ひばりのおしゃれ狂女

佐々木康監督作品 1961.12.15東映

キャスト
お美津/美空ひばり 伊之吉/高田浩吉 諏訪新次郎/水島道太郎 留吉/花房錦一 近江屋/水野浩 お紀代/青山京子 中屋/菅貫太郎 松平越前守/徳大寺伸 一ツ橋治斉/北竜二 戸山勘解由/吉田義夫 青江源内/小田部通麿 田沼能登守/安井昌二


 父の死に合点がゆかぬ兄妹は、それぞれのやり方で真実を探ろうとする。兄はストレートに蔵へ忍び込んだりするが、妹のほうは奇抜な手法で、タイトル通りに狂女を演じるのだが、奢侈禁止令を利用して効果をあげる大胆にして巧みなやり方が「おしゃれ」の謂。狂女・洒落キチがたくさんの見せ場を作り、父の仇討ちには老中・松平越前守の思惑も加わって、一ツ橋のご隠居を隠れ蓑にしていた悪党燻り出しとなる。

ロケ地
・奢侈禁止令の高札が出る林、不明。林の脇は地道で、一ツ橋のご隠居が闊歩する。道は塀沿い。
・タイトルロールのお美津登場シーンは堀端、湛水域。宇治か瀬田か。その後歩む寺院境内は仁和寺観音堂付近か。町中のシーンはセットかロケか不明。
・町方に連行されたお美津・伊之吉が連れ込まれる松平越前守邸、仁和寺本坊表門
・禁制品摘発の検問シーン、浜辺は琵琶湖西岸。街道筋は湖西の棚田か。田沼能登守の屋形船臨検は大沢池か。
・近江屋の死体が上がった大川、セットか。
・お美津がゆく町中、大寺の塀際か。その後に出る露店等の出た市中は冒頭に出たものと同じ、塀の向こうに建物あり。
・夜になり「塒」へ新次郎を連れて入り込むお美津、お堂はセットだが刺客が入ってくるくぐり戸は松尾大社楼門脇の開口部。
・田沼と中屋および禁制品入りの屋形船がゆく川、宇治か瀬田か。お美津と新次郎が船を見る土手はロケからセットにスイッチ、新次郎の思いを知りいたたまれなくなったお美津がその場を去り走る堀端は冒頭に出たものと同じ。禁制品を載せた船が着く一ツ橋邸裏口は作りこまれたセット。
*親友のお紀代ばかりか実の兄も騙す狂女ぶりは圧巻、ご隠居んちの拝領壺を割りかける手つきなどは荒っぽくも可愛く、正気との落差も見どころで、新次郎の御新造におさまった際の姐御っぽい芝居も、当然入っている歌と踊りもいい。当初しれっと善人面しているスガカン、優しげな口調にも怪しさ滲むさすがの芸。


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