忠臣蔵


第1話「元禄最大の事件」1996.10.9

 討ち入り直後、因果を含められ一行と別れ南部坂へ向かう寺坂吉右衛門の語りから物語が説き起こされるつくり。
「塩の一件」で吉良ははじめから意趣を含み、柳沢はそれをけしかける運び。ちくちくいびられ続ける内匠頭の心は、お決まりのお料理違い・畳替え・衣装違いを経て弱ってゆき、肝心の儀式に間に合わず放心して座り込んだ松の廊下で暴発する。

琵琶湖

ロケ地
・江戸城イメージ、姫路城天守
・殿様に来た栄誉のお役目を寿ぐ赤穂、一人吉良の性行を案じ気を揉む大石が立つ浜、琵琶湖か赤穂か。立ち寄る塩田、赤穂の塩の国。登城(?)シーンは赤穂城大手門高麗門、大石邸の門はセットで、寺坂が子らを笹舟で遊ばせる庭は阪口青龍苑
・呉服橋吉良邸、興正寺境内から塀越しに西本願寺御影堂南側面を望む図。
・柳沢邸へ向かう吉良の駕籠、随心院拝観口前付近〜大覚寺大門(柳沢邸)
・献立の変更を知らせに伝奏屋敷へ駆け入る勝田新左衛門、随心院薬医門〜本堂前庭。吉良が来て衝立に文句をつける玄関は大玄関。
・右衛門七が質入れした品を請け出してくる橋本を待つ主税、大覚寺天神島
・大石の回想、殿と遠乗りした浜辺、琵琶湖西岸河口州(比良の雪嶺が映り込む絵も)


第2話「刃傷松の廊下」1996.10.16

 刃傷ののち、急速に処分が下される。内匠頭は即日切腹、田村家の庭先で片岡源五右衛門は主君の無念を聞かされる。原惣右衛門の早駕籠が赤穂の大石邸に着き、凶報をもたらす段でこの回を締める。

姫路城菱の門

ロケ地
・門外で待つ各家の家臣たちに、刃傷の次第が発表される城門、姫路城菱の門
・凶報にざわつく伝奏屋敷、随心院本堂前庭。退去命令を下しに来る役人は大玄関。
・赤穂へ凶報を伝えに走る早馬が駆ける夜道、大覚寺大沢池北辺並木。早駕籠が走る街道、谷山林道切り通し〜琵琶湖岸松原琵琶湖河口州汀〜赤穂城大手門高麗門
*採用されたお決まりエピソードは、脇坂淡路守の吉良打ち据え・梶川面罵のほか、多門伝八郎の厚意などで、辞世は「いかにとかせん」を採る。


第3話「赤穂城激震」1996.10.30

 評定で一話をとる。最初の総登城にはじまり、浅野本家の重役派遣、江戸組の帰着、収城使の決定を経て、衆議一決を求める段まで。

南禅寺僧堂坂

ロケ地
・総登城の風景、赤穂城大手東北隅櫓越しに大手高麗門側面、続いて正面を映しセットにスイッチ。
・京都留守居役・小野寺十内が到着する船着き、琵琶湖西岸
・岡野らが高田ら江戸組を迎える関所、不明(谷地田奥の坂道、柵付近には切り通し、遠景に谷底平野のような空間)
・片岡らが江戸を発つ前に詣でる亡君の墓、二尊院墓地(卒塔婆は崖際、片岡らの背後に墓石群、脇に「小屋」)。ここで髻切り。
・寺坂一人を連れて夜に外出する大石、南禅寺僧堂坂。イカ軍団に襲われるのは大覚寺五社明神で安兵衛が加勢に現れる。南禅寺から大覚寺へは、あしらいものの塀をナメてうまくスイッチ。
*大石の意見は殉死嘆願、片岡らは誓紙せず立ち去り、大野家老は「殿の短慮」を口走り。大石が寺坂を貰い受けた経緯も出てくる。


第4話「城明け渡し」1996.11.6

 無血開城を主に、暗躍する色部の密偵、天野屋の義侠、大野九郎兵衛の退転、寺坂のお供願い等のエピソードが散りばめられ、篩いにかけた義士たちに内蔵助の真意が明かされる。

阪口青龍苑

ロケ地
・大野九郎兵衛の逐電を伝えに走ってくる小山田、琵琶湖岸松原
・大野が身を寄せていた庄屋宅、不明(母屋萱葺き)
・大野の仕儀について憤慨する主税を諭す大石(邸内庭)阪口青龍苑
・収城使が入るくだり、赤穂城大手東北隅櫓、高麗門。
・千坂兵部邸、不明(萱葺き、伏見の瑞光寺に似る)


第5話「南部坂の誓い」1996.11.13

 無血開城に町衆の悪評紛々たる中、大石は江戸下向。瑤泉院に亡君の恨みを晴らすと約束するが、千坂兵部の目が光っている。

百済寺喜泉院庭園

ロケ地
・大石の江戸下向、千坂の女密偵がいる茶店前を通る街道筋は嵐山東公園か。
・投宿する旅籠につなげる江戸入りイメージ、中ノ島橋(夜景、通行人あしらい)
・綱教が来ている吉良邸の庭、百済寺喜泉院庭園
・亡君の墓参の大石、大覚寺聖天堂前に立派な石の墓標あしらい。一党に参加を申し出た不破の心底を試す「猫」がいるのは聖天堂階、女密偵が茂みに潜んでいる。
・大石が投宿する本石町の旅籠・小山屋、嵐山公園・錦(千坂の迎え駕籠がやって来る段で映る。前段のはセット撮り)
・千坂の誘いに乗り赴く大石、駕籠がゆく道は車折神社参道。迎えられる屋敷の門は鹿王院中門、駕籠を降りて導かれる玄関は式台玄関(寺坂に大小を託し中へ)。千坂と会見の座敷は金剛輪寺、座敷から見える建物は水雲閣
*千坂兵部との会見は狸会話、互いの力量を見定める。こののち大石は仇討ちの話を一切しなくなり、と語られたあといきなり「伏見で浮さま」。


第6話「決闘高田馬場」1996.12.4
*本放送時、特別番組が入ったため編成の都合上番外編扱いで昼間に放送されたが、本来の第6話。

 浮様の噂にクサる江戸組、亡君を揶揄された高田郡兵衛が事を構える相手は清水一学。割って入った安兵衛は一学と旧知で、昔話のかたちで高田馬場仇討始末が語られる。

大覚寺大沢池船着

ロケ地
・郡兵衛と一学の争いを止めた安兵衛、一学と話す茶店(のち同志と昔話)大覚寺大沢池船着(大)にあしらい。北から南からのアングルのほかクレーンショットも。五社明神や大沢池堤が印象的に映り込む。
・安兵衛の叔父・菅野が村上と試合う藩邸の庭、大覚寺宸殿前白州
・郎党・半助が菅野に供を願い出る林、下鴨神社河合社裏手
・菅野と半助が高田馬場へ向かう道、大覚寺大沢池堤
・決闘の場の高田馬場、下鴨神社馬場に幔幕や柵あしらい。安兵衛が駆けつけ大立ち回りとなる際には池跡も。
・亡君の一周忌に墓へ詣でる江戸組、大覚寺聖天堂前付近に墓標あしらい。


第7話「山科の別れ」1996.11.27

 浮様を斬りに来る安兵衛らだが、ここへ浅野大学に沙汰下るの知らせ。お家再興の望みが完全に断たれ、大石が動きだす。

山室

ロケ地
・山科の家を出て実家へ帰る母らを追ってくる主税、山室堤
・吉良邸増築を請負う大工の娘と会う岡野、今宮神社稲荷社前。
・円山・安養寺に参集する赤穂浪士たち、西明寺山門内外。
*逸話は伏見で遊蕩、妻女と離縁、円山会議。絵図面の伏線がちらり。*喜剣の雇い主に中本賢、見物衆に福ちゃんチラリ。


第8話「大石東下り」1996.12.4

 大石遂に江戸入り、着々と準備が進められるさまを、おなじみの逸話を散りばめて描く。

高山寺

ロケ地
・山科を発ち江戸へ向かう大石一行(垣見五郎兵衛に扮装)山室堤
・右衛門七がゆく赤穂の浜、琵琶湖岸松原
・箱根神社へ参詣する大石一行、高山寺金堂道(石段)
・鶴岡八幡宮へ詣で祈願する大石一行、石清水八幡宮本殿。
・大石が入る川崎在平間村の民家(軽部宅)民家(前畑越し)
*逸話は、右衛門七の母自刃、垣見五郎兵衛、高田郡兵衛の窮地、前原伊助ボコられ、火事見に事寄せ吉良邸スケッチなど。絵図面ゲットは次回に引きずり。


第9話「討入り近し」1996.12.11

 吉良邸の絵図面が手に入り、討入りの日は決まる。茶会が日延べとなり決行日も変わるが、その日付を嘉する内蔵助「奇しくも月こそ違え亡き殿のご命日」。

仁和寺観音堂前

ロケ地
・大工の娘に吉良邸の絵図面を見せてくれと頼み込む岡野、仁和寺観音堂(塔映り込み)
・入り浸っている師匠の家から小山田を呼び出し、大石江戸入りを告げ覚悟のほどを聞く富森と磯貝、大覚寺護摩堂(石仏も映り込む)
*逸話は絵図面入手の経緯ほか、各人の家族との涙の訣別、およびかねて用意の武具類を大石に見せ辞退されるのに「天野屋利兵衛は男でござる」。*大工親子は、絵図面を欲しがる理由を知悉していて渡す設定。


第10話「吉良邸討入り」1996.12.18

 お馴染みのエピソードを散りばめて「討入り」、戦いの模様は寺坂が瑤泉院に報告する形で描かれる。寺坂は豊岡のりくにも報告にゆき、切腹の座に就く大石で幕。

大石神社絵馬

ロケ地
・豊岡へ向かう寺坂がゆく雪の道、不明(山道と川べり)
*高田と小山田の離脱、後者は師匠とほぼ心中。このほか採用された逸話は、其角と大高の付句、羽織の別れ、瑤泉院のもとに女間者で虚言の大石、蕎麦屋の親爺びっくり、土屋さまの高張提灯、雪の庭で一学と立会い池落ちの赤穂浪士など。吉良さまは床の間に抜け穴で炭小屋、金持って隠れてて引き出され自刃を求められるも見苦しく拒否でぶっすり。引き上げの段では、なぜか刷り上っている瓦版が出て、知るべの人々の対応がひとくさり。


キャスト

大石内蔵助/北大路欣也
大石主税/竜小太郎
吉田忠左衛門/神山繁
原惣右衛門/和崎俊哉
片岡源五右衛門/本田博太郎
小野寺十内/大出俊
磯貝十郎左衛門/鷲生功
奥田孫太夫/河原崎建三
富森助右衛門/木村元
堀部弥兵衛/根上淳
堀部安兵衛/世良公則
赤垣源蔵/勝野洋
大高源五/平田満
武林唯七/三浦浩一
不破数右衛門/渡辺哲
前原伊助/篠塚勝
岡野金右衛門/内野聖陽
神崎与五郎/石田登星
勝田新左衛門/丹羽貞仁
矢頭右衛門七/山本耕史
小山田庄左衛門/萩原流行
高田郡兵衛/伊東貴明
大野九郎兵衛/織本順吉
寺坂吉右衛門/寺尾聰

浅野内匠頭/緒形直人
阿久里(瑤泉院)/麻乃佳世
大石りく/梶芽衣子
浮橋大夫/多岐川裕美
堀部安兵衛妻女/水島かおり
矢頭右衛門七母/音無美紀子
小山田情婦/池上季実子
大工娘/大路恵美
大工/平泉成
天野屋利兵衛/丹波哲郎
垣見五郎兵衛/藤田まこと
脇坂淡路守/渡辺謙
多門伝八郎/岡本富士太
土屋主税/中村梅之助
畳屋文吉/江戸家猫八
村上喜剣/佐藤B作
菅野六郎右衛門/竜雷太
梶川与惣兵衛/小沢象

清水一学/隆大介
小林平八郎/誠直也
千坂兵部/石橋蓮司
上杉綱憲/中村獅童
吉良上野介/平幹二朗

*初回と最終話はスペシャル拡大枠、放送日時は東映サイトから引用させて頂きました。


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