちらりと映っている。洗玉澗の設定は清水寺境内。
・野良犬が掛け合いにゆく「見廻組詰所」の入る京都所司代は青蓮院長屋門(提灯に所司代のネーム入り)で、出てきた野良犬は門前の石段を降りてきて、そのあとの塀際は拝観口へ通じる坂。
・真葛ヶ原のくだり、千造らが入ってゆく楼門は八坂神社楼門(真葛ヶ原は現在の円山公園あたり)、このあと見廻組と斬り結ぶ野良犬を垣間見るのは下鴨神社河合社裏手
・兄の遺骨を抱いて大坂へ下る妹夫婦、松本酒造前東高瀬川堤(右/大坂船乗り場・左/竹田街道の道標をあしらい)
・野良犬が彷徨う追っ手つきの京の町イメージ、石塀小路今宮神社東参道
*桂と誤認され斬られる兄・磯崎は舟橋元、妹夫婦は高野通子と武周暢。見廻組組頭の佐々木唯三郎は穂高稔、辰巳大明神で羅宇屋に化けている密偵が平沢彰。*カラー記念OP新選組行進ロケ/渡月橋〜御所建春門脇〜今宮神社楼門前〜清水寺仁王門。


第20話「日照り雨」1967.8.14

 古都の片隅で縁談も退け弟の学費捻出のため働く女だが、突然帰った弟は物騒な連れを伴い、学業も放擲し「同志の方々と回天の国事をなす」という「熱病」に取り憑かれていた。その場に際会した男たちは稚気あふれる青年を助けようと動くが、権高な娘の一言が彼の運命を狂わせる。

猿沢池越しに興福寺五重塔

ロケ地
・オープニングの万平ダンナ奈良周遊、猿沢池越し興福寺五重塔鷺池越し浮見堂飛火野東大寺大仏殿中門大仏殿回廊際〜大仏殿春日大社参道二月堂手向山八幡宮前経蔵大仏殿甍遠望。
・奈良イメージ、東大寺大仏殿大仏飛火野の鹿。
・奈良の町をゆく髪結いのおえん、猿沢池南岸〜塔が遠望される川端の道は旧大乗院庭園西方にあって当時開渠だった尾花谷川沿いの道(高畑町・鵲町境を北望)
・おえんが女将の髪を結いにゆく古梅園、本物(店の表のほか、工房も使用←今ふうの万力やレールなんかも出てくる)
・事後、大仏を仰ぎ見る万平ダンナ、本物の毘盧遮那仏・大仏殿内陣。
*おえんは鳳八千代、弟は小坂一也。同志の方々の首魁は浜崎清、伴った娘・ふさは土田早苗。同志の一人・「井上」は井上茂。*純真な若者を便利使いするうえ身分低き者と軽侮するご大層な「国士」たち、という構図で結束節炸裂。心優しき男たちの気遣いを一瞬にして無にする、偉そうな武家娘を土田早苗が好演。野良犬は京を逃げた「国士」たちの用心棒で、沖田はその追捕者として、万平ダンナは古き仏を拝みに、別々に奈良へやってくる趣向。


第21話「おっかあの唄」1967.8.21

 獲物を待つ新太が吹く草笛に足を止めるお使い中の丁稚、それはなつかしい故郷の旋律、母に教わった歌。もう一度聞きたくてお使いの帰りにそこへ戻ってきた少年は、新太を囲む捕物に遭遇し、これが己だけでなく同郷の優しい父子の運命をも狂わせることになる。

錦

ロケ地
・女と逢引するため出会茶屋へやって来る東町与力の相島、中ノ島橋。公園に塀をあしらい、新太はそこに凭れて獲物が出てくるのを待ち草笛を吹く。乞食に身をやつした千造は中州法面にいて新太を見つけ捕り方を手配。ここが後段悲劇の場となる。
・捕り方と戦う新太、錦の前から中州法面、画面切り替わり墓地のシーンは鳥辺野で、出てくる門は西大谷墓地に面して建つ妙見堂。墓地は様々なアングルで登場、上から見下ろしたものもある。逃げ込む墓守の小屋はセット。
・市中をゆく相島を窺う新太、供を連れた相島は円山公園東端の道を北へ、うしろに大谷祖廟の門が映り込んでいる。
・相島からの使いが来て出会茶屋へ出向くお八重、通る道は白川新橋白川畔
・京を離れ旅ゆく新太、渡る木橋は不明、里への道は穴太か。
・同じく京を出た野良犬と万平ダンナがゆく道、走田神社社務所前を南へ。
*相島は楠本健二、密会を強要されているお八重は真屋順子、父は吉田義夫。八重は新太に関わり暇を出され町を彷徨っていた丁稚を拾い、その父は同郷であることを知って小僧に仕事を仕込もうとする運び。野良犬は新太が逃げ込んだ墓守の小屋に巣食っていて、のち出会茶屋の用心棒になり新太の乱入に出くわす。*草笛のメロディは「出雲のひえつき節」と劇中に出てくるが、日向のアレかは不明。新太の頬っぺたは吹いてるふうに見えない。


第22話「見知らぬ旅の客」1967.8.28

 雪深い丹波路で起こる惨劇、出稼ぎ帰りの杜氏を殺し金を奪った「脱走隊士」は殺した男の家に出向き立て籠もる。さらなる犠牲を出さぬよう、追者の沖田を制し一人で現場に向かった野良犬は脱走者の心理を読み事をおさめる。しかし、野辺送りには早桶が一つ追加されているのだった。
*ロケ地は雪の盆地、いつもの所よりまだ北な気もするが、昭和42年当時だと亀岡でもかなり積もったかも。屋根の形状等でも見当つかず。*話は悲惨だが、万平ダンナの料理自慢に今回妙に噛む野良犬や、感傷に浸っているはずの新太のヘンなおのろけが入り和ませる。


第23話「闇に白い火」1967.9.4

 ヤクザに翻弄される旅籠の若夫婦、幸福な日々はいきなり断ち切られ嫁は拉致される。居合わせた万平ダンナと新太が取り返しに行き、そこの用心棒をしていた野良犬が裏切ってはもう終りなのだが、親分を斬り捨てたあと見えた壁には不気味に刃が突き立っているのだった。
*ロケ地は雪嶺を望む里、土手や家なみ等いずれも見当つかず。最後に野良犬が渡る橋は東焼田橋に似たフォルム(もちろん西の湖ではない)。*ヤクザの親分は戸上城太郎、思いがけず早くに島から帰ってきてしまう荒くれは不破潤、下っ端に川谷拓三。*万平ダンナの雑学披露炸裂、薪割りから飯焚きから赤子の世話まで薀蓄垂れ。しかしせっかく作った絶妙の菜飯は冷えきり、若夫婦がそれを口にする機会は永遠に失われる。


第24話「拾った道」1967.9.11

 殿様の寵深い腰元と逃げた近習は、とある農家に逃げ込み。たちまち追手がやってくるが、居合わせた野良犬はその家の婆さんが気の毒がるのを見て二人を逃がす。もちろん碌な結果は待っていないが、老夫婦に危難は及ばず女は新しい命を拾う。
*山道、里居、渓流ともに全く不明。轍が目立たないのが印象的。*近習は寺田農、怖くなって逃げ沖田を追っ手と誤認し斬りかかる愚挙に。腰元は花園ひろみ、老夫婦は藤原釜足と高橋とよ。


第25話「めおとの風」1967.9.18

 「ご時勢」で領民から金を用立てようと代官が派遣されてくるが、したたかな庄屋は抱き込んだ小役人と画策し「接待」で金高を抑えようとする。好き者の代官に宛がわれかける茶店の女、その店には野良犬が来合わせていた。
*仲のよい夫婦が営む茶店は池のほとり、土手越しに里居が遠望される。庄屋屋敷は立派な構えで天を突く大木が聳えている。丹波あたりで見たような気はするものの不明。*茶店の夫婦は国浦正己と柳川慶子、代官は穂高稔で庄屋と通じる手代は織本順吉、庄屋夫婦は沢村宗之助と菅井きん。*「茶店の女の用心棒」として庄屋屋敷に乗り込み、代官ぶった斬って庄屋脅して茶店の夫婦の「逃走資金」をせしめ、「うまくいった」と微笑って送り出す野良犬だが、この時点で尺が五分ほど残っているのがミソ。


第26話「乱れ雲」1967.9.25

 鳥羽伏見の戦い勃発、砲声の聞こえる酒肆で平然と酒を呷る野良犬。急速に変わりゆく時勢に、見知りの者たちは散り散りになり、救おうとした女も儚く消え、どこへ向かうのか野良犬も峠を越えてゆく。
*派手な戦闘シーンは使い回しか、饗庭の丘のような地形も見える。おゆみに言い寄っていた口入屋が沖田のことを注進に及ぶ長州の陣地はごこんさん境内か。沖田を大坂へ下らせる船着場、堤法面と水面の様子から見ると宇治か鴨最下流部のような感じ。千造と逃げ込む民家の後架は穴太か。野良犬がゆく鈴鹿峠、林道か。*沖田を匿う伏見の女は扇千景、言い寄る口入屋は徳大寺伸、長州の仕官は国一太郎。


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