大坂城の女

1970年 1月〜9月 関西テレビ/東映

主要キャスト
豊臣秀吉/進藤英太郎
 見た目似合わない気もするが、このお話の秀吉はほぼ悪役
寧々(高台院)/三益愛子
 母物の権威が演じる寧々はみんなのお母さん的役回り
淀殿/村松英子、木暮実千代
 輿入れ当時を演じる村松英子はエキセントリック
 秀頼の母の木暮実千代は憎態ぶりが凄絶・金銀サイド毛に注目
豊臣秀頼(成人後)/高橋長英
 母の重圧を受けての癇性な感じがハマリ役
徳川家康/山形勲
 痩せた家康ながら狸ぶりは○

語り手/岸田今日子、音楽/渡辺岳夫


第1話 「愛しき京極殿

 賎ヶ岳の戦い直後の話。趨勢定まらぬ中、天下人となった羽柴秀吉に阿ろうとした武田孫八郎は、柴田を慮って遠ざけていた妻女を差し出そうとする。妻は実家である京極家に戻っており、兄・高次は孫八郎の横暴を退けるが、一旦話を聞いた「猿面冠者」は美女を諦めない。やむなく秀吉の側室となった竜子は、天下一の城を代償として望む。それは、龍華寺で会った城造りの青年が口にした夢だった。

ロケ地
・手勢を率い京極高次邸へ向かう武田孫八郎、琵琶湖西岸
・京極高次の屋形、芦浦観音寺。門のほか、境内も使われる(長屋門内側)
・竜子が多聞正清と出会う大津の龍華寺、三井寺。当寺に寄宿していた正清がスケッチをしているのは唐院三重塔下、竜子が源氏物語を読んでいるのは金堂縁先、声を聞いた正清が渡るのは唐院から金堂へ渡る石橋、寺を去る竜子は唐院参道。
・屋敷へ帰る途中、正清の吹く横笛に惹かれた竜子が彼の話を聞く湖畔のお堂、浮御堂。去年までは対岸に安土の城が見えたと正清が指す先に八幡山。
・竜子を無理矢理確保しようとして高次に阻まれる孫八郎、琵琶湖西岸葦原
・秀吉の軍勢がゆく街道、田地から琵琶湖畔の松原を見たものか。秀吉来ると注進に走る孫八郎の家来、三井寺村雲橋。秀吉が野営の陣を張るのは琵琶湖西岸の原。
・秀吉の居城がある長浜イメージ、対岸に八幡山を望む河口州。
・秀吉の要請に抗いきれず大津から長浜さして船に乗る竜子、琵琶湖西岸河口州(州の切れ目から船が出てゆく)
・大徳寺にて信長一周忌法要を執り行う秀吉、金戒光明寺三門を下の石段から見上げ(賎ヶ岳の論功行賞のほか、石山本願寺跡に大城を築くと発表)
*京極竜子は藤純子、多聞正清は田村高廣。孫八郎は小池朝雄、母・曽祢は沢村貞子、お二人ともエキセントリックな親子を熱演。孫八郎は高次に斬りかかり返り討ちに遭い、その後秀吉に屋形を焼かれ、母は京極屋形に乱入し松明を振りかざして狂態を演じる。

第2話 「許されざる恋

 愛妾・京極殿の求めに応じた秀吉は、大普請の触れを出す。我こそはと賄賂まで使い請負いを望む者があるかと思えば、京極殿名指しの多聞正清は栄えある役目を頑なに拒む。妾となった身を厭うてかと嘆く京極殿、真意を押し殺し築城を決意する正清、しかし選に漏れた者どもの中傷により暗雲が垂れ込めてくる。

ロケ地
・多聞家について語られるくだり、斑鳩の里イメージは菜畑越しに薬師寺東塔を望む図。多聞家の門、不明(門越しに屋敷の連子窓を望むアングル)
・請負いの返事をしに行く正清の前に立ちはだかり、引き受けるよう懇願する弟・吉晴、仁和寺北塀(境外、聾学校側に灯籠あしらい)
・長浜城下の浜から対岸に船を出す京極殿の侍女、琵琶湖西岸。行く先の龍華寺は三井寺唐院参道。
・京極殿と正清の仲を揶揄する落首を見た秀吉が大坂へ送る早馬、琵琶湖岸。
*正清の弟で狩野派に師事する吉晴は松山英太郎、正清を慕う多聞家の侍女は御影京子。多聞を妬む金剛一族の長は原健策で、配下の大男は阿波地大輔。

第3話 「二人だけの天守閣

 秀吉の難題のほか、金剛一族の企みが多聞を苦しめる。そして竜子と多聞の良からぬ噂が広まり、忍び会っていた事が秀吉の知るところとなる。

ロケ地
・大坂城、大阪城千貫櫓をイメージに挿み、押し開けられる城門は大阪城多聞櫓。天守は伏見城天守
・落成した大坂城に入る秀吉の前に進み出て自刃し、我が身に代えて竜子の命乞いをする多聞、伏見城天守下石垣
・出家するため城を出てゆく竜子、出てゆく城門は大阪城多聞櫓(内側から、表に尼が待っている)。渡る橋は大阪城極楽橋、濠にアヒル。
・年明け、入城する寧々、大阪城多聞櫓
*福島正則に有川正治、多聞の作る城には鉄砲狭間も櫓も間道も無いと言上。*普請場や多聞と竜子が密会する本願寺の坊跡はセット。
1〜3話 脚本/西沢裕子、監督/倉田準二


第4話 「天下人は浮気者

 助平亭主に悩まされる寧々、あろうことか養女にしている加賀の姫に手をつけるに至り怒り心頭。大政所のとりなしもあり、なんとか事をおさめてやる寧々に、トンデモ亭主は茶々を側室にする話を持ちかける。

ロケ地
・寧々入城は大阪城多聞櫓
・寧々主催の諸大名の奥方を招いての催しのくだり、天守は大阪城天守、摩阿姫が舞うイベント会場は西の丸庭園で背景に天守が来る。
・城での暮らしに倦む摩阿姫のくだり、鴨に餌を投げる山里郭の池、不明。堺見物に出かける玄関、不明。行列が出てゆく城門は大阪城多聞櫓
・摩阿姫のことで談判に来る利家のくだり、寧々の指示で利家夫人を呼びに来る使いが立つ前田家屋敷の門、大覚寺明智門
*寧々は三益愛子、お付きの侍女に三島ゆり子。摩阿姫は江夏夕子、宇喜多との縁組で事をおさめるのに利用される姉の豪姫は北林早苗、利家は北竜二。大政所は浪花千栄子。

第5話 「寧々と茶々

 山里郭へでなく二の丸へ茶々を入れたことがそもそも面白くない寧々、本人が偉そうなことに加え侍女が余計な真似を仕出かし、ますます険悪に。しかし寧々は天下人の妻として覚悟を決め、茶々の凍りついた心を解いてゆく。

ロケ地
・山里郭イメージ、大阪城西の丸
・二の丸入りの茶々、大阪城天守をバックに。
・茶々が開く花摘みの会、勧修寺観音堂前芝地、氷室池畔。書院側に幔幕めぐらせ。
・呪い婆を見に行くかなえ、流れ橋か(橋脚の形が今と少し異なる/橋桁の両端にはワイヤー)
・子を呪った件が暴かれたあと、自暴自棄で懐妊中にもかかわらず無茶をする茶々のくだり、供も連れず裸足でだんだん登る石段は知恩院御廟参道坂。馬に乗るのは下鴨神社河合社脇〜馬場。大蔵卿局に乞われ止めに来た寧々は河合社の中から出てくる。説得し落ち着かせ天守に登るくだりは大阪城天守を映したあと書割の町なみとセットの天守(部分)
・腹帯の祝いのあと、子を産むため淀城へ移る茶々、大坂城を出てゆくシーンは大阪城極楽橋
*茶々は村松英子、饗庭の局は北城真記子、大蔵卿局は磯野千鳥。黒百合献上で出る佐々成政は小田部通麿。
4、5話 脚本/西沢裕子、監督/鳥居元宏


第6話 「朝日姫哀話

 家康を屈服させた「かたち」が欲しい秀吉が思いつく非道な策、振り回され傷つく豊臣家の女たち。そして北政所は、大坂へやって来はするもののまだゴネる家康を、情をもって説き伏せるのだった。

ロケ地
・大坂城天守、大阪城天守
・大政所・北政所と呼ばれるようになっても手仕事をする寧々たち、染布を干す城内は彦根城観音台
・駿府城イメージ、彦根城天守
・家康の正室となったものの人質扱いの朝日姫が暮らす、「高い塀と濠に囲まれた」駿府城内の一角、園部城址(園部高校門と巽櫓)
・駿府を発ち大坂へ向かう家康の行列、谷山林道
*朝日姫は桜町弘子、離縁させられる夫・佐治日向守は御木本伸介。家康は山形勲。
脚本/西沢裕子、監督/鳥居元宏


第7話 「琉球の女使節

 親善使節として大坂へやって来た琉球王の孫娘は、和人の父・一条則兼に会いたい一心から宿所を抜け出して堺の町へ。しかしその名を出すと皆一様に警戒心を露わにし、すげなくあしらわれてしまうのだった。

ロケ地
・野点の席で秀吉にスケジュール変更を願い出るも爺やに諌められる玉那姫、不明(遣水のある庭、一条直人乱入シーンあり)
・大坂城下の玉那姫の宿館、西本願寺大玄関門(門扉は開いていて大玄関がのぞく)
・堺の海浜、岩場は千畳敷に似る(松原なども同所付近か)
・一条則兼が住まいする堺の豪商・伊予屋善右衛門別邸、大河内山荘
*玉那姫は十朱幸代、お付きの爺や・渡名喜は宇佐美淳也。一条則兼は花柳喜章、甥の直人は伊吹剛。伊予屋は中村錦司、五百石船建造を渋る船大工は中村伸郎。

第8話 「父恋いの歌

 遂に則兼に会う姫だが、覚えがないと言われてしまう。しかし姫が直訴の際庇ってくれた恩人と知った直人の奔走で出生の謎は解け、ほんとうの父との対面も叶い、姫が父の国への置土産として秀吉に願い出たことで御朱印船制度が発足する。

ロケ地
・ほぼ7話と同じ、大河内山荘は別のアングルも出る。
7、8話 脚本/高岩肇・西沢裕子、監督/松村昌治


第9話 「利休の娘 お吟

 利休の娘・お吟は父の弟子の紀元を愛していたが、頑固な職人の彼は黄金の茶室の件で秀吉の不興を買い追放。その後お吟は百舌鳥屋宗安の求愛を受け入れ結婚するが、ある日戻るはずのない男の姿を見てしまい衝撃を受ける。

ロケ地
・城内にある利休の住まい、庭から大阪城天守がのぞく風景はセットに合成。
・登城する利休と紀元、大阪城極楽橋
・五畿内追放となった紀元を見送る利休親子、不明(雪の野原、別れは橋で/欄干の低い木橋)
・宗安の連れ子・宗之助と町に出ていたお吟が、隻眼の男を見る川端のやしろ、瀬田橋竜宮(境内に露店あしらい、傾いだ玉垣から身を乗り出し川端をゆく紀元を見る。その後やしろを駆け出てゆく際には鳥居と雲住寺の塀が映る)
*お吟は三田佳子、利休は志村喬、紀元は村井国夫。宗安は内田稔。

第10話 「炎の佳人

 黄金の茶室完成を旅の空で聞いた紀元は、利休の仕様をどうしても見たくて大坂へ舞い戻る。しかし彼は、花まで造花の金なのを見た途端狂乱、その花で残った目を突くという挙に。死罪は免れるが佐渡送りとなった紀元を、お吟は追ってゆく。

ロケ地
・黄金の茶室が「セット」されている竹林、不明。
・佐渡送りの紀元の護送、琵琶湖畔の松原は「現地」か。お吟が追う道、なおゆく護送の列、川堤らしき土手や葦原、雪の山道など。役人を買収して紀元を休ませるお堂は御室霊場のお堂、ここにも雪、イメージの滝は不明。二人が逃げる雪山、亀岡か。
*大徳寺の古渓和尚は石山健二郎。
9、10話 脚本/西沢裕子、監督/中島貞夫


第11話 「関白秀次とその妻

 秀次は鶴松ぎみ亡きあと関白職を譲られるが、淀殿は再び懐妊。地位目当てに彼に嫁した菊亭大納言の娘や、長く彼に仕えてきた家老・常陸介は淀殿を呪詛する動きに出る。また、息苦しさから秀次自身も次第に常軌を逸しはじめてゆく。

ロケ地
・秀次が大納言と百石を賜った祝いの席、不明(池泉脇で野点/檜皮葺の大屋根や州浜が見える)
・近江八幡城、書割か。
・鶴松ぎみ一歳の祝いが催される聚楽第、二条城清流園か。
・秀次が聚楽第入りのくだり、忙しなく廊下を行き来する家来たちは大覚寺回廊
・菊亭大納言の娘・一の台が秀次のもとに輿入れする行列がゆく道、御所大路
・一の台の言葉に刺激されめったやたらに武芸に励む秀次、大覚寺宸殿白州か。
・野駆けで百姓女を見初めるくだり、野道は谷地田の道脇に土壁の小屋がありその先に溜池の、例のアレ。
*秀次は江原真二郎、木村常陸介は大友柳太朗。一の台は稲野和子、娘のお宮は山本陽子、菊亭大納言は志摩靖彦。東福寺僧・玄陵西堂は城所英夫。

第12話 「聚楽第の狂宴

 秀次の狂態は募り、巷で殺生関白と囁かれる。太閤側からは様々な「働きかけ」、周囲にも倦み坂を転げ落ちてゆく秀次を諫止するお宮だが、そのことによって二人は結ばれてしまう。

ロケ地
・むきになって弓を射る秀次、勧修寺宸殿前(観音堂が背後にのぞく)
・北政所の使者として孝蔵主がやって来る廊下、大覚寺宸殿裏手縁先。
・太閤の使者としてやって来る三成が通る廊下、大覚寺回廊
・兵法者を募り試合わせる庭、勧修寺宸殿前芝地(池側に幔幕張り、見物の秀次らは宸殿縁先)
・辻斬りに出た秀次が座頭を斬る夜道、不明(堀端の塀際、塀は五本線、石橋映り込み)
・野駆けに出て妊婦に目をつける道、不明(11話の道と同じ、溜池映り込み)
*石田三成に中丸忠雄。

第13話 「殉愛 お宮の方

 お宮の方とのことが太閤に知れ、いよいよ進退極まる秀次。常陸介の画策も却って窮地を招き、北政所の名に安堵して出向いた先で即時高野山行きを命じられてしまう。本人の切腹だけでは済まず、ゆかりの女たちも全て刑場の露と消える。

ロケ地
・常陸介がスパイを密殺させる夜道、不明(五本線の塀、木塀が続く)
・太閤に申し開きに赴く秀次が暫時休憩と誘われる伏見の寺、宝塔寺。駕籠が止まるのは本堂前石垣下、先導する孝蔵主が登るのは寺務所門に至る坂、秀次と常陸介の背後に本堂大屋根が映り込む。高野山行きを命じられた秀次に追い縋る常陸介が槍で制止される廊下は本堂へ通じる回廊。
・秀次が入る高野山青巌寺(金剛峯寺前身/剃髪寺)高山寺。会いにやって来るお宮の方のくだりでは表参道、東参道が用いられ、印象的な石篠も映る。西堂師のはからいで会う二人は開山堂、法皷台文庫裏側(コンクリート造)が映り込む。
・秀次の女たちが処刑される三条河原、桂川松尾橋付近河川敷。
・秀頼を抱き今回の仕儀にご満悦の太閤、イメージに大阪城天守が挿入される。
11〜13話 脚本/高岩肇、監督/井沢雅彦


第14話 「田舎娘と太閤さま

 奥女中に目をつけられた伏見の地侍の娘は泣く泣くお城に上がるが、逃げようとして北政所の部屋に迷い込む。娘の訴えを聞いた北政所のはからいで「魔手」を逃れ、許婚者は伊達家仕官が叶い有頂天のお転婆は、城の庭で被衣を丸めて放り投げるが、それは来合わせた太閤の足もとに落ちる。

ロケ地
・伏見の里イメージの萱葺、不明。
・お種が許婚者の又七郎と野駆けの道、北嵯峨か。伊達政宗の参詣に際会し不躾な仕官願いをする神社、石清水八幡宮(二人が登っていくのは裏参道から水分社を経て東門に至る石段、腰掛けて話すのは東門下。本殿が映ったあと、伊達政宗がやって来るくだりは本殿脇の守札授与所前)
・大坂城奥勤めのお女中・おくらが伏見稲荷参詣の折訪ねる伏見一の地侍・佐々木吉兵衛邸、勝持寺東門をイメージに。
・太閤の側室に上がる話を忌避したお種が又七郎と逃げる約束をして落ち合う橋、穴太橋(旧の木橋)
・城に上がるお種、大阪城天守を千貫櫓越しに。
・伊達政宗のテストを受ける又七郎、相国寺方丈勅使門(門を政宗が座る見所に、回廊や法堂に九曜紋入り幔幕張りめぐらせ)
・浮かれて庭をゆくお種が木に引っ掛かる被衣に焦れ丸めて投棄する庭、大覚寺宸殿内庭、太閤の足もとに衣が落ちるのは回廊。
*お種は大原麗子、父は加藤嘉、又七郎は石山律。おくらは阿井美千子、佐々木は武藤英司。伊達政宗は大木実。

第15話 「虹を掴んだ香姫

 側室となり名も香姫と頂いてしまうお種だが、太閤の「魔手」を機転で切り抜け、伊達政宗とも気脈を通じ朝鮮戦役をも終息に導く。可愛く甘えての「姫のお願い」が、なかなかにしたたかで見もの。

ロケ地
・香姫が養女になる山名禅高邸、玄関は相国寺林光院玄関(前にはっきりと「大木」)
・肥前名護屋城、伏見城天守。ラストシーンでは造成地と思しき野原越しで小天守もはっきり見える。
・金平糖に毒を仕込んだ朝鮮の間者を追いかけ斬る又七郎、北嵯峨農地竹林際。
・政宗の指示で一足先に引き上げるお種と又七郎がゆく道、嵐山公園の土手か(ここから「伏見城」を見る設定)
*山名禅高は河上一夫、太閤を疲弊させお褥回避に一役買う能楽師は中村時之介。
14、15話 脚本/宮川一郎、監督/大西卓夫


第16話 「狙われた幼君

 淀殿の手配で秀頼に新しい養育係が配され、お役ご免となった乳母は意気消沈。心の間隙を突かれ、新任者への憎悪を滾らせた女は、仕えてくれる者に無体を強い、けして若君のためにならぬことも仕出かす次第となる。

ロケ地
・きつと与一郎姉弟が淀城へ上がる新任の養育係・右京太夫局の輿を見かける城下、伏見城を望む野原。
・お城の廊下、不明(お寺の縁先か)。右京太夫局が若君を奔放に遊ばせる庭、不明(池泉もあり)
・奥様に迫られお城へ上がることになった姉のもとへ駆けてくる与一郎、大覚寺参道石橋
・きつがお城へ上がる際のイメージ、姫路城はの門下坂
*きつは宮園純子、弟の与一郎は二瓶康一。二人は行き倒れのところを松浦に救われた設定で「正ちゃん」は刀鍛冶の卵。元秀頼乳母の松浦は高森和子、夫の殿様・松浦則親は織本順吉。堂上家の姫である右京太夫局は長内美那子、淀城奥向取締は荒木道子。

第17話 「忠義の報酬

 元乳母を使嗾した怖いおばさんの裏には、さらに黒幕。きつの働きで若君の命はからくも守られるが、禁裏を憚った秀吉はきつの処刑を命じるのだった。

ロケ地
・「自刃」した松浦の亡骸が下げ渡される裏門、姫路城内か。
・城を出た淡路をつけるきつ、東映城を出て下鴨神社馬場を経て河合社脇を通り、輿が入ってゆく万理小路邸は大覚寺大門。きつは対岸にいて、ここへ公家衆を探っていた手殿様と与一郎が現れる。戻るきつは糺の森、牢人たちに囲まれ危機一髪は池跡。
・陰謀が潰えたあと、きつに下された処分に異議を申し立てる右京太夫局のくだり、淀城イメージに姫路城天守(直下から見上げ)
・きつが処刑される河原、不明(引き立てられてゆく足元は礫、殿様と与一郎がいる「柵」は別撮り)
*城代は小栗一也、万理小路卿は唐沢民賢で妹の阿沙子は工藤君子。
16、17話 脚本/西沢裕子、監督/松村昌治


第18話 「美しき囚人

 許婚者と無理に引き裂かれお城へ上がった宰相の局は太閤を拒否、勘気を蒙り城内で監禁の日々を送る。祝言の席から拉致された彼女は、心は夫婦と叫んだ許婚者の言葉を頼りに生きてきたが、それも空しくなり絶望。しかし天窓から漏れてきた機織の音に勇気づけられ、自ら機を織る発心を抱く。

ロケ地
大坂城天守を櫓越し、直下から見上げと様々なアングルで。囚われの宰相の局を見舞う奥向取締の待田局は刻印石広場
・宰相局の恋人の心変わりを確かめに洛外の寺を訪ねる待田局、大覚寺式台玄関を大門越しに。
・織師の多七郎が城へ出入りの門、不明。
*宰相の局は加賀まり子、待田局は月丘夢路。姫路殿は楠侑子、信長の五番目の娘設定で宰相局の主筋、側室話は彼女が企図。出家してしまう許婚者は小林勝彦、機織をレクチャーする織師は山下洵一郎。

第19話 「悲恋の織糸

 宰相の局と多七郎の恋は姫路殿の知るところとなり、妬心から訴え出た小雪が利用され二人は引き裂かれる。待田は密かに二人を落そうとするが、恋心も敵愾心も碌な結果を呼ばず、哀れな囚人が一人残される。

ロケ地
大阪城天守見上げのイメージカットが挿入されるくらいで、城門の外の塀は不明。
*織師の許婚者・小雪は伊藤栄子、城から相模屋に遣わされる使者は波多野博。
18、19話 脚本/西沢裕子、監督/倉田準二


第20話 「秀吉を狙う女忍者

 刀狩りに続いて忍者狩り、むごたらしく処刑された父を見た石川五右衛門の娘は、太閤を討つべくくノ一となる決意をする。服部半蔵の手飼いとなった茜は、太閤が猫かわいがりしている秀頼をさらうものの、あどけない子供を殺せず、求婚してくれていた男のもとに走る。

ロケ地
・刀狩りのくだり、武器を井戸に隠していた百姓家、不明(長屋門の内側に更に塀、母屋は萱葺きで高台に建つ模様)
・忍者狩りのくだり、引き立てられてゆく男たち、不明(田畔)。三条河原での石川五右衛門の処刑、罧原堤付近河川敷か(礫河原)
・石川村の茜の家、不明(萱葺きを土手下から見上げ/軒瓦が出ている)
・父の一番弟子・弥八を求め旅する茜のくだり、九郎次に居場所を尋ねるのは山の麓、道で牢人に襲われるのは葦原、茜を保護する弥八は菩提滝か(後段、茜が戻ってくる際には滝そばに小屋)
・大坂城イメージに大阪城天守、千貫櫓越しのアングルも。
・参詣のため城を出る秀頼、大阪城極楽橋。神社は日吉東照宮、秀頼をさらう茜は日吉境内か。解放された秀頼が一人戻る門、大阪城青屋門
*茜は賀川雪絵、名張の弥八は三上真一郎、九郎次は汐路章。服部半蔵は名古屋章、徳川家康は山形勲。*秀頼が茜そっくりと無邪気に指差す仏像、中宮寺の弥勒菩薩半跏像写し。

第21話 「くの一の復讐

 弥八と結ばれるもののすぐにやって来る破局、家康の要請に応じ再び太閤と秀頼の命を狙う茜。大坂城に侵入し屋根裏の攻防で倒した相手は弥八、涙顔のまま遂行しようとした任務も、睦む太閤親子を見て心萎え果たせず終る、忍者になりきれぬ女なのだった。

ロケ地
・女猿を呼び止める弥八(石垣と蔵)、その後言い寄るお堂の縁先、不明(西教寺か)
・太閤を暗殺すべく大坂城へ侵入する茜のくだり、イメージに姫路城内濠からワの隅櫓を望む図が来て、濠を泳ぎ石垣に取り付く段では大阪城内濠と石垣(歩哨が濠を覗き込む画もあり)、城内を見下ろす画には姫路城西の丸化粧櫓が挿まれる。桟を切り侵入するシーンはセット。
・太閤を殺さず失踪した茜(家康の追捕を受ける身となっている)がゆく野原、対岸に三上山を望む湖西の高台
*下柘植の女猿は白木マリ、石田三成は中丸忠雄で前田玄以は森山周一郎。
20、21話 脚本/高岩肇、監督/大西卓夫


第22話 「豊太閤の最期

 太閤の死去で終る話に、各人の思惑や動向を重ねる。北政所と淀殿の微妙な空気、武断派と官僚の間隙、そして次代を狙う家康は猫を被りつつ足元を固めつつあった。

ロケ地
・醍醐の花見イメージに醍醐寺五重塔。芝居はセットで進行。
・移りゆく季節ごとに、大阪城天守を桜花越しや蘇鉄越しに眺める図。
・侍女と遊ぶ秀頼の「馬」がつんのめる城内の石段、伏見城か。
・秀頼が弓をうつ庭、不明(大刈り込みのほか、過って落ちる遣水)
*淀殿は木暮実千代、加藤清正は加藤武で侍女に上がる姪は藤田弓子。

第23話 「北政所と淀殿

 太閤の死後、天下は我が物と舞い上がる淀殿は、北政所を疎ましく思い排除にかかる。しかし北政所が大坂城を去ることは、家康の前から障害物を取り除くことに他ならなかった。

ロケ地
大阪城天守は季節ごとに雪や桜をあしらい映し出される。千貫櫓越しの画も。
・城内で桜の宴を催す淀殿、大阪城天守下広場(石垣に幔幕あしらい)。三成が淀殿に家康討伐の考えを示す。
・侍女のみ連れて太閤を偲び醍醐寺で花見の北政所、イメージに醍醐寺五重塔
・家康が大老として起居する伏見城、本物。水景を前にした天守遠景は合成か。鯉に餌をやりながら榊原康政と話すシーンは小天守を望む庭。
・大坂城を出ることを亡き太閤に詫びにゆく北政所、豊国廟石段〜墓所五輪塔。
・北政所退去を聞きもはや天下取りに遠慮はせぬと言い放つ家康、城から出てくる戸は伏見城天守入場口。康政と話すのは天守下。
・城を出てゆく北政所、城門で駕籠を止め天守を見返るのは大阪城多聞櫓、渡る橋は極楽橋
22、23話 脚本/高岩肇、監督/倉田準二


第24話 「戦国の母は哀し

 長らくの幽閉を解かれ夫のもとに戻る「光秀の娘」・たま。しかし危惧したとおり、夫・忠興との間にはすきま風が吹く。諍いもするうち、忠興は次男・忠利を徳川家への人質にする話を決めてしまう。

ロケ地
大坂城天守、櫓越しに天守を望む図。
・たまが幽閉されている丹後・味土野イメージ、保津峡か。屋敷イメージは萱葺民家。大坂へ戻るよう伝えに来た使者がゆく街道、北嵯峨農地竹林際。
・たまの回想、本能寺ノ変の報が入った細川家の城イメージ、姫路城ワの隅櫓
・三成に礼をせよと夫に言われたたまが上がる大坂城、天守見上げのあとたまが茶坊主に先導されてゆく廊下は大覚寺宸殿か。三成と庭で話すたま、彦根城玄宮園
・徳川家へやられる忠利に詫びるたま、不明(書院ふう建物の前に広大な池泉)
*たまは八千草薫、忠興は根上淳、弟の興元は早川保。

第25話 「受難のガラシャ

 家の安泰をはかる忠興の振舞はますますたまを傷つけ、彼女はかねてより高山右近から勧めのあった主の教えに縋る。心の平安を得るガラシャだが、三成挙兵に伴い、人質を強要する使者は細川家にもやって来る。

ロケ地
・忠興に連れて行かれた城の野点、たまに茶を点てさせ嫌味を言う三成は彦根城玄宮園池畔。彦根城天守もちらりと映り込む。
・高山右近のいる南蛮寺、不明(二層の門)
・内々に三成に会い上杉征伐に赴くが大坂方へは妻を人質にすると約束する忠興、彦根城玄宮園龍臥橋上。大阪城天守が冒頭に挿まれる。
*高山右近は岡田英次、毛利輝元は藤岡重慶。
24、25話 脚本/西沢裕子、監督/井沢雅彦


第26話 「関ヶ原合戦秘話

 敗残の三成を匿う、元草履とりの親爺と娘。三成が捕われ、親爺が暴発して死んだあと、残された娘は三成の姫とともに佐和山城から捕われの遺児を救い出し、いずこともなく姿を消す。

ロケ地
・上杉討伐に出た家康・それを討つべく挙兵する三成の情勢を語るくだりに極楽橋から見た大阪城天守
・決戦を前に兵士が慌しく出入りする大坂城の情景に大阪城多聞櫓(美和を訪ねてきた卯女が番士に何か始まるのか問う)。行き交う兵士にもみくちゃにされながら行く卯女、大阪城桜門前スロープ。
・関ヶ原合戦のくだり、家康が西進する山道、関ヶ原戦場(丘陵地)、不明。落武者狩りの山道は谷山林道か(切り通し)
・卯女と猪之助が三成を匿ってある洞窟へ向かう野原、不明。
・三成捕わるの報を聞く家康、不明(山中の池端)
・街道に晒される三成、犬飼川下河原橋たもと右岸堤法面。福島正則に嘲弄される三成を見て暴発する猪之助(正則に発砲)、押し包まれ斬られて落ちるのは橋上。
・関ヶ原の勝者として大坂城入城の家康、大阪城多聞櫓。秀頼と対面の前に大阪城天守がイメージとして挿入される。
・三成処刑の六条河原、輿に乗せられやって来る三成の「遠景」は低い欄干付きの木橋、寄った画は流れ橋。処刑の河原は大堰川河川敷
・佐和山城から三成の息子を救出するくだり、城イメージに彦根城佐和口多聞櫓、城門は芦浦観音寺。救出後卯女や美和らと船出の湖畔は琵琶湖畔。
*卯女は土田早苗、父で元三成の草履とりをしていた猪之助は河野秋武、同郷の加藤次は林真一郎で徳川方につき三成を密告。三成が側室に生ませた、大坂城へ人質に出していた姫・美和は岩井友見。福島正則は有川正治。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二


第27話 「秀頼と千姫の結婚

 関ヶ原から数年後、家康の孫・千姫を秀頼に輿入れさせる段のすったもんだを描く話。豊臣恩顧の者どもは、いま家康と事を構えるを良しとせず高台院にもはかりなんとか縁談を進めようとするが不調、しかし秀頼自身の「嫁が欲しい」の言にお袋さまも屈せざるを得ないのだった。

ロケ地
・大坂城、大阪城青屋門越し天守や天守見上げのショットをイメージに。
・東帰の途にある家康が小休止して往時を述懐する関ヶ原の池辺、中山池堰堤。
・内大臣に進んだ秀頼が参内の御所イメージ、二条城二の丸御殿書院破風。その祝いに来た豊臣子飼いの大名たちの墓参、豊国廟石段〜廟所。
・狩りの野で福島・加藤らの話をする家康主従、不明(山麓の草原)
・千姫輿入れを申し入れに家康の使者として大坂城へ入る京都所司代・板倉勝重、大阪城多聞櫓
・江戸城イメージ、姫路城天守
・淀殿の強硬な反対の件で高台院に相談を持ちかける福島正則、高台寺イメージに本物の勅使門。二人が話す庭は不明(大楠の根方)
・家康の密偵・弓が高台院を見かける太閤の墓所、豊国廟廟所前と石段。
・千姫の輿入れ行列がゆく東海道、琵琶湖西岸砂浜(高島の岬から対岸の山なみへパン)
*傳役に任じられた片桐且元は土屋嘉男、加藤清正は加藤武、福島正則は有川正治。秀忠は犬塚国生で正室の徳子は藤田佳子、千姫養育係の鶴の井は渡辺美佐子。千姫は飯塚明美、秀頼は青山隆一。榊原康政は長島隆一、弓は片山由美子で忍びのかしらは富田仲次郎。

第28話 「可憐な人質

 輿入れは受け入れたものの腹立ちが収まる筈もなく、淀殿の憤懣は哀れな幼い姫に向かう。そんななか当の秀頼は姫を気に入り、姫もまた無邪気に「夫」を慕うが、江戸の動きはますます淀殿の怒りを掻き立てる。

ロケ地
・大坂城イメージ、姫路城ワの隅櫓を外濠越しに。
・参勤交代政策を打ち出す家康、江戸城イメージに姫路城天守
・千姫と遊ぶ秀頼、大阪城天守下。
・将軍宣下を受けるため上洛する秀忠夫婦、二条城東大手門をイメージに挿入。
・大坂城まで娘に会いにやって来た徳子だが会わせて貰えずのくだり、夜陰に乗じ姫を連れて徳子のもとへ忍ぶ弓、彦根城佐和口多聞櫓の裏表と濠を使い表現。大坂城イメージに桜花越し大阪城天守。
*冒頭、淀殿の毛づくろいが出てくるが、サイドの「金髪」が付け毛か生えているのかアップになっても定かでない。但し大事にしているようで、本人が手ずから梳っている。
27、28話 脚本/高岩肇、監督/倉田準二


第29話 「秀頼の愛した娘

 母にスポイルされ鬱屈した青年が面当てにとった行動は、恋人とのささやかな幸福を夢見ていた娘の運命を変えてしまう。おくるみで育った青年は、富貴を望まず己を拒否する娘から人間らしい感情を学ぶこととなる。

ロケ地
・名主の息子と駆け落ちするも追っ手に阻まれる美乃、北嵯峨農地(陵近くの竹林の道)。名主の屋敷は不明。
・19歳の秀頼が家来相手に剣の稽古をする庭、彦根城楽々園(且元と淀殿が眺めやるシーンは座敷から)。これに先立ち大阪城天守が挿まれる。秀頼の粗暴な振る舞いについて話す淀殿と且元は彦根城玄宮園竜臥橋
・側室を娶れと執拗に迫る母にキレた秀頼が面当てに手をつけた侍女・美乃が城を出される城門、大阪城青屋門
・美乃が自分を拒否したと知った秀頼が彼女の里の山崎さして馬を駆る道、不明(川堤か)
・美乃に会うもじかに拒否された秀頼が佇む滝、琴滝
・淀殿の意向で迎えられた綾小路家の高姫が入城する門、大阪城多聞櫓(内側から)
・里に戻った美乃、嫁を迎えた恋人が「昔の女」として自分のことを話すのを聞いてしまう墓地、不明。
・名主屋敷前へ来て恋人に別れの言葉を呟いた美乃がふらふらと歩む道、北嵯峨農地竹林。美乃を求め寺内に駆け入る秀頼、正伝寺参道坂。美乃の入水を止める秀頼、琴滝祠脇。美乃を連れ帰る秀頼、北嵯峨農地・陵へ通じる道隈。
*美乃は野川由美子、名主の息子は島田景一郎、寺の和尚は北沢彪。秀頼は高橋長英、諫止もする近習は坂口徹、底意地悪そうな淀殿付きの饗庭の局は北城真記子。

第30話 「幼君 国松の母

 秀頼の意思で迎えた「側室」は淀殿の拒否に遭い、生まれた子にも会って貰えず冷遇される。曲折を経てさすがの淀殿も「孫」を受け入れるが、家康が放った忍びの魔手から我が子を守って、母は空しく果てる。

ロケ地
・京へやって来た家康に臣下の礼を求められた秀頼が出向く二条城、本物の北大手門(イメージ)
・大坂城から姿を消した母子に会いに山崎の寺へやって来る淀殿、正伝寺参道坂(内部はセット撮り)
・子の盾となって果てた亡骸の美乃の方を抱き輿で帰城する秀頼、大阪城極楽橋
*家康が放った忍者・さそりは阿波地大輔。
29、30話 脚本/西沢裕子、監督/鳥居元宏


第31話 「忠臣且元とその愛妾

 落日の豊臣家にとどめをさす「方広寺鐘銘事件」を描く。費えに頭を悩ませつつ仕事をこなす忠臣・片桐且元、淀殿の我儘に加えて夫をうだつのあがらぬ男と蔑む妻、疲れ果てた男は「淀川筋の女」に安らぎを求める。

ロケ地
・大坂城、極楽橋から大阪城天守を望む図。
・駿府城、郡上八幡城天守
・摂津本山城、不明(堀と石垣、城門)
・清韓に会いにくる亜弥、南禅寺三門。後段では池端も。
・方広寺の工事を見に行く亜弥、不明(寺院境内か/柵外から働く且元を見る)
・且元の奥方にののしられた亜弥が入水の川、不明(葦原)

第32話 「罠におちた淀殿

 金地院崇伝の入れ知恵で清韓の書いた鐘銘に言いがかりをつける大御所、且元はただちに駿府へ赴き申し開きをするが、老獪な策が用意されている。そして罠とも知らず、大坂方は自らの手であたら得難い忠臣を失ってしまうのだった。

ロケ地
・方広寺の工事が一段落し野遊びの且元と亜弥、不明(土手下の湿地か)
・京都所司代、京都御苑管理事務所長屋門
・且元が駿府へ赴くくだり、駿府宿泊を遠慮し安倍川畔の寺を宿館にすることを語るナレーションに被せ流れ橋。駿府城は郡上八幡城
・案じてやって来た亜弥とともに大坂へ戻る且元、流れ橋を渡り堤法面と堤上を行く。具合を悪くした亜弥を置いて去るくだりは別撮りか。
・城を追い出される且元、大阪城多門櫓。ふらふらと立ち去る且元、天守を振り返るのは極楽橋
*亜弥は浜木綿子、三門に捨てられていた亜弥を拾い育てた禅師・清韓は島田正吾。金地院崇伝は郡司良、且元の妻女は三田登喜子。
31、32話 脚本/高岩肇、監督/倉田準二


第33話 「冬の陣前夜

 徳川の要求を蹴ったことで東西は手切れ、決戦を前にした状況を真田幸村を中心に描く。彼には双方から引きが来るが姿勢はハナから決まっていて、いかに徳川の監視をかわし九度山を出るかというドラマ。父の後妻に反発する息子が心を開いてゆく人情劇が絡められる。

ロケ地
・山野を開墾する幸村主従、不明(山腹)
・大坂方の動静について報告を聞く大御所、不明(庭)
・大野治長がやって来るくだりや、幸村主従が里から出る際に渡る橋、不明(谷山林道入口の清滝川の橋に似るが、今は鉄製/劇中の橋は木橋)
・大助が下女と元服のことを話す河原、清滝河原。ここで崖上にいる「母」を発見。入水寸前の於琴は保津峡落合落下岩、大助は清滝の方の崖道から駆けつけ止める。
・幸村を見張る監視の兵が立つ河原、保津峡落合河口右岸側の巌上。
・九度山を出て大坂に向かう主従がゆく紀見峠、谷山林道か。
*於琴は中村玉緒、小西行長の遺児でキリシタン。生さぬ仲の息子を気遣い、夫の足を引っ張ると知るや自死を覚悟、大坂へ向かった夫を追う密偵と刺し違えるなど健気すぎる女を好演。幸村は中村竹弥、倅の大助は小林芳宏で村娘の八重は岩村百合子。
脚本/高岩肇、監督/鳥居元宏


第34話 「呪いの鼓

 幸村が入城するものの、城内は淀殿が仕切っておりまともな軍議もなされず、集まった牢人衆も忠誠の対象を見失うグダグダぶり。そんななか大助は城内はずれの寂れた部屋から響く怪しの鼓を聞くが、音の主が淀殿に責め殺された直後、さんざん城方を焦らし倦ませた挙句の砲声が響く。

ロケ地
・ほぼ城内で話が進むので大阪城以外は出ず。刻印石広場から見上げの天守など出て、旗差物などあしらわれ戦を演出。大野治長が天守から包囲網を遠眼鏡で見やるくだり、フレームに入る風景は西の丸と青屋門と思われる(いずれも兵士や戦旗などあしらい)。大助と綾が生国魂さんの御守とクルスを交換するくだりは、天守下の石畳や城壁の段。責め殺された秋子が濠に投げ入れられるくだりは極楽橋に至る枡形付近、山里郭北側の石垣から投擲、ドボン映像はセット撮り。このほか牢人衆が詰める城内や真田丸もセット。
*大野治長は島田順司、淀殿とは母・大蔵卿局も薄々承知の深い仲。濡れ場は被害者面でぎこちないあたりがよく立場を表現し○。織田有楽斉は金子信雄、牢人衆に国一太郎や宮城幸生。秋子は菊ひろ子、小早川秀秋の遺児設定で関ヶ原以降籠められっぱなしの離れの部屋には呪いの人形がびっしり。
脚本/高岩肇、監督/鳥居元宏

第35話 「生きていた亡霊

 堅固な要塞を無理に攻めぬ家康は、内部の攪乱を狙う。幸村を父と慕う秀頼は陣頭に立ち、城方の意気は揚がるが、女の心を弱らせた大御所の策は壺にはまり、淀殿は勝手に和議を結んでしまうのだった。

ロケ地
・家康の陣、不明(幔幕の外は林)
・城内の描写には大阪城内各所が使われる。大助と綾が話すのは山里郭付近の石垣際。秀頼が陣頭に立つと兵に宣言するのは天守真下の石垣上。家康の「鬨の声作戦」に引っかかった淀殿が的外れな指示を出し幸村にたしなめられる場面は多門櫓と大手口内側。和議成立は雪の日だったと語るナレーションに被せ、雪の天守閣。
*タイトルは前回死んだと思われた秋子、有楽斎の使嗾を受け夜な夜な鼓をかっぽんかっぽん鳴らして淀殿を惑乱させる。
脚本/高岩肇・宮川一郎、監督/鳥居元宏


第36話 「木村重成とその妻

 口頭での約束をいいことに惣堀を埋められてしまう大坂方、いよいよ敗色濃いなか木村重成が初登場。大野治長の妹の千絵と結ばれる過程を、情勢とからめて描く。

ロケ地
・城内の描写はほぼセット。大阪城天守が処々に挿入される。重成が素振りをする庭のセットの塀越しに合成したものもあり、西の丸の焔硝蔵越しのアングルも。二の丸の堀を埋められてしまうくだりは天守を望む堀で撮ってあり、作り物の大石が投げ込まれ砂埃も盛大に立つ趣向(内濠と思われる)
・木村重成邸、相国寺林光院。帰館した重成は馬に乗って門をくぐる。城から急使がやって来る場面では、大通院南塀が映り込む。
・重成と大野治長が談判にゆく二条城、本物の東南隅櫓。二人がゆく廊下は相国寺方丈か。
・秀頼と淀殿に総大将就任を求められるも固辞する重成、阪口青龍苑
*木村重成は細川俊之、母の刑部卿局は夏川静枝。千絵は高田美和、治長の乳母は岡嶋艶子。
脚本/西沢裕子、監督/大西卓夫


第37話 「憂愁の千姫

 淀殿は千姫に命じて大御所に要求取り下げを要求させるが、むろん通らず。姫には大坂城脱出が促されるが、重成の妻の自刃を知った姫はこの城で秀頼の妻として果てると誓う。

ロケ地
・千姫がひっそりと暮らす山里郭イメージに大阪城西の丸芝地越しに多門櫓と千貫櫓を遠望。
*千姫は宇都宮雅代、お付の二位局は長谷川待子。
脚本/西沢裕子、監督/大西卓夫


第38話 「妻になった千姫

 勇を鼓し真の妻となることを求める千姫は、ほんのちょっとマザコンから脱却しつつある秀頼と結ばれる。もちろん淀殿が面白いはずはなく、美乃の方が生んだ国松ぎみを無理やり引っ張ってきて嫌がらせ。ばかりか徳川への人質にしようとするのを、できあがったばかりの「夫婦」が阻む。

ロケ地
・大坂城天守、桜花越しの大阪城天守
・国松ぎみが養育されている大津の里、琵琶湖(河口州と思われる岸辺、葦原や松原など見える。おそらく湖西)
・秀頼に会いに二位局がゆく廊下、淀殿に会いに千姫がゆく縁先、仁和寺宸殿回廊、書院縁先。
・国松を去らせたあと間一髪で戦が始まったことを語るナレーションに被る天守、青屋門越し大阪城天守
*国松ぎみを養育していたなかは岩本秀代、淀殿の手先の饗庭局は北城真記子。
脚本/西沢裕子、監督/佐伯清


第39話 「最期の二日間

 落城を前にして、互いの身を気遣う秀頼と千姫。しかし夢想した静かな暮らしは夢のまま、永訣を迎える。

ロケ地
・武将らが次々と戦死の会戦の野、不明(丘陵地か)。
・大坂城イメージ、姫路城ぬの門大阪城天守。天守へ移る淀殿が小坊主に導かれ出てくる御殿、仁和寺宸殿。落城イメージはセット、大阪城の櫓と濠にスモーク演出も。
*秀頼に戦況を伝えに来て自刃する将兵に小田部通麿。*淀殿は最後までじたばた、見苦しく立ち回るのに秀頼が引導を渡す。
脚本/西沢裕子、監督/佐伯清


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