照る日くもる日

内出好吉監督作品 1960.4.26第二東映


 江戸を騒がす御用盗は、密命を帯びた薩摩藩士の仕業。彼は役目に区切りをつけ風雲渦巻く京へ向おうとした矢先、折しも結成された幕府の地下組織の手にかかる。ここから、残された息子とその恋人、同じく江戸に潜んでいた薩摩藩士、ひょんなことから関わってくる女盗賊一味が複雑に絡み合い、地下組織を束ねる大身旗本の屋敷で大活劇が繰り広げられる。これは前編で、屋敷に侵入する段で中ほど。

御香宮本殿

ロケ地
・深川八幡、御香宮。細木年尾が白雲堂を訪ねる道はセットの深川八幡裏道通りからごこんさん拝殿前〜回廊脇を通り再びセットにスイッチし白雲堂の長屋へ。後段、辰巳芸者のお林が白雲堂にツナギをとるくだりでは、お林がまず本殿にお参りし、本殿脇に店を出している白雲堂のもとへ(ここへ妹芸者たちがわっと殺到する)
・細木宅も加納邸もセットだが、加納邸侵入の際船が水門付近の水流に呑み込まれ傾いたあと、鳴門の渦潮と思われる映像がインサートされていて大仰。

*加納邸は仕掛けがいっぱい、剣客・岩村鬼堂が組織に加わる旨返事をした座敷からして、紐を引くと畳がパカっと落ちるように作ってあり断ると地下行き。その地下、一部は牢で水門を開くと囚われ人は藻屑と散るシステム。通路は折れ曲がってちょっとしたダンジョン、秘密組織の会合も地下で行われる。
*深手を負った細木新之丞は女盗賊の助けでからくも家に辿り着き、息子に後事を託し落命。表には捕り方が殺到するが倅の年尾は父の亡骸に掛けた布団に火を放ち逃走。その頃、女盗賊は加納らに追われ危機に陥り、結城一郎太が助けようとするが敢無く捕われ加納邸へ連行される。

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照る日くもる日 后篇  内出好吉監督作品 1960.5.3第二東映

 加納邸侵入の段から再開、加納が組織に命じているただならぬ内容を立ち聞いた結城一郎太と細木年尾は、仲間にこのことを知らせるのが先決と脱出を決意。結局乱闘となるが、捕えられた女盗賊の仲間も同時に乱入していて大混乱。なんとか屋敷を出たあとは、京が舞台に。

ロケ地
・薩摩藩京屋敷、御所管理事務所門(東門)
・京都所司代は北門に似るが細部が異なる長屋門。
・加納の一党が京へ向う街道、琵琶湖岸(砂浜の湖岸と松原脇の地道)
・結城が加納のやって来るのを見張る京へ一里半の飯屋(山科)、二階から見える街道風景は棚田か。
・京へ入った加納の配下・大庭を見張るため同じ旅籠に腰を据える細木、部屋から眺めやる小川イメージに白川
・加納が入る白川の河内屋山荘、不明(まず門が映り、庭はけっこう広壮な池泉で大立ち回りもあり。脱出した結城が馬を「借りて」逃げる道は谷地田か)
・加納が本当に腰を据える深草の南山荘、阿弥陀ヶ峰参道脇の桐院席に似る。
・焦れて逸った加納の息子・節太郎が三条卿らを斬る屋敷前、仁和寺勅使門(書院がのぞく)〜参道。
・節太郎を人質にした結城らが加納を呼び出す八坂塔、仁和寺五重塔(イメージのみ、お芝居はスタジオセットに塔初重を組んで)
・官軍の行進(細木らは晴れがましくシャグマをつけて馬上)、田畔(不明、棚田か。設定は草津付近)
*細木が気にかかり京までついてきてしまうお銀、けっこうお役立ち。
*岩村の娘・お妙をたばかり倅の嫁にしようとする加納だが真意は深く、心情を吐露する場面は切ない。
*立ち回り場面などで前編から鳴っているメロディーは維新マーチのヤッパンマルス、後編のラストシーンでは鼓笛隊とともに高らかに登場。
*「シャグマ」、細木のは赤くて結城と西郷どんのは白い。全員薩摩なんだから色を完全に外していることになるが、どのみち記号なのでま・いいっか。

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キャスト 細木年尾/里見浩太朗 細木新之丞/原健策 結城一郎太(白雲堂)/近衛十四郎 加納八郎/黒川弥太郎 加納節太郎/尾上鯉之助 岩村鬼堂/北龍二 お妙/中里阿津子 お銀/雪代敬子 お林/藤田佳子 西郷/加賀邦男 竜右衛門/阿部九洲男(手下に本郷秀雄、国一太郎) 大庭/徳大寺伸 間瀬/小田部通麿 所司代/長田健 所司代役人/香月凉二
脚本 結束信二


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